JP3300327B2 - 腐食速度測定用電極構造および腐食速度測定方法 - Google Patents

腐食速度測定用電極構造および腐食速度測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば鉄パイプ
などの腐食速度を計測する腐食速度測定用電極構造およ
び腐食速度測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビルやプラントの冷却システムにおい
て、冷却水を循環させるパイプとしては鉄パイプを使用
することが多いが、このパイプがカルシウムなどの水ア
カ,藻の発生,徴生物の分泌物や泥などにより詰ること
によって冷却効果が低下するほか、これらが原因で腐食
が発生する。そして、この鉄パイプの腐食による寿命は
ビルやプラント自身の寿命に大きく影響するため、鉄パ
イプの腐食の進行性を知ることが重要である。
【0003】このため、腐食速度測定装置および導電率
計が水質管理に使用され、このうち、腐食速度測定装置
はビルやプラントの冷却水用配管の腐食の進行性を検知
し、これにより腐食抑制剤の注入管理を行う。また、導
電率計は冷却水の濃縮,汚染の程度を検知し、配管の閉
塞を防ぐための冷却水のブロー管理を行うほか、工業排
水,上下水道水の水質管理にも使用される。
【0004】図8は従来の3電極式の腐食速度測定装置
を示し、図において、1は鉄パイプなどの試料極、2は
対極、3は対極2および試料極1間に設けられた照合極
であり、試料極1および対極2間には交流電源4が接続
され、試料極1および照合極3間には電圧測定回路とし
ての電圧計5が接続されている。
【0005】次に、この腐食速度測定装置の動作を交流
定電流法および交流定電圧法に分けて説明する。まず、
交流定電流法では溶液に浸した試料極1、対極2、照合
極3のうち、対極2と試料極1との間で一定振幅で正負
に変化する図9(a)に示すような定電流を交流電源4
から流し、このときに、試料極1と照合極3との間に発
生する図9(b)に示すような電圧を電圧計5により測
定し、これら電圧、電流の比として分極抵抗を求める。
【0006】一方、交流定電圧法では試料極1および照
合極3間に交流電源4から入力される電圧が、図10
(a)に示すように一定振幅で正負に変化するように、
対極2と試料極1との間に流す電流を図10(b)に示
すようにコントロールする。そして、これら電圧と電流
との比として分極抵抗を求める。
【0007】図11は、従来の4電極式の導電率計を示
す。これは溶液に浸した4つの電極11、12、13、
14を設けて、電極llおよび電極14間にはこれらの
間に定電流を流す交流電源15を接続し、電極12およ
び電極13間には電圧測定回路としての電圧計16を接
続したものである。
【0008】この導電率計では、電極11および電極1
4間に交流電源15から交流定電流を流し、このときに
電極12、13間に得られる電圧を電圧計16によって
測定する。そして、これらの電圧と電流との比を求め、
この比にセル係数を掛算して溶液抵抗を求める。そし
て、この溶液抵抗の逆数として誘電率を決定する。
【0009】このような腐食速度の測定において工業的
には3電極式が多用されているが、分極抵抗法により腐
食速度を測定する場合には溶液抵抗がその種類や状態、
電極の形状、配置状況に応じて異なるため、この溶液抵
抗が腐食速度の測定誤差原因となる。このような測定誤
差原因を除去する方法としては次に示すような対処法が
ある。(イ)導電率計により溶液の導電率を測定し、測
定した溶液抵抗値により補正を行なう。(ロ)2電極式
では試料極と対極との間隔、3電極式では試料極と照合
極との間隔を狭くして溶液抵抗分を減らす。従来は、特
公昭50−36596号公報等に見られるように、被測
定液が流れる配管中に電極を設置して腐食速度を測定し
ていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の腐食速度測定方
法および腐食速度測定装置は以上のように構成されてい
るので、精度のよい腐食速度の測定を行なうために溶液
抵抗による腐食速度の測定誤差をなくす必要がある。し
かし、前記(イ)に示した対処法では導電率計を別に用
意しなればならず、その測定結果をもとに補正計算を測
定者が行なう必要があり、腐食速度測定装置として構成
するとコストの上昇を招くとともに寸法的にも大きくな
る課題があった。
【0011】また、前記(ロ)に示した対処法では、電
極への付着物により電極の間隔が狭くなったり電極間が
詰ったりして、電極間の測定電圧が不安定になり、この
ため頻繁に電極のメンテナンスを行なう必要が生じる課
題があった。また、配管中に電極を設置するのに手間が
かかるという課題があった。
【0012】この発明は、上記のような課題を解決する
ためになされたもので、液溜めの中の被測定液に電極構
造を投入するだけで腐食速度を測定できる腐食速度測定
用電極構造および腐食速度測定方法を得ることを目的と
する。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明に係る腐食速度
測定用電極構造は、被測定液の腐食速度を測定するため
に、少なくとも試料極、照合極および対極を備えた腐食
速度測定用電極構造において、被測定液をその内部に流
入可能とする開口を有し、少なくとも上記試料極、照合
極および対極の周囲を囲むように設けられた保護部材を
備えたものである。
【0014】この発明に係る腐食速度測定方法は、被測
定液をその内部に流入可能とする開口を有し、少なくと
も試料極、照合極および対極の周囲を囲むように設けら
れた保護部材を備えている腐食速度測定用電極構造を、
液溜めの中の被測定液に浸漬して腐食速度を測定するも
のである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1は、この発明の実施の形態1の腐食
速度測定方法を実現する腐食速度測定装置の取付け状態
を示す説明図である。図において、21は腐食速度測定
装置、22は電極部、23は腐食速度測定装置21と電
極部22とを接続したケーブル、24はタンク、25は
タンク24に蓄えられている溶液である。
【0016】図2は、3電極式で用いられる3つの電極
を備えた腐食速度測定用電極構造としての電極部22の
構造を示す断面図であり、図において、23aは腐食速
度測定装置21と試料極27とを接続したケーブル、2
3bは腐食速度測定装置21と照合極28とを接続した
ケーブル、23cは腐食速度測定装置21と対極29と
を接続したケーブルである。試料極27は、腐食速度の
測定の対象とする例えば配管の材質と同一の材質により
構成されている。照合極28や対極29は、試料極27
と同一の材質あるいは腐食しにくい金、銀、プラチナ、
ステンレスなどの材質が用いられている。また、照合極
28は、試料極27と対極29との間に電流を流したと
きに生じる電界分布を乱さないように配置される。31
は保護部材としての樹脂製の保護筒、32はケーブル2
3a、23b、23cと各電極との接続部分を保護して
いるモールド部である。
【0017】図3は、4電極式で用いられる4つの電極
を備えた腐食速度測定用電極構造としての電極部22の
構造を示す断面図であり、図3において図2と同一また
は相当の部分については同一の符号を付し説明を省略す
る。図において、23dは照合極28と対極29との間
に配置された第4極30と腐食速度測定装置21とを接
続したケーブルである。第4極30は、試料極27と同
一の材質あるいは腐食しにくい金、銀、プラチナ、ステ
ンレスなどの材質が用いられている。また、照合極28
と第4極30は、試料極27と対極29との間に電流を
流したときに生じる電界分布を乱さないように配置され
る。
【0018】図4は、腐食速度測定用電極構造と電気回
路の接続構成を示すブロック図であり、図において、4
1は試料極27と照合極28との間に生じる電位(以
下、試料極側分圧値という)を測定する電圧測定器(分
圧値測定回路)、42は照合極28と第4極30との間
に生じる電位(以下、第4極側分圧値という)を測定す
る電圧測定器(分圧値測定回路)、43は試料極側分圧
値と第4極側分圧値との比αを前記第4極側分圧値へ乗
ずる比率設定器(比率設定回路)、44は試料極側分圧
値と前記比率設定器43で得られた値との差を求める減
算器(減算回路)、45は減算器44で求められた値
を、試料極27と対極29との間を流れる電流iで除す
る割算器(除算回路)、46は割算器45で得られた値
を保持するとともに出力する信号保持回路、47は試料
極27と対極29との間へ交流電圧を印加して交流定電
流iを流すための交流定電流回路(電圧印加回路)であ
る。
【0019】図5は、図2に示した電極部22における
電気的等価回路、図6は図3に示した電極部22におけ
る電気的等価回路である。図5に示した電気的等価回路
においてRW1とRW2は腐食速度の測定誤差となる溶
液抵抗であり、RW1は試料極27と照合極28との間
の溶液抵抗、RW2は照合極28と対極29との間の溶
液抵抗である。
【0020】E1は、試料極27の材質、溶液の種類、
状態に応じて前記試料極27の界面に発生した腐食電
位、E3は同様に照合極28の界面に発生した腐食電
位、E2は同様に対極29の界面に発生した腐食電位で
ある。
【0021】r1は測定しようとする試料極27の分極
抵抗、r3は照合極28の分極抵抗、r2は対極29の
分極抵抗である。
【0022】Vaは、試料極27と対極29との間に交
流電圧を印加して交流定電流iを流したときの、試料極
27と照合極28との間に発生する試料極側分圧値、V
bは同様に照合極28と対極29との間に発生する電位
(以下、対極側分圧値という)である。
【0023】図6に示した電気的等価回路では、RW1
は試料極27と照合極28との間の溶液抵抗、RW2は
照合極28と第4極30との間の溶液抵抗である。RW
3は、第4極30と対極29との間の溶液抵抗である。
【0024】E1は、試料極27の材質、溶液の種類、
状態に応じて前記試料極27の界面に発生した腐食電
位、E3は同様に照合極28の界面に発生した腐食電
位、E4は同様に第4極30の界面に発生した腐食電
位、E2は同様に対極29の界面に発生した腐食電位で
ある。
【0025】r1は測定しようとする試料極27の分極
抵抗、r3は照合極28の分極抵抗、r4は第4極30
の分極抵抗、r2は対極29の分極抵抗である。
【0026】Vaは、試料極27と対極29との間に交
流電圧を印加して交流定電流iを流したときの、試料極
27と照合極28との間に発生する試料極側分圧値、V
bは同様に照合極28と第4極30との間に発生する第
4極側分圧値である。
【0027】次に、図3に示す4つの電極を備えた電極
部22を用いて試料極27の分極抵抗値を測定し腐食速
度を判定する際の動作について説明する。交流定電流回
路47により試料極27と対極29との間に交流定電流
iを流したときの照合極28と試料極27との間の試料
極側分圧値Va、照合極28と第4極30との間の第4
極側分圧値Vbは、図6に示した電気的等価回路から以
下に示す式(1)、式(2)により表わされる。この試
料極側分圧値Vaは電圧測定器41により測定され、ま
た第4極側分圧値Vbは電圧測定器42により測定され
る。この場合、電圧測定器41は、極性が反転する直前
に試料極側分圧値Vaを測定する。また、電圧測定器4
2も極性が反転する直前に第4極側分圧値Vbを測定す
る。
【0028】
【数1】
【0029】
【数2】
【0030】電極部22の形状や各電極の配置から、試
料極27と照合極28との間の溶液抵抗RW1と、照合
極28と第4極30との間の溶液抵抗RW2との比率α
は、電極配置等から定まり、式(3)に示すように一定
となる。この比率αは、電極配置等から定まり比率設定
器43へ設定するようにしてもよいし、あるいは比率設
定器が試料極側分圧値Vaと第4極側分圧値Vbから自
動的に演算して求めるようにすることも可能である。
【0031】
【数3】
【0032】式(1)や式(2)には、溶液抵抗RW
1、RW2による電圧降下分、つまり溶液抵抗分圧値が
含まれているため、溶液の種類や状態に応じた溶液抵抗
の変化は、これら試料極側分圧値Vaや第4極側分圧値
Vbを用いて得られる腐食速度測定結果に誤差分として
作用することになる。従って、試料極側分圧値Vaや第
4極側分圧値Vbから前記溶液抵抗分圧値の要素を排除
する。これが溶液抵抗要素排除過程である。この溶液抵
抗要素排除過程では、先ず式(2)の両辺へ溶液抵抗R
W1とRW2とから得られる前記比率αを乗ずる。この
場合、比率設定器43の動作としては第4極側分圧値V
bに対し前記比率αを乗算することになる。次に、式
(1)から両辺に比率αが乗算された式(2)を辺々減
算して、前記溶液抵抗分圧値の要素を排除する。この結
果、溶液抵抗分圧値の要素が排除された以下に示す式
(4)が得られる。
【0033】
【数4】
【0034】この場合、減算器44の動作としては電圧
測定器41で測定された試料極側分圧値Vaから比率α
が乗算された第4極側分圧値Vbを減ずることになる。
【0035】次に、式(4)から試料極27における分
極抵抗r1を求める。この分極抵抗r1を求める過程が
分極抵抗演算過程である。この結果、分極抵抗r1は以
下に示す式(5)として求められる。
【0036】
【数5】
【0037】この分極抵抗演算過程を実現するため、割
算器45は、減算器44で求めたVa−αVbに対し、
交流定電流回路47から供給されている交流定電流iを
用いて除算を行なう。
【0038】式(5)におけるE1−E3、E3−E4
は、試料極27と対極29との間に電流を流さないとき
の試料極27と照合極28との間で測定される電位、照
合極28と第4極30との間で測定される電位として容
易に知ることができる。従って、式(5)の分極抵抗演
算過程を実現するための割算器45が行なう演算処理は
前記E1−E3、E3−E4の値を考慮した演算を行な
うことで精度のよい分極抵抗r1の測定が可能となる。
【0039】しかし、試料極27、照合極28、第4極
30に同一材料を使用したときには、E1=E3=E4
となって式(5)は以下に示す式(6)で表わされるこ
とになり、前記E1−E3、E3−E4の要素は消える
ので精度のよい分極抵抗r1の測定が可能となる。
【0040】
【数6】
【0041】また、照合極28と第4極30とに貴金属
などの耐腐食性に優れた材料を用いたときには、E3=
E4=0となって式(5)は以下に示す式(7)で表わ
されることになり、式(7)の分極抵抗演算過程を実現
するための割算器45が行なう演算処理はE1の値を考
慮した演算を行なうことで、精度のよい分極抵抗r1の
測定が可能となる。この場合の試料極の界面に発生した
腐食電位E1は、試料極27と対極29との間に電流を
流さない状態で、試料極27と照合極28との間の電位
を測定するなどして容易に知ることができる。
【0042】
【数7】
【0043】図7は、分極抵抗r1を求める際に前記E
1−E3、E3−E4の値やE1の値を、割算器45が
演算を行なう際に考慮しなければならない場合の補正を
行なう補正回路52を備えた腐食速度測定装置の構成を
示すブロック図である。補正回路52は、割算器45に
より得られた値を、各電極の材質、溶液の種類、状態に
応じて前記各電極の界面に発生した腐食電位E1、E
3、E4の測定値と、試料極27および対極29間に流
れる交流定電流iとをもとに補正する。
【0044】以上、4電極式の場合について説明した
が、図2に示す電極部22を使用した3電極式の場合も
第4極30が設けられていないだけで、概ね4電極式と
同様である。この3電極式の場合には、電極部22の電
気的等価回路が図5に示したようになるため、試料極側
分圧値Vaと対極側分圧値Vbは以下に示す式(8)、
式(9)により表わされる。
【0045】
【数8】
【0046】
【数9】
【0047】4電極式と同様に3電極式の場合でも、溶
液抵抗RW1と溶液抵抗RW2との比率αは電極部22
の各電極の形状や配置関係が決ると定数となる。この比
率αは、各電極の腐食電位や分極抵抗がないと仮定した
場合の試料極側分圧値Vaと対極側分圧値Vbとの比
率、言い換えれば対極29と試料極27との間の電極間
電圧分割比である。
【0048】各電極に同一材料を用いたときには、E1
=E2=E3、r1=r2=r3となり、従って式
(8)は以下に示す式(10)に簡略化され、式(9)
は式(11)に簡略化される。
【0049】
【数10】
【0050】
【数11】
【0051】式(11)の両辺へ比率αを掛けて式(1
0)から辺々を引算すると、Va−αVbからは溶液抵
抗分圧値の要素RW1・iとRW2・iが排除され、溶
液抵抗分圧値の要素が排除された以下に示す式(12)
が得られる。これが3電極式の場合の溶液抵抗要素排除
過程である。
【0052】
【数12】
【0053】この場合、減算器44により電圧測定器4
1で測定された試料極側分圧値Vaから比率αが乗算さ
れた対極側分圧値Vbが引算される。
【0054】次に、式(12)から試料極27における
分極抵抗r1を求める。この分極抵抗r1を求める過程
が分極抵抗演算過程である。この結果、分極抵抗r1は
以下に示す式(13)として求められる。
【0055】
【数13】
【0056】この分極抵抗演算過程を実現するため、割
算器45は、減算器44で求めたVa−αVbに対し、
交流定電流回路47から供給されている交流定電流iを
用いて除算を行なう。
【0057】この場合、図7に示す補正回路52は、前
記割算器45で得られた除算結果に対し、前記比率αか
ら求めた1/(1−α)の値を掛け算する補正処理を行
なう。
【0058】一方、照合極28と対極29とに貴金属な
どの耐腐食性に優れた材質を用いた場合には、E2=E
3=0、r2=r3=0となり、従って式(8)は以下
に示す式(14)に簡略化され、式(9)は式(15)
に簡略化される。
【0059】
【数14】
【0060】
【数15】
【0061】式(15)の両辺へ比率αを掛けて式(1
4)から辺々を引算すると、Va−αVbからは溶液抵
抗分圧値の要素RW1・iとRW2・iが排除され、溶
液抵抗分圧値の要素が排除された以下に示す式(16)
が得られる。
【0062】
【数16】
【0063】この場合、減算器44により電圧測定器4
1で測定された試料極側分圧値Vaから比率αが乗算さ
れた対極側分圧値Vbが引算される。
【0064】次に、式(16)から試料極27における
分極抵抗r1を求める。この分極抵抗r1を求める過程
が分極抵抗演算過程である。この結果、分極抵抗r1は
以下に示す式(17)として求められる。
【0065】
【数17】
【0066】この分極抵抗演算過程を実現するため、割
算器45は、減算器44で求めたVa−αVbに対し、
交流定電流回路47から供給されている交流定電流iを
用いて除算を行なう。
【0067】この場合、式(17)における腐食電位E
1は試料極27と対極29との間に電流を流さないとき
の試料極27と照合極28との間で測定される電位とし
て容易に知ることができる。従って、式(17)の分極
抵抗演算過程を実現するための割算器45が行なう演算
処理は(Va−αVb)/iの除算であるが、この除算
結果からE1/iの値を減算する補正処理により精度の
よい分極抵抗r1の測定が可能となる。
【0068】このため、図7の補正回路52は割算器4
5により得られた値を、試料極27の材質、溶液の種
類、状態に応じて前記電極の界面に発生した腐食電位E
1と、試料極27および対極29間に流れる交流定電流
iとにより前記補正処理を行なう。
【0069】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、4電極式による分極抵抗の測定では、試料極側分圧
値Vaと第4極側分圧値Vbとを測定してこれらの比率
αが定数となることから、Va−αVbの減算処理を行
ない溶液抵抗による溶液抵抗分圧値の要素を排除して、
試料極27の分極抵抗r1を求める構成である。また、
このときの各電極の材質の違いにより腐食電位を考慮す
る必要のあるときには、補正回路52により前記補正処
理を行う。従って、導電率計を用いることなく、また電
極部22の各電極の間隔を狭くすることなく、溶液抵抗
による測定誤差を低減した精度のよい腐食速度の測定を
行なうことが可能となる。
【0070】また、3電極式による分極抵抗の測定で
は、試料極側分圧値Vaと対極側分圧値Vbとを測定し
てこれらの比率αが定数となることから、Va−αVb
の減算処理を行ない溶液抵抗による溶液抵抗分圧値の要
素を排除して、試料極27の分極抵抗r1を求める構成
である。また、このときの各電極の材質の違いにより腐
食電位を考慮する必要のあるときには、補正回路52に
より前記補正処理を行なう。従って、導電率計を用いる
ことなく、また電極部22の各電極の間隔を狭くするこ
となく、溶液抵抗による測定誤差を低減した精度のよい
腐食速度の測定を行なうことが可能となる。
【0071】なお、上記の実施の形態は、次のような方
法及び装置としての特徴も有している。
【0072】分圧値測定過程により測定した各分圧値の
比率を前記各分圧値の内のいずれか一方へ乗じる比率乗
算過程と、該比率乗算過程により前記比率が乗じられた
前記一方の分圧値と他方の分圧値との差を求めて溶液抵
抗値による溶液抵抗分圧値要素を排除する減算過程とを
溶液抵抗要素排除過程が備えるように構成したので、前
記減算過程により溶液抵抗分圧値要素による測定誤差の
低減された分極抵抗を求めることができ、精度のよい腐
食速度の測定ができる。
【0073】減算過程で得られた溶液抵抗分圧値要素の
排除された減算結果と試料極および対極間に流れる定電
流値とをもとに所定の演算を行い、前記試料極における
分極抵抗値を求める分極抵抗演算過程を備えるように構
成したので、前記減算過程と前記分極抵抗演算過程とに
より溶液抵抗分圧値要素による測定誤差の低減された分
極抵抗を求めることができ、精度のよい腐食速度の測定
ができる。
【0074】減算過程で得られた溶液抵抗分圧値要素の
排除された減算結果と、試料極を含む各電極の材質、溶
液の種類、状態に応じて前記各電極の界面に発生した腐
食電位と、前記試料極および対極間に流れる定電流値と
をもとに所定の演算を行い、前記試料極における分極抵
抗値を求める分極抵抗演算過程を備えるように構成した
ので、試料極の材質が他の電極と異なっていたり、各電
極の材質が異なっている場合であっても、溶液抵抗分圧
値要素による測定誤差を低減するとともに各電極の腐食
電位を考慮した試料極の分極抵抗を求めることが可能と
なり、精度のよい腐食速度の測定ができる。
【0075】分圧値測定過程により測定した試料極側分
圧値と対極側分圧値との比率を、前記試料極側分圧値あ
るいは前記対極側分圧値のいずれか一方へ乗じる比率乗
算過程と、該比率乗算過程により前記比率が乗じられた
前記一方の分圧値と他方の分圧値との差を求める減算過
程とから、溶液抵抗分圧値要素を排除する溶液抵抗要素
排除過程と、前記減算過程の減算結果と、試料極および
対極間に流れる定電流値との間で所定の演算を行ない、
前記試料極の分極抵抗値を求める分極抵抗演算過程とを
備えるように構成したので、3電極式において、前記減
算過程と前記分極抵抗演算過程とにより溶液抵抗分圧値
要素による測定誤差の低減された分極抵抗を求めること
ができ、精度のよい腐食速度の測定ができる。
【0076】分圧値測定過程により測定した試料極側分
圧値と対極側分圧値との比率を、前記試料極側分圧値あ
るいは前記対極側分圧値のいずれか一方へ乗じる比率乗
算過程と、該比率乗算過程により前記比率が乗じられた
前記一方の分圧値と他方の分圧値との差を求める減算過
程とから溶液抵抗値による溶液抵抗分圧値要素を排除す
る溶液抵抗要素排除過程と、前記減算過程の減算結果
と、試料極、照合極、対極の界面に発生した腐食電位と
前記試料極および対極間に流れる定電流値との間で所定
の演算を行ない、前記試料極における分極抵抗値を求め
る分極抵抗演算過程とを備えるように構成したので、3
電極式において、試料極の材質が他の電極と異なってい
たり、各電極の材質が異なっている場合であっても、溶
液抵抗分圧値要素による測定誤差を低減するとともに各
電極の腐食電位を考慮した試料極の分極抵抗を求めるこ
とが可能となり、精度のよい腐食速度の測定を行なうこ
とができる。
【0077】分圧値測定過程により測定した試料極側分
圧値と第4極側分圧値との比率を、前記試料極側分圧値
あるいは前記第4極側分圧値のいずれか一方へ乗じる比
率乗算過程と、該比率乗算過程により前記比が乗じられ
た前記一方の分圧値と他方の分圧値との差を求める減算
過程とから溶液抵抗値による溶液抵抗分圧値要素を排除
する溶液抵抗要素排除過程と、前記減算過程の減算結果
と試料極および対極間に流れる定電流値とをもとに所定
の演算を行い、前記試料極の分極抵抗値を求める分極抵
抗演算過程とを備えるように構成したので、4電極式に
おいて、前記減算過程と前記分極抵抗演算過程とにより
溶液抵抗分圧値要素による測定誤差の低減された分極抵
抗を求めることができ、精度のよい腐食速度の測定を行
なうことができる。
【0078】分圧値測定過程により測定した試料極側分
圧値と第4極側分圧値との比率を、前記試料極側分圧値
あるいは前記第4極側分圧値のいずれか一方へ乗じる比
率乗算過程と、該比率乗算過程により前記比が乗じられ
た前記一方の分圧値と他方の分圧値との差を求める減算
過程とから、溶液抵抗値による溶液抵抗分圧値要素を排
除する溶液抵抗要素排除過程と、前記減算過程の減算結
果と、試料極、照合極、第4極の界面に発生した腐食電
位と、前記試料極および対極間に流れる定電流値とをも
とに所定の演算を行い、前記試料極における分極抵抗値
を求める分極抵抗演算過程とを備えるように構成したの
で、4電極式において、試料極の材質が他の電極と異な
っていたり、各電極の材質が異なっている場合であって
も、溶液抵抗分圧値要素による測定誤差を低減するとと
もに各電極の腐食電位を考慮した試料極の分極抵抗を求
めることが可能となり、精度のよい腐食速度の測定を行
なうことができる。
【0079】除算回路により得られた値を、試料極を含
む各電極の界面に発生した腐食電位の測定値と前記試料
極および対極間に流れる定電流の値とをもとに補正する
補正回路を備えるように構成したので、試料極の材質が
他の電極と異なっていたり、各電極の材質が異なってい
る場合であっても、各電極の腐食電位により補正を行な
った試料極の分極抵抗を求めることが可能となり、精度
のよい腐食速度の測定を行なうことができる。
【0080】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、被測
定液をその内部に流入可能とする開口を有し、少なくと
も上記試料極、照合極および対極の周囲を囲むように設
けられた保護部材を備え、この保護部材によって電極が
保護されるように構成したので、液溜めの中の被測定液
に電極構造を投入するだけで、手間がかからず、迅速に
腐食速度を測定できる効果がある。
【0081】この発明によれば、被測定液をその内部に
流入可能とする開口を有し、少なくとも試料極、照合極
および対極の周囲を囲むように設けられた保護部材を備
えている腐食速度測定用電極構造を、液溜めの中の被測
定液に浸漬して腐食速度を測定するように構成したの
で、液溜めの中の被測定液に電極構造を投入するだけ
で、手間がかからず、迅速に腐食速度を測定できる効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による腐食速度測定方
法を実現する腐食速度測定装置の取付け状態を示す説明
図である。
【図2】この発明の実施の形態1による腐食速度測定用
電極構造を示す断面図である。
【図3】この発明の実施の形態1による腐食速度測定用
電極構造を示す断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1による腐食速度測定用
電極構造と電気回路の接続構成を示すブロック図であ
る。
【図5】この発明の実施の形態1による腐食速度測定装
置の電極部の試料極と照合極と対極とにおける電気的等
価回路図である。
【図6】この発明の実施の形態1による腐食速度測定装
置の電極部の試料極と照合極と第4極と対極とにおける
電気的等価回路図である。
【図7】この発明の実施の形態1による補正回路を備え
た腐食速度測定装置の構成を示すブロック図である。
【図8】従来の3電極式の腐食速度測定装置を示す概念
構成図である。
【図9】従来の交流定電流法の実施により得られる回路
各部の電圧と電流とを示す波形図である。
【図10】従来の交流定電圧法の実施により得られる回
路各部の電圧と電流とを示す波形図である。
【図11】従来の導電率計を示す回路図である。
【符号の説明】
21 腐食速度測定装置 25 溶液 27 試料極 28 照合極 29 対極 30 第4極 31 保護筒(保護部材) 41,42 電圧測定器(分圧値測定回路) 43 比率設定器(比率設定回路) 44 減算器(減算回路) 45 割算器(除算回路) 47 交流定電流回路(電圧印加回路) 52 補正回路 E1,E2,E3 腐食電位 RW1,RW2 溶液抵抗 r1,r2,r3 分極抵抗
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−297116(JP,A) 特開 平9−297118(JP,A) 特開 平8−21815(JP,A) 特開 平1−167650(JP,A) 特開 平7−209237(JP,A) 特開 平8−5598(JP,A) 特開 平7−318529(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/26 351 G01N 27/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定液の腐食速度を測定するために、
    少なくとも試料極、照合極および対極を備えた腐食速度
    測定用電極構造において、被測定液をその内部に流入可
    能とする開口を有し、少なくとも上記試料極、照合極お
    よび対極の周囲を囲むように設けられた保護部材を備え
    ていることを特徴とする腐食速度測定用電極構造。
  2. 【請求項2】 被測定液をその内部に流入可能とする開
    口を有し、少なくとも試料極、照合極および対極の周囲
    を囲むように設けられた保護部材を備えている腐食速度
    測定用電極構造を、液溜めの中の被測定液に浸漬して腐
    食速度を測定することを特徴とする腐食速度測定方法。
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