JP3298085B2 - 超音波探傷方法及び装置 - Google Patents

超音波探傷方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波探傷方法及び装
置に係り、特に、鋼板をはじめとする圧延金属板の内部
の非金属介在物などのきずの検出に用いるのに好適な、
一度に一定幅の線状の領域の探傷が可能な超音波探傷方
法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】材料内部のきずの検出には、超音波探傷
法を用いることが最も適している。これは、材料内部に
超音波を伝播させ、きずによる超音波伝播の乱れを検出
するものであるが、この方法を応用したものとして、ス
ポットフォーカス型超音波センサから、音響レンズによ
って2次元的に集束させた超音波ビームを鋼板内部に入
射させ、きずによる底面反射波の弱まりを検出して、き
ずを検出する方法がある(入谷等、材料とプロセス、V
ol.2.No.5(1989)(1452頁参照)。
【0003】圧延金属板の中の介在物などのきずは、直
径50μm 以上のものからプレス成形あるいは絞り加工
などにおいて割れの原因になると言われており、非常に
微細なきずを検出することが要求される。このため、前
記の方法では、超音波ビームを集束させ、細径化するこ
とにより、小さなきずの検出能力を高めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、超音波
ビームを細径化すると、1つの超音波センサによって検
査可能な面積が低下し、圧延金属板全体を探傷しようと
すると、膨大な数のセンサが必要となる。
【0005】例えば、鋼板の搬送ライン上で、前記の方
法によって全面探傷を行うとする。この場合、鋼板の幅
方向に全体をカバーできる数の超音波センサを並べ、鋼
板を走行させることにより、鋼板の連続的な全面探傷を
行うことは可能であるが、鋼板の幅を例えば1000m
m、1つのセンサによって検査可能な幅を1mmとする
と、1000個もの超音波センサが必要となり、装置の
コストは膨大なものとなってしまう。
【0006】本発明は、前記従来の問題点を解消するべ
く成されたもので、一度に一定幅の線状の領域の探傷が
可能であり、従って、被検査板の中の微細なきずを、被
検査板の全面に亘り、少ないセンサ数で高い検出能力に
より探傷することが可能な超音波探傷方法及び装置を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、水浸法による
超音波探傷に際して、超音波送信子から、一方向に集束
した帯状の超音波ビームを被検査板に向けて送信し、該
被検査板に入射した超音波によって生起されたきずから
の反射波を、一方向に集束した受波ビームを形成して受
信する1次元アレー型超音波センサによって受信する水
浸法による超音波探傷方法において、被検査板に入射し
た超音波が屈折角30〜60°の横波となるように、送
信ビームの入射角を設定し、且つ、屈折角30〜60°
の横波を受信可能に、前記1次元アレー型超音波センサ
と被検査板との角度を設定することにより、前記課題を
達成したものである。
【0008】
【0009】又、超音波探傷装置において、被検査板に
入射した超音波が、屈折角30〜60°の横波となるよ
うに、被検査板に所定の入射角で、一方向に集束した帯
状の超音波ビームを送信するラインフォーカス型超音波
センサと、被検査板に入射した超音波によって生起され
たきずからの反射波を、一方向に集束した受波ビームを
形成して受信可能な、短冊型の超音波振動子を前記帯状
超音波ビームの幅方向に並べてなる1次元アレー型超音
波センサと、該1次元アレー型超音波センサを構成する
各超音波振動子の出力毎に、所定の振幅以上の反射波が
存在するか否かを検出するコンパレータ群とを備え、
度に一定幅の線状の領域の探傷を可能とすることによ
り、前記課題を解決したものである。
【0010】
【作用】図1乃至図3に、本発明の基本構成を示す。
【0011】図1において、超音波送信子22は、例え
ばラインフォーカス型超音波センサと称されるものを用
いることができ、圧延金属板などの被検査板10に、所
定の入射角θi で、帯状の超音波ビーム24を送信す
る。
【0012】超音波ビーム24は、被検査板10に入射
すると、図2に示す如く、スネルの法則に従って屈折し
て横波26となり、所定の屈折角の方向に伝播する。こ
のとき、伝播路程にきず28があれば、これで反射し、
反射波30が、例えばN個の超音波振動子を1次元に並
べて構成される1次元アレー型超音波センサ40に受信
される。
【0013】この1次元アレー型超音波センサ40は、
図3に詳細に示す如く、短冊型の超音波振動子421
42N が、帯状超音波ビームの幅方向(図1及び図3の
Y方向)に密接して並べて構成されている。各超音波振
動子の大きさは、例えばX方向(超音波伝播方向)で4
〜10mm、Y方向(帯状超音波ビーム幅方向)で0.4
〜1.0mmとされている。
【0014】前記超音波送信子22と1次元アレー型超
音波センサ40で、1つの超音波センサ20が構成され
ており、これらは、被検査板10と共に、超音波伝播媒
質、例えば水の中に浸漬されている。
【0015】図2は、本発明の構成を、X方向に平行な
断面で示したものであり、この断面内においてのみ、超
音波ビーム24が集束されている。
【0016】前記1次元アレー型超音波センサ40によ
り受信された超音波は、各超音波振動子毎に設けられて
いる受信増幅素子501 〜50N で増幅された後、コン
パレータ521 〜52N によって、所定の振幅以上の反
射波が存在するか否かが検出される。
【0017】本発明は、以上のように構成したので、一
度に一定幅の線状の領域の探傷が可能であり、オンライ
ン全面探傷を行う際に、設置が必要な超音波センサの数
を大幅に減ずることができる。又、受信増幅素子群、コ
ンパレータ群は、超音波振動子の数だけ必要であるが、
超音波送信子と受信子が分離しているため、通常の超音
波探傷で実施されている1つの超音波センサで超音波の
送受信を兼用する方式で必要な、増幅回路に加わる超音
波振動励振用の高電圧パルスから、該増幅回路を防護す
るための保護回路は不要であり、通信に用いられる安価
な増幅素子をそのまま用いることができ、又回路構成も
簡単であるため、コンパレータも含めて集積化可能であ
り、コストを低く抑えることができる。
【0018】又、送受信する超音波ビーム24は、1つ
の方向でのみ集束を行っているため、従来技術で述べ
た、2次元的に集束を行い、縦波による垂直探傷を行う
スポットフォーカス型超音波センサを用いる方式に比べ
て、空間的な分解能が低下して、疵検出能力が低下する
ことが懸念されるが、被検査板10に入射した超音波を
横波26とすることにより、超音波の波長を約1/2と
して分解能を向上させたこと、受信用の超音波振動子を
細分して、きずの大きさと超音波振動子サイズとの比を
大きくして感度を向上させたことなどによって、従来法
よりも更にきずの検出能力を向上することができる。
【0019】
【実施例】以下図面を参照して、本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0020】図4は、薄鋼板12の介在物の検出に適用
した本発明の実施例の構成を示す、一部斜視図を含むブ
ロック線図である。
【0021】図4において、ラインフォーカス型超音波
センサ58と1次元アレー型超音波センサ40は、薄鋼
板12の片側の面に、薄鋼板12と所定の角度を保って
設置されている。図示は省略するが、この検出は、薄鋼
板12、ラインフォーカス型超音波センサ58、1次元
アレー型超音波センサ40を全て水浸して行われる。
【0022】前記ラインフォーカス型超音波センサ58
と、1次元アレー型超音波センサ40からなる超音波セ
ンサ20は、図示は省略するが、全面連続探傷のため、
1つの超音波センサ20で検査可能な線状領域の長さか
ら計算される必要数、幅方向に隙間なく並べて配置す
る。
【0023】電気パルス送信器60には、クロック回路
が内蔵されており、一定の時間間隔をおいて、この電気
パルス送信器60から電気パルスが送信され、ラインフ
ォーカス型超音波センサ58に内蔵された超音波振動子
に印加されて、帯状の超音波ビーム24が送信される。
【0024】送信された超音波は、水中を伝播して薄鋼
板12の表面に達すると、屈折の法則に従い屈折して、
薄鋼板12の内部に横波26(図2参照)が伝播する。
横波26は、その伝播路程中にきず28が存在すると、
これにより反射される。
【0025】反射波30は、薄鋼板12の表面に向か
い、屈折の法則に従い屈折して水中を伝播し、1次元ア
レー型超音波センサ40に受信される。この超音波が、
1次元アレー型超音波センサ40のどの超音波振動子に
受信されるかは、きず28の薄鋼板12の幅方向の位置
に対応する。
【0026】受信された反射波30は、受信増幅素子5
1 〜50N にて増幅され、コンパレータ521 〜52
N に送られる。コンパレータ521 〜52N は、所定レ
ベル以上の反射波が検出されると、電気パルスを出力
し、これがきずの検出信号62 1 〜62N となる。
【0027】例えば、この装置の場合、ラインフォーカ
ス型超音波センサ22から送信される帯状超音波ビーム
24の幅を50mm、1次元アレー型超音波センサ40の
素子数、幅をそれぞれ50素子、1mmとしたところ、1
つの超音波センサ20で50mmの長さの線状領域の探傷
が可能となり、薄鋼板12の幅が約1000mmである場
合、僅か20個の超音波センサ20で薄鋼板12の全面
連続探傷が可能となった。
【0028】このとき、検出された非金属介在物を含む
一部分を薄鋼板から切り出し、Cスキャン超音波探傷装
置と称される切板サンプルの綿密な探傷装置を用いて検
出した結果を図5に示す。長さ50μm の微少なきず
が、本発明の装置によって検出することができたことが
分かる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
一度に一定幅の線状の領域の探傷が可能となり、圧延金
属板などの被検査板の中の微細な介在物等のきずを、被
検査板の全面に亘り、少ない超音波センサ数で検出能高
く検出できるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の基本的な構成を示す、一部斜視図を含
むブロック線図
【図2】同じく断面図
【図3】本発明で用いられる1次元アレー型超音波セン
サの構成を示す平面図
【図4】本発明の実施例装置の構成を示す、一部斜視図
を含むブロック線図
【図5】本発明の装置を用いた薄鋼板のオンライン探傷
において検出された非金属介在物を、Cスキャン超音波
探傷装置で精密評価した結果を示す線図
【符号の説明】
10…被検査板 20…超音波センサ 22…超音波送信子 24…帯状超音波ビーム θi …入射角 26…横波 28…きず 30…反射波 40…1次元アレー型超音波センサ 421 〜42N …短冊型超音波振動子 501 〜50N …受信増幅素子 521 〜52N …コンパレータ 58…ラインフォーカス型超音波センサ 621 〜62N …きず検出信号
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 29/00 - 29/28

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超音波送信子から、一方向に集束した帯状
    の超音波ビームを被検査板に向けて送信し、 該被検査板に入射した超音波によって生起されたきずか
    らの反射波を、一方向に集束した受波ビームを形成して
    受信する1次元アレー型超音波センサによって受信する
    水浸法による超音波探傷方法において、 被検査板に入射した超音波が屈折角30〜60°の横波
    となるように、送信ビームの入射角を設定し、 且つ、屈折角30〜60°の横波を受信可能に、前記1
    次元アレー型超音波センサと被検査板との角度を設定す
    ことを特徴とする水浸法による超音波探傷方法。
  2. 【請求項2】被検査板に入射した超音波が、屈折角30
    〜60°の横波となるように、被検査板に所定の入射角
    で、一方向に集束した帯状の超音波ビームを送信するラ
    インフォーカス型超音波センサと、 被検査板に入射した超音波によって生起されたきずから
    の反射波を、一方向に集束した受波ビームを形成して受
    信可能な、短冊型の超音波振動子を前記帯状超音波ビー
    ムの幅方向に並べてなる1次元アレー型超音波センサ
    と、 該1次元アレー型超音波センサを構成する各超音波振動
    子の出力毎に、所定の振幅以上の反射波が存在するか否
    かを検出するコンパレータ群とを備え、 一度に一定幅の線状の領域の探傷を可能としたことを特
    徴とする超音波探傷装置。
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