JP3294387B2 - 超音波強度分布測定方法 - Google Patents

超音波強度分布測定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波診断装置や超音
波治療装置において使用される超音波の超音波の強度分
布を測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、超音波診断装置から放射され
る超音波の音場分布や強さを知ることは、超音波の生体
作用の研究や超音波診断装置の性能の評価のために重要
である。
【0003】また、超音波治療装置においては、患部方
向に超音波を集中して照射する必要があるため、治療用
の超音波振動素子がどのような照射特性を有しているの
か確認する必要がある。また、特定の周波数では所望の
特性が得られても、他の周波数では特性が変化してしま
うおそれがあるため、種々の周波数における特性を把握
しておく必要がある。
【0004】超音波の強さ及びその分布の測定方法とし
ては、従来から種々の方法が知られている。
【0005】たとえば、超音波が照射されている液体中
に超音波マイクロホンを配置することにより、超音波マ
イクロホンが配置されている位置における超音波の強さ
を測定することが行われている。また、超音波マイクロ
ホンの配置位置を変えることにより強度分布を測定する
ことができる。
【0006】しかしながら、この超音波マイクロホンに
よる測定方法には、以下のような欠点がある。(1)液
体中に一定体積を有する超音波マイクロホンが配置され
ることになるので、超音波マイクロホン自体の存在によ
り超音波の分布が乱されて正確な強度分布が測定できな
い。(2)一般に超音波マイクロホンの周波数帯域は狭
いので、広い周波数帯域にわたった超音波の強度分布を
測定することができない。(3)一般に超音波マイクロ
ホンは特定の指向特性を持っているため、超音波マイク
ロホンの配置姿勢によって測定結果が異なってくる。
(4)測定した数値データから直観的に超音波振動素子
の特性を把握することができず、グラフ化等の処理が必
要となる。(5)またグラフ化したとしても超音波の強
さ分布を3次元的に表現することが困難である。(6)
超音波の強さ分布の3次元な変化をリアルタイムで観測
することができない。
【0007】上記超音波マイクロホンによる測定方法と
は別に、超音波の照射に起因する屈折率の変動を光学的
に検出するシューリーレン法等の光学的方法も知られて
いる。この光学的方法によれば、測定装置自体が被測定
対象の状態を乱すことなく音場の分布を可視化して測定
することができる。しかしながら、この光学的方法にお
いては、特別な光源やレンズ等の結像光学系を必要と
し、測定装置が大掛かりになるという不都合があった。
【0008】また、特定の物質に超音波の照射するとそ
の物質が僅かに発光する音響ルミネセンス現象を利用し
て、長時間露光の撮影により超音波の3次元的な分布を
測定する方法が知られている。しかしながら、この方法
は、直接目視することができず、一旦撮影して現像する
必要があるので、測定に時間がかかるという問題があっ
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、超音
波の3次元的な分布を簡便にしかもリアルタイムで測定
することができる測定方法を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記目的を達
成するため、微量の気体を極めて薄い被覆で覆った多数
の泡状体を液体中に分散させ、該液体中に超音波振動素
子を配置して該液体中に超音波を照射し、該超音波の照
射により前記泡状体を崩壊させ、前記泡状体の崩壊によ
る前記液体の光学的特性の変化を目視により測定するこ
とを特徴とする。
【0011】
【作用】透明な容器内に満たされた液体内に、蛋白質等
からなる極めて薄い膜で覆われた多数の泡状体を分散さ
せると、泡状体の表面における光学的反射のために、液
体は白濁して見える。この泡状体を含んだ液体に超音波
が照射されると、超音波エネルギにより泡状体でキャビ
テーションが発生し、泡状体が崩壊し、泡状体の内部の
気体は液体に溶け込む。このため泡状体の表面における
光の反射がなくなり、泡状体が崩壊した部分の液体が透
明となる。したがって、液体が透明となった部分が超音
波の照射パターンを示していることになる。また透明度
が超音波の強度を示している。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照しながら実施例に基づいて
本発明の特徴を具体的に説明する。
【0013】図1は、本発明を実施例するための超音波
強度分布測定装置の概略図である。同図(a)は正面
図、同図(b)は断面図を示す。
【0014】ガラス,合成樹脂等からなる一対の透明板
1a,1bが互いに平行に対向配置されており、両透明
板1a,1b間には、両透明板1a,1bの間の距離を
規制すると共に、3辺を液密とするためのスペーサ1
c,1d,1eが接着剤等で取り付けられて、透明容器
1が構成されている。たとえば、両透明板1a,1b間
の間隔は7〜15mm程度とされる。なお、この透明容
器1は、ガラス,合成樹脂等で一体に形成することもで
きる。
【0015】この透明容器1内には生理食塩水等の液体
2が満たされており、微量の気体が蛋白質等からなる極
めて薄い膜で覆われた多数の泡状体3が略均一に分散さ
れている。この泡状体3としては、米国MBI社製のア
ルブネックス(商品名)を使用することができる。この
泡状体3は、たとえば、1cc中に0.5〜4億個が存
在する程度の濃度で液体2中に拡散される。透明容器1
の両透明板1a,1b間の間隔と泡状体の濃度は、後述
するように超音波が照射されて泡状体3が崩壊したとき
に、液体が透明になる状態が明確に目視できる様な値に
設定される。なお、図1においては、説明の都合上、泡
状体3をそれぞれ分離した多数の点として図示している
が、泡状体3の径は非常に小さく、また、その数が極め
て多数であるので、実際に目視した場合には、後述する
ように、全体が白濁した液体として見える。
【0016】透明容器1の一方の透明板1bの外側の面
に沿って、比較的明度の低い色、たとえば、濃紺、黒等
に均一の濃度で着色された背景板4が配置されている。
また、必要に応じて、透明容器1の他方の透明板1a側
の正面には白熱ランプ或いは蛍光ランプ等の通常の照明
器具 (図示せず) を配置してもよい。
【0017】透明容器1内の液体2中には、照射特性を
測定すべき被測定部材5が配置される。この被測定部材
5は、超音波振動素子6と、この超音波振動素子6を支
持する棒状の支持体7から構成されている。
【0018】図2は、被測定部材5における支持体7に
対する超音波振動素子6の取り付け状態を示している。
超音波振動素子6は、セラミック,高分子フィルム等か
らなる平板状の圧電部材6aと、この圧電部材6aの両
面に設けられた電極6b,6cとから構成されており、
各電極6b,6cからはリード線8a,8bが導出され
ている。そして、外部に設けられた超音波信号発生装置
(図示せず) からの超音波信号が、リード線8a,8b
を介して電極6b,6cに供給されることにより圧電部
材6aが超音波周波数で振動し、超音波振動素子6から
超音波が照射される。超音波振動素子6における振動方
向は、一般に圧電部材6aの厚み方向、すなわち、圧電
部材6aの面とは直交する方向である。図2(a)は、
圧電部材6aの振動面が水平となるように超音波振動素
子6を支持体7に取りつけた例を示し、図2(b)は、
圧電部材6aの振動面が垂直となるように超音波振動素
子6を支持体7に取りつけた例を示している。なお、図
2においては、図示を容易にするため超音波振動素子6
の各部の寸法は誇張してあり、正確な縮尺を表していな
い。
【0019】超音波振動素子6に超音波信号が供給され
ていない状態では、図1の矢印A方向から透明容器1内
の液体2を目視した場合、液体2は一様に白濁してい
る。これは、液体2中に含まれている多数の泡状体3の
表面で外光が反射して観測者の目に入射するためであ
る。透明容器1の裏側には、暗色の背景板4が配置され
ているが、観測者の目と背景板4との間の光路は、多数
の泡状体3で遮られているので、背景板4が直接見える
ことはなく、またもし見えたとしても、非常に薄い色と
してしか知覚されない。
【0020】超音波振動素子6に超音波信号が供給され
ると、超音波振動素子6から液体2中に超音波が照射さ
れ、超音波エネルギにより液体2中の泡状体3でキャビ
テーションが発生し、泡状体3が崩壊し、泡状体3の内
部の気体は液体に溶け込む。このため泡状体3の表面に
おける光の反射がなくなり、泡状体3が崩壊した部分の
液体が透明となる。したがって、液体2が透明となった
部分が超音波の放射パターンを示していることになる。
また、超音波が強く照射された場所程透明度が高くな
る。なお、崩壊後の泡状体3の殻の部分は非常に小さい
ので、光の反射にはそれほど影響を与えない。
【0021】ここで、透明容器1の裏側には、暗色の背
景板4が配置されているので、透明容器1を矢印Aの方
向から目視した場合、液体2が透明となった部分では背
景板4の色、たとえば、濃紺が見えるようになる。すな
わち、透明パターンを濃紺パターンに変換して見ること
ができるので、非常に見易くなる。
【0022】このように、本実施例によれば、特別な装
置を使用することなく、超音波の照射パターンを肉眼で
直接目視できるので、超音波の強弱を視覚的に容易に確
認できる。
【0023】図3は、、図2(a)に示すような、振動
面が水平方向に配置されその上面が支持体7に固定され
た超音波振動素子6を使用し、超音波信号の周波数が8
00kHz、電圧が20Vの場合の透明パターンを示し
ている。この場合には、照射パターンは真下に広がって
いる。
【0024】図4は図2(b)に示すような、振動面が
垂直方向に配置され、その両面が自由振動面とされ、側
端が支持体7に固定された超音波振動素子6を使用し、
超音波信号の周波数が800kHz、電圧が20Vの場
合の照射パターンを示している。この場合には、照射パ
ターンは水平方向に広がっている。
【0025】また、図5は、図2(b)に示す超音波振
動素子と同じ超音波振動素子を使用し、周波数を130
0kHzに変えた場合の照射パターンを示している。こ
の場合には、照射パターンは真下と水平方向の双方に広
がっている。
【0026】上図から判るように、この透明パターン
は、超音波の周波数、強度等で大幅に変化する。
【0027】本実施例によれば、超音波の3次元的な発
生状態を極めて容易にリアルタイムで視覚的に確認でき
るので、超音波治療或いは超音波診断に使用する超音波
振動素子の特性を短時間で把握することができ、所望の
特性を有する超音波振動素子を容易に設計できるように
なる。
【0028】なお、上述の実施例においては、透明パタ
ーンを肉眼で直接目視するようにしたが、光不透過性液
中では、超音波診断装置を使用して間接的に測定するこ
ともできる。
【0029】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明において
は、超音波により泡状体を崩壊させて超音波の強度を液
体の透明度として目視で測定しているので、超音波振動
素子の特性を大掛かりな装置を使用することなく、極め
て簡便にリアルタイムで3次元的に測定することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を実施例するための超音波強度分布測
定装置の概略図である。
【図2】 被測定部品における支持体に対する超音波振
動素子の取り付け状態を示す模式図である。
【図3】 水平な振動面を有する超音波振動素子を使用
した場合の照射パターンの一例を示す説明図である。
【図4】 垂直な振動面を有する超音波振動素子を使用
した場合の照射パターンの一例を示す説明図である。
【図5】 垂直な振動面を有する超音波振動素子を使用
した場合の照射パターンの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…透明容器、1a,1b…透明板、1c,1d,1e
…スペーサ、2…液体、3…泡状体、4…背景板、5…
被測定部材、6…超音波振動素子、6a…圧電部材、6
b,6c…電極、7…支持体、8a,8b…リード線、
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−13452(JP,A) 特開 平1−134216(JP,A) 特開 平3−130625(JP,A) 特開 平6−300725(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01H 9/00 G01H 3/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微量の気体を極めて薄い被覆で覆った多
    数の泡状体を液体中に分散させ、該液体中に超音波振動
    素子を配置して該液体中に超音波を照射し、該超音波の
    照射により前記泡状体を崩壊させ、前記泡状体の崩壊に
    よる前記液体の光学的特性の変化を目視により測定する
    ことを特徴とする超音波強度分布測定方法。
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