JP3292228B2 - 信号符号化装置及び信号復号化装置 - Google Patents

信号符号化装置及び信号復号化装置

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JP3292228B2
JP3292228B2 JP17685495A JP17685495A JP3292228B2 JP 3292228 B2 JP3292228 B2 JP 3292228B2 JP 17685495 A JP17685495 A JP 17685495A JP 17685495 A JP17685495 A JP 17685495A JP 3292228 B2 JP3292228 B2 JP 3292228B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、信号符号化装置及び信
号復号化装置に係り、特にデジタル(PCM:pulse co
de modulation )音響信号の情報量圧縮・伸長処理を行
う信号処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、アナログの音響信号をデジタ
ル音響信号に変換する方法として、アナログ信号の振幅
を一定の単位で区別し(量子化)、一定の時間間隔で抽
出(標本化)し、時間領域で表現する方法が取られてい
る。
【0003】しかしながら、この方法だけでは、情報量
が多くなり、伝送時の帯域や蓄積メディアの蓄積量を小
さくすることができないので、これを圧縮する方法がい
くつか考えられている。そして、オーディオ信号の符号
化に際して主として用いられている帯域分割符号化(S
BC:サブ・バンド・コーディング)や適応変換符号化
(ATC)は、時系列(時間領域)で入力されるオーデ
ィオ信号を周波数領域に変換し、この周波数領域で広い
帯域内に存在するエネルギーの偏在を利用して符号化を
行っている。
【0004】また、MPEGオーディオ方式では、32
バンドに分けられた各バンド毎にマスキング(心理聴覚
モデル)演算を行っている。この場合、各演算は、単に
量子化器入力レベルに対して量子化サイズを決定してい
るだけなので、残差信号を使用するという発想はない。
【0005】一方、従来のフーリエ変換(FFT)予測
符号化を用いた信号符号化装置では、FFTによる予測
が振幅項と位相項に対して行われ、予測し得なかった残
差信号、すなわち真の値から予測値を差し引いた残差値
だけが伝送されているが、この場合、マスキングの概念
は含まれていない。
【0006】そこで、本発明者は、特願平7−6186
9号(平成7年2月23日出願)において、残差信号に
マスキングカーブを適用すると同時に、局部復号手段を
組み合わせることにより、良好な音質のもとに、有効に
伝送量を減ずることができ、同時に、受信不能に陥るこ
とのない信号符号化装置及び信号復号化装置を提案し
た。
【0007】この信号符号化装置を図4に示し、信号復
号化装置を図5に示して、以下簡単に説明する。図4に
おいて、入力端子41に入力される時間領域で表現され
たデジタル音響信号Si(t)は、オーバーラップ回路42
に供給されて予め定められたフレーム長単位とオーバー
ラップ量により切り出され、窓関数掛け器43によって
所定の窓関数が乗算される。この窓関数掛け器43の出
力は、後述するビット割り当て算出部46に供給される
と共に、FFT回路44に供給されてフーリエ変換さ
れ、このフーリエ変換された変換結果をフレームごとに
極座標変換器45に供給して、極座標変換されて、振幅
成分Ai(t)と位相成分Pi(t)とに分離出力される。
【0008】また、窓関数掛け器43からビット割り当
て算出部46に供給される信号によって、マスキングカ
ーブMask(t) が求められ、振幅成分の量子化に用いる振
幅成分ビット割り当て情報AMap(t) と位相成分の量子化
に用いる位相成分ビット割り当て情報PMap(t) とを算出
して、それぞれ量子化器48,50に出力する。
【0009】次に、振幅成分Ai(t)の量子化について説
明する。なお、差分器49、量子化器50、振幅局部復
号器52及び逆量子化器54は、図中、1つずつしか記
載していないが、実際には、FFT回路44で求めたス
ペクトルの本数分が用意されている。
【0010】極座標変換器45より供給される振幅成分
Ai(t)は、差分器49を介してラッチ回路51にて構成
される振幅局部復号器52に供給され、ラッチ回路51
にラッチされているデータを振幅局部復号器52の出力
ALDout(t)として、加算器53に出力する。さらに、振
幅局部復号器52の出力ALDout(t)を差分器49に出力
して、振幅成分Ai(t)から減算し、振幅残差成分△Ai
(t)を量子化器50に出力する。
【0011】量子化器50では、振幅残差成分△Ai(t)
をビット割り当て算出部46から供給される振幅成分ビ
ット割り当て情報AMap(t) に基づいて二次量子化を行い
量子化振幅残差成分ΔAi'(t) を求め、マルチプレクサ
62に供給すると共に、逆量子化器54に供給して逆量
子化し、逆量子化振幅残差成分ΔAi"(t) 得る。そし
て、この逆量子化振幅残差成分ΔAi"(t) と振幅局部復
号器52の出力ALDout(t)とを加算器53にて加算し
て、ラッチ回路51にラッチすると共に差分器49に出
力している。
【0012】また、位相成分Pi(t)の量子化は、次のよ
うになる。この場合も、差分器47、量子化器48、逆
量子化器55及び位相局部復号器61は、図中、1つづ
つしか記載していないが、実際には、FFT回路44で
求めたスペクトルの本数分が用意されている。
【0013】極座標変換器45より供給される位相成分
Pi(t)は、差分器47を介して、ラッチ回路56,5
8、2倍の乗算器57及び差分器59とからなる位相局
部復号器61に供給される。この位相局部復号器61に
おいて、初段のラッチ回路56にラッチされているデー
タは2倍の乗算器57及び2段目のラッチ回路58に供
給され、乗算器57の出力から2段目のラッチ回路58
の出力を減算した出力を位相局部復号器61の出力PLD
out(t)として、加算器60に出力する。さらに、位相局
部復号器61の出力PLDout(t)を差分器47出力して、
位相成分Pi(t)から減算し、位相残差成分ΔPi(t)を量
子化器48に出力する。
【0014】量子化器48では、位相残差成分ΔPi(t)
をビット割り当て算出部46から供給される位相成分ビ
ット割り当て情報PMap(t) に基づいて二次量子化を行い
量子化位相残差成分ΔPi'(t) を求め、マルチプレクサ
62に供給すると共に、逆量子化器55に供給して逆量
子化し、逆量子化位相残差成分ΔPi"(t) を得る。そし
て、この逆量子化位相残差成分ΔPi"(t) と位相局部復
号器61の出力PLDout(t)とを加算器60にて加算し
て、初段のラッチ回路56にラッチすると共に差分器4
7に出力している。このとき、直前まで初段のラッチ回
路56にラッチされていたデータを2段目のラッチ回路
58にラッチしている。
【0015】また、マルチプレクサ62では、量子化振
幅残差成分ΔAi'(t) と量子化位相残差成分ΔPi'(t)
とをフレーム長単位にビットストリーム化し、エンコー
ダ出力ENCout(t) として出力している。
【0016】次に、信号復号化装置を図5に示して説明
する。信号符号化装置から伝送されたビットストリーム
ENCout(t) は、デマルチプレクサ71に供給されて、量
子化振幅残差成分ΔAi'(t) と量子化位相残差成分ΔP
i'(t) とに分離される。そして、量子化振幅残差成分Δ
Ai'(t) は、逆量子化器72に供給されて逆量子化さ
れ、逆量子化振幅残差成分ΔAi"(t) を加算器73に出
力する。
【0017】1フレーム期間のラッチ回路74(振幅復
号器75)にて出力ADout(t) が算出され、この出力A
Dout(t) に加算器73に供給される逆量子化振幅残差成
分ΔAi"(t) が加算され、直交座標変換手段83の振幅
成分入力に入力されると同時にラッチ回路74にラッチ
される。同様に、量子化位相残差成分ΔPi'(t) は、逆
量子化器76に供給されて逆量子化され、逆量子化位相
残差成分ΔPi"(t) を加算器77に出力する。
【0018】そして、2段直列に接続された1フレーム
期間のラッチ回路78,79、2倍の乗算器80、差分
器81から構成される位相復号器82の出力PDout(t)
(初段のラッチ回路78を2倍したものから二段目のラ
ッチ回路79の出力を減算したもの)が算出され、この
出力PDout(t) に加算器77に供給される逆量子化位相
残差成分ΔPi"(t) が加算され、直交座標変換手段83
の位相成分入力に入力される。同時に、位相復号器82
では、初段のラッチ回路78の内容が二段目のラッチ7
9にラッチされ、初段のラッチ回路78には逆量子化位
相残差成分ΔPi"(t) と位相復号器82の出力PDout
(t) とを加算したものがラッチされる。
【0019】そして、直交座標変換手段83では、入力
された振幅入力(ADout(t)+ΔAi"(t))と位相入力(P
Dout(t)+ΔPi"(t))とを直交座標変換し、逆FFT回路
84にて逆FFT演算を行い、窓関数掛け器85にて所
定の窓関数を掛け、オーバーラップ回路86にてオーバ
ーラップ処理を行ってデコーダ出力Si'(t) を得るもの
である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上記した特願平7−6
1869号の信号符号化装置及び信号復号化装置は、単
一の信号を伝送することを前提に構成されているため、
ステレオ音響信号のような2チャンネルの信号を伝送し
ようとした場合、図6の信号符号化装置及び図7の信号
復号化装置に示すように、全く同一の構成の符号化装置
と復号装置を2つずつ用意して並列に運用しなければな
らなかった。
【0021】また、図4の信号符号化装置及び図5の信
号復号化装置の構成のまま、2つの信号を時間分割で交
互に転送する方法も考えられるが、信号符号化装置で
は、局部復号器内のラッチに前の信号を保存しているの
で、異なる信号を時間分割してこの信号符号化装置で符
号化する場合には、ラッチの内容を各信号ごとに保存、
更新しなければならず、その切り替えやタイミングの管
理などで、かえってシステムが複雑化してしまうという
課題があった。そこで本発明は、簡単な構成で2チャン
ネルの信号の符号化・復号化を行うことのできる信号符
号化装置及び信号復号化装置を提供することを目的とす
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の手段として、入力される2つの異なるデジタル信号を
予め定められたフレーム長単位とオーバーラップ量とに
よりそれぞれ個別に切り出す第1及び第2のオーバーラ
ップ回路と、この第1及び第2のオーバーラップ回路よ
りそれぞれ供給される信号に所定の窓関数を掛ける第1
及び第2の窓関数掛け器と、この第1の窓関数掛け器よ
り供給される信号を実数部とし、前記第2の窓関数掛け
器より供給される信号を虚数部としてフーリエ変換を行
うフーリエ変換回路と、このフーリエ変換回路より供給
される信号を極座標に変換する極座標変換器と、1フレ
ーム期間の信号をラッチするラッチ回路で構成された振
幅局部復号手段と、各周波数帯域毎に、振幅データから
前記振幅局部復号手段からの出力を差し引いて振幅残差
信号を出力する振幅残差算出手段と、ほぼ全周波数帯域
の振幅値から振幅マスキングカーブと位相マスキングカ
ーブとを得るマスキングカーブ算出手段と、前記振幅マ
スキングカーブに従って前記振幅残差信号のビット割り
当てを算出した後で二次量子化を行う振幅量子化手段
と、この振幅量子化手段より供給される値を逆量子化し
て前記振幅局部復号手段に出力する第1の振幅逆量子化
手段と、2段直列に接続された1フレーム期間の信号を
ラッチするラッチ回路と信号を2倍にする乗算器と差分
器とで構成された位相局部復号手段と、フーリエ変換結
果の各周波数帯域毎に、位相データから前記位相局部復
号手段からの出力を差し引いて位相残差信号を出力する
位相残差算出手段と、前記位相マスキングカーブに従っ
て前記位相残差信号のビット割り当てを算出した後で二
次量子化を行う位相量子化手段と、この位相量子化手段
より供給される値を逆量子化して前記位相局部復号手段
に出力する第1の位相逆量子化手段と、前記振幅量子化
手段及び位相量子化手段より供給される二次量子化され
た振幅残差信号と位相残差信号とからビットストリーム
データを生成するマルチプレクサとを有することを特徴
とする信号符号化装置、及び、入力されるビットストリ
ームデータから二次量子化された振幅残差信号と位相残
差信号とに復元するデマルチプレクサと、このデマルチ
プレクサから供給される二次量子化された振幅残差信号
を逆量子化する第2の振幅逆量子化手段と、前記デマル
チプレクサから供給される二次量子化された位相残差信
号を逆量子化する第2の位相逆量子化手段と、1フレー
ム期間の信号をラッチするラッチ回路で構成された振幅
復号手段と、各周波数帯域毎に逆量子化した振幅残差信
号と前記振幅復号手段からの出力信号とを加算して出力
する振幅加算手段と、2段直列に接続された1フレーム
期間の信号をラッチするラッチ回路と2倍の乗算器と差
分器とで構成された位相復号手段と、各周波数帯域毎に
逆量子化した位相残差信号と前記位相復号手段からの出
力信号とを加算して出力する位相加算手段と、前記振幅
加算手段及び前記位相加算手段から供給される振幅入力
と位相入力とを直交座標変換する直交座標変換手段と、
この直交座標変換手段より供給される信号を逆フーリエ
変換し、実数部と虚数部とを別々に出力する逆フーリエ
変換回路と、この逆フーリエ変換回路より供給される実
数部の信号に所定の窓関数を掛ける第3の窓関数掛け器
と、前記逆フーリエ変換回路より供給される虚数部の信
号に所定の窓関数を掛ける第4の窓関数掛け器と、前記
第3の窓関数掛け器より供給される信号のオーバーラッ
プ処理を行って、再生信号を出力する第3のオーバーラ
ップ回路と、前記第4の窓関数掛け器より供給される信
号のオーバーラップ処理を行って、再生信号を出力する
第4のオーバーラップ回路とを有することを特徴とする
信号復号化装置を提供しようとするものである。
【0023】
【作用】従来の信号符号化装置における通常のFFT演
算では、虚数部を全て0に設定して演算しているが、本
発明では、第2の信号の実数部分を虚数部に入力して、
第1の信号と共にFFT演算以降の処理を行っている。
即ち、本発明の信号符号化装置は、フーリエ変換を行う
際に、演算に用いる実数部には第1の信号の実数部、虚
数部には第2の信号の実数部をセットしてフーリエ変換
をを行い、フーリエ変換以後は単一信号として高能率符
号化を行って、差分成分を伝送する構成となっている。
そして、本発明の信号復号化装置は、供給される信号を
逆フーリエ変換し、逆フーリエ変換された実数部を第1
の信号の実数部とし、逆変換された虚数部を第2の信号
の実数部として復号化している。
【0024】
【実施例】本発明の信号符号化装置及び信号復号化装置
の一実施例を図面と共に以下に説明する。図1は、本発
明の信号符号化装置の一実施例を示すブロック図であ
る。
【0025】図1において、時間領域で表現された2つ
の異なるデジタル音響信号は、第1の信号Si1(t)、第2
の信号Si2(t)としてそれぞれ入力端子41a,41bに
入力され、それぞれオーバーラップ回路42a,42b
に供給されて予め定められたフレーム長単位とオーバー
ラップ量により切り出される。そして、窓関数掛け器4
3a,43bによって所定の窓関数が乗算され、FFT
回路44に供給される。また、窓関数掛け器43aの出
力は、後述するビット割当算出部46にも供給される。
【0026】FFT回路44では、窓関数掛け器43a
より供給される第1の信号Si1(t)を演算における実数部
へ入力し、窓関数掛け器43bより供給される第2の信
号Si2(t)を演算における虚数部へ入力してフーリエ変換
を行う。そして、このFFT回路44以降は、特願平7
−61869号と同様の処理を行う。以下、図8に示す
フローチャートも参照して説明する。即ち、このフーリ
エ変換された変換結果をフレームごとに極座標変換器4
5に供給して、極座標変換されて、振幅成分Ai(t)と位
相成分Pi(t)とに分離出力される(以上、オーバーラッ
プ回路42a,42b〜極座標変換器45を合わせて変
換手段とする),(ステップ101)。
【0027】また、窓関数掛け器43からビット割当算
出部46に供給される信号によって、マスキングカーブ
Mask(t) が求められ、振幅成分の量子化に用いる振幅成
分ビット割当情報AMap(t) と位相成分の量子化に用いる
位相成分ビット割当情報PMap(t) とを算出して、それぞ
れ量子化器48,50に出力する(ステップ102)。
【0028】ここで、ビット割当算出部46の動作につ
いて、図10に示すフローチャートと共に簡単に説明す
る。まず、窓関数掛け器43から供給される入力信号に
対してPFB(PolyphaseFilter Bank )によりサブバ
ンド出力を計算し、各サブバンドごとに12サンプルを
1ブロックとして絶対値が最大となるサンプルをブロッ
クごとに探索し、この値よりも大きい最小の値を選択し
て、そのブロックのスケールファクタとする(ステップ
91)。
【0029】そして、心理聴覚分析を行って、人間が聞
きやすい帯域の信号劣化を最小にしつつ、信号の圧縮を
行う(ステップ92)。この心理聴覚分析の方法として
は、最初に、入力される信号を512または1024の
ブロック長でFFTし、各サブバンドの音圧を定義す
る。
【0030】次に、両隣のスペクトルラインよりも大き
く、左右jサンプル離れた全てのスペクトルラインより
も7dB大きなスペクトルラインを純音成分とし(jで
決められた範囲のうちで他と比べて突出したスペクトル
ラインを純音成分と定義し)、純音成分の音圧に隣接す
るスペクトルラインの音圧を純音成分に加算する。そし
て、純音成分以外のスペクトルラインの音圧を全て0に
再設定し、純音成分以外のスペクトルラインを各臨界帯
域内で全て加算し、非純音成分の音圧とし定義する。さ
らに、絶対しきい値未満の純音成分と非純音成分及び
0.5バーク(bark)以内の距離に複数の純音成分があ
るときの最大純音成分以外のものを間引く。
【0031】そして、純音成分と非純音成分とを個別
に、各臨界帯域におけるマスキングしきい値を計算した
後、全体的マスキングしきい値を計算する。その後、各
サブバンドに対応する周波数軸上の最小の全体マスキン
グしきい値を抽出して最小マスキングレベルとし、信号
対マスク比(SMR)を各サブバンドの音圧と最小マス
キングレベルとの比として与えることにより、心理聴覚
分析による信号の圧縮を行うことができる。
【0032】最後に、心理聴覚分析で求めたSMRを用
いて各サブバンドのビット割り当てを決定する(ステッ
プ93)。まず、最小MNR(マスク対雑音比)を有す
るサンプルバンドを探索し、このサンプルバンドの量子
化ステップを1段小さくする。そして、新しい量子化ス
テップに対応する信号対雑音比(SNR)を表から選択
し、新たなMNRを求める。最後に、現在の割り当て可
能ビットから現在の量子化ステップに対応するビット数
を減算し、新たな割り当て可能ビット数を求めている。
【0033】この様にして、振幅成分Ai(t)の割り当て
可能ビット数と位相成分Pi(t)の割り当て可能ビット数
とを算出して、それぞれ振幅成分ビット割当情報AMap
(t) 、位相成分ビット割当情報PMap(t) として量子化器
48,50に供給している。
【0034】次に、図1及び図8に戻って、振幅成分A
i(t)の量子化について説明する。なお、差分器49、量
子化器50、振幅局部復号器52及び逆量子化器54
は、図中、1つづつしか記載していないが、実際には、
FFT回路44で求めたスペクトルの本数分が用意され
ている。
【0035】極座標変換器45より供給される振幅成分
Ai(t)は、差分器49を介してラッチ回路51にて構成
される振幅局部復号器52に供給され、ラッチ回路51
にラッチされているデータを振幅局部復号器52の出力
ALDout(t) として、加算器53に出力する(ステップ1
03)。さらに、振幅局部復号器52の出力ALDout(t)
を差分器49に出力して、振幅成分Ai(t)から減算し、
振幅残差成分△Ai(t) を量子化器50に出力する(ステ
ップ104)。
【0036】量子化器50では、振幅残差成分△Ai(t)
をビット割当算出部46から供給される振幅成分ビット
割当情報AMap(t) に基づいて二次量子化を行い量子化振
幅残差成分ΔAi'(t)を求め(ステップ105)、マルチ
プレクサ62に供給すると共に、逆量子化器54に供給
して逆量子化し、逆量子化振幅残差成分ΔAi''(t) を得
る(ステップ106)。そして、この逆量子化振幅残差
成分ΔAi''(t) と振幅局部復号器52の出力ALDout(t)
とを加算器53にて加算して、ラッチ回路51にラッチ
すると共に差分器49に出力している(ステップ10
7)。
【0037】ここで、逆量子化器54及び後述する逆量
子化器55の例について図11と共に説明する。まず、
供給された信号からビット割当情報を復号し、符号化に
用いたビット数、量子化レベル、量子化サンプルを読み
出す(ステップ96)。そして、スケールファクタの選
択情報を復号し(ステップ97)、逆量子化値を算出し
て、スケールファクタを乗算することにより、サンプル
データの逆量子化を行うことができる(ステップ9
8)。
【0038】また、位相成分Pi(t)の量子化は、次のよ
うになる。この場合も、差分器47、量子化器48、逆
量子化器55及び位相局部復号器61は、図中、1つづ
つしか記載していないが、実際には、FFT回路44で
求めたスペクトルの本数分が用意されている。
【0039】極座標変換器45より供給される位相成分
Pi(t)は、差分器47を介して、ラッチ回路56,5
8、2倍の乗算器57及び差分器59とからなる位相局
部復号器61に供給される。この位相局部復号器61に
おいて、初段のラッチ回路56にラッチされているデー
タは2倍の乗算器57及び2段目のラッチ回路58に供
給され、乗算器57の出力から2段目のラッチ回路58
の出力を減算した出力を位相局部復号器61の出力PLDo
ut(t) として、加算器60に出力する(ステップ10
8)。さらに、位相局部復号器61の出力PLDout(t) を
差分器47出力して、位相成分Pi(t)から減算し、位相
残差成分ΔPi(t) を量子化器48に出力する(ステップ
109)。
【0040】量子化器48では、位相残差成分ΔPi(t)
をビット割当算出部46から供給される位相成分ビット
割当情報PMap(t) に基づいて二次量子化を行い量子化位
相残差成分ΔPi'(t)を求め(ステップ110)、マルチ
プレクサ62に供給すると共に、逆量子化器55に供給
して逆量子化し、逆量子化位相残差成分ΔPi''(t) を得
る(ステップ111)。そして、この逆量子化位相残差
成分ΔPi''(t) と位相局部復号器61の出力PLDout(t)
とを加算器60にて加算して、初段のラッチ回路56に
ラッチすると共に差分器47に出力している(ステップ
112)。このとき、直前まで初段のラッチ回路56に
ラッチされていたデータを2段目のラッチ回路58にラ
ッチしている。
【0041】また、マルチプレクサ62では、量子化振
幅残差成分ΔAi'(t)と量子化位相残差成分ΔPi'(t)とを
フレーム長単位にビットストリーム化し、エンコーダ出
力ENCout(t) として出力している(ステップ113)。
【0042】なお、従来例では、位相成分と振幅成分に
ついて、ビットストリームを生成して復号器へ伝送する
場合、1フレーム内のデータの対象性から、振幅成分、
位相成分とも転送するデータ量を半分にすることができ
た。即ち、従来の信号符号化装置において、図3(A)
に示すような1フレームのデータ数がn個の入力信号を
FFT回路の実数部に入力し、虚数部を0に初期化し
て、FFT演算を行うと、その演算結果の実数部(振幅
成分)はn/2を中心として左右対称の信号とになる。
また、虚数部(位相成分)はn/2を中心として符号を
反転した左右対称(点対称)となる。したがって、従来
の伝送方法では、この対象性により実数部と虚数部のデ
ータ量を半分にすることができ、全体では元のデータ量
と同じにすることができた。
【0043】ところが、本発明の信号符号化装置では、
従来0で初期化していた虚数成分に第2の信号の実数成
分を入力して演算するので、対象性がなくなり、データ
数を半分にすることができない。したがって、ビットス
トリームとして生成するデータは1フレームのデータ数
をn個とすれば、n個分の位相成分と振幅成分の情報を
伝送しなければならない。
【0044】結果的には2つの信号を伝送するために、
もとのデータの2倍のデータが必要になるので、図6に
示すような構成でそれぞれの信号を別々に符号化した場
合と同じデータ数となる。しかし、1つの信号を伝送す
る図4、図5に示すような構成に対して、入力と出力の
窓関数掛けとオーバーラップ部分のみを追加すれば、2
つの信号を伝送することができ、図6、図7に示すよう
に構成した場合に比べて、後述する信号復号化装置の構
成も含めて、大幅に簡略化された構成となる。さらに、
局部復号器内のラッチなどで保持していた1フレーム分
の演算結果は、従来では、FFT演算結果の対象性から
その半分は実際には参照されないまま捨てられていた
が、本発明ではこの参照されない領域の演算結果を切り
捨てずに、マルチプレクサに入力して、ビットストリー
ムを生成するものであるので、転送するデータの領域と
データ数を少し変更するだけで、1つの信号を伝送する
場合とほとんど同じようにして実現することができる。
【0045】次に、本発明の信号復号化装置の一実施例
を図2に示し、そのフローチャートを図9に示して以下
に説明する。信号符号化装置から伝送されたビットスト
リームENCout(t) は、デマルチプレクサ71に供給され
て、量子化振幅残差成分ΔAi'(t)と量子化位相残差成分
ΔPi'(t)とに分離される(ステップ121)。そして、
量子化振幅残差成分ΔAi'(t)は、逆量子化器72に供給
されて先に説明した図5に示すフローチャートに従って
逆量子化され、逆量子化振幅残差成分ΔAi''(t) を加算
器73に出力する(ステップ122)。
【0046】1フレーム期間のラッチ回路74(振幅復
号器75)にて出力ADout(t)が算出され(ステップ12
3)、この出力ADout(t)に加算器73に供給される逆量
子化振幅残差成分ΔAi''(t) が加算され(ステップ12
4)、直交座標変換手段83の振幅成分入力に入力され
ると同時にラッチ回路74にラッチされる(ステップ1
25)。同様に、量子化位相残差成分ΔPi'(t)は、逆量
子化器76に供給されて逆量子化され、逆量子化位相残
差成分ΔPi''(t) を加算器77に出力する(ステップ1
26)。
【0047】そして、2段直列に接続された1フレーム
期間のラッチ回路78,79、2倍の乗算器80、差分
器81から構成される位相復号器82の出力PDout(t)
(初段のラッチ回路78を2倍したものから二段目のラ
ッチ回路79の出力を減算したもの)が算出され(ステ
ップ127)、この出力PDout(t)に加算器77に供給さ
れる逆量子化位相残差成分ΔPi''(t) が加算され(ステ
ップ128)、直交座標変換手段83の位相成分入力に
入力される。同時に、位相復号器82では、初段のラッ
チ回路78の内容が二段目のラッチ79にラッチされ、
初段のラッチ回路78には逆量子化位相残差成分ΔPi''
(t) と位相復号器82の出力PDout(t)とを加算したもの
がラッチされる(ステップ129)。
【0048】そして、直交座標変換手段83では、入力
された振幅入力(ADout(t)+ΔAi''(t))と位相入力(PDout
(t)+ΔPi''(t))とから直交座標変換を行い、逆FFT回
路84の実数部と虚数部にそれぞれ供給する。この逆F
FT回路84では、実数部と虚数部とでそれぞれ逆FF
T演算を行い、それぞれ窓関数掛け器85a,85bに
供給して所定の窓関数を掛け、オーバーラップ回路86
a,86bにてオーバーラップ処理を行って第1の信号
のデコーダ出力Si'1(t) と第2の信号のデコーダ出力S
i'2(t) とを得るものである(以上、逆FFT回路8
4、窓関数掛け器85a,85b、オーバーラップ回路
86a,86bを合わせて逆変換手段とする),(ステ
ップ130)。
【0052】
【発明の効果】本発明の信号符号化装置は、第1の信号
成分を実数部に入れ、第2の信号成分を虚数部に入れて
FFT演算をするように構成したので、1つの信号の符
号化の場合とほとんど構成を変えずに、2つの信号の符
号化を行うことができ、構成を簡略化することができ
る。
【0053】そして、本発明の信号復号化装置は、逆F
FT演算結果の実数部分から第1の信号成分を取りだ
し、虚数部分から第2の信号成分を取りだしているの
で、簡単な構成で、ビットストリームから元の2つの信
号を復号することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の信号符号化装置の一実施例を示すブロ
ック図である。
【図2】本発明の信号復号化装置の一実施例を示すブロ
ック図である。
【図3】(A)は入力信号例を示すグラフ、(B)はF
FT演算結果の振幅の例を示すグラフ、(C)はFFT
演算結果の位相の例を示すグラフである。
【図4】従来の信号符号化装置の例を示すブロック図で
ある。
【図5】従来の信号復号化装置の例を示すブロック図で
ある。
【図6】従来の信号符号化装置の例を示すブロック図で
ある。
【図7】従来の信号復号化装置の例を示すブロック図で
ある。
【図8】本発明の信号符号化装置の動作を説明するため
のフローチャート図である。
【図9】本発明の信号復号化装置の動作を説明するため
のフローチャート図である。
【図10】本発明の信号符号化装置に使用されるビット
割当算出部の動作を説明するための説明図である。
【図11】本発明の信号符号化装置及び信号復号化装置
に使用される逆量子化器の動作を説明するための説明図
である。
【符号の説明】
41a,41b 入力端子 42a,42b,86a,86b オーバーラップ回路 43a,43b,85a,85b 窓関数掛け器 44 FFT回路 45 極座標変換器 46 ビット割り当て算出部(マスキングカーブ算出手
段) 47 差分器(位相残差算出手段) 49 差分器(振幅残差算出手段) 59,81 差分器 48 量子化器(位相量子化手段) 50 量子化器(振幅量子化手段) 51,56,58,74,78,79 ラッチ回路 52 振幅局部復号器(振幅局部復号手段) 53,60 加算器 73 加算器(振幅加算手段) 77 加算器(位相加算手段) 54 逆量子化器(第1の振幅逆量子化手段) 55 逆量子化器(第1の位相逆量子化手段) 72 逆量子化器(第2の振幅逆量子化手段) 76 逆量子化器(第2の位相逆量子化手段) 57,80 2倍の乗算器 61 位相局部復号器(位相局部復号手段) 62 マルチプレクサ 71 デマルチプレクサ 75 振幅復号器(振幅復号手段) 82 位相復号器(位相復号手段) 83 直交座標変換手段 84 逆FFT回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−97836(JP,A) 特開 平7−5896(JP,A) 特開 平8−293797(JP,A) 特表 平4−504192(JP,A) E.O.Brigham著、宮川、今 井訳,二つの実数値関数の同時FFT, 高速フーリエ変換,日本,科学技術出版 社,1979年12月15日,2,185 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03M 7/30

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力される2つの異なるデジタル信号を予
    め定められたフレーム長単位とオーバーラップ量とによ
    りそれぞれ個別に切り出す第1及び第2のオーバーラッ
    プ回路と、 この第1及び第2のオーバーラップ回路よりそれぞれ供
    給される信号に所定の窓関数を掛ける第1及び第2の窓
    関数掛け器と、 この第1の窓関数掛け器より供給される信号を実数部と
    し、前記第2の窓関数掛け器より供給される信号を虚数
    部としてフーリエ変換を行うフーリエ変換回路と、 このフーリエ変換回路より供給される信号を極座標に変
    換する極座標変換器と、 1フレーム期間の信号をラッチするラッチ回路で構成さ
    れた振幅局部復号手段と、 各周波数帯域毎に、振幅データから前記振幅局部復号手
    段からの出力を差し引いて振幅残差信号を出力する振幅
    残差算出手段と、 ほぼ全周波数帯域の振幅値から振幅マスキングカーブと
    位相マスキングカーブとを得るマスキングカーブ算出手
    段と、 前記振幅マスキングカーブに従って前記振幅残差信号の
    ビット割り当てを算出した後で二次量子化を行う振幅量
    子化手段と、 この振幅量子化手段より供給される値を逆量子化して前
    記振幅局部復号手段に出力する第1の振幅逆量子化手段
    と、 2段直列に接続された1フレーム期間の信号をラッチす
    るラッチ回路と信号を2倍にする乗算器と差分器とで構
    成された位相局部復号手段と、 フーリエ変換結果の各周波数帯域毎に、位相データから
    前記位相局部復号手段からの出力を差し引いて位相残差
    信号を出力する位相残差算出手段と、 前記位相マスキングカーブに従って前記位相残差信号の
    ビット割り当てを算出した後で二次量子化を行う位相量
    子化手段と、 この位相量子化手段より供給される値を逆量子化して前
    記位相局部復号手段に出力する第1の位相逆量子化手段
    と、 前記振幅量子化手段及び位相量子化手段より供給される
    二次量子化された振幅残差信号と位相残差信号とからビ
    ットストリームデータを生成するマルチプレクサとを有
    することを特徴とする信号符号化装置。
  2. 【請求項2】入力されるビットストリームデータから二
    次量子化された振幅残差信号と位相残差信号とに復元す
    るデマルチプレクサと、 このデマルチプレクサから供給される二次量子化された
    振幅残差信号を逆量子化する第2の振幅逆量子化手段
    と、 前記デマルチプレクサから供給される二次量子化された
    位相残差信号を逆量子化する第2の位相逆量子化手段
    と、 1フレーム期間の信号をラッチするラッチ回路で構成さ
    れた振幅復号手段と、 各周波数帯域毎に逆量子化した振幅残差信号と前記振幅
    復号手段からの出力信号とを加算して出力する振幅加算
    手段と、 2段直列に接続された1フレーム期間の信号をラッチす
    るラッチ回路と2倍の乗算器と差分器とで構成された位
    相復号手段と、 各周波数帯域毎に逆量子化した位相残差信号と前記位相
    復号手段からの出力信号とを加算して出力する位相加算
    手段と、 前記振幅加算手段及び前記位相加算手段から供給される
    振幅入力と位相入力とを直交座標変換する直交座標変換
    手段と、 この直交座標変換手段より供給される信号を逆フーリエ
    変換し、実数部と虚数部とを別々に出力する逆フーリエ
    変換回路と、 この逆フーリエ変換回路より供給される実数部の信号に
    所定の窓関数を掛ける第3の窓関数掛け器と、 前記逆フーリエ変換回路より供給される虚数部の信号に
    所定の窓関数を掛ける第4の窓関数掛け器と、 前記第3の窓関数掛け器より供給される信号のオーバー
    ラップ処理を行って、再生信号を出力する第3のオーバ
    ーラップ回路と、 前記第4の窓関数掛け器より供給される信号のオーバー
    ラップ処理を行って、再生信号を出力する第4のオーバ
    ーラップ回路とを有することを特徴とする信号復号化装
    置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
E.O.Brigham著、宮川、今井訳,二つの実数値関数の同時FFT,高速フーリエ変換,日本,科学技術出版社,1979年12月15日,2,185

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