JP3291466B2 - 光信号波形測定方法 - Google Patents
光信号波形測定方法Info
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Description
法に関する。詳しくは、ピコ秒からフェムト秒領域の超
短時間幅を持つ光パルスを発生する光パルス源を用い
て、光信号波形を観測する技術に関する。特に、正確な
観測を阻む伝播路の遅延の緩慢な変化を相殺しつつ、観
測を行う技術に関する。本発明は、安価に行え、また、
光パルス源のパルス幅や繰り返し周波数の如何を問わ
ず、実施可能な方法を提供する。
とする多数の産業・学問分野で、ピコ秒からフェムト秒
領域の超高速光信号の適用が隆盛してきており、かかる
超高速光信号の強度波形を詳細に観測する必要が増して
きた。ここで強度波形の測定にあたって、より低速な信
号についての手法からの延長として最初に想起されると
ころは、高速の光検出器を用いて被測定光信号を相似の
電気信号に変換し、その波形を既存の高速電気信号測定
手段によって観測する方法であろう。
出器は、被測定光信号に比して短い応答時間を有するこ
とが必要となる。ピコ秒からフェムト秒領域の超短時間
領域にあっては、この条件を充たす光検出器が実在しな
い。それ故、超短時間領域では、いきおい以下に述べる
相互相関計による強度波形測定に依らざるを得ない。
つ被測定光信号に比して時間幅の短い参照光パルスを用
い、光非線型効果を呈する媒質内で、この参照パルスと
被測定信号パルスとを相互作用させ、発生する非線型信
号の大きさを、信号パルスと参昭パルスの相対的遅延時
間の関数として計測する。これは、短い参照パルスによ
って信号パルスにゲートを掛け、そのゲートの信号パル
ス上での時間位置を変えつつゲートされた信号出力を測
定してゆくことで、信号パルス波形を測定していると見
ることができ、ちょうど電気信号に対するサンプリング
測定に類似する方法となつている。
サンプリングと称し、付随して用いられる時間幅の短い
参照光パルスはサンプリング光パルスと呼ばれることが
ある。用いられる光非線型効果の次数及び種別、またそ
の結果として非線型信号のとる様態には、種々ある。例
えば、二次の光非線型効果としては、和周波発生効果、
または、二光子吸収効果がよく用いられる。
数の和に当たる周波数、即ち波長λ 1、λ2の光に対して
はλ1λ2/(λ1+λ2)の波長の光(和周波光)が発生
される。これを、和周波光波長に感度を有する光検出器
によって受光・変換して、和周波光のパワーに比例した
電気信号を得る。
る2つの光から各々1つずつ光子を得て起こる二光子遷
移に伴ってサンプリング光パルスの透過率が減少する。
そこで、これを、サンプリング光パルスの波長に感度を
有する光検出器によって変換して、透過率変化に比例し
た電気信号を得る。或いは半導体材料にあっては、電極
を装着し、二光子遷移に伴って生ずるキャリアを集電す
ることで、二光子遷移確率に比例した電気信号を、直接
得ることもできる。
ー効果、または、結合調発生効果が用いられ、適当な光
検出器によって光電変換して、それぞれの効果の大きさ
に比例した電気信号を得る。一般に、光サンプリング測
定に係る時間分解能は、用いる光非線型媒質または素子
の応答時間と、サンプリング光パルスの時間幅によって
決まり、光検出器等の電気信号への変換手段の応答時間
には全く依存しない。この性質こそが、ピコ秒からフェ
ムト秒領域の超短時間領域で、相互相関計を用いた光サ
ンプリング測定が行われている所以となっている。
光信号波形測定法を、図5に示した。上で述べたよう
に、相互相関計による被測定信号パルスの測定には、そ
れに同期したより時間幅の短い参照パルスが必要であ
る。ここで同期の精度としては、同期ずれ(ジッタ)
が、参照パルスの幅よりも小さいことが要求される。
の幅より短かった結果、被測定信号がたとえピコ秒オー
ダーであっても、パルス間のジッタは0.1ピコ秒程度
に抑えられることが必要である。これら被測定信号パル
スと参照パルスは、夫々独立した個別の光源によって供
給することが、原理的には可能である。しかし、現状の
技術を以ってしては、独立した光源間で、ジッタを0.
1ピコ秒程度に抑えて同期を保持することは、はなはだ
困難である。
源から出力されたパルス列を二分して、信号パルスと参
照パルスの双方を得る方法が現行されている。この場
合、二分した後に、信号パルスと参照パルスの幅に意図
的に差を持たせることが必要で、そのために、信号パル
ス側を広げるか、参照パルス側を狭めるかの、何れかを
行わねばならない。パルス幅を広げるには、バンドパス
フィルタによる帯域制限を行なってパルスのスペクトル
の振幅を操作するか、または、分散性媒質を通すことで
パルスのスペクトルの位相に変更を加えればよい。
ので、通常前者の方法が採られるが、何れにしても、パ
ルス幅を広げるには線型の光学現象でこと足り、非線型
光学現象によって新たなスペクトル成分を生成する必要
のあるパルスの短縮に比して、遥かに容易に行うことが
できる。従って、信号パルス側に波形整形器としてバン
ドパスフィルタを挿入して、そのパルス幅を広げる手法
が最もよく用いられるのである。
として常用されているところを図示すると、図5を得
る。この例において、短パルスレーザ共振器500を出
射した光パルス列は、反射鏡502を経て、分岐鏡50
3に達し、該分岐鏡503により二分される。二分され
た方は、参照パルス列として、伝播中に、分散によるパ
ルス幅の拡大をできるだけ蒙らないようにして、相互相
関計507へと導かれる。二分された他方は、信号パル
ス列として、反射鏡504を経て波形整形器505を通
過し、必要なパルス幅まで延伸される。
しては、通例、バンドパスフィルタが用いられる。この
波形整形器505の出力を信号パルス列として相互相関
計507に供給して、その波形を測定することは無論可
能であるが、これでは実用的意義が薄い。なぜならば、
この場合、波形整形器は既知の特性を有し、それゆえ波
形整形器による波形の変化は、測定を待つまでもなく明
らかな筈のものである。
形整形器505の後段に光学素子506が挿入され、該
光学素子506の出力が信号パルス列として相互相関計
507に供給される。こうすることで、出力波形の測定
を通じて、光学素子506の特性を調べることができ、
これが、ここでの信号パルスの波形測定がそもそもの目
的とするところに他ならない。
型な応答を示すもののみならず、非線型応答を持つもの
であってもよく、また、その出力される波長が入射光波
長と異なっていてもよい。なぜならば、上述したよう
に、相互相関測定に係る2つの光の波長は、互いに異な
っていてもよいからである。さらに、光学素子から出力
される光は、入射光に対してコヒーレント(決定論的位
相を持つ)である必要すらない。
ルスの強度波形のみを、その位相から完全に分離して検
出するからである。これに対して、より古典的な、干渉
計を用いる(線型)相互相関測定には、光学素子の出力
は、入射光とコヒーレントで、かつ、入・出射波長は少
なくとも重なり合っていることが必要である。これと比
較するならば、本例のような、(非線型)相互相関を用
いる光信号波形測定法は、格段に広い範疇の光学素子に
対して、その特性を調べる手段を提供し得るのである。
パルスと、反射鏡504、波形整形器505及び光学素
子506を経た信号パルスが、相互相関計507に入射
する。光信号波形の測定のためには、この相互相関計5
07中の非線型媒質上で、参照パルスと信号パルスが、
時間的に重なることが必要である。ところが、図5で
は、分岐鏡503から相互相関計507に直接至る参照
パルスの光路が、反射鏡504、波形整形器505、光
学素子506を経る信号パルスの光路に比して、明らか
に短く、時間的重なりが得られないように見える。
りは得られるのであって、それを見るためには、ここで
は、短パルスレーザ共振器500からは、共振器長によ
って決まる周期Tで繰返すパルス列が出力されているこ
とに着目することが必要である。分岐鏡503を起点と
して、相互相関計507に至る光路を参照パルスが伝播
するのに要する遅延時間をTr、また、反射鏡504、
波形整形器505、光学素子506を経て相互相関計5
07に至る光路を信号パルスが伝播するのに要する遅延
時間をTsと書こう。
し周期の整数倍に等しい、即ち、Nを任意の整数とし
て、下記条件式(1)が成り立つとき、相互相関計50
7において、信号パルスと参照パルスとの時間的重なり
が実現する。 Ts−Tr−NT=0 …(1) この式(1)は、信号パルス列と参照パルス列とが、N
発分だけずれて重なる条件を与えている。また、式
(1)の左辺をτeと書くと、これは、相互相関計50
7への入射時の、信号パルスと参照パルスの間での見か
け上の時間差を表す量を定義している。
照パルスと信号パルスが受ける遅延時間が式(1)の関
係を満たすように光路長を調整し、その後、制御・記録
器508によって相互相関計507内の相対的遅延時間
を変化させつつ、発生する非線型信号の大きさを計測、
記録して行く。こうして、この従来の光信号波形測定法
において、ピコ秒からフェムト秒領域の超短時間幅を持
つ光信号パルス列の波形の測定が実現される。
の光信号波形測定法には、以下のような問題がある。上
で定義した信号パルスと参照パルスの見かけ上の時間差
τeに相互相関計内の相対的遅延時間を加えたものが、
非線型媒質上での実効的な遅延時間差となる。従って、
見かけ上の時間差τeが変動すると、実効的遅延時間差
も変動し、非線型信号の計測・記録に係るところの遅延
時間にボケが生じることとなる。
解能の低下につながり、甚だしくは、ボケの量が参照光
パルスの時間幅を超越した場合、波形測定の時間分解能
は、単にボケの量のみによって規定されてしまうに至
る。式(2)の時間差τeの内容を見ると、分岐鏡以降
の光路中の伝播に因る部分、即ち、Ts−Trと、短パル
スレーザ共振器に因る部分、即ち、−NTとに分けるこ
とができる。
に伴って変化する。先ずこれにつき検討しよう。現在、
光の短パルスを発生する方法のうちで、最も時間幅の短
いパルスを、最も高い繰返し周波数で、しかも安定に発
生できるのは、レーザ光源自体のもつ光非線型効果に基
づいてパルス発生動作が行なわれる場合であり、この種
のパルス発生動作を、総称的に受動モード同期、或いは
自己モード同期と呼んでいる。この場合、発生する光パ
ルスの繰返し周期は、レーザ共振器中を光パルスが周回
するのに要する時間、或いはその整数分の1に常に等し
くなる。
よるドリフト或いは振動による揺らぎによって、不可避
的に変動するとう事情を想起されたい。受動モード同期
法では、レーザ共振器長が変化しても、パルス動作自体
は安定で、光パルスの時間幅も不変であるが、光パルス
の繰返し周期Tが変化してしまう。これを抑えるために
は、従来から行われているような、パルスの繰返し周期
の安定化法を適用することができる。
振出力に発生される光パルスを同期させる、いわゆる位
相ロックループと称する方法が、公刊されている(IEEE
Journal of Quantum Electronics 誌・28巻(1992年)
・289-296頁、或いはOpticsLetters誌・19巻(1994年)
・481-483頁)。しかしながら、このような位相ロック
ループにおいては、基準発振器の周波数が、安定化され
るレーザの繰返し周波数に対して、少なくとも1以上の
整数(逓倍数と称する)倍である必要がある。繰返し周
波数が元々高いレーザ光源、例えば100GHzで繰返
すモード同期半導体レーザに対しては、このような条件
を充たす基準発振器を見出すことが困難で、そもそも安
定化動作が達成できない。
好な安定化動作を期待できるが、高い周波数の基準発振
器が必要となり、加えて高速光検出器、高周波増幅器及
び高周波混合器など、周辺の電子部品も高価となる。特
に、マイクロ波帯の低雑音な基準発振器の価格は、レー
ザ光源自体の価格を容易に超えるに至り、短パルス源、
ひいては波形測定方法全体の経済性を損なう結果とな
る。
伝播部分、Ts−Trについて考えてみよう。先ず、分岐
鏡503により分岐させた後、直接相互相関計507に
入射する参照パルス列側の伝播遅延Trを見る。これの
変動は一般に小さい。なぜならば、上述したように、参
照パルス列は、できるだけ分散によるパルス幅の拡大を
蒙らないように伝播することが必要で、通例このため
に、空間伝播とするか、または、光ファイバを用いる場
合でも短い長さに留められるからである。
03以降、相互相関計507に至るまでに、波形整形器
505及び光学素子506を経るので、その伝播遅延T
s自体が、上の参照パルス列側の伝播遅延Trに比して、
一般に大きい。しかも最近では、波形整形器や光学素子
の入出力端に光ファイバが装着される場合が増えてお
り、接続や交換の容易さにより、今後ますます光ファイ
バ入出力型部品が広く用いられる趨勢にある。
散は、その部品が仕様上想定している幅の光パルスに対
して、変形を及ぼさないような範囲に抑えられるよう設
定される。しかしながら、伝播遅延の絶対値については
全く顧慮されていないのが現状である。
とならないような使用形態もあることを考えると、将来
に亙っても、伝播遅延に意を用いることが常態化するこ
とは期待できない。例として、波形整形器と光学素子夫
々の入出射端に、各2.5mずつの光ファイバが装着さ
れているごく一般的なケースを考えよう。このとき信号
パルス列の通過するファイバの全長は、10mに及ぶ。
張係数αは、約0.5ppm/℃なので、10mの光フ
ァイバについての伝播遅延の温度変化は、約0.025
ps/℃に達する。従って、1℃の温度変化によってす
ら、フェムト秒領域の波形測定にとっては、看過し得な
い伝播遅延の変動が生じる。
ラス製の無被覆の光ファイバについてのみ該当するので
あって、このような無被覆ファイバは、素子の内部はと
もかく、素子外部に装着することは、脆性の点から全く
実用的でない。素子外部でも用いられる光ファイバケー
ブルとなると、熱膨張係数が遥かに大きい材料による被
覆が施されており、被覆の膨張による応力が光弾性効果
を通じて石英ガラスの屈折率を変化させる結果、一桁近
く大きな伝播遅延の温度変動を蒙る。
覆された光ファイバケーブルの場合、長さ10mにし
て、既に、ピコ秒からフェムト秒領域の波形測定に、大
きな障害となり得るのである。さらに、昨今では、光素
子全体の分散を調整するために、例えば分散の符号を異
にする2種の光ファイバを組み合わせて接続したり、或
いは、素子本体の分散を打ち消すだけの長さの光ファイ
バを意図的に取り付けることも行われている。
のような接続の容易さを慮ってファイバを装着する場合
よりも、格段に大きくならざるを得ない。こうした素子
を出射したピコ秒からフェムト秒領域の信号パルスの波
形を、従来の測定方法によって測定することは、全くの
不可能事であった。また、光学素子内部に半導体光学材
料があると、これも伝播遅延の温度変動に寄与し得る。
例えば、長さ3cmの半導体導波路では、約0.025
ps/℃の伝播遅延の温度変動があり、フェムト秒領域
での波形測定には十分障害となる。
法は、(1)伝播路の光学長変動が、波形測定に係る時
間分解能の低下を招き、また(2)短パルスレーザの共
振器長の変動によっても、波形測定に係る時間分解能が
損なわれるという問題があった。このうち(2)の問題
については、その解決手段が知られていたものの、高価
につき、また高繰返し光源への適用が困難であった。
題は同時に解決される必要があり、一方だけに意を用い
るのは、今の場合意義が薄い。本発明は、これら2つの
問題を同時に解決し、伝播路、或いは、短パルスレーザ
の共振器の光学長変動による時間分解能の劣化を見ない
光信号波形測定法を供給することを目的とする。
明の光信号波形測定方法は、短パルスレーザ共振器から
発生されたパルス列を参照パルス列と信号パルス列に二
分し、得られる二つのパルス列を、パルス繰り返し周期
の零以外の整数倍なる相対的遅延時間差を持つ二つの別
個の光路を辿らせ、しかる後、参照パルス列と信号パル
ス列を相互相関計に入射すると共に二分された一方は、
二つのパルス列の幅に差を持たせる波形整形器を介して
相互相関計に入射し、該相互相関計において、参照パル
ス列と信号パルス列の間に可変の相対遅延を与えた上
で、光非線型効果を有する媒質中に合波・結焦し、発生
する非線型信号の大きさを、該相対遅延の関数として測
定・記録する。
学長を調整する機構を付与し、上記参照パルス列と信号
パルス列の夫々を、上記相互相関器に入射する直前に二
分し、得られる上記参照パルス列・信号パルス列夫々
を、二つの相互相関器に入射し、該二つの相互相関器の
一方において、該二つのパルス列を、光非線型効果を有
する媒質中に合波・結焦し、発生する非線型信号を電気
信号に変換し、該電気信号の大きさに基づいて上記機構
を制御・駆動することを特徴とする。
が一定値となるように共振器長を調整する直流的な方法
がある。また制御の態様の他として、上記相互相関器に
入射するパルス列の複製のいずれか任意の一方に周期的
に変化する遅延を与え、上記電気信号が該遅延の変化に
伴って変化しないように共振器長を調整する交流的な方
法がある。
は、伝播路の光学長変動と短パルスレーザの共振器長変
動の両者が、時間分解能の低下をもたらし、これらは、
式(2)のように加算的に寄与していることを上で見
た。この性質を逆に利用して、式(2)の時間差τeを
一定に維持するように、前者の変化に応じて後者を変化
させる自動制御系を構築することが、本発明の基本的着
想である。
の夫々を、波形測定のための相互相関計への入射の直前
に二分し、得られる上記参照パルス列・信号パルス列夫
々の複製を、相互相関器に入射する。相互相関器におい
ては、入射した二つの複製を、光非線型効果を呈する媒
質内に入射結焦し、該媒質内で発生する非線型信号を電
気信号に変換する。
号と呼ばれ、上述したパルス列間の見かけの時間差τe
に依存して変化する。従って、この電気信号を監視する
ことで、時間差τeの変動を検出することができる。以
上が、本発明の自動制御系の検出要素に相当する。これ
により、光信号波形測定法の主原理たる相互相関計を用
いる光サンプリングと、全く同一の原理によって、時間
差τeの変動が検出される。即ち、例えば相互相関器に
おいて、光非線型効果に二次の光非線型効果を用いた場
合、相互相関信号Gcの表式として、下式(3)が得ら
れる。
波形、I0(t)は参照パルス列の強度波形を表す。被
積分関数I1(t−τe)I0(t)は、非線型結晶で発
生された2倍波の強度波形、積分は、光パルスに比して
十分遅い応答時間を持つ光検出器による光電変換の効果
を表している。式(3)は、パルスI0(t)によって
パルスI1(t)を、光サンプリング測定して得られる
信号において、これら2つのパルスの間の遅延τが、丁
度τeに等しい時の表式に相当している。
の場合に最大値をとり、遅延τの絶対値がパルスI
1(t)のパルス幅tpの程度の範囲内でのみゼロでな
い。即ち、Gcの変化が見られる時間差τeの変動の範囲
は、パルス幅tpの程度である。即ち、相互相関信号Gc
を用いる本検出方法では、モード同期レーザ光源の短パ
ルス性が十分に活かされている。
その時間幅はパルス繰返し周期よりも自ずと小さい。従
って、パルス幅程度の時間差すら十分検出する本方法
が、繰返し周期の制限を受けないのは、全く自明であ
る。以上のように、本発明の自動制御系の検出要素は、
狭いパルス幅が有利に用いられ、かつ如何に高い繰返し
のパルス列に対しても対応できるのである。
振器の光学長を調整する機構を付与する。上述のよう
に、共振器長を変えると、それに応じて光パルスの繰返
し周期Tが変化する。式(2)に従って、信号パルス列
と参照パルス列の周期ずれNが零でなければ、繰返し周
期Tの変化に伴なって見かけの時間差τeに帰還がかか
る。これが、本発明の自動制御系の操作要素に相当す
る。
(2)の伝播部分、Ts−Trを調整する方途を想起し得
る。本発明の光信号波形測定方法において、敢えて、上
記のように、短パルスレーザ共振器に因る部分、−NT
を調整する方策を採るのは、以下の理由による。光学長
調整機構の行程を光速で除して、遅延時間の変域に引き
直し、δTcを得るとしよう。
いるならば、その制御可能な時間差τeの範囲は、単純
にδTcに等しい。この制御範囲を以って、伝播部分と
短パルスレーザ共振器に因る部分の両方に対処せねばな
らず、伝播部分の光路長差が大きくなれば、それに応じ
て大きな制御範囲が必要になる。
の、電気光学的なもの何れにしても、高価につき、さら
に一般に応答性の悪化が避け難い。一方、上の光学長調
整機構を短パルスレーザ共振器に用いた場合、このレー
ザが、共振器周回時間の、M分の1(Mは自然数)の繰
返し周期のパルス列を発生しているとすると、制御可能
な時間差τeの範囲は、(N/M)δTcとなる。ここ
で、乗数(N/M)が掛かることに注目されたい。
T)とレーザ共振器長(=MT)の比に等しい。即ち、
伝播部分の光路長差が如何に大きくなっても、必要な制
御範囲は一定であり、レーザ共振器長分の伝播光路長差
の変動を相殺できれば足りることになる。更に、上で見
たように、伝播光路長差の変動は主に熱膨張によるの
で、結局必要な制御範囲は、レーザ共振器長に伝播路の
熱膨張係数α及び伝播路の屈折率nを乗じることで得ら
れる。
如何に長い伝播路にも対応できるのである。 δTc>αnT …(4) 例として、熱膨張係数αに上で見た被覆された光ファイ
バケーブルの実効値、約5ppm/℃、屈折率に1.5
を用いると、レーザ共振器長に相対的な光学長調整機構
の行程は、1℃の温度変化に対して、約7.5ppmあ
ればよい。
に、非常に容易かつ安価に実現できる。現行の固体短パ
ルスレーザは、0.75〜2mの共振器長を持つので、
行程15μmの積層型圧電アクチュエータを利用して、
1〜2.7℃の温度変化に対応できる。また、半導体短
パルスレーザは、約70ppm/℃の共振器長の温度変
化を示すので、1℃の伝播路温度変化に対して約0.1
℃だけレーザチップの温度を変化させれば十分である。
10m程度に及び、上の圧電アクチュエータの行程はそ
のままでは不足である。しかしながら、共振器を構成す
るファイバを圧電材料製のボビンに巻き科けることで、
制御範囲を増大させる手法が知られており、これを用い
れば十分な制御範囲が実現される。このように本発明の
自動制御系の操作要素は、伝播部分の光路長差に依存せ
ず、しかも、知られているあらゆる形式の短パルスレー
ザに対して実施できる汎用的な手法となっているのであ
る。
操作要素たる共振器長を制御する誤差信号を得る方法に
は、直流的な方法と交流的な方法の2通りがある。直流
的な方法では、Gcが基準値に等しくなるように、Gcと
基準値の差を誤差信号とする。ここで、時間差τeの変
動に対するGcの変化率が最も大きくなる、即ち変曲点
におけるGcの値が最適の基準値である。
値を基準値として選べば良い。式(3)から明らかなよ
うに、相互相関信号Gcはパルスの強度に比例してい
る。従って、レーザ光源に強度雑音があり、発生される
パルスの強度が揺らぐと、時間差τeの変動が無いにも
かかわらずGcが変化することとなる。このとき、直流
的な方法で得た誤差信号により共振器長を制御している
と、パルスの強度揺らぎによってかえって時間差の変動
を惹起する結果となる。このような直流的な方法の欠点
は、以下の交流的な方法を用いることで回避できる。
パルス列の一方に周期的に変化する遅延を与え、相互相
関信号Gcが該遅延の変化に伴って変化しないように共
振器長を調整する。これには、遅延の周期的変化に対し
てGcを同期検波し、その検波出力を誤差信号とすれば
よい。
変化率が零となる点、即ち、一般に信号パルスI
1(t)の極大・極小値、特に波形が単純な釣り鐘型で
ある場合にはGcの最大値が安定化動作点となる。パル
スの強度が揺らいでも、パルス波形自体が不変に保たれ
ている限り、この動作点は動かない。それ故、この交流
的な方法では、達成される時間差の安定性がパルスの強
度揺らぎの影響を受けないのである。
成を説明する。 〔第1の構成〕本発明の光信号波形測定方法の第1の構
成を図1に示す。図1は、相互相関信号Gcを用いて、
レーザ共振器の共振器長を制御する誤差信号を得る方法
として、上述の直流的な方法を行う構成を示すものであ
る。この構成において、短パルスレーザ共振器100
は、共振器長調整機構101を備え、その共振器長を制
御できるよう構成されている。
共振器長調整機能101として、圧電アクチュエータの
一端に端面鏡を付着し、該圧電アクチュエータに印加す
る電圧によって端面鏡の位置を変える、所謂変位鏡装置
を用いる。端面鏡を光ファイバ端面に直接蒸着して形成
した光ファイバレーザ共振器の場合は、共振器長調整機
構101として、該ファイバ共振器の一部または全部の
温度を増減する構成、または、圧電アクチュエータによ
ってファイバの一部を伸縮する構成を用いることができ
る。
場合には、ファイバ共振器同様に温度を増減する構成、
或いは、電極を備えた位相調整領域を共振器内に作り込
み、該電極への印加電圧によって該位相調整領域の屈折
率を変える構成を、共振器長調整機構101として用い
ることができる。短パルスレーザ共振器100から発生
する光パルス列は反射鏡102を経て分岐鏡103に入
射し、該分岐鏡103により二分される。二分された一
方は、参照パルス列として、伝播中に、分散によるパル
ス幅の拡大をできるだけ蒙らないようにして、相互相関
計107へと導かれる。
反射鏡104を経て波形整形器105を通過し、必要な
パルス幅まで延伸される。さらにその波形整形器105
の後段に遅延の揺動する光学素子106が挿入され、該
光学素子106の出力が信号パルス列として相互相関計
107に供給される。ここでは、遅延の揺動を光学素子
に代表させて、「遅延の揺動する]の語を冠している
が、遅延の揺動はその前段の波形整形器105でも生じ
ても良いことは言うまでもない。
参照パルス列側に生じても良い。ここで、分岐鏡103
から相互相関計107に至る間に、参照パルス列と信号
パルス列、夫々の受ける遅延時間の差は、パルス繰り返
し周期のN(Nは零以外の整数)倍に等しく設定され
る。参照パルス列は、相互相関計107への入射前に、
分岐鏡109に入射して二分される。
他方は反射鏡110を経て、相互相関器115に入射す
る。信号パルス列も、同様にして、相互相関計107へ
の入射前に、分岐鏡111に入射して二分される。二分
された一方は前記相互相関計107に達し、他方は反射
鏡112を経て、前記相互相関器115に入射する。
ルス列に対して、上述の相互相関信号Gcを出力する。
相互相関器115からの相互相関信号電圧は、基準電圧
117と比較され、該基準電圧117との差が積分回路
118に入力する。この基準電圧117の最適値は、相
互相関信号電圧の変曲点における値であるが、実用上
は、相互相関信号電圧の最大値の約半分に設定して差し
支えない。積分回路118の出力は、上述の共振器長調
整機構101に応じた駆動回路119に供給され、短パ
ルスレーザ共振器100の共振器長を調整する。
録器108によって相互相関計107内の相対的遅延時
間を変化させ、発生する非線型信号の大きさを計測・記
録して行く。こうして、この本発明の光信号波形測定法
の第1の構成において、ピコ秒からフェムト秒領域の超
短時間幅を持つ光信号パルス列の波形の、伝播路の光学
長変動の影響を蒙らない測定が実現される。
第2の構成を図2に示す。この構成は、相互相関信号G
cを用いて、レーザ共振器の共振器長を制御する誤差信
号を得る方法として、上述の交流的な方法を行う構成を
示すものである。この構成において、分岐鏡211によ
り二分されたうち、相互相関器215に向かう方の信号
パルス列を反射する反射鏡212に、変位器214が装
着されている。
動され、反射鏡212を前後に振動させることで、該パ
ルス列に周期的に変化する遅延を与える。分岐鏡209
により2分されたうち、相互相関器215に向かう方の
参照パルス列を反射する反射鏡210に、変位器214
を装着し、反射鏡210を振動させても同様の効果が得
られる。
は、位相検波増幅器216に入力される。この位相検波
増幅器216には、参照入力として発振器213の出力
が接続され、該相互相関信号電圧のうち発振器213の
出力、即ち上記の周期的に変化する遅延と同相で変化す
る成分の振幅が、位相検波増幅器216からの出力とし
て得られる。この出力を積分回路218に入力し、駆動
回路219を通じて、共振器長調整機構201を駆動す
る。その他は、上述の第1の基本構成に準ずる。
を参照して本発明において用いる相互相関器の構成例を
示す。図3(a)は、二次の光非線型効果に属する和周
波発生効果を利用した相互相関器の構成を示す図であ
る。この種の相互相関器、或いはこれに相対遅延を変化
させる可変光学遅延線を付加して構成される相互相関計
は、現在最もよく用いられ、標準的な計測装置となって
いる。
反射鏡320、321、直角反射プリズム322、集束
レンズ323、非線型結晶324、絞り325、集光レ
ンズ326及び光検出器327から構成される。ここ
で、反射鏡320、321、直角反射プリズム322
は、入射された2つのビームの間隔を狭めて集束レンズ
323上に入射するために設置されている。
列は、該集束レンズ323の焦点に置かれた非線型結晶
324中で、交差すると同時に各々のビームが絞り込ま
れる。これにより、2つのパルス列が非線型結晶324
中で光強度の高い状態で相互作用することとなる。本例
における和周波発生効果によって発生される和周波光
は、2つの入射光に挟まれた方向に出射する。
開口を持つように配置され、その結果、2つのパルス列
の相互作用によって発生した和周波光のみが、この絞り
325を通過して集光レンズ326に達することができ
る。この和周波光は光検出器327によって光電変換さ
れ、相互相関信号Gcの大きさに比例した電気信号が得
られる。
に属する半導体光検出器中の二光子遍移を応用した相互
相関器の構成を示す。この種の相互相関器、或いはこれ
に相対遅延を変化させる可変光学遅延線を付加して構成
される相互相関計は、部品点数が少なく安価という特徴
を有する。このような相互相関器は、例えば、反射鏡3
20、321、直角反射プリズム322、集束レンズ3
23及び光検出器328から構成される。ここで、反射
鏡320、321、直角反射プリズム322の目的は、
図3(a)の場合に同じである。集束レンズ323を通
過した2つのパルス列は、該集束レンズ323の焦点に
置かれた光検出器328上に、絞り込まれる。
光検出器であって、バンドギャップエネルギに相当する
波長λgが、入射される二つのパルス列の波長λ1,λ2
に対して、下式(5)を満たす。 λg<λ1,λg<λ2,λ1λ2/(λ1+λ2)<λg …(5) この条件により、この光検出器328は線型領域では入
射されるパルス列に対して感度を持たない。しかし、二
光子が関与する非線型領域では、キャリアが生成され、
G0+G1+Gcに比例する光電流が発生することとな
る。
る。また、G0,G1はそれぞれのパルス列単独で発生さ
れる非線型信号を表し、2つのパルス列の相対遅延、或
いは、時間差τeに依存しない信号である。ただし、入
射光波長とバンドギャップ波長の関係によっては、
G0,G1のうち一方が発生しない場合もある。この定数
部分G0,G1の存在のために、この種の相互相関器を用
いる場合、上述の第1の基本構成において、相互相関信
号電圧と比較する基準電圧117の最適値が、上述した
ところとは異なってくる。
における値を定数部分G0+G1に加えた値となる。実用
上は、Gcの最大値の約半分を定数部分に加えた値に設
定すればよい。上述の第2の基本構成では、この種の相
互相関器を用いる場合にも変更が生じない。なんとなれ
ば、定数部分は周期的に変化する遅延に伴って変化しな
いので、位相検波増幅器216の出力には何の変化も及
ぼさないからである。
に説明する。 〔実施例1〕図4は、本発明の上述の第1の構成により
得られた特性を示す図である。本実施例では、波長1.
55μmにおいて、繰り返し周波数200MHz、幅6
0fsのパルス列を発生するCrドープYAGレーザを
短パルスレーザ共振器100とした。
電アクチュエータの端に全反射端面鏡を付着し、該圧電
アクチュエータに印加する電圧によって端面鏡の位置を
変える、所謂変位鏡を用いた。本レーザは、0.75m
の共振器長を持ち、圧電アクチュエータとしては、行程
15μm(電圧100V)の積層型圧電アクチュエータ
を利用したので、上述の式(4)の議論により、ファイ
バケーブルの2.7℃だけの温度変化に対応できる。
える許容性である。なぜなら、本測定方法においては、
相互相関計107による波形採取が行われている間の温
度変化に対処できれば、十分であり、波形採取に要する
時間は、通常数分、長くても1時間程度だからである。
発生された平均出力100mWの光パルス列のうち、5
0mWを光信号波形測定に用いた。このパルス列は、分
岐鏡103により2分され、大半の49mWのパルス列
は、反射鏡104を経て、結合レンズにより光ファイバ
が装着された波形整形器105に入射される。
れ、波形整形器として用いた透過波長幅2nmの光学フ
ィルタを伝播した。これにより、信号パルスの幅が1.
5psまで広げられ、フィルタの出射パワーは、0.6
mWに減少した。さらに、ここでは、遅延の揺動する光
学素子106として、通常の光ファイバ160mと分散
シフト光ファイバ40mをつなぎ合わせることで総群速
度分散を零とした光ファイバ遅延線を用いた。この全長
200mの光ファイバ遅延線は、上の繰り返し周波数2
00MHzに対して、繰返し周期のN=200倍の遅延
を与える。
の1mWの参照パルス列も、結合レンズにより光ファイ
バに入射された。本実施例では、機器の配置についての
自由度を増すために、参照パルス列も、短尺(1m)の
光ファイバを介して、相互相関計107に導いている。
光ファイバ遅延線中を伝播する0.6mWの信号パルス
列と短尺ファイバ中を伝播する0.5mWの参照パルス
列は、それぞれ3dBファイバカップラによって等分さ
れ、相互相関計107と相互相関器115に入射する。
及び相互相関器115では、非線型効果として、ニオブ
酸リチウム(LiNbO3)結晶中での和周波発生効果が
用いられ、発生した和周波光は光電子増倍管によって光
電変換され、増幅感度5×104V/Aの電流増幅器に
よって電圧値に変換された。この場合、相互相関器11
5を出力する相互相関信号電圧の最大値として0.1V
が得られたので、基準電圧117を0.05Vに設定し
て、相互相関信号電圧との差を積分回路118に印加
し、その出力を駆動回路119を通じて共振器長調整機
構(変位鏡)101に帰還した。
を行う前に得られた特性を示す図であり、これは、従来
例の光信号波形測定方法の構成で得られるのと同等の特
性になっている。この図は、相互相関計107内の相対
的遅延時間を高速に掃引し、発生する非線型信号の大き
さを逐次計測・記録することにより得た。掃引時間は一
回当たり3秒程度であり、3回の掃引結果を重ねて示し
てある。
のうちに、波形が遅延時間軸上を移動しており、この移
動量から、相互相関計に入射するパルス間の見かけの時
間差τeが、0.4ps変化していることが分かる。こ
れは、この場合の伝播遅延差の0.4ppmに当たり、
推定される温度変化にして0.08℃に相当する。温度
変化に拡散的性質を仮定すれば、温度変化は、推定で、
26minで1℃に達する。
均化を行って感度を高めようとすると、この時間差τe
の変動が、相互相関計の遅延時間上のボケとして現れ、
測定の時間分解能の低下を招くのである。図4(b)は
本実施例による帰還を行った状態で、前同様の相互相関
計107による測定を行って得られた。この場合、3回
の掃引にかけて、波形が遅延時間軸上を全然移動してい
ないことが分かる。
に入射するパルス間の見かけの時間差τeの変動が成功
裏に抑制されていることが示された。図4(c)は、さ
らに、本実施例による帰還を行った状態で、一回当たり
3分のより低速の掃引を行い、7回の掃引に亙る信号の
平均化を行った結果を示す。全測定時間21minに亙
って、伝播遅延差の変動が完全に吸収され、時間差τe
が固定されている。
下を免れており、測定時間が長いことの当然の帰結であ
るが、図4(b)の場合に比して、格段に雑音の小さい
(信号対雑音比>1000)測定が達成された。これの
信号から信号パルスの幅を見ると、2.3psと読み取
れ、波形整形器の直後における幅の1.5psから広が
っている。これは本実施例における光学素子106であ
る光ファイバ遅延線の特性を反映している。
光ファイバと分散シフト光ファイバを接続することによ
り、総群速度分散を零としているものの、より高次の分
散は同符号で加算されて残っていることが分かる。この
ように、詳細な出力波形信号波形の測定は、光学素子の
特性の評価に大いに資するのである。以上のように、本
実施例装置によって、伝播路、或いは、短パルスレーザ
の共振器の光学長変動による時間分解能の劣化を蒙らな
い光信号波形測定法が実現できた。
施例につき、以下に説明する。相互相関器107及び相
互相関器115以外の構成は上述の実施例と同一であ
り、光ファイバ遅延線中を伝播する0.6mWの信号パ
ルス列と、短尺ファイバ中を伝播する0.5mWの参照
パルス列は、それぞれ3dBファイバカップラによって
等分され、相互相関計107と相互相関器115に入射
する。本実施例において用いた相互相関器107及び相
互相関器115では、非線型効果として、シリコンPI
N光検出器中での二光子遷移が用いられる。
であり、波長λ1,λ2が1.55μmの光パルス列に対
して、上述の式(5)が満たされている。発生した光電
流は、増幅感度1×107V/Aの電流増幅器によって
電圧値に変換された。この場合、相互相関器115を出
力する相互相関信号電圧は、定数分G0 、G 1がそれぞ
れ9mV、1.4mV、また、Gcの最大値として1.
1mVが得られたので、基準電圧117を11mVに設
定して、相互相関信号電圧との差を積分回路118に印
加し、その出力を駆動回路119を通じて共振器長調整
機構(変位鏡)101に帰還した。
得られた。こうして、本実施例装置によっても、伝播
路、或いは、短パルスレーザの共振器の光学長変動によ
る時間分解能の劣化を蒙らない光信号波形測定法が実現
できた。本実施例の相互相関器115は、上の実施例で
用いた相互相関器の約半分以下の価格である。これによ
り、本実施例は、実施例1よりも安価に行えたことにな
る。
を同じくする相互相関器107及び相互相関器115の
対を用いて行った。言うまでもないことであるが、これ
は本発明にとって必要な構成ではない。寧ろ、相互相関
器107と相互相関器115に相異なる非線型媒質を用
いることが、推奨される場合がある。
い範囲で、できるだけ高感度の相互相関器115を用
い、一方、相互相関器107にはできるだけ分解能の高
いものをあてることもできる。このような構成に意義が
あるのは、相互相関計(器)においても、高速計測器の
常にもれず、感度と分解能が両立し難いからである。
らないことが明らかな素子(例えば膜面に空間入出射す
る薄膜素子など)の場合には、信号パルスを相互相関計
107と相互相関器115に分配する分岐鏡111の後
段で、相互相関計107に入射する以前の光路上に該素
子を設置して、その特性を測定することもできる。本構
成は、例えば、当該素子の発生する微弱な蛍光の時間緩
和を、励起パルス波長を変えて高感度に調べる場合など
に、有効である。
の励起パルスを形成する波形整形器及び被測定素子まで
の伝播路の遅延変動が抑圧されることになる。以上のよ
うに、相互相関器を用いて、信号パルス対と参照パルス
対の相対的遅延変動を抑圧するという本発明の趣旨を逸
脱しない範囲で、本発明には様々な応用構成が存するこ
とは、敢えて言うまでもない。
路、或いは、短パルスレーザの共振器の光学長変動によ
る時間分解能の劣化を蒙らない測定が行える。また、本
発明の光信号測定方法には、高周波電子回路の帯域によ
る制限が無く、それ故、モード同期レーザ光源の短パル
ス性が有効に働き、また適用可能な繰り返し周波数に上
限がない。また、本発明の光信号測定法は、各種の短パ
ルスレーザに対して共通に、さらに、伝播路長に依存せ
ず汎用的に行え、しかも安価に実施できるので、工業的
に大きな効果が得られる。
成図である。
成図である。
例を示し、図3(a)は和周波発生効果を用いる構成を
示す構成図、図3(b)は半導体光検出器中の光子遍移
を用いる構成を示す構成図である。
し、図4(a)は帰還停止状態で採取された相関信号を
示すグラフ、図4(b)は帰還動作状態で採取された相
関信号を示すグラフ、図4(c)は帰還動作状態で長時
間に亙って加算平均しつつ採取された相関信号を示すグ
ラフである。
る。
Claims (3)
- 【請求項1】 短パルスレーザの発生する光パルス列を
二分し、得られる二つのパルス列を、該光パルス列の繰
返し周期の零以外の整数倍なる相対的遅延時間差を有す
る二つの別個の光路を辿らせた後、二つのパルス列を相
互相関計に入射すると共に二分された一方は、二つのパ
ルス列の幅に差を持たせる波形整形器を介して相互相関
計に入射し、該相互相関計において、二つのパルス列の
間に可変の相対遅延を与えた上で、光非線型効果を有す
る媒質中に合波・結焦し、発生する非線型信号の大きさ
を、該相対遅延の関数として測定・記録する光信号波形
測定方法において、上記短パルスレーザに、共振器の光
学長を調整する機構を付与し、上記二つのパルス列の夫
々を上記相互相関器に入射する直前に二分し、得られる
二つのパルス列夫々を二つの相互相関器に入射し、該二
つの相互相関器の一方において、該二つのパルス列を、
光非線型効果を有する媒質中に合波・結焦し、発生する
非線型信号を電気信号に変換し、該電気信号の大きさに
基づいて上記機構を駆動することを特徴とする光信号波
形測定方法。 - 【請求項2】 上記電気信号が一定値となるように上記
機構を駆動することを特徴とする請求項1記載の光信号
波形測定方法。 - 【請求項3】 上記相互相関器に入射するパルス列の複
製の一方に周期的に変化する遅延を与え、上記電気信号
が該遅延の変化に伴って変化しないように上記機構を駆
動することを特徴とする請求項1記載の光信号波形測定
方法。
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