JP3287354B2 - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド

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JP3287354B2
JP3287354B2 JP2000345039A JP2000345039A JP3287354B2 JP 3287354 B2 JP3287354 B2 JP 3287354B2 JP 2000345039 A JP2000345039 A JP 2000345039A JP 2000345039 A JP2000345039 A JP 2000345039A JP 3287354 B2 JP3287354 B2 JP 3287354B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット式
記録ヘッドに関し、特に圧力室の気泡除去に関する。
【0002】
【従来の技術】インクジェット式記録ヘッドでは、イン
ク圧力室内になんらかの方法で圧力を発生させ、ノズル
からインク滴を吐出させ記録媒体に付着させる。これに
より記録を行うが、その際にインク圧力室内に気泡が存
在すると、少なからずインク吐出特性に影響を与える。
【0003】存在する気泡を除去するには、インクの定
常流で押し流してしまう方法がある押し流すには、イン
ク供給路から定常的に圧力をかけ、インク排出路へ向か
ってインク流を発生させる。その際、インク圧力室内に
あるノズルなどの凹凸部に付着している気泡を押し流す
には、流速を大きく、あるいは、凹凸部でインクの流速
が大きくなるように流路を設計しなければならなかっ
た。
【0004】また、ノズル近辺に存在する気泡について
は、ノズルからインクと共に排出することにより除去す
ることもあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、凹凸部に残る
気泡を押し流すように流路を設計するには、流路の形状
がインクの吐出速度・吐出量などの吐出特性に大きく影
響するため、吐出性能を犠牲にせざるを得ない。また、
ノズルから気泡を排出する場合は、排出するインクは無
駄になるか、あるいは、それらのインクを回収するにし
ても、新たにインク溜などの装置を付加しなければなら
ない。
【0006】すなわち、本発明の目的は、凹凸部に付着
している気泡を移動させることにより、定常的なインク
流により容易に気泡を排除し、インクを無駄にせず、あ
るいは、簡単な機構で、しかも設計時に吐出特性を犠牲
にすることなく、安定した特性でインク滴を吐出するこ
とにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、インク圧力室
と連通するノズルと、このノズルと対向する位置に圧力
発生手段を設置して前記インク圧力室のインクを前記ノ
ズルから吐出させるインクジェット式記録ヘッドの気泡
除去方法において、ノズル近傍にインク吐出時の周波数
より高い高周波の圧力波を加えることで、インク流を発
生させてノズル近傍の気泡をノズル近傍より移動させて
気泡を除去することを特徴とする。また、前記高周波の
圧力波をインク吐出用の前記圧力発生手段を用いて発生
させることを特徴とする。さらに、前記高周波の圧力波
は、インク吐出用の前記圧力発生手段の駆動電圧と同じ
かまたはそれ以下の電圧において駆動周波数を高くする
ことにより発生させることを特徴とする。 さらに、ノズ
ル近傍の気泡を前記インク圧力室の前記ノズルと対向す
る領域外に移動させて気泡を除去した後、ポンプなどを
用いて定常的なインク流を発生させてノズル部から移動
した気泡を押し流すことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】図1に、本発明のインクジェット
式記録ヘッドの一実施例の縦断面図を示す。インク滴
は、ノズルプレ−ト1上にあるノズル2を介して、イン
ク圧力室3より押し出され吐出していく。吐出させるた
めの圧力は、振動子4より発生する。振動子4は、数十
μmの圧電素子層と数μmの電極とからなりたってい
て、電極は正負交互に櫛歯上に成形されている。層を薄
くすることにより、必要な電場をより低い駆動電圧で得
ることができる。モ−ルド材5はシリコン樹脂を用い、
残留振動の減衰の促進・及び電極の被覆を目的として、
振動子4の側面部に施されている。振動子4の端部に
は、圧力を伝えるために圧力板6が接着されており、さ
らにインク圧力室3との境界には、ポリイミドフィルム
等を用いた弾性フィルム7が接着されている。振動子4
から発生した圧力は、弾性フィルム7を介してインクに
伝えられる。振動子4が変位することによって、圧力板
6がノズル2の方向に変位し、ノズル2からインク滴が
吐出する。振動子4のもう一方の端部は、図には示され
ていない基板に固定されている。ベ−ス9は、各構成要
素を保持する役目を果たしている。
【0009】本実施例のインクジェット式記録ヘッドで
は、振動子4を電圧30V・パルス幅10μsで駆動す
ることによってインク滴の吐出を行っている。駆動周波
数は最大12kHz程度である。ここでは、気泡排出の
ための圧力発生手段を、インク吐出時と同様に、この振
動子4、モ−ルド材5、弾性フィルム7、圧力板6から
なる圧力発生機構に持たせる。
【0010】気泡の除去の実験の様子を図2に示す。ま
ず、図2(a)に気泡8がノズル2の近傍に付着してい
る様子を示す。ノズル2に存在する気泡8は、インク圧
力室3内の定常的な流れだけでは排出されにくい。図中
の矢印Aは、定常的なインク流の方向を示している。
【0011】図2(b)に、本実施例にある圧力発生手
段(符号4乃至7)により高周波圧力をかけたときの、
インク圧力室3内に発生するインク流を吐出方向から観
察した様子を示す。矢印Bに示す方向にインク流が発生
するのが観測された。
【0012】図2(c)に、気泡8がノズル2の近傍か
ら移動する様子を示す。高周波圧力をかけることにより
発生するインク流により気泡8がノズル部近傍より移動
するのが、実験により確認されている。
【0013】図2(d)に、定常的なインク流により気
泡8が移動する様子を示す。矢印Aの方向にポンプなど
を用いて圧力を加えることによって、定常的なインク流
が発生し、容易にノズル部から移動した気泡を押し流す
ことができる。
【0014】この実験では、熱溶融性インクを用い、電
圧10V・周波数50kHzで振動子4を0.3秒程度
駆動した。さらに50kHzから200kHzまで駆動
周波数を変化させたところ、高い周波数ほど気泡を移動
させる効果が上がることも確認されている。また、パル
ス幅を3μs以下にすると、吐出するための駆動電圧と
同じ30Vで駆動しても吐出せず、気泡を移動させる効
果が得られた。さらにまた、吐出する駆動条件から駆動
電圧を下げていった場合も、気泡を移動する効果が得ら
れた。
【0015】図3に、本発明のインクジェット式記録ヘ
ッドの駆動システムのブロックダイヤグラム例を示す。
ここで挙げる例は、どれも、インク滴吐出用の圧力発生
機構を用いて、気泡を移動させるための高周波圧力を発
生させている。勿論、気泡移動専用の圧力発生機構を有
しても、同様の効果が得られる。
【0016】図3(a)は、パルス幅を3μs以下にす
ることにより気泡を移動させる場合の、本発明のインク
ジェット式記録ヘッドの駆動システムのブロックダイヤ
グラムである。パルス幅の変更は、制御部から信号を駆
動部に送ることにより、行うことができる。
【0017】図3(b)は、吐出時と異なる駆動電圧を
用いて気泡を移動させる場合の、本発明のインクジェッ
ト式記録ヘッドの駆動システムのブロックダイヤグラム
である。この場合は、吐出用とは別に、気泡を移動させ
るための電源が必要となる。本実施例では、ノズル一個
によるインクジェット式記録ヘッドを示したが、これ
は、複数のノズルを有するインクジェット式記録ヘッド
においても可能である。
【0018】図4に複数のノズルを持つインクジェット
式記録ヘッドの斜視概略図を示す。この場合、複数のノ
ズルを有するが故に可能な気泡除去の方法がある。
【0019】図5に、複数のノズルを有するインクジェ
ット式記録ヘッドにおける気泡排出方法について説明す
る。図5の、縦に並んだ複数のノズル2において、下部
に位置するノズル2から順次先に述べた方法で高周波圧
力をかけ、気泡8を上方に移動させる。順次に圧力をか
けることにより、下方で凹凸部から移動されて上方にあ
る凹凸部に再付着する気泡を、さらに上方に移動でき
る。このようにして順次高周波駆動を行うことにより、
気泡8がインク流路の最上部に集められ、それらの気泡
は容易に除去することができる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のインクジ
ェット式記録ヘッドは、ノズル近傍に高周波圧力を加え
る機能を有することにより、ノズル近傍から圧力室に向
かうインク流を発生させることでノズル近傍に存在する
気泡を移動させ、気泡の除去を容易にすることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】吐出用の加圧機構を加圧手段とする本発明のイ
ンクジェット式記録ヘッドの断面図。
【図2】本発明のインクジェット式記録ヘッドのインク
圧力室内の気泡が排出される様子を示した断面図。
【図3】本発明のインクジェット式記録ヘッドの駆動シ
ステムのブロックダイヤグラム。
【図4】複数のノズルを有する本発明のインクジェット
式記録ヘッドの斜視図。
【図5】複数のノズルを有する本発明のインクジェット
式記録ヘッドの気泡排出方法の様子を示した断面図。
【符号の説明】
1 ノズルプレ−ト 2 ノズル 3 インク圧力室 4 振動子 5 モ−ルド材 6 圧力板 7 弾性フィルム 8 気泡 9 ベ−ス 矢印A 定常的なインク流の方向 矢印B 高周波圧力により発生するインク流の方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/175 B41J 2/045 B41J 2/055

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク圧力室と連通するノズルと、この
    ノズルと対向する位置に圧力発生手段を設置して前記イ
    ンク圧力室のインクを前記ノズルから吐出させるインク
    ジェット式記録ヘッドの気泡除去方法において、 ノズル近傍にインク吐出時の周波数より高い高周波の圧
    力波を加えることでインク吐出時とは異なるインク流
    発生させ、前記ノズル近傍の気泡を前記インク圧力室の
    前記ノズルと対向する領域外に移動させて気泡を除去す
    ることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドの気泡
    除去方法。
  2. 【請求項2】 前記高周波の圧力波をインク吐出用の前
    記圧力発生手段を用いて発生させる請求項1記載のイン
    クジェット式記録ヘッドの気泡除去方法。
  3. 【請求項3】前記高周波の圧力波は、インク吐出用の前
    記圧力発生手段の駆動電圧と同じかまたはそれ以下の電
    圧において駆動周波数を高くすることにより発生させる
    請求項1記載のインクジェット式記録ヘッドの気泡除去
    方法。
  4. 【請求項4】ノズル近傍の気泡を前記インク圧力室の前
    記ノズルと対向する領域外に移動させて気泡を除去した
    後、ポンプなどを用いて定常的なインク流を発生させて
    ノズル部から移動した気泡を押し流すことを特徴とする
    請求項1記載のインクジェット式記録ヘッドの気泡除去
    方法。
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