JP3286512B2 - アンテナ装置および誘電体ユニット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、反射板付きのアン
テナ装置に係り、特に、高周波帯で使用されるコーナリ
フレクタ付きモノポールアンテナ（mono pole antenn
a）、あるいは複数のコーナリフレクタ付きモノポール
アンテナを一体化して成る複数セクタ型のアンテナ装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】反射板付きのアンテナ装置として、コー
ナリフレクタ付きモノポールアンテナが知られている。
このコーナリフレクタ付きモノポールアンテナは、導電
性平板から成る地板の表面部に放射器を垂設し、さらに
この放射器から所定距離だけ離れた位置に存するコーナ
部にコーナリフレクタを垂設したもので、高周波帯にお
いて多用されている。

【０００３】図１５は、従来のこの種のコーナリフレク
タ付きモノポールアンテナの一例を示す外観斜視図であ
る。このコーナリフレクタ付きモノポールアンテナ４
は、台形状の地板１０の短端部から所定距離だけ離れた
部位に１本の放射器１１が垂設され、さらに地板１０の
短端部および両側端部（コーナ部）にコーナリフレクタ
１２が垂設されている。地板１０の背面にはコネクタ部
１３が固設されている。このコネクタ部１３は、図示し
ない無線送受信装置の高周波増幅部に接続されている同
軸ケーブルを離脱自在に接合するとともに、その同軸ケ
ーブルの芯線を放射器１１と導通させるものである。

【０００４】このように構成されるコーナリフレクタ付
きモノポールアンテナ４において、放射器１１から輻射
された電磁波の一部は、コーナリフレクタ１２および地
板１０の表面部で反射されて開口端の方向に導かれる。
一方、開口端から到来した電磁波の一部は、コーナリフ
レクタ１２および地板１０の表面部で反射されて放射器
１１に導かれる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のコー
ナリフレクタ付きモノポールアンテナ４において、指向
特性を鋭くするためには、地板１０の短端部と長端部と
の距離を大きくしたり、あるいはコーナリフレクタ１２
の幅を十分に確保しなければならない。そのため、この
種のアンテナでは、小型化に一定の限界があった。

【０００６】また、実際に無線送受信装置やアンテナ筐
体等に組み込まれた場合の指向特性は、アンテナ筐体等
の形状、特に地板１０と平行となる筐体形状に大きく左
右される。さらに、コーナ部から開口端の方向に輻射さ
れるフロントビームに対するバックローブ、すなわち不
要輻射の影響も受ける。そのため、所要の指向特性を得
るための設計に際しては、実際にアンテナ筐体等に組み
込んで使用される状態を考慮しなければならず、そのた
めの計算量が膨大になる問題があった。さらに、アンテ
ナ装置の組立時には不要輻射量の測定その他の実験を繰
り返さなければならないという問題があった。

【０００７】そこで、本発明の課題は、所要の指向特性
を得るための設計や組立が容易で、小型化をも同時に図
ることができるアンテナ装置およびアンテナ部品を提供
することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、導電性平板から成る地板の表面部に放射
器とコーナリフレクタとを所定間隔で垂設し、前記放射
器から輻射された電磁波が前記コーナリフレクタおよび
地板の表面部で反射されて開口端の方向に導かれるよう
に構成したアンテナ装置において、前記コーナリフレク
タの対向内側壁と前記地板の表面部の少なくとも一方
に、透過する前記電磁波の伝搬速度を変化させる誘電率
の誘電体板を配設したものである。

【０００９】このようにすると、放射器より輻射された
電磁波の一部が、誘電体板内を透過して反射される際に
その伝搬速度が変化する。誘電率によっては、誘電率の
平方根に相当する分だけ伝搬速度が遅れる。アンテナ装
置の開口端からの放射パターンは、誘電体板を透過した
電磁波と誘電体板を透過しない電磁波との合成によって
決定されるので、誘電体板の寸法形状を適切に選定する
ことにより所望の放射パターンを得ることができる。

【００１０】本発明は、また、導電性平板から成る地板
の表面部にＮ本の放射器と個々の放射器に対応するＮ個
のコーナリフレクタとを所定間隔で垂設し、各放射器か
ら輻射された電磁波が当該放射器に対応するコーナリフ
レクタおよびこのコーナリフレクタで分割された地板の
表面部で反射されて各々の開口端の方向に導かれるよう
に構成し、さらに個々の放射器に対応する全部または一
部のコーナリフレクタの対向内側壁と前記分割された地
板の表面部の少なくとも一方に、透過する前記電磁波の
伝搬速度を変化させる誘電率の誘電体板を配設したアン
テナ装置を提供する。

【００１１】このアンテナ装置では、Ｎ本の放射器と各
放射器に対応するコーナリフレクタとでＮ個のセクタが
形成される。個々のセクタの放射パターンは、上述のよ
うに誘電体板を透過する電磁波と透過しない電磁波との
合成によって決定されるので、各セクタに配設される誘
電体板の寸法形状を変えたり、誘電体板の配設部位を適
宜変えたりすることで、全方位または一部の方位の放射
パターンを事後的に任意に調節することができる。

【００１２】上記各アンテナ装置の好ましい実施態様と
しては、前記誘電体板の厚みを開口端に向かうにつれ
て、漸次あるいは段階的に低減させる。漸次に低減させ
たものは、これを地板の表面部に配設することにより、
反射特性の劣化を抑えつつ、地板と垂直となる面内の半
値幅を狭めることができる。またこれをコーナリフレク
タに配設することにより、反射特性の劣化を抑えつつ、
地板に平行となる面内の半値幅を狭めることができる。
また、平板状のものは不要輻射の発生や反射特性の劣化
等により寸法形状に限界があるので、厚みを段階的に低
減させることで、不要輻射の発生や反射特性の劣化を抑
えたまま、半値幅を効率的に変化させることができる。

【００１３】本発明は、さらに、上記アンテナ装置を容
易に構成する上で好適となる誘電体ユニットをも提供す
る。この誘電体ユニットは、導電性平板から成る地板の
表面部にＮ（Ｎは２以上の自然数）本の放射器と個々の
放射器に対応するＮ個のコーナリフレクタとを所定間隔
で垂設し、各放射器から輻射された電磁波が当該放射器
に対応するコーナリフレクタおよびこのコーナリフレク
タで分割された地板の表面部で反射されて各々の開口端
の方向に導かれるように構成したアンテナ装置に離脱自
在に装荷され、装荷時に個々の放射器に対応するコーナ
リフレクタの対向内側壁と前記分割された地板の表面部
の少なくとも一方に配設される、透過する前記電磁波の
伝搬速度を変化させる誘電率の複数の誘電体板を一体化
したことを特徴とする。

【００１４】なお、上記誘電体ユニットは、複数の誘電
体板と樹脂製レドームとを一体化して風雨や塵の影響を
防止する構成にしてもよい。このレドームは、少なくと
も前記アンテナ装置の放射器側の露出部を包囲する形状
を有するものである。

【００１５】

【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実
施形態を詳細に説明する。 （第１実施形態）図１および図２は、本発明のアンテナ
装置の一実施形態となるコーナリフレクタ付きモノポー
ルアンテナ１，２の外観斜視図である。図中、図１５に
示した従来のアンテナと同一構成要素については同一符
号を付して重複説明を省略し、異なる部分についてのみ
説明する。

【００１６】図１に示したコーナリフレクタ付きモノポ
ールアンテナ１は、コーナリフレクタ１２の対向内側
壁、すなわちコーナリフレクタ１２において互いに対向
しているコーナ部内側の壁面部に、同一形状の一対の側
壁用誘電体板１４ａ，１４ｂを配設して成る。図２は、
上記コーナリフレクタ１２の対向内側壁のほか、地板１
０の表面部にも地板用誘電体板１４ｃを配設したコーナ
リフレクタ付きモノポールアンテナ２を示すものであ
る。各誘電体板１４ａ，１４ｂ，１４ｃは、各々離脱自
在の接着剤等によって固着される。地板用誘電体板１４
ｃは、放射器１１よりもやや開口端よりのコーナリフレ
クタ１２との接合部位付近に固着される。

【００１７】各誘電体板１４ａ，１４ｂ，１４ｃの材質
には、例えばテフロンやＡＢＳ樹脂を用いることができ
る。また、その形状は、図３のような平板のほか、所望
の放射パターンに応じて、図４のように厚みが開口端に
向かうにつれて徐々に低減するもの、あるいは図５のよ
うに段階的に低減するものを用いることができる。

【００１８】各誘電体板１４ａ，１４ｂ，１４ｃの寸法
形状や配設部位とアンテナ特性との関係を、例えば１
９．５ＧＨｚの電磁波（波長１５．７３ｍｍ）を用いた
場合の実測値である図１０〜図１４を参照して説明す
る。

【００１９】図１０（ａ）は、側壁用誘電体板１４ａ，
１４ｂに平板状のテフロンを用いた場合のコーナリフレ
クタ付きモノポールアンテナの寸法例（単位：ｍｍ）を
示す正面断面図であり、同（ｂ）はその側部断面図であ
る。同（ｃ）は、放射器１１の高さを３．４ｍｍ、コー
ナリフレクタ１２の高さ（幅）および側壁用誘電体板１
４ａ，１４ｂの高さを１０ｍｍとし、側壁用誘電体板１
４ａ，１４ｂの開口端方向の幅Ｗｔと厚みＴｔを変えた
場合の垂直面内（ＥＬ）Ｆ／Ｂ比（Ｆ／Ｂ比はフロント
ビーム強度に対するバックローブ強度比、以下同じ）、
同（ｄ）は円錐面内（ＡＺ）Ｆ／Ｂ比、同（ｅ）は円錐
面内半値幅、同（ｆ）は垂直面内半値幅、同（ｇ）はチ
ルト角、すなわち地板１０と平行の面に対する仰角、同
（ｈ）はゲイン（利得）の変化の様子を表している。

【００２０】図１０（ｃ）〜（ｈ）において、従来のよ
うに側壁用誘電体板１４ａ，１４ｂを配設しない場合の
特性値は、その幅Ｗｔを“０”とした場合の値である。
したがって、図１０（ａ）および（ｂ）に例示する寸法
のコーナリフレクタ付きモノポールアンテナでは、厚み
Ｔｔが３ｍｍで幅Ｗｔが２０ｍｍ前後の側壁用誘電体板
１４ａ，１４ｂを配設することにより、各面内のＦ／Ｂ
比、垂直面内半値幅、チルト角、ゲインを実用範囲に維
持したまま、円錐面内半値幅を狭めることができること
がわかる。

【００２１】また、図１１（ａ）は、側壁用誘電体板１
４ａ，１４ｂにステップ状のテフロンを用いた場合のコ
ーナリフレクタ付きモノポールアンテナの寸法例（単
位：ｍｍ）を示す正面断面図であり、同（ｂ）はその側
部断面図である。同（ｃ）〜（ｈ）は、側壁用誘電体板
１４ａ，１４ｂの第１ステップの厚みＴ１および開口端
方向の幅Ｗ１を一定値（３ｍｍ；２０ｍｍ）とし、第２
ステップの厚みＴ２および幅Ｗ２を変えた場合のアンテ
ナ特性の変化を示す図である。アンテナ特性については
図１０（ｃ）〜（ｈ）と同様である。

【００２２】図１１（ｃ）〜（ｈ）において、幅Ｗ２を
“０”とした場合は平板状のものとなり、図１０の場合
と比べて開口端付近の形状が異なる分だけ違いがみられ
るものの、ほぼ同様の効果が得られている。また、幅Ｗ
２を変化することにより各面内のＦ／Ｂ比を高く維持で
きるほか、各半値幅を大きく変えられることがわかる。
しかもこのような効果は、厚みＴ１，Ｔ２が図１０の場
合より薄くとも安定的に得られるので、側壁用誘電体板
１４ａ，１４ｂを配設したことによる反射特性の劣化を
最小限に抑えることができることがわかる。

【００２３】図１２〜図１４は、地板用誘電体板１４ｃ
によるアンテナ特性の変化を示すものである。このう
ち、図１２（ａ）は、地板用誘電体板１４ｃに平板状の
テフロンを用いた場合の寸法例（単位：ｍｍ）を示す正
面図であり、同（ｂ）はその側面図である。同（ｃ）
は、放射器１１の高さを３．８ｍｍ、コーナリフレクタ
１２のコーナ部の高さを２０ｍｍ、開口端付近での高さ
を１５ｍｍ、コーナ部から開口端までの地板の長さを４
９ｍｍとし、地板用誘電体板１４ｃの厚みＴｈおよび開
口端方向の長さ（幅）Ｌｔを変えた場合のＦ／Ｂ比の変
化、同（ｄ）は垂直面内半値幅の変化を示す図である。

【００２４】図１２（ｃ）および（ｄ）において、従来
のように地板用誘電体板１４ｃを配設しない場合の特性
値は、幅Ｌｔを“０”とした場合の値である。したがっ
て、図１２（ａ）および（ｂ）に例示する寸法のコーナ
リフレクタ付きモノポールアンテナでは、厚みＴｈが３
ｍｍで幅Ｌｔが２２ｍｍ前後の地板用誘電体板１４ｃを
配設することにより、Ｆ／Ｂ比を実用範囲に維持したま
ま、垂直面内半値幅を拡げることができる。但し、図示
のように、平板状のものは、その厚みＴｈや長さＬの変
化によってＦ／Ｂ比や半値幅が大きく変化するため、設
計および組立時の寸法を正確にする必要がある。

【００２５】図１３（ａ）および（ｂ）は、地板用誘電
体板１４ｃとして、２段階に厚みが変化するステップ状
のテフロンを用いた場合の寸法例（単位：ｍｍ）を示す
正面図および側面図である。また、同（ｃ）および
（ｄ）は、開口端方向の全体の幅Ｌｔ２を２２ｍｍに固
定し、第１ステップ幅Ｌｔ１のみを変えた場合のＦ／Ｂ
比および垂直面内半値幅の変化を示す図である。

【００２６】図１３に示されるように、地板用誘電体板
１４ｃをステップ状にすることにより、全体的な厚みを
薄く抑えつつＦ／Ｂ比を高く、且つ垂直面内半値幅を拡
げることができる。したがって、地板用誘電体板１４ｃ
を配設したことに伴う反射特性の劣化を最小限に抑える
ことができる。また、このような効果は、幅Ｌｔ１の変
化にさほど左右されないので、その設計および組立が図
１２の場合よりも容易になる。

【００２７】図１４（ａ）は、地板用誘電体板１４ｃに
３段階に厚みが変化するステップ状のテフロンを用いた
場合の寸法例（単位：ｍｍ）を示す正面図、同（ｂ）は
その側面図である。また、同（ｃ）および（ｄ）は、第
２ステップ幅Ｌｔ２を２２ｍｍ、第３ステップ幅を３０
ｍｍに固定し、第１ステップ幅Ｌｔ１のみを変化させた
場合のＦ／Ｂ比および垂直面内半値幅の変化を示す図で
ある。また、同（ｅ）および（ｆ）は、第１ステップ幅
Ｌｔ１を８ｍｍ、第３ステップ幅Ｌｔ３を３０ｍｍに固
定し、第２ステップ幅Ｌｔ２のみを変化させた場合のＦ
／Ｂ比および垂直面内半値幅の変化を示す図である。こ
れらの図に示されるように、Ｆ／Ｂ比を安定且つ高く維
持したまま、垂直面内半値幅を拡げることができる。

【００２８】なお、図示していないが、図４（ａ）およ
び（ｂ）に示すテーパ状のものは、ほぼ平板状のものと
ステップ状のものとを平均したアンテナ特性が得られ
る。

【００２９】以上のような誘電体板とアンテナ特性との
関係に鑑みると、図１に示す構成のコーナリフレクタ付
きモノポールアンテナでは、地板１０に平行となる方向
の半値幅を狭めることができ、また、図２に示す構成で
は、地板１０に垂直となる方向の半値幅を拡げ、且つ地
板１０に平行となる方向の半値幅を狭めることができ
る。

【００３０】（第２実施形態）図６（ａ）は、本発明の
アンテナ装置の他の実施形態となる複数セクタ型アンテ
ナの一例を示す側面図、同（ｂ）はその俯瞰図である。
図示の例では、導電性円板から成る一枚の地板３０上に
１２個のコーナリフレクタ３２を放射状に垂設するとと
もに、各コーナリフレクタ３２のコーナ部から所定距離
だけ離れた位置に放射器３１を垂設して、第１実施形態
で説明したコーナリフレクタ付きモノポールアンテナを
１２セクタ分一体化させた全方位性の複数セクタ型アン
テナ３を構成している。

【００３１】コーナリフレクタ３２を形成する導電性壁
板は、各々隣設のものと共通に使用されている。図中、
（１）〜（１２）はセクタ番号であり、各々のセクタが
３０度毎の方位に対応するようになっている。セクタ毎
に配設される地板用誘電体板３３および側壁用誘電体板
３４は、その厚み、開口端方向の長さ、ステップ数ない
しステップ幅、および各々の配設部位が、この複数セク
タ型アンテナ３を組み込む筐体平板２０の形状に合わせ
て任意に変えられるようになっている。図示の例では、
隣設セクタの各誘電体板３３，３４を異なる態様で配設
するとともに、地板３０の中心に対して対称となるセク
タ同士の各誘電体板３３，３４を各々共通の態様で配設
している。

【００３２】上記構成の複数セクタ型アンテナ３におけ
る垂直面内半値幅（deg)は図７に実線で示すとおりであ
り、各誘電体板３３，３４を配設しない場合（破線）に
比べて対称性が得られている。このように、個々のセク
タにおける地板用誘電体板３３または側壁用誘電体板３
４の寸法形状やステップ数ないしステップ幅、あるいは
その配設部位を任意に調節することにより、事後的に方
位毎の放射パターンの修正を行うことができる。なお、
以上は１２セクタを形成するアンテナの例であるが、セ
クタ数は任意であってよいのは勿論である。

【００３３】（第３実施形態）次に、本発明のアンテナ
部品の実施形態を図８および図９を参照して説明する。
図８は、第２実施形態のアンテナを構成するために用い
られる誘電体ユニット７とアンテナユニット８の分解組
立図である。ここでは、便宜上、６セクタ型アンテナユ
ニットの例が示されている。

【００３４】図下段のアンテナユニット８は、導電性円
板から成る地板８０上に、全方位を６等分する角度でコ
ーナ部および開口端を形成した６個のコーナリフレクタ
８２が垂設されている。各コーナリフレクタ８２により
分割され、各々のコーナ部から所定距離だけ離れた地板
８０の表面部には、放射器８１が垂設されている。な
お、図示の例では、各コーナリフレクタ８２を形成する
導電性壁板の幅（地板８０からの高さ）が均一でその先
端部の位置が地板８０の周端位置と一致するようにして
いるが、後述のレドーム９を一体化することを前提とす
る場合は、導電性壁板の上端部を先端に向かうにつれて
テーパ状に低減させ、先端部の位置を地板８０の周端位
置よりもやや内側にする。

【００３５】図上段の誘電体ユニット７は、各コーナリ
フレクタ８２を形成する導電性壁板の厚み分の間隔で平
行に配した一対の側壁用誘電体板７２を、アンテナユニ
ット８への装荷時に各コーナリフレクタ８２のコーナ部
付近に填込まれるように６組並べ、これらを接合具７１
で接合して一体化したものである。なお、図示の誘電体
ユニット７は、コーナリフレクタ８２の対向内側壁のみ
に配設される複数の側壁用誘電体板７２を一体化したも
のであるが、分割された地板８０の表面部に配設される
地板用誘電体板（図示省略）を併せて一体化する場合
は、各側壁用誘電体板７２と地板用誘電体板とを予め一
体に成形しておけばよい。

【００３６】アンテナ装置を組み立てる場合は、図８に
矢示するように、アンテナユニット８の上部から誘電体
ユニット７を填め込む。これにより上述の第２実施形態
で説明したような、複数セクタ型アンテナ３を容易に構
成することができる。セクタ毎に指向特性を調節する場
合は、予めあるいは事後的に側壁用誘電体板７２や地板
用誘電体板のステップ数やステップ幅あるいは全体形状
を所望のものに変えればよい。

【００３７】図９は、上記誘電体ユニット７に緩衝部材
７３を介してレドーム９を一体化したものである。この
レドーム９は、誘電体ユニット７はもとより、装荷時の
アンテナ装置の放射器側の露出部を包囲する形状を有
し、電磁波を透過する部材、例えばＡＢＳ樹脂から成る
ものである。このようにすれば、指向特性、反射特性、
利得の低下を抑えつつ、風雨や塵の影響を防止すること
ができる。

【００３８】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のアンテナ装置によれば、コーナリフレクタの対向内側
壁と地板の表面部の少なくとも一方に配設される誘電体
板によって、地板と垂直方向の半値幅および水平方向の
半値幅を含むアンテナ特性が変化するので、誘電体板の
寸法形状あるいは配設部位をアンテナ筐体等の形状に併
せて事後的に調節することにより所望の放射パターンを
容易に得ることができる。そのため、従来のようにアン
テナ装置の設計の段階で多くの計算を行ったり、組立時
に実験を繰り返す必要がなくなる。また、誘電体板を配
設することを前提とすることで、アンテナ装置の形状を
小型化することができる。

【００３９】また、Ｎ個のコーナリフレクタ付きモノポ
ールアンテナを一体化してＮセクタを形成したアンテナ
装置によれば、各セクタのコーナリフレクタの対向内側
壁と分割された地板の表面部の少なくとも一方に配設さ
れる誘電体板によって放射パターンをセクタ単位に修正
することができる。

【００４０】さらに、本発明の誘電体ユニットをアンテ
ナユニットに装荷するだけで放射パターンが調節された
アンテナ装置を容易に構成できるので、組立作業が大幅
に削減されるとともに、共通仕様のアンテナユニットを
量産することができ、アンテナ装置のコストの低減化が
可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態を表すコーナリフレクタ
付きモノポールアンテナの外観斜視図。

【図２】図１の構成の一部を変えたコーナリフレクタ付
きモノポールアンテナの外観斜視図。

【図３】（ａ）は平板状の側壁用誘電体板の一例を示す
外観斜視図、（ｂ）は平板状の地板用誘電体板の一例を
示す外観斜視図。

【図４】（ａ）はテーパ状の側壁用誘電体板の一例を示
す外観斜視図、（ｂ）はテーパ状の地板用誘電体板の一
例を示す外観斜視図。

【図５】（ａ）はステップ状の側壁用誘電体板の一例を
示す外観斜視図、（ｂ）はステップ状の地板用誘電体板
の一例を示す外観斜視図。

【図６】（ａ）は本発明の第２実施形態を表す複数セク
タ型アンテナ装置の側面図、（ｂ）はその俯瞰図。

【図７】図６の構成に係るアンテナ装置における垂直面
内の放射パターン特性図。

【図８】本発明の第３実施形態を表すアンテナ装置の分
解組立図。上段は誘電体ユニット、下段はアンテナユニ
ットを示す。

【図９】図８の誘電体ユニットにレドームを一体化させ
た例を示す外観斜視図。

【図１０】（ａ）および（ｂ）は、側壁用誘電体板に平
板状のテフロンを用いた場合の寸法例（単位：ｍｍ）を
示す正面断面図および側部断面図、（ｃ）〜（ｈ）は、
この側壁用誘電体板の厚みや開口端方向の幅を変えた場
合のアンテナ特性の変化を示す図。

【図１１】（ａ）および（ｂ）は、側壁用誘電体板にス
テップ状のテフロンを用いた場合の寸法例（単位：ｍ
ｍ）を示す正面断面図および側部断面図、（ｃ）〜
（ｈ）は、この側壁用誘電体板の厚みや開口端方向の幅
を変えた場合のアンテナ特性の変化を示す図。

【図１２】（ａ）および（ｂ）は、地板用誘電体板に平
板状のテフロンを用いた場合の寸法例（単位：ｍｍ）を
示す正面図および側面図、（ｃ）および（ｄ）は、地板
用誘電体板の厚みや開口端方向の幅を変えた場合のアン
テナ特性の変化を示す図。

【図１３】（ａ）および（ｂ）は、地板用誘電体板に２
段階に厚みが変化するステップ状のテフロンを用いた場
合の寸法例（単位：ｍｍ）を示す正面図および側面図、
（ｃ）および（ｄ）は、この地板用誘電体板における開
口端方向の第１ステップ幅を変えた場合のアンテナ特性
の変化を示す図。

【図１４】（ａ）および（ｂ）は、地板用誘電体板に３
段階に厚みが変化するステップ状のテフロンを用いた場
合の寸法例（単位：ｍｍ）を示す正面図および側面図、
（ｃ）〜（ｆ）は、この地板用誘電体板の開口端方向の
第１または第２ステップ幅を変えた場合のアンテナ特性
の変化を示す図。

【図１５】従来のコーナリフレクタ付きモノポールアン
テナの外観斜視図。

【符号の説明】

１，２，４ コーナリフレクタ付きモノポールアン
テナ ３ 全方位性の複数セクタ型アンテナ ７ 誘電体ユニット ８ アンテナユニット ９ レドーム １０，３０，８０ 導電性平板から成る地板 １１，３１，８１ 放射器 １２，３２，８２ コーナリフレクタ １３ コネクタ部 １４ａ，１４ｂ，３４，７２ 側壁用誘電体板 １４ｃ，３３ 地板用誘電体板

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸山 珠美 東京都新宿区西新宿３丁目19番２号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 上原 一浩 東京都新宿区西新宿３丁目19番２号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 白土 正 東京都新宿区西新宿３丁目19番２号 日 本電信電話株式会社内 (56)参考文献 実開 平７−42213（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−198706（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) H01Q 5/00 - 11/20 H01Q 15/00 - 19/32 H01Q 3/00 - 3/46 H01Q 21/00 - 25/04

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 導電性平板から成る地板の表面部に放射
   器とコーナリフレクタとを所定間隔で垂設し、前記放射
   器から輻射された電磁波が前記コーナリフレクタおよび
   地板の表面部で反射されて開口端の方向に導かれるよう
   に構成したアンテナ装置において、 前記コーナリフレクタの対向内側壁と前記地板の表面部
   の少なくとも一方に、透過する前記電磁波の伝搬速度を
   変化させる誘電率を持ち、前記開口端に向かうにつれて
   厚みが低減する誘電体板を配設したことを特徴とするア
   ンテナ装置。
2. 【請求項２】 導電性平板から成る地板の表面部にＮ
   （Ｎは２以上の自然数）本の放射器と個々の放射器に対
   応するＮ個のコーナリフレクタとを所定間隔で垂設し、
   各放射器から輻射された電磁波が当該放射器に対応する
   コーナリフレクタおよびこのコーナリフレクタで分割さ
   れた地板の表面部で反射されて各々の開口端の方向に導
   かれるように構成し、 さらに個々の放射器に対応する全部または一部のコーナ
   リフレクタの対向内側壁と前記分割された地板の表面部
   の少なくとも一方に、透過する前記電磁波の伝搬速度を
   変化させる誘電率を持ち、前記開口端に向かうにつれて
   厚みが低減する誘電体板を配設したことを特徴とするア
   ンテナ装置。
3. 【請求項３】 前記誘電体板の厚みが段階的に低減する
   ことを特徴とする請求項１または２記載のアンテナ装
   置。
4. 【請求項４】 導電性平板から成る地板の表面部にＮ
   （Ｎは２以上の自然数）本の放射器と個々の放射器に対
   応するＮ個のコーナリフレクタとを所定間隔で垂設し、
   各放射器から輻射された電磁波が当該放射器に対応する
   コーナリフレクタおよびこのコーナリフレクタで分割さ
   れた地板の表面部で反射されて各々の開口端の方向に導
   かれるように構成したアンテナ装置に離脱自在に装荷さ
   れ、装荷時に個々の放射器に対応するコーナリフレクタ
   の対向内側壁と前記分割された地板の表面部の少なくと
   も一方に配設される、透過する前記電磁波の伝搬速度を
   変化させる誘電率の複数の誘電体板を一体化したことを
   特徴とする誘電体ユニット。
5. 【請求項５】 少なくとも前記アンテナ装置の放射器側
   の露出部を包囲する形状の樹脂製レドームを前記複数の
   誘電体板と一体化したことを特徴とする請求項４記載の
   誘電体ユニット。