JP3285472B2 - 音声復号化装置および音声復号化方法 - Google Patents

音声復号化装置および音声復号化方法

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JP3285472B2 JP22074595A JP22074595A JP3285472B2 JP 3285472 B2 JP3285472 B2 JP 3285472B2 JP 22074595 A JP22074595 A JP 22074595A JP 22074595 A JP22074595 A JP 22074595A JP 3285472 B2 JP3285472 B2 JP 3285472B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、符号化した音声
を再生するに際して再生速度を変更できる音声復号化装
および音声復号化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、IC(集積回路)化された数kbps
(キロビット/秒)の音声符号化復号化装置が実用化され
ている。この符号化復号化装置の符号化方法としては、
再生音質が優れているCELP(Code Excited Linea
r Prediction)がよく使われる。そして、このような符
号化復号化装置が留守番機能付き電話等の音声蓄積(録
音再生)装置に使用されるケースが増えてきている。
【0003】上記留守番機能付き電話の音声蓄積装置に
は、録音したメッセージの中から必要な情報を早く見つ
け出すために高速で再生したり、早口のメッセージの内
容を正しく理解するために遅く再生する機能が求められ
る。そこで、通常は、復号化した音声データを再生速度
変換(時間軸圧縮伸長:「早聞き」あるいは「遅聞き」と呼
ばれる場合がある)装置に通して再生速度を変えたり、
音声符号化復号化装置における復号化器自身に再生速度
変換機能を付加したりしている。
【0004】音質の劣化が少なくて音の高さが変わらな
い再生速度変換方法として、一般的には、音声のピッチ
周期間隔で波形を削除したり挿入したりする方法があ
る。その際に、波形の削除または挿入による波形の接続
点での不連続性によって波形に歪みが生じた場合には、
音質が劣化してしまう。そこで、このような歪みが生じ
難いように、波形の接続点をゼロクロス点(波高値が
“0"となる時点か“0"に近い値となる時点)になるよ
うに調節したり、フェードイン・フェードアウトの窓関
数を掛けた接続点近傍の波形同士を加え合わせたりして
いる。尚、波形の不連続性による歪みは、元々の波形が
定常的なほど知覚されやすいのである。
【0005】ところで、上記音声符号化復号化装置の復
号化器自身に再生速度変換機能を付加する方法として、
ピッチ予測マルチパルス音声符号化・復号化方式に音声
速度変換機能を付加する方法(特開平2−93700号
公報)がある。以下、このピッチ予測マルチパルス音声
符号化・復号化方式における音声復号化器について説明
する。
【0006】先ず、ピッチ予測マルチパルス符号化・復
号化方式について簡単に説明する。この符号化・復号化
方式は、基本的には、音声の発声メカニズムを模した方
式である。音声は、声帯で生成されたピッチ周期を有す
る気流が喉から口や鼻に至る空間(声道)において調音さ
れることによって作られる。そこで、符号化時には、入
力音声信号を20ミリ秒程度のフレームに分割し、その
フレーム内のスペクトル包絡とピッチ周期を求めて、振
幅や隣接関係が異なる数本のパルスで成るマルチパルス
音源を作成する。そして、ピッチ合成フィルタを通して
ピッチ成分を有する音源(音声生成におけるピッチ周期
を有する気流に相当)を作り、スペクトル包絡(音声生成
における調音に相当)を持たせるための合成フィルタを
通して音声を合成する。そして、合成音声と入力音声と
の誤差が最も小さくなるように上記マルチパルス音源の
パルス振幅やパルス位置を調節し、その時のパルスの振
幅,位置情報(音源情報)とピッチ情報とスペクトル包絡
情報を符号化するのである。
【0007】復号化時には、上記符号化された音源情
報,ピッチ情報およびスペクトル包絡情報をフレーム単
位で復号化する。そして、上記復号化された音源情報か
ら音源を作り、上記ピッチ情報に基づくピッチ合成フィ
ルタを通してピッチ成分を持った音源を作り、上記スペ
クトル包絡情報に基づく合成フィルタを通して音声を作
成するのである。
【0008】ここで、フレーム内の各時点nにおける音
源をexc(n)(0≦n<Lf、Lfはフレーム長)とし、ピッ
チ情報としてピッチ周期Pおよびピッチ合成フィルタ係
数βi(−Lp≦i≦Lp、iは次数)を用いると、ピッチ
合成フィルタの出力synp(n)は式(1)で示される。
【数1】 ここで、一般的には、Lpは0か1である。上記ピッチ
周期Pおよびフィルタ係数βiが最適である場合には、
ピッチ合成フィルタの出力synp(n)は式(2)となる。
【数2】
【0009】さらに、上記スペクトル包絡情報として線
形予測係数αi(0≦i≦Ls、iは予測次数)を用いた場
合には、合成フィルタの出力(つまり合成音声信号)syn
(n)は式(3)となる。
【数3】
【0010】次に、上記ピッチ予測マルチパルス音声符
号化・復号化方式において音声速度を変更する方法につ
いて説明する。上記ピッチ予測マルチパルス音声符号化
・復号化方式においては、式(2)および式(3)によって
合成音声信号を生成する。そこで、R倍速の再生を行う
場合には、復号化時のフレーム長を符号化時のフレーム
長Lfの1/R倍にして復号化するのである。その際に、
復号化時のフレームの方を符号化時よりも長くする場合
(R<1)には、マルチパルス音源の後に0成分パルスを
補った上で上記ピッチ合成フィルタを通してピッチ成分
を生成した後、合成フィルタを通して調音成分を生成す
るのである。これに対して、復号化時のフレームの方を
符号化時よりも短くする場合(R>1)には、音源情報か
ら作成されたマルチパルス音源の1/R倍までを復号時
のマルチパルス音源とし、上記ピッチ合成フィルタを通
してピッチ成分を生成した後に合成フィルタに通すので
ある。こうすることによって、再生速度はR倍であるが
ピッチ周期はそのままの音声を再生できるのである。
尚、実際には、フレーム境界での歪みを低減させるため
に、復号化時のフレーム長はピッチ長の整数倍となるよ
うにする。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記ピ
ッチ予測マルチパルス音声符号化・復号化方式における
音声復号化器には、以下のような問題がある。
【0012】すなわち、上記音声復号化器に用いられる
ピッチ合成フィルタは、式(1)からIIR(不定期間イ
ンパルス応答)型であり、ピッチ周期P分だけ遡った過
去の出力synp(n−P)が現在の出力synp(n)に影響を与え
るようなフィルタである。したがって、上記音声復号化
器におけるR倍速再生に際して、符号化時のマルチパル
ス音源に0成分を加えたり、符号化時のマルチパルス音
源を打ち切ったりして、復号時のマルチパルス音源とす
ることは、ピッチ周期P分だけ後のピッチ合成フィルタ
出力に悪い影響を与えることになり、結果的に合成音声
の劣化につながるという問題がある。
【0013】また、上述のピッチ予測マルチパルス符号
化・復号化方式においては、符号化時のフレーム長が2
0ミリ秒と十分長いために、上述したR倍速再生は最低
ピッチ周期(男性の低い声に対応)にも対応できる。とこ
ろが、フレーム長が短くてピッチ周期がフレーム長より
長い場合には、R倍速再生に際して以下のように不都合
なことが生じるのである。すなわち、上記ピッチ周期は
各フレーム毎に求められる。したがって、ピッチ周期が
複数のフレームに跨がる場合には、ピッチ周期とフレー
ムとの対応が曖昧となり、R倍速再生に際してどのフレ
ームのピッチ周期を使えば良いのかが明確に分からない
という問題がある。特に、あるフレームにおいてピッチ
周期が半ピッチや倍ピッチとなっている場合には、当該
フレームと隣接フレームとのピッチ周期が大きく異な
る。したがって、このような場合を考慮すると、ピッチ
周期として、例えば複数フレームのピッチ周期の平均を
使用することもできないのである。
【0014】ここで、上記半ピッチとは、ピッチ周期が
本来の2倍であり、ピッチ周波数が本来の半分のことで
ある。また、上記倍ピッチとは、ピッチ周期が本来の半
分であり、ピッチ周期が本来の2倍のことである。この
半ピッチあるいは倍ピッチの存在は、符号化時において
ピッチ周期を求める場合に誤った値を求めてしまう要因
となる。
【0015】そこで、この発明の目的は、ピッチ周期が
フレーム長より長い場合にも適用可能であり音質劣化の
少ない可変速機能を有する音声復号化装置および音声復
号化方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る発明は、ピッチ予測と線形予測を用
いた音声符号化方法による符号列を復号化して得られた
音源情報に基づいて音源信号を生成する音源生成部と,
上記符号列を復号化して得られたピッチ予測情報に基づ
いて上記音源信号にピッチ成分を付加するピッチ合成フ
ィルタと,上記符号列を復号化して得られた線形予測情
報に基づいて上記ピッチ成分が付加された音源信号から
音声信号を合成する音声合成フィルタを有する音声復号
化装置において、再生速度倍率に基づく現時点までの希
望再生時間と現時点までの実際に再生した時間との差を
周期的に検出する再生時間差検出手段を有して,この再
生時間差検出手段によって上記差が検出された場合には
この差の値を0にするような制御信号を出力する再生速
度制御部を備えて、上記ピッチ合成フィルタは,上記制
御信号を受けて,上記ピッチ成分が付加された音源信号
に対してピッチ周期を単位とする区間の削除あるいは繰
り返しの何れか一方を行って上記音声合成フィルタに送
出することを特徴としている。
【0017】上記構成において、音声符号列が復号化さ
れて音源情報,ピッチ予測情報および線形予測情報が得
られる。そして、上記音源情報に基づいて、音源生成部
によって音源信号が生成されると、上記ピッチ予測情報
に基づいて、ピッチ合成フィルタによって上記音源信号
にピッチ成分が付加される。そうすると、再生速度制御
部によって、現時点までの希望再生時間と現時点までの
実際に再生した時間との差が周期的に監視され、上記差
が検出されると上記差の値を0にするような制御信号が
出力される。そして、この制御信号が上記ピッチ合成フ
ィルタによって受けられると、上記ピッチ合成フィルタ
によって、上記ピッチ成分が付加された音源信号に対し
てピッチ周期を単位とする区間の削除あるいは繰り返し
が行われて音声合成フィルタに送出される。そして、上
記音声合成フィルタによって、上記線形予測情報に基づ
いて、上記削除あるいは繰り返しが行われたピッチ成分
を有する音源信号から音声信号が合成される。
【0018】こうして、上記ピッチ合成フィルタによっ
てピッチ成分が付加された音源信号に対してピッチ周期
単位での削除や繰り返しを行った後に上記音声合成フィ
ルタで音声信号を合成することによって、再生速度可変
の影響による音質の劣化を抑えて、且つ、音の高さが変
わらない音声が合成される。
【0019】又、請求項2に係る発明は、請求項1に係
る発明の音声復号化装置において、上記ピッチ合成フィ
ルタは,上記ピッチ成分が付加された音源信号における
所定区間を保持する音源信号保持手段を有すると共に、
上記再生速度制御部は,上記音源信号保持手段に保持さ
れている保持音源信号の時間長が現フレームのピッチ周
期以上であることを検知して上記保持音源信号中に削除
あるいは繰り返しの対象となる区間が存在することを検
出する繰り返し・削除区間検出手段と,上記繰り返し・削
除区間検出手段によって上記削除あるいは繰り返しの対
象となる区間の存在が検出されると上記制御信号を出力
する繰り返し・削除処理手段を有して、上記ピッチ合成
フィルタは、上記制御信号を受けると、上記保持音源信
号に対してピッチ周期を単位とする区間の削除あるいは
繰り返しの何れか一方を行って上記音声合成フィルタに
送出するようになっていることを特徴としている。
【0020】上記構成において、ピッチ合成フィルタに
よってピッチ成分が付加された音源信号の所定区間が音
源信号保持手段に保持される。そうすると、上記再生速
度制御部は、繰り返し・削除区間検出手段によって、上
記音源信号保持手段に保持されている保持音源信号の時
間長が現フレームのピッチ周期以上であることを検知し
て上記保持音源信号中に上記削除あるいは繰り返しの対
象となる区間が存在することを検出する。そして、繰り
返し・削除処理手段によって上記制御信号が出力され、
この制御信号が上記ピッチ合成フィルタによって受けら
れると、上記保持音源信号に対して削除区間の削除ある
いは繰り返し区間の繰り返しが行われて上記音声合成フ
ィルタに送出される。すなわち、上記音源信号保持手段
に保持される音源信号の所定区間長が最大ピッチ周期以
上のフレーム単位に設定されていれば、上記ピッチ周期
がフレーム長より大きくても、上記ピッチ合成フィルタ
によってピッチ成分が付加された音源信号に対して確実
にピッチ周期単位での削除や繰り返しが行われる。
【0021】又、請求項3に係る発明は、請求項1に係
る発明の音声復号化装置において、上記再生速度制御部
は、再生速度を遅くする場合に、上記再生時間差検出手
段によって希望再生時間と実際に再生した時間との差の
値が負の所定値以下になったと判定すると、上記ピッチ
成分が付加された音源信号のピッチ周期を単位とする繰
り返し区間を複数回繰り返して上記音声合成フィルタに
送出させる制御信号を出力して、上記希望再生時間と実
際に再生した時間との差を速やかに0に近づけるように
なっていることを特徴としている。
【0022】上記構成によれば、現時点までの実際に再
生した時間が希望再生時間に近づかないために現時点ま
での希望再生時間と実際に再生した時間との差の値が負
の所定値以下になった場合には、上記ピッチ成分が付加
された音源信号の繰り返し区間が複数回繰り返されて上
記実際の再生時間が希望再生時間になるように最適に制
御される。
【0023】又、請求項4に係る発明は、ピッチ予測と
線形予測を用いた音声符号化方法による符号列を復号化
して得られた音源情報に基づいて音源信号を生成する音
源生成部と,上記符号列を復号化して得られたピッチ予
測情報に基づいて上記音源信号にピッチ成分を付加する
ピッチ合成フィルタと,上記符号列を復号化して得られ
た線形予測情報に基づいて上記ピッチ成分が付加された
音源信号から音声信号を合成する音声合成フィルタを有
する音声復号化装置において、再生速度倍率の値が1以
上であるか否かを判定して,判定結果を表す信号を出力
する再生速度倍率判定部と、再生速度倍率に基づく現時
点までの希望再生時間と現時点までの実際に再生した時
間との差を周期的に検出する再生時間差検出部と、上記
再生時間差検出部によって上記差が検出された場合であ
って,且つ,上記再生速度倍率判定部からの上記再生速度
倍率の値が1以上であることを表す信号を受けた場合に
は,上記差の値を0にするような第1の制御信号を出力
する削除処理部と、上記再生時間差検出部によって上記
差が検出された場合であって,且つ,上記再生速度倍率判
定部からの上記再生速度倍率の値が1より小さいことを
表す信号を受けた場合には,上記差の値を0にするよう
第2の制御信号を出力する繰り返し処理部を備えて、
上記ピッチ合成フィルタは、上記第1の制御信号を受け
た場合には、上記ピッチ成分が付加された音源信号のピ
ッチ周期を単位とする削除区間を削除して上記音声合成
フィルタに送出する一方、上記第2の制御信号を受けた
場合には、上記ピッチ成分が付加された音源信号のピッ
チ周期を単位とする繰り返し区間を繰り返して上記音声
合成フィルタに送出することを特徴としている。
【0024】上記構成において、再生時間差検出部によ
って希望再生時間と実際の再生時間との差が検出され、
且つ、再生速度倍率判定部によって再生速度倍率の値が
1以上であると判定されると、削除処理部によって第1
の制御信号が出力される。そして、この第1の制御信号
を受けた上記ピッチ合成フィルタによって、上記ピッチ
成分が付加された音源信号のピッチ周期を単位とする削
除区間が削除されて上記合成フィルタに送出される。こ
れに対して、上記再生時間差検出部によって上記差が検
出され、且つ、上記再生速度倍率判定部によって再生速
度倍率の値が1より小さいと判定されると、繰り返し処
理部によって第2の制御信号が出力される。そして、こ
の第2の制御信号を受けた上記ピッチ合成フィルタによ
って、上記ピッチ成分が付加された音源信号のピッチ周
期を単位とする繰り返し区間が繰り返されて上記合成フ
ィルタに送出される。こうして、上記再生速度倍率の値
に応じて、再生速度を通常の再生速度より速める早聞き
処理と遅める遅聞き処理とに切り替えられる。
【0025】又、請求項5に係る発明は、ピッチ予測と
線形予測とを用いた音声符号化方法による符号列を復号
化して得られた音源情報に基づいて音源生成部によって
音源信号を生成し,上記符号列を復号化して得られたピ
ッチ予測情報に基づいてピッチ合成フィルタによって上
記音源信号にピッチ成分を付加し,上記符号列を復号化
して得られた線形予測情報に基づいて音声合成フィルタ
によって上記ピッチ成分が付加された音源信号から音声
信号を合成する音声復号化方法において、再生速度倍率
に基づく現時点までの希望再生時間と現時点までの実際
に再生した時間との差を再生時間差検出部によって周期
的に検出し、上記再生時間差検出部によって上記差が検
出された場合には,再生速度制御部によって上記差の値
を0にするような制御信号を出力し、上記制御信号に基
づいて,上記ピッチ合成フィルタによって,上記ピッチ成
分が付加された音源信号に対して,ピッチ周期を単位と
する区間の削除あるいは繰り返しの何れか一方を行い、
上記音声合成フィルタによる音声信号の合成は,上記削
除あるいは繰り返しの何れか一方が行われた音源信号に
対して行われることを特徴としている。
【0026】上記構成において、再生時間差検出部によ
って、現時点までの希望再生時間と現時点までの実際に
再生した時間との差が周期的に監視され、上記差が検出
された場合には、再生速度制御部によって、上記差の値
を0にするような制御信号が出力される。そして、この
制御信号に基づいて、ピッチ合成フィルタによって、ピ
ッチ成分が付加された音源信号に対してピッチ周期を単
位とする区間の削除あるいは繰り返しが行われる。こう
して、上記ピッチ合成フィルタによってピッチ周期単位
での削除や繰り返しを行った後に、音声合成フィルタで
音声信号を合成することによって、再生速度可変の影響
による音質の劣化を抑えて、且つ、音の高さが変わらな
い音声が合成される。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、この発明を図示の実施の形
態により詳細に説明する。図1は本実施の形態の音声復
号化装置におけるブロック図である。この音声復号化装
置に適用する符号化方式は、上記CELP符号化方式や
ピッチ予測マルチパルス符号化方式等の音声の発声メカ
ニズムを模した音声符号化方式である。
【0028】尚、上記CELP符号化方式は、短いフレ
ーム長での符号化方式であり、5ミリ秒程度のフレーム
長を用いるのが一般的である。このCELP符号化方式
も、上記ピッチ予測マルチパルス符号化方式と同様に音
声の発声メカニズムを模した音声符号化方式であり、ピ
ッチ成分を含まない音源として雑音成分を使用する。す
なわち、符号化部および復号化部は、音源として共通の
雑音コードブックを有しており、符号化時に音源として
最適な雑音を見つけるようにしている。
【0029】デマルチプレクサ1は、この復号化装置に
対応する符号化装置(図示せず)によって作成された符号
列から、フレーム単位(フレーム長=Lf)の音源情報(パ
ルスの振幅,位置),ピッチ情報(ピッチ周期Pとピッチ予
測係数β)およびスペクトル包絡情報(線形予測係数α)
を復号化して取り出す。再生速度制御部2は、上記デマ
ルチプレクサ1からのピッチ周期Pとピッチ予測係数β
に基づいて、再生速度倍率Rに従った再生音声を作るた
めにピッチ合成フィルタ4,線形予測係数メモリ5およ
び合成フィルタ6を制御する。そして、ピッチ合成フィ
ルタ4で後に詳述するようにして生成されるピッチ成分
を加えた音源synp(n)の一部を削除したり繰り返したり
して、音源synp'(n)(0≦n<L、Lは音源の長さ)を作
成し、このピッチ成分を有する音源synp'(n)に基づいて
音声合成を行う。この場合、音源の長さLはフレーム長
Lfに依らない。
【0030】ここで、上記再生速度制御部2が削除した
り繰り返したりする区間は、ピッチ周期Pになるように
決められる。符号化方式によっては、例えば無声音が合
成される場合のようにピッチ情報を用いないフレームが
存在する場合がある。このような場合には、問題なく処
理できるようにピッチ周期P=0とする。つまり、削除
したり繰り返したりする区間長を0として扱うのであ
る。尚、上記再生速度制御部2のより詳細な説明は後で
行う。
【0031】ピッチ無し音源生成部3は、上記デマルチ
プレクサ1からの音源情報に基づいて、ピッチ成分を含
まない音源exc(n)(0≦n<Lf)を生成する。ここで、
符号化方式が上記CELP符号化方式の場合には、ピッ
チ無し音源生成部3は雑音コードブックを有し、この雑
音コードブックから音源情報に基づいて雑音信号を取り
出して、上記ピッチ成分を含まない音源として出力す
る。これに対して、符号化方式が上記マルチパルス符号
化方式の場合には、ピッチ無し音源生成部3は音源情報
に基づく振幅と位置とに基づいてパルス列を生成する。
上記ピッチ合成フィルタ4は、上記ピッチ無し音源生成
部3で生成されたピッチ成分を含まない音源exc(n)か
ら、ピッチ成分を加えた音源synp(n)(0≦n<Lf)を
生成する。尚、ピッチ合成フィルタ4についても後に詳
細に説明する。
【0032】上記線形予測係数メモリ5は、現フレーム
と過去Fmax分のフレームとで成る(Fmax+1)個のフ
レーム分の線形予測係数αを記憶しておく。ここで、F
maxは式(4)によって求める。 Fmax=ceil(Pmax/Lf) …(4) 但し、 Pmax:ピッチ周期の最大値 ceil(x):x以上の整数で最小となる値
【0033】今、記憶している線形予測係数αを夫々α
kとする(k:現フレームを0として−Fmax≦k≦0の
整数)と、線形予測係数メモリ5は、再生速度制御部2
からの制御信号に従って、音源synp'(n)に対応する線形
予測係数αkを合成フィルタ6に出力するのである。そ
の後、再生速度制御部2の制御の下に合成フィルタ6の
動作が終了すると、式(5)によって、記憶している線形
予測係数αkの更新を行う。 αk-1←αk (−Fmax+1≦k≦0) …(5)
【0034】上記合成フィルタ6は、上記再生速度制御
部2からの制御信号に基づいて、ピッチ合成フィルタ4
からのピッチ成分を有する音源synp(n)の一部を削除し
たり繰り返したりした音源synp'(n)を受け取り、この音
源synp'(n)に適した線形予測係数αkを線形予測係数メ
モリ5から受け取る。そして、式(3)に従ってフィルタ
リングを行って、合成音声syn(n)(0≦n<L)を生成す
る。尚、上記合成フィルタ6は、上述のようにフレーム
単位でフィルタリング処理を行わない。したがって、実
時間再生処理の必要がある場合には、合成フィルタ6の
出力データを一時的に蓄える一方、その蓄えたデータを
一定時間に1つずつ出力可能なFIFO(First In F
irst Out)メモリ等のバッファメモリが必要である。
【0035】次に、上記ピッチ合成フィルタ4について
詳細に説明する。図2は、上記ピッチ合成フィルタ4の
詳細なブロック図である。このピッチ合成フィルタ4
は、内部フィルタメモリ11とフィルタ出力メモリ12
と乗算器13と加算器14から構成される。尚、本実施
の形態においては、式(1)における次数iの最大値Lp
は、Lp=0としておく。つまり、ピッチ合成フィルタ
4は、式(6)に従ってピッチ合成フィルタリング計算を
行うのである。 synp(n)=exc(n)+β・synp(n-P)(0≦n<Lf) …(6) こうして算出された1フレーム分のピッチ成分を有する
音源synp(n)(Lf個のデータで成る)は、フィルタ出力
メモリ12に格納される。また、フィルタ出力メモリ1
2に格納された現フレームの音源synp(n)は、次フレー
ムの音源synp(n)の算出に際して内部フィルタメモリ1
1に転送される。こうして、内部フィルタメモリ11に
はFmax個のフレーム分のピッチ成分を有する音源synp
(n)が保持されているのである。つまり、上記ピッチ合
成フィルタ4は、内部フィルタメモリ11から読み出し
た前フレームの音源synp(n-Lf)を用いて式(6)に従っ
て現フレームの音源synp(n)を算出してフィルタ出力メ
モリ12に格納するのである。
【0036】そこで、上記内部フィルタメモリ11の長
さLimは、式(7)で表される長さが必要なのである。 Lim=Fmax・Lf …(7) また、上記内部フィルタメモリ11のアドレスは、図2
に示すように、順に、−Lim,−(Lim+1),…,−1と
割り付ける。そして、各々のアドレスには、以前のフレ
ームでの時点nにおけるピッチ成分を有する音源synp
(n)を格納するのである。例えば、上記内部フィルタメ
モリ11のアドレス“−1"に格納される音源synp(−
1)は、前フレームにおける時点“Lf−1"で算出され
た音源synp(Lf−1)である。一方、上記フィルタ出力
メモリ12の長さは1フレーム分あれば十分であり、フ
レーム長Lfと同じである。そして、アドレスは順に0,
1,…,(Lf−1)と割り付ける。尚、図2においては、
1つのメモリを内部フィルタメモリ11とフィルタ出力
メモリ12とに分割しているが、勿論別々のメモリ構成
でも差し支えない。
【0037】本実施の形態におけるピッチ合成フィルタ
4と従来の可変速機能を有する音声復号化装置における
ピッチ合成フィルタとの大きな違いは、内部フィルタメ
モリ11の長さである。すなわち、上記従来のピッチ周
期単位で波形を削除したり挿入したりする音声復号化装
置におけるピッチ合成フィルタの内部フィルタメモリの
長さは、ピッチ周期の最大値Pmaxである。これに対し
て本音声復号化装置における内部フィルタメモリ11に
おいては、後に詳述するように、現フレームでのピッチ
合成フィルタリング計算結果synp(n)を現フレームでは
使用せずに後に使用する場合があるので、ピッチ合成フ
ィルタメモリ11をその場合のバッファ代わりにも使用
するのである。そして、そのバッファとして必要な長さ
は、上記ピッチ周期の最大値Pmax以上であってフレー
ム長単位での最小の長さであるLimなのである。このよ
うに、上記バッファの長さをLimとすることによって、
ピッチ周期単位で波形を削除したり挿入したりした際の
接続箇所における波形に歪みが生じないのである。勿
論、上記内部フィルタメモリ11の長さを従来の内部フ
ィルタメモリと同様にPmaxとし、別に長さLimのバッ
ファを設けても良い。しかしながら、その場合には明ら
かに無駄である。
【0038】上記構成のピッチ合成フィルタ4は次のよ
うに動作してピッチ合成フィルタリング計算を行う。す
なわち、式(6)に従った演算処理を実現するために、ピ
ッチ情報であるピッチ周期Pおよびピッチ予測係数βを
デマルチプレクサ1からフレーム単位で受け取る。そし
て、時点n(0≦n<Lf)において、時点nがピッチ周
期Pよりも小さい場合には内部フィルタメモリ11から
データsynp(n-P)を読み出す一方、時点nがピッチ周期
P以上である場合には、時点(n-P)は現フレーム中に在
るのでフィルタ出力メモリ12からデータsynp(n-P)を
読み出す。そして、この読み出したデータsynp(n-P)を
乗算器13でβ倍した後、加算器14によって、ピッチ
無し音源生成部3で生成された音源exc(n)に加算する。
こうして算出されたピッチ成分を有する音源synp(n)は
フィルタ出力メモリ12のアドレスnに格納される。そ
して、上述の動作が終了すると、次のフレームの計算に
備えて内部フィルタメモリ11の記憶内容を次式によっ
て更新する。 synp(n)←synp(n+Lf) (−Lim≦n<0)
【0039】上記再生速度制御部2は、再生速度倍率R
と1との大小によって処理内容が異なる。そこで、以
下、再生速度倍率R≧1の早聞き再生および通常再生の
場合と再生速度倍率R≦1の遅聞き再生および通常再生
の場合とに分けて説明する。ここで、上記再生速度倍率
Rと再生時間との関係は、通常速度による再生時間をL
nとすると、再生速度倍率Rでの希望再生時間LhはLh
=Ln/Rとなる。
【0040】(a) 再生速度倍率R≧1の場合(早聞き
再生および通常再生の場合) 上記再生速度制御部2は、ピッチ合成フィルタ4におい
てピッチ合成フィルタリング計算の結果得られたピッチ
成分を有する音源synp(n)の中から、削除できる区間を
次のようにして探す。すなわち、式(2)より、現フレー
ムにおけるピッチ合成フィルタリング計算の結果である
音源synp(n)(0≦n<Lf)は、ピッチ周期Pだけ遡った
音源synp(n-P)と相似である。したがって、音源synp
(n)は時点n=0近傍と時点n=−P近傍とにおいても
相似であると考えられる。しかも、音源synp(n)が定常
的なほどピッチ予測係数βは1に近付く。そこで、synp
(n)(−P≦n<0)を削除区間とするのである。
【0041】この削除の結果、上記ピッチ予測係数βが
1に近い値でない場合は、現フレーム付近は元々非定常
区間であるために、削除区間を削除した後の接続点の不
連続に起因する歪みは知覚され難い。また、βが1に近
い値の場合には現フレーム付近は元々定常区間であるた
めに、接続点の不連続に起因する歪みは知覚され易くな
る。ところが、時点n=−Pと時点n=0とを接続した
際の不連続性は小さいので歪みも小さく、結果的に上記
歪みは知覚され難いのである。
【0042】以下、上記ピッチ予測係数βが1に近い場
合の具体例について述べる。図6(a)はピッチ合成フィ
ルタ4で生成される音源波形であり、図6(b)は削除後
の音源波形である。図6においては、音源は本来パルス
や雑音成分であるが、削除後の連続性を分かり易くする
ために音源波形を三角波で表している。図6(a)におい
て、現フレームの区間0≦n<Lfの音源波形に最も類
似している区間はピッチ周期Pだけ離れた区間−P≦n
<(−P+Lf)であり、時点−P近傍の音源波形は時点
0近傍の音源波形に似ている。したがって、図6(b)の
ように、図6(a)における区間−P≦n<0の音源波形
を削除して現フレームの音源波形を削除しない場合にお
ける、削除後の音源波形における接続点Aでの歪みを小
さくできるのである。尚、図6に示す音源波形は、Lf/
P<1である場合の波形である。これに対して、Lf/P
≧1である場合の音源波形は図7に示すようになる
【0043】本実施の形態においては、後に詳述するよ
うに、一定間隔で一定区間の音源削除を行わない。した
がって、音声の合成処理を行いながら再生時間が再生速
度倍率Rに見合った再生時間になるように調節する必要
がある。そこで、再生時間長の調整用変数remを用いる
のである。上記再生速度制御部2は、ピッチ合成フィル
タ4から音源synp'(n)を合成フィルタ6に送る毎に、式
(8)によって調整用変数remを算出する。 rem(x)=rem(x-1)+Lpb(R−1)−Lc ‥‥(8) ここで、Lpb:実際に再生する区間の時間長 Lc:削除する区間の時間長 x:rem算出回数
【0044】すなわち、上記調整用変数remは、現時点
までの実際に音声を再生した時間長と希望再生時間長と
の差のR倍を表したものであり、その初期値rem(0)は
0である。したがって、調整用変数remが0より小さい
場合には実際の再生時間は希望再生時間より短く、0よ
り大きい場合には実際の再生時間は希望再生時間より長
い。また、調整用変数remが0の場合には再生時間と希
望再生時間とが一致しているのである。
【0045】本実施の形態においては、ピッチ合成フィ
ルタ4で生成されたピッチ成分を有する音源synp(n)か
らピッチ周期P単位で音源を削除する削除処理を行う毎
に調整用変数remを算出して、現時点まで実際に音声を
再生した時間長が希望再生時間長になったかを監視する
のである。
【0046】また、本実施の形態においては、音声の合
成処理を行いながら再生時間を短縮するために、ピッチ
周期Pを越える長さの数フレームに渡って一時的に音声
合成処理を行わない。そして、この音声合成処理を行わ
ないフレーム中に削除区間を検索し、削除区間が存在す
る場合にはピッチ合成フィルタ4における内部フィルタ
メモリ11に格納されている前Lim個のフレームの音源
synp(n)からピッチ周期P単位で音源synp(n)を削除して
音源synp'(n)として出力するのである。
【0047】図8は、上記デマルチプレクサ1,再生速
度制御部2,ピッチ無し音源生成部3およびピッチ合成
フィルタ4によって実行される早聞き再生処理動作のフ
ローチャートである。以下、図8に従って、早聞き再生
処理動作について説明しつつ、主に再生速度制御部2の
動作を説明する。尚、上記早聞き再生処理動作のフロー
チャートにおけるステップS2以外は、総て再生速度制
御部2による処理動作である。
【0048】ステップS1で、上記調整用変数remの初期
値および音声合成処理を行わないフレームのフレーム数
cntの初期値に“0"がセットされる。ステップS2で、
上記デマルチプレクサ1,ピッチ無し音源生成部3およ
びピッチ合成フィルタ4によって、フレーム単位でのピ
ッチ成分を有する音源synp(n)の生成処理が行われて、
ピッチ合成フィルタ4のフィルタ出力メモリ12に格納
される。但し、上記ピッチ合成フィルタ4は、この段階
では内部フィルタメモリ11の記憶内容を更新しないで
おく。また、線形予測係数メモリ5は、現フレームの線
形予測係数α0を記憶しておく。
【0049】ステップS3で、上記調整用変数remの値が
正であるか否かが判別される。その結果、正である場合
にはステップS5に進む一方、そうでなければステップ
S4に進む。このステップでは、上記ピッチ合成フィル
タ4で生成された音源synp(n)に対して削除処理を行う
必要があるかを判定しているのである。すなわち、調整
用変数remの値が正であるということは、現時点までの
実際の再生時間は希望再生時間より長く、生成された音
源synp(n)から更に音源を削除する必要があることを意
味してる。そこで、調整用変数remの値が正の場合に
は、上記ステップS5に移行して、これまでに音声合成
処理を行っていない区間(すなわち、ピッチ合成フィル
タ4の内部フィルタメモリ11に音源synp(n)が格納さ
れている区間)中における削除可能な区間の有無を判定
するのである。これに対して、調整用変数remの値が0
以下の場合には、生成された音源synp(n)から削除する
必要がないと判断して上記ステップS4に移行し、現フ
レームに係る音声合成処理を行うのである。
【0050】ステップS4で、上記ピッチ合成フィルタ
4に対して、上記ステップS2において生成されてピッ
チ合成フィルタ4のフィルタ出力メモリ12に格納され
ている現フレームの音源synp(n)(0≦n<Lf)を読み
出して合成フィルタ6に送出させる制御信号が出力され
る。また、上記線形予測係数メモリ5に対して、現フレ
ームの線形予測係数α0を合成フィルタ6に送出させる
制御信号が出力される。そして、合成フィルタ6に対し
て、現フレームの音声合成を行わせる制御信号が出力さ
れる。そうした後、フレーム数cntに0がセットされ、
式(8)に従って調整用変数remが算出されて、ステップ
S18に進む。この場合、上記音源の長さ(データ長)L=
実際の再生時間長Lpb=フレーム長Lf、削除区間の時
間長Lc=0、フレーム数cnt=0である。したがって、
合成フィルタ6では、通常速度での音声合成処理が行わ
れることになる。
【0051】ステップS5で、次の条件が成立するか否
かが判別される。 P≦cnt・Lf その結果、上記条件が成立する場合にはステップS7に
進み、そうでなければステップS6に進む。このステッ
プでは、音声合成処理を行っていないフレームの長さ
が、ピッチ周期P以上になったか否かを判定するのであ
る。そして、ピッチ周期P以上である場合には、図6
(a)に示すように、上記ステップS2において生成された
現フレーム(0≦n<Lf)における音源synp(n)に相似な
区間が上記ピッチ合成フィルタ4の内部フィルタメモリ
11に格納されている(−P≦n<(−P+Lf))。した
がって、上記相似な区間は削除可能な区間であると判断
して上記ステップS7に移行し、これまで音声の合成を
行っていない区間(内部フィルタメモリ11に音源が格
納されている区間)から上記相似な区間を削除して音声
の合成を行うのである。これに対して、ピッチ周期Pよ
り小さい場合には、音声合成処理を行っていないフレー
ム中に削除可能な区間はないと判断して上記ステップS
6に移行し、音声合成処理を行わないフレームの長さが
ピッチ周期P以上になるのを待つのである。
【0052】ステップS6で、音声合成処理を行わない
フレーム数cntの内容がインクリメントされる。そうし
た後、ステップS18に進む。すなわち、現フレームで
は、音声合成は行われないのである。
【0053】ステップS7で、次の条件 P≦k・Lf を満足する整数k(0<k≦cnt)の最小値kminが求めら
れる。ステップS8で、上記ステップS7において求めら
れた最小値kminが音声合成処理を行わないフレーム数c
ntに等しいか否かが判別される。その結果、等しければ
ステップS10に進み、そうでなければステップS9に進
む。すなわち、上記ステップS7およびステップS8にお
いては、これまで音声合成処理を行っていない区間が、
図6(a)の如く削除区間(−P≦n<0)を含むフレーム
のみであるか、あるいは、図7(a)の如く削除区間(−P
≦n≦0)を含まないフレーム(−2Lf≦n≦−Lf)を
も有するかを判定するのである。そして、削除区間を含
まないフレームを有する場合には、上記ステップS9に
移行して、削除区間を含まないフレームの音声合成処理
を行うのである。
【0054】ステップS9で、これまで音声合成処理を
行っていない区間のうち削除区間を含まないフレームの
音声合成の際の制御が以下のようにして行われる。すな
わち、上記ピッチ合成フィルタ4に対して、k= cnt,
(cnt−1),…,(kmin+1)の順に、上記内部フィル
タメモリ11からsynp(n)(−k・Lf≦n<−(k−1)・
Lf)のデータを読み出して合成フィルタ6に送出させる
制御信号が出力される。また、線形予測係数メモリ5に
対して、上記読み出されたデータに対応する線形予測係
数αkを読み出して合成フィルタ6に送出させる制御信
号が出力される。そして、合成フィルタ6に対して、上
記削除区間を含まないフレームの音声合成を行わせる制
御信号が出力されるのである。その結果、上記合成フィ
ルタ6によって、これまで音声合成処理を行っていない
区間のうち削除区間を含まないフレームの音声合成処理
が行われる。尚、その際におけるデータ長LはLfであ
る。
【0055】ステップS10で、上記ステップS7におい
て求められた最小値kminに基づいてkmin・Lfが算出さ
れる。そして、kmin・Lfの値がピッチ周期Pに等しい
か否かが判別される。その結果、等しければステップS
12に進み、そうでなければステップS11に進む。すなわ
ち、このステップにおいては、ピッチ周期P以上の時間
長を有する最数小のフレーム連鎖の時間長がピッチ周期
Pに等しいか否かを判定するのである。そして、ピッチ
周期Pに等しい場合には、未だ音声合成処理を行ってい
ない区間は削除区間に等しいので音声合成処理を終了す
る。これに対して、ピッチ周期Pに等しくない場合に
は、未だ音声合成処理を行っていない区間には削除区間
を越える区間が存在するので、上記ステップS11に移行
して削除区間を含むフレームの音声合成処理を行うので
ある。
【0056】ステップS11で、これまで音声合成処理を
行っていない区間のうち削除区間を含むフレームの音声
合成の際の制御が以下のようにして行われる。すなわ
ち、上記ピッチ合成フィルタ4に対して、内部フィルタ
メモリ11からsynp(n)(−kmin・Lf≦n<−P)のデー
タ(図6(a)における区間−2Lf≦n<−Pの音源波形
に相当)を読み出して合成フィルタ6に送出させる制御
信号が出力される。また、線形予測係数メモリ5に対し
て、上記読み出されたデータに対応する線形予測係数α
kmin(但し、kminは上記kminのことである)を読み出し
て合成フィルタ6に送出させる制御信号が出力される。
そして、合成フィルタ6に対して、上記削除区間を含む
フレームの音声合成を行わせる制御信号が出力されるの
である。その結果、上記合成フィルタ6によって、これ
まで音声合成処理を行っていない区間のうち削除区間を
含むフレームの音声合成処理が行われる。尚、その際に
おけるデータ長Lは(kmin・Lf−P)である。
【0057】ステップS12で、式(8)に従って調整用変
数remが算出される。ここで、Lpb=cnt・Lf−P、Lc
=Pである。ステップS13で、上記ステップS12におい
て算出された調整用変数remが正であるか否かが判別さ
れる。その結果、正であればステップS15に進み、そう
でなければステップS14に進む。ステップS14で、上記
ステップS4と同様にして、現フレームに係る通常速度
での音声合成処理と、フレーム数cntの初期値設定と、
調整用変数remの算出が行われる。
【0058】ステップS15で、次の条件が成立するか否
かが判別される。 P≦cnt・Lf その結果、上記条件が成立する場合にはステップS17に
進み、そうでなければステップS16に進む。このステッ
プでは、音声合成処理を行っていないフレームの長さが
ピッチ周期P以上であるか否かを判定することによっ
て、現フレームにおける削除区間の有無の判定を行うの
である。すなわち、ピッチ周期P以上である場合には、
現フレームのデータ内にも削除区間が存在する。つま
り、図7(a)に示すように、ピッチ周期で見ると、synp
(n-P)(−P≦n<0)と synp(n)((m−1)P≦n<m
P)とが相似であることを意味している。ここで、mは
1≦m<Lf/Pの範囲内にある整数である。そこで、ピ
ッチ周期P以上である場合には、上記ステップS17に移
行して、mの最大値をmmax(すなわち、現フレーム内に
含まれるピッチ周期Pの数)として、現フレーム内の相
似区間内にあるm個(0≦m≦mmax)のピッチ周期Pに
属する音源synp(n)を削除するのである。その際に、m
が大きいほど(つまり、現フレーム内の削除区間を大き
く取るほど)上記削除区間を含むフレームと現フレーム
との接続箇所でずれが生じ易く、再生音声の音質は劣化
しやすい。しなしながら、式(8)による再生速度の調節
はし易くなる。そこで、本実施の形態では、m=mmax
とする。
【0059】ステップS16で、音声合成処理を行わない
フレーム数cntに“1"がセットされてステップS18に進
む。つまり、これまで音声合成処理を行っていない区間
がピッチ周期Pより小さいので現フレームのデータには
削除区間はないとし、現フレームに対する音声合成処理
は行わずに、次フレームと一緒に行うのである。
【0060】ステップS17で、上記ピッチ合成フィルタ
4に対して、フィルタ出力メモリ12からsynp(n)(m
max・P≦n<Lf)のデータを読み出して合成フィルタ6
に送出させる制御信号が出力される。また、線形予測係
数メモリ5に対して、現フレームの線形予測係数α0
合成フィルタ6に送出させる制御信号が出力される。そ
して、合成フィルタ6に対して、現フレームにおける削
除区間以外の区間の音声合成を行わせる制御信号が出力
されるのである。その結果、上記合成フィルタ6によっ
て、現フレームにおける削除区間以外の区間の音声合成
処理が行われる。尚、その際におけるデータ長Lは(Lf
−mmax・P)である。ここで、データ長L=実際の再生時
間長Lpb、削除期間の時間長Lc=mmax・Pである。ま
た、音声合成処理を行わないフレーム数cntに0がセッ
トされる。そうした後、式(8)に従って調整用変数rem
の計算が行われる。
【0061】ステップS18で、現フレームに係る再生速
度制御および音声合成の処理が終了したので、ピッチ合
成フィルタ4の内部フィルタメモリ11および線形予測
係数メモリ5の記憶内容の更新が行われる。ステップS
19で、現フレームは最終フレームであるか否かが判別さ
れる。その結果、最終フレームでなければ上記ステップ
S2に戻って次のフレームの処理に移行する。一方、最
終フレームであれば、早聞き再生処理動作を終了する。
【0062】次に、以上の早聞き再生および通常速度再
生処理を、図6(a),(b)を用いて更に具体的に説明す
る。ここで、時点0においては、cnt=2(直前2フレー
ム(−2Lf≦n<0)では音声処理を行っていない)、re
m>0(削除区間を探索する状態)とする。先ず、ステッ
プS2において、現フレーム(0≦n<Lf)に係るピッチ
成分を有する音源synp(n)が生成される。そして、ステ
ップS3においてrem>0であると判別されてステップS
5に進む。さらに、図6(a)よりP<cnt・Lf=2Lfであ
るから、ステップS7に進む。上記ステップS7において
は P≦k・Lf を満足するkの最小値kminは“2"であるから、kmin
=cnt=2となる。したがって、音声合成処理を行って
いない区間に削除区間を含まないフレームは存在しない
と判断してステップS10に進む。そして、図6(a)より
min・Lf=2Lf≠PであるからステップS11に進んで
synp(n)(−2Lf≦n<−P)(すなわち、削除区間を含
むフレームにおける削除区間以外の区間の音源)を用い
て、区間−P≦n<0を削除した音声合成処理を行うの
である。そして、ステップS12において算出された調整
用変数remの値はrem≦0であるとするとステップS14に
進み、synp(n)(0≦n<Lf)(すなわち、現フレームの
音源)を用いて現フレームに係る通常速度での音声合成
処理が行われる。。その結果、音声合成処理を行う音源
の区間は図6(b)に示すようになる。こうして、1ピッ
チ周期P分の音源波形を削除することによって、ピッチ
周期Pがフレーム長Lfより長くても、音質の劣化が少
なくて音の高さが変わらない早聞き再生処理が行われる
のである。
【0063】尚、図7(a)の如く、Lf/P≧1である音
源波形の場合(kmin=1,cnt=2)には、ステップS13
において調整用変数remの値はrem>0であると判断され
たとするとステップS15に進む。そして、cnt=2であ
るから、条件“P≦cnt・Lf=2Lf"が成立してステッ
プS17に進み、1≦m≦Lf/Pなる整数mはm=mmax
=1であるからsynp(n)(P≦n<Lf)(すなわち、現フ
レームの削除区間以外の区間の音源)を用いて、現フレ
ームから区間0≦n<Pを削除した音声合成処理を行う
のである。その結果、音声合成処理を行う音源の区間は
図7(b)に示すようになる。こうして、2ピッチ周期2
P分の音源波形を削除した早聞き再生処理が行われるの
である。
【0064】図3は、図8に示す早聞き再生および通常
再生処理を実行するための再生速度制御部2の具体的な
構成例を示す。この再生速度制御部2は、再生時間差検
出部21,削除区間検出部22および削除処理部23を
有する。そして、再生時間差検出部21は、外部から入
力される再生速度倍率Rと削除処理部23からの実際に
再生する区間の時間長Lpbおよび削除する区間の時間長
Lcとに基づいて、式(8)に従って調整用変数remを算出
する。そして、図8に示す早聞き再生処理動作のフロー
チャートにおける上記ステップS3およびステップS13
の判断処理を行う。
【0065】また、上記削除区間検出部22は、デマル
チプレクサ1からのピッチ周期Pと削除処理部23から
の音声合成処理を行わないフレーム数cntと内部メモリ
に格納されたフレーム長Lfに基づいて、図8に示す早
聞き再生処理動作のフローチャートにおける上記ステッ
プS5およびステップS15の判断処理を行って、ピッチ
合成フィルタ4で生成されて内部フィルタメモリ11お
よびフィルタ出力メモリ12に格納されているピッチ成
分を有する音源synp(n)の中で削除できる区間の有無を
検出するのである。また、上記削除処理部23は、図8
に示す早聞き再生処理動作のフローチャートにおけるデ
マルチプレクサ1,ピッチ無し音源生成部3,ピッチ合成
フィルタ4,再生時間差検出部21および削除区間検出
部22による処理以外の処理を行って、音源synp(n)の
中で削除できる区間をピッチ単位で削除した音源synp'
(n)を生成して音声再生するためにピッチ合成フィルタ
4,線形予測係数メモリ5および合成フィルタ6を制御
する制御信号を生成する。
【0066】上述のように、本実施の形態における音声
復号化装置は再生速度制御部2を有し、この再生速度制
御部2には再生時間差検出部21,削除区間検出部22
および削除処理部23を設けている。そして、再生時間
差検出部21は、削除処理毎に、再生速度倍率Rと削除
処理結果とに基づいて調整用変数remを算出する。そし
て、得られた調整用変数remの正否によって、次の削除
処理を行うか否かを判定する。その結果、削除処理を行
う場合には、削除区間検出部22によって、これまで音
声合成処理を行っていない区間および現フレーム中にお
けるピッチ周期P単位での削除区間の有無を検出する。
そして、この検索結果に従って、削除処理部23によっ
て、ピッチ合成フィルタ4によって生成されたピッチ成
分を有する音源synp(n)中から削除区間を削除して音源s
ynp'(n)を生成するための制御信号を出力するようにし
ている。
【0067】したがって、本実施の形態によれば、ピッ
チ予測と線形予測を用いた符号化・復号化方式による音
声復号化装置において、ピッチ周期P単位で音源synp
(n)に対する削除処理を行うことができ、再生音声の音
質劣化が少なく、且つ、ピッチ周期Pがフレーム長Lf
より長い場合でも対処できる音声復号化装置を実現でき
る。また、音声合成処理を行いながら調整用変数remに
よって次の削除処理の実行の可否を判定しているので、
再生速度を指定された再生速度倍率Rになるように正し
く制御できる。
【0068】(b) 再生速度倍率R≦1の場合(遅聞き
再生および通常再生の場合) 上記再生速度制御部2は、ピッチ合成フィルタ4におい
てピッチ合成フィルタリング計算の結果得られたピッチ
成分を有する音源synp(n)の中から、繰り返すことがで
きる区間を次のようにして探す。すなわち、上述したR
≧1の場合と同様に、音源synp(n)(0≦n≦Lf)はピッ
チ周期Pだけ溯った音源synp(n-P)と相似であるからsy
np(n)(−P≦n<0)を繰り返し区間とするのである。
【0069】この繰り返しの結果、上記繰り返し区間を
挿入することによって繰り返し区間の前後に2つの接続
箇所が生ずる。そのうち、後の接続箇所での接続は元々
連続する区間同士の接続であるために、連続性は完全に
保証される。これに対して、前の接続箇所での接続は、
繰り返し区間自身の最後尾の時点と先頭の時点とが接続
される。ところが、ピッチ予測係数βが1に近い値でな
い場合には、現フレーム付近は非定常区間であるために
接続箇所での不連続に起因する歪みは知覚され難い。こ
れに対して、ピッチ予測係数βが1に近い値の場合に
は、繰り返し区間の先頭近傍は現フレームのsynp(n)(0
≦n<P)の先頭付近と殆ど合同であるので接続箇所で
の不連続性は小さくなる。
【0070】以下、上記ピッチ予測係数βが1に近い場
合の具体例について述べる。図6(a)はピッチ合成フィ
ルタ4からの音源波形であり、図6(c)は繰り返し後の
音源波形である。図6(a)における区間−P≦n<0の
波形を時点0の間に挿入することによって、区間−P≦
n<0の波形が繰り返されて、図6(c)に示す波形とな
る。このときの先の接続箇所Bの歪みは小さい。尚、図
6に示す音源波形は、Lf/P<1である場合の波形であ
る。これに対して、Lf/P≧1である場合の音源波形は
図7のようになる。
【0071】本実施の形態においても、R≧1の場合と
同様に、一定間隔で一定区間の音源の挿入(繰り返し)を
行わない。したがって、音声の合成処理を行いながら再
生時間を調節する必要がある。そこで、R≦1の場合に
は式(9)によって調整用変数remを算出するのである。 rem(x)=rem(x-1)+Ln(1/R−1)−Lr …(9) ここで、Ln:通常速度で再生する区間の時間長 Lr:繰り返して再生する区間の時間長 x:remの算出回数
【0072】すなわち、上記調整用変数remは現時点ま
での希望再生時間長と実際に再生した時間長との差を表
している。この調整用変数remが0より小さい場合には
実際の再生時間は希望再生時間より長く、0より大きい
場合には実際の再生時間は希望再生時間より短いことを
示す。
【0073】本実施の形態においては、ピッチ合成フィ
ルタ4で生成されたピッチ成分を有する音源synp(n)に
対してピッチ周期P単位で音源を繰り返す繰り返し処理
を行う毎に調整用変数remを算出して、現時点までに実
際に音声を再生した時間長が希望再生時間長になったか
を監視するのである。
【0074】図9は、上記デマルチプレクサ1,再生速
度制御部2,ピッチ無し音源生成部3およびピッチ合成
フィルタ4によって実行される遅聞き再生処理動作のフ
ローチャートである。以下、図9に従って、遅聞き再生
処理動作について説明しつつ、主に遅聞き再生処理時に
おける再生速度制御部2の動作を説明する。尚、上記遅
聞き再生処理動作のフローチャートにおけるステップS
22以外は、総て再生速度制御部2による処理動作であ
る。
【0075】ステップS21〜ステップS26で、図8に示
す早聞き再生処理動作のフローチャートにおける上記ス
テップS1〜ステップS6と同様にして、調整用変数rem
および音声合成処理を行わないフレームcntの初期値セ
ット、現フレームにおけるピッチ成分を有する音源synp
(n)の生成処理、調整用変数remの正否判別、現フレーム
の音声合成制御とフレーム数cntの初期値セットおよび
調整用変数rem算出、条件P≦cnt・Lfの判別、フレーム
数cntのインクリメントが行われる。ここで、上記ステ
ップS24において行われる調整用変数rem算出は、式
(9)を用いて行われる。但し、Ln=Lf、Lc=0、cnt
=0である。
【0076】上記ステップS25における判定の結果上記
条件P≦cnt・Lfを満たしている場合には、図6(a)ある
いは図7(a)に示すように、上記ステップS22において
生成された現フレーム(0≦n<Lf)における音源synp
(n)に相似な区間がピッチ合成フィルタ4の内部フィル
タメモリ11に格納されている(図6(a)では−P≦n
<(−P+Lf)、図7(a)では−P≦n<0)。したがっ
て、この相似な区間を繰り返すことによって遅聞き再生
が可能となる。そこで、上記条件を満たしている場合に
は、ステップS27に移行して、繰り返し区間の挿入を行
うのである。
【0077】ステップS27で、これまで音声合成処理を
行っていないフレームの音声合成の際の制御が以下のよ
うにして行われる。すなわち、上記ピッチ合成フィルタ
4に対して、k= cnt,(cnt−1),…,1の順に、内部フ
ィルタメモリ11からsynp(n)(−k・Lf≦n<−(k−
1)・Lf)のデータを読み出して合成フィルタ6に送出さ
せる制御信号が出力される。また、線形予測係数メモリ
5に対して、上記読み出されたデータに対応する線形予
測係数αkを読み出して合成フィルタ6に送出させる制
御信号が出力される。そうした後、合成フィルタ6に対
して、音声合成処理を行っていないフレームの音声合成
を行わせる制御信号が出力されるのである。その結果、
上記合成フィルタ6によって、これまで音声合成処理を
行っていないフレームの音声合成処理が行われる。尚、
その際におけるデータ長LはLfである。
【0078】ステップS28で、上記繰り返し区間の音声
合成の際の制御が以下のようにして行われる。すなわ
ち、先ず、 P≦k・Lf を満足する整数k(0<k≦cnt)の最小値kminが求めら
れる。そして、ピッチ合成フィルタ4に対して、上記内
部フィルタメモリ11からsynp(n)(−P≦n<−(k
min−1)・Lf)のデータを読み出して合成フィルタ6に
送出させる制御信号が出力される。また、線形予測係数
メモリ5に対して、上記読み出されたデータに対応する
線形予測係数αkmin(但し、kminはkminのことである)
を読み出して合成フィルタ6に送出させる制御信号が出
力される。そして、合成フィルタ6に対して、繰り返し
区間の音声合成を行わせる制御信号が出力されるのであ
る。その結果、上記合成フィルタ6によって、図6(a)
の如く繰り返し区間(−P≦n<0)が前フレーム区間
(−Lf≦n<0)を越える場合には、繰り返し区間のう
ち前フレーム区間を越える区間(−P≦n<−Lf)の音
声合成処理が行われる。これに対して、図7(a)に示す
如く繰り返し区間(−P≦n<0)が前フレーム区間(−
Lf≦n<0)を越えない場合には、繰り返し区間全体の
音声合成処理が行われるのである。尚、その際における
データ長Lは(P−(kmin−1)・Lf)である。
【0079】次に、上記ピッチ合成フィルタ4に対し
て、k=kmin−1,kmin−2,…,1の順に内部フィル
タメモリ11からsynp(n)(−k・Lf≦n<−(k−1)・
Lf)のデータを読み出して合成フィルタ6に送出させる
制御信号が出力される。また、線形予測係数メモリ5に
対して、上記読み出されたデータに対応する線形予測係
数αkを読み出して合成フィルタ6に送出させる制御信
号が出力される。そうした後、合成フィルタ6に対し
て、繰り返し区間の音声合成を行わせる制御信号が出力
されるのである。その結果、上記合成フィルタ6によっ
て、繰り返し区間のうち前フレーム区間(図6(a)におけ
る区間−Lf≦n<0)の音声合成処理が行われるのであ
る。尚、その際におけるデータ長LはLfである。
【0080】ステップS29〜ステップS33で、図8に示
す早聞き再生処理動作のフローチャートにおける上記ス
テップS12〜16と同様にして、調整用変数remの算出、
調整用変数remの正否判別、現フレームに係る通常速度
での音声合成処理とフレーム数cntの初期値設定および
調整用変数rem算出、条件P≦cnt・Lfの成立判別、フレ
ーム数cntへの“1"のセットが行われる。その際に、上
記ステップS29およびステップS31における調整用変数
remの算出は式(9)によって行われる。但し、上記ステ
ップS29ではLn=cnt・Lf、Lr=Pである。また、上
記ステップS31ではLn=Lf、Lc=0、cnt=0であ
る。
【0081】上記ステップS32における判別の結果上記
条件P≦cnt・Lfが成立する場合には、(a)における上
記早聞き再生および通常再生で述べたように、図7(a)
に示す如く、ピッチ周期で見ると、synp(n-P)(−P≦
n<0)とsynp(n)((m−1)P≦n<mP)とが相似であ
る。ここで、mは1≦m<Lf/Pの範囲内の整数。そこ
で、現フレームにおける上記相似区間synp(n)((m−1)
P≦n<mP、1≦m≦mmax)を繰り返し区間として利
用できるのである。そこで、ステップS34に移行して、
現フレームによる繰り返し音声合成処理を行うのであ
る。
【0082】ステップS34で、先ず、ピッチ合成フィル
タ4に対して、フィルタ出力メモリ12よりm=1から
順に現フレームの繰り返し区間synp(n)((m−1)P≦n
<m・P)のデータ(データ長L=P)を読み出して合成フ
ィルタ6に2回送出させる制御信号が出力される。ま
た、線形予測係数メモリ5に対して、現フレームの線形
予測係数α0を合成フィルタ6に送出させる制御信号が
出力される。そして、合成フィルタ6に対して、現フレ
ームにおける繰り返し区間の音声合成処理を行わせる制
御信号が出力される。その結果、上記合成フィルタ6に
よって、現フレームの繰り返し区間(図7(a)における区
間0≦n<P)の音声合成処理が2回行われるのであ
る。
【0083】次に、上記ピッチ合成フィルタ4に対し
て、上記フィルタ出力メモリ12から現フレームの残り
区間synp(n)(mmax・P≦n<Lf)のデータ(データ長L
=Lf−mmax・P)を読み出して合成フィルタ6に送出さ
せる制御信号が出力される。また、線形予測係数メモリ
5に対して、現フレームの線形予測係数α0を合成フィ
ルタ6に送出させる制御信号が出力される。そして、合
成フィルタ6に対して、現フレームにおける残り区間の
音声合成処理を行わせる制御信号が出力される。その結
果、上記合成フィルタ6によって、現フレームの残り区
間(図7(a)における区間P≦n<Lf)の音声合成処理が
行われるのである。そうした後、上記音声合成処理を行
わないフレーム数cntが初期設定され、式(9)によって
調整用変数remの算出が行われる。ここで、Ln=Lf、
Lc=mmax・Pである。
【0084】ステップS35およびステップS36で、図8
に示す早聞き再生処理動作のフローチャートにおける上
記ステップS18およびステップS19と同様にして、ピッ
チ合成フィルタ4の内部フィルタメモリ11および線形
予測係数メモリ5の更新、最終フレーム判別が行われ
る。そして現フレームが最終フレームであると判別され
ると遅聞き再生処理動作を終了する。
【0085】次に、以上の遅聞き再生および通常再生処
理を、図6(a),(c)に従って更に具体的に説明する。こ
こで、時点0においては、cnt=2(直前2フレーム(−
2Lf≦n<0)では音声処理を行っていない)、rem>0
(繰り返し区間を探索する状態)とする。先ず、ステップ
S22において、現フレーム(0≦n<Lf)に係るピッチ
成分を有する音源synp(n)が生成される。そして、ステ
ップS23においてrem>0であると判別されてステップ
S25に進む。さらに、図6(a)よりP<cnt・Lf=2Lf
であるから、ステップS27に進む。上記ステップS27で
はsynp(n)(−2Lf≦n<−Lf、−Lf≦n<0)(すな
わち、音声合成処理を行っていないフレームの音源)を
用いてフレーム単位で音声合成を行う。さらに、ステッ
プS28において、synp(n)(−P≦n<0)(すなわち、
繰り返し区間の音源)を用いて、−P≦n<−Lf(すな
わち、繰り返し区間のうち前フレームを越える区間)と
−Lf≦n<0(すなわち、繰り返し区間のうち前フレー
ム区間)との2区間に分けて音声合成処理を行うのであ
る。
【0086】そして、上記ステップS29において算出さ
れた調整用変数remの値はrem≦0であるとするとステッ
プS31に進み、synp(n)(0≦n<Lf)(すなわち、現フ
レームの音源)を用いて現フレームに係る通常速度での
音声合成処理が行われる。その結果、音声合成処理を行
う音源の区間は、図6(c)に示すようになる。こうし
て、1ピッチ周期P分の音源波形を挿入することによっ
て、音質の劣化が少なくて音の高さが変わらない遅聞き
再生処理が行われるのである。
【0087】尚、図7(a)の如く、Lf/P≧1である音
源波形の場合(kmin=1,cnt=2)には、ステップS30
において調整用変数remの値はrem>0であると判断され
たとするとステップS32に進む。そして、cnt=2であ
るから、条件“P≦cnt・Lf=2Lf"が成立してステッ
プS34に進み、1≦m≦Lf/Pなる整数mはm=mmax
=1であるからsynp(n)(0≦n<P)(すなわち、現フ
レームの繰り返し区間の音源)を用いて、現フレームの
繰り返し区間の音声合成処理が2回行われる。その後、
synp(n)(P≦n<Lf)(すなわち、現フレームの残り区
間の音源)を用いて、現フレームの残り区間の音声合成
処理が行われる。その結果、音声合成処理を行う音源の
区間は図7(c)に示すようになる。こうして、2ピッチ
周期2P分の音源波形を挿入した遅聞き再生処理が行わ
れるのである。
【0088】図4は、図9に示す遅聞き再生および通常
再生処理を実行するための再生速度制御部2の具体的な
構成例を示す。この再生速度制御部2は、再生時間差検
出部25,繰り返し区間検出部26および繰り返し処理
部27を有する。そして、再生時間差検出部25は、外
部から入力される再生速度倍率Rと繰り返し処理部27
からの通常速度で再生する区間の時間長Lnおよび繰り
返して再生する区間の時間長Lrとに基づいて、式(9)
に従って調整用変数remを算出する。そして、図9に示
す遅聞き再生処理動作のフローチャートにおける上記ス
テップS23およびステップS30の判断処理を行う。
【0089】また、上記繰り返し区間検出部26は、デ
マルチプレクサ1からのピッチ周期Pと繰り返し処理部
27からの音声合成処理を行わないフレーム数cntと内
部メモリに格納されたフレーム長Lfに基づいて、図9
に示す遅聞き再生処理動作のフローチャートにおける上
記ステップS25およびステップS32の判断処理を行っ
て、ピッチ合成フィルタ4で生成されて内部フィルタメ
モリ11およびフィルタ出力メモリ12に格納されてい
るピッチ成分を有する音源synp(n)の中における繰り返
しできる区間の有無を検出するのである。また、上記繰
り返し処理部27は、図9に示す遅聞き再生処理動作の
フローチャートにおけるデマルチプレクサ1,ピッチ無
し音源生成部3,ピッチ合成フィルタ4,再生時間差検出
部25および繰り返し区間検出部26による処理以外の
処理を行って、音源synp(n)の中で繰り返しできる区間
をピッチ単位で繰り返した音源synp'(n)を生成して音声
再生するためにピッチ合成フィルタ4,線形予測係数メ
モリ5および合成フィルタ6を制御する制御信号を生成
する。
【0090】尚、以上の遅聞き再生および通常再生動作
においては、上記再生速度倍率Rの値が0.7程度以下
になると、繰り返し区間の量が足りなくなって実際の再
生時間(Ln+Lr)が希望再生時間(Ln/R)より早くなっ
てしまう。その場合には、繰り返し区間の繰り返し数を
多くすればよい。ここで、繰り返し数を“r"とする
と、式(9)は、 rem(x)=rem(x-1)+Ln(1/R−1)−r・Lr …(10) となる。そこで、式(10)におけるrを調整することに
よって調整用変数remが0に近づくようにするのであ
る。但し、繰り返し数rが大きくなると再生音質が劣化
するので、繰り返し数rの最大値rmaxを予め決めてお
く必要がある。
【0091】具体的には、上記調整用変数remに関する
“0"以下の閾値Sremを設定しておく。そして、図9に
示す遅聞き再生処理動作のフローチャートにおける上記
ステップS28およびステップS34では、音声合成処理に
先立って、先ず式(9)を用いて調整用変数remを算出す
る。そして、算出された調整用変数remがrem<Sremで
あれば、上述したような通常の繰り返し処理では再生時
間が足りないと判断し、式(10)を用いてrem≧0とな
る最小の繰り返し数rを求める。そして、この求めた繰
り返し数rと最大値rmaxとの何れか小さい方を繰り返
し数とするのである。そして、この繰り返し数だけ上記
繰り返し区間を繰り返して各ステップの音声合成処理を
行う。そうした後、上記繰り返し数を式(10)中の繰り
返し数rとして調整用変数remの更新を行うのである。
尚、上記閾値SremがSrem=0であれば、上述の“rem
<Srem"の判定を行わず、常に繰り返し数を求めること
になる。
【0092】上述のように、本実施の形態における音声
復号化装置は再生速度制御部2を有し、この再生速度制
御部2には再生時間差検出部25,繰り返し区間検出部
26および繰り返し処理部27を設けている。そして、
再生時間差検出部25は、繰り返し処理毎に、再生速度
倍率Rと繰り返し処理結果に基づいて調整用変数remを
算出する。そして、得られた調整用変数remの正否によ
って、次の繰り返し処理を行うか否かを判定する。その
結果、繰り返し処理を行う場合には、繰り返し区間検出
部26によって、これまで音声合成処理を行っていない
区間及び現フレーム中におけるピッチ周期P単位での繰
り返し区間の有無を検出する。そして、この検出結果に
従って、繰り返し処理部27によって、ピッチ合成フィ
ルタ4で生成されたピッチ成分を有する音源synp(n)に
繰り返し区間を挿入して音源synp'(n)を生成するための
制御信号を出力するようにしている。
【0093】したがって、本実施の形態によれば、ピッ
チ周期P単位で音源synp(n)に対する繰り返し処理を行
うことができ、再生音声の音質劣化が少なく、且つ、ピ
ッチ周期Pがフレーム長Lfより長い場合でも対処でき
る音声復号化装置を実現できる。また、音声合成処理を
行いながら調整用変数remによって次の繰り返し処理の
実行の可否を判定しているので、再生速度を指定された
再生速度倍率Rになるように正しく制御できる。
【0094】以上、R≧1の早聞き再生および通常再生
の場合と、R≦1の遅聞き再生および通常再生の場合に
つて述べてきた。ところで、両場合においてR=1を含
んでいるのは、どちらの場合も通常再生処理が可能であ
ることを示している。このとき、式(8),式(9)の何れ
においても、常に、調整用変数rem=0となる。本実施
の形態においては、実際の再生速度が所望の再生速度に
なるように、式(8)または式(9)による調整用変数rem
に基づいて再生速度を調整している。ここで、式(8)お
よび式(9)における再生速度倍率Rは定数でなくても構
わない。したがって、再生途中であっても再生速度制御
部2に入力される再生速度倍率Rを変更することによっ
て再生速度を変えることができるのである。
【0095】但し、上述した早聞き再生および通常再生
の場合や、遅聞き再生および通常再生の場合には、再生
速度制御部2が図3あるいは図4の構造を有して、図8
あるいは図9の如く異なったフローチャートに従って動
作するようになっている。したがって、上述した早聞き
再生および通常再生の場合には再生速度倍率RをR>1
からR<1に変更することはできない。同様に、遅聞き
再生および通常再生の場合には、R<1からR>1に変
更することはできない。つまり、早聞き再生処理か遅聞
き再生処理の何れか一方しかできないのである。
【0096】(c) 早聞き,遅聞き再生処理および通常
再生の場合 本実施の形態においては、早聞き再生処理と遅聞き再生
処理との両方に対処できる再生速度制御部2について説
明する。本実施の形態においては、上記再生速度倍率R
を再生処理中に変更可能にするために、再生速度制御部
2では、再生速度倍率Rと1との大小によって式(8)あ
るいは式(9)を用いて調整用変数remを算出するのであ
る。但し、その際には、式(8)と式(9)との次元を揃え
る必要がある。式(8)によって算出される調整用変数re
mは、上述したように、現時点までの実際に再生した時
間長と希望再生時間長の差のR倍を表している。そこ
で、本実施の形態では式(8)の次元を式(9)の次元(式
(9)によって算出される調整用変数remは現時点までの
希望再生時間長と実際に再生した時間長の差である)に
合わせるのである。つまり、本実施の形態においては、
再生速度倍率RがR≧1の場合には調整用変数remを式
(11)によって算出するのである。 rem(x)=rem(x-1)+(Lpb(R−1)−Lc)/R …(11) 尚、もし再生途中に再生速度倍率Rを変更せずに再生処
理が1段落した際に変更するのであれば、式(8)をその
まま用いても問題はない。
【0097】図10および図11は、上記デマルチプレ
クサ1,再生速度制御部2,ピッチ無し音源生成部3およ
びピッチ合成フィルタ4によって実行される音声再生処
理動作のフローチャートである。本音声再生処理動作の
フローチャートは、図8に示す早聞き再生処理動作のフ
ローチャートの系列と図9に示す遅聞き再生処理動作の
フローチャートの系列とを並行して備えており、両系列
への分岐点において再生速度倍率Rと“1"との大小を
判別して何れの系列に分岐するかを判定するものであ
る。以下、図10および図11に従って、早聞き再生処
理と遅聞き再生処理との両方に対処できる音声再生処理
動作について説明する。
【0098】ステップS41〜ステップS43で、図8に示
す早聞き再生処理動作のフローチャートにおけるステッ
プS1〜ステップS3と同様にして、調整用変数remおよ
び音声合成処理を行わないフレームcntの初期値セッ
ト、現フレームにおけるピッチ成分を有する音源synp
(n)の生成処理、調整用変数remの正否判別が行われる。
ステップS44で、上記再生速度倍率Rが1以上であるか
否かが判別される。その結果、1以上であれば、ステッ
プS45に進んで早聞き再生および通常再生処理動作に移
行する。一方、1より小さければ、ステップS46に進ん
で遅聞き再生処理動作に移行する。ステップS45で、図
8に示す早聞き再生処理動作のフローチャートにおける
ステップS4と同様にして、現フレームの音声合成制御
とフレーム数cntの初期値セットおよび調整用変数remの
算出が行われる。そうした後ステップS68に進む。その
際における調整用変数remの算出は式(11)を用いて行
われる。ステップS46で、図9に示す遅聞き再生処理動
作のフローチャートにおけるステップS24と同様にし
て、現フレームの音声合成制御とフレーム数cntの初期
値セットおよび調整用変数rem算出が行われる。そうし
た後ステップS68に進む。その際における調整用変数re
m算出は式(9)を用いて行われる。
【0099】ステップS47,ステップS48で、図8に示
す早聞き再生処理動作のフローチャートにおけるステッ
プS5,ステップS6と同様にして、条件P≦cnt・Lfの判
別、フレーム数cntのインクリメントが行われる。ステ
ップS49で、上記再生速度倍率Rが1以上であるか否か
が判別される。その結果、1以上であれば、ステップS
50に進んで早聞き再生および通常再生処理動作に移行す
る。一方、1より小さければ、ステップS56に進んで遅
聞き再生処理動作に移行する。ステップS50〜ステップ
S55で、図8に示す早聞き再生処理動作のフローチャー
トにおけるステップS7〜ステップS12と同様にして、
P≦k・Lfを満たす整数kの最小値kmimの算出、kmim
=cntの判別、音声合成処理を行っていない区間中の削
除区間を含まないフレームの音声合成処理、kmim・Lf
=Pの判別、音声合成処理を行っていない区間中の削除
区間を含むフレームの音声合成処理、調整用変数rem算
出が行われる。その際における調整用変数rem算出は式
(11)を用いて行われる。ステップS56〜ステップS59
で、図9に示す遅聞き再生処理動作のフローチャートに
おけるステップS27〜ステップS30と同様にして、音声
合成処理を行っていないフレームの音声合成処理、繰り
返し区間の音声合成処理、調整用変数rem算出、調整用
変数remの正否判別が行われる。その際における調整用
変数rem算出は式(9)を用いて行われる。
【0100】ステップS60〜ステップS62で、上記ステ
ップS44〜ステップS46と同様にしで、R≧1の判別、
現フレームの音声合成制御とフレーム数cntの初期値セ
ットおよび式(11)による調整用変数remの算出、現フ
レームの音声合成制御とフレーム数cntの初期値セット
および式(9)による調整用変数remの算出が行われる。
そうした後ステップS68に進む。
【0101】ステップS63,ステップS64で、図8に示
す早聞き再生処理動作のフローチャートにおける上記ス
テップS15およびステップS16と同様にして、P≦cnt・
Lfの判別、フレーム数cntへの“1"のセットが行われ
る。ステップS65で、上記再生速度倍率Rが1以上であ
るか否かが判別される。その結果、1以上であれば、ス
テップS66に進んで早聞き再生および通常再生処理動作
に移行する。一方、1より小さければ、ステップS67に
進んで遅聞き再生処理動作に移行する。ステップS66
で、図8に示す早聞き再生処理動作のフローチャートに
おける上記ステップS17と同様にして、現フレームにお
ける削除区間以外の区間の音声合成処理と、フレーム数
cntの初期値セットおよび式(11)による調整用変数rem
の算出が行われる。ステップS67で、図9に示す遅聞き
再生処理動作のフローチャートにおける上記ステップS
34と同様にして、現フレームにおける繰り返し区間と残
りの区間との音声合成処理と、フレーム数cntの初期値
セットおよび式(9)による調整用変数remの算出が行わ
れる。
【0102】ステップS68,ステップS69で、図8に示
す早聞き再生処理動作のフローチャートにおける上記ス
テップS18およびステップS19と同様にして、ピッチ合
成フィルタ4の内部フィルタメモリ11および線形予測
係数メモリ5の更新、最終フレーム判別が行われる。そ
して現フレームが最終フレームであると判別されると音
声再生処理動作を終了する。
【0103】図5は、図10および図11に示す音声再
生処理を実行するための再生速度制御部2の具体的な構
成例を示す。この再生速度制御部2は、再生時間差検出
部31,繰り返し・削除区間検出部32,削除処理部33,
繰り返し処理部34および再生速度倍率判定部35を有
している。そして、再生時間差検出部31は、外部から
入力される再生速度倍率Rと削除処理部33からのLpb
およびLcと繰り返し処理部34からのLnおよびLrと
に基づいて、式(9)あるいは式(11)に従って調整用変
数remを算出する。そして、図10および図11に示す
音声再生処理動作のフローチャートにおける上記ステッ
プS43およびステップS59の判断処理を行う。
【0104】また、上記繰り返し・削除区間検出部32
は、デマルチプレクサ1からのピッチ周期Pと削除処理
部33および繰り返し処理部34からの音声合成処理を
行わないフレーム数cntと内部メモリに格納されたフレ
ーム長Lfに基づいて、図10および図11に示す音声
再生処理動作のフローチャートにおける上記ステップS
47およびステップS63の判断処理を行って、ピッチ合成
フィルタ4で生成されて内部フィルタメモリ11および
フィルタ出力メモリ12に格納されているピッチ成分を
有する音源synp(n)中における削除あるいは繰り返しで
きる区間を検出するのである。また、上記再生速度倍率
判定部35は、図10および図11に示す音声再生処理
動作のフローチャートにおける上記ステップS44,S49,
S60,S65の判断処理を行って、実行される再生処理が
早聞き再生処理および遅聞き再生処理の何れであるかを
判断する。そして、判断結果に基づいて、再生時間差検
出部31に、調整用変数remを算出する際に式(9)と式
(11)との何れの式を用いるかを知らせるのである。
【0105】また、上記削除処理部33および繰り返し
処理部34は、図10および図11に示す音声再生処理
動作のフローチャートにおけるデマルチプレクサ1,ピ
ッチ無し音源生成部3,ピッチ合成フィルタ4,再生時間
差検出部31,繰り返し・削除区間検出部32および再生
速度倍率判定部35による処理以外の処理を行って、音
源synp(n)の中で削除や繰り返しができる区間をピッチ
単位で削除あるいは繰り返した音源synp'(n)を生成して
音声再生するためにピッチ合成フィルタ4,線形予測係
数メモリ5および合成フィルタ6を制御する制御信号を
生成する。
【0106】上述のように、本実施の形態における音声
復号化装置は再生速度制御部2を有し、この再生速度制
御部2には再生時間差検出部31,繰り返し・削除区間検
出部32,削除処理部33,繰り返し処理部34および再
生速度倍率判定部35を設けている。そして、再生時間
差検出部31は、削除処理または繰り返し処理毎に、再
生速度倍率Rと削除処理結果あるいは繰り返し処理結果
に基づいて調整用変数remを算出する。そして、得られ
た調整用変数remの正否によって、次の削除処理部ある
いは繰り返し処理を行うか否かを判定する。その結果行
う場合には、再生速度倍率判定部35によって再生速度
倍率RがR≧1であるかR<1であるかを判定すること
によって削除処理を行うのか繰り返し処理を行うのかを
判定する。そして、削除処理を行う場合には削除処理部
33によって、図3における削除処理部23と同様にし
て、ピッチ周期P単位で削除処理を行って音源synp'(n)
を生成するための制御信号を出力する。一方、繰り返し
処理を行う場合には繰り返し処理部34によって、図4
における繰り返し処理部27と同様にして、ピッチ周期
P単位で繰り返し処理を行って音源synp'(n)を生成する
ための制御信号を出力するようにしている。
【0107】したがって、本実施の形態によれば、音声
再生処理中に再生速度倍率Rの値をR>1←→R=1←
→R<1に切り換えることによって早聞き再生処理,通
常再生処理および遅聞き再生処理に切り替えることがで
きる。すなわち、音声再生時の再生速度を無段階で変更
することが可能になるのである。このことは、例えば、
非常に長時間記録された音声情報の中から重要な箇所を
探す場合に、不必要な箇所を早聞きし、必要な箇所が近
づくと低速の早聞きを行い、重要箇所は遅聞きして十分
に内容を把握することを、音声再生中に再生速度倍率R
を変更するだけで容易に行うことができ、非常に有効で
ある。
【0108】尚、本実施の形態では、式(8)と式(9)と
の次元を揃えるために、式(8)における(Lpb(R−1)
−Lc)を1/R倍した式(11)を式(8)に変えて用いて
いる。しかしながら、式(9)における(Ln(1/R−1)
−Lr)をR倍した式を式(9)に変えて使用しても差し支
えない。また、この発明における上記早聞き再生処理動
作,遅聞き再生処理動作および音声再生処理動作のアル
ゴリズムは、図8,図9あるいは図10〜図11のフロ
ーチャートに限定されるものではない。
【0109】
【発明の効果】以上より明らかなように、請求項1に係
る発明の音声復号化装置は、ピッチ予測と線形予測を用
いた音声符号化方法による符号列を復号化して合成音声
を生成するに際に、再生速度制御部によって現時点まで
の希望再生時間と現時点までの実際に再生した時間との
差を周期的に監視し、上記差が検出された場合には上記
差の値を0にするような制御信号を出力し、この制御信
号を受けたピッチ合成フィルタによって、ピッチ成分が
付加された音源信号に対してピッチ周期を単位とする削
除あるいは繰り返しの何れか一方を行って音声合成フィ
ルタに送出するので、上記音声合成フィルタによって、
上記ピッチ成分を有する音源信号をピッチ周期単位で削
除あるいは繰り返した音源信号に基づいて音声信号が合
成される。したがって、上記ピッチ成分を付加する前の
音源信号を削除したり繰り返したりする場合に比較し
て、音源信号の削除あるいは繰り返しによる音質の劣化
が少なくて音の高さが変わらない再生速度可変を実現で
きる。
【0110】また、請求項2に係る発明の音声復号化装
置は、上記ピッチ合成フィルタには生成されたピッチ成
分が付加された音源信号を所定区間保持する音源信号保
持手段を設け、上記再生速度制御部には、上記音源信号
保持手段に保持されている保持音源信号中に削除区間あ
るいは繰り返し区間が存在することを検出する繰り返し
・削除区間検出手段と、上記保持音源信号中における削
除区間あるいは繰り返し区間の存在が検出されると制御
信号を出力する繰り返し・削除処理手段を設けて、この
制御信号を受けたピッチ合成フィルタによって、上記保
持音源信号に対してピッチ周期を単位とする区間の削除
あるいは繰り返しを行って音声合成フィルタに送出する
ので、上記ピッチ合成フィルタにおいてピッチ成分が付
加された音源信号に対するピッチ周期単位での削除や繰
り返しを容易に実現できる。特に、上記音源信号保持手
段に保持できる音源信号の所定区間長を最大ピッチ周期
以上のフレーム単位に設定しておけば、上記ピッチ周期
がフレーム長より長い場合でも、上記ピッチ成分を有す
る音源信号に対するピッチ周期単位での削除や繰り返し
を確実に行うことができる。
【0111】また、請求項3に係る発明の音声復号化装
置における上記再生速度制御部は、再生速度を遅くする
場合に、上記再生時間差検出手段によって希望再生時間
と実際に再生した時間との差の値が負の所定値以下にな
ったと判定されると、上記ピッチ成分が付加された音源
信号のピッチ周期を単位とする繰り返し区間を複数回繰
り返して音声合成フィルタに送出させる制御信号を出力
するので、上記再生速度倍率が小さいために実際に再生
した時間が希望再生時間に近づかない場合であっても、
実際の再生時間が希望再生時間になるように最適に制御
できる。
【0112】また、請求項4に係る発明の音声復号化装
置は、再生速度倍率判定部,再生時間差検出部,削除処理
部および繰り返し処理部を設けて、希望再生時間と実際
の再生時間との差が検出され且つ再生速度倍率が1以上
の場合には、上記削除処理部からの第1の制御信号を受
けたピッチ合成フィルタによって、ピッチ成分が付加さ
れた音源信号のピッチ周期を単位とする削除区間を削除
して音声合成フィルタに送出する一方、上記差が検出さ
れ且つ上記再生速度倍率が1より小さい場合には、上記
繰り返し処理部からの第2の制御信号を受けた上記ピッ
チ合成フィルタによって、ピッチ成分が付加された音源
信号のピッチ周期を単位とする繰り返し区間を繰り返し
て上記合成フィルタに送出するので、上記再生速度倍率
の値に応じて、再生速度を通常の再生速度より速める早
聞き処理と遅める遅聞き処理と通常の再生速度での通常
処理とを切り替え実行できる。
【0113】したがって、音声再生中であっても上記再
生速度倍率を変更することができ、無段階変速が可能に
なる。すなわち、この発明によれば、例えば、非常に長
時間記録された音声情報の中における不必要な箇所を高
速で早聞きし、必要な箇所が近づくと低速の早聞きを行
い、重要箇所は遅聞きして内容を十分に把握する動作
を、音声再生中に再生速度倍率変更するという簡単な処
理だけで行うことができるのである。
【0114】また、請求項5に係る発明の音声復号化方
法は、現時点までの希望再生時間と現時点までの実際に
再生した時間との差を周期的に監視し、上記差が検出さ
れた場合には上記差の値を0にするような制御信号を出
力し、この制御信号を受けたピッチ合成フィルタによっ
て、ピッチ成分が付加された音源信号に対してピッチ周
期を単位とする削除あるいは繰り返しの何れか一方を行
うので、上記ピッチ成分を有する音源信号をピッチ周期
単位で削除あるいは繰り返した音源信号に基づいて音声
信号を合成できる。したがって、上記ピッチ成分を付加
する前の音源信号を削除したり繰り返したりする場合に
比較して、音源信号の削除あるいは繰り返しによる音質
の劣化が少なくて音の高さが変わらない再生速度可変を
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の音声復号化装置における一実施の形
態を示すブロック図である。
【図2】図1におけるピッチ合成フィルタの詳細なブロ
ック図である。
【図3】図1における再生速度制御部の早聞き再生およ
び通常再生処理を実現するためのブロック図である。
【図4】図1における再生速度制御部の遅聞き再生およ
び通常再生処理を実現するためのブロック図である。
【図5】図1における再生速度制御部の早聞き再生,通
常再生および遅聞き再生処理を実現するためのブロック
図である。
【図6】ピッチ成分を付加した音源波形の削除と繰り返
しの一例を示す模式図である。
【図7】図6とは異なる音源波形の削除と繰り返し例を
示す模式図である。
【図8】図3に示す再生速度制御部2の制御の下に行わ
れる早聞き再生処理動作フローチャートである。
【図9】図4に示す再生速度制御部2の制御の下に行わ
れる遅聞き再生処理動作フローチャートである。
【図10】図5に示す再生速度制御部2の制御の下に行
われる音声再生処理動作フローチャートである。
【図11】図10に続く音声再生処理動作のフローチャ
ートでである。
【符号の説明】
1…デマルチプレクサ、 2…再生速度制御
部、3…ピッチ無し音源生成部、 4…ピッチ合
成フィルタ、5…線形予測係数メモリ、 6…
合成フィルタ、11…内部フィルタメモリ、 1
2…フィルタ出力メモリ、13…乗算器、
14…加算器、21,25,31…再生時間差検
出部、22…削除区間検出部、 23,33
…削除処理部、26…繰り返し区間検出部、 2
7,34…繰り返し処理部、32…繰り返し・削除区間検
出部、 35…再生速度倍率判定部。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピッチ予測と線形予測を用いた音声符号
    化方法による符号列を復号化して得られた音源情報に基
    づいて音源信号を生成する音源生成部と、上記符号列を
    復号化して得られたピッチ予測情報に基づいて上記音源
    信号にピッチ成分を付加するピッチ合成フィルタと、上
    記符号列を復号化して得られた線形予測情報に基づいて
    上記ピッチ成分が付加された音源信号から音声信号を合
    成する音声合成フィルタを有する音声復号化装置におい
    て、 再生速度倍率に基づく現時点までの希望再生時間と現時
    点までの実際に再生した時間との差を周期的に検出する
    再生時間差検出手段を有して、この再生時間差検出手段
    によって上記差が検出された場合にはこの差の値を0に
    するような制御信号を出力する再生速度制御部を備え
    て、 上記ピッチ合成フィルタは、上記制御信号を受けて、上
    記ピッチ成分が付加された音源信号に対してピッチ周期
    を単位とする区間の削除あるいは繰り返しの何れか一方
    を行って上記音声合成フィルタに送出することを特徴と
    する音声復号化装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の音声復号化装置におい
    て、 上記ピッチ合成フィルタは、生成されたピッチ成分が付
    加された音源信号における所定区間を保持する音源信号
    保持手段を有すると共に、 上記再生速度制御部は、 上記音源信号保持手段に保持されている保持音源信号の
    時間長が現フレームのピッチ周期以上であることを検知
    して上記保持音源信号中に削除あるいは繰り返しの対象
    となる区間が存在することを検出する繰り返し・削除区
    間検出手段と、 上記繰り返し・削除区間検出手段によって上記削除ある
    いは繰り返しの対象となる区間の存在が検出されると、
    上記制御信号を出力する繰り返し・削除処理手段を有し
    て、 上記ピッチ合成フィルタは、上記制御信号を受けると、
    上記保持音源信号に対してピッチ周期を単位とする区間
    の削除あるいは繰り返しの何れか一方を行って上記音声
    合成フィルタに送出するようになっていることを特徴と
    する音声復号化装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の音声復号化装置におい
    て、 上記再生速度制御部は、再生速度を遅くする場合に、上
    記再生時間差検出手段によって希望再生時間と実際に再
    生した時間との差の値が負の所定値以下になったと判定
    すると、上記ピッチ成分が付加された音源信号のピッチ
    周期を単位とする繰り返し区間を複数回繰り返して上記
    音声合成フィルタに送出させる制御信号を出力して、上
    記希望再生時間と実際に再生した時間との差を速やかに
    0に近づけるようになっていることを特徴とする音声復
    号化装置。
  4. 【請求項4】 ピッチ予測と線形予測を用いた音声符号
    化方法による符号列を復号化して得られた音源情報に基
    づいて音源信号を生成する音源生成部と、上記符号列を
    復号化して得られたピッチ予測情報に基づいて上記音源
    信号にピッチ成分を付加するピッチ合成フィルタと、上
    記符号列を復号化して得られた線形予測情報に基づいて
    上記ピッチ成分が付加された音源信号から音声信号を合
    成する音声合成フィルタを有する音声復号化装置におい
    て、 再生速度倍率の値が1以上であるか否かを判定して、判
    定結果を表す信号を出力する再生速度倍率判定部と、再生速度倍率に基づく現時点までの希望再生時間と現時
    点までの実際に再生した時間との差を周期的に検出する
    再生時間差検出部と、 上記再生時間差検出部によって上記差が検出された場合
    であって、且つ、 上記再生速度倍率判定部からの上記再
    生速度倍率の値が1以上であることを表す信号を受け
    場合には、上記差の値を0にするような第1の制御信号
    を出力する削除処理部と、上記再生時間差検出部によって上記差が検出された場合
    であって、且つ、 上記再生速度倍率判定部からの上記再
    生速度倍率の値が1より小さいことを表す信号を受け
    場合には、上記差の値を0にするような第2の制御信号
    を出力する繰り返し処理部を備えて、 上記ピッチ合成フィルタは、上記第1の制御信号を受け
    た場合には、上記ピッチ成分が付加された音源信号のピ
    ッチ周期を単位とする削除区間を削除して上記音声合成
    フィルタに送出する一方、上記第2の制御信号を受けた
    場合には、上記ピッチ成分が付加された音源信号のピッ
    チ周期を単位とする繰り返し区間を繰り返して上記音声
    合成フィルタに送出することを特徴とする音声復号化装
    置。
  5. 【請求項5】 ピッチ予測と線形予測とを用いた音声符
    号化方法による符号列を復号化して得られた音源情報に
    基づいて音源生成部によって音源信号を生成し、上記符
    号列を復号化して得られたピッチ予測情報に基づいてピ
    ッチ合成フィルタによって上記音源信号にピッチ成分を
    付加し、上記符号列を復号化して得られた線形予測情報
    に基づいて音声合成フィルタによって上記ピッチ成分が
    付加された音源信号から音声信号を合成する音声復号化
    方法において、 再生速度倍率に基づく現時点までの希望再生時間と現時
    点までの実際に再生した時間との差を再生時間差検出部
    によって周期的に検出し、 上記再生時間差検出部によって上記差が検出された場合
    には、再生速度制御部によって上記差の値を0にするよ
    うな制御信号を出力し、 上記制御信号に基づいて、上記ピッチ合成フィルタによ
    って、上記ピッチ成分が付加された音源信号に対して、
    ピッチ周期を単位とする区間の削除あるいは繰り返しの
    何れか一方を行い、 上記音声合成フィルタによる音声信号の合成は、上記削
    除あるいは繰り返しの何れか一方が行われた音源信号に
    対して行われることを特徴とする音声復号化方法。
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