JP3283713B2 - 水溶性の改善された水不溶性ないし難溶性化合物含有組成物 - Google Patents

水溶性の改善された水不溶性ないし難溶性化合物含有組成物

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JP3283713B2
JP3283713B2 JP29938194A JP29938194A JP3283713B2 JP 3283713 B2 JP3283713 B2 JP 3283713B2 JP 29938194 A JP29938194 A JP 29938194A JP 29938194 A JP29938194 A JP 29938194A JP 3283713 B2 JP3283713 B2 JP 3283713B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水溶性の改善された水
不溶性ないし難溶性化合物含有組成物、さらに詳しく
は、新規なシクロデキストリン誘導体類である分岐シク
ロデキストリン−カルボン酸により、医薬、化粧料、農
薬、飲食品等として有用な水不溶性ないし難溶性化合物
の水溶性を改善した組成物に関する。
【0002】
【従来技術および発明が解決しようとする課題】水不溶
性ないし難溶性薬剤の水に対する溶解性を改良すること
は、医薬分野等において最も一般的で重要な問題であ
り、シクロデキストリン類の使用がしばしばこの問題を
解決するための効果的な手段となっている。また、シク
ロデキストリン類は、食品添加物、化粧料添加物とし
て、あるいは医薬、農薬の溶解性の改善と共に、揮発
性、矯味、矯臭、乳化、粉末化および安定化等に使用さ
れており、これらは、いずれも、シクロデキストリン
が、目的とする薬剤等の活性成分を包接した複合体を形
成することによる効果であると考えられている。このよ
うなシクロデキストリン類としては、種々の同族体が知
られており、その種類によって水への溶解度が異なる。
例えば、グルコース6個が環状に結合したα−シクロデ
キストリンは水への溶解度が約15%であり、同じくグ
ルコース7個が環状に結合したβ−シクロデキストリン
は約2%、グルコース8個が環状に結合したγ−シクロ
デキストリンは約23%であると報告されている。とこ
ろで、シクロデキストリン類を用いる、水不溶性ないし
難溶性物質の水に対する溶解性の向上には、用いるシク
ロデキストリン自体の水に対する溶解度が大きくなけれ
ばならず、従来使用されているシクロデキストリン類の
水に対する溶解度は未だ不十分である。また、水不溶性
ないし難溶性物質の水に対する溶解性を改善する目的で
医薬に用いる場合のシクロデキストリン類は、注射剤等
として人体に投与されるため、人体に対する安全性の高
いものでなければならない。そこで、医薬との間で良好
な複合体を形成して医薬の水への可溶化を促進し、しか
も人体に悪影響のないシクロデキストリン類の開発が望
まれている。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の要
望を満たした、シクロデキストリンによる水不溶性ない
し難溶性物質の水に対する溶解性向上を図ることを目的
として鋭意研究を重ねてきた。その結果、ある種の改良
された特性を持つ新規なシクロデキストリンを使用する
ことにより、上記の目的が達成されることを見い出し、
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
【0004】(1)水不溶性ないし難溶性化合物と分岐
シクロデキストリン−カルボン酸とを含有してなる組成
物、(2)水不溶性ないし難溶性化合物1モルに対して
分岐シクロデキストリン−カルボン酸を0.1〜10モ
ル含有する上記(1)記載の組成物、(3)分岐シクロ
デキストリン−カルボン酸が、少なくとも1つのカルボ
キシル基を含有する有機基を該シクロデキストリン環の
少なくとも1つのグルコース単位の6−O位に有するシ
クロデキストリンである上記(1)記載の組成物、
(4)シクロデキストリン環が7個のグルコース単位を
有する上記(3)記載の組成物、(5)有機基が1〜3
個のグルコース単位を有し、かつ、該有機基中のグルコ
ース単位のヒドロキシメチル基の少なくとも1つがカル
ボキシル基に酸化されている上記(3)記載の組成物、
(6)有機基が2−カルボキシエチルまたは2−カルボ
キシ−2−ヒドロキシエチルである上記(3)記載の組
成物、
【0005】(7)分岐シクロデキストリン−カルボン
酸が、6−O−シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−
α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロ
ン酸、6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−
α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロ
ン酸、6−O−シクロマルトオクタオシル−(6→1)−
α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロ
ン酸、6−O−シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−
α−D−グルクロン酸、6−O−シクロマルトヘプタオ
シル−(6→1)−α−D−グルクロン酸、6−O−シク
ロマルトオクタオシル−(6→1)−α−D−グルクロン
酸、2−O−(6−シクロマルトヘキサオシル)−酢酸、
2−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)−酢酸、2−
O−(6−シクロマルトオクタオシル)−酢酸、3−O−
(6−シクロマルトヘプタオシル)−プロピオン酸、2−
ヒドロキシ−3−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)
−プロピオン酸、6−O−シクロマルトヘプタオシル−
O−α−D−マルトシル−(4→1)−O−α−D−グル
クロン酸、または7A,7C−ジ−O−[α−D−グルクロ
ニル−(1→4)−O−α−D−グルコシル]−(1→6)
−マルトヘプタオースである上記(1)記載の組成物、
【0006】(8)医薬組成物である上記(1)記載の
組成物、(9)水不溶性ないし難溶性化合物が、解熱
剤、抗炎症剤、鎮痛剤、精神安定剤、鎮静剤、抗腫瘍
剤、抗菌剤、抗生物質、抗高脂血症剤、鎮咳去たん剤、
筋弛緩剤、抗てんかん剤、抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレ
ルギー剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利
尿剤、糖尿治療剤、抗結核剤、麻薬拮抗剤、ホルモン剤
または脂溶性ビタミン剤である上記(8)記載の組成
物、(10)化粧料組成物である上記(1)記載の組成
物、(11)農薬組成物である上記(1)記載の組成
物、(12)飲食用組成物である上記(1)記載の組成
物、(13)動物薬組成物である上記(1)記載の組成
物、および(14)水不溶性ないし難溶性化合物と分岐
シクロデキストリン−カルボン酸とを併用することを特
徴とする水不溶性ないし難溶性化合物の水溶性改善方法
に関する。
【0007】本発明で用いる分岐シクロデキストリン−
カルボン酸には、その遊離カルボン酸のみならず、その
アルカリ金属(例、リチウム、ナトリウム、カリウムな
ど)、アルカリ土類金属(例、カルシウム、マグネシウ
ムなど)などとの塩が含まれる。これら分岐シクロデキ
ストリン−カルボン酸は、単独でも、2種以上を併用し
てもよく、また、遊離のカルボン酸とその塩が混合した
状態で使用してもよい。該分岐シクロデキストリン−カ
ルボン酸は、少なくとも1つのカルボキシル基を含有す
る有機基を該シクロデキストリン環の少なくとも1つの
グルコース単位の6−O位に有するシクロデキストリン
である。該分岐シクロデキストリン−カルボン酸のシク
ロデキストリン環は、例えば6、7または8個のグルコ
ース単位を有する。好ましくは、該シクロデキストリン
環は7個のグルコース単位を有する。該シクロデキスト
リンとしては、例えば、α−シクロデキストリン、β−
シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリンなど
が挙げられる。上記少なくとも1つのカルボキシル基を
含有する有機基が1〜3個のグルクース単位を有し、か
つ、該有機基中のグルコース単位のヒドロキシメチル基
の少なくとも1つがカルボキシル基に酸化されている場
合が好ましい。
【0008】式(I)で表される分岐シクロデキストリ
ン−カルボン酸の具体例としては、6−O−シクロマル
トヘキサオシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4
→1)−O−α−D−グルクロン酸(シクロマルトヘキサ
オシル−(6→1)−α−D−グルコピラノシル−(4→
1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸)(以下、
α−CyD−G2−COOHとも略称する;以下の化合物
の略称についても同様に括弧内に示す)、6−O−シク
ロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D−グルコシル
−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸(シクロマルト
ヘプタオシル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシ
ル−(4→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン
酸)(β−CyD−G2−COOH)、6−O−シクロマル
トオクタオシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4
→1)−O−α−D−グルクロン酸(シクロマルトオクタ
オシル−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシル−
(4→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸(γ
−CyD−G2−COOH)、6−O−シクロマルトヘキ
サオシル−(6→1)−α−D−グルクロン酸(シクロマ
ルトヘキサオシル−(6→1)−O−α−D−グルコピラ
ノシドウロン酸)(α−CyD−G1−COOH)、6−O
−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D−グル
クロン酸(シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−O−
α−D−グルコピラノシドウロン酸)(β−CyD−G1
COOH)、6−O−シクロマルトオクタオシル−(6→
1)−α−D−グルクロン酸(シクロマルトオクタオシル
−(6→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロン酸)
(γ−CyD−G1−COOH)、2−O−(6−シクロマ
ルトヘキサオシル)−酢酸(α−CyD−CH2COO
H)、2−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)−酢酸
(β−CyD−CH2COOH)、2−O−(6−シクロマ
ルトオクタオシル)−酢酸(γ−CyD−CH2COO
H)、3−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)−プロ
ピオン酸(β−CyD−CH2CH2COOH)、2−ヒド
ロキシ−3−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)−プ
ロピオン酸(3−O−(6−シクロマルトヘプタオシル)
−2−ヒドロキシ−プロピオン酸)(β−CyD−CH2
CH(OH)−COOH)、7A,7C−ジ−O−[α−D−
グルクロニル−(1→4)−O−α−D−グルコシル]−
(1→6)−マルトヘプタオース(β−CyD−(G2COO
H)2)、6−O−シクロマルトヘプタオシル−O−α−
D−マルトシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸
(シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−O−α−D−
グルコピラノシル−(4→1)−O−α−D−グルコピラ
ノシル−(4→1)−O−α−D−グルコピラノシドウロ
ン酸)(β-CyD−G3−COOH)、およびこれらの上記
塩(例、β−CyD−G2−COOHのナトリウム塩(シ
クロマルトヘプタオシル−(6→1)−O−α−D−グル
コピラノシル−(4→1)−O−α−D−グルコピラノシ
ドウロン酸ナトリウム(同様にβ−CyD−G2−COO
Naと略称する))が挙げられる。
【0009】さらに詳しくは、6−O−シクロマルトヘ
キサオシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→
1)−O−α−D−グルクロン酸(α−CyD−G2−C
OOH)、6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→
1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−
グルクロン酸(β−CyD−G2−COOH)、および
6−O−シクロマルトオクタオシル−α−D−グルコシ
ル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸(γ−Cy
D−G2−COOH)は、それぞれα−シクロデキスト
リン(グルコース単位数6)、β−シクロデキストリン
(グルコース単位数7)およびγ−シクロデキストリン
(グルコース単位数8)を含有する新規分岐シクロデキ
ストリン−カルボン酸であり、そのシクロデキストリン
環の1つのグルコース単位にはマルトースがα−(1→
6)結合し、該マルトースの末端グルコースの6位ヒド
ロキシメチル基がカルボキシル基に酸化されてグルクロ
ン酸が形成されている。
【0010】また、6−O−シクロマルトヘキサオシル
−(6→1)−α−D−グルクロン酸(α−CyD−G1
COOH)、6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→
1)−α−D−グルクロン酸(β−CyD−G1−COO
H)、および6−O−シクロマルトオクタオシル−(6→
1)−α−D−グルクロン酸(γ−CyD−G1−COO
H)は、そのシクロデキストリン環の1つのグルコース
単位にグルコースがα−(1→6)結合し、さらに該分岐
グルコースの6位ヒドロキシメチル基がカルボキシル基
に酸化されてグルクロン酸が形成されている新規分岐シ
クロデキストリン−カルボン酸である。そして、2−O
−(6−シクロマルトヘキサオシル)−酢酸(α−CyD−
CH2COOH)、2−O−(6−シクロマルトヘプタオ
シル)−酢酸(β−CyD−CH2COOH)、2−O−(6
−シクロマルトオクタオシル)−酢酸(γ−CyD−CH2
COOH)は、そのシクロデキストリン環の1つのグル
コース単位に分岐してカルボキシメチル基が結合した新
規分岐シクロデキストリン−カルボン酸である。
【0011】このような新規分岐シクロデキストリン−
カルボン酸またはその塩類は、例えば、以下のようにし
て製造できる。6−O−シクロマルトヘキサオシル−
(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D
−グルクロン酸(α−CyD−G2−COOH)、6−O−
シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D−グルコ
シル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸(β−CyD
−G2−COOH)および6−O−シクロマルトオクタオ
シル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−
α−D−グルクロン酸(γ−CyD−G2−COOH)また
はその塩類の場合、まず、マルトシル−α−シクロデキ
ストリン(α−CyD−G2)、マルトシル−β−シクロデ
キストリン(β−CyD−G2)およびマルトシル−γ−シ
クロデキストリン(γ−CyD−G2)を製造する。これら
は、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン
およびγ−シクロデキストリンの各々とマルトースをシ
ュードモナス属菌の産生するイソアミラーゼにより縮合
させて得られる[檜作進ら、アミラーゼシンポジウム(1
985)]。このイソアミラーゼは原田らにより発見され
た酵素であり[Biochim.Biophys.Acta,212,45
8(1970)]、グリコーゲンやアミロペクチンのα−
(1→6)結合を加水分解してアミロース様直鎖多糖類を
生成する性質を有する。このイソアミラーゼの逆反応を
利用することにより、上記縮合反応が達成される。
【0012】例えば、β−シクロデキストリン、マルト
ースおよびイソアミラーゼを適当な緩衝液中40〜65
℃で48時間程度反応させることによりマルトシル−β
−シクロデキストリンが生成する。マルトースおよびイ
ソアミラーゼはシクロデキストリン1モルに対してそれ
ぞれ0.5〜2モルおよび5万〜20万Uの割合で用い
られる。ここでイソアミラーゼの1Uは、1分間に1μ
molのブドウ糖相当の還元力を生ずる酵素量をいう[Agr
ic.Biol.Chem.,41,2077(1977)]。反応
は、通常、冷却して過剰のシクロデキストリンを析出さ
せ、これを除去した後、カラムクロマトグラフィーによ
り精製してマルトシル−β−シクロデキストリンが得ら
れる。マルトシル−シクロデキストリンの調製に利用さ
れるシクロデキストリンのグルコース数は、グルコース
数7のβ−シクロデキストリンに限定されるものではな
い。例えば、グルコース数6のα−シクロデキストリ
ン、グルコース数8のγ−シクロデキストリンが用いら
れる。これらシクロデキストリンとマルトースとの反応
の速度はシクロデキストリンのグルコース数が大きい程
大きい。
【0013】ついで、このようにして得られた分岐型マ
ルトシル−シクロデキストリンの分岐部のグルコースの
有するヒドロキシメチル基(−CH2OH)を酸化してカ
ルボキシル基を導入することによって新規分岐シクロデ
キストリン−カルボン酸が得られる。その酸化の方法と
しては、好ましくは、特願平5−288284号(ヨー
ロッパ特許出願公開第0599646号)に記載の方法
に準じ、シュードグルコノバクターに属する微生物を用
いて、微生物学的選択酸化をする方法が好ましい。すな
わち、ヒドロキシルメチル基をカルボキシル基に酸化す
る能力を有するシュードグルコノバクター属に属する微
生物またはその処理物をマルトシル−シクロデキストリ
ンに接触・作用させることにより分岐部のグルコースの
有するヒドロキシメチル基をカルボキシル基に酸化し、
マルトシル−シクロデキストリン−カルボン酸体を生
成、蓄積せしめ、これを採取する方法が好適である。こ
の菌体またはその培養液は、例えば、特開平1−850
88号(米国特許第4877735号またはヨーロッパ
特許出願公開第221707号)に記載の方法に従って
製造することができる。すなわち、用いるシュードグル
コノバクター属に属する微生物としては、糖類のヒドロ
キシメチル基および/またはOH含有ヘミアセタール部
をカルボキシル基に酸化する能力を有するシュードグル
コノバクター属に属する微生物であればいずれでもよ
く、通常の変異誘発操作、例えば、ニトロソグアニジン
等の変異剤処理、紫外線照射処理等あるいは、遺伝子組
換え等により得られる変異株も含まれる。とりわけ、シ
ュードグルコノバクター・サッカロケトゲネスの菌が好
ましい。より具体的には、例えば、ヨーロッパ特許出願
公開第221,707号に記載されている下記の菌株が
代表例として挙げられる。 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネスK59
1s株:FERM BP−1130、IFO 14464 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス12−
5株:FERM BP−1129、IFO 14465 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネスTH
14−86株:FERM BP−1128、IFO 1
4466 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス12−
15株:FERM BP−1132、IFO 1448
2 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス12−
4株:FERM BP−1131、IFO 14483 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス22−
3株:FERM BP−1133、IFO 1148
4。 上記のごとく、この方法においては、シュードグルコノ
バクター属の微生物の菌体自体を作用させてもよく、あ
るいはその処理物を用いてもよい。処理物としては、例
えば、これらの微生物の培養液を用いることができる。
さらに、これらの微生物が産生する酵素を用いてもよ
い。シュードグルコノバクター属の微生物の場合、通
常、酵素は菌体内に蓄積される。通常、菌体自身を用
い、これを原料糖類に接触・作用させカルボン酸を生成
せしめるのが好都合である。とりわけ、休止菌体を用い
るのが好ましい。
【0014】菌体またはその培養液の調製は、特開平1
−85088号に記載の方法に従って、まず、スラント
からシード培養を行い、ついで本培養を行い、培養ブロ
ースを得ることにより行える。必要に応じて、この培養
ブロースを遠心分離し、沈澱物を集め、ついで、食塩水
溶液で数回洗浄し、得られた沈澱を菌体反応に供するこ
とができる。また、該微生物は好気的条件下で、該菌株
が利用しうる栄養源、すなわち、炭素源(グルコース、
蔗糖、スターチ等の炭水化物またはペプトン、イースト
エキス等の有機物)、窒素源(アンモニウム塩類、尿素や
コーンスティープリカー、ペプトン等の無機、有機の窒
素化合物)、無機塩類(カリウム、ナトリウム、カルシウ
ム、マグネシウム、鉄、マンガン、コバルト、銅、リン
酸、チオ硫酸等の塩類)および微量栄養素として、Co
A、パントテン酸、ビオチン、チアミン、リボフラビ
ン、FMN(フラビンモノヌクレオチド)等のビタミン・
補酵素類またはL−システイン、L−グルタミン酸等の
アミノ酸またはそれらを含む天然物を含む液体培地で培
養することができ、このようにして得られる培養液を用
いてもよい。培養はpH4〜9、好ましくはpH6〜8で
行うことができる。
【0015】培養時間は使用する微生物および培地の組
成等によって種々異なるが、好ましくは、10〜100
時間である。好適な培養温度範囲は、10〜40℃、好
ましくは、25〜35℃である。培養に際し、培地に希
土類元素を添加することにより、より効率的に目的物を
生成せしめることができる。培地に添加される希土類元
素としては、スカンジュウム(Sc)、イットリウム
(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム
(Pr)、ネオジウム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピ
ウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジ
スプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(E
r)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびルテチ
ウム(Lu)等が挙げられる。これらの希土類元素は金属
末または金属片として添加してもよいし、塩化物、炭酸
塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物あるいはシュウ酸塩のよう
な化合物としても用いられる。それらは単独で用いても
よいし、2種以上の希土類元素、例えば、炭酸セリウム
と塩化ランタンとを同時に使用することもできる。さら
には諸元素の分離精製過程で得られる粗製物等も用いる
ことができる。培地に添加される希土類元素の量は、用
いる微生物の生育を抑制しない範囲で選択すればよく、
通常、0.000001〜0.1%(W/V)、好ましくは
0.0001〜0.05%(W/V)の範囲が効果的であ
る。培地への添加法としては、予め培地に添加しておく
のもよいが、培養途中に間欠的に添加しても、または連
続的に添加してもよい。
【0016】反応に供する基質糖類は、水または水と混
和できる溶媒、例えば、メタノール、アセトン、ポリエ
チレングリコールなどに溶解または懸濁したものを用い
て微生物と接触させてもよい。使用する溶媒量は反応を
遅延させない範囲で選択すればよく、基質濃度として、
通常、0.1〜20%(W/V)、好ましくは、1〜5%
(W/V)の範囲が効果的である。かかる微生物による
酸化反応を行うのに好適な濃度範囲は、10〜40℃、
好ましくは25〜35℃である。また、反応は好気的条
件下で行うのが好ましく、例えば、空気を0.1〜5リ
ットル/分で通気しながら、必要に応じて、50〜20
00回転で撹拌することもできる。反応時間は、反応に
供する糖類に置換する1級水酸基および/またはヘミア
セタール水酸基の性質により異なるが、5分〜3日間、
通常、1時間〜24時間である。反応に際してはpHを
調整するのが好ましい。通常、pH4〜9、好ましくはp
H6〜8の範囲で行うのが効果的である。pH調整に用
いる塩基は、反応を阻害しないものから、使うことがで
きる。例えば、水酸ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸
カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化第1鉄などの
無機塩、モルホリノエタンスルホン酸ナトリウム、モル
ホリノエタンスルホン酸カルシウムなどの有機塩なども
使用することができる。また、所望により陰イオン交換
樹脂を添加することにより、pHを調整するための上記
した、アルカリ金属塩などの中和剤を加える必要がな
く、かつ反応を選択的に制御することができる。とりわ
け、選択的に反応させ1当量酸化体を得る場合に、この
陰イオン交換樹脂を添加する方法は好適である。ここで
使用する陰イオン交換樹脂としては、生成したカルボン
酸を吸着する陰イオン交換樹脂なら、いずれでもよい。
とりわけ、スチレン系およびアクリル系陰イオン交換樹
脂が好ましい。具体的には、例えば、アンバーライト
(商品名:オルガノ社製)IRA−400、IRA−40
1、IRA−402、IRA−410、IRA−90
0、IRA−910、IRA−35、IRA−68、I
RA−94Sなど、ダイヤイオン(商品名:三菱化成株
式会社製)SA−10A、SA−20A、PA−30
6、PA−308、PA−406、WA−10、WA−
11、WA−20、WA−30などが挙げられる。基質
として加えた糖類(ヒドロキシメチル基および/または
ヘミアセタール水酸基を有する単糖類誘導体、少糖類ま
たはその誘導体、多糖類またはその誘導体)が、反応液
中に消失したところで、撹拌を停止し、反応液と陰イオ
ン交換樹脂を分離し、陰イオン交換樹脂に、適当な溶離
剤を加え、溶出し、目的物を得る。溶離剤として、食
塩、アルカリ金属塩などの水溶液、あるいは、塩酸、硫
酸、リン酸、クエン酸などの酸性水溶液などが挙げられ
る。このようにして溶離、蓄積された糖カルボン酸は公
知の手段またはそれに準じる方法により採取、精製する
ことができる。
【0017】上記の出発物質の糖類を、上記したシュー
ドグルコノバクター属に属する菌体もしくはその処理物
と接触させることにより酸化反応を行う際、該糖類は、
1級水酸基やヘミアセタール水酸基の数やその性質を反
映して、位置選択的、かつ段階的に酸化され、対応する
糖カルボン酸を特異的に与えることも、このシュードグ
ルコノバクター属に属する菌体あるいは処理物による酸
化反応の特徴である。目的物の分離が容易な場合には、
上記したシュードグルコノバクター属の微生物を、上記
糖類含有培地中で培養してもよい。この場合の培養条件
としては上記培養液を得る方法と同様な条件で行うこと
ができる。このようにして生成蓄積されたシクロデキス
トリン−カルボン酸は公知の手段またはそれに準じる方
法により採取、精製することができる。例えば、濾過、
遠心分離、活性炭や吸着体処理、溶媒抽出、クロマトグ
ラフィー、沈澱、塩析等の手段を単独でまたは適宜組み
合わせて適用して、目的物を単離、生成することができ
る。上記のように、陰イオン交換樹脂の存在下で酸化を
行なう場合、反応液と陰イオン交換樹脂を、静置によ
り、あるいは遠心分離法等により分離し、ついで、陰イ
オン交換樹脂を、溶離剤を用いて溶出処理し、目的物を
含む溶出画分を集め、これを上記公知の手段又はそれに
準じる方法に付し、目的とするシクロデキストリン−カ
ルボン酸を単離、精製する。目的とするシクロデキスト
リン−カルボン酸は、遊離体で得ても、塩で得てもよ
く、塩で得られた場合は、慣用方法により遊離体に、ま
た、遊離体で得られた場合は塩に変換できる。また、培
地に鉄、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属
を存在させておくことにより、糖カルボン酸を生成蓄積
しながらその塩を生成することもできる。さらに、得ら
れた生成物は、元素分析、融点、比旋光度、赤外線吸収
スペクトル、NMRスペクトル、クロマトグラフィー等
の慣用手段により同定できる。
【0018】他のα−CyD−G1−COOH、β−Cy
D−G1−COOH、γ−CyD−G1−COOH、α−
CyD−CH2COOH、β−CyD−CH2COOH、γ
−CyD−CH2COOH、β−CyD−CH2CH2CO
OH、β−CyD−CH2CH(OH)−COOH、β−C
yD−(G2COOH)2またはその塩についてもほぼ同様
の操作に準じて製造される。
【0019】このように、シクロデキストリン環にマル
トース、グルコース、3−ヒドロキシプロピル、2,3
−ジヒドロキシプロピルなどの置換基が分岐導入される
と、水溶性が高くなることは公知である。例えば、G2
−β−CyDの水溶性はβ−シクロデキストリンの数十
倍である。しかし、さらに、そのG2−β−CyDのマル
トース末端部の6位ヒドロキシメチル基を酸化して対応
するシクロデキストリン−カルボン酸またはその塩とす
ることにより、水に対する溶解性が一層増大されること
が判明した。例えば、マルトシル−β−シクロデキスト
リンの糖カルボン酸誘導体は、シクロデキストリン類で
の初めてのカルボン酸誘導体で、水に対する溶解性が、
著しく改善されている(溶解度>200g/100ml、
水、25℃)。すなわち、本発明で用いる分岐シクロデ
キストリン−カルボン酸類は水溶性を極めて向上させる
ことができ、その結果、β−CyD−G2−COOHおよ
び/またはその塩をホスト化合物とする包接化合物の水
に対する溶解度もβ−シクロデキストリンをホストとす
る場合よりはるかに高くなり、非常に高濃度の水不溶性
ないし難溶性物質の水溶液を得ることが可能になること
が判明した。しかも、公知のシクロデキストリン類と比
較して低毒性であり、生体に対する影響、例えば、赤血
球を破壊する作用がβ−シクロデキストリンに比べて小
さく、血液に対して高い安全性を示し、かつ酸や酵素に
よる分解が極めて小さいことも判明した。
【0020】かくして、本発明の組成物では、分岐シク
ロデキストリン−カルボン酸を、活性成分となる水不溶
性ないし難溶性化合物と共に含有させて、その水溶性を
向上させる。用いる水不溶性ないし難溶性物質としては
特に限定するものではなく、そのような性質を有する医
薬品の活性成分として有用な薬剤をはじめ、水溶性の向
上が望まれる化粧料、飲食品、農薬、動物薬等の活性成
分として有用な物質が適宜選択される。通常、このよう
な水不溶性ないし難溶性物質としては、溶解度が10mg
/ml以下のもので、水溶性の向上が望まれる物質が用い
られる。医薬品、動物薬の活性成分として有用な不溶性
ないし難溶性の薬剤としては、解熱、鎮痛、消炎剤とし
て、例えば、サリチル酸、スルピリン、フルフェナム
酸、ジクロフェナック、インドメタシン、クロルプロマ
ジン、プロクロルペラジン、トリフロペラジン、アトロ
ピン、スコポラミン、モルヒネ、ペチジン、レボルファ
イノール、オキシモルフォンまたはその塩等が挙げられ
る。精神安定剤として、ジアゼパム、ロラゼパム、オキ
サゼパム等が、抗菌剤として、例えば、グリセオフルビ
ン、ランカシジン類[ジャーナル・オブ・アンチバイオ
ティックス(J.Antibiotics),38,877−885
(1985)]、アゾール系化合物[2−[(1R,2R)−
2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロキシ
−1−メチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾール−
1−イル)プロピル]−4−[4−(2,2,3,3−テト
ラフルオロプロポキシ)フェニル−3−(2H,4H)
−1,2,4−トリアゾロン、フルコナゾール、イトラコ
ナゾール等]等が、抗生物質として、例えば、ゲンタマ
イシン、ジベカシン、カネンドマイシン、リビドマイシ
ン、トブラマイシン、アミカシン、フラジオマイシン、
シソマイシン、テトラサイクリン、オキシテトラサイク
リン、ロリテトラサイクリン、ドキシサイクリン、アン
ピシリン、ピペラシリン、チカルシリン、セファロチ
ン、セファロリジン、セフォチアム、セフォチアムヘキ
セチル、セフスロジン、セフメノキシム、セフメタゾー
ル、セファゾリン、セフォタキシム、セフォペラゾン、
セフチゾキシム、モキサラクタム、チエナマイシン、ス
ルファゼシン、アズスレオナムまたはそれらの塩等が、
抗腫瘍剤として、6−O−(N−クロロアセチルカルバ
モイル)フマギロール、ブレオマイシン、メトトレキセ
ート、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、ダウノ
ルビシン、アドリアマイシン、ネオカルチノスタチン、
シトシンアラビノシド、フルオロウラシル、テトラヒド
ロフリル−5−フルオロウラシル、ピシバニール、レン
チナン、レバミゾール、ベスタチン、アジメキソン、グ
リチルリチン等が、抗高脂血症剤として、例えば、クロ
フィブレート、2−クロロ−3−[4−(2−メチル−2
−フェニルプロポキシ)フェニル]プロピオン酸エチル
[ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレテ
ィン(Chem.Pharm.Bull.),38,2792−27
96(1990)]等が、鎮咳去たん剤として、例えば、
エフェドリン、メチルエフェドリン、ノスカピン、コデ
イン、ジヒドロコデイン、アロクラマイド、クロルフェ
ジアノール、ピコペリダミン、クロペラスチン、プロト
キロール、イソプロテレノール、サルブタモール、テレ
ブタリンまたはその塩等が、筋弛緩剤として、例えば、
プリジノール、ツボクラリン、パンクロニウム等が、抗
てんかん剤として、例えば、フェニトイン、エトサクシ
ミド、アセタゾラミド、クロルジアゼボキシド等が、抗
潰瘍剤として、例えば、メトクロプラミド等が、抗うつ
剤として、例えば、イミプラミン、クロミプラミン、ノ
キシプチリン、フェネルジン等が、抗アレルギー剤とし
て、例えば、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミ
ン、トリペレナミン、メトジラミン、クレミゾール、ジ
フェニルピラリン、メトキシフェナミン等が、強心剤と
して、例えば、トランスパイオキソカンファー、テレフ
ィロール、アミノフィリン、エチレフリン等が、不整脈
治療剤として、例えば、プロプラノロール、アルプレノ
ロール、ブフェトロール、オクスプレノロール等が、血
管拡張剤として、例えば、オキシフェドリン、ジルチア
ゼム、トラゾリン、ヘキソベンジン、バメタン等が、降
圧利尿剤として、例えば、ヘキサメトニウムブロミド、
ペントリニウム、メカミルアミン、エカラジン、クロニ
ジン等が、糖尿治療剤として、例えば、グリミジン、グ
リプジド、フェンフォルミン、ブフォルミン、メトフォ
ルミン等が、抗結核剤として、例えば、イソニアジド、
エタンブトール、パラアミノサリチル酸等が、麻薬拮抗
剤として、例えば、レバロルファン、ナロルフィン、ナ
ロキソン又はその塩等が、ホルモン剤として、主とし
て、ステロイドホルモン類、例えば、デキサメサゾン、
ヘキセストロール、メチマゾール、ベタメサゾン、トリ
アムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、フルオシ
ノロンアセトニド、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾ
ン、エストリオール等が、脂溶性ビタミン剤として、ビ
タミンA類、ビタミンD類、ビタミンE類、ビタミンK
類、葉酸(ビタミンM)等、例えば、ビタミンA類として
ビタミンA1、ビタミンA2およびパルミチン酸レチノー
ルが、ビタミンD類としてビタミンD1、D2、D3、D4
およびD5が、ビタミンE類としてα−トコフェロー
ル、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−ト
コフェロールおよびニコチン酸dl−α−トコフェロール
が、ビタミンK類としてビタミンK1、K2、K3および
4が挙げられる。ビタミン誘導体としては、上記ビタ
ミンの各種誘導体が挙げられる。例えば、5,6−トラ
ンス−コレカルシフェロール、25−ヒドロキシコレカ
ルシフェロール、1−α−ヒドロキシコレカルシフェロ
ールなどのビタミンD3誘導体、5,6−トランス−エル
ゴカルシフェロール等のビタミンD2誘導体等が挙げら
れる。難溶性薬物のその他の例として、ピロキシカム、
ダイアセリン、ジルチアゼム、メゲストロール酢酸、ニ
フェジピン、ニセロゴリン、ケトプロフェン、ナプロキ
セン、イブプロフェン、プロスタグランジン類等が挙げ
られる。
【0021】化粧料の活性成分として有用な水不溶性な
いし難溶性化合物としては、例えば、ケイ皮酸メチル、
ケイ皮酸エチル、酢酸dl−α−トコフェロール、α−ト
コフェロール(ビタミンE)、トリクロロカルバニリ
ド、オイゲノール、イソオイゲノール、メチルフェニル
グリシッド酸エチル、酢酸ゲラニル、ピペロナール、ラ
ウリン酸ヘキシル、ヨノン、酢酸シンナミル、オレイン
酸デシル、酢酸テルペニル等が挙げられる。
【0022】農薬の活性成分として有用な水不溶性ない
し難溶性化合物としては、例えば、ベノミル、カルベン
ダジム、フベリダゾール、チオファネート、チオファネ
ートメチル、トリアリモール、プロクロラズ、オキサデ
ィキシル、ダゾメット、キャプタン、カプタホール、キ
ノメチオーナート、バンコール(登録商標)、プロベナ
ゾール、ジエトホフェンカープ、フェリムゾン等が挙げ
られる。
【0023】飲食品の活性成分として有用な水不溶性な
いし難溶性化合物としては、例えば、L−アスコルビン
酸ステアリン酸エステル、安息香酸、イオノン(ヨノ
ン)、イソオイゲノール、エルゴカルシフェロール(ビ
タミンD2)、オイゲノール、パラオキシ安息香酸ブチ
ル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、β−カロチン、
ギ酸シトロネリル、コレカルシフェロール(ビタミンD
3)、酢酸シンナミル、酢酸フェネチル、ケイ皮酸エチ
ル、ジブチルヒドロキシトルエン、ビタミンA油、ヘキ
サン酸アリル、没食子酸プロピル、メチルβ−メチルケ
トン、葉酸、リボフラビン酪酸エステル、レシチン、dl
−α−トコフェロール等が挙げられる。
【0024】本発明においては、分岐シクロデキストリ
ン−カルボン酸と、水不溶性ないし難溶性化合物の混合
比率は、特に限定されず広い範囲から選択可能である
が、これらの物質の水溶性を勘案すると、水不溶性ない
し難溶性化合物1モルに対して分岐シクロデキストリン
−カルボン酸を0.1〜20モル、好ましくは、0.1〜
10、さらに好ましくは0.2〜5モル、特に好ましく
は1〜2モルの範囲で混合する。
【0025】本発明の組成物は公知の方法で、分岐シク
ロデキストリン−カルボン酸を、目的とする水不溶性な
いし難溶性化合物と混合することにより製造できる。分
岐シクロデキストリン−カルボン酸による該物質の包接
化合物の調製は、例えば、大略、つぎの4方法で行うこ
とができる。 (1)共沈澱方法(クラッソンズ(Crassons)ら、第5回
コンファレンス・オブ・ファーマシューティカル・テク
ノロジー(5th lnt.Conf.Pharmaceutical Tech
nology),パリ(Paris),1989年5月30日〜6月
1日)、(2)凍結乾燥または噴霧乾燥法[クロズミ(Kur
ozumi)ら、ケミカル・アンド・ファーマシュティカル
・ブレチン(Chem.Pharm.Bull.),23,3062
(1975); カタ(Kata)ら、ファルマジー(Pharm
azie)39,856(1984)]、(3)相−溶解図結晶化
法(ウエカマ(Uekama)ら、インターナショナル・ジャ
ーナル・オブ・ファーマシューティックス(Int.J.
Pharmc.)10,1(1982))、(4)混練り方法[ジェ
イ・スゼジトリ(J.Szejtli)ら、「シクロデキスト
リンおよびその包接複合体(Cyclodextrins and the
ir inclusion complexes),アカデイミアル・キアド
(Akadeimial Kiado),ブダペスト(Budapest)(1
982),P.109−114; Kyowa Jap.Prov.
Pat.Pubin.No.106 698(1982)]。
【0026】さらに具体的には、 (1)分岐シクロデキストリン−カルボン酸(以下、場合
により、単にシクロデキストリンと称する)の水溶液に
目的とする被包接化合物を添加し、必要に応じて加温し
撹拌(振盪)する。残留した未反応の被包接化合物を濾
過、遠心分離などによって除去すると包接化合物が得ら
れる。 (2)シクロデキストリンを水に溶解させ、これに目的と
する被包接化物を添加して、10分ないし数時間混合
し、その後凍結乾燥する方法[エム・クロズミ(M.Kur
ozumi)ら、ケミカル・アンド・ファーマシューティカル
・ブレチン(Chem.Pharm.Bull.),23,142(1
975)]で粉末を得る。これを水に溶かし、未反応の被
包接化物を除去すると包接化合物の水溶液が得られる。 (3)被包接化物をあらかじめ適当な水と相溶可能な有機
溶媒に溶解しておき、これを水溶液中のシクロデキスト
リンと接触させ、ついで、有機溶媒および水を真空留
去、または凍結乾燥[EP−A−519428、JP−
A 5−178765(特願平03−150507号、
特願平03−230489号)]した後、残渣に水を加え
て溶かし、未反応の被包接化物を除去すると包接化合物
の水溶液が得られる。 (4)酸性の被包接化物については、アンモニア水に溶解
させ、これにシクロデキストリンを加えて凍結乾燥す
る。凍結乾燥の過程において過剰なアンモニアが除去さ
れ、被包接化物のアンモニウム塩の包接化合物が得られ
る。 (5)被包接化物を親油性有機溶媒(例えば、エチルエー
テル等)に溶かし、これにシクロデキストリンの飽和水
溶液と混合して10分〜数時間激しく振盪後、冷所に1
夜静置して、包接反応物を析出させ、その後、遠心分
離、濾過により分別する。得られた粉末を水に溶かして
包接化合物の水溶液が得られる。 (6)被包接化物とシクロデキストリンの両粉末を混合
し、これに少量の水を添加して練り合わせ[ワイ・ナカ
イ(Y.Nakai)ら、ケミカル・アンド・ファーマシュー
ティカル・ブレチン(Chem.Pharm.Bull.),26,
2419(1978)、あるいはその後、凍結乾燥する。 (7)被包接化物については、シクロデキストリン水溶液
と被包接化物の水溶液とを混合することにより、包接化
合物の水溶液が得られる。
【0027】このようにして既知の包接化方法に従って
得られた水溶液あるいは粉末は、多くの場合包接体であ
るか、静電的、疎水的な相互作用もしくは水素結合等に
よって複合体を形成している。したがって、本明細書中
の「包接体」なる語は、包接体、複合体自体のみならず、
包接体、複合体、遊離の被包接化合物および/または遊
離のシクロデキストリンの混合物を意味する。すなわ
ち、得られた粉末および水溶液は包接体、複合体以外に
未包接体あるいは未複合体である水不溶性ないし難溶性
の化合物および/または遊離シクロデキストリンを含有
してもよく、包接体自体も含め、この様な粉末および水
溶液は、極めて水溶性が高く、水に瞬時に溶解する特性
も有している。
【0028】本発明の組成物は、かくして得られた水溶
液または粉末そのものでもよく、また、所望により、さ
らに賦形剤、結合剤、滑沢剤等の公知の添加剤を適宜用
いて、適宜の剤形の医薬品、化粧料、飲食品、農薬、動
物薬等とすることができる。例えば、上記で得られる粉
末の粉末特性(保存瓶、バイアル容器等への充填性、比
容積、静電防止等)の向上のために、糖類、防腐剤、安
定化剤、静電防止剤等を添加してもよい。この操作によ
って得られる粉末は、例えば、注射剤として製造する場
合には、蒸留水または塩化ナトリウムおよび糖類(グル
コース、マンニトール、イノシトール等)で調製した等
張水溶液に容易に溶解する。溶解後、活性成分をその対
象疾病に対して有効な生体内薬物濃度で、注射剤として
静脈内、筋肉内、皮下、臓器内あるいは直接腫瘍部ない
し腫瘍切除部等の病巣に投与することができる。また、
経口剤として製造する場合、すなわち、錠剤、カプセル
剤、顆粒剤、細粒剤、包み剤あるいはドロップ剤、液剤
等を製造することができる。通常、これらの処方化に
は、公知の賦形剤、滑沢剤、結合剤、分散剤、安定化
剤、着色剤および吸収改善(促進)剤等が使用される。ま
た、上記粉末は常法に従って、注射投与、経口投与以外
の投与剤、例えば、鼻、口腔、舌下、直腸、膣、子宮等
の粘膜投与剤あるいは経皮投与剤、埋め込み剤とするこ
とも可能である。また、上記のこれら各投与製剤で、種
々の放出制御製剤、標的化製剤に成形して投与すること
もでき、そのような製剤を製造する際の原材料としても
使用される。
【0029】以上のように、本発明の分岐シクロデキス
トリン−カルボン酸は、水不溶性ないし難溶性化合物の
水に対する溶解性を向上させ、かつ、人体に対する安全
性が高いことから医薬品、動物薬として、注射剤、経口
剤、口腔剤、舌下剤、点眼剤、シロップ剤、皮膚外用
剤、経鼻剤、経肺剤、直腸坐剤、粘膜適用剤としての利
用価値が極めて高いものであり、ヒト及びヒト以外の哺
乳動物(サル、ウシ、イヌ等)の薬剤として有用である。
また、医薬品、動物薬と同様に、化粧料、農薬、飲食品
等も常法に従って所望の添加剤を用いて製造できる。
【0030】
【実施例】以下に実施例、実験例および参考例を挙げて
本発明をさらに具体的に説明するが、これらは本発明を
限定するものではない。 実施例1 抗腫瘍剤である6−O−(N−クロルアセチルカルバモ
イル)フマギロール100mgをエタノール4mlに溶解
し、この溶液とは別に6−O−シクロマルトヘプタオシ
ル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α
−D−グルクロン酸ナトリウム(β−CyD−G2−CO
ONa)744mg、そして、同様に別にβ−シクロデキス
トリン(β−CyD)579mg[該抗腫瘍剤:β−CyD−G
2−COONaあるいはβ−CyD=1:2(モル比)]を各
水15mlに溶解した。エタノール溶液に水溶液を撹拌下
添加混合した。得られた溶液を真空凍結乾燥して粉末と
した。粉末100mgに水1mlを加えて本発明の組成物で
ある均一水溶液を得た。一方、該抗腫瘍剤のみを水に加
えて、25℃において4時間激しく振盪後、0.22μm
のメンブランフィルターで濾過した。上記、均一水溶液
と濾過液の溶液中の該抗腫瘍剤を高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)法で定量した。その結果、表1に示す
溶解濃度が得られた。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示すように、該抗腫瘍剤単独または
β−CyD添加に比し、β−CyD−G2−COONa添加
で極めて高い溶解性の向上が得られた。 実施例2 実施例1と同様の操作で、抗腫瘍剤である6−O−(N
−クロルアセチルカルバモイル)フマギロール100mg
をエタノール4mlに溶解し、この溶液とは別に6−O−
シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−α−D−グルコ
シル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸ナトリウム
(以下α−CyD−G2−COONaと略記する)662m
g、そして、別に同様にα−シクロデキストリン(以下α
−CyDと略記する)642mg[該抗腫瘍剤:α−CyD−
2−COONaあるいはα−CyD=1:2(モル比)]を
各水15mlに溶解した。エタノール溶液に水溶液を撹拌
下添加混合した。得られた溶液を真空凍結乾燥して粉末
とした。粉末100mgに水1mlを加えて本発明の組成物
である均一水溶液を得た。一方、該抗腫瘍剤単独を水に
加えて、25℃において4時間激しく振盪後、0.22
μmのメンブランフィルターで濾過した。上記、均一水
溶液と濾過液の溶液中の該抗腫瘍剤を高速液体クロマト
グラフィー(HPLC)法で定量した。その結果、表2に
示す溶解濃度が得られた。
【0033】
【表2】
【0034】表2に示すように、該抗腫瘍剤単独または
α−CyD添加に比し、α−CyD−G2−COONa添加
で極めて高い溶解性の向上が得られた。 実施例3 実施例1と同様の操作で、セファロスポリン系抗生物質
である(−)−7β−[(Z)−2−(5−アミノ−1,2,4
−チアジアゾール−3−イル)−2−メトキシイミノア
セトアミド]−3−(1−イミダゾ[1,2−b]ピリダジニ
ウム)メチル−3−セフェム−4−カルボキシレートの
遊離体の100mgをエタノール4mlに溶解し、別に6−
O−シクロマルトヘプタシオル−(6→1)−α−D−グ
ルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸ナトリ
ウム(β−CyD−G2−COONa)580mg、そして同
様に、β−シクロデキストリン(β−CyD)451mg[該
抗生物質:β−CyD−G2−COONaあるいはβ−Cy
D=1:2(モル比)]を各水15mlに溶解した。エタノー
ル溶液に水溶液を撹拌下混合した。得られた溶液を真空
凍結乾燥して粉末とした。粉末100mgに水1mlを加え
て本発明の組成物である均一水溶液を得た。一方、該抗
生物質単独を水に加えて、25℃において8時間激しく
振盪後、0.22μmのメンブランフィルターで濾過し
た。上記、均一水溶液と濾過後の溶液中の該抗生物質を
HPLC法により定量した。その結果、表3に示す溶解
濃度が得られた。
【0035】
【表3】
【0036】表3に示すように、該抗生物質単独および
β−CyD添加に比し、β−CyD−G2−COONa添加
で極めて高い溶解性の向上が得られた。 実施例4 実施例1と同様の条件で、抗真菌剤である2−[(1R,
2R)−2−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−ヒドロ
キシ−1−メチル−3−(1H−1,2,4−トリアゾー
ル−1−イル)プロピル]−4−[4−(2,2,3,3−テ
トラフルオロプロポキシ)フェニル−3−(2H,4H)−
1,2,4−トリアゾロン100mgと6−O−シクロマル
トヘプタオシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4
→1)−O−α−D−グルクロン酸ナトリウム(β−Cy
D−G2−COONa)551mg[該抗真菌剤:β−CyD−
2−COONa=1:2(モル比)]、そして同様に、β−
シクロデキストリン(β−CyD)[該抗真菌剤:β−Cy
D=1:2(モル比)]について、同様に凍結乾燥粉末を得
た。実施例1と同様にして、これらの粉末および該抗真
菌剤単独の水に対する溶解度を測定した。その結果を表
4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】表4に示すように、該抗真菌剤単独および
β−CyD添加に比し、β−CyD−G2−COONa添加
で高い溶解性の向上が得られた。 実施例5 実施例1と同様の操作で、抗高脂血症剤であるクロフィ
ブレート100mgと6−O−シクロマルトヘプタオシル
−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O−α−
D−グルクロン酸ナトリウム(β−CyD−G2−COO
Na)1232mg[クロフィブレート:β−CyD−G2−C
OONa=1:2(モル比)]、そして同様に、β−シクロ
デキストリン(β−CyD)935mg[クロフィブレート:
β−CyD=1:2(モル比)]について、同様に凍結乾燥
粉末を得た。実施例1と同様にして、これらの粉末およ
びクロフィブレート単独の水に対する溶解度を測定し
た。その結果を表5に示す。
【0039】
【表5】
【0040】表5に示すように、クロフィブレート単独
およびβ−CyD添加に比し、β−CyD−G2−COO
Naの添加で高い溶解性の向上が得られた。 実施例6 6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−O−α
−D−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン
酸ナトリウム(β−CyD−G2−COONa)75mgを水
5mlに溶かし、これに精神安定剤であるジアゼパムを約
3mgを加え、25℃で8時間激しく振盪した後、遠心分
離、ミリポアーフィルター(0.22μm)で濾過によって
上清を分離した。また、上記のβ−CyD−G2−COO
Naに替えて、β−シクロデキストリン(β−CyD)を用
いた場合、およびジアゼパム単独の場合について同様に
行い、得られた濾液中に溶解しているジアゼパムの濃度
をHPLCで測定した。その結果を表6に示す。
【0041】
【表6】
【0042】表6に示すように、ジアゼパム単独および
β−CyD添加に比し、β−CyD−G2−COONa添加
で高い溶解性の向上が得られた。 実施例7 ジアゼパムの代わりに抗炎症剤であるフルフェナム酸約
6mgを用い、実施例6と同様の操作で、フルフェナム酸
単独およびβ−CyD−G2−COONaまたはβ−シク
ロデキストリンと組み合わせた場合のフルフェナム酸の
水に対する溶解度を測定した。その結果を表7に示す。
【0043】
【表7】
【0044】表7に示すように、フルフェナム酸単独お
よびβ−CyD添加に比し、β−CyD−G2−COONa
添加で高い溶解性の向上が得られた。 実施例8 ジアゼパムの代わりにホルモン剤であるテストステロン
を約6mgを用い、実施例6と同様にして、テストステロ
ン単独およびβ−CyD−G2−COONaまたはβ−Cy
Dと組み合わせた場合のテストステロンの水に対する溶
解度を測定した。その結果を表8に示す。
【0045】
【表8】
【0046】表8に示すように、テストステロン単独お
よびβ−CyD添加に比し、β−CyD−G2−COONa
添加で高い溶解性の向上が得られた。 実施例9 ジアゼパムの代わりに抗てんかん剤であるフェニトイン
約4mgを用い、実施例6と同様にして、フェニトイン単
独およびβ−CyD−G2−COONaまたはβ−CyDと
組み合わせた場合のフェニトインの水に対する溶解度を
測定した。その結果を表9に示す。
【0047】
【表9】
【0048】表9に示すように、フェニトイン単独およ
びβ−CyD添加に比し、β−CyD−G2−COONaの
添加で高い溶解性の向上が得られた。 実施例10 ジアゼパムの代わりに脂溶性ビタミン剤であるビタミン
2を約2mgを用い、実施例6と同様にして、ビタミン
2単独およびβ−CyD−G2−COONaまたはβ−C
yDと組み合わせた場合のビタミンK2の水に対する溶解
度を測定した。その結果を表10に示す。
【0049】
【表10】
【0050】表10に示すように、ビタミンK2単独お
よびβ−CyD添加に比し、β−CyD−G2−COONa
の添加で高い溶解性の向上が得られた。 実施例11 ジアゼパムの代わりに抗炎症剤であるインドメタシン約
4mgを用い、実施例6と同様にして、インドメタシン単
独およびβ−CyD−G2−COONaまたはβ−CyDと
組み合わせた場合のインドメタシンの水に対する溶解度
を測定した。その結果を表11に示す。
【0051】
【表11】
【0052】表11に示すように、インドメタシン単独
およびβ−CyD添加に比し、β−CyD−G2−COO
Naの添加で高い溶解性の向上が得られた。 実施例12 抗真菌剤であるグリセオフルビン100mgに6−O−シ
クロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D−グルコシ
ル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸(β−CyD−
2−COONa)313mg[グリセオフルビン:β−CyD
−G2−COONa=1:1(モル比)]を加えて、予め前
混合し、これをタンブラー粉砕器(ステンレス円筒30m
mφ×50mmし、ステンレスボール10mmφ×5個)に入
れ、さらにこれに少量の水(蒸留水)を加えた後、300
回/分の振盪数で約6時間激しく振盪し、真空凍結乾燥
して粉末を得た。同様に上記のβ−CyD−G2−COO
Naに替えて、β−シクロデキストリン(β−CyD)23
8mg[グリセオフルビン:β−CyD=1:1(モル比)]に
ついて、同様の操作で粉末を得た。得られた各粉末10
0mgに水1mlを加えて溶解した。一方、グリセオフルビ
ンのみを水に加えて、25℃において6時間激しく振盪
後、0.22μmのメンブランフィルターで濾過した。上
記、濾過液の溶液中のグリセオフルビンを分光吸光度法
(島津製作所UV−240型分光光度計)により定量し
た。その結果を表12に示す。
【0053】
【表12】
【0054】表12に示すように、グリセオフルビン単
独およびβ−CyD添加に比し、G2−β−CyD−CO
ONa添加で高い溶解性の向上が得られた。 実施例13 実施例12と同様の装置、操作で、糖尿病治療薬である
アセトヘキサミド50mgにβ−CyD−G2−COONa
230mg[アセトヘキサミド:β−CyD−G2−COON
a=1:1(モル比)]を加えて振盪し、真空凍結乾燥して
粉末を得た。また、β−CyD−G2−COONaに替え
て、β−CyDについて同様の操作を行い、粉末を得
た。得られた各粉末100mgに水1mlを加えて溶解し
た。一方、アセトヘキサミドのみを水に加えて、25℃
において6時間激しく振盪後、0.22μmメンブランフ
ィルターで濾過した。上記、濾過後の溶液中のアセトヘ
キサミドを紫外部吸収分光光度計(島津製作所UV−2
40型)により定量した。その結果を表13に示す。
【0055】
【表13】
【0056】表13に示すように、アセトヘキサミド単
独およびβ−CyD添加に比し、β−CyD−G2−CO
ONa添加で高い溶解性の向上が得られた。 実施例14 実施例6と同様の操作で、6−O−シクロマルトヘキサ
オシル−(6→1)−α−D−グルコシル−(4→1)−O
−α−D−グルクロン酸ナトリウム(以下α−CyD−G
2−COONaと略記する)75mgを水5mlに溶かし、こ
れにホルモン剤であるテストステロンを約4mgを加え、
25℃で8時間激しく振盪した後、遠心分離、ミリポア
ーフィルター(0.22μm)で濾過によって上清を分離し
た。また、上記のα−CyD−G2−COONaに替え
て、α−シクロデキストリン(α−CyD)を用いた場合
およびテストステロン単独の場合について同様に行い、
得られた濾液中に溶解しているテストステロンの濃度を
紫外部吸収分光光度計(島津製作所UV−240型)で定
量した。その結果を表14に示す。
【0057】
【表14】
【0058】表14に示すように、テストステロン単独
およびα−CyD添加に比し、α−CyD−G2−COO
Na添加で高い溶解性の向上が得られた。 実施例15 実施例6と同様の操作で、2−ヒドロキシ−3−O−
(6−シクロマルトヘプタオシル)−プロピオン酸ナトリ
ウム(以下β−CyD−CH2CH(OH)COONaと略記
する)75mgを水5mlに溶かし、これにホルモン剤であ
るテストステロンを約4mgを加え、25℃において8時
間激しく振盪した後、遠心分離、ミリポアーフィルター
(0.22μm)で濾過によって上清を分離した。また、
上記β−CyD−CH2CH(OH)−COONaに替え
て、β−CyDおよびテストステロン単独について同様
に行い、得られた濾液中に溶解しているテストステロン
の濃度を紫外部吸収分光光度計(島津製作所UV−24
0型)で定量した。その結果を表15に示す。
【0059】
【表15】
【0060】表15に示すように、テストステロン単独
およびβ−CyD添加に比し、β−CyD−CH2CH(O
H)−COONa添加で高い溶解性の向上が得られた。 実施例16 クロフィブレート1gとβ−CyD−G2−COONa1
2.3gとから、実施例1と同様の操作で凍結真空乾燥粉
末を得た。錠剤製造の常法に従い、この粉末を練合容器
に入れ、これにヒドロキシプロピルセルロース−L(H
PC−L)2g、メチルセルロース6.5gおよびステア
リン酸マグネシウム0.1gを混合し、さらに精製水5ml
を加えて湿式練合した後、真空乾燥して粉末とした。つ
いで、この粉末を粉砕して微粒化して、その220mgを
6mmφ打錠杵に入れ、打錠圧1トンで打錠し、本発明の
組成物であるクロフィブレート10mg/1錠剤を100
錠製造した。
【0061】実施例17 ジフェンヒドラミン5gとβ−CyD−G2−COONa2
0gとから、実施例1と同様の操作で凍結真空乾燥して
粉末を得た。点鼻剤製造の常法に従い、この粉末を別に
調製したpH7.4等張リン酸緩衝液1000mlに溶解
し、さらに防腐剤としてパラオキシ安息香酸ブチル0.
005gを添加して溶解後、滅菌濾過(メンブランフィル
ター)し、20ml点鼻容器に充填して本発明の組成物で
ある0.5%ジフェンヒドラミン含有/20ml容量を5
0個製造した。
【0062】実施例18 インドメタシン2gとβ−CyD−G2−COONa16g
とから、実施例1と同様の操作で凍結真空乾燥して粉末
を得た。直腸坐剤製造の常法に従い、ウイテプゾールW
−35 82gを55〜60℃に加温して融解し、これ
に、先に調製した粉末を添加してよく撹拌して均一に分
散させた。ついで、2g坐剤成形用コンテナーに注入、
徐冷却して成形し、本発明の組成物である40mgインド
メタシン含有/1坐剤を50個製造した。
【0063】実施例19 化粧料製造の常法に従い、ミクロクリスタリンワックス
10g、ミツロウ5g、ワセリン6g、水添ラノリン6g、
スクワラン36g、ヘキサデシルアジピン酸エステル8g
およびポリオキシエチレン(20モル)ソルビタンモノオ
レイン酸エステル4gを乾燥した容器に入れ、約70〜
80℃に加温して撹拌、溶解した(A組成物)。別の容器
にビタミンE0.01gとマルトシル−β−シクロデキス
トリン−カルボン酸(β−CyD−G2−COOH)0.1g
を精製水21.4gに室温下で溶解し、さらにプロピレン
グリコール2.5g、香料0.5gおよびパラオキシ安息香
酸ブチルを適量加えて、約70℃に加温して撹拌溶解し
た(B組成物)。ついで、先に調製したA組成物にB組成
物を撹拌下、徐々に混合して乳化、脱気した後、濾過し
て徐冷却することにより、本発明の組成物である100
gの美顔化粧クリームを製造した。
【0064】実施例20 農薬粉剤の常法の製造法に従い、フェリムゾン10gと
マルトシル−β−シクロデキストリン−カルボン酸(β
−CyD−G2−COOH)80gを秤量して、精製水20
0mlに入れ、撹拌溶解した後、真空乾燥して粉末とし、
これを粉砕後、振盪篩分器にかけて、20〜30μの粒
度に分別し、80gの粉末を得た。別に20〜30μの
粒子径に篩分け調製したD−ソルビット粉末20gとク
レー粉末100gを、常法に従って混合器に入れて混合
し、これに先に調製したフェリムゾン/β−CyD−G2
−COOH粉末80gを添加、よく混合して本発明の組
成物である、イモチ病農薬の粉剤200gを製造した。
【0065】実施例21 ビタミンE0.05gをマルトシル−β−シクロデキスト
リン−カルボン酸(β−CyD−G2−COOH)0.5gを
精製水100mlに溶かした水溶液に添加して溶解した
後、凍結真空乾燥して0.55gの粉末(含水量補正後)を
得た。マヨネーズ食品製造の常法に従い、この粉末を混
合容器に入れ、さらに、からし5g、塩12.5g、こし
ょう1.25g、砂糖8gおよび化学調味料0.75gを加
えて、つぶのないように混ぜた。ついで、卵黄80gを
入れ、泡立器でよく混ぜ合わせ、食酢25gを入れ十分
にかき混ぜ合わした。ついで、最初は約15gのサラダ
油を撹拌しながら添加した。さらにサラダ油5gを入
れ、固くなってきたら食酢45gを入れ、のばしてから
サラダ油800gを手早く撹拌しながら入れた。最後に
食酢5gで味を整えて本発明の組成物である食用マヨネ
ーズ1kgを製造した。
【0066】実験例1 10mMの等張リン酸緩衝液(pH7.4)にウサギの赤血
球を加え、0.25%の懸濁液を調製した。これに6−
O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D−グ
ルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸ナトリ
ウム(β−CyD−G2−COONa)を1〜40mMとなる
ように加え、37℃で30分間振盪後、遠心分離によっ
て上清を分取した。β−CyD−G2−COONaの作用
によってバーストした赤血球の量は、得られた上清中の
ヘモグロビンの543nmにおける吸光度を分光光度計
(UV−240型 島津製作所)で測定することで求め
た。等張リン酸緩衝液の替わりに水を用いて赤血球をバ
ーストさせた場合のヘモグロビンの量を100%とし、
その相対的な割合を溶血率として表示し、溶血率とシク
ロデキストリン濃度の関係を図1に示した。また、上記
β−CyD−G2−COONaに替えて、β−シクロデキ
ストリン(β−CyD)について、同様に操作して溶血率
を測定し、その結果を図1に併記して比較した。図1か
ら明らかなように、β−CyD−G2−COONaはβ−
CyDに比較して、溶血作用がかなり小さいものであっ
た。
【0067】実験例2 6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D
−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸ナ
トリウム(以下、β−CyD−G2−COONaと略称す
る)を用いてヒト赤血球に対する溶血性試験を行った。
0.1Mの等張リン酸緩衝液(pH7.4)にヒトの赤血
球を加え、20%の懸濁液を調製した。5〜30mM濃
度のβ−CyD−G2−COONa含有等張緩衝液4mlに
20%赤血球懸濁液100μlを加え、37℃で30分
間保温後、遠心分離によって上清を分取した。β−Cy
D−G2−COONaの作用によってバーストした赤血球
の量は、得られた上清中のヘモグロビンの543nmにお
ける吸光度を分光光度計(U−1080型、日立製作
所)で測定することで求めた。等張リン酸緩衝液の代わ
りに水を用いて赤血球をバーストさせた場合のヘモグロ
ビンの量を100%とし、その相対的な割合を溶血率と
して表示し、溶血率とシクロデキストリ濃度の関係を図
2に示した。また、上記β−CyD−G2−COONaに
替えて、β−シクロデキストリン(β−CyD)、G1
β−CyDおよびG2−β−CyDについて、同様に操作
して溶血率を測定し、その結果を図2に併記して比較し
た。図2から明らかなようにβ−CyD−G2−COON
aはβ−CyD、G1−β−CyDおよびG2−β−CyDと
比較して、溶血作用がかなり小さいものであった。
【0068】実験例3 6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D
−グルコシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸
(β−CyD−G2−COOH)の毒性試験を4匹の雄ラ
ットを用いて行った。β−CyD−G2−COOHを滅菌
水に溶解し、この溶液を1ml/kg、3ml/kgおよび10
ml/kg(それぞれβ−CyD−G2−COOHを100mg
/kg、300mg/kgおよび1000mg/kg含有)の1日
投与量で2週間にわたりラットに静脈内投与した。試験
において死亡例は認められなかった。また、一般状態、
体重、摂餌量、尿沈渣、血液学的検査においても異常が
認められなかった。また、病理組織学的所見においても
壊死のような重篤な所見は認められなかった。比較対照
として、β−CyD−G2の毒性を検討した。一般状態で
は、β−CyD−G2300mg/kg、1000mg/kg投与
群に耳介潮紅、四肢末端膨張が、尿検査で、1000mg
/kg投与群に潜血、LDH、NAGの上昇が認められ
た。また、病理組織学的検査で300mg/kg、1000
mg/kg投与群において腎尿細管上皮の空胞化、壊死の散
見が認められた。
【0069】実験例4 6−O−α−D−グルクロニル−(1→4)−α−D−グ
ルコシル−β−シクロデキストリンNa塩[6−O−シク
ロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D−グルコシル
−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸ナトリウム塩]
(β−CyD−COONa)の各種酵素に対する安定性試
験を下記方法により行った。比較対照として、6−O−
α−マルトシル−β−シクロデキストリンを用いた。 試験方法 10mMの供試シクロデキストリン水溶液に、下記酵素
の所定量をそれぞれ加えた後、37℃の温浴中で静置し
た。50μlずつサンプルを分取し、100℃で15分
間加熱することにより酵素を失活させた後、遠心分離
(15,000r.p.m.5分)した。さらにミリポアUS
Y−1(分画分子量10,000)で濾過した。10倍に
希釈して下記条件によりHPLC分析に付した。 HPLC 分析条件: カラム;NH2P−50(アサヒパック(Asahipak)) 移動相;CH3CN:H2O=48:52にPIC試薬0.0
05Mを添加した。 流速;0.8ml/分 検出;RI 上記操作で得られた各試料のHPLCから、120分ま
での時間ごとのシクロデキストリンの残存率を求めた。
使用酵素と酵素濃度の関係を表16に示した。
【0070】
【表16】
【0071】結果 6−O−α−D−グルクロニル−(1→4)−α−D−グ
ルコシル−β−シクロデキストリンナトリウム塩(分岐
シクロデキストリン−カルボン酸塩)および6−O−α
−マルトシル−β−シクロデキストリン(分岐シクロデ
キストリン)の各酵素による残存率の経時変化を図3〜
図6に示す。図中、黒三角は分岐シクロデキストリン−
カルボン酸塩を、また、黒丸は分岐シクロデキストリン
を表す。図4〜6から明らかなごとく、分岐シクロデキ
ストリン−カルボン酸塩は、グルコアミラーゼ、プルラ
ナーゼ、β−グルクロニダーゼの酵素処理に対して、対
照とした6−O−α−マルトシル−β−シクロデキスト
リンに比し、安定であることが判明した。図3に示すと
おり、α−アミラーゼの酵素処理に対しては、両β−シ
クロデキストリンはほぼ同じく安定であった。一方、プ
ルラナーゼの酵素処理に対する検討では、対照とした6
−O−α−マルトシル−β−シクロデキストリンが約6
0%分解されるのに対して、分岐シクロデキストリン−
カルボン酸塩は安定であった。
【0072】実験例5 実施例1と同様の操作で、抗がん剤であるタキソール
(Taxol)のメタノール溶液25μl(タキソールとして
125μg含有)に、モル比で1:2、1:10、1:20
となるように、G2−β−CyD−COONaの水溶液を
添加し、30℃で24時間撹拌した。反応液に水を加
え、5mlとし、0.2μmのポアサイズのミリポアフィ
ルターで濾過し、濾液を凍結乾燥し無色粉末を得た。こ
の粉末を水にとかし、乾燥粉末中1mg中のタキソール量
をHPLCで測定した。 HPLC条件: カラム:μボンダパックC18(3.9mm
×15cm) 移動相:MeOH:H2O=3:2 流速 :0.7ml/分 検出 :UV230nm 注入量:10μl タキソール : Rt=12.3 結果 : モル比1:10で調製した凍結乾燥粉末2.09μg/ml モル比1:20 〃 1.85μg/ml これにより、G2−β−CyD−COONaの1:10〜
1:20の添加により可溶化することが示された。
【0073】参考例 シュードグルコノバクター・サッカロケトゲネス(Pseu
dogluconobacter saccharoketogenes)菌液1リットル
にマルトシル−β−シクロデキストリン30g、滅菌水
1リットルを加え、32℃、800回転で、空気を1.
6リットル/分で通気しながら、1時間反応させ、つい
でこの反応液を8000回転で冷却遠心器で分離し、菌
体を除き、上澄液をHP−20カラム(1.5リットル)
に通導し、水洗(2リットル)後、20%メタノール水溶
液で溶出される画分を集め、濃縮、凍結乾燥し、6−O
−[α−D−グルクロニル−(1→4)−α−D−グルコ
シル]−β−シクロデキストリンナトリウム塩(β−Cy
D−G2−COONa)を25g得た。本品の物理化学的諸
データを表17に示した。
【0074】
【表17】
【0075】同様の方法で、6−O−(2−カルボキシ
エチル)−β−シクロデキストリンナトリウム塩、6,6
−ジ−O−(2−カルボキシエチル)−β−シクロデキス
トリン、6−O−α−D−グルクロニル−(1→4)−α
−D−グルコシル−α−シクロデキストリン/ナトリウ
ム塩、6−O−(α−D−グルクロニル)−β−シクロデ
キストリン、6−O−[α−D−グルクロニル−(1→
4)−α−D−グルコシル]−α−シクロデキストリン、
6−O−(2−カルボキシ−2−ハイドロキエチル)−β
−シクロデキストリンナトリウム塩、6,6'−ジ−O−
(2−カルボキシエチル−2−ハイドロキエチル)−β−
シクロデキストリンナトリウム塩を調製した。その物理
化学的諸データを表18〜表21に示した。
【0076】
【表18】
【0077】
【表19】
【0078】
【表20】
【0079】
【表21】
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、分岐シクロデキストリ
ン−カルボン酸を用いることにより、水不溶性ないし難
溶性化合物の水溶性が該化合物単独の場合よりも著しく
向上し、さらに、例えば、β−CyD−G2−COOHで
は、β−シクロデキストリンとの組成物の場合よりも活
性成分の水溶性が数十倍向上する。しかも、生体に対す
る作用、例えば赤血球を破壊する作用がβ−シクロデキ
ストリンに比べて小さいため、血液に対して高い安全性
を示す。さらにまた、β−CyD−G2−COOHは酸ま
たは酵素による分解が極めて小さい。したがって、この
点においても、本発明の組成物は人体を含む動物に対す
る安全性が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 β−CyD−G2−COONaおよびβ−CyD
のウサギ赤血球に対する溶血作用を示すグラフ。
【図2】 0.1M等張リン酸緩衝液(pH7.4)中3
7℃におけるβ−CyDのヒト赤血球に対する作用を示
すグラフ。
【図3】 分岐シクロデキストリン−カルボン酸塩と分
岐シクロデキストリンのα−アミラーゼに対する安定性
を示すグラフ。
【図4】 分岐シクロデキストリン−カルボン酸塩と分
岐シクロデキストリンのグルコアミラーゼに対する安定
性を示すグラフ。
【図5】 分岐シクロデキストリン−カルボン酸塩と分
岐シクロデキストリンのプルラナーゼに対する安定性を
示すグラフ。
【図6】 分岐シクロデキストリン−カルボン酸塩と分
岐シクロデキストリンのβ−グルクロニダーゼに対する
安定性を示すグラフ。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 5/16 C08L 5/16 (56)参考文献 特開 平4−81403(JP,A) 特開 昭61−275301(JP,A) 国際公開91/18022(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 47/40 A61K 7/00 A01N 25/00 A23L 1/03 C08B 37/16 C08L 5/16 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)水不溶性ないし難溶性化合物と、
    (2)シクロデキストリン環の少なくとも1つのグルコ
    ース単位の6−O位に有機基を有する分岐シクロデキス
    トリンであって、該有機基が1〜3個のグルコース単位
    からなり、該グルコース単位のヒドロキシメチル基の少
    なくとも1つがカルボキシル基に酸化されている分岐シ
    クロデキストリンとを含有してなる組成物。
  2. 【請求項2】 水不溶性ないし難溶性化合物1モルに対
    して前記分岐シクロデキストリンを0.1〜10モル含
    有する請求項1記載の組成物。
  3. 【請求項3】 シクロデキストリン環が7個のグルコー
    ス単位を有する請求項1記載の組成物。
  4. 【請求項4】 前記分岐シクロデキストリンが、6−O
    −シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−α−D−グル
    コシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸、6−O
    −シクロマルトヘプタオシル−(6→1)−α−D−グル
    コシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸、6−O
    −シクロマルトオクタオシル−(6→1)−α−D−グル
    コシル−(4→1)−O−α−D−グルクロン酸、6−O
    −シクロマルトヘキサオシル−(6→1)−α−D−グル
    クロン酸、6−O−シクロマルトヘプタオシル−(6→
    1)−α−D−グルクロン酸、6−O−シクロマルトオ
    クタオシル−(6→1)−α−D−グルクロン酸、6−O
    −シクロマルトヘプタオシル−O−α−D−マルトシル
    −(4→1)−O−α−D−グルクロン酸、または7,
    −ジ−O−[α−D−グルクロニル−(1→4)−O
    −α−D−グルコシル]−(1→6)−マルトヘプタオー
    スである請求項1記載の組成物。
  5. 【請求項5】 医薬組成物である請求項1記載の組成
    物。
  6. 【請求項6】 水不溶性ないし難溶性化合物が、解熱
    剤、抗炎症剤、鎮痛剤、精神安定剤、鎮静剤、抗腫瘍
    剤、抗菌剤、抗生物質、抗高脂血症剤、鎮咳去たん剤、
    筋弛緩剤、抗てんかん剤、抗潰瘍剤、抗うつ剤、抗アレ
    ルギー剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧利
    尿剤、糖尿治療剤、抗結核剤、麻薬拮抗剤、ホルモン剤
    または脂溶性ビタミン剤である請求項5記載の組成物。
  7. 【請求項7】 化粧料組成物である請求項1記載の組成
    物。
  8. 【請求項8】 農薬組成物である請求項1記載の組成
    物。
  9. 【請求項9】 飲食用組成物である請求項1記載の組成
    物。
  10. 【請求項10】 動物薬組成物である請求項1記載の組
    成物。
  11. 【請求項11】 (1)水不溶性ないし難溶性化合物
    と、(2)シクロデキストリン環の少なくとも1つのグ
    ルコース単位の6−O位に有機基を有する分岐シクロデ
    キストリンであって、該有機基が1〜3個のグルコース
    単位からなり、該グルコース単位のヒドロキシメチル基
    の少なくとも1つがカルボキシル基に酸化されている分
    岐シクロデキストリンとを併用することを特徴とする水
    不溶性ないし難溶性化合物の水溶性改善方法。
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