JP3282091B2 - ダンベル - Google Patents

ダンベル

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JP3282091B2
JP3282091B2 JP05082497A JP5082497A JP3282091B2 JP 3282091 B2 JP3282091 B2 JP 3282091B2 JP 05082497 A JP05082497 A JP 05082497A JP 5082497 A JP5082497 A JP 5082497A JP 3282091 B2 JP3282091 B2 JP 3282091B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、筋力トレーニン
グに使用されるダンベルに係り、特にインナーマッスル
(小筋群)のトレーニングに好適なダンベルに関する。
【0002】
【従来の技術】ダンベルは、筋力トレーニングの内容に
応じて各種のタイプのものが使用されているが、把手部
の両端にバランス用の錘を固定したものが一般である。
この種のダンベルは、把手を把持して上げ下げしたり、
把手を軸方向に振るときに作用する力によってトレーニ
ング者の筋力を鍛練するものである。このような筋力ト
レーニングを続けると、腕、肩及び胸等のアウターマッ
スル(大きい筋肉)を強化することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のダンベルは、単に強い力を発揮するためのアウター
マッスルを鍛練することはできるものの、肩や胸等の小
さい筋肉であるインナーマッスルを鍛練することはでき
なかった。このため、野球のピッチャーの場合のよう
に、激しい投球動作に起因するインナーマッスルの傷害
予防とこれを酷使した後の早期回復を図るためには、前
述の従来ダンベルは殆ど役に立たず、インナーマッスル
を良好な状態に調整(コーディネート)することができ
るダンベルの開発が待望されていた。
【0004】そこで、本発明のうち請求項1記載の発明
は、肩や胸等のインナーマッスルを集中的に鍛練するこ
とができるダンベルを提供することを目的としている。
また、本発明のうち請求項2記載の発明は、バランス錘
を簡単に収納することができるようにして、ダンベルの
重量を最適に調節し、肩や胸等のインナーマッスルを効
果的に鍛練し得るダンベルを提供することを目的として
いる。また、本発明のうち請求項3記載の発明は、ダン
ベルの重量をよりきめ細かく調節できるようにして、肩
や胸等のインナーマッスルを最適の条件で鍛練し得るダ
ンベルを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明のうち請求項1記載の発明は、全体が略円筒
状で、中央部が最大径の膨出部となるように外形を楕円
形状としたダンベル本体と、このダンベル本体に取り付
けられた長さの調節が自在のベルトと、前記ダンベル本
体の中心側に向けて形成された複数個のバランス錘を収
納する錘収納部と、この錘収納部の開口を閉塞する蓋体
と、この蓋体を開口に施蓋したとき前記バランス錘をダ
ンベル本体の中心方向に向けて押圧付勢するバネ体とを
備えてなることを特徴としている。また、本発明のうち
請求項2項記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に
おいて、ダンベル本体の中心側から前記錘収納部の開口
側に向けて延びるガイドシャフトを配設し、前記バラン
ス錘の中心部に前記ガイドシャフトの軸径よりも略大径
のガイド孔を形成したことを特徴としている。また、本
発明のうち請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明
の構成において、錘収納部の開口周縁側から内側壁に沿
って奥部に延びるガイドレールを配設し、バランス錘の
外周部に前記ガイドレールに係合されるガイド溝を形成
したことを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
示例と共に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る
ダンベルを示す斜視図、図2は同ダンベルとバランス錘
を示す正面図、図3は同ダンベルにバランス錘を収納し
た状態を一部断面で示す側面図である。
【0007】このダンベル1は、インナーマッスル(小
筋群)のエクササイズ(鍛練)に好適に使用されるもの
で、ダンベル本体2内の錘収納部3、4に複数個のバラ
ンス錘13を収納して蓋体9、10及びバネ体11、1
2によりこれらを保持する構成としている。なお、以下
の図示説明において、左右対称形状の部分については、
左側半部を断面で示し右側半部の一部は図示省略する。
前記ダンベル本体2は、全体が略円筒状で、中央部2a
が最大径の膨出部となるように外形を楕円形状にしてい
る。このダンベル本体2は、人の片手の幅よりも若干大
きい長さとし、外径は5本の指で軽く把持できる程度に
して、中央部2aから左右両端部2c、2dに向けて漸
次小径としている。このダンベル本体2は、FRP等の
合成樹脂材により成形加工されるが、強化ゴムで形成し
てもよい。また、このダンベル本体2の外周面2bは、
手の滑りを防止するために、滑りにくい材料で覆った
り、掌及び指の形状に合わせて凹凸状に形成してもよ
い。
【0008】そして、このダンベル本体2は、内部に左
右の錘収納部3、4を形成し、ガイドシャフト5を配設
する一方、左右両端部2c、2dにはベルト支持具6、
7を固着している。前記錘収納部3、4は、左右とも内
径がバランス錘13の外径よりも大きくし、このバラン
ス錘13をそれぞれ4個づつ収納できる長さを有してい
る。左右の錘収納部3、4は、ダンベル本体2の中心側
が奥部3a、4aであり、両端部2c、2dに開口部3
b、4bを有している。なお、左右の開口部3b、4b
の外周縁にネジ部3cを設けてあり、蓋体9、10が施
蓋されるようにしている。ガイドシャフト5は、金属製
の丸棒であって、ダンベル本体2の中央に形成された隔
壁2eの中心から左右の開口部3b、4bに向けて直線
状に延出するように一体的に固設している。
【0009】ベルト支持部6、7は、環状部6a、7a
の外周縁に掛止突部6b、7bを設けて形成したもの
で、ダンベル本体2の左右両端部2c、2dに環状部6
a、7aを埋め込んで一体化し、外周縁を露出させてい
る。各ベルト支持部6、7の掛止突部6b、7bは、ベ
ルト幅より大きめの掛止穴を設けており、これにベルト
8が掛止される。この実施の形態におけるベルト8は、
両端8a、8bにマジックテープを設けており、図4の
仮想線に示すように、前記掛止突部6b、7bに通した
後、図4の実線に示す如く両端8a、8bを重ねた状態
で手14の指14b〜14eの甲側を押さえ、掌側に前
記ダンベル本体2を保持することができる長さにしてあ
る。このダンベル本体2は、5本の指14a〜14eで
軽く把持できる程度の外径であり、中央部2aから左右
両端部2c、2dに向けて漸次小径としてあるから、ベ
ルト8を最適長さに調節して掌を外周面2bに接する
と、指14a〜14e全体を拡げてもダンベル本体2が
落ちないようになっている。なお、ベルト8は、伸縮自
在の材料を用いてもよく、また、前記マジックテープに
代えてマジックファスナーやベルクロファスナーを用い
てもよい。
【0010】蓋体9、10は、断面が彎曲状で、内周縁
にネシ部9a(蓋体10側は図示省略)を形成し、外周
面には指止め用の窪み9b、10bを複数箇所に設けて
いる。また、この蓋体9、10は、内周壁の中央にボス
部9cを突設してある。このボス部9cは、長さ方向に
前記ガイドシャフト5の軸径よりも略大径の軸孔9dを
形成しており、蓋体9、10をダンベル本体2の開口部
3a、4aに施蓋したとき、各軸孔9dにガイドシャフ
ト5の各先端5a、5bが緩挿されるようになってい
る。バネ体11、12は、バランス錘13を固定するた
めのもので、コイルスプリングを用いており、各一端1
1a、12aが蓋体9、10のボス部9cに係止され、
各他端11b,12bをバランス錘13の一側面に当接
させるようになっている。
【0011】このバネ体11、12は、蓋体9、10の
施蓋時にバランス錘13をダンベル本体2の中心部に向
けて押圧付勢し、ガタツキを防止するとともに、ダンベ
ル1自体のバランスを保つ。すなわち、左右の錘収納部
3、4にバランス錘13を複数組収納し、各開口部3
b、4bに蓋体9、10を施蓋すると、バネ体11、1
2の弾発力によってバランス錘13がダンベル本体2の
中心方向に向けて押圧される。ここで、ダンベル本体2
は、左右対称形状になっており、中央部2aと中心とが
一致しているので、バランス錘13が多数組収納されて
も、ダンベル本体2の中央部2a側を中心としてバラン
スが保たれる。これにより、重心が偏ることのないダン
ベル1を用いてエクササイズを行うことができる。
【0012】前記バランス錘13は円盤状で、中央に前
記ガイドシャフト5の軸径よりも略大径の軸孔13aを
形成しており、ガイドシャフト5の挿入によって、前記
錘収納部3、4内に収納されるようになっている。この
バランス錘13は、重量を一定として規格化し、使用者
の体重及びエクササイズの内容に応じて2個を1組とし
た収納個数を任意に設定できるようにしている。本例で
は、1個当たりの重量を100gに製作してあるが、5
0gのバランス錘も用意して、適宜よりきめ細かな重量
調節ができるようにすると好適である。なお、これらの
バランス錘13をダンベル本体2内に空きスペースがな
くなるまで収納すると、このダンベル1(7)総重量は
約1.5kgとなり、一般的にインナーマッスルのエク
ササイズに適した重さとなる。以上のように構成された
ダンベル1は、図4に示したように4本の指14b〜1
4eをダンベル本体2の外周面2bとベルト8との間に
挿入し、親指14aを反対側に添えると、外周面2bに
掌が接した状態でダンベル本体2が手14に保持され
る。よって、手14に力をいれることなくダンベル1を
持ち、強い力を発揮する大きな筋肉であるアウターマッ
スルへの影響を回避しつつ、集中的にインナーマッスル
のエクササイズを行うことができるものである。
【0013】次に、本発明の他の実施の形態について説
明する。図5は本発明の他の実施の形態に係るダンベル
を示す斜視図、図6は同ダンベルとバランス錘を示す正
面図、図7は同ダンベルにバランス錘を収納した状態を
一部断面で示す側面図である。このダンベル20は、前
記実施の形態のダンベル1と基本的構成が略同一であ
り、同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略す
る。このダンベル20は、ダンベル本体2の左右両端部
2c、2dにベルト支持部26、27を一体形成してお
り、このベルト支持部26、27の掛止穴26a、27
aに前記ベルト8を掛止している。また、このダンベル
本体2は、内部に形成した左右の錘収納部3、4にバラ
ンス錘23を収納するためのガイドレール24、25を
それぞれ配設している。これらのガイドレール24、2
5は、基端24a(ガイドレール25側は図示省略)を
錘収納部3、4の内奥として各先端24bを開口部3
b、4bの周縁まで延出し、一対が上下対称位置になる
よう内周壁3d、4dに内設している。
【0014】そして、バランス錘23の外周部23aに
は、これらのガイドレール24、25に対応して、2本
のガイド溝23bを形成することにより、錘収納部3、
4にバランス錘23を収納するとき、ガイドレール2
4、25にガイド溝23bを係合させて、奥部まで収納
し易くしている。なお、このバランス錘23を中心に向
けて押圧付勢するバネ体21,22として、波形状の板
バネを各一対備えている。これらのバネ体21,22
は、各基端21aを蓋体29、30の内面中央に突設さ
れた各支持部29aに固着し、各先端21b、22bを
バランス錘23の一側面に当接させている。これによ
り、蓋体29、30を回転してネジ部に施蓋するとき、
パネ体21,22の先端21b、22bがバランス錘2
3の一側面に摺接するので、支障なくダンベル本体2に
蓋体29、30を施蓋することができる。
【0015】次に、本発明のさらに他の実施の形態につ
いて説明する。図8はこの実施の形態に係るダンベルを
示す側面図、図9は同ダンベルにバランス錘を収納した
状態を一部断面で示す平面図である。このダンベル40
は、ダンベル本体42の中央部42aが最大径の膨出部
となるように外形を略卵形状にしている。このダンベル
40は、全体を補強するために、環状で断面が略T字形
となる金具41をダンベル本体42内に埋設してある。
また、このダンベル本体42に複数のバランス錘53を
収納し、蓋体49、50やバネ体51で保持するように
なっている。このダンベル本体42は、上下の外周面4
2b、42cに山形の把持部42d、42eをそれぞれ
形成してあり、上下の幅が左右の幅よりも若干広くなっ
ている。これにより、把持部42d、42e間の略平坦
状乃至凹状部位に指をあてがうと、ダンベル40の把持
が容易となる。
【0016】また、このダンベル本体42は、左右両端
部42h、42iに開口部43a、44a(右端部42
i側は図示省略)を有する貫通穴を形成し、この貫通穴
の中央部を含む左右を錘収納部43、44としている。
これらの錘収納部43、44は、内径がバランス錘53
の外径よりも大きく、このバランス錘53を最大で9個
収納できる長さを有している。そして、左右の開口部4
3aの各外端縁43bには、それぞれネジ部43cを設
けてあり、蓋体49、50の各ネジ部49aを螺合して
施蓋できるようにしている。また、ダンベル本体42
は、左右両端部42h、42iにベルト支持部46、4
7を固着している。このベルト支持部46、47は、環
状部46a、47aの外周縁に掛止部46b、47bを
設けて形成したもので、ダンベル本体42の左右両端部
42h、42iにそれぞれ段差部43dを形成し、これ
らの段差部43dに環状部46a、47aを嵌合して一
体化している。掛止部46b、47bは、環状部46
a、47aの上部側にベルト幅より大きめの挿通穴を形
成しており、この挿通穴にベルト48を挿通して掛止す
る。このベルト48は、一端48aを掛止部47bに止
着しているが、他端48bに前述のマジックテープを設
けてあり、掛止部46bに挿通してから適宜長さを調節
した後、マジックテーブ同士を接着できるようになって
いる。
【0017】蓋体49、50は、断面が曲率の大きい彎
曲状で、内周縁にネジ部49a(蓋体50側は図示省
略)を形成し、外周面には指止め用の窪み49b、50
bを複数箇所に設けている。また、この蓋体49、50
は、内周壁の中央にそれぞれボス部49cを突設してあ
る。これらのボス部49cは、長さ方向に前記ガイドシ
ャフト45の軸径よりも略大径の軸孔49dを形成して
おり、蓋体49、50をダンベル本体42の開口部43
a、44aに施蓋したとき、各軸孔49dにガイドシャ
フト45の各先端45aが緩挿される。なお、このガイ
ドシャフト45をバランス錘53の軸孔に挿通してから
錘収納部43、44に収納する。前記バネ体51,52
は、前述のコイルスプリング11と同様に各一端51a
が蓋体49、50の各ボス部49cに係止され、各他端
51bをバランス錘53の一側面に当接させるようにな
っている。これにより、収納されたバランス錘53をダ
ンベル本体42の中心部に向けて押圧付勢し、ガタツキ
を防止するとともに、バランスを保つことができるた
め、重心が偏ることなくエクササイズを行うことができ
るものである。以上のように構成されたダンベル1、2
0、40は、特に肩の周辺部に負担のかかるスポーツ、
例えば、野球のピッチャー等がエクササイズに使用する
と効果的である。
【0018】次に、上記ダンベルを用いて野球のピッチ
ャーがエクササイズする場合について以下説明する。野
球においては、ピッチャーの投球動作がボールの勢いに
深く影響するとともに、肩関節の傷害とも密接に関係し
ている。この肩関節は、5つの関節に分かれており、2
0もの筋肉の連係プレーによって複雑な動きを可能にし
ている。特に、上腕骨と肩甲骨との間にある肩甲上腕関
節は、ボール・アンド・ソケットと呼ばれる不安定な形
状をしているため、可動性に富む一方で安定性に乏しい
という特徴を有しており、これを支えるインナーマッス
ルとアウターマッスルとのバランスのとれた動きが重要
となっている。
【0019】インナーマッスルは、肩の筋肉のうち深い
部位にあって求心性を有しており、安定作用をつかさど
るのに対し、アウターマッスルは、その上部にあって遠
心性に作用することから大きな力を生み出すものであ
る。このアウターマッスルとインナーマッスルとが、遠
心性と求心性との絶妙なバランスを保ちながら様々な肩
の動きを可能にしている。従って、この両者がバランス
を保っているときは問題ないが、肩を酷使(オーバーユ
ース)する投球(ピッチング)には、このバランスを崩
す要素が多くある。とりわけ、インナーマッスルの肩に
与える影響は大きく、インナーマッスルに問題が生じた
場合をバランスが崩れた状態といってもよいほどであ
る。このため、肩の傷害を予防し或いはオーバーユース
によって生じた肩の傷害を早期に回復するためには、イ
ンナーマッスルの強化ではなく、アウターマッスルとの
協同作業が円滑になされるよう調整(コーディネーショ
ン)することが必要になってくる。
【0020】このコーディネーションには、インナーマ
ッスルのうちローテーター・カフと呼ばれる棘下筋、棘
上筋、小円筋及び肩甲下筋からなる4つの筋肉に加え、
菱形筋等を健康な状態に保つことが重要である。なお、
棘下筋とは、肩甲骨の表側(背中の表面に近い側)の筋
肉で、この下部に小円筋が位置している。また、肩甲下
筋は肩甲骨の裏側の筋肉で、この肩甲下筋と前記棘下筋
の上方に棘上筋が位置している。そして、前記菱形筋
は、肩甲骨と脊椎とを結ぶ筋肉である。前記ローテータ
ーは回旋(ローター)、カフは袖口の如く包み込むとい
う意味であり、前記上腕骨の骨頭部を4方向から包み込
み、肩甲骨側から上腕骨頭部を引きつけながら内側及び
外側への回旋をコントロールする。これにより、ピッチ
ャーの投球時において、前記肩甲上腕関節が腕の安定作
用に貢献すると同時に、腕の動きを自由にして大きな力
を生みだす投球動作を可能にするものである。
【0021】次に、前記各インナーマッスルの機能とコ
ーディネーションのために必要なエクササイズについ
て、より詳細に説明する。前記棘下筋及び小円筋は、ボ
ールリリースの直後からフォロースルーにかけての腕の
減速を主に行うもので、ひねられながら引き伸ばされよ
うとする腕の動きにブレーキを掛ける。この際、ブレー
キを効かせながら引っ張られる状態、つまりエキセント
リック収縮が起こるために、極めて小さいレベルでの筋
繊維の断裂等が生じる。これがピッチャーのように一度
に数十回、時には数百回もの投球を行うと、棘下筋が熱
を帯びて炎症へと進行してゆくことになる。この炎症が
生じたときは、従来より「アイシング」がなされている
が、これだけでは棘下筋の本来の働きを取り戻すのは難
かしく、むしろ自ら動く積極的なコンディショニングが
必要である。そこで、このコンディショニングには、棘
下筋をターゲットにすることができる前記ダンベル1、
20、40を用いて以下のエクササイズを行う。
【0022】このエクササイズにおいては、ダンベル1
を使用することにし、図4に示したように投球側の右手
14にベルト8で保持することにより、指14a〜14
eを拡げても落ちない状態にしておく。そして、このダ
ンベル1を持ったピッチャー17は、右腕16を上にし
て、図10(a)に示すように、台19(もしくは床)
上で横向きに寝る。ここで、下になった左腕16は、肘
をついて側頭部を支えるようにする。つぎに、右腕16
の肘を90゜に曲げ、脇にタオル18等を挟んだ状態で
固定し、右手14の甲が台19に接するか接しないかの
位置に移動させ、これをスタート・ポジションとする。
【0023】そして、肘関節を固定したままの状態で、
同図(b)に示す如くゆっくり上腕を回旋してゆき、同
図(c)に示す外旋角20゜の位置で止める。これは、
図11に示すように、肘をついた垂直の左腕16に対し
水平方向に延びる右腕15をほぼ直角としたとき、これ
を0゜として時計回りに約20゜進んだ位置で、これが
フィニッシュ・ポジションである。この後、ダンベル1
を持った右腕をゆっくりと、10(a)に示す元のスタ
ート・ポジションへと戻してゆく。これが1回の動作で
あり、通常は1回の動作に約1秒をかけ、25回を1セ
ットとして行う。この際、自分の体重×0.02kgの
重量を有するダンベルを目安にすると、多少の個人差が
あるものの、25回の反復動作で丁度限界になるので、
肩甲骨と上腕骨とを繋ぐ基盤的役割を有する棘下筋のコ
ンディショニングを良好に保つことが可能になる。
【0024】また、前記棘上筋は、アウターマッスルで
ある三角筋と互いに協力し合って前記上腕骨の外転動作
(外側への挙上動作)を起こすもので、自らの力だけで
は腕を外転させることができない。しかし、この棘上筋
が上腕骨骨頭を肩甲骨の間接窩から外れないように押さ
えつけ、回転軸を確保することによって、強い力を発揮
する三角筋に対して遠心性のある運動を可能とするもの
である。この棘上筋は、前記外転動作の初期の段階を担
当し、それ以降は三角筋が強い挙上動作をつかさどるの
であるが、棘上筋が良好でない状態、例えば、「投げて
いるときは肩が温まって気にならなかったが、次に日に
肩が上がらない」といった問題が生じる。これを回避
し、棘上筋を良好な状態に保つには、前記ダンベル1に
よる次のようなエクササイズが効果的である。
【0025】まず、棘下筋の場合と同様、図12(a)
に示すように、ダンベル1を持ったピッチャー17は右
腕15を上にして横たわり、下になった左腕16は肘を
ついて側頭部を支える。そして、右肘に負担をかけない
ようにするため、僅かに曲げて緩みをもたせた状態で
(5゜程度の屈曲位)、親指を上方向に向け、臀部の後
側に移動させる。この姿勢をとる際、できる限り肩周辺
の「アウター・マッスル」を弛緩させるため、投球側の
右肩と胴側の側頭部との間がゆったりするよう心がけ
る。これがスタート・ポジションである。
【0026】次に、肘関節を固定したままの状態で、ゆ
っくり右腕15を上に挙げてゆき、床面と右腕15を延
ばした方向との角度である肩30゜の外旋位において、
同図(b)に示す如く上腕を180゜回旋する。この
後、復路に移り、同図(c)に示すように右腕15をス
タート・ポジションまでゆっくり下ろしてゆく。そし
て、同図(d)に示す位置で約1秒間、右腕15を完全
に脱力した状態におく。これが1回の動作のフィニッシ
ュ・ポジションとなる。続いて、同図(e)に示す如く
ゆっくり右腕15を上に挙げてゆき、肩30゜の外旋位
において、同図(f)に示す如く前とは逆の方向に上腕
を180゜回旋する。
【0027】この後、復路に移り、同図(g)に示すよ
うに右腕15をスタート・ボジションまでゆっくり下ろ
してゆく。そして、同図(h)に示す位置で約1秒間、
右腕15を完全に脱力した状態におく。これが2回目の
反復動作であり、1回目と同様に約1秒をかけ、25回
を1セットとして行う。なお、このエクササイズにおい
て、同図(b)及び(f)の位置で右腕15の上腕を回
旋させるのは、棘上筋の筋繊維全体に負荷をかけるため
であり、ピッチャー17のテークバック時における「動
作づけ練習」にもなるからである。このようなエクササ
イズにより、肩のインナーマッスルの中でも、極めてデ
リケートな扱いが必要な棘上筋のコンディショニングに
効果を奏する。
【0028】また、前記菱形筋は、投球時に肩甲骨が右
中間方向への移動を強制されるのに対し(右投げ時)、
これと反対方向に引っ張り戻そうとする働きを有してい
る。すなわち、投球前の自然な姿勢から、投球動作の加
速期に移るとき、菱形筋の収縮により肩甲骨が脊椎側に
引きつけられる。このとき、前鋸筋が収縮し肩甲骨が胸
郭側に押しつけられ、大きな「しなり」が生み出される
ことによって、ボールに加速が与えられる。そして、ボ
ールを投げ放った後は腕がキャッチャーの方向に飛ばさ
れそうになるが、今度はこの菱形筋と前鋸筋とがブレー
キングの役割を果たすことになる。そこで、この菱形筋
を良好な状態に保つ必要があり、前記ダンベル1により
次のようなエクササイズを行う。
【0029】まず、このダンベル1を右手で持ち、図1
3(a)に示すように、首から先をベッド等の台19か
ら出してうつぶせに寝る。そして、ダンベル1を上方に
向け、右手14の甲を腰のベルト辺りに乗せ、右腕15
全体を脱力させる。その際、肘関節は45゜程度の屈曲
を保ち、エクササイズ中にこの角度を変えないようにす
る。また、他のアウターマッスルに影響しないよう顎を
台19より落とし、首や肩関節周辺の筋を脱力させる。
そして、肘関節を固定したままの状態で、同図(b)に
示す如くゆっくり上腕を挙げてゆき、同図(c)に示す
ように、肩20゜の屈曲位で止める。
【0030】この際、肩関節の屈曲を増すことで肩甲骨
を内旋させることにより、菱形筋を収縮させる。なお、
肩関節の前方部に問題が生じないのを条件として、可能
な限り肩関節の屈曲を増し、最高到達点で一瞬静止す
る。この後、ダンベル1を持った右腕15をゆっくり
と、元のスタート・ポジションへ戻してゆく。これが1
回の動作であり、通常は1回に約2秒をかけ、25回を
1セットとして行う。このエクササイズにおけるダンベ
ル1は、0.1kgから1kgまでの重さのダンベル1
が適当である。これにより、菱形筋のコンディショニン
グを良好に保つことが可能になる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のうち請求
項1記載の発明は、中央部が最大径で両端に向けて漸次
小径のダンベル本体内に収納する複数個のバランス錘を
バネ体及び蓋体で中心方向に向けて押圧付勢する構成に
なっており、長さの調節が自在のベルトを取り付けてあ
るので、ダンベル本体の彎曲面に掌を接してベルトを手
の甲側にかけ回すと、指全体を拡げてもダンベル本体が
落ちない状態に保持される。このため、ダンベル本体を
用いて筋肉の鍛練を行う場合、ダンベル本体を指全体で
把持する必要なしに、上げ下げしたり旋回させたりする
ことができ、しかも、ダンベル本体の重心が偏る問題も
生じないから、野球のピッチャーのように肩や胸等のイ
ンナーマッスルを鍛練する必要があるスポーツにおいて
は、アウターマッスルに影響を与えることなくトレーニ
ングできるという効果がある。また、本発明のうち請求
項2項記載の発明は、ダンベル本体の錘収納部にガイド
シャフトを配設し、バランス錘にガイド孔を形成したの
で、バランス錘の収納が簡単となり、体重やトレーニン
グ内容に応じてダンベル本体の重量を調節することがで
き、肩や胸等のインナーマッスルを効果的に鍛練できる
利点がある。また、本発明のうち請求項3項記載の発明
は、ダンベル本体の錘収納部にガイドレールを配設し、
バランス錘の外周部にガイド溝を形成したので、バラン
ス錘の収納が容易になるうえ、ダンベルの重量をよりき
め細かく調節でき、肩や胸等のインナーマッスルを最適
の条件で鍛練し得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るダンベルを示す斜視
図である。
【図2】同ダンベルとバランス錘を示す正面図である。
【図3】同ダンベルにバランス錘を収納した状態を一部
断面で示す側面図である。
【図4】同ダンベルを手で持つ状態を示す説明図であ
る。
【図5】本発明の他の実施の形態に係るダンベルを示す
斜視図である。
【図6】同ダンベルとバランス錘を示す正面図である。
【図7】同ダンベルにバランス錘を収納した状態を一部
断面で示す側面図である。
【図8】本発明のさらに他の実施の形態に係るダンベル
を示す側面図である。
【図9】同ダンベルにバランス錘を収納した状態を一部
断面で示す平面図である。
【図10】ダンベルによる棘下筋のエクササイズを示す
説明図である。
【図11】図8のXIの部分を頭部側から示す説明図で
ある。
【図12】ダンベルによる棘上筋のエクササイズを示す
説明図である。
【図13】ダンベルによる菱形筋のエクササイズを示す
説明図である。
【符号の説明】
2 ダンベル本体 2a 中央部 3,4 錘収納部 3b,4b 開口部 8 ベルト 9,10 蓋体 11,12 バネ体 13 バランス錘
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−137815(JP,A) 実開 平2−20569(JP,U) 実開 昭64−12557(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A63B 21/075

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全体が略円筒状で、中央部が最大径の膨
    出部となるように外形を楕円形状としたダンベル本体
    と、このダンベル本体に取り付けられた長さの調節が自
    在のベルトと、前記ダンベル本体の中心側に向けて形成
    された複数個のバランス錘を収納する錘収納部と、この
    錘収納部の開口を閉塞する蓋体と、この蓋体を開口に施
    蓋したとき前記バランス錘をダンベル本体の中心方向に
    向けて押圧付勢するバネ体と、を備えてなるダンベル。
  2. 【請求項2】 前記ダンベル本体の中心側から前記錘収
    納部の開口側に向けて延びるガイドシャフトを配設し、
    前記バランス錘の中心部に前記ガイドシャフトの軸径よ
    りも略大径のガイド孔を形成したことを特徴とする請求
    項1記載のダンベル。
  3. 【請求項3】 前記錘収納部の開口周縁側から内側壁に
    沿って奥部に延びるガイドレールを配設し、前記バラン
    ス錘の外周部に前記ガイドレールに係合されるガイド溝
    を形成したことを特徴とする請求項1記載のダンベル。
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