JP3280940B2 - 写真集または本のカバーシートを制作する方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、写真集または本の
カバーシートを制作する方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、写真集や本のカバーシートは、大
型の専用印刷機を用いて印刷することによって制作され
ていた。

【０００３】人気タレントの写真集や有名作家の本のよ
うに、数千部または数万部単位の注文が見込めるものに
ついては、写真集や本のカバーシートを従来の大量印刷
の手法（例えば、オフセット印刷法）により制作しても
採算をとることができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、ウェディング
写真集のように、せいぜい、数冊程度の注文しか見込め
ないものについては、そのカバーシートを従来の大量印
刷の手法により制作したのではコスト高となり採算をと
ることができない。

【０００５】一方、ウェディング写真集に付加価値をつ
けるために、ウェディング写真集をより「本モノ仕様」
かつ「アート感覚」の装丁にしたいというニーズが高ま
っている。顧客を惹きつけるために、いかに差別化され
たサービスを提供できるかが鍵となっている。

【０００６】本発明は、ウェディング写真集のように、
少量多品種の制作が必要とされる写真集または本のカバ
ーシートを安価に制作する方法を提供することを目的と
する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の方法は、印刷用
紙上に定義される印刷可能領域を前記印刷用紙の搬送方
向に沿ってシフト可能なプリンタを用いて、写真集また
は本のカバーシートを制作する方法であって、前記印刷
用紙の搬送方向の長さによらず、前記印刷用紙上に定義
された前記印刷可能領域が前記印刷用紙の中央付近に配
置されるように、前記印刷可能領域の位置を前記印刷可
能領域のサイズを変更することなく前記印刷用紙の搬送
方向に沿って前記印刷用紙の搬送方向の長さに基づいて
シフトする工程と、前記プリンタを用いて、前記シフト
した印刷可能領域内の所定の位置にデジタル画像を印刷
する工程とを包含し、前記印刷可能領域は、その領域上
に前記デジタル画像を印刷することが可能な領域であ
り、かつ、その領域からはみ出た前記デジタル画像は前
記印刷用紙上に印刷されない領域として定義される。こ
れにより、上記目的が達成される。

【０００８】前記デジタル画像は、前記写真集または本
の表紙、背表紙、裏表紙の少なくとも１つに対応する位
置に印刷されてもよい。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態を説明する。

【００１０】図１は、本発明の方法によって制作された
カバーシート１と帯２とを写真集３に付けた状態を示
す。写真集３は、カバーシート１と帯２とが付いた状態
で顧客に提供される。あるいは、帯２は省略されてもよ
い。

【００１１】なお、以下の説明では、カバーシート１お
よび帯２は、写真集３をカバーするものとして説明す
る。しかし、カバーシート１および帯２がカバーする対
象は、写真集３には限定されない。カバーシート１およ
び帯２は、本などの任意の出版物をカバーし得る。その
ような出版物は、有料であるか無料であるかを問わな
い。

【００１２】図２Ａは、カバーシート１の平面図であ
る。カバーシート１の両端には、折り返し部分１ａ、１
ｂが設けられている。この折り返し部分１ａ、１ｂは、
写真集３の表紙（または裏表紙）の裏側に折り返され
る。この折り返し部分１ａ、１ｂにより、カバーシート
１が写真集３に装着される（図１参照）。

【００１３】図２Ａに示される例では、カバーシート１
の表紙に相当する部分１ｃ、背表紙に相当する部分１ｄ
および裏表紙に相当する部分１ｅにデジタル画像がそれ
ぞれ印刷されている。これらの部分１ｃ、１ｄおよび１
ｅのすべてにデジタル画像が印刷されている必要はな
い。これらの部分１ｃ、１ｄおよび１ｅの少なくとも１
つにデジタル画像は印刷されていればよい。デジタル画
像の内容やデジタル画像が印刷される位置、大きさなど
は、後述される印刷システム１０によって決定され得
る。

【００１４】図２Ｂは、帯２の平面図である。帯２の両
端には、折り返し部分２ａ、２ｂが設けられている。こ
の折り返し部分２ａ、２ｂは、写真集３の表紙（または
裏表紙）の裏側に折り返される。この折り返し部分２
ａ、２ｂにより、帯２がカバーシート１の一部を覆うよ
うに写真集３に装着される（図１参照）。

【００１５】図３は、カバーシート１または帯２を制作
するために使用される印刷システム１０の構成を示す。

【００１６】印刷システム１０は、デジタル画像の入力
または編集を担当するコンピュータ２０と、コンピュー
タ２０によって編集されたデジタル画像を印刷用紙に印
刷するプリンタ３０とを含む。

【００１７】コンピュータ２０は、ＣＰＵ２１と、主記
憶２２と、ハードディスク装置（ＨＤＤ）２３と、入力
インタフェース部２４と、出力インタフェース部２５
と、プリンタインタフェース部２６とを含む。これらの
構成要素２１〜２６は、例えば、バス２７を介して互い
に接続されている。コンピュータ２０は、例えば、パー
ソナルコンピュータであり得る。

【００１８】ＨＤＤ２３には、デジタル画像の入力また
は編集に必要なプログラムが予めインストールされてい
る。例えば、ＨＤＤ２３には、Ａｄｏｂｅ社製の”フォ
トショップ”や”イラストレーター”が格納されてい
る。

【００１９】ＣＰＵ２１は、ＨＤＤ２３に格納されてい
るプログラムを実行する。そのプログラムの一部または
データの一部は、必要に応じて主記憶２２に移される。
ＣＰＵ２１は、主記憶２２に高速にアクセスすることが
可能である。

【００２０】入力インタフェース部２４には、フィルム
スキャナ２４ａ、キーボード２４ｂおよびマウス２４ｃ
などの入力機器が接続される。

【００２１】出力インタフェース部２５には、ディスプ
レイ２５ａなどの出力機器が接続される。ディスプレイ
２５ａは、例えば、デジタル画像のレイアウトを確認す
るために使用される。

【００２２】プリンタインタフェース部２６は、プリン
タ３０と制御信号やデジタル画像を通信するために使用
される。

【００２３】プリンタ３０は、ＣＰＵ３１と、ランダム
アクセスメモリ（ＲＡＭ）３２と、リードオンリーメモ
リ（ＲＯＭ）３３と、コンピュータインタフェース部３
４と、プリンタドライバ３５とを含む。これらの構成要
素３１〜３５は、例えば、バス３６を介して互いに接続
されている。プリンタ３０としては、昇華型熱転写方式
のプリンタが好適に使用され得る。例えば、神鋼電機株
式会社製のＣＨＣ−Ｓ８４５は、この型のプリンタであ
る。このプリンタは、４種類のインクリボン（すなわ
ち、シアン、マゼンダ、イエローおよびオーバーコー
ト）を用いて約１６７０万色を表現する能力を有してい
る。あるいは、プリンタ３０として、他の任意のタイプ
（例えば、インクジェット方式、レーザ方式、ＴＡ方
式）のプリンタが使用され得る。

【００２４】ＲＯＭ３３には、プリンタドライバ３５を
制御するための制御プログラムが予め格納されている。
ＣＰＵ３１は、その制御プログラムを実行することによ
りプリンタドライバ３５を制御する。プリンタドライバ
３５によって、印刷用紙の搬送やインクリボンの回転が
制御される。また、ＲＯＭ３３には、印刷用紙の印刷可
能領域の位置を特定する情報が予め格納されている。

【００２５】コンピュータインタフェース部３４は、コ
ンピュータ２０と制御信号やデジタル画像を通信するた
めに使用される。ＲＡＭ３２は、制御プログラムの実行
に必要なパラメータやデータを一時的に格納するために
使用される。

【００２６】以下、印刷システム１０を用いて写真集３
のカバーシート１を制作する方法を説明する。この方法
は、以下に示す（１）〜（４）の工程を含む。

【００２７】（１）デジタル画像の生成 （２）デジタル画像のレイアウト （３）印刷可能領域のシフト （４）印刷

【００２８】以下、工程（１）〜（４）のそれぞれを詳
細に説明する。

【００２９】（１）デジタル画像の生成 デジタル画像は、例えば、入力インタフェース部２４に
接続されたフィルムスキャナ２４ａを用いて銀塩写真用
のフィルム（例えば、３５ｍｍ用のフィルム）をスキャ
ンすることにより生成され得る。あるいは、カラースキ
ャナ（図示せず）を用いてプリントされた写真からデジ
タル画像を生成することもできる。生成されたデジタル
画像は、例えば、ＨＤＤ２３に格納される。

【００３０】（２）デジタル画像のレイアウト デジタル画像は、市販のプログラムを用いて印刷可能領
域にレイアウトされる。例えば、Ａｄｏｂｅ社製の”フ
ォトショップ”は、カラーもしくはモノクロのデジタル
写真を印刷可能領域にレイアウトするために好適に使用
され得る。Ａｄｏｂｅ社製の”イラストレーター”は、
文字や記号（特に、レタリングされた文字や記号）を印
刷可能領域にレイアウトするために好適に使用され得
る。

【００３１】図４は、印刷可能領域４０上にレイアウト
されたデジタル画像４０ａ〜４０ｆの例を示す。デジタ
ル画像４０ｂおよび４０ｅは、例えば、デジタル写真で
ある。デジタル画像４０ａ、４０ｃ、４０ｄおよび４０
ｆは、例えば、レタリングされた文字である。

【００３２】ここで、印刷可能領域４０とは、その上に
デジタル画像を印刷することが可能な領域をいうと定義
する。すなわち、印刷可能領域４０からはみ出たデジタ
ル画像は印刷用紙の上に印刷されない。

【００３３】印刷可能領域４０のサイズは、印刷用紙の
サイズに対応するサイズに予め固定されている。例え
ば、印刷用紙のサイズが”Ｓｕｐｅｒ Ｂ”（３２０ｍ
ｍ×４８２ｍｍ）である場合には、印刷可能領域４０の
サイズは３０７．５ｍｍ×４５７．２ｍｍに固定されて
いる。

【００３４】さらに、印刷可能領域４０の位置は、印刷
用紙のサイズに対応する位置に予め固定されている。

【００３５】（３）印刷可能領域のシフト 図５は、従来技術における、印刷用紙５１、５２に対す
る印刷可能領域４０の位置を説明するための図である。
なお、図５において、矢印Ｒは、従来のプリンタによる
印刷用紙５１、５２の搬送方向を示す。

【００３６】ここで、印刷用紙５１は幅Ｗ１、長さＬ１
を有しており、印刷用紙５２は幅Ｗ２、長さＬ２を有し
ており、Ｗ１＝Ｗ２、Ｌ１＜Ｌ２であると仮定する。長
さＬ１、Ｌ２は、印刷用紙５１、５２の搬送方向に沿っ
た長さである。

【００３７】従来のプリンタでは、印刷可能領域４０
は、印刷用紙５１、５２の搬送方向の長さによらず、印
刷可能領域４０の先頭位置が印刷用紙５１、５２の先頭
位置から距離ｄ１だけ離れた位置に一致するように定義
されていた。例えば、印刷用紙５１のサイズが”Ｓｕｐ
ｅｒ Ｂ”サイズである場合には、距離ｄ１は、約２ｃ
ｍに固定されていた。従って、従来のプリンタでは、印
刷可能領域４０を印刷用紙５２の中央付近に配置するこ
とは不可能であった。

【００３８】このように、印刷用紙の搬送方向の長さに
よらず、印刷可能領域の先頭位置が固定されていた理由
は、標準サイズより長手方向に長い変形サイズの印刷用
紙の中央付近にデジタル画像を印刷するという発想がな
かったからである。従来、印刷可能領域のサイズは、印
刷マージンを除いて、標準サイズの印刷用紙のサイズと
ほぼ一致しているというのが技術常識であった。

【００３９】本発明は、印刷用紙の搬送方向の長さに基
づいて、印刷用紙に対する印刷可能領域の相対的な位置
を可変とすることにより、標準サイズより長手方向に長
い変形サイズの印刷用紙の中央付近にデジタル画像を印
刷することを可能にする。これにより、折り返し部分１
ａ、１ｂを有するカバーシート１の中央付近にデジタル
画像を印刷することが可能になる。

【００４０】図６は、本発明における、印刷用紙５１、
５２に対する印刷可能領域４０の位置を説明するための
図である。なお、図６において、矢印Ｒは、プリンタ３
０による印刷用紙５１、５２の搬送方向を示す。

【００４１】プリンタ３０によれば、印刷用紙５１に対
する印刷可能領域４０は、印刷可能領域４０の先頭位置
が印刷用紙５１の先頭位置から距離ｄ１だけ離れた位置
に一致するように定義され、印刷用紙５２に対する印刷
可能領域４０は、印刷可能領域４０の先頭位置が印刷用
紙５２の先頭位置から距離ｄ２だけ離れた位置に一致す
るように定義される。ここで、ｄ２＞ｄ１である。例え
ば、印刷用紙５１のサイズが”Ｓｕｐｅｒ Ｂ”サイズ
である場合には、距離ｄ１は、約２ｃｍであり、距離ｄ
２は約１２ｃｍである。

【００４２】例えば、”Ｓｕｐｅｒ Ｂ”の標準サイズ
の印刷用紙５１にデジタル画像を印刷する場合には、コ
ンピュータ２０は、”Ｓｕｐｅｒ Ｂ”サイズという用
紙サイズを指定するコマンドと、”カセット給紙”とい
う給紙方法を指定するコマンドとをプリンタインタフェ
ース部２６を介してプリンタ３０に送信する。このよう
なコマンドの入力は、例えば、ディスプレイ２５ａに表
示されたダイアログ画面の項目をマウス２４ｃを用いて
クリックすることによって達成される。

【００４３】これらのコマンドがコンピュータインタフ
ェース部３４を介してプリンタ３０に入力されると、プ
リンタドライバ３５は、印刷可能領域４０の位置を印刷
用紙５１の先頭位置から距離ｄ１だけ離れた位置に設定
する。この場合、印刷用紙５１は、”Ｓｕｐｅｒ Ｂ”
サイズ用のカセットからプリンタ３０に供給される。

【００４４】例えば、”Ｓｕｐｅｒ Ｂ”の変形サイズ
の印刷用紙５２にデジタル画像を印刷する場合には、コ
ンピュータ２０は、”Ｓｕｐｅｒ Ｂオーバーコート”
サイズという用紙サイズを指定するコマンドと、”手差
し給紙”という給紙方法を指定するコマンドとをプリン
タインタフェース部２６を介してプリンタ３０に送信す
る。このようなコマンドの入力は、例えば、ディスプレ
イ２５ａに表示されたダイアログ画面の項目をマウス２
４ｃを用いてクリックすることによって達成される。

【００４５】これらのコマンドがコンピュータインタフ
ェース部３４を介してプリンタ３０に入力されると、プ
リンタドライバ３５は、印刷可能領域４０の位置を印刷
用紙５２の先頭位置から距離ｄ２だけ離れた位置に設定
する。この場合、印刷用紙５２は、手差し給紙用のトレ
イからプリンタ３０に供給される。

【００４６】距離ｄ１、ｄ２の値は、例えば、ＲＯＭ３
３に格納されている。プリンタドライバ３５は、コンピ
ュータ２０から入力されるコマンドの種類に応じて、Ｒ
ＯＭ３３に格納されている距離ｄ１、ｄ２の値を選択的
に参照することにより、印刷可能領域４０の位置を決定
することができる。

【００４７】なお、プリンタ３０に内蔵のセンサを用い
て、印刷用紙の搬送方向の長さを検出し、検出された印
刷用紙の長さに応じて印刷可能領域４０の位置をシフト
するようにしてもよい。

【００４８】このように、印刷用紙５１、５２の搬送方
向の長さに基づいて、印刷可能領域４０の位置を印刷用
紙５１、５２の搬送方向に沿ってシフトさせることによ
り、印刷可能領域４０を印刷用紙５２の中央付近に配置
することが可能になる。

【００４９】（４）印刷 シフトした印刷可能領域４０の所定の位置にデジタル画
像が印刷される。印刷可能領域４０内のデジタル画像の
位置は、工程（２）においてレイアウトされた位置であ
る。印刷後に、印刷用紙を適切なサイズに裁断すること
により、カバーシート１の作成が完了する。同様にし
て、帯２は、印刷可能領域４０の上に帯２用の複数（例
えば、４個）のデジタル画像をレイアウトし、印刷後に
印刷用紙を適切なサイズに裁断することにより作成する
ことができる。

【００５０】

【発明の効果】本発明によれば、大量印刷の手法を使用
することなく、プリンタを用いた従来の印刷方法を改良
することによって、少量多品種の制作が必要とされる写
真集または本のカバーシートを安価に制作する方法を提
供することができる。特に、本発明は、「本モノ仕様」
かつ「アート感覚」の装丁が必要とされるウェディング
写真集のカバーシートの制作に適している。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法によって制作されたカバーシート
１と帯２とを写真集３に付けた状態を示す図である。

【図２Ａ】カバーシート１の平面図である。

【図２Ｂ】帯２の平面図である。

【図３】カバーシート１または帯２を制作するために使
用される印刷システム１０の構成を示す図である。

【図４】印刷可能領域４０上にレイアウトされたデジタ
ル画像４０ａ〜４０ｆの例を示す図である。

【図５】従来技術における、印刷用紙５１、５２に対す
る印刷可能領域４０の位置を説明するための図である。

【図６】本発明における、印刷用紙５１、５２に対する
印刷可能領域４０の位置を説明するための図である。

【符号の説明】 １ カバーシート ２ 帯 ３ 写真集

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B41J 21/00 G06F 3/12 G06F 17/21

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 印刷用紙上に定義される印刷可能領域を
   前記印刷用紙の搬送方向に沿ってシフト可能なプリンタ
   を用いて、写真集または本のカバーシートを制作する方
   法であって、前記印刷用紙の搬送方向の長さによらず、前記印刷用紙
   上に定義された前記印刷可能領域が前記印刷用紙の中央
   付近に配置されるように、前記 印刷可能領域の位置を前
   記印刷可能領域のサイズを変更することなく前記印刷用
   紙の搬送方向に沿って前記印刷用紙の搬送方向の長さに
   基づいてシフトする工程と、 前記プリンタを用いて、前記シフトした印刷可能領域内
   の所定の位置にデジタル画像を印刷する工程とを包含
   し、 前記印刷可能領域は、その領域上に前記デジタル画像を
   印刷することが可能な領域であり、かつ、その領域から
   はみ出た前記デジタル画像は前記印刷用紙上に印刷され
   ない領域として定義される、写真集または本のカバーシ
   ートを制作する方法。
2. 【請求項２】 前記デジタル画像は、前記写真集または
   本の表紙、背表紙、裏表紙の少なくとも１つに対応する
   位置に印刷される、請求項１に記載の写真集または本の
   カバーシートを制作する方法。