JP3279133B2 - 撥液処理表面の評価方法 - Google Patents
撥液処理表面の評価方法Info
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- JP3279133B2 JP3279133B2 JP18170695A JP18170695A JP3279133B2 JP 3279133 B2 JP3279133 B2 JP 3279133B2 JP 18170695 A JP18170695 A JP 18170695A JP 18170695 A JP18170695 A JP 18170695A JP 3279133 B2 JP3279133 B2 JP 3279133B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撥液処理における
撥液膜の存在の有無を判別する方法に関し、特に染料入
り液滴を撥液処理面およびその近傍に噴霧し、検査面の
臨界表面張力の差によって、液滴の乾燥状態に応じて色
の発現に差が生じ、これを目視等により観察することに
よって行う評価方法に関する。
撥液膜の存在の有無を判別する方法に関し、特に染料入
り液滴を撥液処理面およびその近傍に噴霧し、検査面の
臨界表面張力の差によって、液滴の乾燥状態に応じて色
の発現に差が生じ、これを目視等により観察することに
よって行う評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、内燃機関等の燃料噴射弁等で
は、バルブの開閉によって、確実に燃料を遮断または適
量の流量を流さなければならない。その際、燃料中には
オイル、添加物、水分等の異物が存在し、これが凝集ま
たは化学反応を起こして堆積しデポジットと称する堆積
物が、燃料等の流れの障害となる。このため、エンジン
部品へのデポジット付着防止のため、部品表面にフルオ
ロアルキルシラン等の撥液膜を形成する技術が開発され
ている。この分野の公知技術として、特開平6−841
6号公報には、インクジェット記録方法として、インク
を吐出するヘッドのノズルオリフィスに撥水処理を施す
ことにより、目詰まり信頼性を向上する技術が開示され
ている。
は、バルブの開閉によって、確実に燃料を遮断または適
量の流量を流さなければならない。その際、燃料中には
オイル、添加物、水分等の異物が存在し、これが凝集ま
たは化学反応を起こして堆積しデポジットと称する堆積
物が、燃料等の流れの障害となる。このため、エンジン
部品へのデポジット付着防止のため、部品表面にフルオ
ロアルキルシラン等の撥液膜を形成する技術が開発され
ている。この分野の公知技術として、特開平6−841
6号公報には、インクジェット記録方法として、インク
を吐出するヘッドのノズルオリフィスに撥水処理を施す
ことにより、目詰まり信頼性を向上する技術が開示され
ている。
【0003】この時、撥液膜が適正に形成されているか
否かを判断・評価することが品質管理上重要となる。か
かる撥液処理膜の検出方法として、干渉法、オージェ分
光分析法がある。どちらも研究室レベルの手法であり、
製品製造等の品質管理に適用するのは形状制限・高コス
ト・高度ノウハウの必要等によって困難である。すなわ
ち、干渉法では、基材表面と薄膜表面で反射する光同士
の干渉によって生じる干渉縞から薄膜の厚さを求める手
法であり、試料には数十cm角の平坦面が必要となる。ま
た、本手法は撥液膜の厚さを測定する方法で、表面の撥
液性を直接測定するものではない。
否かを判断・評価することが品質管理上重要となる。か
かる撥液処理膜の検出方法として、干渉法、オージェ分
光分析法がある。どちらも研究室レベルの手法であり、
製品製造等の品質管理に適用するのは形状制限・高コス
ト・高度ノウハウの必要等によって困難である。すなわ
ち、干渉法では、基材表面と薄膜表面で反射する光同士
の干渉によって生じる干渉縞から薄膜の厚さを求める手
法であり、試料には数十cm角の平坦面が必要となる。ま
た、本手法は撥液膜の厚さを測定する方法で、表面の撥
液性を直接測定するものではない。
【0004】一方、オージェ分光分析法は、入射電子線
に対して試料表面から出てくるオージェ電子を捉える手
法である。したがって、撥液膜に含まれる物質の存在を
検出することができる。しかし、観察するためには試料
ステージに乗る数cm角に試料を予備加工しなければなら
ない。また、観察にも高度な技術と経験を必要とし、多
くの工数がかかり、コストも高くなる。また、本手法は
撥液膜の成分を測定する方法で、表面の撥液性を直接測
定するものではない。そこで、もっと簡単に撥液処理領
域と未処理領域の分別を可能とし、製品製造時の品質管
理を容易にする工夫が求められている。
に対して試料表面から出てくるオージェ電子を捉える手
法である。したがって、撥液膜に含まれる物質の存在を
検出することができる。しかし、観察するためには試料
ステージに乗る数cm角に試料を予備加工しなければなら
ない。また、観察にも高度な技術と経験を必要とし、多
くの工数がかかり、コストも高くなる。また、本手法は
撥液膜の成分を測定する方法で、表面の撥液性を直接測
定するものではない。そこで、もっと簡単に撥液処理領
域と未処理領域の分別を可能とし、製品製造時の品質管
理を容易にする工夫が求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、撥液
処理領域と未処理領域の分別方法を開発し、非破壊的
に、かつ簡単に撥液膜が適性に形成されているか否かを
判断・評価できる撥液膜処理表面の評価方法を提供す
る。また、本発明の他の目的は、表面張力による染料入
り液滴の乾燥後の状態変化を検討し、目視観察によるそ
の発色の差に基づく評価を可能とする撥液処理表面の評
価方法を提供する。
処理領域と未処理領域の分別方法を開発し、非破壊的
に、かつ簡単に撥液膜が適性に形成されているか否かを
判断・評価できる撥液膜処理表面の評価方法を提供す
る。また、本発明の他の目的は、表面張力による染料入
り液滴の乾燥後の状態変化を検討し、目視観察によるそ
の発色の差に基づく評価を可能とする撥液処理表面の評
価方法を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、撥液処理
における撥液膜の存在の有無を判別する方法であって、
染料入り液滴の表面張力を、撥液処理を施す基材表面の
臨界表面張力と撥液膜表面の臨界表面張力との間の臨界
表面張力になるように調整し、前記染料入り液滴を撥液
処理面およびその近傍に噴霧した後、乾燥させ、乾燥状
態における液滴の発色状態の差を目視等により観察する
ことを特徴とする撥液処理表面の評価方法によって達成
される。
における撥液膜の存在の有無を判別する方法であって、
染料入り液滴の表面張力を、撥液処理を施す基材表面の
臨界表面張力と撥液膜表面の臨界表面張力との間の臨界
表面張力になるように調整し、前記染料入り液滴を撥液
処理面およびその近傍に噴霧した後、乾燥させ、乾燥状
態における液滴の発色状態の差を目視等により観察する
ことを特徴とする撥液処理表面の評価方法によって達成
される。
【0007】また、上記の目的は、前記方法において、
染料として有機溶剤系染料を用い、かつインクジェット
吹き付け法によって噴霧することを特徴とする撥液処理
表面の評価方法によっても達成される。
染料として有機溶剤系染料を用い、かつインクジェット
吹き付け法によって噴霧することを特徴とする撥液処理
表面の評価方法によっても達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の第一発明は、分別可視化
手法の一方法とするものである。先ず、中間の臨界表面
張力を有する染料入り液滴(染料液滴)を基材表面に噴
霧すると、基材表面は染料液滴より撥液性が低いため濡
れて塗膜状となる。一方、撥液処理面に噴霧すると、撥
液処理面の撥液性が高いことから、染料液滴は弾かれて
球状となる。これら両者は、液滴の状態では区別は付き
難いが、乾燥することにより、塗膜状のものは染料自体
の色が現出するのに対し、球状のものは黒い点となって
染料自体の色とは異なって観察される。このことは、目
視等により撥液膜の存在の有無を確認でき、簡単に撥液
膜処理領域と未処理領域との分別ができることになる。
手法の一方法とするものである。先ず、中間の臨界表面
張力を有する染料入り液滴(染料液滴)を基材表面に噴
霧すると、基材表面は染料液滴より撥液性が低いため濡
れて塗膜状となる。一方、撥液処理面に噴霧すると、撥
液処理面の撥液性が高いことから、染料液滴は弾かれて
球状となる。これら両者は、液滴の状態では区別は付き
難いが、乾燥することにより、塗膜状のものは染料自体
の色が現出するのに対し、球状のものは黒い点となって
染料自体の色とは異なって観察される。このことは、目
視等により撥液膜の存在の有無を確認でき、簡単に撥液
膜処理領域と未処理領域との分別ができることになる。
【0009】また、本発明の第二発明は、前記第一発明
を基本とするもので、有機溶剤系染料を用いることによ
り、噴霧・乾燥後に不用意に指等に触れた場合の染料の
溶出を防止でき、またインクジェット吹き付け法を用い
ることにより吹き付けの位置精度や量を高度に制御する
ことができる。
を基本とするもので、有機溶剤系染料を用いることによ
り、噴霧・乾燥後に不用意に指等に触れた場合の染料の
溶出を防止でき、またインクジェット吹き付け法を用い
ることにより吹き付けの位置精度や量を高度に制御する
ことができる。
【0010】以下、本発明についてさらに詳述する。本
発明は、撥液膜処理領域と未処理領域との分別可視化手
法とその応用技術を達成したものであり、第一の技術的
特徴は、分別可視化手法としての評価方法である。これ
は、染料を溶かした溶液をスプレー等で細かな液滴状に
して、評価表面に吹付ける。吹付けられた染料液滴は、
撥液性が高い場合には表面に弾かれて球状に、撥液性が
低い場合には表面に濡れて塗膜状になる。それを乾燥さ
せれば染料液滴の形状の違いは更に顕著になる。
発明は、撥液膜処理領域と未処理領域との分別可視化手
法とその応用技術を達成したものであり、第一の技術的
特徴は、分別可視化手法としての評価方法である。これ
は、染料を溶かした溶液をスプレー等で細かな液滴状に
して、評価表面に吹付ける。吹付けられた染料液滴は、
撥液性が高い場合には表面に弾かれて球状に、撥液性が
低い場合には表面に濡れて塗膜状になる。それを乾燥さ
せれば染料液滴の形状の違いは更に顕著になる。
【0011】乾燥後の表面を目視すると染料形態の違い
に依存して、撥液処理表面では詳細に観察すれば細かな
黒点が見られるものの、一見ではほぼ基材色を示すのに
対して、未処理表面では斑点状に存在して全体としては
染料色を呈して見える。この違いによって、撥液膜処理
の有無の分別が可能となる。本発明では、水溶系染料を
スプレー法で吹付ける方法が基本となる。そして、乾燥
時間の大幅短縮を可能とする溶剤系染料を用いる手法と
吹付け量の均一化を可能とするインクジェット吹付け法
(インクジェット印刷法の応用)を組合わせる方法であ
る。表1にこれらをまとめて示す。
に依存して、撥液処理表面では詳細に観察すれば細かな
黒点が見られるものの、一見ではほぼ基材色を示すのに
対して、未処理表面では斑点状に存在して全体としては
染料色を呈して見える。この違いによって、撥液膜処理
の有無の分別が可能となる。本発明では、水溶系染料を
スプレー法で吹付ける方法が基本となる。そして、乾燥
時間の大幅短縮を可能とする溶剤系染料を用いる手法と
吹付け量の均一化を可能とするインクジェット吹付け法
(インクジェット印刷法の応用)を組合わせる方法であ
る。表1にこれらをまとめて示す。
【0012】
【表1】
【0013】また、本発明の応用として、撥液処理面で
球状に凝固した微細な染料球は、溶液の存在する環境に
おいては容易に潰れ易くなる性質を利用する。例えば、
用紙面に水溶性の微細染料凝固球を形成し、そこに指が
接触すれば、指先の水分、例えば汗等によって同球が潰
れ易くなり、簡単に平面状になり染料色が発現する。こ
れを利用すれば、押捺紙への適用も可能となる。なお、
本発明の染料は、水溶系染料としては、それ自体の構造
に水溶性基を有するもの、または界面活性剤等により溶
液内で安定な集合体を形成するものであれば良い。ま
た、染料の有機溶剤系とは、例えば四塩化炭素、トリク
ロロエチレン等の塩素系および炭化水素系の有機溶剤を
使用するものであれば良く、特にこれらに限定するもの
ではない。
球状に凝固した微細な染料球は、溶液の存在する環境に
おいては容易に潰れ易くなる性質を利用する。例えば、
用紙面に水溶性の微細染料凝固球を形成し、そこに指が
接触すれば、指先の水分、例えば汗等によって同球が潰
れ易くなり、簡単に平面状になり染料色が発現する。こ
れを利用すれば、押捺紙への適用も可能となる。なお、
本発明の染料は、水溶系染料としては、それ自体の構造
に水溶性基を有するもの、または界面活性剤等により溶
液内で安定な集合体を形成するものであれば良い。ま
た、染料の有機溶剤系とは、例えば四塩化炭素、トリク
ロロエチレン等の塩素系および炭化水素系の有機溶剤を
使用するものであれば良く、特にこれらに限定するもの
ではない。
【0014】以下、本発明について実施例の添付図面に
よってさらに説明する。
よってさらに説明する。
【0015】
【実施例】実施例1 第一発明の分別可視化手法の実施例として、ステンレス
製部品表面に撥液膜としてフルオロアルキルシラン(F
AS膜処理)を形成する場合の分別を行った。この時、
ステンレス表面の表面張力は約50mN/mであり、FA
S膜表面のγcは約20mN/mである。そこで、両表面
の臨界表面張力γcの中間値を持つ染料液滴を使用する
ことにした。この染料液滴は、ステンレス表面上では完
全に濡れ、FAS膜表面上では球状になる。本実施例で
は、通常のX−Yレコーダ等に用いられる赤色の水溶性
インクを用いた。この臨界表面張力γcは、前記のとお
り中間値として約40mN/mとした。図2は噴霧状態を
示す図で、図2(a)は液滴粒径分布としての平均液滴
粒径と位置との関係を示し、図2(b)は吹付け装置の
全体図である。
製部品表面に撥液膜としてフルオロアルキルシラン(F
AS膜処理)を形成する場合の分別を行った。この時、
ステンレス表面の表面張力は約50mN/mであり、FA
S膜表面のγcは約20mN/mである。そこで、両表面
の臨界表面張力γcの中間値を持つ染料液滴を使用する
ことにした。この染料液滴は、ステンレス表面上では完
全に濡れ、FAS膜表面上では球状になる。本実施例で
は、通常のX−Yレコーダ等に用いられる赤色の水溶性
インクを用いた。この臨界表面張力γcは、前記のとお
り中間値として約40mN/mとした。図2は噴霧状態を
示す図で、図2(a)は液滴粒径分布としての平均液滴
粒径と位置との関係を示し、図2(b)は吹付け装置の
全体図である。
【0016】図2(b)において、水溶性インクをスプ
レー3に注入し、霧状の細かな液滴1にして供試品5表
面に吹付ける。スプレー3から吹出される液滴1は図2
(a)のように分布する。スプレー吹出しにおいて霧化
不良の大きな液滴1は下部に分布しやすい。そこで、こ
の大きな液滴1を除去して液滴1の大きさを出来るだけ
均一にするため、スプレー3と供試品5との間に衝立4
を設置して吹付けを行う。
レー3に注入し、霧状の細かな液滴1にして供試品5表
面に吹付ける。スプレー3から吹出される液滴1は図2
(a)のように分布する。スプレー吹出しにおいて霧化
不良の大きな液滴1は下部に分布しやすい。そこで、こ
の大きな液滴1を除去して液滴1の大きさを出来るだけ
均一にするため、スプレー3と供試品5との間に衝立4
を設置して吹付けを行う。
【0017】吹付けられた赤インク液滴の形態・断面模
式図を図1(a)および(b)に示す。図1(a)は液
滴落下直後を示し、図1(b)は液滴乾燥後の撥液処理
面および未処理面をそれぞれを、被検体2の断面および
上面について示す。撥液性が低い未処理表面では濡れて
塗膜状に、撥液性が高い撥液処理表面で弾かれて球状に
なる。吹付け直後はどちらの表面も赤い斑点模様を示
し、その斑点の大きさに撥液処理の有無で若干の違いが
認められる程度であった。しかし、これを乾燥すると液
滴の形状の違いは、図1(b)に示すように顕著にな
る。
式図を図1(a)および(b)に示す。図1(a)は液
滴落下直後を示し、図1(b)は液滴乾燥後の撥液処理
面および未処理面をそれぞれを、被検体2の断面および
上面について示す。撥液性が低い未処理表面では濡れて
塗膜状に、撥液性が高い撥液処理表面で弾かれて球状に
なる。吹付け直後はどちらの表面も赤い斑点模様を示
し、その斑点の大きさに撥液処理の有無で若干の違いが
認められる程度であった。しかし、これを乾燥すると液
滴の形状の違いは、図1(b)に示すように顕著にな
る。
【0018】こうして得られた供試品の乾燥後、表面の
光学顕微鏡観察のスケッチを図3に示す。図3(a)の
低倍率(約15倍)の図において、未処理表面では斑点
状の染料色部分が見えるのに対して、撥液処理表面では
細かな黒点が見られるだけである。目視観察では、未処
理表面の斑点は赤インク色を示すのに対し、撥液処理面
の液滴は黒色を示す。高倍率の図である図3(b)およ
び(c)は、それぞれ約100倍、1000倍に拡大し
たものである。これらの図では、未処理表面では斑点状
の染料色部分はアメーバ状になっているのが分る。一
方、撥液処理表面では液滴は目玉状に成っており、ほぼ
図1(a)および(b)の模式図と一致している。この
ように表面の色、液滴の形態の違いを観察することによ
って、撥液処理の有無の分別が可能となる。
光学顕微鏡観察のスケッチを図3に示す。図3(a)の
低倍率(約15倍)の図において、未処理表面では斑点
状の染料色部分が見えるのに対して、撥液処理表面では
細かな黒点が見られるだけである。目視観察では、未処
理表面の斑点は赤インク色を示すのに対し、撥液処理面
の液滴は黒色を示す。高倍率の図である図3(b)およ
び(c)は、それぞれ約100倍、1000倍に拡大し
たものである。これらの図では、未処理表面では斑点状
の染料色部分はアメーバ状になっているのが分る。一
方、撥液処理表面では液滴は目玉状に成っており、ほぼ
図1(a)および(b)の模式図と一致している。この
ように表面の色、液滴の形態の違いを観察することによ
って、撥液処理の有無の分別が可能となる。
【0019】実施例2 本実施例は、分別可視化手法であり、乾燥時間の大幅短
縮を可能とするため、建築材の塗料に広く用いられてい
るシンナー等の有機溶剤系の染料を用いる。有機溶剤系
染料を用いることにより、その速乾性を活用することも
可能となり、空気中の湿気に依存する乾燥程度の差もあ
る程度除去できる。また、乾燥後に不用意に指で触った
場合にも、指先の汗に乾燥染料が溶け出して液滴形状が
変化することが避けられる。
縮を可能とするため、建築材の塗料に広く用いられてい
るシンナー等の有機溶剤系の染料を用いる。有機溶剤系
染料を用いることにより、その速乾性を活用することも
可能となり、空気中の湿気に依存する乾燥程度の差もあ
る程度除去できる。また、乾燥後に不用意に指で触った
場合にも、指先の汗に乾燥染料が溶け出して液滴形状が
変化することが避けられる。
【0020】また、スプレー方式では液滴の吹付け位置
を正確に制御できず、その量のバラツキもある程度避け
られない。このため、スプレー方式は、撥液処理の有無
検査なら充分であるが、処理面積・形状評価などの詳細
評価には不充分である。そこで、図4に示す、インクジ
ェット印刷法の応用としてインクジェット吹付け法を用
いた。図4(a)はカートリッジの全体図で、電極6お
よびヘッド7を示す図であり、(b)はカートリッジ部
のヘッド7の拡大図であり、多数のノズル9が半割り状
態で配列されている。また、インク8はノズル9から噴
射され、被検体2に対してほぼ垂直にインク8を噴射す
る。図4(c)はノズル8の拡大図である。本実施例で
は、インク8はヒーター12によって、熱が加えられる
と瞬時に蒸発し、発生する気泡11の体積膨張を利用し
て、ヘッド7からインク8を吹出す方法である。一度に
吹出すインク量はほぼ一定となる。また、吹付け位置も
インクジェット印刷の解像度(例えば360×360dp
i (ドットパーインチ))に依存して約0.07mm□ド
ット単位で制御可能となる。このように、インクジェッ
ト吹付け法を用いれば、吹付け位置精度・量を高度に制
御可能となる。また、前記速乾性の有機溶剤系染料を用
いることも可能である。ただし、このインクジェット吹
付け法は評価物が平面板に限られる。
を正確に制御できず、その量のバラツキもある程度避け
られない。このため、スプレー方式は、撥液処理の有無
検査なら充分であるが、処理面積・形状評価などの詳細
評価には不充分である。そこで、図4に示す、インクジ
ェット印刷法の応用としてインクジェット吹付け法を用
いた。図4(a)はカートリッジの全体図で、電極6お
よびヘッド7を示す図であり、(b)はカートリッジ部
のヘッド7の拡大図であり、多数のノズル9が半割り状
態で配列されている。また、インク8はノズル9から噴
射され、被検体2に対してほぼ垂直にインク8を噴射す
る。図4(c)はノズル8の拡大図である。本実施例で
は、インク8はヒーター12によって、熱が加えられる
と瞬時に蒸発し、発生する気泡11の体積膨張を利用し
て、ヘッド7からインク8を吹出す方法である。一度に
吹出すインク量はほぼ一定となる。また、吹付け位置も
インクジェット印刷の解像度(例えば360×360dp
i (ドットパーインチ))に依存して約0.07mm□ド
ット単位で制御可能となる。このように、インクジェッ
ト吹付け法を用いれば、吹付け位置精度・量を高度に制
御可能となる。また、前記速乾性の有機溶剤系染料を用
いることも可能である。ただし、このインクジェット吹
付け法は評価物が平面板に限られる。
【0021】その後の乾燥および観察法等については、
実施例1と同様である。以上のように、本実施例では液
滴の滴下量の均一化が達成可能である。また、本発明例
において、電界を付与して液滴を加速した状態での吹付
けを行っても良く、この場合には、本実施例の撥液処理
に限定されず、他の表面処理の評価方法にも適用可能で
ある。
実施例1と同様である。以上のように、本実施例では液
滴の滴下量の均一化が達成可能である。また、本発明例
において、電界を付与して液滴を加速した状態での吹付
けを行っても良く、この場合には、本実施例の撥液処理
に限定されず、他の表面処理の評価方法にも適用可能で
ある。
【0022】
【発明の効果】本発明は、従来のオージェ分光分析法の
ように、分析用に試料を加工する必要が無く、非破壊検
査手法であり、染料液滴の色発現性によって撥液処理表
面の撥液膜の存在の有無を評価することが可能である。
また、撥液処理表面が、計画通りに撥液性を有している
か否かを短時間・低コストで評価可能である。
ように、分析用に試料を加工する必要が無く、非破壊検
査手法であり、染料液滴の色発現性によって撥液処理表
面の撥液膜の存在の有無を評価することが可能である。
また、撥液処理表面が、計画通りに撥液性を有している
か否かを短時間・低コストで評価可能である。
【図1】本発明の液滴の乾燥状態での、処理面および未
処理面の色発現性を示す模式図である。
処理面の色発現性を示す模式図である。
【図2】本発明の実施例1に係るスプレー吹付け方式の
概要と液滴径の分布を示す図である。
概要と液滴径の分布を示す図である。
【図3】本発明の実施例1に係る液滴の乾燥状態での、
処理面および未処理面の色発現性を示すスケッチであ
り、(a)約15倍、(b)約100倍、(c)100
0倍の図である。
処理面および未処理面の色発現性を示すスケッチであ
り、(a)約15倍、(b)約100倍、(c)100
0倍の図である。
【図4】本発明の実施例2に係るインクジェット吹付け
方式のカートリッジを示す図であり、(a)カートリッ
ジ、(b)ノズル部、(c)ノズルの拡大図である。
方式のカートリッジを示す図であり、(a)カートリッ
ジ、(b)ノズル部、(c)ノズルの拡大図である。
1…液滴 2…被検体 3…スプレー 4…衝立 5…供試材 6…電極 7…ヘッド 8…インク 9…ノズル 10…インクバリア 11…気泡 12…ヒーター 13…カートリッジ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−50088(JP,A) 特開 平8−334452(JP,A) 特開 昭61−8632(JP,A) 特開 平6−8416(JP,A) 実開 平4−104558(JP,U) 特公 平4−9462(JP,B2) 特公 平4−28333(JP,B2) 特公 昭57−27414(JP,B2) 特公 昭61−59453(JP,B2) 特公 平1−53738(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 13/00 - 13/04 F02M 65/00 JICSTファイル(JOIS)
Claims (2)
- 【請求項1】 撥液処理における撥液膜の存在の有無を
判別する方法であって、染料入り液滴の表面張力を、撥
液処理を施す基材表面の臨界表面張力と撥液膜表面の臨
界表面張力との間の表面張力になるように調整し、該染
料入り液滴を撥液処理面およびその近傍に噴霧した後、
乾燥させ、乾燥状態における液滴の発色状態の差を目視
等により観察することを特徴とする撥液処理表面の評価
方法。 - 【請求項2】 請求項1において、染料として有機溶剤
系染料を用い、かつインクジェット吹き付け法によって
噴霧することを特徴とする撥液処理表面の評価方法。
Priority Applications (1)
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