JP3275456B2 - 衝突パルスモード同期半導体レーザ装置 - Google Patents

衝突パルスモード同期半導体レーザ装置

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JP3275456B2
JP3275456B2 JP15339093A JP15339093A JP3275456B2 JP 3275456 B2 JP3275456 B2 JP 3275456B2 JP 15339093 A JP15339093 A JP 15339093A JP 15339093 A JP15339093 A JP 15339093A JP 3275456 B2 JP3275456 B2 JP 3275456B2
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悟基 川西
正俊 猿渡
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高速光通信,各種光計
測に用いられる短光パルスの発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図2は、従来の衝突パルスモード同期半
導体レーザ(CPM半導体レーザ)の構成を示す図であ
り、201は逆バイアス印加電極、202は順バイアス
印加電極、203は接地電極、204はInGaAsP
/InGaAs半導体レーザ活性層(光導波路層)、2
05はFeドープInP結晶成長層、206はN+ In
P基板、207は高周波印加電極である(M.C.W
u,et al.,Appl.Phys.Lett.,
vol.8,pp.759−761,1990.)。図
3はこのレーザの動作を示す図である。基本的にこのレ
ーザの構成は、通常のファブリーペロー構造(FP)の
多重量子井戸半導体レーザ(MQW−LD)の上部スト
ライプ電極を分割してその一部201をpn接合の逆バ
イアスを印加してその下部の光導波路層部分を可飽和吸
収体とし、また一部の電極207には高周波を印加して
モードロッカとして動作させる構成となっている。この
レーザの光導波路層204には、右方向に伝搬する光パ
ルス(図3(A))と左方向に伝搬する光パルス(図3
(B))が存在する。
【0003】高周波印加電極207に電気信号を印加す
ると、印加した電気信号の振幅に応じて電極207下部
の光導波路の損失(または利得)が変化する。すなわ
ち、電極207に電気パルスを印加することによって電
極下部を光パルスのシャッターとして作用させることが
できる。
【0004】いま、高周波印加電極207に電気信号を
印加してシャッターを開くと、レーザの左右両端から中
央に向かって光パルスが伝搬しはめる。このレーザは左
右対称の構造を有しているため、両パルスの波形,振
幅,速度は同じであり、レーザ中央で同じ波形の2つの
パルスが衝突することになる。このとき、電極207に
印加する高周波信号の周波数fを
【0005】
【数1】f=c/(nL) cは光速、nは半導体の屈折率、Lはレーザの物理長 とすると、レーザの一方の端面を出発した光パルスが他
方の端面に到着するときにちょうど他方の端面のシャッ
ターが開くことになるため、モード同期動作の条件が満
たされることになる。Wu et al.は32.6G
Hzの繰返し周期でトランスフォームリミットな短光パ
ルス(1.4ps)を得ている。
【0006】電極201の下部の光可飽和吸収体は、光
の吸収損失が入射光強度が増加するに従って減少する媒
質であり、通常色素や半導体が用いられる。特に波長
1.55μm帯の光に対しては、多重量子井戸(MQ
W)構造の半導体導波路を逆バイアスで使用することに
より、可飽和吸収体の動作が確認されている(詳しく
は、Y.K.Chen,M.C.Wu,T.Tanbu
n−Ek,R.A.Logan and J.R.Si
mpson,“Monolithic collidi
ng−pulse mode−locked quan
tum well lasers,” in Tec
h.Digest of Conferenceon
Lasers and Electro−optics
(CLEO’91) No.CWK3,pp.304−
307,1991.を参照されたい)。いま、光可飽和
吸収体中で両方向に伝搬するパルスが衝突する瞬間だけ
光の定在波ができ、この光の定在波の強度は高くなるた
め、光可飽和吸収体のシャッター作用は急峻になって光
パルスは急峻となる。この原理については、藤井陽一・
西沢紘一編「先端光技術」pp.110−129(アグ
ネ承風社)中に説明されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したCPM半導体
レーザには、次に示すような問題点があった。
【0008】従来のCPM半導体レーザの電極構成にお
いては、モードロック用高周波信号印加電極が、レーザ
共振器の最も外側、すなわち両端面に接した位置にあ
る。従って、モードロック用高周波信号印加電極の下の
部分は、片側は空気、他方は半導体であり、両者は誘電
率が異なるために電極に印加された信号による電界分布
が非対称となる。周波数が高くなるにしたがって非対称
電界の影響によって電界振幅および波形が対称電界のと
きに比べて空間的に不均一となり、モードロック変調効
率の低下を招く恐れがあった。
【0009】本発明は、このような従来の問題点に鑑み
てなされたものであり、モードロック用高周波信号印加
電極の下部を均一の構造とすることによって電界振幅お
よび波形を均一化して安定したCPM動作を実現して光
短パルスを発生させる手段を提供することを目的として
いる。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明は、ファブリーペロー構造を有する多重量子
井戸半導体レーザの共振器中央部分上に設けられ、下部
に設けられた導波路層部分が光可飽和吸収体として機能
するように、逆バイアスを印加する第1電極と、前記レ
ーザ共振器中央部に対して対称に分割配置され、順バイ
アスを印加する複数の第2電極と、前記レーザの両側か
らそれぞれレーザ共振器長の1/4だけ離れた位置に設
けられた第3電極と、該第3電極に高周波信号を印加す
るバイアス手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明ではMQW半導体レーザ上に設けられた
モードロック用高周波信号印加電極を、レーザ共振器の
両端面ではなく、両端面から1/4共振器長離れた位置
に配置することによって、モードロック用高周波信号が
安定してレーザに印加できるようにしている。すなわ
ち、本発明は、MQW半導体レーザの電極を分割して共
振器中央部の一部分を逆バイアスしてその下部の導波路
層を光可飽和吸収体とし、共振器両端からL/4の位置
に設けられた電極を変調電極とし、その他の部分を増幅
媒質として用いることにより、同一半導体レーザチップ
上に、可飽和吸収体,モードロッカおよび増幅媒質をモ
ノリシックに集積化して安定したモードロック光パルス
を発生させることができる。
【0012】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0013】図1は本発明の衝突パルスモード同期MQ
W半導体レーザ装置の実施例を示す図であり、図1
(A)は上から見た平面図、(B)および(C)はその
動作を説明する図である。図1において、101はMQ
W半導体レーザであり、例えば図2の従来例と同様にn
+ InP基板上形成されたInGaAsP/InGaA
sMQW活性層(光導波層)、それを包むFeドープI
nP結晶成長層を含む。102,103,104,10
5は直流電極(ストライプ電極)、106は高周波信号
印加電極、107は逆バイアス印加電極、108,10
9,110は直流電源、111はバイアスT、112は
高周波発振器であり、また、113,114は光強度の
一部を透過する鏡でこの2つの鏡によってファブリーペ
ロー共振器が構成されて半導体レーザの動作が実現され
る。図に示すように逆バイアス印加電極107は本レー
ザ共振器の中央に位置し、高周波信号印加電極106
は、共振器長をLとすると両端面から1/4Lだけ離れ
た位置すなわち部分反射鏡113,114と電極107
の中間に位置する部分106A,106Bを有する。直
流電極102,103,104,105は必ずしも全て
必要ではなく、レーザ共振器の中央に対して対称に配置
されていればよい。たとえば103と104のみあるい
は102と105のみであってもよい。以下、図1
(B),(C)を用いて本レーザの動作を説明する。
【0014】図1(B),(C)は、本レーザにおい
て、共振器内における光パルスの伝搬の様子を示した図
である。本レーザにおいても従来技術と同じように、レ
ーザ共振器を右向きに伝搬する光パルス(図1(B))
と左向きに伝搬する光パルス(図1(C))が存在す
る。いま、一般に半導体レーザにおいては、ストライプ
電極の下にpn接合が形成され、バイアス電極102,
103,104および105を通してこのpn接合に数
10mA程度の順バイアス電流を流すと同時に高周波信
号印加電極106に電流振幅として数10mA程度の高
周波信号を印加する。この高周波信号の周波数fmを、
【0015】
【数2】fm=2c/(nLLD) LLDは、本発明のレーザの全長 nは半導体の屈折率(≒3) とすると本レーザにおいても従来技術の動作原理と同じ
動作原理によってモード同期動作が満たされることにな
る。一般に半導体レーザのレーザ長は、数100μmか
ら数mm程度である。レーザ長が10mmのときの変調
周波数は、約20GHzとなる。
【0016】さて、本レーザにおいてもレーザ中央に位
置する逆バイアス印加電圧107に数V程度のpn逆バ
イアスを印加すると、その下部の導波路層部分115は
光可飽和吸収体として動作し、光可飽和吸収体115中
で両方向に伝搬するパルスが衝突する瞬間だけ光の定在
波ができ、この光の定在波の強度は高くなるため、光可
飽和吸収体115のシャッター作用は急峻になって光パ
ルスは急峻となる。このとき、部分反射鏡113,11
4の透過率は同じであればレーザは完全に左右対称とな
って、左右に走行する光パルス波形は同じとなって最も
効率良く衝突パルスモード同期動作を実現でき、図2に
説明した装置と同等もしくはより短い光パルスを発生さ
せることができる。さらに、本発明のレーザにおいて
は、高周波信号印加電極106が、レーザの両端面では
なく、両端面からそれぞれLLD/4だけ離れた位置にあ
り、電極106の下部は両側ともレーザ光導波路である
から、106に印加された高周波信号による電界の形状
は左右対称となる。従って、従来技術のようにレーザ端
面における高周波の反射、インピーダンスミスマッチン
グの影響を受けることなく、より高い周波数領域におい
ても安定したモード同期動作を実現することが可能であ
る。
【0017】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、半
導体レーザの両端面上でなく、両端面からそれぞれ1/
4レーザ長離れた位置にモード同期用高周波印加電極を
配することによって、高周波信号が端面で反射されるこ
となくレーザに印加されるため、高周波においても安定
して衝突パルスモード同期動作を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す図である。
【図2】従来技術の構成図である。
【図3】従来技術の動作を説明する図である。
【符号の説明】
101 MQW半導体レーザ 102,103,104,105 直流電極 106 高周波印加電極 107 逆バイアス印加電極 108,109,110 直流電源 111 バイアスT 112 高周波発振器 113,114 部分反射鏡

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ファブリーペロー構造を有する多重量子
    井戸半導体レーザの共振器中央部分上に設けられ、下部
    に設けられた導波路層部分が光可飽和吸収体として機能
    するように、逆バイアスを印加する第1電極と、前記レ
    ーザ共振器中央部に対して対称に分割配置され、順バイ
    アスを印加する複数の第2電極と、前記レーザの両側か
    らそれぞれレーザ共振器長の1/4だけ離れた位置に設
    けられた第3電極と、該第3電極に高周波信号を印加す
    るバイアス手段とを備えたことを特徴とする衝突パルス
    モード同期半導体レーザ装置。
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