JP3269441B2 - 気象レーダ装置 - Google Patents

気象レーダ装置

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    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A90/00Technologies having an indirect contribution to adaptation to climate change
    • Y02A90/10Information and communication technologies [ICT] supporting adaptation to climate change, e.g. for weather forecasting or climate simulation

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、雲、雨、霧の様
子等いわゆる気象現象の観測に利用される気象レーダ装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、雲、雨、霧の様子などの気象現象
を観測する手段として、風の場を時間空間的に密に観測
できるドップラレーダ装置の利用が進んでいる。一般
に、気象観測用のドップラレーダ装置(以下、気象レー
ダ装置という。)は、観測対象である雲、雨、霧などの
目標物に対して複数パルスからなるパルス電波(以下、
送信パルス信号という。)を放射し、目標物から反射さ
れ返ってきたパルス電波(以下、受信パルス信号とい
う。)からドップラ効果に基づく受信パルス間のドップ
ラ位相差を測定し、このドップラ位相差に基づいて目標
物のドップラ速度を算出する。目標物のドップラ速度を
算出する手法としては、パルス毎に反射された受信パル
ス信号をサンプリングし、その時系列をFFT変換して
周波数分布を求める方式、二つのパルスの位相変化に基
づいて受信パルス信号の平均位相差を求めるパルスペア
方式などの信号処理方式がある。また、この種の気象レ
ーダ装置の送信機には、製造方法の容易さ、低価格化等
の要請から例えばマグネトロン送信管(自励発振型送信
管)を使用したマグネトロン送信機が用いられている。
【0003】例えば、特開平3−54495号公報には
送信機にマグネトロンを用いたMTIレーダ装置が記載
されており、マグネトロン1からの送信信号の一部を方
向性結合器2を介して取り出して位相検波器1乃至4又
は11、12の位相検波の際の基準となる位相引き込み
信号を作成し、この位相引き込み信号に基づいてアンテ
ナ4にて受信された受信信号を位相検波することにより
高安定、高精度の位相検波出力が得られる旨記載されて
いる。
【0004】一般にマグネトロン等の自励発振型の送信
機(以下、マグネトロン送信機を一例として説明す
る。)を用いた従来のドップラレーダ装置は、このマグ
ネトロンの周波数不安定性に基づいて種々のドップラ速
度の計測誤差が生じており、このマグネトロンの周波数
特性の不安定性に基づくドップラ速度の計測誤差を補正
するため種々の方式が採られている。上記特開平3−5
4495号公報に記載されたレーダ装置においては、マ
グネトロンの周波数不安定性に基づくドップラ速度の計
測誤差の一原因である送信パルス毎(送信パルス間)の
初期位相のばらつきを補正して観測精度の劣化を防止す
るため、マグネトロンから出力された送信パルス信号か
ら送信パルス毎に位相引き込み信号を作成しこの位相引
き込み信号に基づいて受信パルス信号の位相検波処理を
行っているのである。
【0005】なお、このようなアナログ方式による位相
補正方式(以下、アナログフェーズロック方式とい
う。)に対し、A/D変換後のディジタル信号を用いて
同様に受信パルスの位相補正を行うものもある。例え
ば、「The RONSARD Radars:A Versatile C-band Dual D
oppler Facility」IEEE TRANSACTIONS ON GEOSCIENCE E
LECTRONICS,VOL.GE-17,NO.4,OCTOBER 1979の第283頁
左欄のB.Amplitude and PhaseMemoryの項目には、A/
D変換後のディジタル信号を用いて受信信号の位相補正
をディジタル的に行うもの(以下、ディジタルフェーズ
ロック方式という。)が記載されている。ディジタルフ
ェーズロック方式を用いた気象レーダ装置はアナログ方
式のようにCOHO(Coherent Oscillator)から出力
された信号を直接位相調整する必要がなく、ディジタル
的に位相補正することができ、アナログ方式のものに比
べて十分な位相補正精度が得られる。これらのような受
信方式を用いたレーダ装置によれば、周波数特性のきわ
めて不安定なマグネトロン送信機を送信部に用いたとし
ても、受信パルス信号の位相測定基準が各受信パルス毎
に設定され送信パルス毎の初期位相のばらつきによるド
ップラ速度の観測精度の劣化を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のような
受信方式を用いた従来のレーダ装置(気象レーダ装置を
含む)では、送信パルス毎の初期位相のばらつきよるド
ップラ速度の観測精度の劣化については防止することが
できるものの、上記周波数特性の不安定性に基づく
(1)送信パルスの出力タイミングのずれ及び(2)送
信波形サンプリング時のジッタ等によるドップラ速度の
観測精度の劣化についてまでは防止することができず、
たとえ初期位相のばらつきを補正して目標物のドップラ
速度を観測したとしても、それだけではマグネトロン送
信機の周波数特性に基づくドップラ速度の観測精度の劣
化を防止した高精度なドップラ速度の観測を実現するこ
とはできない。
【0007】以下、送信パルスの出力タイミングのずれ
によるドップラ速度の観測精度の劣化と送信波形サンプ
リング時のジッタ等によるドップラ速度の観測精度の劣
化とについて図15及び図16を用いてそれぞれ説明す
る。図15はあるマグネトロン送信機から出力された送
信パルスとマスタトリガとの出力関係を示す説明図、図
16は図15に示す各送信パルスのパルス特性を示すパ
ルス特性図である。なお、図15に示した第1及び第2
の送信パルスは複数パルスからなる送信パルス信号の任
意の2つの送信パルスについてマスタトリガとの出力関
係を示したものであり、マスタトリガとは送信動作と受
信動作との時間的同期をとるための基準となる同期信号
であって観測対象物に対して放射される送信パルス信号
の送信繰り返し周波数を規定する信号でもある。
【0008】送信機の周波数特性が安定していると、送
信アンテナから観測対象物に対して放射される送信パル
ス信号の送信パルス周期は送信繰り返し周波数に応じて
一定となるが、マグネトロン送信機のような自励発振型
の送信機を用いたレーダ装置の場合には送信機の周波数
特性がきわめて不安定であり送信パルス信号の各送信パ
ルスは同期信号であるマスタトリガの出力タイミングと
時間的に前後にずれた出力タイミングで送信機から出力
される。このような送信動作は送信機に入力されるトリ
ガ信号のトリガパルス周期が送信繰り返し周波数に応じ
て一定に設定されていたとしても生じうる送信機の周波
数不安定性に基づく動作であり、マスタトリガと送信パ
ルスとの出力タイミングの関係は例えば図15に示すよ
うなものとなる(図15において、第1の送信パルスは
マスタトリガの出力タイミングと同期しているが、第2
の送信パルスはマスタトリガの出力タイミングと時間的
にずれたタイミングで出力されている。)。また、送信
パルス信号は複数パルスから構成されており、このよう
に周波数特性の不安定な例えばマグネトロン送信機から
出力された送信パルス信号はマスタトリガの出力タイミ
ングと時間的に前後にずれた出力タイミングの送信パル
スを含み、全体としては不規則な送信パルス周期を有し
た送信パルス信号が観測対象物に対して放射されている
ことになる。
【0009】また、観測対象物から反射され返ってきた
受信パルス信号は、上述したように同期信号であるマス
タトリガの出力タイミングに応じてA/D変換器による
サンプリングがなされるが、このA/D変換器による受
信パルスのサンプリング位置が各受信パルスにおいて相
互に同じ位置となるのは送信パルス信号の送信タイミン
グがマスタトリガの出力タイミングと同期して出力され
ているからであり、上述したようにマスタトリガと非同
期、即ち送信パルスの出力タイミングがマスタトリガの
それと時間的にずれた送信パルス信号に対応する受信パ
ルス信号については各受信パルスのサンプリング位置は
各受信パルス間で相互にずれた位置となり、各受信パル
スでサンプリング位置が異なることになる。ドップラ速
度の計測は、このサンプリング位置において測定された
受信パルスのドップラ位相の差、即ち受信パルス間のド
ップラ位相差に基づいて計測されるものであり、上述の
ように送信タイミングのずれにより受信パルスのサンプ
リング位置がずれている場合には、この相互にずれたサ
ンプリング位置においてそれぞれ測定された各ドップラ
位相の位相差から観測対象物のドップラ速度が観測され
ることになる。例えば、図15に示す第1及び第2の送
信パルスに対応した受信パルス(図示せず)において
は、第1の受信パルスはパルス立ち上がり部分であるa
点の位置で、第2の受信パルスはパルス立ち下がりであ
るb点の位置でそれぞれドップラ位相が測定されること
となる(但し、マスタトリガの立ち上がりのタイミング
にてサンプリングがされたものとする。)。
【0010】次に、図16に示すようなマグネトロン送
信機から出力された送信パルス信号のパルス特性につい
て説明を行い、この送信パルス信号のパルス特性に基づ
くドップラ速度の観測精度の劣化について詳細に説明す
る。マグネトロン送信機から出力された送信パルス信号
のパルス特性は、その周波数特性の不安定性により例え
ば図16に示すような時間対振幅特性及び時間対位相特
性を有している。図16において、上段は振幅特性図、
下段は位相特性図であり、また横軸は上下の特性図で共
通の時間軸マグネトロン送信機から出力された送信パル
ス内の位相は、図16下段の位相特性図に示すようにパ
ルス立ち上がりからパルス立ち下がりにかけて複雑な形
(位相変化率が一定でない。)に位相変化している。
【0011】従って、例え静止目標物から反射され返っ
てきた受信パルス信号からその静止目標物のドップラ速
度を計測したとしても、各受信パルスのサンプリング位
置が図15に示すように相互にずれていると、各受信パ
ルスはこの相互に異なるサンプリング位置においてドッ
プラ位相がそれぞれ測定されることになり、この相互に
ずれたサンプリング位置において測定された受信パルス
のドップラ位相差から静止目標物のドップラ速度が計測
されることになる。例えば、図15に示す送信パルスに
対応する受信パルスが静止目標物から反射され返ってき
たものであるとし、第1の受信パルスの位相測定位置が
図16に示すパルス立ち上がり部分(振幅特性図上の左
側の矢印の位置)、第2の受信パルスの位相測定位置が
図16に示すパルス立ち上がり部分(振幅特性図上の右
側の矢印の位置)でそれぞれサンプリングされた場合に
は、実際にはドップラ速度が零である観測対象物が図1
6下段の位相特性図に示すようにドップラ位相差Tiを
有していると判断され、その観測対象物はドップラ位相
差Tiに相当するドップラ速度で移動していると観測さ
れる。
【0012】一般にパルスペア法等によって観測対象物
のドップラ速度を算出する場合、観測対象物から反射さ
れた受信パルス信号の任意の2つの受信パルスのドップ
ラ位相差から観測対象物のドップラ速度を算出するので
あるが、これら受信パルスのドップラ位相が互いに同じ
位相測定位置において測定されたものであれば、建築物
のようなそれ自体が移動しない観測対象物のドップラ速
度はドップラ効果が生じず受信パルス間のドップラ位相
差が零と測定されドップラ速度は零と観測されるのであ
るが、上述したように、マグネトロン送信機から出力さ
れる送信パルス信号はマスタトリガの出力タイミングと
ずれた送信タイミングにて出力されており、このような
送信タイミングで出力された送信パルス信号に対する受
信パルス信号をマスタトリガの出力タイミングでサンプ
リングすると各受信パルスのサンプリング位置、即ち位
相測定位置は受信パルス間で相互にずれた位置となり誤
りのあるドップラ速度が観測される。
【0013】このように、マグネトロン送信機を用いた
レーダ装置においては、送信機から出力された送信パル
ス信号の送信タイミングはマグネトロンの周波数特性の
不安定性によってマスタトリガの出力タイミングとずれ
たものとなり、たとえ送信パルス信号の送信パルスの初
期位相のばらつきが補正されたとしても、上述した送信
タイミングのずれと送信パルス内の位相変化とによる各
受信パルスのドップラ位相の誤差が生じてドップラ速度
の観測精度は大幅に劣化する。そして、このような送信
パルス信号の送信タイミングのずれによるドップラ速度
の観測誤差を上述した送信パルス間の初期位相のばらつ
きによる誤差と区別してここではドップラ速度のバイア
ス誤差と呼ぶ。なお、この送信パルスのパルス特性は送
信機に用いられるマグネトロンによってそれぞれ異なる
ものであり、使用するマグネトロンの形状、種類等に応
じて異なったパルス特性を有する。例えば、クライスト
ロン等の増幅式送信機では、図16の位相特性図に示し
たような送信パルスの位相変化がなくパルス立ち上がり
時間から立ち下がり時間にかけて位相一定であり、対応
する受信パルス信号の受信パルスの位相測定位置にばら
つきが生じても測定されたドップラ位相はほぼ同じドッ
プラ位相値となり、上述したようなマグネトロン送信機
の問題は生じ難い。
【0014】また、図16に示す送信パルス内の位相変
化に基づいて生じるドップラ速度の観測誤差としてはさ
らにドップラ速度のランダム誤差がある。これは送信パ
ルス信号の送信タイミングのずれに基づいて生じるドッ
プラ速度の観測誤差とは異なり、受信パルス信号のサン
プリング時のジッタにより生じる誤差である。これは、
受信パルスのサンプリングタイミングがA/D変換器の
ジッタによって所定のサンプリング位置からずれること
により生じるもので、例えば、図16の斜線部分で示さ
れたような範囲のサンプリング位置のずれで生じる誤差
である。従って、マグネトロン送信機の周波数特性の不
安定性によるドップラ速度の観測精度の劣化を防止して
高精度なドップラ速度の観測を行うためには、さらに上
述したような2つの誤差(バイアス誤差及びランダム誤
差)を考慮してこのような観測誤差によるドップラ速度
の観測精度の劣化が生じないようにドップラ速度の観測
を行わなければならない。
【0015】また、気象レーダ装置においては、雨滴の
反射がよく得られ、かつ、雨の層を通してある程度遠方
の雨雲などを観測できることが必要であり、多くの場
合、Cバンド帯(λ=5cm)の波長のものが使用され
ているが、粒径が数十μm以下の細かい雲粒、霧などの
様子を観測する場合には、センチ波よりも波長の短いパ
ルス電波を使用しなければならず、例えばWバンド帯
(λ=3mm)、Kaバンド帯(8.7mm)等の周波
数帯域のパルス電波が使用されるが、このように比較的
波長が短い、高周波のパルス電波を使用して目標物のド
ップラ速度を観測する場合には、目標物に対して放射す
るパルス電波のパルス間隔、即ち各送信パルスの送信パ
ルス周期はドップラ速度の折り返し(計測可能な最大速
度範囲)、即ち信号の再現性との関係からCバンド帯の
それよりも短く設定しなければならない。
【0016】一般に使用周波数帯域が高くなるほどドッ
プラ周波数は高くなりドップラ周波数が高い受信信号の
内容を正確に把握するためには受信信号を数多くサンプ
リングしなければならないが、サンプリング数を増加さ
せるためには送信パルス周期(パルス間隔)を短くしな
ければならず、多次エコーの影響が大きくなるという問
題が生じる。即ち、送信パルスのパルス間隔、即ち送信
パルス周期が比較的短い送信パルス信号によって目標物
のドップラ速度を観測すると、目標物以外から反射され
た2次エコー、さらには3次、4次エコー等の多次エコ
ーが目標物から反射された受信パルス信号に混入され易
くなり多次エコーの影響が大きい劣悪な受信パルス信号
から目標物のドップラ速度を算出しなければならない。
【0017】このように、マグネトロン送信機を用いた
従来の気象レーダ装置では、送信機部分の製作がクライ
ストロン等の増幅式送信機よりも容易であり安価にでき
るというメリットはあるものの、送信機の周波数特性が
きわめて不安定であり、送信パルスの初期位相のばらつ
きに加えて送信パルス信号の送信タイミングのずれ及び
受信パルス信号のサンプリング時のジッタに基づくドッ
プラ速度の観測誤差生じて目標物のドップラ速度の観測
精度が劣化するという問題点があった。また、粒径が数
十μm以下の細かい雲粒、霧などを観測する場合には、
センチ波よりも波長の短い例えばKaバンド帯のパルス
電波を使用しなければならないが、この場合、送信パル
ス信号の送信パルス周期はドップラ速度の折り返し等と
の関係からCバンド帯のそれよりも大幅に短く設定しな
ければならず、多次エコーの影響を大きく受けた劣悪な
受信信号から目標物のドップラ速度を観測しなければな
らないという問題点があった。
【0018】この発明は、上記課題を解決するためにな
されたものであり、送信機の周波数特性の不安定性によ
って生じる送信パルスの送信タイミングのずれによるド
ップラ速度の観測精度の劣化及び各送信パルス内の位相
変化に基づくドップラ速度の観測精度の劣化を防止して
気象状況の観測が高精度にできる新規な構成の気象レー
ダ装置を得ることを目的とする。また、さらに粒径が数
十μm以下の細かい雲粒、霧などの様子を観測する場合
においても受信パルス信号に対する多次エコーの影響が
防止し得、多次エコーによる観測精度の劣化が防止され
た新規な構成の気象レーダ装置を得ることをも目的とす
る。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1項の発明に係る
気象レーダ装置は、送信部から出力された複数パルスか
らなる送信パルス信号を目標物に対して放射し、この目
標物から反射された受信パルス信号から上記目標物のド
ップラ速度を算出する手段を備えた気象レーダ装置にお
いて、基準ターゲット(例えば、建築物や山の斜面など
の固定目標物又は静止目標物)のドップラ速度を算出
し、この基準ターゲットのドップラ速度に基づいて上記
基準ターゲットのドップラ速度が零となるように上記送
信部から出力される上記送信パルス信号の送信タイミン
グを補正するようにしたものである。
【0020】請求項2項の発明に係る気象レーダ装置
は、複数パルスの送信パルス信号を出力する送信部と、
上記送信パルス信号を目標物に対して放射し反射された
上記目標物からの受信パルス信号を受信する送受信アン
テナ部と、この送受信アンテナ部により受信された上記
受信パルス信号を位相検波する受信部と、この受信部に
より位相検波された受信パルスから上記目標物のドップ
ラ速度を算出するドップラ速度算出部と、このドップラ
速度算出部により算出された基準ターゲットのドップラ
速度から上記送信パルス信号のパルス同期のずれを算出
するパルス同期算出部と、このパルス同期算出部により
算出された上記パルス同期のずれに基づいて上記基準タ
ーゲットのドップラ速度が零となるように上記送信部か
ら出力される上記送信パルス信号の送信タイミングを補
正する送信タイミング制御部とを設けたものである。
【0021】請求項3項の発明に係る気象レーダ装置
は、上記受信パルス信号の受信パルス内の位相変化率が
比較的ゆるやかな位相測定位置において上記目標物のド
ップラ速度を算出するようにしたものである。
【0022】請求項4項の発明に係る気象レーダ装置
は、複数パルスの送信パルス信号を出力する送信部と、
上記送信パルス信号を目標物に対して放射し反射された
上記目標物からの受信パルス信号を受信する送受信アン
テナ部と、この送受信アンテナ部により受信した上記受
信パルス信号を高速A/D変換処理する受信部と、この
受信部により高速A/D変換処理された複数の受信パル
ドップラ位相差から上記目標物のドップラ速度を
算出するドップラ速度算出部と、上記受信部により高速
A/D変換処理された送信パルスの振幅波形から上記送
信パルス信号のパルス同期のずれを算出するパルス同期
算出部と、このパルス同期算出部により算出された上記
パルス同期のずれに基づいて基準ターゲットのドップラ
速度が零となるように上記送信部から出力される上記送
信パルス信号の送信タイミングを補正する送信タイミン
グ制御部とを設けたものである。
【0023】請求項5項の発明に係る気象レーダ装置
は、送信部から出力された複数パルスの送信パルス信号
を目標物に対して放射しこの目標物から反射された受信
パルス信号から上記目標物のドップラ速度を算出する気
象レーダ装置において、基準ターゲットのドップラ速度
をドップラ速度の較正値として記憶させ、このドップラ
速度の較正値により上記目標物のドップラ速度を較正す
るようにしたものである。
【0024】請求項6項の発明に係る気象レーダ装置
は、複数パルスの送信パルス信号を出力する送信部と、
上記送信パルス信号を目標物に対して送信し反射された
上記目標物からの受信パルス信号を受信する送受信アン
テナ部と、この送受信アンテナ部により受信された上記
受信パルス信号を位相検波する受信部と、この受信部に
より位相検波された受信パルスから上記目標物のドップ
ラ速度を算出するドップラ速度算出部と、このドップラ
速度算出部により算出された基準ターゲットのドップラ
速度がドップラ速度の較正値として記憶されるドップラ
速度較正部とを備え、このドップラ速度較正部に記憶さ
れた上記ドップラ速度の較正値に基づいて上記ドップラ
速度算出部にて算出された上記目標物のドップラ速度を
較正するようにしたものである。
【0025】請求項7項の発明に係る気象レーダ装置
は、上記基準ターゲットが装置内部に設けられた遅延・
反射手段により構成されたものである。
【0026】請求項8項の発明に係る気象レーダ装置
は、上記送信パルス信号をダブルパルスにて構成したも
のである。
【0027】請求項9項の発明に係る気象レーダ装置
は、送信部から出力された複数パルスからなる送信パル
ス信号を目標物に対して放射しこの目標物から反射され
た受信パルス信号から上記目標物のドップラ速度を算出
する気象レーダ装置において、上記送信パルス信号の一
部分を受信部に取り出す方向性結合器と、この方向性結
合器により取り出された送信パルス信号から上記送信パ
ルス信号のパルス同期のずれを算出し、このパルス同期
のずれに基づいて上記受信部における上記受信パルス信
号のサンプリングタイミングを検出するパルス同期検出
部と、このパルス同期検出部により検出された上記サン
プリングタイミングに基づいて上記受信部のサンプリン
グタイミングを制御するタイミング制御手段とを設けた
ものである。
【0028】請求項10項の発明に係る気象レーダ装置
は、上記送信パルス信号をダブルパルスにて構成したも
のである。
【0029】請求項11項の発明に係る気象レーダ装置
は、移動体に載置され、ドップラ速度の観測位置が変更
できるようにしたものである。
【0030】
【発明の実施の形態】実施の形態.1 以下、この発明の一実施形態について図1乃至図6を用
いて説明する。図1はこの発明の一実施形態による気象
レーダ装置を示すブロック構成図であり、図1におい
て、1は雲、雨、霧などの観測対象物(以下、目標物と
いう。)、観測条件等に応じて設定される本装置の送信
周波数及び後述する送信パルス信号のパルス同期のずれ
に基づいて目標物に対して放射させる送信パルス信号の
送信パルス周期、即ち各送信パルスの出力タイミングを
制御する送信タイミング制御部、2は送信タイミング制
御部1により制御され、送信部3に送信パルス信号を出
力させるための複数のプリトリガパルス(以下、プリト
リガという。)と送信パルス信号の送信パルス周期、即
ち送信繰り返し周波数の時間的基準となる複数のマスタ
トリガパルスからなる同期パルス信号(以下、マスタト
リガという。)とをそれぞれ出力する同期パルス出力
部、4は送信部3を構成し、同期パルス出力部2からの
各プリトリガに基づいて変調信号であるパルス信号を生
成するパルス信号生成部、5はマグネトロン等の自励発
振型の送信管で構成され、パルス信号生成部4から出力
されたパルス状の変調信号によりパルス変調された高周
波の送信パルスを送信パルス信号単位でそれぞれ出力さ
せる送信部3の送信素子である。
【0031】マスタトリガは、プリトリガパルスの出力
後一定の時間間隔をおいて出力される送受信動作の共通
の時間的基準となる信号であり、送信部3から出力され
る送信パルスの出力タイミングがマスタトリガパルスの
出力タイミングと同期して順次出力されておればその送
信パルス信号の送信タイミングはマスタトリガの出力タ
イミングと同期しており、マスタトリガの出力タイミン
グとずれた出力タイミングで送信パルスが出力されてお
ればその送信パルス信号の送信タイミングはマスタトリ
ガの出力タイミングに対してパルス同期のずれを有して
いることになる。そしてこのようなパルス同期のずれを
有する送信パルス信号に対する目標物からの受信パルス
信号についてマスタトリガの出力タイミングに基づくサ
ンプリングを行っても、各受信パルスのサンプリング位
置はこの受信パルス信号が有するパルス同期のずれによ
り所定のサンプリング位置から前後にずれたサンプリン
グ位置となる。
【0032】また、6は送信素子5から出力された送信
パルス信号を送受信アンテナ部7へ出力させ、送受信ア
ンテナ部7を介して受信した受信パルス信号を後述する
受信部11へ出力させるサーキュレータ、7は仰角、方
位角方向に回転可能に構成され、送信素子5から出力さ
れた複数パルスからなる送信パルス信号を所定のビーム
幅で目標物等に対して放射し、かつ、目標物等から反射
され返ってきた複数パルスからなる受信パルス信号を受
信する送受信アンテナ部、8は例えば送信タイミング制
御部1等の制御手段により送受信のタイミングに応じて
その接続が切り替えられ、方向性結合器17により取り
出した送信パルス信号の電力の一部分である位相引き込
み信号と送受信アンテナ部7を介して受信した受信パル
ス信号とをそれぞれ所定のタイミングにて後述する受信
部11に出力させる第1のスイッチ手段(送信パルス信
号を基準ターゲット又は目標物に対して放射させるとき
にはa点に接続され位相引き込み信号が受信部11へ出
力され、基準ターゲット又は目標物から反射され返って
きた受信パルス信号を受信するときにはb点に接続され
受信した受信パルス信号が受信部11へ出力され
る。)、9は所定周波数の局部発振信号を出力する局部
発振器(以下、STALOという。)、10はSTAL
O9から出力された局部発振信号により基準パルス信号
又は受信パルス信号を中間周波のIF信号に変換する混
合器、11は混合器10によって中間周波に変換された
位相引き込み信号又は受信パルス信号を位相検波処理し
て受信ビデオ信号を出力する受信部である。
【0033】なお、本実施形態に係る気象レーダ装置
は、所望の位相補正精度が容易に得られるという観点か
らいわゆるディジタルフェーズロック方式を用いた気象
レーダ装置を一例に説明するものであり、本発明の特徴
とするところは、ディジタルフェーズロック方式による
送信パルス信号の送信パルス間に生じる初期位相のずれ
を補正しながら、さらに上述したような送信パルス信号
の送信タイミングの時間的ずれ等に基づくドップラ速度
の観測精度の劣化を防止してより高精度な気象状況の観
測ができる気象レーダ装置について説明を行うものであ
る。例えばアナログ方式の位相補正方式を用いた気象レ
ーダ装置においても本発明の実施が可能であるが詳細な
説明については省略する。
【0034】また、12は受信パルス信号から目標物又
は基準ターゲットのドップラ速度を算出したり、この算
出されたドップラ速度等に基づいて目標物を表示部15
へ表示させる処理等の各種処理を行うドップラ速度処理
部であり、13は受信部11から出力された受信ビデオ
信号の各受信パルスの位相差から目標物又は基準ターゲ
ットのドップラ速度を算出するドップラ速度算出部、1
4は基準ターゲットについて計測されたドップラ速度に
基づく送信パルス信号のマスタトリガに対するパルス同
期のずれ、即ち送信タイミングのずれを算出するパルス
同期算出部、15はドップラ速度算出部13で算出され
た目標物のドップラ速度等をその目標物の大きさ、形
状、種類等ともにモニタ等の表示部16に表示して管制
官等のオペレータが目標物及びその目標物のドップラ速
度等を認識・監視できるようなデータ処理するデータ処
理部である。
【0035】図1に示す本実施形態に係る気象レーダ装
置のパルス同期算出部14は、基準ターゲットから反射
された受信パルス信号の受信パルスのドップラ位相差に
基づいて送信部3から出力された送信パルス信号のパル
ス同期のずれを算出するものであるが、本発明に係る気
象レーダ装置のパルス同期のずれの算出方式としては、
本実施形態において説明するものに拘わらず、後述する
ような送信パルスのサンプリング波形から各送信パルス
の振幅波形を計測しこれら振幅波形の計測時間差に基づ
いてパルス同期のずれを算出する方式など種々の方式を
同様に適用して実施できる。そして、算出された送信パ
ルス信号のパルス同期のずれ(以下、送信タイミングの
ずれという。)は、送信タイミング補正信号によって送
信タイミング制御部1にフィードバックがかけられてお
り、送信タイミング制御部1はパルス同期算出部14か
ら出力された送信タイミング補正信号による指示に基づ
き同期パルス出力部2から出力される各プリトリガ(プ
リトリガも送信パルス信号に応じて複数トリガにて構成
される)の出力タイミングを前後にオフセット調整する
ものである。
【0036】パルス同期算出部14から出力される送信
タイミング補正信号は、送信部3から出力される送信パ
ルス信号の送信パルスがマスタトリガパルスの出力タイ
ミングと同期して出力されるようにプリトリガパルスの
出力タイミングを補正指示する補正信号であり、このパ
ルス同期算出部14から出力された送信タイミング補正
信号に基づき同期パルス出力部2から出力されるプリト
リガパルスの出力タイミングを時間的に前後にずらす調
整を行うことにより、マグネトロン等の自励発振型送信
管を用いた送信部3から出力される送信パルス信号の送
信タイミングを送信部3の周波数特性に応じて補正する
ことができる。なお、送信タイミングの補正内容の詳細
については後述の動作の説明において行う。
【0037】図2は本発明に係る気象レーダ装置による
気象観測状況の概略説明図であり、図2に示すように、
送信部3から出力された複数パルスからなる送信パルス
電波(以下、送信パルス信号という。)は、所定ビーム
幅で受信アンテナ部7から観測対象物である雲に対して
放射されており、この雲から反射され返ってきた複数パ
ルスからなる反射波(以下、受信パルス信号という。)
を送受信アンテナ部7により受信してこの受信パルス信
号からドップラ速度を算出する。例えば、図2中に示し
た雲が送受信アンテナ部7から遠ざかる方向に移動して
おれば受信パルス間には遠ざかる方向(例えば正方向)
のドップラ効果が生じており、正方向のドップラ位相差
が測定され、静止しておればドップラ効果によるドップ
ラ位相差は零と測定され、このようなドップラ位相差の
測定に基づいて雲の移動の様子等を観測する。
【0038】また、目標物のドップラ速度の算出は、受
信した受信パルス信号の受信パルスのドップラ位相差に
基づいて算出されるのであり、受信パルス信号中に少な
くとも2つの受信パルスが存在しておればそれら受信パ
ルスから目標物のドップラ速度が原理的に算出できるの
であるが、本実施形態に係る気象レーダ装置において
は、後述するように目標物の性質と送信素子5として用
いられるマグネトロン送信機の周波数特性とを考慮して
図2に示すように多数の送信パルス信号を目標物に対し
て放射させ、これら複数の受信パルス信号からそれぞれ
算出された各ドップラ速度の平均値を目標物のドップラ
速度として計測している。目標物に対して放射させる送
信パルス信号の数は受信信号のS/N比、目標物の速度
幅(雲、雨、霧などの目標物は雲粒、雨粒などから構成
され、内部状態が不規則、複雑に変化しており、測定箇
所によってドップラ速度が異なる。)を考慮して最適な
数を設定すればよく、これによってより高精度な目標物
のドップラ速度の観測が実現できる。
【0039】ここで、本実施形態に係るドップラ速度の
計測方式とドップラ速度の算出原理について図3を用い
て簡単に説明する。なお、本実施形態に係る気象レーダ
装置による送信パルス信号のパルス同期のずれの算出
は、上述したように基準ターゲットについて計測したド
ップラ速度に基づいて行うものである。また、本実施形
態では粒径が数十μm以下の細かい雲粒、霧などを対象
にしてドップラ速度を計測する場合を想定しており、い
わゆるダブルパルス観測方式と呼ばれる観測方式を用い
てドップラ速度の計測を行う。ダブルパルス観測方式と
は、パルスペア法によってドップラ速度を算出する方式
の1つであり、図3(a)に示すように送信周波数に基
づいて所定パルス間隔が設けられた2つの送信パルス
(T1,T2)により構成された送信パルス信号を用いて
目標物のドップラ速度を観測方式である。このダブルパ
ルス観測方式によれば後述のように多次エコーの影響に
よる計測精度の劣化が大幅に低減できる。
【0040】図3(a)に示すように、1つの送信パル
ス信号がダブルパルスから構成されるものであれば、送
信パルス間(T1、T2)のパルス周期(ダブルパルスの
場合はパルス間隔ともいえる。)は短く設定されるので
あるが、各送信パルス信号毎の時間間隔を広く設けるこ
とにより多次エコーによる影響の少ない高精度なドップ
ラ速度の計測を行うことができる。例えば、海面などの
クラッタの原因となる目標物以外から反射されたN番目
の受信パルス信号がN+1、N+2・・・と続く目標物
から反射された受信パルス信号中に混入されて受信さ
れ、目標物から反射された受信パルスのドップラ位相が
正確に算出できなくなるという現象を抑制することがで
きる。上述のように、パルス電波を用いてドップラ速度
等の計測を行う気象レーダ装置においては、計測可能な
最大ドップラ速度及び受信パルス信号の相関時間は送信
機の送信周波数に反比例しており、送信周波数が高い気
象レーダ装置ほど送信パルス信号のパルス間隔、即ちパ
ルス周期は短く設定しなければならない。
【0041】なお、図3(a)は本実施形態による気象
レーダ装置の送信パルス信号(T1,T2)とこの送信パ
ルス信号に対応して目標物から反射され返ってきた受信
パルス信号(R1,R2)との送受信関係を示した送受信
タイミング説明図、図3(b)は送受信アンテナ部7を
介して受信された受信パルス信号について位相検波処理
したビデオ信号を示すビデオ説明図、図3(c)は図3
(b)に示されたビデオ信号(Iチャネル信号とQチャ
ネル信号)とドップラ位相との関係を示すドップラ位相
説明図である。図3(b)及び図3(c)に示されるよ
うに、ビデオ化された受信パルス信号はIチャネル及び
Qチャンネルの信号から構成されている。一般に、目標
物又は後述する基準ターゲット等のドップラ速度Vd
は、例えば目標物から反射され返ってきた受信パルス信
号の受信パルス間に生じたドップラ効果に基づく位相差
から算出されるものであり、以下の式で求められる。
【0042】
【数1】
【0043】また、fdはドップラ周波数、λは送信電
波の波長(以下、送信波長という。)、ドップラ周波数
fdは図3(b)及び図3(c)の内容に沿って説明す
ると、以下の式で求められる。なお、送信波長はミリ波
帯、センチ波帯など気象レーダ装置において使用される
周波数帯で異なるものである。
【0044】
【数2】
【0045】ここで、φiは1発目の受信パルスR1の
ドップラ位相、φi+1は2発目の受信パルスR2のド
ップラ位相、Δtは受信パルスR1と受信パルスR2と
の間に設けられたパルス間隔、jは虚数単位であり、各
受信パルスR1,R2のドップラ位相であるφi、φi
+1は、1発目の受信パルスR1に対するビデオ信号v
iが次式(3)、2発目の受信パルスR2に対するビデ
オ信号vi+1が次式(4)で表されるとすると、図3
(c)に示されるようなIチャネル信号及びQチャネル
信号の関係から次式(5)、(6)によりそれぞれ求め
ることができる。なお、式(5)及び式(6)におい
て、Argは複素数値位相角を示す関数であり、式
(5)及び式(6)によってビデオ信号vi、vi+1
のそれぞれの位相角を求めていることが示されている。
【0046】
【数3】
【0047】
【数4】
【0048】
【数5】
【0049】
【数6】
【0050】このように、目標物のドップラ速度vdを
求めるには、まず目標物から反射され返ってきた受信パ
ルス信号について受信パルスの位相差を求め(本実施形
態では受信パルスR1と受信パルスR2との位相差を式
(3)及び式(4)に示す各ドップラ位相から求め
る。)、次にこの位相差に基づいて目標物のドップラ周
波数fdを求める(本実施形態では式(2)から求めら
れる。)。そして最終的には、このドップラ周波数fd
に基づいてドップラ速度vdを求められ(本実施形態で
は式(1)から求められる。)ものである。
【0051】次に本実施形態に係る気象レーダ装置の動
作について説明する。本実施形態では、まず気象レーダ
装置の全体的な動作について図1乃至図4を用いて説明
し、次に目標物に対して放射する送信パルス信号の送信
タイミングの補正動作についてさらに図5及び図6を用
いて詳細に説明する。本実施形態による送信タイミング
の補正動作においてはドップラ速度の観測原理を利用し
て基準ターゲットについて測定した基準ターゲットのド
ップラ位相差から送信部3から出力される送信パルス信
号の送信タイミングのずれを算出するものである。図4
は固定目標物又は静止目標物(以下、基準ターゲットと
いう。)から反射され返ってきた受信パルス信号から算
出されたドップラ速度に基づいて送信パルス信号のパル
ス同期のずれを算出し、このパルス同期のずれに応じて
目標物に対して放射する送信パルス信号の送信タイミン
グをマスタトリガと同期させるための送信タイミングの
補正ステップを有する本実施形態に係る気象レーダ装置
の動作フローチャート図である。図4に示されるよう
に、本実施形態に係る気象レーダ装置は送信パルスの送
信タイミングのずれに基づいて送信パルス信号の送信タ
イミングを調整するものであるが、この他受信部11の
サンプリングタイミングを調整するもの等もあり、これ
らについては後述の実施形態において詳細に説明する。
【0052】本実施形態に係る気象レーダ装置は、まず
基準ターゲット観測ステップS1において基準ターゲッ
トのドップラ速度の計測を行う。なお、基準ターゲット
としては上述したように、ターゲット表面にゆらぎがな
くドップラ周波数のゆらぎが生じ難い建築物などが理想
的であるが、山の斜面なども基準ターゲットとして利用
可能である。確かに樹木で覆われた山の斜面のようにゆ
らぎが生じるような対象物についてドップラ速度を複数
回計測したとすると、計測された各ドップラ速度は零の
周辺に計測値がばらつくのであるが、これらはドップラ
速度が零の周辺にばらつくのであり、例えば複数回計測
されたドップラ速度について平均化した値をドップラ速
度として計測すればドップラ周波数のゆらぎを減少させ
ることができ、基準ターゲットとして利用できる。この
ようにターゲット表面にゆらぎが生じるようなものをも
基準ターゲットとして利用することにより設置場所、観
測環境などに制限されない気象レーダ装置を得ることが
できる。
【0053】零ドップラー判定ステップS2は、基準タ
ーゲット観測ステップS1で計測された基準ターゲット
のドップラ速度が零か否かを判定するステップであり、
ドップラ速度算出部13により基準ターゲットのドップ
ラ速度を算出する。基準ターゲットは、それ自体が移動
しないいわゆる静止目標物であり、このような静止目標
物から反射され返ってきた受信パルス信号にはドップラ
効果が生じておらず、このような受信パルス信号の受信
パルスの位相差から求められたドップラ速度は原理的に
は零と計測されるはずである。
【0054】そして、この零ドップラー判定ステップS
2においてドップラ速度が零と判定された場合には送信
素子5から出力された送信パルス信号の送信タイミング
は同期パルス出力部2から出力されたトリガ信号の出力
タイミングと同期している、つまり送信タイミングはず
れていないと判断されて運用観測ステップ4の動作に移
行し、ドップラ速度が零以外と判定された場合には送信
素子5から出力された送信パルス信号の送信タイミング
は同期パルス出力部2から出力されたトリガ信号の出力
タイミングと同期していない、つまり送信タイミングが
ずれていると判断されて送信タイミング補正ステップS
3の動作に移行する。
【0055】送信タイミング補正ステップS3は、零ド
ップラー判定ステップS2において計測されたドップラ
速度、即ち基準ターゲットについての受信パルスの位相
差から送信タイミングのずれを算出しこの送信タイミン
グのずれに応じて送信パルス信号の送信タイミングを補
正するステップである。このステップでは、まずパルス
同期算出部14がドップラ速度算出部13により算出さ
れた基準ターゲットのドップラ速度に基づいて送信部3
から出力された送信パルス信号の送信タイミングのずれ
を算出し、次にパルス同期算出部14は基準ターゲット
のドップラ速度から算出した送信タイミングのずれに応
じた送信タイミング補正信号を送信タイミング制御部1
に供給する。
【0056】送信タイミング制御部1はパルス同期算出
部14から出力された送信タイミング補正信号に基づい
て送信部3から出力される送信パルス信号の送信タイミ
ングを補正するものであり、具体的には基準ターゲット
のドップラ速度が零と計測されるように同期パルス出力
部2から出力されるプリトリガの出力タイミングをオフ
セットさせることにより送信素子5から出力される送信
パルス信号の送信タイミングを制御する。上述したよう
に、受信パルス信号のサンプリングはマスタトリガの出
力タイミングに基づいてマスタトリガの出力タイミング
同期したサンプリングタイミングにて行われるため、送
信パルス信号の送信タイミングがマスタトリガの出力タ
イミングと同期しておれば受信パルスのサンプリング位
置は各受信パルスにおいて同じ位置とすることができ、
送信素子5の周波数特性に基づいて生じる送信パルス信
号の送信タイミングのずれによる観測精度の劣化を防止
することができる。
【0057】ただし、ドップラ速度算出部13で算出さ
れたドップラ速度とパルス同期算出部14で算出された
送信タイミングのずれとは必ずしも線形の関係にあるも
のではなく、むしろマグネトロン送信管である送信素子
5の周波数特性によればドップラ速度と送信タイミング
のずれとは非線形の関係にあることが多く、本実施形態
では図4に示すように送信タイミング補正ステップS3
で算出された同期パルス出力部2のオフセット量、即ち
送信タイミングの補正量を最小化すべくステップS1乃
至ステップS3の動作ループを繰り返し行う最小化処理
を行っている(最小化処理については後述する)。
【0058】つまり、1度の基準ターゲットに対するド
ップラ速度の観測によって算出されたドップラ速度に基
づいて送信パルス信号の送信タイミングのずれを補正
し、この補正された送信タイミングの送信パルス信号に
よって再度基準ターゲットのドップラ速度を観測して
も、基準ターゲットのドップラ速度は零とは算出されず
(偶然に零となる場合は除く)、実際には図4に示すよ
うなステップS1乃至ステップS3の動作ループを基準
ターゲットのドップラ速度が零又は零として取り扱える
まで繰り返し行うことにより、送信素子5の周波数特性
の不安定性に基づく送信パルス信号のパルス同期のずれ
を補正する。なお、最小化処理の具体的演算手法(最小
化方法)については、後述するように送信部3に用いる
送信素子のパルス特性等に応じて適宜最適な最小化方法
を選択して補正処理する。このように、基準ターゲット
のドップラ速度が零と計測されるまでS1乃至S3の各
ステップからなる動作ループをくり返しことにより送信
素子5の周波数特性に基づいて生じる送信パルス信号の
送信タイミングのずれが防止される。
【0059】そして、零ドップラー判定ステップS2に
おいて基準ターゲットのドップラ速度が零と計測された
場合には、上述したように、運用観測ステップS4に移
行して補正された送信タイミングの送信パルス信号によ
って目標物のドップラ速度の計測が行われる。なお、図
4においては、運用観測ステップS4から基準ターゲッ
ト観測ステップS1に戻るループが形成されている。こ
れは補正された送信タイミングによってしばらくの間目
標物のドップラ速度の観測を行っていると送信素子5の
内部状態が更に熱などの影響を受けて変化し、送信素子
5の周波数特性及びパルス出力特性も最初の特性と異な
るものとなり、はじめに補正した送信タイミングでは正
確なドップラ速度の計測ができなくなるおそれがあるか
らであり、本実施形態に係る気象レーダ装置では、この
ような問題を防ぐため、補正された送信タイミングで所
定時間目標物のドップラ速度の観測を行った場合、再度
基準ターゲット観測ステップS1に戻り、基準ターゲッ
トのドップラ速度を観測することによって現在目標物に
対して放射している送信パルス信号の送信タイミングが
再度ずれているか否かを確認する動作ループを設けてい
るのである。
【0060】この場合において、再度の基準ターゲット
観測ステップS1では、前の運用観測ステップS4で用
いていた補正された送信タイミングの送信パルス信号に
より基準ターゲットのドップラ速度を観測するようにし
てもよく、補正される前の一定周期のトリガ信号の出力
タイミングに戻しこの出力タイミングに基づく送信タイ
ミングの送信パルス信号により最初から基準ターゲット
のドップラ速度を観測するようにしてもよい。このよう
に、本実施形態に係る気象レーダ装置においては、運用
観測ステップS4から基準ターゲット観測ステップS1
に戻るループを形成して所定時間毎に基準ターゲットに
基づく送信タイミングの補正動作がなされるため、たと
え本実施形態にかかる気象レーダ装置を長時間動作させ
て気象観測を行わせた場合にも観測精度が劣化しない高
精度の気象観測が実現できる。
【0061】次に、図4に示す送信タイミング補正ステ
ップS3における送信タイミングの補正動作について図
5及び図6を用いて詳細に説明する。図5(a)及び図
5(b)は本実施形態に係る気象レーダ装置から基準タ
ーゲット又は目標物に対して放射される送信パルス信号
のパルス特性と送信タイミングの調整内容とを示したパ
ルス特性説明図(上段は振幅特性図、下段は位相特性
図)であり、図5(a)は1発目の送信パルスT1のパ
ルス特性説明図、図5(b)は1発目の送信パルスT1
の出力後に続けて出力された2発目の送信パルスT2の
パルス特性説明図をそれぞれ示す。本実施形態に係る気
象レーダ装置はダブルパルスを用いて気象状況の観測を
行うので、送信部3から出力される送信パルス信号は、
図5(a)及び図5(b)に示すような一対のパルスか
ら構成され、図5(a)及び図5(b)に示すように第
1の送信パルスT1と第2の送信パルスとT2からなる
一対の送信パルス信号を複数回続けて目標物又は基準タ
ーゲットに対して放射させるものである。
【0062】これら複数の送信パルス信号は各パルス特
性は同一のマグネトロン送信管であればほぼ同様な特性
を有するが、上述したとおり、マグネトロンはその気象
レーダ装置の設置場所等の使用条件に応じて内部状態が
複雑に変化するものであり、本実施形態ではこれら複数
の送信パルス信号に対応した複数の受信パルス信号につ
いてドップラ速度をそれぞれ算出し、これら複数のドッ
プラ速度の平均値により目標物又は基準ターゲットのド
ップラ速度を求めるようにしている。図5(a)及び図
5(b)において、a点は本気象レーダ装置の送信繰り
返し周波数、即ち同期パルス出力部から出力させるトリ
ガ信号の出力タイミングに応じてサンプリングした場合
の受信パルスのサンプリング位置、b点は図4に示すス
テップS1乃至S3による送信タイミングの補正動作に
より調整された後の送信タイミング調整後の受信パルス
のサンプリング位置をそれぞれ示しており、送信部3か
ら出力される送信パルス信号の送信タイミングを何ら調
整しない場合には対応する受信パルス信号の受信パルス
のサンプリング位置、即ち各受信パルスの位相測定位置
(以下、サンプリング位置という。)は送信素子5の周
波数特性に基づくパルス立ち上がり誤差(バイアス誤
差)による影響を受けて互いにずれた位置(a点)とな
っている。
【0063】従って、このような(a点の)状態の受信
パルス信号から基準ターゲットのドップラ速度を算出し
たとしても、受信パルス信号からドップラ速度を算出し
たとしても各受信パルスのサンプリング位置は図5
(a)及び図5(b)に示すような互いに時間的に前後
にずれた位相測定位置となり、現実のドップラ速度は零
であるにもかかわらず、1発目の送信パルスT1の位相
値はIa1、2発目の送信パルスT2の位相値はIa2、即
ち受信パルスR1,R2間には位相差(Ia1−Ia2)が
あると判断され、この位相差(Ia1−Ia2)の分だけ基
準ターゲットがドップラ速度を有していると判定され
る。
【0064】そこで、本実施形態では、この基準ターゲ
ットのドップラ速度、即ち基準ターゲットから反射され
返ってきた受信パルス信号の受信パルスの位相差(Ia1
−Ia2)から送信部3から出力された送信パルス信号の
送信タイミングのずれの量(プリトリガのオフセット
量)を算出し、さらにこのプリトリガのオフセットによ
り送信タイミングのずれが最小化するような送信パルス
信号の送信タイミングを補正する補正処理を行うことに
より送信パルス周期がマスタトリガのパルス周期と同期
したものに調整する。最小化処理された、即ち送信タイ
ミングが調整された後の受信パルス信号の各受信パルス
R1,R2のサンプリング位置はそれぞれ図5(a)及
び図5(b)に示すb点の位置となり、送信素子5の周
波数特性に基づいて生じる送信パルス信号の送信タイミ
ングのずれによるドップラ速度の観測精度の劣化が防止
される。
【0065】また、図5(a)及び図5(b)下段の位
相特性図にも示されているように、送信部3にマグネト
ロン等の自励発振型の送信素子を用いた場合には、受信
パルスの位相変化率が大きいため、a点のサンプリング
位置で受信パルスのサンプリングを行った場合、A/D
変換部(本実施形態では図示省略)のジッタの影響が大
きくなる。従って、時間変化(サンプリングタイミング
のずれ)に対して位相の変化が比較的ゆるやかなb点の
サンプリング位置で受信パルスのサンプリングを行うの
が望ましい(b点であればA/D変換部のジッタによる
サンプリング位置のばらつきが生じてもドップラ位相の
ばらつきは比較的気小さい。)。そこで、本実施形態に
係る気象レーダ装置では、送信パルス信号の送信タイミ
ングのずれを補正するに際し、送信タイミングのずれに
よるサンプリングのジッタによる影響がもっとも少ない
受信パルスのサンプリング位置をも求めて、そのような
サンプリング位置で各受信パルスがサンプリングされる
ように送信パルス信号の送信タイミングの補正制御を行
う。この送信パルス内の位相変化に基づいて生じるドッ
プラ速度の誤差は、ドップラ速度の計測毎にランダム量
となるランダム誤差であり、マグネトロン送信機のよう
な送信機を用いて目標物のドップラ速度を計測する場合
には、上述したような送信タイミングのずれに基づくバ
イアス誤差と送信パルス内の位相変化に基づくランダム
誤差とを考慮して計測しなければ高精度なドップラ速度
の計測は困難であり、本実施形態に係る気象レーダ装置
ではこのランダム誤差が最小になるような受信パルスの
サンプリング位置、即ち位相測定位置をもドップラ速度
算出部13にて算出された基準ターゲットのドップラ速
度から算出して送信パルス信号の送信タイミングの補正
を行うものである。
【0066】次式(7)乃至(9)は本実施形態に係る
気象レーダ装置のパルス同期算出部14において演算さ
れるプリトリガのオフセット量を求めるための算出式で
あり、次式(7)は計測された各ドップラ速度の平均
値、即ちバイアス誤差の算出式、次式(8)は計測され
たドップラ速度の分散値、即ちランダム誤差の算出式、
次式(9)はドップラ速度のバイアス誤差の算出式
(7)に及びドップラ速度のランダム誤差の算出式
(8)にそれぞれ重み付けを行い合成した式をそれぞれ
示す。式(7)により算出されたドップラ速度のバイア
ス誤差は第1の送信パルス及び第2の送信パルスのサン
プルタイミングが送信パルス信号のタイミングのずれに
よって異なることにより生じる誤差であり、式(8)に
より算出されたドップラ速度のランダム誤差はA/D変
換部のジッタによりドップラ速度の計測毎にランダムな
量となるランダム誤差(マグネトロン送信機である送信
素子5から出力された送信パルスは位相変化率が大き
く、サンプリング位置によるジッタの影響が大きい。)
であり、パルス同期算出部14では、ドップラ速度算出
部13により算出された基準ターゲットのドップラ速度
から式(9)の値、即ちドップラ速度のバイアス誤差及
びドップラ速度のランダム誤差が最小化されるようなサ
ンプリングタイミングを求める演算が行われ、このサン
プリングタイミングで受信パルス信号のサンプリングが
できるように、送信タイミング制御部1に送信タイミン
グ補正信号による指示を行う。
【0067】具体的には、図5(a)及び図5(b)に
示すような各パルス特性図の時間軸t,uの各値をそれ
ぞれ変化させながら式(9)が最小化されるように式
(7)より算出されるドップラ速度のバイアス誤差と式
(8)により算出されるドップラ速度のランダム誤差と
を求める問題を解く演算を行う。
【0068】
【数7】
【0069】
【数8】
【0070】
【数9】
【0071】なお、式(9)において、W1は式(7)
により求められるドップラ速度の平均値に対する重み、
w2は式(8)により求められる分散値に対する重みを
それぞれ示し、これら重みW1、w2は使用する装置の特
性(上述した上記パルス特性等)を考慮して式(9)の
最小化の演算が最も効率的にできるような値を選択して
設定するものである。例えば、第1の送信パルスと第2
の送信パルスとの特性の際が小さい場合、ドップラ速度
のバイアス誤差は小さく、ドップラ速度のランダム誤差
のみ大きくなると考えられるが、この場合には、式
(9)においてW1を小さく(あるいは零)として最小
化問題を解けばよい。
【0072】なお、図6は本実施形態でなされるドップ
ラ速度の計測内容を示した観測内容説明図であり、本実
施形態に係る気象レーダ装置においては、補正精度を向
上させるために図6に示すような複数の受信パルス信号
についてのドップラ速度の計測からドップラ速度のバイ
アス誤差とドップラ速度のランダム誤差とにより送信タ
イミングのずれにより生じる基準ターゲットのドップラ
位相差を最小化する処理を行っている。図6に沿って説
明すると、本実施形態ではダブルパルスからなる送信パ
ルス信号をN個(j=N)基準ターゲットに対して放射
させ、これらN個の送信パルス信号に対するN個の受信
パルス信号からそれぞれ算出されたドップラ速度を平均
化してドップラ速度を算出するという動作を、n回(i
=n)繰り返して行い、これらn個のドップラ速度をさ
らに平均化したものを基準ターゲットのドップラ速度と
して計測している。
【0073】これは、同期パルス出力部2から出力され
るトリガ信号の出力タイミングが常に一定であっても、
送信部3から出力される送信パルス信号の送信タイミン
グは、送信素子5の特性及びA/D変換部のサンプルの
ジッタによってj=1のとき、j=nのときでそれぞれ
ばらつきがあるからであり、このような送信素子5の特
性による送信タイミングのずれの平均値と分散値とを求
めるためにN回の計測を行う。これにより、上述したよ
うな送信素子5の周波数特性及びパルス出力特性により
準じた基準ターゲットについてのドップラ速度の平均
値、即ちバイアス誤差とドップラ速度の分散値、即ちラ
ンダム誤差とを算出することができ、送信部3から出力
される送信パルス信号の送信タイミング及び受信パルス
のサンプリング位置をより精度良く補正、調整すること
ができる。
【0074】次に、送信パルス信号のドップラ速度の平
均値とドップラ速度の分散値とを最小化する演算手法の
選択について説明する。上述したように、ドップラ速度
のバイアス誤差に重みをおいた式(9)の演算を行うも
のであれば第1の送信パルスT1又は第2の送信パルス
T2のいずれかのサンプリング位置を調整する1変数
(図5(a)及び図5(b)に示す変数t又はuのいず
れかを調整する。)の最小2乗法を解くことにより送信
パルス信号の送信タイミングのずれを最小化することが
でき、ドップラ速度のバイアス誤差及びドップラ速度の
ランダム誤差の両方に重みをおいた式(9)の演算を行
うものであれば2変数(図5(a)及び図5(b)に示
す変数t及びuの両方を調整する。)の最小2乗法を解
くことにより送信パルス信号の送信タイミングのずれ及
び送信タイミングのずれによる位相差の両方を最小化す
る演算を行うことができる。最小化する問題を解く演算
方法としては、ガウスニュートン法、最急降下法、マル
カート法などがあるが、送信部3に用いられる送信素子
5の周波数特性と処理時間との関係から最適なものを選
択して適用すればよい。
【0075】以上のように、本実施形態に係る気象レー
ダ装置によれば、送信素子5の周波数特性及びパルス出
力特性によって生じる送信パルス信号の送信タイミング
のずれを基準ターゲットのドップラ速度に基づいて算出
し補正するようにしたので、目標物のドップラ速度の計
測時には、同期パルス出力部から出力されたトリガ信号
の出力タイミングと同期した送信タイミングの送信パル
ス信号を目標物に対して放射させることができ、目標物
から反射され返ってきた受信パルス信号の受信パルスの
サンプリング位置を各受信パルスにおいて同じサンプリ
ング位置とすることができるので、この送信パルス信号
の送信タイミングのずれに基づいて生じる各受信パルス
相互のサンプリング位置のずれを防止することができ、
マグネトロン送信管のような送信素子を用いた気象レー
ダ装置においても観測精度が劣化しない高い観測精度に
て気象状況の観測が実現できる。
【0076】また、図4に示すように、送信パルス信号
の送信タイミングを補正し受信パルスのサンプリング位
置を調整した後においても、定期的に基準ターゲットに
よる送信タイミングの補正動作(図4に示すステップS
1乃至S3)を繰り返して実行するように構成されてい
るので、運用観測ステップS4を長時間実行することに
よる送信素子5の内部状態の変化に対しても追従して送
信パルス信号の送信タイミングを補正することができ、
長時間の気象観測に対しても観測精度が劣化しない高い
観測精度の気象レーダ装置を得ることができる。
【0077】実施形態.2 次に本発明の他の実施形態について図7を用いて説明す
る。図7は本発明の他の実施形態である気象レーダ装置
を示すブロック構成図である。上述した実施形態.1で
は基準ターゲットとしてドップラ速度が零である物体、
即ちドップラ速度観測時において相対的に移動しない建
築物、海面、山の斜面等の固定目標物などを利用して送
信パルス信号の送信タイミングを補正するものについて
説明したが、これら基準ターゲットはそのような固定目
標物等でなくてもよく、図7に示したように、装置内部
又は外部に設けられた遅延・反射手段により構成しても
よい。
【0078】図7において、18は本実施形態に係る気
象レーダ装置内部又は外部に設けられた遅延・反射手
段、19は図4の送信タイミング補正ステップS3にお
いて遅延・反射手段18側に接続され、運用観測ステッ
プS4においては送受信アンテナ部7側に接続が切り換
えられる第2のスイッチ手段である。遅延・反射手段1
8としては遅延素子とこれに接続された反射終端とによ
り構成してもよく、反射終端を設けずケーブル等により
構成された伝送路を所定時間伝送させて遅延した送信パ
ルス信号を第2のスイッチ手段18側に戻すようにして
もよい。また、図中、上記実施形態と同一符号は同一又
は相当部分を示し、詳細な説明については省略する。な
お、本実施形態においても、実施形態.1と同様に運用
観測ステップS4が所定時間継続されると基準ターゲッ
ト観測ステップS1に戻り、送信パルス信号の送信タイ
ミングに再度ずれが生じていないか確認を行う。その場
合、運用観測ステップS4から基準ターゲット観測ステ
ップS1に装置の動作が移行すると第2のスイッチ手段
18は例えば送信タイミング制御部1などの制御手段を
介して送受信アンテナ部7側から遅延・反射手段18側
に接続が切り換えられる。
【0079】本実施形態に係る気象レーダ装置によれ
ば、気象レーダ装置の設置場所、観測環境等により制限
されず、常に基準ターゲットのドップラ速度を計測する
ことができ送信パルス信号の送信タイミングを補正でき
る。通常、ドップラ速度の計測においては一つの受信パ
ルス中に含まれる反射物の反射エコーからその反射物の
ドップラ速度を算出するのであるが、例えば、地形エコ
ー(海、山など)を基準ターゲットとして図4に示す基
準ターゲット観測ステップS1を実行するような場合に
おいて、基準ターゲットの周りに基準ターゲット以外の
雨、霧などの対象物が存在していると、基準ターゲット
から反射された受信パルス信号中にそれら基準ターゲッ
ト以外の対象物からのエコーが混入し、基準ターゲット
以外の反射エコーが混入した受信パルス信号の受信パル
スから基準ターゲットのドップラ速度を算出することに
なり、基準ターゲットのドップラ速度の観測精度を劣化
させるという問題がある。これに対し、本実施形態に係
る気象レーダ装置によれば、基準ターゲット以外の反射
エコーが基準ターゲットからの受信パルスに混入される
という状況を回避することができ観測状況によって基準
ターゲット観測ステップS1の動作が妨げられることが
なく、観測精度の劣化しない高い観測精度の気象レーダ
装置を構成することができるので、本実施形態に係る気
象レーダ装置のメリットは大きい。
【0080】実施形態.3 次に本発明の他の実施形態について図8を用いて説明す
る。上記実施形態.1及び2に係る気象レーダ装置で
は、上述の特開平3−54495号公報に記載のレーダ
装置のように受信部に位相検波処理部を有し、高精度の
水晶発振器を設けてビデオ信号を得るような処理を行っ
ているが、本実施形態に係る気象レーダ装置ではそのよ
うな位相検波によるビデオ信号を得ることなく直接受信
パルス信号から目標物のドップラ速度を算出するという
ものである。図8は本実施形態に係る気象レーダ装置に
用いられる受信部20の構成を示したブロック構成図で
あり、図8において、21は送受信アンテナ部7を介し
て受信され混合器10により中間周波に変換された受信
ビデオ信号を位相検波処理せず直接にディジタル信号に
変換する高速A/D変換部、22は高速A/D変換部2
1により高速A/D変換された受信パルス信号をディジ
タル的に位相検波処理するディジタル位相検波処理部で
あり、高速A/D変換部21は受信ビデオ信号の周波数
よりも高速な周波数で受信ビデオ信号を時系列にA/D
変換する。なお、本実施形態に係る気象レーダ装置の他
の構成要素は図1又は図7に示す気象レーダ装置と同様
であり、本実施形態は例えば図1又は図7に示す気象レ
ーダ装置の受信部11を図13に示す受信部20と置き
換えて実施される。
【0081】本実施形態に係る気象レーダ装置において
は、送受信アンテナ部7を介して受信した受信パルス信
号は高速A/D変換部21によって直接高速サンプリン
グされ、またパルス同期のずれ、即ち送信パルス信号の
送信タイミングのずれは方向性結合器17を介して取り
出した各送信パルスの振幅波形の計測時間差から算出す
る。本実施形態に係る気象レーダ装置によれば、送信部
3から出力された送信パルスについてサンプルされた各
送信パルスの振幅波形の位置のずれに基づいてパルス同
期のずれを算出するようにしたので、図5(a)及び
(b)の下段に示したような位相特性図から受信パルス
のドップラ位相差を求める必要がなく、上記実施形態の
ようなランダム誤差を考慮した送信パルス信号の送信タ
イミングの補正が不要となる。また、本実施形態によれ
ば、従来のレーダ装置のように中間周波に変換された受
信パルス信号を位相検波することなく直接ディジタル信
号に変換するので、ハード的構成の位相検波処理部を要
しない装置構成が小型化された気象レーダ装置を得るこ
とができる。
【0082】実施形態.4 次に本発明の他の実施形態について図9を用いて説明す
る。上述した各実施形態に係る気象レーダ装置は、いず
れもドップラ速度算出部13により算出された基準ター
ゲットのドップラ速度から式(9)の値を最小化するよ
うな式(7)、式(8)の値を求める演算をパルス同期
算出部14において行うことにより、送信パルス信号の
送信タイミングを補正し目標物のドップラ速度を計測す
るというものであったが、計測された基準ターゲットの
ドップラ速度と送信パルス信号の送信タイミングのずれ
との関係とを考慮せず、ドップラ速度算出部13により
算出された基準ターゲットのドップラ速度をそのままド
ップラ速度の較正値としてメモリ等に記憶しておき、こ
のドップラ速度の較正値によって実際に計測された目標
物のドップラ速度を較正するようにしてもよい。本実施
形態によれば、上述したようなドップラ速度のランダム
誤差についてはその影響を低減することが困難であるも
のの、ドップラ速度のバイアス誤差、即ちマスタトリガ
の出力タイミングに対する送信パルス信号のパルス同期
のずれ、即ち送信タイミングのずれに基づくドップラ速
度の観測精度の劣化は大幅に低減できる。
【0083】図9は本実施形態による気象レーダ装置を
示すブロック構成図であり、図9において、23はドッ
プラ速度算出部13で算出された基準ターゲットのドッ
プラ速度をパルス同期算出部14を介して記憶するドッ
プラ速度較正部、24はドップラ速度較正部23が設け
られ、このドップラ速度較正部23に記憶されたドップ
ラ速度の較正値によりドップラ速度算出部13で算出さ
れた目標物のドップラ速度の較正処理を行うドップラ速
度処理部であり、本実施形態のパルス同期算出部14は
ドップラ速度算出部13で算出されたドップラ速度のう
ち基準ターゲットについてのドップラ速度をドップラ速
度の較正値としてドップラ速度較正部23に記憶させる
機能を有する。なお、本実施形態においては、図4に示
すような基準ターゲット観測ステップS1において計測
した基準ターゲットのドップラ速度がそのままドップラ
速度の較正値としてドップラ速度較正部23に記憶さ
れ、目標物のドップラ速度を計測する運用観測ステップ
S4においてはこのドップラ速度較正部23に記憶され
たドップラ速度の較正値によってドップラ速度算出部1
3で算出された目標物のドップラ速度を較正する処理が
行われる。そして、この較正されたドップラ速度を目標
物のドップラ速度として表示部16に表示させる等種々
の信号処理が行われる。なお、図中、上記実施形態と同
一符号は、同一又は相当部分を示し、これらについての
詳細な説明については省略する。
【0084】本実施形態に係る気象レーダ装置によれ
ば、基準ターゲットについてドップラ速度を計測しその
計測された基準ターゲットのドップラ速度をドップラ速
度の較正値として記憶手段に記憶するようにしたので、
ドップラ速度のバイアス誤差が大幅に低減できると共
に、図4に示すような上記実施形態の零ドップラー判定
ステップS2及び送信タイミング補正ステップS3が不
要となり、上記各実施形態の気象レーダ装置のように基
準ターゲットのドップラ速度が零と判定されるまで何度
もドップラ速度を計測するという上述したような最小化
処理に要する時間が大幅に低減できる。本実施形態の実
施が有効な場合としては、送信素子5の周波数特性によ
るドップラ速度のランダム誤差が小さくその低減が不要
と判断される場合又は送信素子5の周波数特性によって
ランダム誤差の低減が不可能(送信パルス内の位相の時
間変化率が線形の場合、どの位置でサンプリングされて
もジッタによるドップラ位相の測定誤差(ランダム誤
差)は同じ値となるためこのようなランダム誤差の補正
は不要である。)と判断されるような場合等である。
【0085】実施形態.5 次に本発明の他の実施形態について図10及び図11を
用いて説明する。上記実施形態、例えば実施形態.1又
は2による送信タイミングの補正動作においては、ドッ
プラ速度の観測原理を利用して基準ターゲットについて
測定した基準ターゲットのドップラ位相差から送信部3
から出力される送信パルス信号の送信タイミングのずれ
を算出するものであったが、本発明の主旨は、要は受信
パルス信号のサンプリングタイミングと送信パルス信号
の送信タイミングとの同期をとることによりマグネトロ
ン送信機のような周波数特性の不安定な送信素子を用い
てもドップラ速度の観測精度が劣化しない気象レーダ装
置を得るところにあり、他にパルス同期のずれを算出す
る手段があればそのような手段によりパルス同期のずれ
を算出してもよい。また、上記実施形態.1乃至3にお
いては、算出されたパルス同期のずれに基づいて送信部
3から出力される送信パルス信号の送信タイミングを補
正するものであったが、送信パルス信号の送信タイミン
グは補正せず、受信部におけるサンプリングタイミイン
グを調整することにより送信部3から出力された送信パ
ルス信号の送信タイミングと受信部における受信パルス
信号のサンプリングタイミングとを同期させるようにし
てもよい。
【0086】図10は本実施形態に係る気象レーダ装置
を示すブロック構成図であり、図10において、25は
図1又は図7に示す気象レーダ装置の受信部11に相当
し、その内部構成を詳細に示した受信部、26は送受信
アンテナ部7を介して受信した受信パルス信号からIチ
ャネル及びQチャネルの各受信ビデオ信号を取り出す処
理を行う位相検波処理部、27は位相検波処理部26に
よって取り出された受信ビデオ信号をディジタル信号に
変換するA/D変換部、28はプリトリガが出力された
時点から対応する送信パルスが出力される時点までに要
した時間を計測し、この時間とプリトリガが出力された
時点からマスタトリガが出力されるまでに要した時間
(この時間は観測条件に基づいて予め設定された本装置
の送信繰り返し周波数、即ち送信パルス周期(既知)で
ある。)との時間差から送信部3から出力された送信パ
ルス信号の送信タイミングのずれを検出するパルス同期
検出部であるトリガタイミング検出部(図示されていな
いが、同期パルス出力部2から出力されたプリトリガと
マスタトリガとがトリガタイミング検出部32に入力さ
れている。なお、送信部3から出力された送信パルス信
号の送信タイミングは方向性結合器7により取り出され
た位相引き込み信号から計測する。)、29は送信動作
時において方向性結合器17を介して取り出された位相
引き込み信号をパルス同期検出部28に出力させる第3
のスイッチ手段、30はトリガタイミング検出器28に
より検出された送信タイミングのずれに基づいてA/D
変換部27のサンプリングタイミングを調整するタイミ
ング制御手段である遅延延手段である。
【0087】また、31は遅延手段30により調整され
たサンプリングタイミングに基づいてA/D変換された
受信パルス信号から目標物のドップラ速度を算出する
等、上記実施形態.1及び2に係る気象レーダ装置のド
ップラ速度処理部12に相当したドップラ速度の処理を
行うドップラ速度処理部であり、ドップラ速度算出部1
3はこのA/D変換部27によりサンプリングされたデ
ィジタルのサンプリング信号からドッ目標物等のドップ
ラ速度を算出する。なお、図中、上記実施形態と同一符
号は同一又は相当部分を示し、これらについての具体的
説明については省略する。
【0088】次に本実施形態に係る気象レーダ装置の動
作、特にA/D変換部27のサンプリングタイミングの
補正動作について図11を用いて詳細に説明する。図1
1はA/D変換部27のサンプリングタイミングの補正
動作を説明するためのタイムチャート図である。本実施
形態において、送信パルス信号の送信タイミングのずれ
とは、同期パルス出力部2から出力されたマスタトリガ
の出力タイミングと送信部3から出力された送信パルス
の出力タイミングとが非同期の状態で出力されている場
合における送信パルスとマスタトリガパルスとの出力タ
イミングの時間差をいうものである。
【0089】プリトリガが出力されてからマスタトリガ
が出力されるまでの時間が常に一定であるため、プリト
リガが同期パルス出力部2から出力された時点からこの
プリトリガに対応する送信パルスが出力された時点まで
の時間を計測すれば、この送信パルスの送信タイミング
のずれを算出することが可能となり、本実施形態ではこ
のようにして算出された送信パルス信号の送信タイミン
グのずれに基づいて受信パルス信号のサンプリングタイ
ミングを制御する。図11において、図11(b)は同
期パルス出力部2から出力された第1のプリトリガ及び
第2のプリトリガの出力タイミング、図11(a)は図
11(b)のプリトリガに応じて送信素子5から出力さ
れた第1の送信パルス及び第2の送信パルスの出力タイ
ミング、図11(c)及び図11(f)は図11(a)
に示す各送信パルスの出力レベルをそれぞれ検出して第
1及び第2の送信パルスの各送信タイミングを算出する
様子を示したもの、図11(d)及び図11(g)は図
11(b)に示す各プリトリガが出力された時点から図
11(a)に示す各送信パルスが出力された時点までに
要した時間をカウンタ等の計測手段で計測し、この送信
パルスが出力された時点までに要した時間から送信パル
ス信号の送信タイミングのずれを算出して、遅延手段2
9からA/D変換部27に対して出力するサンプリング
タイミング信号の出力タイミングを示すものである。
【0090】即ち、本実施形態では、トリガタイミング
検出部29で算出された上述の遅延時間により送信部3
から出力された送信パルス信号の送信タイミングのずれ
を計測するものであり、この遅延時間(TL1、TL2)
に基づいてA/D変換部27によるサンプリングタイミ
ングを制御する。具体的には、トリガタイミング検出部
28で算出された第1及び第2の送信パルスの上述の遅
延時間(TL1、TL2)から送信素子5から出力される
送信パルス信号の送信タイミングのずれを算出し、この
算出された送信タイミングのずれの分、A/D変換部2
7による送信パルス及び受信パルスのサンプリングタイ
ミングを前後に遅延させるため、A/D変換部27のサ
ンプリングタイミングを遅延手段29からのサンプリン
グタイミング信号によって遅延制御することにより送信
パルス信号及び受信パルス信号のサンプリング位置を各
送信パルス及び各受信パルスにおいて相互に同じ位置と
させるものである。
【0091】本実施形態によれば、上記実施形態.1乃
至4で説明したような基準ターゲットについてのドップ
ラ速度から送信パルス信号の送信タイミングのずれを算
出することなく送信パルス信号のパルス同期のずれを補
正することができ、マグネトロン送信機のような周波数
特性が不安定な送信機を用いた気象レーダ装置において
も各受信パルスのサンプリング位置を各送信パルス及び
各受信パルスにおいて相互に同じ位置に調整し、観測精
度の劣化が少ない高精度のドップラ速度の観測ができる
気象レーダ装置を得ることができる。
【0092】また、本実施形態及び上記実施形態2.に
係る気象レーダ装置によれば、観測環境に拘わらず送信
素子5の周波数特性によるパルス同期のずれを補正して
観測精度の劣化の少ないより高精度な目標物のドップラ
速度の観測ができるので、例えばこのような気象レーダ
装置を自動車等の移動体に載置した車載型の気象レーダ
装置として目標物のドップラ速度を観測するようにして
もよい。このような車載型の気象レーダ装置による利点
は気象レーダ装置の設置が困難な観測場所において目標
物のドップラ速度の観測が可能となることであり、また
1台の気象レーダ装置によって複数の観測場所における
目標物のドップラ速度の観測が可能となるところにあ
る。なお、気象レーダ装置を載置する手段としては、通
常の固定手段で移動体上に固定してもよいし、着脱可能
な載置手段を用いてもよい。
【0093】実施形態.6 次に本発明の他の実施形態について図12及び図13を
用いて説明する。実施形態.5では、プリトリガが出力
された時点から対応する送信パルスが出力されるまでの
遅延時間を計測し、この遅延時間に基づいて送信パルス
信号の送信パルスのサンプリングの位置及び受信パルス
信号の受信パルスのサンプリングの位置が各送信パルス
及び各受信パルスにおいて同じ位置となるように制御し
て送信部3から出力される送信パルス信号の送信タイミ
ングのずれによるドップラ速度の観測精度の劣化を防止
するようにしたが、更に他の方法により送信タイミング
のずれを求めて送信パルス信号の送信パルスのサンプリ
ングの位置及び受信パルス信号の受信パルスのサンプリ
ングの位置が各送信パルス及び各受信パルスにおいて相
互に同じ位置となるようにタイミング制御してもよい。
本実施形態は、方向性結合器17によって取り出された
基準パルス信号からサンプリング開始のタイミングを検
出し、検出されたサンプリング開始のタイミングに基づ
いてA/D変換部27による送信パルスと受信パルス信
号のサンプリングを行うものである。
【0094】図12は本実施形態に係る気象レーダ装置
を示すブロック構成図であり、図12において、32は
送信動作時において、方向性結合器17により取り出さ
れた位相引き込み信号が入力され、入力された各送信パ
ルス(位相引き込み信号は送信パルス信号の電力の一部
分)の任意の測定位置に出力レベルを検出するパルス同
期検出部であるトリガタイミング検出器、33は方向性
結合器17により取り出された基準パルス信号のみをト
リガタイミング検出器31に入力させ、送受信アンテナ
部7を介して受信した受信パルス信号はトリガタイミン
グ検出器31に入力させないようにその接続が切り換え
られる第3のスイッチ手段(上記実施形態5.に示した
第3のスイッチ手段に相当する。)、34はトリガタイ
ミング検出器32にて検出された基準パルス信号の送信
パルスの出力レベルからその送信パルスの例えばピーク
出力レベルに達するまでの時間分A/D変換部27によ
るサンプリングタイミングを遅延させるタイミング制御
手段である遅延手段、35は遅延手段34によって制御
されたサンプリングタイミングでA/D変換された受信
パルス信号の受信パルスから目標物のドップラ速度を算
出する等、上記実施形態.5に係る気象レーダ装置のド
ップラ速度処理部31とほぼ同様の処理を行うドップラ
速度処理部である。 なお、図中、上記実施形態と同一
符号は同一又は相当部分を示し、これらについての具体
的説明については省略する。
【0095】次に本実施形態に係る気象レーダ装置の動
作、特にA/D変換部27のサンプリングタイミングの
補正動作について図13を用いて詳細に説明する。図1
3は本実施形態に係る気象レーダ装置を構成するA/D
変換部27のサンプリングタイミングの補正動作を説明
するためのタイムチャート図である。図13において、
図13(b)は方向性結合器17により取り出され混合
器10、位相検波処理部28を介して検出された基準パ
ルス信号の第1の送信パルス及び第2の送信パルスの送
信タイミング、図13(a)は図13(b)に示す第1
及び第2の送信パルスに対応し同期パルス出力部2から
出力された第1のプリトリガ及び第2のプリトリガの出
力タイミング、図13(c)は図13(b)に示す各送
信パルスの出力レベルの検出タイミングを示したもので
あり、トリガタイミング検出部32ではある設定された
検出レベルを用いて基準パルス信号の送信パルスを検出
し、検出時刻を示すトリガ信号を遅延手段34に出力す
る。
【0096】図13(d)はトリガタイミング検出部3
1によって出力された送信パルス検出時刻を示すトリガ
信号を遅延時間に基づいて遅延手段34がA/D変換部
27に対して出力するマスタトリガ信号(以下、マスタ
トリガという。)の出力タイミング、図13(e)は遅
延手段34から出力されたマスタトリガに基づいてA/
D変換部27においてサンプリングされる送信パルス信
号及び受信パルス信号のサンプリングタイミングをそれ
ぞれ示したものである。本実施形態によれば、目標物に
対して放射した送信パルス信号から方向性結合器17に
より取り出した基準パルス信号の送信パルス波形からマ
スタトリガを作成し、このマスタトリガによってA/D
変換部27の受信パルス信号に対する受信パルスのサン
プリングタイミングを制御するようにしたので、上記各
実施形態に示すように基準ターゲットに対するドップラ
速度の計測等のように事前のドップラ速度の計測を実施
することなく、送信素子5の周波数特性及びパルス出力
特性による送信パルス信号の送信タイミングのずれを補
正することができ、受信した受信パルス信号の受信パル
スのサンプリング位置が各受信パルスにおいて相互に同
じ位置に調整して、観測精度の劣化がなく高い観測精度
を有する気象レーダ装置を得ることができる。
【0097】実施形態.7 次に本発明のさらに他の実施形態について図14を用い
て説明する。上記実施形態.6では基準パルス信号から
検出した送信パルスの出力レベル検出位置からピーク出
力レベルまでに要する遅延時間に基づいて受信部25の
A/D変換部27のサンプリングタイミングを補正する
ことにより、送信パルス信号の送信タイミングのずれに
よる受信パルス信号の受信パルスのサンプリング位置の
ずれを防止し、各受信パルスのサンプリング位置が相互
に同じ位置となるように調整したが、さらに上記実施形
態.1による気象レーダ装置のように基準ターゲットに
ついてドップラ速度を算出し、この基準ターゲットのド
ップラ速度から送信パルス信号の送信タイミングのずれ
を算出し、このドップラ速度、即ち受信パルスの位相差
から求めた送信パルス信号の送信タイミングのずれに基
づいて遅延手段37の遅延量を設定するようにしても良
い。
【0098】図14は本実施形態に係る気象レーダ装置
を示すブロック構成図であり、図14において、36は
ドップラ速度算出部13により算出された基準ターゲッ
トのドップラ速度に基づいて送信部3から出力された送
信パルス信号の送信タイミングのずれを算出しこの送信
タイミングに応じた遅延量を後述のタイミング制御手段
である遅延手段38に指示して遅延手段38のA/D変
換部27に対するサンプリングタイミングを調整する遅
延調整手段、37は遅延調整手段36が設けられ、目標
物又は基準ターゲットのドップラ速度を算出するドップ
ラ速度算出部13とドップラ速度算出部13で算出され
た目標物のドップラ速度をモニタ等の表示部16に表示
させるためのデータ処理を行うデータ処理部15等が設
けられたドップラ速度処理部である。また、38はトリ
ガタイミング検出部32(以下、検出部という。)によ
り検出された遅延時間及び遅延調整手段36により指示
された遅延量に基づいてA/D変換部27のサンプリン
グタイミングが受信パルス信号の受信パルスのサンプリ
ング位置が相互に同じ位置となるようにA/D変換部2
7のサンプリングタイミングを調整する遅延手段であ
る。なお、図中、上記実施形態と同一符号は、同一又は
相当部分を示し、これらについての具体的説明について
は省略する。
【0099】本実施形態に係る気象レーダ装置では、位
相引き込み信号から検出された送信パルス信号の送信タ
イミングのずれに基づいて求めた送信パルスの遅延時間
に加え、さらにドップラ速度算出部13において算出さ
れた基準ターゲットのドップラ速度に基づいてA/D変
換部27のサンプリングタイミングを制御するようにし
たので、上記実施形態.6による気象レーダ装置よりも
さらに観測精度の高いドップラ速度の計測が実現でき
る。
【0100】実施形態.8 上述した各実施形態に係る気象レーダ装置は、いずれも
粒径が数十μm以下の細かい雲粒、霧などについての気
象状況を観測するような、例えばKa帯、ミリ波帯の気
象レーダ装置を想定したものであり、このような気象レ
ーダ装置による気象状況の観測に適した観測方式である
ダブルパルス観測を行う気象レーダ装置について説明す
るものであったが、本発明は例えばセンチ波帯(L−バ
ンド帯:λ=30cm、S−バンド帯:λ=10cm、
C−バンド帯:λ=5cm、X−バンド帯:λ=3c
m)の気象レーダ装置においても利用される連続パルス
を用いた連続パルス観測を用いた気象レーダ装置におい
ても適用可能なものであり、このような連続パルス観測
を行う気象レーダ装置に適用されても上記実施形態にお
いて説明したと同様な効果を奏することができる。
【0101】例えば、連続パルス観測の場合、FFTに
よる周波数解析を行うことにより複数の観測対象につい
ての同時気象観測が技術的に可能であり、上記実施形
態.2において説明した観測状況、観測対象等の観測条
件により基準ターゲットのドップラ速度の計測が妨げら
れるという問題が生じても、これらFFTで得られた複
数の振幅信号を分離処理することで、基準ターゲットの
ドップラ速度の観測を実現することができるというメリ
ットがある。本実施形態のように連続パルスを用いた連
続パルス観測の気象レーダ装置においては、送信パルス
が連続的に出力されるために送信素子5の内部状態の変
化がダブルパルス観測のように送信パルスが断続的に出
力される方式のものに比べて安定しており、ドップラ速
度の観測精度の劣化もダブルパルス観測よりも大きくは
ないが、送信部3から出力される送信パルスの位相特性
は図5示すような特性を有するものであり、位相特性の
傾きの大きな点でサンプルが行われる場合、わずかな送
信タイミングのずれによっても位相差が大となるため本
実施形態においても式(9)を最小化するようなドップ
ラ速度の平均値:式(7)及び送信タイミングのずれに
よる位相差の分散値:式(8)の値を求める演算を行
う。なお、この場合、ダブルパルス観測のものよりも送
信素子5の内部状態が安定しており、式(8)に重みを
おいた式(9)の最小化問題を解くようにしてもよい。
【0102】
【発明の効果】以上のように、請求項1項の発明によれ
ば、送信部から出力された複数パルスからなる送信パル
ス信号を目標物に対して放射し、この目標物から反射さ
れた受信パルス信号から上記目標物のドップラ速度を算
出する手段を備えた気象レーダ装置において、基準ター
ゲットのドップラ速度を算出し、この基準ターゲットの
ドップラ速度に基づいて上記基準ターゲットのドップラ
速度が零となるように上記送信部から出力される上記送
信パルス信号の送信タイミングを補正するようにしたの
で、マグネトロン送信機のようにきわめて周波数特性の
不安定な送信機を用いたとしても、受信パルス信号の受
信パルスのサンプリング位置が各受信パルスにおいて相
互に同じ位置となり、送信パルス信号の送信タイミング
のずれ、いわゆるバイアス誤差によるドップラ速度観測
誤差の劣化のない高精度なドップラ速度の観測ができる
気象レーダ装置を得ることができる。
【0103】また、請求項2項の発明によれば、複数パ
ルスの送信パルス信号を出力する送信部と、上記送信パ
ルス信号を目標物に対して放射し反射された上記目標物
からの受信パルス信号を受信する送受信アンテナ部と、
この送受信アンテナ部により受信された上記受信パルス
信号を位相検波する受信部と、この受信部により位相検
波された受信パルスから上記目標物のドップラ速度を算
出するドップラ速度算出部と、このドップラ速度算出部
により算出された基準ターゲットのドップラ速度から上
記送信パルス信号のパルス同期のずれを算出するパルス
同期算出部と、このパルス同期算出部により算出された
上記パルス同期のずれに基づいて上記基準ターゲットの
ドップラ速度が零となるように上記送信部から出力され
る上記送信パルス信号の送信タイミングを補正する送信
タイミング制御部とを設けたので、マグネトロン送信機
のようにきわめて周波数特性の不安定な送信機を用いた
としても、受信パルス信号の受信パルスのサンプリング
位置が各受信パルスにおいて相互に同じ位置となり、バ
イアス誤差によるドップラ速度観測誤差の劣化のない高
精度なドップラ速度の観測ができる気象レーダ装置を得
ることができる。
【0104】また、請求項3項の発明によれば、上記受
信パルス信号の受信パルス内の位相変化率が比較的ゆる
やかな位相測定位置において上記目標物のドップラ速度
を算出するようにしたので、さらに受信パルス信号のサ
ンプリング時のジッタにより生じる誤差、いわゆるラン
ダム誤差によるドップラ速度観測誤差の劣化のない高精
度なドップラ速度の観測ができる気象レーダ装置を得る
ことができる。
【0105】また、請求項4項の発明によれば、複数パ
ルスの送信パルス信号を出力する送信部と、上記送信パ
ルス信号を目標物に対して放射し反射された上記目標物
からの受信パルス信号を受信する送受信アンテナ部と、
この送受信アンテナ部により受信した上記受信パルス信
号を高速A/D変換処理する受信部と、この受信部によ
り高速A/D変換処理された複数の受信パルスドッ
プラ位相差から上記目標物のドップラ速度を算出するド
ップラ速度算出部と、上記受信部により高速A/D変換
処理された送信パルスの振幅波形から上記送信パルス信
号のパルス同期のずれを算出するパルス同期算出部と、
このパルス同期算出部により算出された上記パルス同期
のずれに基づいて基準ターゲットのドップラ速度が零と
なるように上記送信部から出力される上記送信パルス信
号の送信タイミングを補正する送信タイミング制御部と
を設けたので、マグネトロン送信機のようにきわめて周
波数特性の不安定な送信機を用いたとしても、受信パル
ス信号の受信パルスのサンプリング位置が各受信パルス
において相互に同じ位置となり、バイアス誤差によるド
ップラ速度観測誤差の劣化のない高精度なドップラ速度
の観測ができる気象レーダ装置を得ることができる。ま
た、位相検波に必要なハード的構成が不要になると共
に、位相特性に基づかずサンプリング波形から送信パル
ス信号の送信タイミングのずれを算出することができ
る。
【0106】また、請求項5項の発明によれば、送信部
から出力された複数パルスの送信パルス信号を目標物に
対して放射しこの目標物から反射された受信パルス信号
から上記目標物のドップラ速度を算出する気象レーダ装
置において、基準ターゲットのドップラ速度をドップラ
速度の較正値として記憶させ、このドップラ速度の較正
値により上記目標物のドップラ速度を較正するようにし
たので、マグネトロン送信機の周波数特性の不安定性に
より生じる送信パルス信号の送信タイミングを補正する
ことができ、観測精度の劣化がなく高精度なドップラ速
度の観測ができる気象レーダ装置を得ることができる。
【0107】また、請求項6項の発明によれば、複数パ
ルスの送信パルス信号を出力する送信部と、上記送信パ
ルス信号を目標物に対して送信し反射された上記目標物
からの受信パルス信号を受信する送受信アンテナ部と、
この送受信アンテナ部により受信された上記受信パルス
信号を位相検波する受信部と、この受信部により位相検
波された受信パルスから上記目標物のドップラ速度を算
出するドップラ速度算出部と、このドップラ速度算出部
により算出された基準ターゲットのドップラ速度がドッ
プラ速度の較正値として記憶されるドップラ速度較正部
とを備え、このドップラ速度較正部に記憶された上記ド
ップラ速度の較正値に基づいて上記ドップラ速度算出部
にて算出された上記目標物のドップラ速度を較正するよ
うにしたので、マグネトロン送信機の周波数特性の不安
定性により生じる送信パルス信号の送信タイミングを補
正することができ、観測精度の劣化がなく高精度なドッ
プラ速度の観測ができる気象レーダ装置を得ることがで
きる。
【0108】また、請求項7項の発明によれば、上記基
準ターゲットが装置内部に設けられた遅延・反射手段に
より構成されたので、基準ターゲットとなる目標物がな
い観測場所においてドップラ速度の観測精度の劣化を防
止して目標物の高精度なドップラ速度の観測ができ、設
置場所等の観測環境に制限されることなく高精度な目標
物のドップラ速度の観測ができる気象レーダ装置を得る
ことができる。
【0109】また、請求項8項の発明によれば、上記送
信パルス信号を複数送信し、これら複数の送信パルス信
号に対応する複数の受信パルス信号から算出されたドッ
プラ速度の平均値と分散値とに基づいて上記送信パルス
信号の送信タイミングを補正するようにしたので、さら
に雲、雨、霧などのようにある程度速度幅を有するよう
な目標物に対してもその目標物の性質に応じた送信パル
ス信号の送信タイミングの補正をすることができ、より
観測精度の劣化が少なく高精度なドップラ速度の観測が
できる気象レーダ装置を得ることができる。
【0110】また、請求項9項の発明によれば、送信部
から出力された複数パルスからなる送信パルス信号を目
標物に対して放射しこの目標物から反射された受信パル
ス信号から上記目標物のドップラ速度を算出する気象レ
ーダ装置において、上記送信パルス信号の一部分を受信
部に取り出す方向性結合器と、この方向性結合器により
取り出された送信パルス信号から上記送信パルス信号の
パルス同期のずれを算出し、このパルス同期のずれに基
づいて上記受信部における上記受信パルス信号のサンプ
リングタイミングを検出するパルス同期検出部と、この
パルス同期検出部により検出された上記サンプリングタ
イミングに基づいて上記受信部のサンプリングタイミン
グを制御するタイミング制御手段とを設けたので、基準
ターゲットとなる目標物がない観測場所において、受信
パルス信号の受信パルスのサンプリング位置を各受信パ
ルスにおいて相互に同じ位置とすることができ、バイア
ス誤差によるドップラ速度観測精度の劣化のない高精度
なドップラ速度の観測ができる気象レーダ装置を得るこ
とができる。
【0111】また、請求項10項の発明によれば、上記
送信パルス信号をダブルパルスにて構成したので、さら
に粒径が数十μm以下の雲粒、霧などの目標物の観測時
において、目標物から反射された受信パルス信号に目標
物以外から反射された多次エコーが混入するという多次
エコーの影響による観測精度の劣化を防止することがで
き、高精度なドップラ速度の観測ができる気象レーダ装
置を得ることができる。
【0112】また、請求項11項の発明によれば、移動
体に載置され、ドップラ速度の観測位置が変更できるよ
うにしたので、基準ターゲットとなる目標物がない観測
場所においてドップラ速度の観測精度の劣化を防止して
目標物の高精度なドップラ速度の観測ができると共に、
さらに1台の装置で複数の観測場所における目標物のド
ップラ速度の観測ができる気象レーダ装置を得ることが
できる
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施形態による気象レーダ装置
を示すブロック構成図である。
【図2】 この発明の一実施形態による気象観測状況を
示す観測状況説明図である。
【図3】 この発明の一実施形態によるドップラ速度の
観測方式及び算出方式を説明するためのドップラ速度計
測説明図である。
【図4】 この発明の一実施形態による気象レーダ装置
の一連の動作を示すフローチャート図である。
【図5】 この発明の一実施形態による気象レーダ装置
の送信部から出力された送信パルス信号のパルス特性を
示すパルス特性図である。
【図6】 この発明の一実施形態によるドップラ速度の
観測内容を示す説明図である。
【図7】 この発明の他の実施形態による気象レーダ装
置を示すブロック構成図である。
【図8】 この発明の他の実施形態による気象レーダ装
置の受信部を示すブロック構成図である。
【図9】 この発明の他の実施形態による気象レーダ装
置を示すブロック構成図である。
【図10】 この発明の他の実施形態による気象レーダ
装置を示すブロック構成図である。
【図11】 図10に示す気象レーダ装置の受信パルス
のサンプリングタイミングを説明するためのタイムチャ
ート図である。
【図12】 この発明の他の実施形態による気象レーダ
装置を示すブロック構成図である。
【図13】 図12に示す気象レーダ装置の受信パルス
のサンプリングタイミングを説明するためのタイムチャ
ート図である。
【図14】 この発明の他の実施形態による気象レーダ
装置を示すブロック構成図である。
【図15】 マグネトロン送信機から出力された送信パ
ルス信号の送信パルスとマスタトリガとの出力タイミン
グを示す出力タイミング説明図である。
【図16】 図15の各送信パルスのパルス特性を示す
パルス特性図である。
【符号の説明】
1 送信タイミング制御部 2 同期パルス出力部 3 送信部 7 送受信アンテナ部 11、20、25、28 受信部 12、24、30、34、36 ドップラ速度処理部 13 ドップラ速度算出部 14 パルス同期算出部 17 方向性結合器 18 遅延・反射手段 21 高速A/D変換部 23 ドップラ速度較正部 27 A/D変換部 28、32 パルス同期検出部 30、34、38 タイミング制御手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平1−100486(JP,A) 特開 平9−61522(JP,A) 特開 昭62−132186(JP,A) 特開 平6−214016(JP,A) 特開 平10−197627(JP,A) 特開 平2−16481(JP,A) 実開 平2−37387(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/95 G01W 1/00 - 1/18

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信部から出力された複数パルスからな
    る送信パルス信号を目標物に対して放射し、この目標物
    から反射された受信パルス信号から上記目標物のドップ
    ラ速度を算出する手段を備えた気象レーダ装置におい
    て、基準ターゲットのドップラ速度を算出し、この基準
    ターゲットのドップラ速度に基づいて上記基準ターゲッ
    トのドップラ速度が零となるように上記送信部から出力
    される上記送信パルス信号の送信タイミングを補正する
    ようにしたことを特徴とする気象レーダ装置。
  2. 【請求項2】 複数パルスの送信パルス信号を出力する
    送信部と、上記送信パルス信号を目標物に対して放射し
    反射された上記目標物からの受信パルス信号を受信する
    送受信アンテナ部と、この送受信アンテナ部により受信
    された上記受信パルス信号を位相検波する受信部と、こ
    の受信部により位相検波された受信パルスから上記目標
    物のドップラ速度を算出するドップラ速度算出部と、こ
    のドップラ速度算出部により算出された基準ターゲット
    のドップラ速度から上記送信パルス信号のパルス同期の
    ずれを算出するパルス同期算出部と、このパルス同期算
    出部により算出された上記パルス同期のずれに基づいて
    上記基準ターゲットのドップラ速度が零となるように上
    記送信部から出力される上記送信パルス信号の送信タイ
    ミングを補正する送信タイミング制御部とを備えたこと
    を特徴とする気象レーダ装置。
  3. 【請求項3】 上記受信パルス信号の受信パルス内の位
    相変化率が比較的ゆるやかな位相測定位置において上記
    目標物のドップラ速度を算出するようにしたことを特徴
    とする請求項1項記載の気象レーダ装置。
  4. 【請求項4】 複数パルスの送信パルス信号を出力する
    送信部と、上記送信パルス信号を目標物に対して放射し
    反射された上記目標物からの受信パルス信号を受信する
    送受信アンテナ部と、この送受信アンテナ部により受信
    した上記受信パルス信号を高速A/D変換処理する受信
    部と、この受信部により高速A/D変換処理された複数
    受信パルスドップラ位相差から上記目標物のドッ
    プラ速度を算出するドップラ速度算出部と、上記受信部
    により高速A/D変換処理された送信パルスの振幅波形
    から上記送信パルス信号のパルス同期のずれを算出する
    パルス同期算出部と、このパルス同期算出部により算出
    された上記パルス同期のずれに基づいて基準ターゲット
    のドップラ速度が零となるように上記送信部から出力さ
    れる上記送信パルス信号の送信タイミングを補正する送
    信タイミング制御部とを備えたことを特徴とする気象レ
    ーダ装置。
  5. 【請求項5】 送信部から出力された複数パルスからな
    る送信パルス信号を目標物に対して放射しこの目標物か
    ら反射された受信パルス信号から上記目標物のドップラ
    速度を算出する気象レーダ装置において、基準ターゲッ
    トのドップラ速度をドップラ速度の較正値として記憶さ
    せ、このドップラ速度の較正値により上記目標物のドッ
    プラ速度を較正するようにしたことを特徴とする気象レ
    ーダ装置。
  6. 【請求項6】 複数パルスの送信パルス信号を出力する
    送信部と、上記送信パルス信号を目標物に対して送信し
    反射された上記目標物からの受信パルス信号を受信する
    送受信アンテナ部と、この送受信アンテナ部により受信
    された上記受信パルス信号を位相検波する受信部と、こ
    の受信部により位相検波された受信パルスから上記目標
    物のドップラ速度を算出するドップラ速度算出部と、こ
    のドップラ速度算出部により算出された基準ターゲット
    のドップラ速度がドップラ速度の較正値として記憶され
    るドップラ速度較正部とを備え、このドップラ速度較正
    部に記憶された上記ドップラ速度の較正値に基づいて上
    記ドップラ速度算出部にて算出された上記目標物のドッ
    プラ速度を較正するようにしたことを特徴とする気象レ
    ーダ装置。
  7. 【請求項7】 上記基準ターゲットが装置内部に設けら
    れた遅延・反射手段により構成されたことを特徴とする
    請求項1項、4項及び5項のいずれかに記載の記載の気
    象レーダ装置。
  8. 【請求項8】 上記送信パルス信号を複数送信し、これ
    ら複数の送信パルス信号に対応する複数の受信パルス信
    号から算出されたドップラ速度の平均値と分散値とに基
    づいて上記送信パルス信号の送信タイミングを補正する
    ようにしたことを特徴とする請求項1項、4項及び5項
    のいずれかに記載の気象レーダ装置。
  9. 【請求項9】 送信部から出力された複数パルスからな
    る送信パルス信号を目標物に対して放射しこの目標物か
    ら反射された受信パルス信号から上記目標物のドップラ
    速度を算出する気象レーダ装置において、上記送信パル
    ス信号の一部分を受信部に取り出す方向性結合器と、こ
    の方向性結合器により取り出された送信パルス信号から
    上記送信パルス信号のパルス同期のずれを算出し、この
    パルス同期のずれに基づいて上記受信部における上記受
    信パルス信号のサンプリングタイミングを検出するパル
    ス同期検出部と、このパルス同期検出部により検出され
    た上記サンプリングタイミングに基づいて上記受信部の
    サンプリングタイミングを制御するタイミング制御手段
    とを備えたことを特徴とする気象レーダ装置。
  10. 【請求項10】 上記送信パルス信号をダブルパルスに
    て構成したことを特徴とする請求項8項及び9項のいず
    れかに記載の気象レーダ装置。
  11. 【請求項11】 移動体に載置され、ドップラ速度の観
    測位置が変更できるようにしたことを特徴とする請求項
    7項又は9項記載の気象レーダ装置。
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