JP3266974B2 - デジタル音響波形の作成装置、デジタル音響波形の作成方法、楽音波形生成装置におけるデジタル音響波形均一化方法、及び楽音波形生成装置 - Google Patents

デジタル音響波形の作成装置、デジタル音響波形の作成方法、楽音波形生成装置におけるデジタル音響波形均一化方法、及び楽音波形生成装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子楽器の音源等とし
て使用され、強度が異なる複数種類のデジタル音響波形
の作成装置及び作成方法、その技術により作成されたデ
ジタル音響波形を用いた楽音波形生成装置におけるデジ
タル音響波形均一化方法、及びその楽音波形生成装置に
関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】PCM
音源方式の電子楽器等においては、自然楽器等を演奏し
て得られる楽音がサンプリングされて量子化される(ア
ナログ/デジタル変換する)ことによって、デジタル音
響波形が得られメモリ等に記憶される。そして、電子楽
器の演奏時には、演奏操作された演奏操作子に割り当て
られた音高に応じた歩進幅で上記デジタル音響波形がメ
モリから読み出されることによって、楽音波形が生成さ
れる。
【0003】ここで、自然楽器を演奏して得られる楽音
の音色は、その音高によって少しずつ異なる。従って、
電子楽器において、1種類のデジタル音響波形から全音
域の楽音波形を発生しようとすると、不自然な音色にな
ってしまう。
【0004】そこで、通常は、それぞれの音域に対応す
る自然楽器音に対応する複数種類のデジタル音響波形が
メモリ等に記憶され、電子楽器の演奏時には、演奏操作
された演奏操作子に割り当てられた音高が含まれる音域
に応じたデジタル音響波形が選択され、その音高に応じ
た歩進幅で選択されたデジタル音響波形がメモリから読
み出されることにより、楽音波形が生成される。
【0005】例えば、電子楽器でピアノ音が発音される
場合、ピアノ音が1乃至半オクターブに1種類ずつサン
プリングされることにより得られる複数種類のデジタル
音響波形がメモリ等に記憶され、電子楽器の演奏時に
は、演奏操作された演奏操作子に割り当てられた音高が
含まれるオクターブに応じたデジタル音響波形が選択さ
れ、その音高に応じた歩進幅で選択されたデジタル音響
波形がメモリから読み出されることにより、ピアノ音の
楽音波形が生成される。
【0006】しかし、上述の場合において、それぞれの
音域に対応する自然楽器音のサンプリング時に、演奏者
が複数の音域で均一の強さで演奏することは非常に困難
であり、サンプリングされた複数種類のデジタル音響波
形の強度が、音域間でばらついてしまうという問題が生
じる。
【0007】そこで、音域間の強度のばらつきを均一化
するための第1の従来技術として、それぞれの音域のサ
ンプリングされたデジタル音響波形の各サンプルに、各
音域に応じて所定の定数を乗算することにより、各音域
のデジタル音響波形の強度を調整するようにしたものが
ある。
【0008】しかし、自然楽器を演奏して得られる楽音
の音色は、その音高によってだけではなく、その演奏強
度によっても異なる。従って、電子楽器において、第1
の従来技術のように、単純にデジタル音響波形の各サン
プルに所定の定数を乗算するだけでは、調整後の強度に
おけるデジタル音響波形の音色がその強度に対応する自
然楽器音の音色と異なってしまい、結果的に、音域間
で、強度のばらつきは均一化されるが音色のバランスが
くずれてしまうという問題点を有している。
【0009】また、音域間の強度のばらつきを均一化す
るための第2の従来技術として、それぞれの音域で強度
の異なる例えば2種類のデジタル音響波形をサンプリン
グして、それぞれの音域で、各音域に対応する2種類の
デジタル音響波形を各音域に応じた混合比率で混合し、
その結果得られる混合波形を各音域のデジタル音響波形
とすることにより、各音域のデジタル音響波形の強度を
調整するようにしたものがある。
【0010】しかし、この第2の従来技術のように、2
種類のデジタル音響波形を単純に混合しただけでは、両
者の波形の位相が異なることに影響されて、2種類の音
色の特性の中間の特性を有する所望の音色のデジタル音
響波形が必ずしも得られるわけではないという問題点を
有している。
【0011】一方、デジタル音響波形の各サンプルに所
定の定数を乗算することによりその強度を調整すること
は、電子楽器において演奏操作子の演奏強度(例えば押
鍵速度又は押鍵強度)に対応させて生成される楽音波形
に強弱を付加させる目的でも行われる。しかし、上述の
ように自然楽器における演奏強度が異なればその結果得
られる楽音の音色も異なってくるため、単純にデジタル
音響波形の各サンプルに所定の定数を乗算するだけで
は、所望の演奏強度に対応する音色を有する楽音波形が
得られない。
【0012】そこで、演奏操作子の演奏強度に対応する
楽音波形を得るための第3の従来技術として、演奏操作
子の演奏強度に応じて、デジタル音響波形の各サンプル
に所定の定数を乗算することによりその強度を調整する
と共に、デジタル音響波形に対して演奏強度によって特
性が変化するデジタルフィルタリング処理をすることに
より、所望の演奏強度に対応する楽音波形を得るように
したものがある。
【0013】しかし、この第3の従来技術では、音色変
化がフィルタリング特性に依存するため、所望の演奏強
度における自然楽器音に対応する音色を有する楽音波形
が必ずしも得られるわけではないという問題点を有して
いる。
【0014】また、演奏操作子の演奏強度に対応する楽
音波形を得るための第4の従来技術として、強度の異な
る例えば2種類のデジタル音響波形をメモリに記憶して
おき、これら2種類のデジタル音響波形を演奏操作子の
演奏強度に応じた混合比率で混合し、その結果得られる
デジタル音響波形を出力することにより、所望の演奏強
度に対応する楽音波形を得るようにしたものがある。
【0015】しかし、この第4の従来技術では、第2の
従来技術の場合と同様、2種類のデジタル音響波形の位
相が異なることに影響されて、2種類の音色の特性の中
間の特性を有する所望の音色のデジタル音響波形が必ず
しも得られるわけではないという問題点を有している。
また、2種類のデジタル音響波形を単純に混合する第4
の従来技術では、2種類のデジタル音響波形の強度より
も強い強度のデジタル音響波形、又は2種類のデジタル
音響波形の強度よりも弱い強度のデジタル音響波形が得
られないという問題点を有している。予め、非常に弱い
強度のデジタル音響波形と非常に強い強度のデジタル音
響波形をサンプリングすることも考えられるが、そのよ
うな強度で自然楽器を演奏することは困難であるため、
現実的ではない。
【0016】本発明の課題は、音域間で強度及び音色の
ばらつきが均一化されたデジタル音響波形の生成を可能
とすると共に、任意の演奏強度における自然楽器音に対
応する音色を有するデジタル音響波形の生成を可能とす
ることにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の態様にお
けるデジタル音響波形の作成装置は、次のような構成を
有する。
【0018】まず、強度の異なるJ種類のデジタル音響
波形xj (n) 、(1≦j≦J、J≧2)がサンプリング
により得られる。ここで、nは、離散時間であって、1
≦n≦Nである。
【0019】次に、デジタル音響波形xj (n) 、(1≦
j≦J)のそれぞれについて、例えば高速フーリエ変換
の演算により得られるフーリエ係数に基づいて、J種類
の振幅スペクトル|Xj (k) |、(1≦j≦J)を算出
する振幅スペクトル算出手段を有する。ここで、kは離
散周波数であって、振幅スペクトルが高速フーリエ変換
によって算出される場合には、1≦k≦Nである。
【0020】続いて、J種類のデジタル音響波形x
j (n) 、(1≦j≦J)のうち、所定の1種類、例えば
1 (n) につき、やはり例えば高速フーリエ変換の演算
により得られるフーリエ係数に基づいて、その位相スペ
クトルarg{X1 (k) }を算出する位相スペクトル算
出手段を有する。ここで、離散周波数kの範囲は、振幅
スペクトルの場合と同じである。
【0021】さらに、振幅スペクトル算出手段によって
算出されたJ種類の振幅スペクトル|Xj (k) |、(1
≦j≦J)に基づいて、補間演算により、任意のM種類
の振幅スペクトル|Xm (k) ′|、(1≦m≦M)を算
出する振幅スペクトル補間手段を有する。
【0022】例えば、元のデジタル音響波形の種類J=
2とすれば、任意の振幅スペクトル|Xm (k) ′|、
(1≦m≦M)は、次式で示される直線補間演算によっ
て算出される。
【0023】
【数1】 |Xm (k) ′|=αm ・|X1 (k) |+(1−αm )・|X2 (k) | ここで、0≦αm ≦1の場合には、振幅スペクトル|X
1 (k) |と振幅スペクトル|X2 (k) |の中間の強度を
有する振幅スペクトル|Xm (k) ′|が算出される。ま
た、|X2 (k) |>|X1 (k) |であって1<αm の場
合には、振幅スペクトル|X2 (k) |より強い強度を有
する振幅スペクトル|Xm (k) ′|が算出される。更
に、|X2 (k) |>|X1 (k) |であってαm <0の場
合には、振幅スペクトル|X1 (k) |より弱い強度を有
する振幅スペクトル|Xm (k) ′|が算出される。
【0024】更に、振幅スペクトル補間手段で算出され
た振幅スペクトル|Xm (k) ′|を有し、位相スペクト
ル算出手段によって算出された所定の1種類の位相スペ
クトル、例えばarg{X1 (k) }を有するデジタル音
響波形xm (n) ′、(1≦m≦M)を作成するデジタル
音響波形作成手段を有する。即ち、次式で示される複素
スペクトルXm (k) ′に基づきフーリエ係数が算出さ
れ、そのフーリエ係数に対して逆フーリエ変換演算が実
行されることによりデジタル音響波形xm (n) ′が作成
される。
【0025】
【数2】 Xm (k) ′=|Xm (k) ′|・exp〔j・arg{X1 (k) }〕 ここで、expは指数演算を示し、exp内の乗数jは
虚数単位を示す。
【0026】以上が本発明の第1の態様の構成である。
なお、この第1の態様におけるデジタル音響波形の作成
装置に対応して、上述の各手段の機能を有するデジタル
音響波形の作成方法を実現することができる。
【0027】次に、本発明の第2の態様におけるデジタ
ル音響波形の作成装置は、次のような構成を有する。ま
ず、第1の態様の場合と同様の振幅スペクトル算出手
段、及び位相スペクトル算出手段を有する。
【0028】そして、振幅スペクトル算出手段によって
算出されたJ種類の振幅スペクトル|Xj (k) |、(1
≦j≦J)のうち任意の振幅スペクトルを有し、位相ス
ペクトル算出手段によって算出された所定の1種類の位
相スペクトル、例えばarg{X1 (k) }を有するデジ
タル音響波形xj (n) ′を作成するデジタル音響波形作
成手段を有する。この手段は、第1の態様におけるデジ
タル音響波形作成手段と同様に、任意の振幅スペクトル
|Xj (k) |及び例えば位相スペクトルarg{X
1 (k) }に対応する次式で示される複素スペクトルXj
(k) ′に基づいてフーリエ係数が算出され、そのフーリ
エ係数に対して逆フーリエ変換演算が実行されることに
よってデジタル音響波形xj (n) ′が作成される。
【0029】
【数3】 Xj (k) ′=|Xj (k) |・exp〔j・arg{X1 (k) }〕 以上が本発明の第2の態様の構成である。なお、この第
2の態様におけるデジタル音響波形の作成装置に対応し
て、上述の各手段の機能を有するデジタル音響波形の作
成方法を実現することができる。
【0030】次に、本発明の第3の態様における楽音波
形生成装置は、次のような構成を有する。まず、本発明
の第1の態様又は第2の態様の構成に基づき作成された
デジタル音響波形xm (n) ′又はxj (n) ′を元のデジ
タル音響波形xj (n) と混合し、又は本発明の第1の態
様又は第2の態様の構成に基づいて作成された複数種類
のデジタル音響波形xm (n) ′又はxj (n) ′を混合す
る波形混合手段を有する。この場合の混合比率は、例え
ば演奏操作子の演奏強度(又は演奏速度)に対応して決
定される。
【0031】そして、その波形混合手段で得られたデジ
タル音響波形に基づき楽音波形を生成する楽音波形生成
手段を有する。次に、本発明の第4の態様は、複数の音
域のそれぞれにおいて、その音域に対応して記憶したデ
ジタル音響波形に基づいて、その音域に対応する楽音波
形を生成する楽音波形生成装置において、音域間のデジ
タル音響波形の強度及び音色を均一化するための方法で
あって、次のような構成を有する。
【0032】まず、複数の音域のそれぞれにおいて、次
のような一連のステップが実行される。即ち、強度の異
なるJ種類のデジタル音響波形xj (n) 、(1≦j≦
J、J≧2)のそれぞれについて、第1の態様の場合と
同様にして、J種類の振幅スペクトル|Xj (k) |、
(1≦j≦J)が算出される。次に、J種類のデジタル
音響波形xj (n) 、(1≦j≦J)のうち所定の1種
類、例えばx1 (n) につき、第1の態様の場合と同様に
して、位相スペクトルarg{X1 (k) }が算出され
る。更に、算出されたJ種類の振幅スペクトル|X
j (k) |、(1≦j≦J)に基づき、第1の場合と同様
に、補間演算によって、任意のM種類の振幅スペクトル
|Xm (k) ′|、(1≦m≦M)が算出される。そし
て、その補間演算により算出されたM種類の各振幅スペ
クトル|Xm (k) ′|、(1≦m≦M)を有し、前述の
算出された所定の1種類の位相スペクトル、例えばar
g{X1 (k) }を有するM種類のデジタル音響波形xm
(n) ′、(1≦m≦M)が、第1の態様の場合と同様に
して作成される。
【0033】次に、複数の音域のそれぞれにおいて、作
成されたM種類のデジタル音響波形xm (n) ′、(1≦
m≦M)のうち所望のものが選択され、その音域に対応
する楽音波形を生成するために記憶される。この選択
は、音域間でデジタル音響波形の強度及び音色が聴覚的
に均一になるように行われる。
【0034】次に、本発明の第5の態様における楽音波
形生成装置は、次のような構成を有する。まず、複数の
音域のそれぞれにおいて、本発明の第4の態様の方法に
よりその音域に対応して例えば2種類ずつ選択されたデ
ジタル音響波形を、例えば演奏操作子の演奏強度(又は
演奏速度)に対応する混合比率で混合する波形混合手段
を有する。
【0035】そして、複数の音域のそれぞれにおいて、
その波形混合手段により得られたデジタル音響波形に基
づきその音域に対応する楽音波形を生成する楽音波形生
成手段を有する。
【0036】
【作用】本発明の第1又は第2の態様では、生成される
デジタル音響波形xm (n) ′又はxj (n) ′は、それぞ
れの位相スペクトルが数2式に示されるように全て同一
であり、例えばarg{X1 (k) }である。
【0037】従って、上述のデジタル音響波形xm (n)
′又はxj (n) ′を使い、本発明の第3の態様で示さ
れる楽音波形生成装置を構成すれば、例えば演奏操作子
の演奏強度(又は演奏速度)に対応して、位相がそろっ
た状態でこれらのデジタル音響波形xm (n) ′又はxj
(n) ′、或いはこれらと元のデジタル音響波形xj (n)
とを混合することによって、楽音波形を生成するための
デジタル音響波形を算出することができる。この結果、
所望の強度で、かつ、例えば2種類の音色の特性の中間
の特性を有する所望の音色のデジタル音響波形を得るこ
とができる。
【0038】また、第1の態様では、前述した数1式の
補間演算で、1<αm 又はαm <0とすることにより、
元のデジタル音響波形xj (n) に対応する振幅スペクト
ル|Xj (k) |より強い強度又は弱い強度の振幅スペク
トル|Xm (k) ′|を有するデジタル音響波形xm (n)
′生成することもできる。
【0039】次に、本発明の第4の態様では、本発明の
第1の態様と同様の、位相がそろったM種類のデジタル
音響波形xm (n) ′、(1≦m≦M)が、複数の音域の
それぞれにおいて作成される。そして、これら音域のそ
れぞれにおいて、作成されたM種類のデジタル音響波形
m (n) ′、(1≦m≦M)のうち所望のものが、音域
間でデジタル音響波形の強度及び音色が聴覚的に均一に
なるように選択され、その音域に対応する楽音波形を生
成するために記憶される。このようにして選択されたデ
ジタル音響波形の音色は、その強度に対応する自然楽器
音の音色を良く近似するものとなっており、音域間で、
強度及び音色のバランスを良く均一化することができ
る。
【0040】更に、音域毎に、作成されたM種類のデジ
タル音響波形xm (n) ′、(1≦m≦M)のうち所望の
2種類以上のものを選択して、そのように選択されたデ
ジタル音響波形を使って本発明の第5の態様で示される
楽音波形生成装置を構成すれば、例えば演奏操作子の演
奏強度(又は演奏速度)に対応して、各音域毎に、位相
がそろった状態で2種類以上のデジタル音響波形を混合
することによって、音域間で強度及び音色のバランスが
とれ、かつ、音域毎に、所望の強度で、かつ、例えば2
種類の音色の特性の中間の特性を有する所望の音色のデ
ジタル音響波形を得ることができる。
【0041】
【実施例】以下、図面を参照しながら本発明の実施例に
つき詳細に説明する。図1は、本発明の実施例の全体構
成図である。
【0042】デジタルオーディオテープレコーダ(DA
T)101は、自然楽器音を録音したテープを再生する
ものであり、ワークステーション102に、デジタルオ
ーディオインタフェース104を介して接続されてい
る。
【0043】ワークステーション102は、デジタルオ
ーディオインタフェース104を介してDAT101か
ら読み込んだ複数の音域のそれぞれに対応する1乃至複
数種類のデジタル音響波形に基づいて、位相がそろった
複数種類のデジタル音響波形を作成し、それをデジタル
オーディオインタフェース104を介してサンプラー1
03に転送する。なお、デジタル音響波形データは、例
えば32kHzのサンプリング周波数でサンプリングさ
れており、例えば約1秒の時間長を有し、従って、例え
ば32768サンプル程のデータ数を有する。そして、
本実施例では、ワークステーション102は、この32
786サンプル(=215)のデータに対して高速フーリ
エ変換(FFT)を実行する。そして、ワークステーシ
ョン102としては、例えば32メガバイト以上のメモ
リ空間を有し、浮動小数点演算を高速に実行可能なもの
が使用される。
【0044】PCM音源機能を有する電子鍵盤楽器であ
るサンプラー103は、転送された各音域(鍵域)のデ
ジタル音響波形を記憶し、押鍵操作に基づいてそのデジ
タル音響波形を発音する。このサンプラー103は、電
子楽器のためのPCM音源波形としてのデジタル音響波
形を作成する目的で使用される。即ち、サンプラー10
3では、複数の音域のそれぞれにおいて、ワークステー
ション102から転送された複数種類のデジタル音響波
形が実際に発音されながら、音域間でデジタル音響波形
の強度及び音色が聴覚的に均一になるように、前述した
複数種類のデジタル音響波形のうち所望のものが選択さ
れる。このようにしてそれぞれの音域で選択されたデジ
タル音響波形が、電子ピアノなどに、各音域の実際の音
源波形として記憶される。
【0045】図2は、ワークステーション102で実行
される機能のブロック図である。DAT101からデジ
タルオーディオインタフェース104を介して転送され
たデジタル音響波形は、データ長調整部201で、例え
ば約1秒の時間長分、即ち、例えば32768サンプル
程のデータとして切り出される。このようなデータとし
ては、強度の異なるJ種類(例えば後述のように2種
類)のデジタル音響波形xj (n) 、(1≦j≦J)が切
り出される。ここで、nは、離散時間であって、1≦n
≦Nである。また、Nの値は、上述したように約327
68である。このN=32768という値は、FFT部
202が高速フーリエ変換演算を効率良く実行するため
に、2のべき乗、即ち、上述の例では、N=32768
=215となるように設定される。更に、クリック音の発
生を防止するために、デジタル音響波形の切出しは、振
幅がほぼ0となるサンプル点で行われる。この場合、N
=32768=215に足りないサンプリング点に対して
は、振幅が0であるサンプルデータが付加される。
【0046】次に、FFT部202は、J種類のデジタ
ル音響波形xj (n) 、(1≦j≦J)のそれぞれに対し
て、高速フーリエ変換演算を実行し、その結果、J種類
の複素スペクトルXj (k) を構成するJ種類のリアル成
分Rj (k) とイマジナリ成分Ij (k) のセットを算出す
る。
【0047】続いて、振幅スペクトル算出部203は、
FFT部202において算出されたJ種類のリアル成分
j (k) とイマジナリ成分Ij (k) のセットに基づき、
J種類の振幅スペクトル|Xj (k) |、(1≦j≦J)
を算出する。ここで、kは離散周波数であって、1≦k
≦Nである。
【0048】また、位相スペクトル算出部204は、F
FT部202で算出されたJ種類の複素スペクトルXj
(k) のうち1種類の複素スペクトル、例えばX1 (k) を
構成するリアル成分R1 (k) とイマジナリ成分I1 (k)
のセットに基づいて、その位相スペクトルarg{X1
(k) }を算出する。ここで、離散周波数kの範囲は、振
幅スペクトルの場合と同じである。
【0049】更に、振幅スペクトル補間部205は、振
幅スペクトル算出部203で算出されたJ種類の振幅ス
ペクトル|Xj (k) |、(1≦j≦J)に基づいて、補
間演算により、任意のM種類の振幅スペクトル|X
m (k) ′|、(1≦m≦M、例えばM=10)を算出す
る。
【0050】加えて、複素スペクトル合成部206は、
振幅スペクトル補間部205で算出された振幅スペクト
ル|Xm (k) ′|を有し、位相スペクトル算出部204
で算出された所定の1種類の位相スペクトル例えばar
g{X1 (k) }を有するM種類の複素スペクトルX
m (k) ′を合成して、それぞれのリアル成分Rm (k) ′
とイマジナリ成分Im (k) ′を算出する。
【0051】そして、逆FFT部207は、上述のM種
類のリアル成分Rm (k) ′とイマジナリ成分Im (k) ′
のセットに対して、それぞれ逆高速フーリエ変換演算を
実行することにより、M種類のデジタル音響波形x
m (n) ′、(1≦m≦M)を作成する。
【0052】上述の機能を構成を有するワークステーシ
ョン102の更に具体的な動作について、図3の動作フ
ローチャートを用いて説明する。なお、この動作フロー
チャートは、ワークステーション102が所定の制御プ
ログラムを実行する動作として実現される。また、以下
の説明では、デジタル音響波形の種類J=2種類として
説明する。
【0053】始めに、DAT101からデジタルオーデ
ィオインタフェース104を介して転送されたデジタル
音響波形は、例えば約1秒の時間長分、即ち、例えば3
2768サンプル程のデータとして切り出される。そし
て、このようなデータが、例えば弱い強度と強い強度に
対応して2種類用意されて、例えばデジタル音響波形x
P (n) とxF (n) とされる(図3のステップS30
1)。この動作は、図2のデータ長調整部201の機能
に対応する。
【0054】次に、上述の2種類のデジタル音響波形x
P (n) とxF (n) のそれぞれに対して、高速フーリエ変
換演算が実行され、その結果として、2種類の複素スペ
クトルXP (k) とXF (k) とを構成する2種類のリアル
成分とイマジナリ成分のセット(RP (k) 、IP (k)
)、(RF (k) 、IF (k) )が算出される(図3のス
テップS302)。この動作は、図2のFFT部202
の機能に対応する。
【0055】続いて、図3のステップS302において
算出された2種類のリアル成分とイマジナリ成分のセッ
ト(RP (k) 、IP (k) )、(RF (k) 、IF (k) )に
基づき、2種類の振幅スペクトル|XP (k) |及び|X
F (k) |が算出される(図3のステップS303)。こ
の処理の詳細について以下に説明する。
【0056】今、任意の複素スペクトルC(k) は、その
振幅スペクトル|A(k) |とその位相スペクトルarg
{P(k) }を使って、次式で表すことができる。
【0057】
【数4】 C(k) =|A(k) |・exp〔j・arg{P(k) }〕 ここで、expは指数演算を示し、exp内の乗数jは
虚数単位を示す。
【0058】この数4式は、更に、次式のように展開で
きる。
【0059】
【数5】 C(k) =|A(k) |・[cos〔arg{P(k) }〕 +j・sin〔arg{P(k) }〕] =|A(k) |・cos〔arg{P(k) }〕 +j・|A(k) |・sin〔arg{P(k) }〕 従って、振幅スペクトル|A(k) |と位相スペクトルa
rg{P(k) }を有する複素スペクトルC(k) のリアル
成分R(k) とイマジナリ成分I(k) は、次式で表すこと
ができる。
【0060】
【数6】 R(k) =|A(k) |・cos〔arg{P(k) }〕 I(k) =|A(k) |・sin〔arg{P(k) }〕 ここで、次式が成立する。
【0061】
【数7】 R(k) 2 +I(k) 2 =|A(k) |2 ・cos2 〔arg{P(k) }〕 +|A(k) |2 ・sin2 〔arg{P(k) }〕 =|A(k) |2 ・[cos2 〔arg{P(k) }〕 +sin2 〔arg{P(k) }〕] =|A(k) |2 従って、複素スペクトルC(k) のリアル成分R(k) とイ
マジナリ成分I(k) がわかっている場合、次式によっ
て、その振幅スペクトル|A(k) |を算出することがで
きる。
【0062】
【数8】|A(k) |=(R(k) 2 +I(k) 2 1/2 数8式より、図3のステップS302において算出され
た2種類のリアル成分とイマジナリ成分のセット(RP
(k) 、IP (k) )、(RF (k) 、IF (k) )に基づき、
次式によって、2種類の振幅スペクトル|XP (k) |及
び|XF (k) |を算出することができる。
【0063】
【数9】 |XP (k) |=(RP (k) 2 +IP (k) 2 1/2 |XF (k) |=(RF (k) 2 +IF (k) 2 1/2 以上の動作は、図2の振幅スペクトル算出部203の機
能に対応する。
【0064】次に、図3のステップS302で算出され
た2種類の複素スペクトルXP (k)とXF (k) のうち1
種類の複素スペクトル、例えばXF (k) を構成するリア
ル成分とイマジナリ成分のセット(RF (k) 、IF (k)
)に基づいて、その位相スペクトルarg{X1 (k)
}が算出される(図3のステップS304)。この処
理の詳細について以下に説明する。
【0065】今、前述した数6式より、次式が成立す
る。
【0066】
【数10】 I(k) /R(k) =[|A(k) |・sin〔arg{P(k) }〕] /[|A(k) |・cos〔arg{P(k) }〕] =sin〔arg{P(k) }〕/cos〔arg{P(k) }〕 =tan〔arg{P(k) }〕 従って、複素スペクトルC(k) のリアル成分R(k) とイ
マジナリ成分I(k) がわかっている場合、次式によっ
て、その位相スペクトルarg{P(k) }を算出するこ
とができる。
【0067】
【数11】 arg{P(k) }=tan-1(I(k) /R(k) ) 数11式より、図3のステップS302において算出さ
れた所定の1種類のリアル成分とイマジナリ成分のセッ
ト(RF (k) 、IF (k) )に基づいて、次式によって、
その位相スペクトルarg{XF (k) }を算出すること
ができる。
【0068】
【数12】 arg{XF (k) }=tan-1(IF (k) /RF (k) ) 以上の動作は、図2の位相スペクトル算出部204の機
能に対応する。
【0069】次に、変数mの値が、図3のステップS3
05で1又は0に初期化された後、ステップS309で
+1ずつインクリメントされながら、ステップS310
で10を越えたと判断されるまで、M=10種類のデジ
タル音響波形xm (n) ′、(1≦m≦M=10)を作成
するためのステップS306〜S308の処理が、繰り
返し実行される。
【0070】即ち、まず、ステップS306では、ステ
ップS303で算出された2種類の振幅スペクトル|X
P (k) |及び|XF (k) |に基づいて、直線補間演算に
よって、変数mの値に依存する振幅スペクトル|X
m (k) ′|が算出される。この直線補間演算について
は、後述する。この動作は、図2の振幅スペクトル補間
部205の機能に対応する。
【0071】次に、ステップS307においては、ステ
ップS306で算出された振幅スペクトル|Xm (k) ′
|を有し、ステップS304で算出された位相スペクト
ルarg{XF (k) }を有し、次式で表される複素スペ
クトルXm (k) ′が合成される。
【0072】
【数13】 Xm (k) ′=|Xm (k) ′|・exp〔j・arg{XF (k) }〕 そして、この複素スペクトルXm (k) ′に対応するリア
ル成分Rm (k) ′とイマジナリ成分Im (k) ′は、前述
した数6式より、ステップS306で算出された振幅ス
ペクトル|Xm (k) ′|と、ステップS304で算出さ
れた位相スペクトルarg{XF (k) }を使って、次式
によって算出することができる。
【0073】
【数14】 Rm (k) ′=|Xm (k) ′|・cos〔arg{XF (k) }〕 Im (k) ′=|Xm (k) ′|・sin〔arg{XF (k) }〕 以上の動作は、図2の複素スペクトル合成部206の機
能に対応する。
【0074】最後に、ステップS308では、ステップ
S307で算出されたリアル成分とイマジナリ成分のセ
ット(Rm (k) ′、Im (k) ′)に対して、逆高速フー
リエ変換演算が実行され、この結果、デジタル音響波形
m (n) ′が作成される。
【0075】上述したステップS306からS308の
処理が、変数mの値が1〜10(後述の第1の補間処理
方式の場合)又は0〜10(後述の第2の補間処理方式
の場合)まで変化させられながら繰り返し実行されるこ
とにより、強度が異なり、かつ、位相がそろったM=1
0又はM=11種類のデジタル音響波形xm (n) ′、
(1≦m≦M=10)を生成することができる。
【0076】以上のようにして生成されたデジタル音響
波形xm (n) ′、(1≦m≦M=10or11)の用途に
ついて、図3のステップS306の振幅スペクトルの補
間処理の詳細と共に、以下に説明する。
【0077】まず、図3のステップS306における第
1の振幅スペクトルの補間処理方式について説明する。
第1の振幅スペクトルの補間処理方式では、ステップS
305でm=1に初期化された後、ステップS306
で、ステップS303で算出された2種類の振幅スペク
トル|XP (k) |及び|XF (k) |に基づいて、次式で
示される直線補間演算によって、振幅スペクトル|Xm
(k) ′|が算出される。
【0078】
【数15】 |Xm (k) ′|=(m/10)・|XP (k) | +(1−m/10)・|XF (k) | この数15式から理解されるように、1≦m≦10の場
合には、振幅スペクトル|XF (k) |と振幅スペクトル
|XP (k) |の中間の強度(|XP (k) |の強度を含
む)を有する振幅スペクトル|Xm (k) ′|が算出され
る。
【0079】上述のようにして算出される10種類の振
幅スペクトル|Xm (k) ′|のそれぞれを同一の位相ス
ペクトルarg{XF (k) }と合成することによって、
元のデジタル音響波形xF (n) とxP (n) の間で強度及
び音色がなめらかに補間された10種類のデジタル音響
波形xm (n) ′、(1≦m≦M=10)を得ることがで
きる。
【0080】そこで、このような10種類のデジタル音
響波形が、例えば図4に示されるようなa(0)〜a
(5)の6つの音域のそれぞれにおいて作成され、図1
のデジタルオーディオインタフェース104を介してサ
ンプラー103に転送される。サンプラー103では、
6つの音域のそれぞれにおいて、ワークステーション1
02から転送されたそれぞれ10種類のデジタル音響波
形が実際に発音されながら、音域間でデジタル音響波形
の強度及び音色が聴覚的に均一になるように、即ち、強
度が図4の中央の横破線に対応するように、6つの音域
のそれぞれにおいて、前述した10種類のデジタル音響
波形xm (n) ′、(1≦m≦M=10)のうち所望のも
のが選択される。
【0081】このようにしてそれぞれの音域で選択され
たデジタル音響波形が、電子ピアノなどに、各音域の実
際の音源波形として記憶される。上述のようにして選択
されたデジタル音響波形の音色は、その強度に対応する
自然楽器音の音色を良く近似するものとなっており、音
域間で、強度及び音色のバランスを良く均一化すること
ができる。
【0082】次に、図3のステップS306における第
2の振幅スペクトルの補間処理方式について説明する。
第2の振幅スペクトルの補間処理方式では、ステップS
305でm=0に初期化された後、ステップS306
で、ステップS303で算出された2種類の振幅スペク
トル|XP (k) |及び|XF (k) |に基づいて、次式で
示される直線補間演算によって、振幅スペクトル|Xm
(k) ′|が算出される。
【0083】
【数16】 |Xm (k) ′|=(1+m/10)・|XF (k) | +(−m/10)・|XP (k) | 上述の数16式から理解されるように、0≦m≦10の
場合には、振幅スペクトル|XF (k) |と振幅スペクト
ル|XP (k) |とから補間され、振幅スペクトル|XF
(k) |の強度より強い強度を有する振幅スペクトル|X
m (k) ′|が算出される。
【0084】上述のようにして算出される11種類の振
幅スペクトル|Xm (k) ′|のそれぞれを同一の位相ス
ペクトルarg{XF (k) }と合成することにより、元
のデジタル音響波形xF (n) とxP (n) の間で強度及び
音色がなめらかに補間され、かつ、デジタル音響波形x
F (n) の強度より強い強度を有する11種類のデジタル
音響波形xm (n) ′、(0≦m≦M=10)を得ること
ができる。
【0085】更に、図3のステップS306における第
3の振幅スペクトルの補間処理方式について説明する。
第3の振幅スペクトルの補間処理方式では、ステップS
305でm=0に初期化された後、ステップS306
で、ステップS303で算出された2種類の振幅スペク
トル|XP (k) |及び|XF (k) |に基づいて、次式で
示される直線補間演算によって、振幅スペクトル|Xm
(k) ′|が算出される。
【0086】
【数17】 |Xm (k) ′|=(1+m/10)・|XP (k) | +(−m/10)・|XF (k) | 上述の数17式から理解されるように、0≦m≦10の
場合には、振幅スペクトル|XF (k) |と振幅スペクト
ル|XP (k) |とから補間され、振幅スペクトル|XP
(k) |の強度より弱い強度を有する振幅スペクトル|X
m (k) ′|が算出される。
【0087】上述のようにして算出される11種類の振
幅スペクトル|Xm (k) ′|のそれぞれを同一の位相ス
ペクトルarg{XF (k) }と合成することにより、元
のデジタル音響波形xF (n) とxP (n) の間で強度及び
音色がなめらかに補間され、かつ、デジタル音響波形x
P (n) の強度より弱い強度を有する11種類のデジタル
音響波形xm (n) ′、(0≦m≦M=10)を得ること
ができる。
【0088】ここで上述のように、デジタル音響波形x
F (n) の強度より強い強度を有する11種類のデジタル
音響波形と、デジタル音響波形xP (n) の強度より弱い
強度を有する11種類のデジタル音響波形が、例えば図
5に示されるようなa(0)〜a(5)の6つの音域の
それぞれにおいて作成され、図1のデジタルオーディオ
インタフェース104を介してサンプラー103に転送
される。サンプラー103では、6つの音域のそれぞれ
において、ワークステーション102から転送されたそ
れぞれ合計11×2種類のデジタル音響波形が実際に発
音されながら、音域間でデジタル音響波形の強度及び音
色が聴覚的に均一になるように、即ち、強度が図5の上
側の横破線及び下側の横破線のそれぞれに対応するよう
に、6つの音域のそれぞれにおいて、前述した11×2
種類のデジタル音響波形のうち所望の2種類ずつが選択
される。
【0089】このようにしてそれぞれの音域において選
択された2種類ずつのデジタル音響波形が、電子ピアノ
などに、各音域の実際の音源波形として記憶される。上
述したようにして選択されたデジタル音響波形の音色
は、強及び弱のそれぞれの強度に対応する自然楽器音の
音色を良く近似するものとなっており、音域間で、強度
及び音色のバランスを良く均一化することができる。
【0090】そして、例えば鍵等の演奏操作子の演奏強
度(又は演奏速度)に対応して、各音域毎に、位相がそ
ろった状態で2種類のデジタル音響波形をベロシティク
ロスフェード機能などを使用して混合することによっ
て、音域間で強度と音色のバランスがとれ、かつ、音域
毎に、元のサンプリングされたデジタル音響波形より広
い強度及び音色の変化幅を有するデジタル音響波形を得
ることができる。
【0091】以上説明した実施例では、図2の振幅スペ
クトル補間部205の処理、又は図3のステップS30
6の振幅スペクトルの補間処理において、2種類の振幅
スペクトルに対し補間演算が実行されることにより、振
幅スペクトル|Xm (k) ′|が算出されたが、本発明は
これに限られるものではなく、2種類以上の複数種類の
の振幅スペクトルに対し次数が2次以上である補間演算
が実行されることにより、振幅スペクトル|Xm (k) ′
|が算出されるように構成されてもよく、その場合に
は、精度の高い補間処理が行える。
【0092】また、振幅スペクトルの補間演算は行わ
ず、サンプリングされたJ種類のデジタル音響波形に対
応するJ種類の振幅スペクトル|Xj (k) |、(1≦j
≦J)のうち任意の振幅スペクトルを有し、所定の1種
類の位相スペクトル、例えばarg{X1 (k) }を有す
るデジタル音響波形xj (n) ′を作成することも、本発
明によれば勿論可能である。この場合には、そのように
作成された複数種類のデジタル音響波形xj (n) ′同
士、又はそれらと元のデジタル音響波形とを、例えば演
奏操作子の演奏強度(又は演奏速度)に対応して混合す
ることによって、所望の強度で、かつ、例えば2種類の
音色の特性の中間の特性を有する所望の音色のデジタル
音響波形を得ることができる。
【0093】更に、上述した実施例においては、ワーク
ステーション102によってスペクトル処理をおこなっ
たが、専用のハードウエアによってリアルタイム処理を
行いながら、上述した実施例と同様の方式でデジタル音
響波形を生成することも可能である。
【0094】なお、本発明によるデジタル音響波形の作
成装置及びデジタル音響波形の作成方法は、必ずしも電
子楽器用の音源波形を作成することのみを目的とするも
のではなく、これらの装置及び方法は様々な用途に適用
することができる。
【0095】
【発明の効果】本発明の第1又は第2の態様によれば、
強度が異なり、かつ位相がそろったデジタル音響波形を
作成することが可能となる。
【0096】本発明の第3の態様によれば、例えば演奏
操作子の演奏強度(又は演奏速度)に対応して、位相が
そろった状態で複数のデジタル音響波形同士、或いはこ
れらと元のデジタル音響波形とを混合することによっ
て、楽音波形を生成するためのデジタル音響波形を算出
することが可能となる。この結果、所望の強度で、か
つ、例えば2種類の音色の特性の中間の特性を有する所
望の音色のデジタル音響波形を得ることが可能となる。
【0097】また、本発明の第1の態様では、元のデジ
タル音響波形に対応する振幅スペクトルの強度より強い
強度又は弱い強度の振幅スペクトルを有するデジタル音
響波形を生成することが可能となる。
【0098】次に、本発明の第4の態様によれば、複数
の音域のそれぞれにおいて、位相がそろった複数種類の
デジタル音響波形のうち所望のものを、音域間でデジタ
ル音響波形の強度及び音色が聴覚的に均一になるように
選択することが可能となる。このようにして選択された
デジタル音響波形の音色は、その強度に対応する自然楽
器音の音色を良く近似するものとなっており、音域間
で、強度及び音色のバランスを良く均一化することが可
能となる。
【0099】更に、本発明の第5の態様によれば、複数
の音域のそれぞれにおいて、位相がそろった複数種類の
デジタル音響波形のうち所望の2種類以上のものを、音
域間でデジタル音響波形の強度及び音色が聴覚的に均一
になるように選択することが可能となる。このようにし
て2種類以上ずつ選択されたデジタル音響波形の音色
は、それぞれの強度に対応する自然楽器音の音色を良く
近似するものとなっており、音域間で、強度及び音色の
バランスを良く均一化することができる。これと同時
に、各音域毎に、位相がそろった状態で2種類以上のデ
ジタル音響波形を混合することにより、音域間で強度及
び音色のバランスがとれ、かつ、音域毎に、所望の強度
で、かつ、例えば2種類の音色の特性の中間の特性を有
する所望の音色のデジタル音響波形を得ることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の全体構成図である。
【図2】ワークステーション102の機能ブロック図で
ある。
【図3】ワークステーション102の動作フローチャー
トである。
【図4】第1の振幅スペクトルの補間処理方式の説明図
である。
【図5】第2及び第3の振幅スペクトルの補間処理方式
の説明図である。
【符号の説明】
101 DAT(デジタルオーディオテープレコー
ダ) 102 ワークステーション 103 サンプラー 104 デジタルオーディオインタフェース 201 データ長調整部 202 FFT部 203 振幅スペクトル算出部 204 位相スペクトル算出部 205 振幅スペクトル補間部 206 複素スペクトル合成部 207 逆FFT部
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−27770(JP,A) 特開 平5−188969(JP,A) 特開 昭58−40593(JP,A) 特開 昭60−97397(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G10H 7/00 - 7/12

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 強度の異なる複数種類のデジタル音響波
    形のそれぞれについて、振幅スペクトルを算出する振幅
    スペクトル算出手段と、 前記複数種類のデジタル音響波形のうち、所定の1種類
    について、位相スペクトルを算出する位相スペクトル算
    出手段と、 前記振幅スペクトル算出手段により算出された前記複数
    種類の振幅スペクトルに基づいて、補間演算により、任
    意の振幅スペクトルを算出する振幅スペクトル算出手段
    と、 該振幅スペクトル補間手段により算出された振幅スペク
    トルを有し、前記位相スペクトル算出手段により算出さ
    れた前記所定の1種類の位相スペクトルを有するデジタ
    ル音響波形を作成するデジタル音響波形作成手段と、 を有することを特徴とするデジタル音響波形の作成装
    置。
  2. 【請求項2】 強度の異なる複数種類のデジタル音響波
    形のそれぞれについて、振幅スペクトルを算出し、 前記複数種類のデジタル音響波形のうち、所定の1種類
    について、位相スペクトルを算出し、 前記算出された前記複数種類の振幅スペクトルに基づい
    て、補間演算により、任意の振幅スペクトルを算出し、 該補間演算により算出された振幅スペクトルを有し、前
    記算出された前記所定の1種類の位相スペクトルを有す
    るデジタル音響波形を作成する、 ことを特徴とするデジタル音響波形の作成方法。
  3. 【請求項3】 前記振幅スペクトル及び位相スペクトル
    は、前記デジタル音響波形に対してフーリエ変換演算が
    実行が実行されることにより得られるフーリエ係数に基
    づいて算出される、 ことを特徴とする請求項1又は2の何れか1項に記載の
    デジタル音響波形の作成装置又は作成方法。
  4. 【請求項4】 前記デジタル音響波形は、前記振幅スペ
    クトル及び前記位相スペクトルに基づいてフーリエ係数
    が算出され、該フーリエ係数に対して逆フーリエ変換演
    算が実行されることにより作成される、 ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の
    デジタル音響波形の作成装置又は作成方法。
  5. 【請求項5】 複数の音域それぞれにおいて、該音域に
    対応して記憶したデジタル音響波形に基づいて、該音域
    に対応する楽音波形を生成する楽音波形生成装置におい
    て、音域間のデジタル音響波形の強度及び音色を均一化
    するための方法であって、 前記複数の音域のそれぞれにおいて、強度の異なる複数
    種類のデジタル音響波形のそれぞれについて振幅スペク
    トルを算出し、前記複数種類のデジタル音響波形のうち
    所定の1種類について位相スペクトルを算出し、前記算
    出された前記複数種類の振幅スペクトルに基づいて補間
    演算により複数種類の任意の振幅スペクトルを算出し、
    該補間演算により算出された各振幅スペクトルを有し、
    前記算出された前記所定の1種類の位相スペクトルを有
    する複数種類のデジタル音響波形を作成し、 前記複数の音域それぞれにおいて、前記作成された複数
    種類のデジタル音響波形のうち所望のものを選択して、
    該音域に対応する前記楽音波形を生成するために記憶す
    る、 ことを特徴とする楽音波形生成装置におけるデジタル音
    響波形均一化方法。
  6. 【請求項6】 前記振幅スペクトル及び前記位相スペク
    トルは、前記デジタル音響波形に対してフーリエ変換演
    算が実行されることにより得られるフーリエ係数に基づ
    いて算出される、 ことを特徴とする請求項5に記載の楽音波形生成装置に
    おけるデジタル音響波形均一化方法。
  7. 【請求項7】 前記デジタル音響波形は、前記振幅スペ
    クトル及び位相スペクトルに基づいてフーリエ係数が算
    出され、該フーリエ係数に対して逆フーリエ変換演算が
    実行されることにより作成される、 ことを特徴とする請求項5又は6何れか1項に記載の楽
    音波形生成装置におけるデジタル音響波形均一化方法。
  8. 【請求項8】 複数の音域のそれぞれにおいて、請求項
    5乃至7の何れか1項に記載の方法により該音域に対応
    して複数種類ずつ選択された前記デジタル音 響波形を混
    合する波形混合手段と、 前記複数の音域のそれぞれにおいて、該波形混合手段に
    より得られたデジタル音響波形に基づき該音域に対応す
    る楽音波を生成する楽音波形生成手段と、 を有することを特徴とする楽音波形生成装置。
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