JP3262473B2 - 細胞の解析方法 - Google Patents

細胞の解析方法

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JP3262473B2 JP07074095A JP7074095A JP3262473B2 JP 3262473 B2 JP3262473 B2 JP 3262473B2 JP 07074095 A JP07074095 A JP 07074095A JP 7074095 A JP7074095 A JP 7074095A JP 3262473 B2 JP3262473 B2 JP 3262473B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被検細胞表面上のサイ
トカインレセプター(cytokine receptor) の定量方法に
関するものであり、更に詳しくは、従来、定性的解析に
とどまり、定量的解析が困難であったフローサイトメト
リー(flow cytometry)による検出方法を根本的に改善
し、G−CSFを含め、エリスロポエチン(Erythropoie
tin)、インターロイキン−2 (Interleukin-2)、インタ
ーロイキン−6 (Interleukin-6)、mplリガンド等種
々のサイトカインレセプターのフローサイトメトリーに
よる迅速かつ簡便な定量的解析を可能とする被検細胞表
面上のサイトカインレセプター数の新規定量方法、及び
被検細胞の定性的解析と当該細胞のサイトカインレセプ
ター数の定量とを同時的に行うことを可能とする細胞の
解析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、臨床上、各種サイトカイン(cytok
ine)が造血器疾患の治療に使われ始め、現在までインタ
ーロイキン−1(Interleukin-1 )、インターロイキン
−2(Interleukin-2 )、インターロイキン−3(Inte
rleukin-3 )、インターロイキン−6(Interleukin-6
)、G−CSF、顆粒球・マクロファージ・コロニー
刺激因子(granulocyte/macrophage colony-stimulatin
g factor)、エリスロポエチン(Erythropoietin)等が
臨床的に利用され、その薬効解析の1つのマーカーとし
て細胞表面上のレセプター(受容体)の解析が重要視さ
れている。また、最近、血小板増加因子として見出され
たmplリガンド〔Nature,369,533−5
38,565−574(1994)〕の薬効解析におい
ても同様のレセプター解析が重要となってくる。
【0003】これらのサイトカインのうち、顆粒球コロ
ニー刺激因子(Granulocyte colony-stimulating facto
r;G−CSF)を例にあげてその重要性を説明する。当
該因子は、O結合型糖鎖(O−linked sugar chain)を
有する分子量約19000の糖蛋白で、好中球系前駆細
胞の増殖と分化を刺激し、更に成熟好中球の機能を亢進
させる作用を有する〔Blood,74,2144−2
149(1989)、及びBlood,74,2743
−2748(1989)〕。このような作用は、G−C
SFと細胞膜表面に存在するG−CSFに特異的なレセ
プターとの結合によって開始される〔Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA,81,3765−37
69(1984)〕。その親和性は単一であり、正常ヒ
ト顆粒球における結合部位は1細胞当り約1000〜2
000部位であると報告されている〔Blood,7
4,2668−2673(1989)、及びExp.H
ematol.,18,1097−1103(199
0)〕。
【0004】一方、G−CSFは好中球のみならず、一
部の腫瘍細胞にも作用し、その増殖を促すことが知られ
ている。特に急性骨髄性白血病(AML)患者の芽球に
はG−CSFに対する特異的なレセプターが存在し、G
−CSFの作用により一部の症例では芽球の増殖が刺激
されることが報告されている〔Cancer Re
s.,47,5647−5648(1987)〕。
【0005】このAML細胞におけるG−CSFレセプ
ターの有無は、今まで、 125I又は3Hで標識したG−
CSFを用いた結合試験(binding assay )によって行
われてきた。この方法は、レセプターの親和性(recept
or affinity )、細胞当りの平均レセプター発現数(av
erage number of receptor expression per cell)に関
する情報を与えてくれる。しかしながら、当該方法は、
放射線管理の問題だけでなく、測定に大量の細胞(10
8 個程度)を使用するため患者側への負担が大きいと言
う問題を有する。また、測定に長時間を要する上、サン
プル中の芽球の割合が低い場合、芽球以外の細胞との分
離、識別が困難であり、測定値が芽球の性質を正確に反
映しない等の問題がある。このため、通常の臨床検体で
G−CSFレセプターの解析を行うのは容易ではなかっ
た。
【0006】従来、一般に、G−CSFレセプターの測
定は、主としてラジオアイソトープ標識G−CSFを用
いたbinding assay によるところが多かったが、最近、
G−CSFを含め、Erythropoietin、Interleukin-2 、
Interleukin-6 等種々のサイトカインレセプターのフロ
サイトメトリーによる検出を試みた例が報告されている
〔Cancer Res.,52,3052−3055
(1992)、Blood,75,697−705(1
990)、及びBlood,75,767−774(1
990)〕。
【0007】しかしながら、これらは、FITC又はフ
ィコエリスリン(Phycoerythrin) を標識したサイトカイ
ンを用いた定性的分析が主であり、定量的検出方法の報
告はなく、G−CSFに関しては、Escherichia coliに
より発現、精製された糖鎖を含まない遺伝子組換え型G
−CSFを使用した定性的解析が主であり、天然型(nat
ural type ) のG−CSFを用いた定量的な測定法は現
在までなされていない。
【0008】すなわち、現在までの報告を見れば明らか
なとおり、従来、フローサイトメトリーでの解析は、定
量的なものではなく、G−CSFレセプターの有無を調
べると言うあくまで定性的な判定にとどまり、また、使
用されたG−CSFは糖鎖をもたない遺伝子組換え型G
−CSFにとどまるものであった。
【0009】前記の如く、ラジオアイソトープを用いた
binding assay では、receptor affinity, average num
ber of receptor expression per cell に関する情報を
与えてくれる反面、放射線管理の問題だけでなく、多く
の細胞数(108 個程度)を必要とし、測定に長時間を
要する上、サンプル中の芽球の割合が低い場合、測定値
が芽球の性質を正確に反映しない等のさまざまな問題が
ある。これに対して、フローサイトメトリーによる解析
では、少ない細胞数で簡易に測定することができるが、
これまでのところG−CSFレセプターを含む各種サイ
トカインレセプターに関する詳細な解析はなされていな
かった。従って、サイトカインに関わる作用の解明及び
診断においてフローサイトメトリーによるサイトカイン
レセプターの定量的解析方法を確立することが強く要請
されている状況にあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような状況を踏ま
え、本発明者らは、これらの問題を解決するために、少
ない細胞数(2×105 個程度)で、かつ迅速、簡便に
行い得るフローサイトメトリーによるサイトカインレセ
プター解析の可能性を、G−CSFレセプターを代表例
として、より高感度にかつ定量性を求める方向で検討し
た結果、bindingassay で得られたレセプター数とフロ
ーサイトメトリーでの解析結果に一定の相関が見られる
こと、フローサイトメトリーによるG−CSFレセプタ
ーの簡易かつ定量的測定を実現し得る可能性があること
を見い出し、かかる知見をもとに本発明を完成するに至
った。
【0011】すなわち、本発明は、測定に際し、従来法
の如く患者側への負担を大きくするような多くの細胞
(108 個程度)を使用することがなく、少ない細胞数
で、かつ迅速、簡便に行い得るフローサイトメトリーに
よる被検細胞表面上のサイトカインレセプター数を定量
する方法、及び被検細胞の定性的解析と当該細胞のサイ
トカインレセプター数の定量とを同時的に行うことを可
能とする細胞の解析方法を提供することを目的とするも
のである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、第1の態様として、下記の工程、 被検細胞を含む検体に被検対象のレセプターに対応す
るビオチン標識サイトカインを加えて反応させる、 励起波長と蛍光波長の差が少なくとも50ナノメータ
ー(nm)以上の蛍光物質をアビジンに結合した蛍光物
質標識アビジンを添加して反応させ、未反応物質を除去
した後、フローサイトメトリーにより蛍光強度(蛍光強
度A)を測定する、 一方、被検対照として、被検細胞を含む検体に上記ビ
オチン標識サイトカインと大過剰量の非標識サイトカイ
ン及び上記蛍光物質標識アビジンを添加し反応させ、未
反応蛍光物質を除去した後、フローサイトメトリーによ
り蛍光強度(蛍光強度B)を測定する、 対照との蛍光強度差〔蛍光強度A−蛍光強度B〕(D
値)を求め、予めレセプター数とD値の関係に基づき作
成した検量線から細胞表面上の該当サイトカインレセプ
ター数を求める、 を含むことを特徴とする細胞表面上のサイトカインレセ
プター数の定量方法を提供するものである。
【0013】また、本発明は、第2の態様として、上記
方法において、サイトカインが、顆粒球コロニー刺激因
子(G−CSF)又はエリスロポエチン(EPO)であ
るサイトカインレセプター数の定量方法を提供するもの
である。また、本発明は、第3の態様として、上記方法
において、蛍光物質が、エネルギー移行型蛍光色素であ
る前記のサイトカインレセプター数の定量方法を提供す
るものである。また、本発明は、第4の態様として、上
記方法において、蛍光物質が、RED613、RED6
70である前記のサイトカインレセプター数の定量方法
を提供するものである。更に、本発明は、第5の態様と
して、前記の方法における蛍光物質と励起波長がほぼ同
じで蛍光波長が異なる蛍光物質で標識した細胞表面抗原
に対するモノクローナル抗体を組み合わせた多重蛍光染
色により、被検細胞の定性的解析と前記の方法に基づく
当該細胞のサイトカインレセプター数の定量とを同時的
に行うことを特徴とする細胞の解析方法を提供するもの
である。
【0014】本発明者らは、上記の如く、binding assa
y との比較において、フローサイトメトリーによるG−
CSFレセプター解析の可能性を検討した。エリスロポ
エチン(Erythropoietin)とは異なり、ヒトG−CSF
における糖鎖の有無は本質的な生物活性には関係ないと
思われるが、pHや温度に対する安定性に関与すると言
われ、糖鎖を有する組換えヒトG−CSF(rhG−CS
F)を使用する方がより生理的条件を反映するものと考
えられた。そこで、チャイニーズハムスター卵巣細胞
(CHO細胞)で産生させた天然型G−CSFと同一の
174個のアミノ酸と同一組成比の糖鎖を有するrhG−
CSFを用いてG−CSFレセプターの検出を行った。
また、フローサイトメトリーによるG−CSFレセプタ
ー解析を定量性の方向で検討した。
【0015】フローサイトメトリーにより定量化を図る
方法の一つとしてはK−S解析(K−S statistics )
がある。ここで示されるD値(D value)は2つのヒス
トグラムの差の程度を表現している。すなわち、ビオチ
ン−アビジンを介して蛍光物質を標識したG−CSFの
G−CSFレセプターへの特異的結合による蛍光強度の
シフトを表している。
【0016】検討の結果、上記標識を採用することによ
り、binding assay から求めたレセプター数とフローサ
イトメトリーにおける蛍光強度の増加の程度(D値)が
相関することが示された。D値は、後述するように、K
−S解析(Kolmogorov-Smirnov statistics )で算出さ
れてくる値であって、通常の解析上の数値として表面に
現れてくる値ではないが、本発明者らが蛍光強度の差を
数値化していく上で偶然その相関に注目して追試したと
ころ、レセプター数と良く相関していることが示され
た。
【0017】この解析法の利点は、操作が簡便かつ測定
時間が短いこと、使用する細胞数が2×105 個程度
(血液量として数ml)と少ないことである。そもそも、
白血病細胞は、不均一(heterogeneous )な細胞の集団
であり、個々の細胞のG−CSFレセプター数も広範囲
に分布していると推定される。ラジオアイソトープによ
るbinding assay の結果は平均化したレセプター数であ
り、細胞の分離操作時に混入する目的以外の細胞の存在
により、上記のレセプター数は広範囲にわたっている。
一方、フローサイトメトリーでは2重染色あるいは3重
染色によってイムノフェノタイプでゲートをかけること
により血液細胞のある系統、分化段階のレセプターの解
析が可能である。
【0018】本発明者らは、まず、蛍光物質としてフィ
コエリスリン(Phycoerythrin )を用いてフローサイト
メトリーでの測定を実施した。健常人由来顆粒球(以
下、ヒト顆粒球と言うことがある)の一定量に各濃度の
ビオチン標識G−CSF(b−G−CSF)を添加して
反応後、アビジン標識フィコエリスリン(SA−PE)
を加え、フローサイトメトリーでD値を求めた。図2
に、b−G−CSF(biotinyl G−CSF)濃度とD
値の関係を示す。これから、b−G−CSF濃度が約2
00ng/ml 以下のとき、b−G−CSF濃度とD値は直
線的な比例関係を示した(相関係数0.83)。
【0019】図2に示されるように、約200ng/ml 以
上のb−G−CSFでは、ヒト由来顆粒球のG−CSF
レセプターの全部がb−G−CSFで飽和されるため、
D値は0.70以上を示さない。200ng/ml 以下の場
合、レセプターの解離定数に基づき結合し、b−G−C
SF濃度に比例してD値が直線的に低下しているので、
b−G−CSF結合数がレセプター数であると見なすこ
とができる。 〔 125I〕G−CSFを用いたbinding
assay によるG−CSFレセプターの数は、組織球性リ
ンパ腫(histiocytic lymphoma)由来ヒト細胞株のU-937
は288-616 sites/cell、ヒト顆粒球は703-1296 sites/c
ell 、遺伝子工学的にG−CSFのレセプターを発現さ
せたFD11-10 は数万 sites/cell とされている。
【0020】そこで、上記のフローサイトメトリーで実
施したのと同一の試料を使用して〔3 H〕rhG−CSF
を用いたbinding assay を行った。表1に、ヒト顆粒
球、FD11-10 、U937、ALL患者の芽球のフロー
サイトメトリーによるK−S解析でのD値と、binding
assay のスッキャッチャード(Scatchard )解析により
求められた1細胞当りのG−CSFレセプター数(site
/cell )の比較を示す。なお、表中、* は、binding as
say にて特異的結合が見られず計測不能であることを示
す。
【0021】
【表1】
【0022】表1及び図2から、ヒト顆粒球においてb
−G−CSF214ng/ml でD値は0.7を示し、この
ときレセプター数は1482sites/cellであることが示
される。更に、b−G−CSF107ng/ml のときD値
は0.64でレセプター数は742sites/cell、b−G
−CSF21.4ng/ml のときD値は0.26でレセプ
ター数は148sites/cell、b−G−CSF10.7ng
/ml のときD値は0.13でレセプター数は74sites/
cellと見なすことが可能である。
【0023】また、binding assay にて特異的結合の見
られなかった急性リンパ性白血病(ALL)患者の芽球
はフローサイトメトリーの解析でもレセプターを検出で
きなかった。なお、一般的にALL患者ではG−CSF
レセプターの発現はないとされているので、この結果を
裏付するものである。
【0024】従って、当該b−G−CSF濃度とD値と
の関係において、ヒト顆粒球を用いて結合させるb−G
−CSF濃度を減少させることにより、見かけの検量線
が得られる。ここで、表1に示したFD11-10 はレセプタ
ー数が5106sites/cellであるので、D値は0.72
となり、ヒト顆粒球の1482sites/cell以上であるの
でレセプター数は算出不可能である。しかしながら、U
−937のD値は、0.32であるので、図2からレセ
プター数を求めると約300sites/cellであり、これは
binding assay により求めたレセプター数(373site
s/cell)の実測値と一致する。
【0025】D値の性格上、FD11-10 のような大量のG
−CSFレセプターを保有する細胞ではD値がプラトー
となってしまうためD値の使用は難しい。しかし、AM
L患者の芽球細胞上のG−CSFレセプター数は、0-12
00 sites/cell と報告されている。従って、実際のAM
L患者の芽球のG−CSFレセプター数は、成熟顆粒球
のそれに比べてやや少ないと推測されることから、十分
対応できると考えられる。もし、ヒト顆粒球よりもG−
CSFレセプター数が多い場合、FD11-10 のような多数
のG−CSFレセプターを有する細胞を用いた標準曲線
にて対応可能であると考えられる。binding assay での
測定限界が約50sites/cellのレセプター数であること
を考慮すると、本発明者らの検討結果よりAML患者の
芽球細胞上のG−CSFレセプターの有無の判定はフロ
ーサイトメトリーによる解析で対応できると結論でき
た。
【0026】以上の事項を前提とすることにより、ヒト
顆粒球を用いて、加えるb−rhG−CSFの濃度を種々
に変えてD値をプロットすることにより、標準曲線を描
き、目的とする検体に飽和量のb−G−CSFを加え、
同条件にて操作測定し、D値を求め、標準曲線に対応さ
せることにより、G−CSFレセプターの概数を求める
ことができることが示された。従って、フローサイトメ
トリーでK−S解析を用いてG−CSFレセプター数を
ある程度数値化できることが検証された。
【0027】前記の如く、本発明者らの知見によれば、
まず、アビジン標識フィコエリスリン(SA−PE)を
蛍光物質としてb−G−CSFを用いることにより、細
胞のG−CSFレセプターが半定量的に測定できること
が分かったが、当該蛍光物質では高感度に定量化する方
法を確立することは困難であったので、更に、この方法
を精度よく高感度に定量化するために必要とされる蛍光
物質を検索した。その結果、ストレプトアビジン標識R
ED613(SA−RED613)等の励起波長と蛍光
波長が一定レベル以上離れている特定の標識蛍光物質を
使用することが本目的に合うことを見い出した。
【0028】RED613は、R−フィコエリスリン
(R−Phycoerythrin )にテキサスレッド(Texas Red
)を結合させたエネルギー移行型色素で、励起波長488
nm 、蛍光波長613nm であり、励起波長と蛍光波長は100
nm 以上離れている。
【0029】ここで、SA−PE又はSA−RED61
3でヒト顆粒球を用いてフローサイトメトリーにより解
析した結果を図3に示す(解析の具体的方法は、後述の
実施例に示す。)。図3に示すように、SA−PEに比
べ明らかにSA−RED613の方が蛍光強度が大きく
なり、逆に対照は蛍光強度が小さくなった。これは、S
A−PEの励起波長と蛍光波長が接近しているため励起
光源の散乱光がSA−PEの蛍光として測定されている
と考えられる。一方、SA−RED613は、前記の如
く、励起波長と蛍光波長が離れているので、このような
散乱光の妨害等がないと言える。
【0030】そこで、SA−RED613を用いて、ヒ
ト顆粒球におけるb−G−CSF濃度とD値の関係を調
べた。その結果を図4に示すが、SA−RED613を
用いても定量的に行えることが分かった。
【0031】健常人7例のヒト顆粒球をbinding assay
でスキャッチヤード解析を行ったところ、1細胞当たり
のG−CSFレセプター数は1508±186sites/ce
ll(mean± SE )であり、SA−RED613を用いた
フローサイトメトリーにてD値は0.7であった。一
方、AML患者2例とALL患者1例の芽球についてbi
nding assay とSA−RED613を用いたフローサイ
トメトリーを行った。これらの結果を表2に示した。bi
nding assay により得られたG−CSFレセプター数
は、AML患者1例で873sites/cell、他の1例及び
ALL患者で検出限界以外であった。これらの芽球のフ
ローサイトメトリーにおけるD値はそれぞれ0.5,
0.06及び0.03であったので、ヒト顆粒球を用い
て作成した標準曲線から求めたレセプター数は、それぞ
れ718,98sites/cell及び検出限界以下となった。
従って、この結果はbinding assay での実測値とほぼ一
致していた。
【0032】
【表2】
【0033】この他3例のAML患者の芽球について同
様にフローサイトメトリーによる解析を行ったところ、
各症例でのD値は0.155 、 0.126、 0.056であった。ヒ
ト顆粒球を用いた標準曲線から求めれば、これらの症例
のG−CSFのレセプター数はそれぞれヒト顆粒球の 9
/100、 7/100、4/100 であると想定される。bindingass
ay の結果からヒト顆粒球のG−CSFのレセプター数
が1482 sites/cell と仮定すれば、各症例のG−CSF
レセプターの数は約135 sites/cell、約105 sites/cel
l、約60 sites/cell であると想定される。
【0034】すなわち、本発明者らの研究によれば、従
来より使用されているストレプトアビジン結合フィコエ
リスリン(SA−PE)との比較において、SA−RE
D613を標識蛍光物質として使用した方がより高感度
にレセプターを検出できることが分かった。これは、S
A−PEは、励起波長と蛍光波長が近接しているので、
散乱光、励起波長等も測定されているため、解析が困難
であるのに対して、SA−RED613は、前記の如
く、励起波長と蛍光波長が離れているので、このような
散乱光の妨害等がなく高感度な解析が可能となるもので
あり、このことからも、前記SA−PE等の他の蛍光物
質に見られないSA−RED613の本発明方法におい
ての有用性が示される。
【0035】SA−RED613及びRED670は、
通常フローサイトメトリーで用いられているアルゴン・
レーザーによって励起され、抗原、抗体の標識に頻用さ
れている蛍光物質のフルオレセイン・イソチオシアーネ
ート(Fluorescein Isothiocianate、FITC)やフィ
コエリスリン(Phycoerythrin )よりも長波長領域の6
00ナノメートル(nm)以上に最大蛍光波長が存在す
る。このため、現在広く使用され容易に入手できる他の
表面抗原を解析する蛍光標識モノクローナル抗体を用い
た2重染色あるいは3重染色も可能であり、その感度が
高いことを合わせると、これらは、非常に有用な蛍光色
素と言える。更に、本発明者らの研究によれば、後述の
実施例に示すように、当該蛍光標識モノクローナル抗体
を用いた3重染色法を用いて、イムノフェノタイプの違
いや分化段階を加味したより詳細なレセプター解析が可
能であることが分かった。
【0036】本発明者らの知見によれば、このような効
果は、励起波長と蛍光波長の差、すなわち、最大励起波
長と最大蛍光波長の差が少なくとも50ナノメータ(n
m)以上、好ましくは100ナノメータ(nm)以上、
のエネルギー移行型蛍光物質をアビジンに結合した蛍光
物質標識アビジンを使用した場合に得られる特有のもの
である。従って、本発明において使用する蛍光物質は、
上記RED613、RED670(Gibco BRL
社の蛍光色素の商品名)に限らず、前記条件を満たすも
の、すなわち、当該RED613、RED670と同効
のものであれば、他の蛍光物質を使用することも適宜可
能である。かかる知見は、本発明方法の前記構成との組
み合わせにおいて、各種蛍光物質の有効性を実際に検証
してはじめて知り得るものであり、当該条件を満たさな
い場合は、所期の目的を達成することはできない。
【0037】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を具体的に説明
するが、本発明は当該実施例によって何ら限定されるも
のではない。 実施例1 G−CSFに関する実施例 (1)実験材料 binding assay 及びフローサイトメトリーに使用した被
検細胞は、組織球性リンパ腫(histiocytic lymphoma)
由来ヒト細胞株であるU-937 、正常末梢血液、マウス骨
髄細胞系(murine myeloid cell line)FDC−P1に
遺伝子工学的にヒトG−CSFレセプターを発現させた
細胞株FD11-10 〔EMBO J.,10,2855−2
865(1991)〕、急性白血病(ALL及びAM
L)患者の骨髄から得られた芽球である。なお、bindin
g assay 及びフローサイトメトリーに用いたG−CSF
(中外製薬社製) は、既に述べられているようにチャイ
ニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)で産生させ、
Nomuraらの方法により精製されたO結合型糖鎖を有する
遺伝子組換え型ヒトG−CSF(rhG−CSF)〔EM
BO J.,5,871−876(1986)、及び
J.Biol.Chem.,265,11432−11
435(1990)〕を使用した。
【0038】(2)細胞の調製 ヘパリン採血したヒト末梢血に、溶血液(0.826%
NH4 Cl,0.1% KHCO3 ,0.0037%
EDTA・2Na,pH7.3)を加え、37℃で5
から10分間静置した。溶血を確認後、細胞を、2%ウ
シ胎児血清(FCS),0.1% アジ化ナトリウム
(Na3 N)を含むPBS(phosphate buffered salin
e;0.8% NaCl,0.29% Na2 HPO4
・12H2O,0.02% KH2 PO4 )にて2回洗
浄した。フローサイトメトリーにおいては、細胞を2%
FCS、0.1% アジ化ナトリウムを含むPBS(以
下PFN)に、顆粒球濃度4×106 cells/mlとなるよ
うに懸濁した。radioisotopic binding assay において
は、細胞はリンフォプレップ(Nycomed社、ノル
ウェー)に重層し、室温で30分間1500rpmにて
遠心した。pelletから得られた顆粒球は、PBSにて2
回洗浄後、RPMI−1640(GibcoBRL社
製)に、4×107 cells/mlで懸濁した。
【0039】患者から得られた骨髄細胞は、RPMI−
1640に懸濁した。細胞懸濁液はリンフォプレップに
重層後、室温にて1500rpm30分間遠心した。芽
球の多く含まれる中間層を採取した。フローサイトメト
リーでは細胞を2回洗浄後、PFNに4×106 cells/
mlで懸濁した。binding assay においては、細胞を2回
洗浄後、RPMI−1640に4×107 cells/mlで懸
濁した。
【0040】(3)G−CSFレセプターのbinding as
say 上記の4×107 cells/mlに調製した細胞懸濁液を用い
た。〔 3H〕rhG−CSFは、10%ウシ胎児血清(feta
l calf serum)(FCS:Gibco BRL社製)を
含むRPMI−1640で倍々希釈して6濃度を調製
し、それぞれの放射線を計測した(最高濃度は約5×1
6 dpm/ml)。マイクロ遠心チューブに細胞懸濁液50μ
l 、〔 3H〕rhG−CSF100 μl 及び10%FCSを含
むRPMI−1640 50μl を入れ、4℃、2時間反
応させた。
【0041】反応液の150 μl をあらかじめn−ブチル
フタレート(n-butylphtalate) 200μl を入れたマイク
ロ遠心チューブに重層して、12000rpm、5分間、4℃に
て遠心後、上清を吸引除去した。細胞をphosphate buff
ered saline (PBS:0.8%NaCl,0.29%Na2
HPO4 ・12H2 O,0.02%KH2 PO4 )で懸濁して
2ml のクリアゾル(ナカライテスク社製)と混合後、液
体シンチレーションカウンターで放射能を測定した。
【0042】なお、10%FCSを含むRPMI−164
0の代わりに、〔 3H〕rhG−CSFの100倍の濃度
となるように調整したrhG−CSF溶液50μl を入れ、
同様に操作して測定した放射能を〔 3H〕rhG−CSF
の細胞への非特異的吸着量とし、これを差し引いた値を
特異的結合とした。スキャッチャード(Scatchard) 解析
は、常法〔Ann.NY Acad.Sci.,51,
660−672(1949)〕により、〔 3H〕rhG−
CSFの総添加量から特異的結合量(Bind)を引いた遊離
量(Free)を求め、Bind/Free と、Bindとの関係からスキ
ャッチャードプロット(Scatchard plot)を作成し、〔 3
H〕rhG−CSF比放射能0.295 ×10-18mol/dpmから細
胞1個当りの結合数を求めた。
【0043】(4)rhG−CSFのビオチン化 rhG−CSFのビオチン標識は、ビオチン標識キット
(AMERICAN QUALEX社製)を使用した。
まずrhG−CSF0.55ml(1.6mg/ml)にPBSを0.05ml加
えた。そこへ精製水0.05mlに溶解したビオチン(biothi
n)0.5mgを加え、室温で1時間振とうした。反応液をP
BSで平衡化したSephadex G25カラム(PD−1
0)に添加後、PBSで溶出し、0.5ml ずつ分画分取し
た。
【0044】得られた各分画 0.01 mlにホウ酸バッファ
ー(pH8.0 、0.5ml )を加えて希釈し、この溶液をチ
ューブにコーティング後、ウシ血清アルブミン(bovin
serum albmin、BSA)でブロッキング(blocking)し、
ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(ho
rseradish peroxydase)を反応させ、horseradish pero
xydase活性を検出して、ビオチン標識rhG−CSF(b
−G−CSF)を含む分画を確認した。分画No.11-13を
プールし、エンザイムイムノアッセイ(enzymeimmunoass
ay 、EIA)でrhG−CSF濃度を測定した。
【0045】(5)G−CSFレセプターのフローサイ
トメトリーによる解析 細胞4×106 cells/ml 25 μl にPFN10μl 及びb
−G−CSF10μl を加え、4℃1時間反応させた。b
−G−CSFは、種々の濃度で使用した。PFNで2回
洗浄後、ストレプトアビジン結合phycoerythrin(SA−
PE;BIOMED社製)10μg/ml、10μl 、又は、ス
トレプトアビジン結合RED613(SA−RED61
3;Gibco BRL社製)250 μg/ml、4μl を加
え、4℃で20分反応させた。PFNで2回洗浄後、P
BS0.2ml に懸濁した。なお、b−G−CSF濃度の10
0 倍の非標識rhG−CSFをPFNの代わりに加え、同
様に操作したものを対照とした。また、ヒト顆粒球を用
いて一定濃度のb−G−CSF(200ng/ml)を加え、PF
Nの代わりに種々の濃度の非標識rhG−CSF(20ng/ml
-200μg /ml)を加え、同様に操作することによりG−C
SFレセプターへの特異的結合の検討を行った。測定は
主としてEPICS Profile II (Coulter C.C.) にて
行った。
【0046】蛍光色素の励起は488nm アルゴンイオンレ
ーザーを使用した。Phycoerythrin(PE)の蛍光は、6
00nm 未満の蛍光を通過させる600nm のshort pass dich
roic mirrorを通過し、575nm のband pass filterで捕
らえられたものを測定した。RED613 の蛍光は、shor
t pass dichroic mirrorで90°に屈折された600nm 以上
のものを測定した。解析は、EPICS cytologic sof
t ware version 2.0 (Coulter C.C.) のK−S解析(Ko
lmogorov-Smirnov statistics 、K−S statistics )
〔J.Histochem.and Cytoche
m.,25,935−941(1977)〕を利用し、
図1に示したように2つのヒストグラムの累積相対度数
分布曲線間の最大差(maximum difference)の値をD値
(D value)として算出した。
【0047】なお、図1において、細胞総数n1、n2
からなる2つのヒストグラム〔X軸;蛍光強度(Fluore
scence Intensity)、Y軸;細胞数の相対度数〕を fn1
(x)、 fn2(x) で表される関数とする。それぞれの累積
度数分布関数を Fn1(x) 、 Fn2(x) としたとき、D値は
Fn1(x) と Fn2(x) 間の最大絶対差(maximum absolute
difference )である。D値は、非標識G−CSFを加
えたサンプル(対照)と、これを加えなかったサンプル
より得られたヒストグラムを比較することにより算出し
た。
【0048】(6)解析結果 binding assay とフローサイトメトリー解析結果の比
較 スキャッチャード プロット(Scatcard plot )の結果
を図6のAに示した。すなわち、図6のAに、〔 3H〕
rhG−CSFを用いたbinding assay によるスキャッチ
ャード(Scatchard )解析を示した。U-937 では373 si
tes/cell、ヒト顆粒球では1482 sites/cell 、FD11-10
では5106 sites/cell であった。また、同時にSA−P
Eを用いて行ったフローサイトメトリーの結果を図6の
Bに示した。すなわち、図6のBは、b−G−CSFを
用いたフローサイトメトリーであり、グラフは、非特異
的結合のコントロールとしてb−G−CSFの100 倍濃
度の未標識rhG−CSFを加えたもの(−)と加えなか
ったもの(─)を示す。これらのD値はそれぞれ0.32、
0.70、 0.72 であった(表1)。これらの結果から、細
胞のレセプターが多いとフローサイトメトリーにおける
蛍光強度のシフトが増加すること、つまりはD値が増加
することが示唆された。
【0049】b−G−CSFを用いたフローサイトメ
トリーによるG−CSFレセプターの検出
【0050】蛍光色素の種類による蛍光強度の差の検討
をヒト顆粒球を用いて行った。すなわち、ヒト顆粒球
(4×106 cells/ml)25 μl にPFN10μl とb−G
−CSF(200ng/ml)10μl を加えてインキュベート(in
cubate)し、SA−RED613あるいはSA−PEで
染色し、フローサイトメトリーにより解析した。その結
果を図3に示すが、明らかにSA−RED613の方が
対照に対して強い蛍光強度を示した(図3)。なお、図
中、AはSA−RED613、BはSA−PEを使用し
た結果である。グラフは、b−G−CSFとともにPF
Nの代わりにb−G−CSFの100 倍濃度の未標識rhG
−CSF各10μl を加えたもの(−)と加えなかったも
の(─)を示す。グラフの右下に示してあるD値は、K
−S解析によりA、B各(−)と(─)のヒストグラム
を比較して算出した値である。
【0051】b−G−CSF及びSA−RED613
を用いたフローサイトメトリーによるG−CSFレセプ
ターの検出 次に、各レベルに調製したb−G−CSFの使用濃度と
D値との関係をヒト顆粒球を用いて検討した。図4に各
b−G−CSF濃度とフローサイトメトリーの解析結果
から得られたD値との関係を示した。すなわち、図4に
おいて示された各濃度のb−G−CSFとPFN10μl
をヒト顆粒球(4×106 cells/ml)25μl に加えてイ
ンキュベート(incubate)し、SA−RED613で染
色後、フローサイトメトリーにより解析した。各b−G
−CSFの100 倍濃度の未標識rhG−CSF10μl をP
FNの代わりに加え、同様に操作したものを非特異的蛍
光の対照とし、特異的蛍光によるヒストグラムのシフト
をK−S解析によるD値で表した。
【0052】この結果、一定濃度以上のb−G−CSF
を用いれば、一定のD値が得られることが分った。すな
わち、図4において、b−G−CSF濃度120ng/ml以上
ではD値は0.70となりプラトーとなっている。また、飽
和量以下のb−G−CSFを使用した場合、加えたb−
G−CSF濃度とD値の間には正の相関があることが示
された。
【0053】次に、一定量のb−G−CSF(200ng/m
l、10μl ) に対し非標識rhG−CSFの添加濃度とD
値との関係をフローサイトメトリーにより解析した(図
5)。すなわち、b−G−CSF(200ng/ml) と非標識
rhG−CSF各10μl をヒト顆粒球(4×106 cells/
ml)25 μl に加えてインキュベート(incubate)し、S
A−RED613で染色し、フローサイトメトリーによ
り解析した。図5に示すように、非標識b−G−CSF
の濃度を高めることによりこの濃度の対数に対し直線的
にD値の減少を認めた。これによりb−G−CSFと非
標識rhG−CSFは、G−CSFレセプターに競合的に
結合することが確認された。従って、b−G−CSFと
SA−RED613を用いる本測定法はG−CSFレセ
プターに特異的であることが示唆された。
【0054】以上の解析結果から明らかなように、フロ
ーサイトメトリーの結果はスキャッチャード(Scatchar
d )解析の結果を反映していることが示唆された。ま
た、フローサイトメトリーで得られたヒストグラムをそ
れぞれの対照ヒストグラムとK−S解析により比較する
ことによって算出されたD値は、b−G−CSFのレセ
プターへの特異的結合を介して結合させた蛍光物質によ
る蛍光強度の増加を反映していることが示された。
【0055】(7)3重染色によるレセプターの解析 蛍光標識モノクローナル抗体CD33及びCD34と上
記SA−RED670を使用し、3重染色による被検細
胞のG−CSFレセプターの解析を行った。表2に示し
たヒト顆粒球、リンパ球、正常骨髄細胞、AML患者由
来末梢血(AML)の各被検細胞(4×106 cells/m
l, 25μl )をPFNバッファー10μl とb−G−
CSF(200ng/ml )10μl 中で4℃にて1時間イ
ンキュベートした。非特異的蛍光の対照として、PFN
バッファーの代わりに、非標識rhG−CSFの100倍
過剰量の存在下にb−G−CSFとインキュベートし
た。この場合、全サンプルにおいて全量を45μl とし
た。各細胞は、まず、SA−RED670とインキュベ
ートした後、各蛍光標識モノクローナル抗体と同時にイ
ンキュベートした。すなわち、各細胞をPFNバッファ
ーで2回洗浄後、細胞をストレプトアビジンRED67
0(SA−RED670;Gibco BRL社製)1
μg と4℃にて20分間インキュベートし、次いで、2
0μl のFITC標識抗−Leu−M9(CD33)及
び20μl のPE標識HPCA−2(CD34)(Be
cton Dickinson社製)を加え、4℃にて
40分間インキュベートした。その後、各細胞をPFN
バッファーで2回洗浄し、フローサイトメトリーで解析
した。
【0056】蛍光強度の測定はEPICS Profile II
(Coulter C. C.) にて行った。蛍光は488nm波長によ
って励起した。フィルターは550nm dichroic long p
ass,600nm dichroic short pass,630nm long pa
ssを使用した。
【0057】解析結果を表3に示す。表3のCD33
(HPCA−2)、CD34(Leu−M9)及びD値
の欄に示されるように、従来、各被検細胞の表面抗原を
認識する蛍光標識モノクローナル抗体として使用されて
いるCD33、CD34による表面抗原の定性的解析結
果(表面抗原の有無)に加え、D値を測定し、本発明の
レセプター定量方法を併用することにより、当該D値か
ら各細胞表面のG−CSFレセプターの数を定量するこ
とが可能である。この場合、表3に示される如く、例え
ば、正常な骨髄細胞の場合について言えば、CD34+
・CD34- 、CD34+ ・CD33+ 、CD34-
CD33+ の各イムノフェノタイプでゲートをかけて、
各細胞の系統、分化段階のレセプターの解析が可能にな
ることから、不均一な細胞の集団を含む被検細胞であっ
ても少量の細胞数(血液量として数ml程度)でレセプタ
ー解析が可能である。なお、本発明によれば、上記CD
33、CD34に限らず、他の蛍光標識モノクローナル
抗体を利用した2重染色法、3重染色法によるレセプタ
ー解析が可能であることは言うまでもない。
【0058】
【表3】
【0059】実施例2 EPOに関する実施例 (1)実験材料 binding assay 及びフローサイトメトリーに使用した被
検細胞は、巨核芽球性白血病由来ヒト細胞株であるUT-7
〔Blood,80,3060−3069(199
2)〕よりエリスロポエチン(EPO)依存性細胞株と
して樹立された亜株UT-7/EPO〔Blood, 82,
456−464(1993)、及びJ.Biol.Ch
em.,269,19633−19638(199
4)〕である。なお、binding assay に用いた125I-EPO
はアマシャム社より入手し、それ以外は中外製薬社製re
combinant human EPO (rh-EPO)を使用した。
【0060】(2)EPO レセプターのbinding assay UT-7/EPO細胞をEPO を含まないIMDM培地(10% FCS含
有)で24時間培養し、2% BSA, 0.2% NaN3 含有
IMDM培地よりなるbinding assay 用培地(BM)で2回洗
浄後、5×107 cells/mlに調製した細胞懸濁液を用い
た。マイクロ遠心チューブに細胞懸濁液を20μl 加
え、濃度の異なる125I-EPOと共に15℃、3時間反応さ
せた。反応液の全量をあらかじめ10%ショ糖溶液20
0μl を入れたマイクロ遠心チューブに重層して500
0G、2分間、4℃にて遠心後、チューブを−80℃で
凍結した。凍結後、沈降した細胞部分を切断し、ガンマ
カウンターで放射能を測定した。なお、添加した125I-E
POの400倍の濃度になるように非標識EPO を入れ、同
様に操作して測定した放射能を125I-EPOの細胞への非特
異的吸着量として、これを差し引いた値を特異的結合と
した。Scatchard 解析により細胞1個当りの結合部位数
を求めた。
【0061】(3)rh-EPOのビオチン化 脱塩・凍結乾燥したEPO を0.1M 酢酸緩衝液(pH
5.5)で1mg/ml になるように溶解し、Sodium meta-
periodate 溶液(シグマ社製)を最終濃度1mMで加え、
暗所・0℃で30分間反応させた。Fast Desalting col
umn (ファルマシア社製)でSodium meta-periodate を
除き、得られたEPO 画分に対して1/10量の5mM Bio
tin-LC-Hydrazide溶液(ピアス社製)(0.1M 酢酸緩
衝液に溶解)を加えた。室温で1時間反応した後、0.
1M Tris-HCl緩衝液(pH7.5)で中和し、未反応の
Biotin-LC-Hydrazide をセントリプレップ10(アミコ
ン社製)で除去した。セントリプレップ10で0.02
% Tween20を含むPBS に溶媒置換し、同溶媒で平衡化
したSuperdex 75 column(ファルマシア社製)でビオチ
ン標識EPO (b-EPO )を精製した。得られたb-EPO をSD
S-PAGE後、PVDF膜に転写し、ストレプトアビジン- 西洋
ワサビペルオキシダーゼを用いて、ビオチン標識を確認
した。また、定量はEIA で行い、EPO 依存性細胞株によ
り、b-EPO は非標識EPO と同等の比活性を有することを
確認した。
【0062】(4)EPO レセプターのフローサイトメト
リーによる解析 UT-7/EPO細胞をEPO 非存在下に24時間培養し、Ficoll
-hypaque density gradient 法にて細胞を分離、PBS で
2回洗浄した後、PFN にて5×106 cells/mlに調製し
た。細胞懸濁液50μl にPFN 5μl を加え、37℃で
1時間反応させた。次いで、種々の濃度のb-EPO を5μ
l 加え、更に37℃で1時間反応させた。PFN にて細胞
を2回洗浄後、SA-RED 670 4μl を加え、4℃で30分
反応させた。PFN で細胞を2回洗浄後、500 μl のPFN
に懸濁し、フローサイトメトリーにより解析した。な
お、過剰量の非標識EPO を加え、同様に操作したものを
対照として用いた。また、UT-7/EPO細胞に一定濃度のb-
EPO を加え、種々の濃度の非標識EPO を添加することに
よりEPO レセプターへの特異的結合の検討を行った。
【0063】(5)解析結果 1)binding assay とフローサイトメトリーによるEPO
レセプターの検出スキャッチャード プロットの結果を
図7のAに示した。すなわち、125I-EPOにより検出され
たUT-7/EPOのEPO 結合部位数は約40000sites/cell
であった。また、SA-RED 670を用いて行ったフローサイ
トメトリーの結果を図7のBに示した。すなわち、図7
のBは、b-EPO を用いたフローサイトメトリーであり、
グラフは、染色していないコントロール(──)に対し
て、非特異的結合のコントロールとしてb-EPO の過剰量
の非標識EPO を加えたもの(───)と加えなかったも
の(━━━)を示す。この結果から、b-EPO の添加によ
る蛍光強度の増加が明らかであり、フローサイトメトリ
ーによってもEPO レセプターが検出できることが示唆さ
れた。
【0064】2)b-EPO 及びSA-RED 670を用いたフロー
サイトメトリーによるEPO レセプターの検出 b-EPO の使用濃度とD値の関係を検討した。図8に各b-
EPO 濃度とフローサイトメトリーの解析結果から得られ
たD値との関係を示した。すなわち、図8において示さ
れた各濃度のb-EPO とUT-7/EPO細胞をインキュベート
し、SA-RED 670で染色後、フローサイトメトリーにより
解析した。過剰量の非標識EPO を加え、同様に操作した
ものを非特異的蛍光の対象とし、特異的蛍光によるヒス
トグラムのシフトをK-S 解析によるD値で表した。この
結果、一定濃度以上のb-EPO を用いれば、一定のD値が
得られることが分かった。また、飽和量以下のb-EPO を
使用した場合、加えたb-EPO 濃度とD値の間には正の相
関があることが示された。
【0065】次に、一定量のb-EPO に対し、非標識EPO
の添加濃度とD値との関係をフローサイトメトリーによ
り解析した(図9)。すなわち、b-EPO (2.5ng/ml
)と図9に示した各濃度の非標識EPO 各10μl をUT-
7/EPO細胞(5×106 cells/ml)50μl に加えてイ
ンキュベートし、SA-RED 670で染色し、フローサイトメ
トリーにより解析した。図9に示すように、非標識EPO
の濃度を高めることによりこの濃度の対数に対し直線的
にD値の減少を認めた。これによりb-EPO と非標識EPO
はEPO レセプターに競合的に結合することが確認され
た。従って、b-EPOとSA-RED 670を用いる本測定法はEPO
レセプターに特異的であることが示唆された。
【0066】なお、上記方法と同様にして、インターロ
イキン−1、インターロイキン−2、インターロイキン
−3、インターロイキン−6、GM−CSF(granuloc
yte/macrophage colony-stimulating factor )を対象と
して、試験した結果、これらのサイトカインについても
同様に実施し得ることが分かった。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明は、従来、
定性的な解析にとどまっていたサイトカインレセプター
の解析方法を改善し、その定量的解析を可能とするフロ
ーサイトメトリーによるG−CSFレセプターを含む各
種サイトカインレセプターの定量方法に関するものであ
り、本発明によれば、2×105 個レベルの少量の細胞
数(血液量として数ml程度)で、患者側への負担をかけ
ることなく、迅速、簡便に被検細胞表面上のサイトカイ
ンレセプターの数を定量することができる。
【0068】また、比較的レセプター数が少ない急性骨
髄性白血病(AML)患者等の芽球についてもフローサ
イトメトリーにより高感度に検出することができること
から、AMLの診断における使用、白血病患者にサイト
カインを投与する際の事前検査等に利用することができ
る。
【0069】更に、本発明方法は、他の蛍光標識モノク
ローナル抗体と組み合わせた2重染色法、3重染色法等
の多重蛍光染色法によるフローサイトメトリーの解析に
より、被検細胞の定性的解析と当該細胞のサイトカイン
レセプター数の定量とを同時的に行うことが可能であ
り、かかる方法によってイムノフェノタイプでゲートを
かけた形で血液細胞のある系統、分化段階のレセプター
の解析を高精度、高効率に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】K−S解析によるD値の算出方法を示す。
【図2】SA−PEを用いたときのヒト顆粒球における
b−G−CSF(biotin-labeled G−CSF) 濃度と
D値(D value)の関係を示す。
【図3】SA−RED613とSA−PEを用いたとき
のヒト顆粒球に結合したb−G−CSFのフローサイト
メトリーによる検出感度の比較を示す。
【図4】SA−RED613を用いたときのヒト顆粒球
におけるb−G−CSF(biotin-labeled G−CS
F) 濃度とD値(D value)の関係を示す。
【図5】非標識rhG−CSFによるb−G−CSFのヒ
ト顆粒球への特異的結合抑制を示す。
【図6】U937、ヒト顆粒球、FD11-10 のG−CS
Fレセプターの検出を示す。図中、Aは、〔 3H〕rhG
−CSFを用いたbinding assay による特異的結合のス
キャッチャード(Scatchard )解析を示す。また、図
中、Bは、b−G−CSFとSA−PEを用いたフロー
サイトメトリーを示す。
【図7】図中、Aは、125I-EPOを用いたbinding assay
によるスキャッチャード(Scatchard )プロットを示
す。また、Bは、SA−RED670及びb−EPOを
用いたときのフローサイトメトリーを示す。
【図8】SA−RED670を用いたときのb−EPO
濃度とD値(D value)の関係を示す。
【図9】非標識EPOによるb−EPOの結合阻害を、
添加した非標識EPO濃度とD値(D value)の関係で
示す。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 33/53 G01N 33/536 G01N 33/58 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の工程、 被検細胞を含む検体に被検対象のレセプターに対応す
    るビオチン標識サイトカインを加えて反応させる、 励起波長と蛍光波長の差が少なくとも50ナノメータ
    ー(nm)以上の蛍光物質をアビジンに結合した蛍光物
    質標識アビジンを添加して反応させ、未反応物質を除去
    した後、フローサイトメトリーにより蛍光強度(蛍光強
    度A)を測定する、 一方、被検対照として、被検細胞を含む検体に上記ビ
    オチン標識サイトカインと大過剰量の非標識サイトカイ
    ン及び上記蛍光物質標識アビジンを添加し反応させ、未
    反応蛍光物質を除去した後、フローサイトメトリーによ
    り蛍光強度(蛍光強度B)を測定する、 対照との蛍光強度差〔蛍光強度A−蛍光強度B〕(D
    値)を求め、予めレセプター数とD値の関係に基づき作
    成した検量線から細胞表面上の該当サイトカインレセプ
    ター数を求める、を含むことを特徴とする細胞表面上の
    サイトカインレセプター数の定量方法。
  2. 【請求項2】 サイトカインが、顆粒球コロニー刺激因
    子(G−CSF)又はエリスロポエチン(EPO)であ
    る請求項1記載のサイトカインレセプター数の定量方
    法。
  3. 【請求項3】 蛍光物質が、エネルギー移行型蛍光色素
    である請求項1記載のサイトカインレセプター数の定量
    方法。
  4. 【請求項4】 蛍光物質が、RED613、RED67
    0である請求項1記載のサイトカインレセプター数の定
    量方法。
  5. 【請求項5】 請求項1の方法における蛍光物質と励起
    波長がほぼ同じで蛍光波長が異なる蛍光物質で標識した
    細胞表面抗原に対するモノクローナル抗体を組み合わせ
    た多重蛍光染色により、被検細胞の定性的解析と請求項
    1記載の方法に基づく当該細胞のサイトカインレセプタ
    ー数の定量とを同時的に行うことを特徴とする細胞の解
    析方法。
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