JPWO2007136026A1 - 抗原タンパク質の定量方法及び定量用キット - Google Patents

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Abstract

本発明が解決すべき課題は、現状よりも正確に細胞表層タンパク質を定量することが可能な、フローサイトメーターを用いた定量方法を提供することである。
本発明者らは、この課題が、抗原タンパク質の既知かつ異なる量が担持された2種以上のビーズへの標識された当該抗原タンパク質に対する抗体の結合量を、フローサイトメーターにて測定することにより得られた蛍光強度と、前記抗原タンパク質の既知量の数値との間における検量線を作成し、さらに、標識された抗原タンパク質に対する抗体を、被験者の血液検体に由来する被験細胞に反応させてフローサイトメーターにて測定を行い、得られた蛍光強度と、前記検量線との比較換算により数値化して明らかにすることを特徴とする、被験細胞あたりの抗原タンパク質に対する抗体の認識サイト数(site/cell)の定量方法を提供することを見出し、本発明を完成した。

Description

本発明は、抗原タンパク質の定量方法に関する発明である。本発明は、フローサイトメーターを用いた定量方法と定量用キットに関し、細胞表層の抗原タンパク質の定量方法に関する発明である。本発明は、例えば、主にヒト白血球(単球)表層に存在するトール様受容体の定量に適している。トール様受容体の定量を行うことにより、医療分野において種々の指標が提供される。

細胞表層タンパク質に対する特異的抗体を用いたフローサイトメーター解析は、方法自体は非常に簡便である。

例えば、血液から比重遠心法によって白血球を分離し、調べたいタンパク質に特異的な蛍光ラベル抗体で反応させたのちフローサイトメーターにかけ、目的とする細胞画分のゲートの中にある細胞に結合している蛍光抗体の蛍光強度の測定によって目的タンパク質の発現を調べることができる。比較的多数の検体処理にも対応可能で、細胞表層の抗原の有無を調べ、その陽性率を求める検査法として広く使われている。しかし、発現強度の強弱による発現量の比較は、比較するもの同士を同時に測定することによってある程度可能であるものの、例えば、測定日が変わってしまうと気温の変化によるフローサイトメーターの光電子管の感度の変化、標識抗体の劣化やロット間格差による力価の違いによる結果数値の変化等が認められるため、測定のセッティングを、前日と全く同じくしても、日を違えて経時的な変化を調べたり、測定ごとの結果を比較したりすることは困難である。したがって、細胞表層の抗原タンパク質について、平均蛍光吸光度(MFI)で定量値を求めたとしても、蛍光強度からなるその数値は、原理的に信頼性という観点から、臨床応用が可能なまでに洗練された測定系にはなり得ない。このように、当該定量値をもっての被験者の感染症についてのデリケート判断は困難である。これについては、後述する実施例にて説明する。

単球あたりのTLR2のsite/cell定量値を、フローサイトメーターにより求めることが可能な一般的な手法は、すでにいくつか提供されている。

例えば、(1)蛍光物質が定着している4種類のビーズを測定日ごとに測って検量線を作成し、測定した被検体の蛍光強度を蛍光物質の分子数に変換することにより、測定日ごとの機器の感度変化による蛍光強度のずれを補正して経時的な比較を可能とする手法(BD社のQuantiBrite)や、(2)既知量のマウスIgGが固定されている4種類のビーズが用意されており、蛍光ラベルされた抗マウスIgG抗体での二次抗体反応を、そのビーズとマウスIgG一次抗体で反応させた被検体と同時に行い、測定することにより、マウスIgGの量に換算して測定ごとのずれを補正して経時的な比較を可能とする手法(DAKO社のQIFIKIT)、が提供されている。これらのいずれの手法によっても、ある程度の前記フローサイトの信頼度を上げ、さらに、(2)の手法によっては、測定数値の単位上は、site/cell定量数値として求めることができる。しかしながら、前者(1)の手法は、抗体の劣化等、機器以外の要因の変化があった場合には、これが大きな誤差(不正確性)の要因となる。また、後者の(2)の手法は、機器と二次抗体に関しての補正は効くが、調べる抗原を認識する一次抗体の劣化等があった場合に、起こる測定結果の不正確性に対処した方法にはなっていない。

そこで、本発明が解決すべき課題は、さらに正確に細胞表層タンパク質を定量することが可能な、フローサイトメーターを用いた定量方法を提供することにある。

本発明者は、上記課題の解決に向けて鋭意検討を行った結果、抗原タンパク質の既知かつ異なる量が担持された2種以上のビーズへの標識された当該「抗原タンパク質に対する抗体」(以下、「抗原タンパク質抗体」ともいう)の結合量を、フローサイトメーターにて測定することにより得られた蛍光強度と、前記抗原タンパク質の既知量の数値との間における検量線を作成し、さらに、標識された抗原タンパク質に対する抗体を、被験者の血液検体に由来する被験細胞に反応させてフローサイトメーターにて測定を行い、得られた蛍光強度と、前記検量線との比較換算により数値化して明らかにすることを特徴とする、被験細胞あたりの抗原タンパク質に対する抗体の認識サイト数(site/cell)の定量方法(以下、本定量方法ともいう)を提供することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。

本発明により、細胞表層タンパク質のフローサイトメーターでの定量解析を精度よく実施できるようになり、例えば、本発明の方法を用いたヒト単球のトール様受容体の定量解析により、デリケートな対応が必要とされる細菌感染等の感染症患者の治療方針の決定に資する有用な情報を提供する等の臨床上意義ある効果が認められる。

精製段階ごとのサンプルについてのSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動像を示す図である。 4つの異なったTLR2量を結合させたビーズを作成し、これを標識抗体と反応させた結果を、フローサイトメーターにて解析した結果を示す図である。 TLR4を結合させたビーズを作成し、これを標識抗体と反応させた結果を、フローサイトメーターにて解析した結果を示す図である。 CD3に対する抗体を結合させたビーズを作成し、これを標識抗体と反応させた結果を、フローサイトメーターにて解析した結果を示す図である。 IgGの平均分子量150000をTLR2抗体の分子量としてビーズに結合した抗体のモル数を算出して得られるスキャッチャードプロットを示す図である。 本定量方法による解析例を示した図である。 本発明の標準ビーズを用いた検量線を示した図である。 TLR2標準ビーズを保存安定性について検討した結果を示した図である。 細菌感染症患者と健常人の単球上のTLR2分子数を比較して示した図である。 感染症(細菌性、ウイルス性、真菌性)患者群発症時と健常者群との単球上のTLR2発現定量数値における比較検討の結果を示した図である。この分布グラフ上の感染症患者群TLR2定量数値は、それぞれの疾患におけるその発症時に検体採取して調べた値である。 感染症患者群(抗生剤投与治療中)と健常者群との単球上のTLR2発現定量数値における比較検討の結果を示した図である。この分布グラフ上の感染症患者群TLR2定量数値は、抗生剤投与治療中、治療後を通してそれぞれの病期間中で認められた、それぞれの最大値を示したものである。 90歳未満の感染症患者群(難治性重症者)、ウイルス感染患者群、健常者群における単球上のTLR2発現の定量数値における比較検討の結果を示した図である。この分布グラフ上の感染症患者群のTLR2定量数値は、その臨床症状は非常に厳しい致命的な状態にあり、もちろん、その時点で使用されていた抗生剤も効果が認められない状況下における検査数値である。 細菌感染症患者における抗生剤の有用性とTLR2分子数の関係を、WBC、CRP、TLR2発現量をそれぞれ治癒患者と再燃患者とに分けて示した図である。抗生剤著効例とは、その抗生剤を投与して2〜3日以内にWBCの正常範囲までの下降、CRPの顕著な下降あり、臨床症状としても、その発熱の速やかな低下が認められた症例である。抗生剤の弱い効果例とは、抗生剤投与以降、CRP、WBC、臨床症状のいずれに関しても、揺らぎをみせつつ経過し、一週間程度の経過を追った結果として、WBC、CRPの低下、症状の改善傾向が認められた症例群である。抗生剤無効例とは、抗生剤投与下にあっても、WBC、CRPの検査所見、臨床症状のいずれにおいても増悪傾向を認めた症例群である。 細菌性感染症患者の病期間中のTLR2定量数値に関するフォローアップを行った結果を示す図である。(a)細菌感染症にて入院となり、抗生剤治療により一旦は寛解した37名の患者に関して、抗生剤中止時点の前後3週間にわたりTLR2数値の経過を追ったものである。抗生剤を中止して以後3週間の間にその再燃を認めず完治した症例24名と抗生剤中止以後3週間の間に感染の再燃を認めた13名に分けてグラフ化したものである。(b)完治群と再燃群に分けた上で、抗生剤中止時点でのWBC、CRP、TLR2値のそれぞれの数値をプロットして示した。 インフルエンザ感染患者群(発症時)と健常者群のTLR2定量数値における比較検討の結果を示す図である。この分布グラフ上には、インフルエンザ感染症発症時のTLR2定量数値が示された。 普通感冒における重症度別の、単球上におけるTLR2定量数値との関連性を検討した結果を示す図である。普通感冒(ウイルス疾患)をその臨床症状(熱、全身倦怠感、食欲、咳、鼻水、補液治療の必要性の有無)で、軽症例と重症例に分けて、それぞれのTLR2値の分布状況を表したグラフ図である。 インフルエンザ感染患者群におけるTLR2定量数値のフォローアップの結果を示す図である。インフルエンザ感染者群24名について、Open Circle(23名)として、インフルエンザ感染症発症から、その治療薬 Oseltamivir(タミフル)内服後の経過に関して典型的なTLR2数値の治癒パターンが示された。一方、Solid Circle (1名)で、その経過過程において、異常な症状(近位筋の脱力)を呈した一例を示した。 心房細動不整脈患者群と健常者群のTLR2定量数値における比較検討の結果を示す図である。心房細動不整脈を患う患者のTLR2数値とその患者群にage-matched、sex-matchedさせた健常者群を抽出し、その健常者の有するTLR2数値をプロットした分布図で、両者を比較検討したものである。 冠動脈有意狭窄罹患枝数とTLR2定量数値の関係を検討した結果を示す図である。心臓冠動脈疾患を有する患者を、その冠動脈有意狭窄をもつ動脈枝数で患者を3群にわけて、それぞれのTLR2定量数値をプロットし、比較検討したものである。

[本定量方法]
本定量方法の前提として、抗原タンパク質の異なる量が担持された2種以上のビーズ(標準ビーズ)を作成して、それぞれの抗原タンパク質の分子数に相当する量の決定を行うことで、ビーズにおける抗原タンパク質量を既知とすることが、上記の検量線を作成するために必要である。

当該2種以上のビーズとは、例えば、同一のビーズ群のうち、一つの群は、抗原タンパク質を1倍(ある量)担持させ、他の群は抗原タンパク質を、その10倍量担持させ、残りの群は抗原タンパク質を、その100倍量担持させる等、抗原タンパク質の担持量が特定されている抗原タンパク質の担持ビーズを、2種以上、好適には4種以上の担持量にて用いることを意味する。なお、抗原タンパク質とビーズ量、あるいは反応液量等の反応条件を変えることによって、抗原タンパク質の結合量が異なったビーズを作ることが可能となる。

用いられるビーズは、臨床検査分野において汎用されているビーズであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ラテックスビーズ等を用いることができる。担持される抗原タンパク質は、天然のタンパク質を用いてもよいが、現実的には、遺伝子組み換えにより得られる組換えタンパク質であることが好適、かつ、現実的である。

抗原タンパク質として好適なタンパク質の一つとして、トール様受容体タンパク質(TLRタンパク質)が挙げられる。トール様受容体タンパク質の詳細については後述する。TLRのうち、TLR2に対して本定量方法を適用することで、罹患した各種感染症の種類の鑑別や病状のモニタリングに対して有用な指標が提供されることが開示されている。その他、TLR4も感染症の鑑別に有用であり、TLR1は、ウイルス疾患の罹患の指標として有用である。その他、CD14、CD3等、さらにはこれら(トール様受容体タンパク質を含む)の抗体を、本定量方法における抗原タンパク質として挙げることができる。

抗原タンパク質のビーズへの結合は、常法により行うことができる。例えば、市販のアミノ基がついたラテックスビーズをグルタルアルデヒドあるいはカルボジイミド処理してビーズにタンパク質をつける方法や、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドによってカルボキシ結合させる方法、ビス(サルフォサクシニミジル)サベレートやジサクシニミジルサベレート等のリンカーを用いて結合させる方法、市販のカルボキシル基がついたラテックスビーズをカルボジイミド処理してタンパク質をつける方法、市販のストレプトアビジンをコートしたラテックスビーズにビオチンラベルしたタンパク質を結合させる方法や、市販の抗マウス抗体ラベル磁気ビーズに抗Hisタグ抗体を作用させHisタグのついた抗原タンパク質を反応させて作る方法等が挙げられ、これら以外にもさまざまな方法がある。

このビーズにおける抗原タンパク質の担持量の決定方法は特に限定されるものではなく、一般的なタンパク定量によって求めることが可能である。例えば、抗原タンパク質に対する抗体などの、抗原タンパク質に特異的に結合する物質において、放射性同位体、蛍光色素、発色色素等により標識を行った当該抗原タンパク質結合物質と、標識されていない当該抗原タンパク質結合物質を準備し、順次異なる割合で混合し、標識された当該抗原タンパク質結合物質が、ビーズに担持された抗原タンパク質に結合する数量を、選択された上記標識を検出し得る方法にてカウントし、当該カウントにより得られた数値群と標識又は非標識の当該抗原タンパク質結合物質の割合から作成された検量線を基に(標識又は非標識の当該抗原タンパク質結合物質を混合する割合に応じて、その間で起こる競合作用の原理から標識された当該抗原タンパク質結合物質の結合量は異なってくる)、異なる抗原タンパク質量が担持された2種以上のビーズにおける抗原タンパク質分子のそれぞれの数量が決定できる(実際の抗原タンパク質分子数ではなく、それに相当する値であるが、便宜上、以下、抗原タンパク質分子数と表記する)。

このようにして製造される抗原タンパク質が担持されたビーズの保存方法は特に限定されず、液体窒素等による極低温保存、凍結乾燥保存、−20℃程度の低温保存、4℃程度の低温保存、常温保存等を行うことができる。その保存安定性と簡便性の双方を考慮すると凍結乾燥保存を行うことが、特に好適である。

続いて、フローサイトメーターにより、抗原タンパク質が異なる既知量にて担持された2種以上のビーズの測定を、抗原タンパク質に対する蛍光標識抗体(ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよい:常法により製造した抗体であっても、市販品であってもよい)を用いて行うことができる。当該2種以上のビーズと蛍光標識抗原タンパク質抗体のそれぞれの結合量(当該結合量は、抗体でとらえるために抗原量としても表記できる)に関して、各種ビーズ1個あたりの抗原タンパク質分子数とフローサイトメーターで得られたそれぞれの蛍光強度結果の関係をプロットして測定毎に検量線を作成し、当該検量線により、同じくフローサイトメーターにて測定された、被験細胞における抗原タンパク質抗原−抗体結合量に応じた蛍光強度を、抗原タンパク質分子数に換算して、被験細胞(1細胞)あたりの抗原タンパク質抗体認識部位数(site/cell)として数値化し、普遍化することができる。

上記に記した如く、測定毎に検量線を作成するに際しては、上記の抗原タンパク質の既知かつ異なる量が担持された2種以上のビーズを蛍光標識された抗原タンパク質抗体に反応させ、フローサイトメーターで得られたそれぞれの蛍光強度結果の関係をプロットし検量線を描き、続いて、被験細胞の抗原タンパク質定量を行うことによる、検量線の作成と被験細胞の抗原タンパク質発現量測定は独立させる方法、あるいは、抗原タンパク質の既知かつ異なる量が担持された2種以上のビーズと被験細胞を共存させ、そこに蛍光標識された抗原タンパク質に対する抗体を加えて反応させ分析することで、検量線の作出と被験細胞における抗原タンパク質に対する抗体結合量に関する蛍光強度の結果を、同一のフローサイトメーター測定系において得る方法のいずれをも選択できる。

本定量方法は、簡便性にも優れ、高い感度で、しかも、経時的観点からの普遍性や共通の基準設定(測定者、フローサイトメーターが変わることを想定した場合にも対応可能)をもって、抗原タンパク質等の抗原量を被験細胞における特異的抗体の認識サイト数として測定結果を表現可能とするものである。

ここで、被験細胞とは、動物の細胞であれば特に限定されず、検出対象となる細胞表層の種々の受容体の種類に応じて選択することができる。特に、白血球[顆粒球:好中球、好酸球、好塩基球、無顆粒球:リンパ球(B細胞、T細胞、NK細胞等)、単球]が好適な被験細胞として例示される。これらの被験細胞は、常法により生体から分離され、本定量方法に供することができる。

[定量用キット]
本発明では、本定量方法を行うための定量用キット(以下、本定量用キットともいう)を提供する。

本定量用キットは、上述した本定量方法を行うために必須の、又は、選択的に必要な要素を含んで構成されるものである。

具体的には、本定量用キットには、少なくとも抗原タンパク質の既知かつ異なる量が担持された2種以上のビーズが構成要素として含有される。そして、標識された当該抗原タンパク質に対する抗体を用いて、上述した本定量方法を行うことができる。無論、本定量用キットにおいて、上記2種以上のビーズと当該抗原タンパク質に対する抗体の双方を構成要素として含有させることも可能である。

また、その他、希釈用溶媒、コントロール抗体、洗浄液、白血球分離液、反応チューブ等を構成要素として含有させることも可能である。

本定量用キットにより、本定量方法を効率的に行うことが可能である。

[トール様受容体]
前述したように、本定量方法における検出対象となる抗原タンパク質として好適な対象として、トール様受容体(TLR,toll like receptor)が挙げられる。

トール様受容体(toll like receptor:略称TLRs)は、最初ショウジョウバエにおいて真菌感染の防御に働くレセプタータンパク質として見出され、トール受容体と命名された(LemaitreらCell, 86:973-, 1996)。その後、ヒトにおいて、その類似タンパク質(ヒトホモログ)として見いだされたのものが、トール様受容体である。生体の免疫系には、抗原特異的な抗体産生のように、遺伝子の再構成を必要として、細菌、ウイルス、真菌等の病原体に対する特異性を作り出す獲得免疫系と、遺伝子再構成を必要とせず病原体を認識し、速やかに働く自然免疫系とに分けられる。TLRsは、自然免疫を担い、病原体成分を「パターン認識」する受容体であると同時に、免疫の初期応答と、それに続く獲得免疫を惹起する重要な役割を担っている。TLRsは、本出願時までに12種類が報告されており(Barton and Medzhitov: Toll-like receptors and their ligands. Corr. Top. Microbial. Immunol. 2002, 270:81-92)、TLRs(トール様受容体)とは、これらのレセプター(TLR1〜12)の総称である。これらのうち、TLR2は、TLR1若しくはTLR6とヘテロダイマーを形成し、それぞれグラム陽性菌、真菌の菌体成分をそのリガンドとして認識する。TLR4は、グラム陰性菌のリポポリサッカライド(エンドトキシン)を認識し、TLR5は、細菌の鞭毛を構成するタンパク質フラジェリンを認識する。TLR3とTLR7とTLR8は、それぞれにウイルスの2本鎖RNAとウイルス由来の1本鎖RNAを認識する。非メチル化CpG DNAは、TLR9によって認識される。

<トール様受容体測定の感染症に対する適用>
感染症は、細菌、ウイルス、真菌等の病原体が、宿主に侵入し、増殖することで、病原体(もしくは病原体の保持する毒素)による宿主側の細胞破壊が進行し、また、炎症反応が惹起される結果として、宿主臓器に障害がもたらされる疾患の総称である。特に、易感染宿主(高齢者、糖尿病患者、癌化学療法中あるいは臓器移植後で免疫抑制剤使用中の患者、ステロイド長期内服中の患者、後天性免疫異常患者等)では、その致死率も高いことから、治療においては、薬剤の選択、薬剤変更のタイミングおよびその中止時期に関して細心の注意が必要とされる。診断は、白血球数(WBC)、C反応性タンパク質(CRP)等の血液検査における炎症所見、臓器症状(身体所見、理学所見)、病原体の同定の必要3項目の総合的な結果に基づき判断される。ただし、起炎菌の同定に際しては、分離された検体が本来無菌的か否かを考慮する必要がある。

しかし、実際は、感染症の診断とその原因菌の同定は、それほど簡単にいかない場合も多い。特に、患者の自覚症状が乏しく、他覚所見も見あたらない場合には、感染を起こした臓器が掴めず、まして、この場合の検体分離、起炎菌の同定は不可能である。さらに、血液検査の炎症所見(WBC、CRP)の様相も、病原体の種類によって異なり、また病期によって様々に異なる所見が認められる。その上、その所見それぞれにおいて、鑑別を要する他の疾患(感染症と血液所見が酷似した疾患)も数多く存在している。従って、繰り返しの血液検査を行っても、感染症と診断することが甚だ困難な場合がある。また、感染症の原因となる病原体には、細菌、ウイルス、真菌等が存在し、感染している病原体がいかなる種類のものなのかを掴むことが難しい場合もあり(ウイルス感染の診断のためのペア血清を用いた抗体価測定は、感度が低いとされている)、さらに、病原体が複数種にわたる混合感染症のケースも少なくないため、正確な感染症の診断は、それに至る過程が複雑を極め、困難を伴うものである。

次に、感染症の治療に際しては、病原体の種類、罹患病巣、宿主要因、重症度等を踏まえ、各種の抗生剤、抗ウイルス薬、抗真菌剤のうちから、有効と予測される薬剤が選択され、投与される。その一方で、薬剤投与が長期化すればするほど、腎機能障害、偽膜製腸炎、薬剤性肝障害等の重篤な副作用を招いてしまう危険性が増す。また、不用意な薬剤投与の長期化は、特に、易感染患者において、薬剤耐性菌(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)等)の宿主への感染機会を増大させる結果を招いてしまう。それ故に、薬剤投与期間は可能な限り短期間であることが望ましい。感染症の治癒段階での薬剤投与の中止は、血液炎症所見(白血球数、CRP)を参考に、臨床経過の注意深い観察から医師の経験則に従って、判断される。このような現状では、感染症の再燃発症を免れることは困難である。感染症の再燃により、抗生剤の再投与、入院期間の延長、あるいは、退院後即再入院等が必要となり、患者の苦痛や負担がより大きいものとなる。

現時点では、上述した様々な臨床上の問題に対する決定的に有効な方法論は、未だ提示されていない。本発明者は、上述したトール様受容体、中でも、TLR2について、白血球の一種である単球(以下、単球ともいう)、特に、当該単球の細胞膜におけるTLR2の発現量変化に関する性質を明らかにした。TLR2の定量値が、臨床上、極めて重要な指標となり、感染症を中心として、従来の炎症マーカー以上に、その病態に関するモニタリングにおいて有用であることを見出した。ここで見出されたTLR2の単球における発現量に関する性質とは、虚血、自己免疫疾患、癌、手術侵襲、打撲等の非感染性の炎症や疾患においては、TLR2の定量値の上昇は認められないが、感染症においては、たとえ局所の炎症であっても、単球におけるTLR2の発現量に顕著な上昇が認められ、しかも、病原体の種類に応じて、その上昇程度に差異が生じるというものである。すなわち、本定量方法により、被験者の血液検体におけるトール様受容体タンパク質の定量を行うことで、当該定量値を指標として、宿主の感染状態を明らかにすることを特徴とする、感染症の検出および感染症病態のモニタリングを、高感度、かつ、的確に行うことができる。

すなわち、本定量方法は、簡便性にも優れ、高い感度で、しかも、経時的観点からの普遍性や共通の基準設定(測定者、フローサイトメーター機器が変わることを想定した場合にも対応可能)をもって、TLR2の抗原量を単球膜における特異的モノクローナル抗体の認識サイト数として測定結果を表現することが可能である。

その他、細胞膜上に発現したタンパク質抗原ではなく、単球におけるTLR2のmRNAを定量化し(Armstrongら、Clin.Exp. Immunol. 136: 312-319, 2004)、敗血症患者における臨床病態、その起炎菌のグラム陽性、陰性によるTLR2とTLR4の反応の違いをあらわそうとする試みもなされているが、本定量方法により得られる、細胞膜上TLR2タンパク質量変化に匹敵するようなmRNAレベルでの量的変化はなく、臨床検査としての実用性に関しては疑問であり、さらに、mRNAレベルの定量における手技は、細胞内からmRNAを抽出する過程を含め、煩雑であり、その分、ロスも大きく、多数の臨床検体に対応し、正確性、かつ普遍性をもたせた数値として定量化することは、極めて困難な作業といえる。以下に、本定量方法を用いて、TLR2を定量することにより行うことができる、感染症に対する具体的な指標について説明する。

<各種の疾患へのTLR2に関する本定量方法の適用>
(a)感染症における病原体の種類(細菌性、ウイルス性、真菌性)の鑑別
本定量方法を行うことによる、単球あたりの「TLR2に対する抗体」(以下、「TLR2抗体」又は「抗TLR2抗体」ともいう)の認識サイト数の定量値が、統計的な健常者の範囲を超えて高値である場合に、当該高値をもって感染性炎症疾患有無判断の指標とすることができる。また、重症細菌感染症に罹患していない被験者の場合で、かつ、当該TLR2に対する抗体の認識サイト数の定量値が、統計的な非重症細菌感染症の範囲を超えて高値である場合に、当該高値をもってウイルス感染症又は真菌感染症有無判断の指標とすることが可能である。さらに、炎症疾患に罹患している被験者の場合で、かつ、当該TLR2に対する抗体の認識サイト数の定量値が、統計的な健常者の範囲内である場合に、当該健常値を、非感染性炎症疾患の指標にすることも可能である。非感染性炎症疾患としては、例えば、薬剤性臓器障害、虚血性もしくは低酸素性臓器障害、外科的侵襲を含む外傷、膠原病、自己免疫疾患、アレルギー疾患、癌疾患、非感染性の血液疾患等が挙げられる。

感染症の病原体を迅速、かつ正確に特定することの必要性は、そのことが、当該感染症に対する有効な治療薬剤の選択に直結するからであり、当該感染症をできる限り速やかに治癒に向かわせるための重要なステップともいえる。特に、易感染者の感染症の場合には、その病原体が、細菌、ウイルス、真菌にまたがる混合感染である場合も少なくなく、一般的な血液炎症所見であるWBC、白血球の分画、CRPの動きからでは、その病原体の同定は、かなり難しい症例もある。胸部レントゲン、胸部CT所見などの画像も参考に、専門的知識と経験を備え、病原体に特徴的な所見を指摘できたとしても、迅速診断(病原体の特定に)至る例は、むしろ数少ない。それぞれに、更なる病原体に特異的な検査(真菌感染の場合は、血中β-Dグルカン、ウイルス感染などの場合は、ペア血清の抗体価など)を重ねて、診断基準に照らし、十分な証拠となり得る結果が集まってはじめて、診断が確定される。実際の臨床現場では、例えば、試験的に投与した抗生剤が効き完治したことによって、治療後に、細菌性であったとの確証を得る場合も少なくない。逆に、最も頻度が高い細菌性感染症にとらわれるばかりに、他の病原体による感染である可能性を疑うことすらせず、抗生剤の効果がないことで、はじめて、他の病原体による感染の可能性を考え、ようやく特異的な検査を行う場合も稀でない。その間、当然、適切な薬剤の投与はできず、病原体に対して、ただ増殖の機会を与えるのみとなり、その結果として、感染症の重篤化を招く。

本定量方法を単球上のTLR2に適用すると、TLR2の発現量の上昇程度に応じて、各病原体による差異が認められることにより、細菌感染に加え、真菌、あるいは、ウイルス感染の合併が考えられるのか、それとも細菌だけが感染している状態なのか、等の判断が、比較的容易になり、また、そのことによって、ある病原体感染の疑いをもち、その検出を目的とする特異的検査を実施し易くもなる。具体的には、ウイルスの感染(ただし、普通感冒などで認められる軽症のウイルス感染症は除く。一般的には、ウイルス感染は発症とともにそのウイルス特有の強い症状を呈し、新たな合併症に発展しない限り、その重症度幅は比較的狭い疾患である)、あるいは真菌感染の急性期(未治療の段階)においては、末梢循環単球膜上の蛍光標識抗TLR2抗体処理単球細胞の一細胞あたりの抗体認識部位数の定量値は、およそ7000sites/cell 〜 10000 sites/cellという高値を示す。一方、細菌感染症のみの場合には、その発症時の急性期(未治療の段階)において、単球膜上のTLR2の当該定量値は、およそ5500 sites/cell 〜7000 sites/cellの範囲に入る。ただし、細菌感染症が長期化しその重症度は高くなり、しかも、ほとんど抗生剤の有効性がない場合に、およそ7000 sites/cell〜10000 sites/cellという高値を示す。この性質を活用すれば、感染発症時において、患者の末梢単球膜上でのTLR2の当該定量値を測定した結果、およそTLR2<7000 sites/cellであれば、細菌感染症のみを疑い、およそTLR2>7000 sites/cellの場合には、ウイルス単独感染である可能性、真菌単独感染である可能性、あるいは細菌に加えて、真菌、ウイルスの混合感染である可能性を検討すべきとの、およその見当がつく。なお、健常者が示すTLR2の数値は、およそ2000 sites/cell〜6000 sites/cellの範囲に入る。もちろん、ウイルス感染では、一般的にWBCの数値が、ほとんど変動せず(低下する傾向もあり)、細菌感染や真菌感染では、WBCの上昇、好中球分画の上昇が認められる従来の知見も、併せて参考にすべきことは、言うまでもない。

ただし、前述したように、ここに記載した一細胞あたりのTLR2抗体認識サイト数は、実際上の一細胞あたりのTLR2分子の絶対数ではない。粒子の大きさやTLR2の結合方法を変えた標準ビーズを用いた場合、あるいは認識部位が異なる抗TLR2抗体を用いた場合、その換算値としてのTLR2サイト数は異なってくる。したがって、本発明は記載された数値に限定されるものではなく、また、必要に応じて健常者の基準値の再設定および異常値レベル程度の設定がなされるべきものである。

(b)感染症に対する薬剤の有効性の検討
本定量方法を単球上のTLR2に適用する場合、血液検体が感染症治療薬投与開始後の被験者の血液検体であり、単球あたりのTLR2に対する抗体の認識サイト数の定量値が統計的な健常者の範囲内へと減少した場合に、当該感染症治療薬が被験者に対して有効であることの指標とし、かつ、当該定量値が統計的な健常者の範囲を超えて高値である場合には、当該感染症治療薬の被験者に対する著効性を否定する指標とすることができる。

自覚症状、または、他覚所見から肺炎、腸炎、腎盂腎炎など、速やかに感染臓器が特定できるような場合には、それぞれ痰、便、尿などのサンプルを採取し、細菌培養、真菌培養にて、病原体を同定でき、その薬剤感受性を調べることで、現在投与中、あるいは、まだ投与していない各種抗生剤、抗真菌剤の効果を予測することが可能となる。しかし、薬剤感受性試験の結果から有効とされる薬剤が選択投与されても、実際、感染症患者においてその薬剤の効果がほとんど認められない場合もある。その理由としては、サンプルが、起炎菌を確実に捉えられていない可能性が一つには考えられ、また、薬剤投与による菌交代現象の結果として新たな起炎菌、耐性菌が、短期間のうちに次から次へと出現してくるような場合に、上記現象は起こり得る。感染症患者における薬剤効果の有無の判断は、現状では、患者の自覚、熱、心拍数の正常化を含む身体所見、血液炎症所見(WBC、CRP等)の経時的変化などを総合的にみて判断されている。

発明者は、末梢血液単球膜上のTLR2発現の測定結果が、現在投与中の薬剤効果を判断するための有用な指標になることを見出した。具体的には、治療薬投与中の血液検体において、およそTLR2>7000 sites/cellであれば、その時点での、薬剤の効果がほとんどないものと考えられ、実際、発明者は、このような場合に、それより数日後の血液炎症所見(WBC、CRP)において上昇傾向が認められる事実を明らかにした。また、およそ6000 sites/cell<TLR2<7000 sites/cellの場合には、現在投与中の薬剤の効果は、ある程度、期待でき、およそTLR2<6000 sites/cellの場合には、当該薬剤の著効を表す範囲であることを見出した。血液炎症所見(WBC、CRP)を参考に抗生剤の検討を行ってきた従来の方針と比較して、適宜、TLR2等の発現量を調べ、その結果を指標に、治療方針の決定(薬剤の選択、あるいは、変更)を行っていけば、治療過程において、患者が、発熱をはじめとする、その他の感染症状を不必要に自覚することもなく、有効性無い抗生剤から有効性有る抗生剤へと速やかに変更でき、感染症を治癒方向へと導き得る。

ただし、前述したように、ここに記載した一細胞あたりのTLR2抗体認識サイト数は、実際上の一細胞あたりのTLR2分子の絶対数ではない。粒子の大きさやTLR2の結合方法を変えた標準ビーズを用いた場合、あるいは認識部位が異なる抗TLR2抗体を用いた場合、その換算値としてのTLR2サイト数は異なってくる。したがって、本発明は記載された数値に限定されるものではなく、また、必要に応じて健常者の基準値の再設定および異常値レベル程度の設定がなされるべきものである。

(c)不顕性感染症の検出
長期化している感染症の病態は、TLR2の定量値に鋭敏に反映されているため、当該定量値の増加を検出することにより、潜在的なレベルでの感染症(不顕性感染)の検出を行うことが可能である(ここでいう潜在的とは、ウイルス感染症の場合のウイルスキャリアー、細菌感染症の場合の保菌者などを指しているものではなく、病原体に対して宿主側の防御反応が最大限に働き、ようやく病原体の増殖が抑制されているような状態をいい、自覚、他覚所見、従来の一般的検査所見においても炎症反応がほとんど検出できない不顕性感染状態を指す)。ただし、単球膜上のTLR2発現異常が関与する免疫異常、免疫耐性の状態にある特殊なケースを除く。

(i)感染症の「再燃」のモニタリング
血液検体が感染症治療薬剤投与後の感染寛解期の薬剤中止時期における被験者の血液検体であり、単球あたりのTLR2に対する抗体の認識サイト数の定量値の当該薬剤中止時期からの経時的な増加を、感染再燃の肯定的な指標とすることができる。この肯定的な数値所見として、単球あたりのTLR2に対する抗体の認識サイト数の定量値が、健常者の統計的な当該定量値の平均値に標準偏差の2倍を加算した値を超えて高値となる場合として規定することで、感染再燃のさらなる確実な指標とすることも可能である。また、本定量方法を単球上のTLR2に適用することにより、単球あたりのTLR2に対する抗体の認識サイト数の定量値の当該薬剤中止時期からの当該定量値の経時的な最大値が、健常者の統計的な当該定量値の平均値よりも低値であることを、感染再燃の否定的な指標とすることも可能である。

上述したように、抗生剤等の感染症治療剤を投与している感染症患者に対して、適宜、本定量方法をTLR2に対して行い、モニタリングし、単球あたりのTLR2に対する抗体の認識サイト数の定量値が一定の値以下になった時点で、当該感染症治療剤の投与を中止したならば、潜んでいた病原体による感染症再燃のケースを著しく低下させられる事実を、発明者は、具体的な感染症例を積み上げ実証している。そして、その細菌感染症の再燃率が、そのTLR2の数値の上昇とともに増加するという、統計学的な依存性があることも証明している。かかる事項については、実施例の欄にて記載する。ただし、感染再燃を検討する上でのTLR2等の定量値による経時的モニタリングの際には、従来から行われている血液炎症所見(WBC、CRP)の数値も併せて検討する必要があり、TLR2の定量検査単独で、薬剤中止時期の判断指標になり得るというものではない。

(ii)手術等の感染症以外の疾患の治療