JP3260667B2 - 表皮電流加熱装置 - Google Patents

表皮電流加熱装置

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JP3260667B2 JP23990197A JP23990197A JP3260667B2 JP 3260667 B2 JP3260667 B2 JP 3260667B2 JP 23990197 A JP23990197 A JP 23990197A JP 23990197 A JP23990197 A JP 23990197A JP 3260667 B2 JP3260667 B2 JP 3260667B2
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邦夫 丹羽
進一 長澤
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    • H05ELECTRIC TECHNIQUES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H05BELECTRIC HEATING; ELECTRIC LIGHT SOURCES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; CIRCUIT ARRANGEMENTS FOR ELECTRIC LIGHT SOURCES, IN GENERAL
    • H05B6/00Heating by electric, magnetic or electromagnetic fields
    • H05B6/02Induction heating
    • H05B6/10Induction heating apparatus, other than furnaces, for specific applications
    • H05B6/105Induction heating apparatus, other than furnaces, for specific applications using a susceptor

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表皮電流加熱装置に
関するものであり、特に、小規模の利用に適した表皮電
流加熱装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の表皮電流加熱装置は、従来、強
磁性材料から成る発熱管内に導電線が電気的に絶縁され
た状態で通されたものとされていた。導電線に交流電源
から交流電流が流されることにより、発熱管の内側表面
に表皮電流が発生させられ、発熱させられるのである。
発熱管は、鋼等の強磁性材料から成る管体であり、導電
線としては、一般に、有機絶縁材,無機絶縁材等により
表面が電気絶縁された絶縁線が使用されている。表皮電
流加熱装置は、当初パイプラインの保温のために開発さ
れたが、後に、特公昭43−16931号公報,特公昭
52−14854号公報等に記載されているように、道
路,床面,壁面等の融雪用,凍結防止用加熱装置、ボイ
ラ,給湯設備,メッキ浴槽等の工業用熱源、パネルヒー
タ等の民生用暖房装置等に広く利用されるようになっ
た。
【0003】この種の表皮電流加熱装置においては、従
来、事情が許す限り長尺の発熱管が使用されていた。発
熱管が設置される場所が、市販の定尺鋼管の使用を許す
長さであれば、その定尺鋼管がそのままの長さで発熱管
として使用され、場所が短い場合には、その場所に合わ
せた長さに切断して使用されていたのである。しかし、
本発明の発明者は、長尺の発熱管を使用することは必ず
しも有利とは言えず、特に小規模の用途については、短
い発熱管を多数個使用して表皮電流加熱装置を構成する
方が有利である場合が多く、板状部材やブロックに貫通
孔を形成し、それらに導電線を通して表皮電流加熱装置
を構成することが望ましい場合もあることに気づいた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび効果】そこで本発明の課題は、小規模の用途に特に
適した表皮電流加熱装置を得ることを課題としてなされ
たものであり、本発明によって、下記各態様の表皮電流
加熱装置や発熱体群が得られる。各態様は、請求項と同
様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他
の項の番号を引用する形式で記載する。各項に記載の特
徴の組合わせの可能性を明示するためである。 (1)強磁性材料から成る複数の有孔発熱部材が間隔を
あけて並べられた有孔発熱部材列に導電線が電気的に絶
縁された状態で通され、その導電線に交流電源から交流
電流が流されることにより、前記複数の有孔発熱部材の
各々に表皮電流が発生させられ、発熱させられる表皮電
流加熱装置。有孔発熱部材は、次項以下において詳述す
るように、比較的短い発熱管とすることも、貫通孔を有
する板状部材やブロックとすることも可能である。要す
るに、導電線の周りに比較的大きな断面積の磁気的閉回
路を形成する強磁性材料製の有孔部材であれば、発熱部
材として使用し得るのである。導電線に電流が流されれ
ば、その周りに磁界が形成されるが、導電線の周りに磁
気的閉回路を形成する強磁性材料製の有孔部材が設けら
れていれば、磁力線は集中的にその有孔部材内を通る。
しかも、磁力線にはできる限り縮もうとする性質がある
ため、貫通孔の周面近傍に磁力線が集まる。そして導電
線に流されるのが交流電流である場合には、磁束密度が
周期的に変化し、有孔部材内にはその変化を妨げる方向
の電圧,電流が発生する。そのため、有孔部材の貫通孔
の周面近傍に磁力線と直交する向きの表皮電流が流れる
ことになり、貫通孔の周面近傍部が集中的に加熱され
る。したがって、そのような有孔発熱部材を複数個間隔
をあけて並べれば、放熱面積を広くとることができ、導
電線あるいは抵抗線の電気抵抗のみにより発熱させる場
合に比較して、最高温部の温度を低く抑えつつ多量の熱
を発生させることができるのである。そして、本発明に
従えば、以下の各態様に関してそれぞれ詳述する種々の
効果が得られる。換言すれば、発熱体のうち、下記効果
の少なくとも1つが得られる必要がある部分が有孔発熱
部材列により構成されればよいのであって、発熱体全体
が有孔発熱部材列により構成されることは不可欠ではな
い。例えば、導電線の保護が特に強く要求されるとか、
放熱性が特に優れている等、特殊な事情のある箇所で
は、導電線が従来通り長い発熱管内に配設されてもよい
のである。 (2)前記有孔発熱部材列が、外径の20倍以下の長さ
を有する複数の発熱管から成る発熱管列を含む (1)項に
記載の表皮電流加熱装置。複数の発熱管が曲線に沿って
配列される場合には、各発熱管が円弧状に曲がったもの
とされてもよいが、すべての発熱管を直線状とすること
も可能である。発熱管が短い場合には、複数の発熱管を
曲線に沿って配列することにより、曲線に近似させるこ
とができるのである。発熱管を円弧状に曲がったものと
する場合でも、同じ理由で、1種類または複数種類の円
弧に沿って曲がった発熱管を準備しておき、それらを並
べて任意の曲線に近似させればよい。なお、円弧状の発
熱管の長さは、中心線の長さで表すものとする。また、
製造の容易さの点からすれば、1つの発熱管列に含まれ
る発熱管の外径はすべて等しくすることが望ましいが、
不可欠ではなく、外径が複数種類に異なる発熱管を並べ
て発熱管列を構成することも可能である。その場合に
は、「外径の20倍以下」なる要件は、各外径ごとに異
なる上限長さを規定することになる。本態様におけるよ
うに発熱管を短いものの列としても、長尺の発熱管に比
較して、発熱管単位長さ当たりの発熱量は殆ど低下しな
い。そして、各発熱管を外径の20倍以下の長さを有す
るものとすれば、発熱管の設置作業が容易になる。例え
ば、一定の長さの場所に発熱管を設置する場合には、そ
の場所の全長にわたってほぼ均一に熱を発生させること
が望ましいことが多いため、その場所の長さに合わせ
て、現場で発熱管を切断することが必要になる場合が多
いのであるが、比較的短い複数の発熱管の列に発熱させ
る場合は、発熱管の配列ピッチを変更することにより、
発熱管列の全長をそれが配設される場所の長さに合わせ
ることができ、現場で発熱管を切断する必要がなくな
る。また、発熱管を曲線や段差部に沿って設置すること
が必要になる場合があり、その場合に発熱管が長いもの
であれば、発熱管の曲げ作業を行うことが必要になる
が、発熱管を比較的短いものとしておけば、複数の発熱
管を曲線や段差部に沿って配列することによって容易に
要求を満たすことができる。また、本態様によれば、発
熱量分布の調整が容易になる。表皮電流加熱装置におい
ては、導電線に流される交流電流の大きさや、発熱管に
通される導電線の本数を変更することによって発熱管の
単位長さ当たりの発熱量を調整することができることは
勿論であるが、発熱管の直径を変更することによっても
調整することができる。しかし、多量生産により発熱管
のコストダウンを図り、また、表皮電流加熱装置の設計
や現場での設置作業の容易化を図るためには、発熱管の
直径の種類はできる限り少なくすることが望ましい。そ
の点、本願発明に従えば、同じ直径の発熱管を用いなが
ら、それら発熱管の配列ピッチを部分的に変更すること
によって、発熱管列の単位長さ当たりの発熱量分布を容
易に調整することができる。また、発熱管が導電線に流
される交流電流の周波数の整数倍の周波数で共振し、振
動騒音が発生することがあるが、小規模用途においては
この振動騒音の発生が嫌われることが多い。そこで、本
態様におけるように発熱管を短くすれば、共振周波数が
高くなり、実用上問題となるような振動騒音の発生を防
止することができる。なお、管体の共振には、軸方向の
伸縮振動や軸線まわりの捩じり振動もあるが、発熱管に
おいて問題となるのは軸線に直角な方向の曲がり振動で
あり、上記共振はこの曲がり振動の共振を意味する。ま
た、小規模用途においては、大規模用途に比較して、発
熱管の単位長さ当たりの発熱量を大きくすることが求め
られることが多く、発熱管内部の温度上昇、特に導電線
の温度上昇が大きくなって、導電線の電気絶縁材料とし
て高価あるいは取扱いの不便なものを採用せざるを得な
くなるのであるが、本態様によればこの問題を良好に解
決することができる。発熱管の両端近傍部においては、
端面や内周面から外部への熱放射や周辺流体の対流等に
よる放熱が発生するのであるが、発熱管が長いものであ
る場合には、この端部に特有の放熱の発熱管全体として
の放熱に対する割合がごく小さく、発熱管全体としては
外周面のみが放熱面であると見なしてよいことになる。
それに対して、発熱管が短い発熱管の列から成る場合に
は、各発熱管の端面や内周面も放熱面と見なすことがで
き、放熱面が増大して、発熱管内部の温度上昇、特に導
電線および電気絶縁層の温度上昇を小さく抑えることが
できるのである。発熱管の防錆処理が容易になる効果も
得られる。表皮電流加熱装置は一般に長期間使用される
ものであるため、有孔発熱部材には防錆処理を施して耐
久性を高めることが望ましいのであるが、有孔発熱部材
が長尺の部材である場合には防錆処理が困難であり、特
に長尺管である場合には内面の防錆処理が困難である。
それに対して、有孔発熱部材を比較的短い発熱管とすれ
ば、この困難を解消することができるのである。また、
長尺管は比較的高価であるのが普通であるのに対し、短
い管体であればプレス加工によっても製造し得るため、
素材コストの低減を図ることも可能になる。さらに、発
熱管をコンクリート板等に埋設する際の熱膨張差の問題
を解消することができる。長尺の発熱管をコンクリート
板等内に埋設する場合には、鉄とコンクリートとの熱膨
張率の違い、および発熱管とコンクリート板との温度の
違いに基づいて、発熱管とコンクリート板との間に熱膨
張量の差が生じ、それによって、発熱管とコンクリート
板との剥離やコンクリート板への亀裂発生等が生じ易い
のであるが、本態様においては、発熱管が短い発熱管の
列とされるため、各発熱管とコンクリート板との熱膨張
量の差は僅かで済み、上記問題が解消されるのである。
本態様の表皮電流加熱装置においては、以上説明した利
点の少なくとも1つを求めて発熱管が短くされるのであ
るが、一般的に発熱管が短くされるほど、発熱管列の単
位長さ当たりの発熱管加工費が増大する。したがって、
発熱管の長さには適正範囲が存在する。この適正範囲
は、追求される利点が何であるか、その利点がいかに厳
しく追求されるか等によって変わる。一般的に言えば、
発熱管は外径の20倍以下,15倍以下,10倍以下,
5倍以下,3倍以下,2倍以下あるいは1倍以下の長さ
とされることが望ましい。特に、発熱管の列が円弧等の
曲線に沿って配列される場合には外径の3倍以下,2倍
以下,1倍以下,2/3以下,1/2以下の長さとされ
ることが望ましい。 (3)前記有孔発熱部材列が複数の発熱管から成る発熱
管列を含み、その発熱管列に前記導電線が環状に通され
て数珠状体とされ、かつ、前記複数の発熱管のうち最も
短いものの長さが、数珠状体の全長の1/7以下とされ
た (1)項に記載の表皮電流加熱装置。小規模用途では、
導電線が、複数の発熱管から成る発熱管列を直列に貫通
する閉曲線に沿って複数回巻かれることが多く、この場
合には明らかに数珠状体が構成される。しかし、例え
ば、複数本づつの発熱管が互いに平行な2直線に沿って
配列されて2列の発熱管列とされ、それら2列の発熱管
列の互いに近接した2つの端の一方から挿入された導電
線が全ての発熱管列を通過して上記2つの端の他方から
引き出される場合も、実質的に数珠状体が構成されたも
のと見なすこととする。発熱管の長さは、上記 (2)項に
関連して説明したいずれかの理由により、数珠状体の全
長の1/7以下,1/10以下,1/20以下等とされ
ることが望ましい。 (4)前記有孔発熱部材列が、1本の直線に沿って配列
された複数個の発熱管から成る直線的発熱管列を含み、
かつ、その直線的発熱管列を構成する発熱管の長さが、
直線的発熱管列の全長の1/3以下である (1)項に記載
の表皮電流加熱装置。発熱管が1本の直線に沿って配列
される場合には、次項におけるように、発熱管の列に近
似的に曲線を描かせるという必要性がないため、発熱管
を比較的長くすることができる。発熱管の長さは、発熱
管列の全長の1/3以下,1/5以下あるいは1/10
以下とされることが望ましい。 (5)前記有孔発熱部材列が、1つの円弧で近似され得
る曲線に沿って配列された複数個の発熱管から成る曲線
的発熱管列を含み、かつ、その曲線的発熱管列を構成す
る発熱管の長さが、前記円弧を含む一円周の長さの1/
6以下である (1)項または (4)項に記載の表皮電流加熱
置。複数の発熱管を曲線に沿って配列することが必要
になる場合があるが、任意の曲線は、各部分を円弧によ
って近似させることができ、各円弧に沿って発熱管を配
列すれば、上記要求を満たすことができる。そして、各
円弧上に配列される発熱管の長さは、その円弧を含む一
円周の長さに対する割合によって一義的に定義すること
ができる。発熱管の長さは、上記一円周の長さの1/6
以下,1/10以下,1/15以下,1/20以下とす
ることが望ましい。 (6)前記有孔発熱部材列が、発熱管が複数個間隔をあ
けて配列されて成る発熱管列を含み、その発熱管列内に
おいて隣接する発熱管の間の間隔がそれら発熱管1本の
長さの3倍以下である (1)項に記載の表皮電流加熱装
置。発熱管の間隔を広くすれば、それら発熱管の列であ
る発熱管列の放熱性が良くなる一方、発熱管列の単位長
さ当たりの発熱量が小さくなる。発熱管の間の間隔は、
これらのことと、発熱管の長さとを考慮して決定される
べきものであり、一般に、発熱管1本の長さの3倍以
下,2倍以下,1倍以下あるいは1/2以下であること
が望ましく、1/20以上,1/10以上,1/5以上
あるいは1/3以上であることが望ましい。なお、上記
発熱管の間隔の発熱管の長さに対する比率の範囲のう
ち、比率が大きい範囲は発熱管の長さが比較的短い場合
に採用され、比率が小さい範囲は、発熱管の長さが比較
的長い場合に採用されることが多い。なお、付言すれ
ば、以上 (1)ないし (6)項の記載は発熱管の横断面形状
が円形であることを前提にしてなされているが、発熱管
の横断面形状は、楕円形,角形等任意の形状とすること
が可能である。このように異形管を発熱管として採用す
る場合には、例えば、外のり寸法の最大値や、外のり寸
法の最大値と最小値との平均値や、外のり寸法の最大値
の2乗と最小値の2乗との平均値の平方根等をその異形
管の外径と見なしたり、外周面の周長が等しい円の直径
をその異形管の外径と見なしたりして、上記各項を読め
ばよい。 (7)前記有孔発熱部材列が、それぞれ貫通孔を有する
複数の板状部材が一面上に互に間隔をあけて平らに並べ
られた板状部材列を含み、その板状部材列に前記導電線
が表側からと裏側とから交互に縫う状態で通されたこと
を特徴とする(1)ないし(6) 項のいずれかに記載の表皮
電流加熱装置(請求項1)。本発明の効果を有効に享受
するためには、板状部材を多数使用することが望まし
く、20個以上,50個以上,100個以上配設するこ
とが望ましい。板状部材の横断面形状は、多角形,円,
楕円等何でもよく、厚さが外のり寸法の2/3より小さ
いものを板状部材と考えることとする。また、管部と半
径方向外向きのフランジ部とを含むものは、管部が主体
であると考えれば管体であることになり、フランジ部が
主体であると考えれば板状部材であることになる。この
形態の有孔発熱部材は、板材の絞り加工により管部を形
成し、あるいは,鋳造,鍛造等により管部とフランジ部
とを一挙に形成し、あるいはフランジ部に管部を圧入,
溶接等により固定して製造することができる。板状部材
は、厚さ方向に間隔を隔てて並べられ、並びの方向と板
面とが直角とされるのが普通であり、板面が並びの方向
に対して傾いた状態とすることも可能であるが、本態様
においては、複数の板状部材が一平面または一曲面上に
並べられる。そして、導電線は、板状部材列を表側から
と裏側とから交互に縫う状態で通される。また、板状部
材を発熱管と混ぜて使用して発熱体を構成することも可
能である。板状部材は表面積が大きいため放熱能力が大
きく、貫通孔の周面の温度が高くなることを回避しつつ
大量の熱を発生させることができ、結局、導電線および
絶縁層の温度上昇を低く抑えることが容易である。 (8)前記有孔発熱部材が、貫通孔を有するブロックを
含む (1)ないし (7)項のいずれか1つに記載の表皮電流
加熱装置(請求項2)。本発明の効果を有効に享受する
ためには、ブロックを多数使用することが望ましく、4
個以上,10個以上,20個以上配設することが望まし
い。ブロックの代表的なものは直方体であるが、横断面
形状は多角形,円,楕円等何でもよく、管とも板状部材
とも言えないものをブロックと考えることとする。ブロ
ックを板状部材と発熱管との少なくとも一方と混ぜて使
用して発熱体を構成することも可能である。なお、有孔
発熱部材の発熱能力は、それの外のり寸法が内のり寸法
に比較して十分大きい限り、貫通孔の周面の周長と軸方
向長さとの影響を最も強く受ける。したがって、有孔発
熱部材が円管である場合にも、本来は貫通孔の内径と軸
方向長さとにより大きさを論ずるべきであるが、通常の
円管においては、外径が大きい場合には内径も大きいと
いう概略的な観点から、外径と軸方向長さとにより、円
管の大きさを規定し、異形管の場合にもそれに準ずるこ
ととした。しかし、板状部材やブロックにおいては、外
のり寸法が大きい場合には内のり寸法も大きいという観
念は妥当とは言えず、板状部材やブロックの発熱能力を
論ずる場合には、内のり寸法と貫通孔の長さとの影響を
最も強く受けるため、板状部材やブロックの大きさを、
貫通孔の内のり寸法(貫通孔が円形孔である場合には内
径、異形孔である場合は、内のり寸法の最大値と最小値
との平均的値)あるいは貫通孔周面の周長と、軸方向長
さとによって表すことが妥当である。 (9)前記導電線が複数本、可撓性を有する可撓管に、
互に電気的に絶縁された状態で、かつ、周囲に隙間を残
して緩く通され、その可撓管が前記複数個の有孔発熱部
材の各貫通孔に通された (1)ないし (8)項のいずれか1
つに記載の表皮電流加熱装置(請求項3)。導電線とし
ては、前述のように、それ自体が電気絶縁層で覆われて
いる絶縁線が望ましいのであるが、さらに、可撓管によ
り覆われることが望ましい。例えば、建築物の電気配線
には絶縁線が使用されるが、その上、可撓管により覆わ
れて保護されており、本発明に係る表皮電流加熱装置を
建築物と同等の安全性,耐久性を有するものとするため
に、絶縁線を可撓管により覆うことが望ましいでのあ
る。ただし、絶縁線に交流電流が流された場合に、可撓
管が発熱してはかえって絶縁破壊が生じ易くなってしま
うため、可撓管を以下の各態様のものとすることによ
り、可撓管の発熱を極力抑制することが望ましい。 (10)前記可撓管が非金属製である (9)項に記載の表
皮電流加熱装置。 (11)前記可撓管が非磁性金属製である (9)項に記載
の表皮電流加熱装置。 (12)前記可撓管が発熱管の厚さの1/5以下の厚さ
であるか、横断面形状が磁気的に閉じていない形状の磁
性金属製である (9)項に記載の表皮電流加熱装置。 (13)前記有孔発熱部材の貫通孔周面と前記導電線と
の間に、非磁性金属から成り、有孔発熱部材の内部空間
内に位置して熱を吸収する集熱部と、有孔発熱部材の外
部に位置し、集熱部により集熱された熱を放出する放熱
部とを含む放熱部材が配設されたことを特徴とする (1)
ないし(12)項のいずれか1つに記載の表皮電流加熱装置
(請求項4)。本態様によれば、導電線の、自身の銅損
に基づく発熱による温度上昇と、有孔発熱部材の貫通孔
周面からの伝達熱による温度上昇とが良好に抑制され
る。銅損に基づいて発生した熱も、貫通孔周面からの伝
達熱も共に集熱部により集熱され、伝導により放熱部に
伝達され、放熱部から有孔発熱部材外部へ放熱されるた
め、導電線の温度上昇が抑制されるのである。 (14)前記放熱部材の前記集熱部が、前記有孔発熱部
材の内側に位置する集熱管を含み、前記放熱部が、集熱
管から半径方向外向きに延び出たフランジ状の放熱フィ
ンを含み、かつ、前記集熱管と前記有孔発熱部材との間
に、それら集熱管および有孔発熱部材の熱伝導率より熱
伝導率が低い断熱層が形成された(13)項に記載の表皮電
流加熱装置。有孔発熱部材の貫通孔周面と集熱管との間
の断熱層が、空気等の気体で形成される場合には、貫通
孔周面から集熱管への熱伝達が熱放射の形態で行われ、
(15)項におけるように断熱層が固体により形成される場
合には、断熱層内の熱伝導の形態で行われる。いずれに
しても、集熱管に伝達された熱は、熱伝導により放熱フ
ィンへ伝達され、有孔発熱部材の外部へ放出される。し
たがって、放熱部材が配設されない場合に比較して、導
電線から外方への熱抵抗が減少し、さらに、有孔発熱部
材の貫通孔周面から導電線に伝達される熱の量も減少
し、導電線の温度上昇が抑制される。 (15)前記放熱フィンが、前記集熱管の軸方向の中央
部の外周面から半径方向外向きに延び出ており、集熱管
の放熱フィンの両側の部分の先端部が、互いに隣接する
有孔発熱部材の内側にそれぞれ挿入された(14)項に記載
の表皮電流加熱装置。この態様の放熱部材は、1個の有
孔発熱部材の内側へ、集熱管の放熱フィンの片側の部分
の先端部を挿入し、その後、集熱管の反対側の部分の先
端部の外側に次の有孔発熱部材を被せ、その有孔発熱部
材の反対側の部分に別の発熱部材の集熱管の先端部を挿
入するという作業を繰り返すことにより、容易に組み立
てることができる。2個の放熱部材の、1個の有孔発熱
部材にそれぞれ反対側から挿入された2つの集熱管の先
端部は有孔発熱部材内において互いに当接し、それらの
内側に配設される導電線を完全に覆う状態とされること
が望ましい。 (16)前記断熱層が固体材料により構成された(14)項
または(15)項に記載の表皮電流加熱装置。断熱層をセラ
ミックス,合成樹脂,ガラス繊維等の固体材料で形成す
れば、断熱層に有孔発熱部材と集熱管との間隔を保持す
る間隔保持層の役割をも果たさせることができて好都合
である。 (17)前記複数の有孔発熱部材が、1個の非磁性材料
から成る固体部材内に埋設されて一体物とされた (1)な
いし(16)項のいずれか1つに記載の表皮電流加熱装置
(請求項5)。このように、発熱管の列が固体部材内に
埋設されて一体物とされれば、取扱いが容易となり、本
発明に係る表皮電流加熱装置の設置が容易となる。例え
ば、一体物を、多数敷きつめられて床面や路面を形成す
る四角形等の多角形ブロックとすれば、床面や路面の保
温を容易に行うことができる。しかも、固体部材が非磁
性材料から成るため、固体部材が導電線の周囲に形成さ
れる磁界に影響を与えることがなく、発熱管が良好に発
熱させられる。また、同じ形状,寸法の一体物を量産す
ることにより、1個当たりの製造コストを低減すること
ができる。なお、導電線や可撓管は、固体部材と一体化
されるようにしても、後に、固体部材と発熱管との一体
物に挿入されるようにしてもよい。 (18)前記固体部材が非導電性材料から成る(17)項に
記載の表皮電流加熱装置。固体部材が非導電製材料から
成る場合には、万一、導電線と固体部材とが接触しても
漏電の心配がなく、安全な表皮電流加熱装置が得られ
る。 (19)前記非導電性材料が、コンクリート,合成樹
脂,石膏およびセラミックスから選ばれた材料である(1
8)項に記載の表皮電流加熱装置。コンクリート,合成樹
脂,石膏等は常温もしくは比較的低い温度で硬化するた
め、導電線の電気絶縁に有機絶縁材が使用されている場
合でも、これを破壊することなく硬化させて、有孔発熱
部材を固体部材内に埋設することができる。また、非導
電性材料がセラミックスである場合には、有孔発熱部材
や導電線を収容する凹部を有する2個の部材を予め成
形,焼成しておき、これら両部材をそれらの間に発熱管
(場合によっては導電線,可撓管等も)を挟まさせた状
態で組み合わせて固定し、一体物とすることが必要であ
る。 (20)前記固体部材の材料が前記発熱管内部にも侵入
して、発熱管の内周面に接触している(17)ないし(19)項
のいずれか1つに記載の表皮電流加熱装置。このよう
に、固体部材の材料を有孔発熱部材の内部に侵入させて
有孔発熱部材の貫通孔周面に接触させれば、貫通孔周面
から熱伝導により熱が固体部材に伝達されるため、貫通
孔周面の温度を低く抑えることでき、絶縁線の温度上昇
を抑制することが容易となる。 (21)同一形状,寸法を有する(17)ないし(20)項のい
ずれか1つに記載の一体物が複数個組み合わされて成る
発熱体群。(17)項に関連して説明したブロックの群が代
表的なものであるが、その他にも、保温性を有する溝形
ブロックの群,階段の踏板群,壁面を覆う壁板群等とす
ることも可能である。 (22)前記導電線の外側でかつ前記有孔発熱部材の内
側に、非磁性金属から成る支持管が挿入された (1)ない
し (8)項,(13)ないし(21)項のいずれか1つに記載の表
皮電流加熱装置(請求項6)。本項と次項との支持管
は、導電線および有孔発熱部材を支持することを主目的
とするものであり、前記可撓管のように可撓性を有する
ことは不可欠ではない。支持管に導電線および有孔発熱
部材を支持させれば、これらを一つの構造物とし取り扱
うことが可能となり、取扱いが容易となる。しかも、非
磁性金属製の支持管が導電線の周囲に形成される磁界に
影響を与えることはなく、有孔発熱部材の発熱が妨げら
れることはない。また、金属製支持管を発熱管より薄肉
としておけば比較的容易に曲げることができ、発熱管等
の有孔発熱部材列を容易に所望の曲線に合わせて設置す
ることができる。また、有孔発熱部材の切れ目において
も、導電線が金属製の支持管により覆われているため、
導電線の物理的保護が確実となり、さらに、金属製支持
管を接地すれば、万一漏電した場合の漏れ電流をアース
に導くことができ、電気的保護も確実にすることができ
る。また、支持管をアルミニウム,銅等熱伝導度の大き
い材料から成るものとすれば、導電線の長手方向におけ
る温度分布を均一化し、導電線の電気絶縁層が部分的に
劣化することを良好に防止することができる。 (23)前記有孔発熱部材が発熱管であり、その発熱管
の内側でかつ前記導電線の外側に、発熱管の厚さの1/
5以下の厚さを有する磁性材料製の支持管が挿入された
(1)ないし (8)項,(13)ないし(21)項のいずれか1つに
記載の表皮電流加熱装置。支持管が磁性材料製であって
も、発熱管に比較して十分に肉厚が薄いものであれば、
支持管の発熱は少なく、実用上問題はない。 (24)前記有孔発熱部材の内側でかつ前記導電線の外
側に、横断面形状が閉磁路を形成しない磁性材料製の支
持管が挿入された (1)ないし (8)項,(13)ないし(21)項
のいずれか1つに記載の表皮電流加熱装置。支持管の横
断面形状が閉磁路を形成しない形状であれば、支持管が
磁性材料製であっても、支持管の発熱は少なく、実用上
問題はない。 (25)前記有孔発熱部材の内部を通って有孔発熱部材
の外部に至る流体の対流を許容しつつ隣接する有孔発熱
部材同士の間隔を保持する対流許容型間隔維持装置を含
む (1)ないし(13),(22)ないし(24)項のいずれか1つに
記載の表皮電流加熱装置(請求項7)。このように間隔
維持装置により有孔発熱部材同士の間隔が維持されれ
ば、有孔発熱部材列の発熱量の分布をほぼ予定した分布
に保つことができ、しかも、対流許容型間隔維持装置は
周囲の流体の有孔発熱部材内部を通る対流を妨げないも
のであるため、有孔発熱部材内部の熱が流体により運び
去られ、導電線の温度上昇が良好に抑制される。本態様
は、本発明に係る表皮電流加熱装置を、空気加熱用,メ
ッキ浴槽等液槽の保温用等、周囲の流体を加熱するため
の装置として使用する場合に特に好適である。
【0005】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態である
表皮電流加熱装置の構成を示す図である。本表皮電流加
熱装置は、交流電源回路10と発熱部12とを備えてい
る。交流電源回路10は、変圧器14と切換スイッチ1
6とを備え、メインスイッチ18および接続端子19を
介して商用電源20に接続される。変圧器14は一次巻
線22と二次巻線24とを備え、二次巻線24は1個の
共通端子26と、巻数の異なる複数カ所から引き出され
た複数の選択端子28とを有している。なお、この交流
電源回路10の代わりに、単巻線とその単巻線上を摺動
するブラシとを有する摺動ブラシ付単巻変圧器を備えた
交流電源回路や、変圧器と順逆並列単相交流スイッチと
を備えた交流電源回路を使用することも可能である。後
者において、変圧器は、商用電源の変圧と絶縁とのため
に設けられるものであり、順逆並列単相交流スイッチは
サイリスタが順方向と逆方向とに並列に接続されたもの
であって、サイリスタの点弧位相の制御により電流の流
れを許容する位相範囲を制御する。順逆並列単相交流ス
イッチは位相制御式交流電源回路の一種なのである。変
圧器とインバータとを備えた交流電源回路の使用も可能
である。インバータは、交流を一旦直流に変換した後再
び交流に変換するものであり、その間に電圧と周波数と
の少なくとも一方の変更により出力電力を変成するもの
である。また、交流電源回路10は上記のように供給電
力を複数段階または連続的に調整し得るものであること
が望ましいが、不可欠ではなく、発熱部の温度等に基づ
いてオン,オフの自動制御のみが可能なものとすること
や、商用の単相または三相電源から発熱部に直接、電圧
や周波数の変成を行うことなく交流電流を供給するもの
とすることも可能である。
【0006】上記発熱部12の一例を図2に概念的に示
す。図2において、30は鋼管であり、有孔発熱部材の
一種としての発熱管の一例である。鋼管30は、直径の
約2倍の長さを有し、直径の1/5〜1/2の間隔を隔
てて一直線に沿って配列されて、鋼管列32を形成して
いる。本鋼管列32においては、隣接する鋼管30の間
の間隔が、鋼管外径の1/10〜1/4の範囲とされて
いるのである。各鋼管30は市販の定尺鋼管を所望の長
さに切断し、端面の仕上加工とを行ったものであり、内
径Dと厚さTとの間に、T≧2S,D≫Sの関係が成り
立つ形状,寸法とされている。ただし、SはS=503
0√ρ/μfで表される表皮の深さ(cm)であり、ρは
抵抗率(Ω/cm),μは透磁率,fは交流の周波数(H
z)である。本発熱部12においては、複数の鋼管30
の内側に支持管34に支持された絶縁線36が挿通され
ている。
【0007】絶縁線36は導電線としての銅線が、有機
絶縁層としての耐熱塩化ビニル樹脂製絶縁皮膜で覆われ
たものである。絶縁線36は、2列の鋼管列32を直列
に通過して複数回巻かれている。2列の鋼管列32の各
々の内側に配設された2本の支持管34を直列に複数回
通過させられ、両端部が2本の支持管34の互いに隣接
した端から外部へ引き出されているのである。支持管3
4は硬質ビニル,ポリエチレン等の合成樹脂、あるいは
ガラス繊維等強化繊維入りの合成樹脂等から成る管材で
あり、内周面において絶縁線36を、外周面において鋼
管30をそれぞれ支持するとともに、絶縁線36が鋼管
30や外部の部材との接触により傷つけられることを防
止する保護管としての機能を果たす。また、合成樹脂製
の管材は、絶縁線36に交流電流が供給されることによ
り、絶縁線36の周囲に形成される磁界に影響を与える
ことはなく、鋼管30は支持管34がない場合と同様に
発熱する。なお、鋼管30の支持や絶縁線36の保護の
必要性がない場合には、支持管34を省略することも可
能である。
【0008】各鋼管30は保持部材40を介して支持管
34の外周面により支持されている。保持部材40は合
成樹脂の一体成形品であり、図3および図4に示すよう
に、一対のリング部42と、3個の保持部44とを備え
ている。リング部42は内周面に120度間隔で突出し
た突起46を備え、これら突起46に内接する円の直径
が、支持管34の外径よりやや小さくされている。した
がって、リング部42が支持管34に嵌合されれば、リ
ング部42は突起46の形成された部分の直径が増大
し、代わりにそれら突起46の中間に位置する部分の直
径が減少しておにぎり形に弾性変形し、支持管34を弾
性的に締めつけた状態となる。これにより、一対のリン
グ部42と支持管34との間に適度の摩擦抵抗が生じ、
保持部材40は支持管34に対して自然に相対移動する
ことはないが、摩擦力に打ち勝つ力を加えれば、相対移
動させることができる。3個の保持部44は、一対のリ
ング部42から120度間隔で半径方向に延び出してい
る。保持部44は概して平板状を成すが、先端部には発
熱管30を丁度受容可能な矩形の浅い凹部48が形成さ
れている。この凹部48の両側には、突起50が形成さ
れているが、これら突起50には、保持部44の両端か
ら中央側へ向かうに従って高さが高くなるように傾斜し
た案内面52が形成されている。この保持部材40は、
発熱管30の内側に一端側から嵌合されるのであるが、
その際、案内面52の作用で保持部44が高さ方向に圧
縮され、突起50が発熱管30内を通過して反対側に突
出することが許容される。この保持部44の圧縮変形を
容易にするために、保持部44の高さ方向の中間部には
変形容易化部としての切欠54が形成されている。
【0009】本発熱部12の組み立てに当たっては、各
保持部材40に各鋼管30を保持させた後、これら保持
部材40と鋼管30とのサブアッセンブリを、支持管3
4の外周面に嵌合させる。保持部材40は鋼管30を軸
方向に移動不能に保持しており、かつ、自身は摩擦力に
より支持管34上の任意の位置に留まることができるた
め、結局、鋼管30は支持管34によって、軸方向に所
望の間隔を隔てて安定して支持されることとなる。この
ように、保持部材40は鋼管30同士の軸方向の間隔を
維持する間隔維持装置の機能を果たすのであるが、同時
に、鋼管30と支持管34との半径方向の隙間を維持す
る機能も果たすのであり、半径方向隙間維持装置でもあ
ることになる。しかも、保持部材40は、一対のリング
部42が3個の保持部44により連結された隙間の多い
部材であるため、周辺の流体が支持管34と鋼管30と
の間を通過して流れる対流を妨げることが少ない。保持
部材40は対流許容型間隔維持装置の一例なのである。
【0010】なお、隣接の保持部材40間に、それらの
間隔を一定に維持するスペーサ(例えば、保持部材40
の保持部44の高さをリング部42と同じにしたもの)
を挿入すれば、鋼管30の軸方向間隔を一層確実に一定
に維持することができる。また、スペーサを使用する場
合には、保持部材40のリング部42と支持管34との
間に摩擦力を発生させることは不可欠ではなくなる。た
だし、鋼管30の配列ピッチを複数種類に変更するため
には、複数種類の長さのスペーサが必要となる。さらに
付言すれば、上記保持部材40とスペーサとを一体に形
成して、長手形状の対流許容型間隔維持装置とすること
も可能である。
【0011】以上のように構成された発熱部12を、図
5に示すように、メッキ装置のメッキ液槽,温水槽等の
液槽60内に設置し、あるいは、図示しない暖房装置の
空気加熱ケース内に設置する。そして、交流電源回路1
0により適度に調整した電流を供給すれば、各発熱管3
0の内周面近傍の薄い表皮部分に集中して電流が流れ、
この表皮部分が発熱する。また、絶縁線36も少しでは
あるが銅損により発熱する。発熱管30の表皮部分に発
生した熱は、内周面から直接周囲の流体に伝達されると
ともに、伝導により外周部にも伝達される。結局、熱は
発熱管30の内周面,外周面および両端面等、あらゆる
表面から周囲の流体に伝達され、従来の長い発熱管にお
いては実質的に外周面のみから伝達されるのに比較し
て、流体を外周面のみよりも広い面積で加熱する。ま
た、絶縁線36の銅損により発生した熱が支持管34に
伝達され、発熱管30に発生した熱の一部も熱放射によ
って支持管34に伝達される(特に、周囲の流体が気体
である場合)。しかし、発熱管30と支持管34との間
の隙間は保持部材40により、全周にわたって均一に保
たれているため、絶縁線36に部分的に温度の高い部分
が生じ、絶縁皮膜が局部的に劣化することが良好に回避
される。なお、上記のように発熱部12が液槽60内に
設置される場合等、必要がある場合には、発熱管30に
はメッキ,塗装等の適切な防錆処理が施される。
【0012】本発明の別の実施形態における発熱部12
を図6に示す。この実施形態は、前記実施形態における
支持管34を可撓管64に変更したものであり、その他
は同じである。ただ、本発熱部12は、鋼管列32を曲
線や段差部に沿って設置することを主たる用途としてい
るため、鋼管30が前記実施形態におけるより短くさ
れ、長さが外径とほぼ同じにされている。また、保持部
材40(図6においては、図の簡単化のために省略され
ている)の一対のリング部42およびそれの突起46の
軸方向の寸法がやや大きくされ、表面に螺旋状の凸条を
有する可撓管64にも安定して支持され得るものとされ
ている。なお、本実施形態の発熱部12は、汎用性を持
たせるために、すべての鋼管30の長さが同じにされて
いるが、発熱部12の配設場所が決まっており、直線的
に配列される鋼管30と曲線的に配列される鋼管30と
が予め決まっている場合には、前者を後者より長くする
ことが可能であり、また、複数種類の長さの鋼管30を
準備し、現場でそれらを選択しつつ可撓管64に通す場
合にも同様である。
【0013】可撓管64は、建築物内の電気配線に広く
使用されている金属製可撓電線管(例えば、JIS C
8309のもの)であって、冷間圧延鋼帯やアルミニウ
ム合金条を長手方向に沿った山と谷とを有する形状に塑
性加工したものを螺旋状に巻いたものであり、容易に撓
ませることができる。金属製可撓電線管が冷間圧延鋼帯
から製造されたものである場合には、絶縁線36に交流
電流が供給された際に、可撓管64においても発熱する
が、可撓管64は帯板が螺旋状に巻かれて成るものであ
って、周壁が完全な閉磁路を形成しておらず、また、薄
いため、後に実験結果を示すように、発熱量が僅かであ
り、実害はない。なお、市販の金属製可撓電線管の中に
は、塩化ビニル樹脂により被覆されたものがあり、耐久
性の観点から、このビニル被覆金属製可撓電線管の使用
が推奨される。
【0014】図6においては、発熱部12が、2本の直
線と1本の半円とに沿って鋼管列32が配列された状態
で描かれているが、実際には、図7 (a)に例示されてい
るように、鋼管列32を任意の曲線に沿って配列するこ
とが可能である。これは、図7 (b)に示されているよう
に、従来、直線的な鋼管の組立体として構成されていた
平面用発熱部66に対応するものである。従来の平面用
発熱部66は、各設置場所に合わせた寸法に鋼管68を
切断し、管継手69,短絡片67等を使用して組み立て
ることが必要であったのに対し、本態様の発熱部12
は、各設置場所に合わせて可撓管64を撓ませつつ、鋼
管列32を所望の曲線に沿って配列すれば、所望の形状
および大きさの平面用発熱部を得ることができる。65
は導電線接続箱である。また、従来の平面用発熱部66
においては、導電線の接続可能箇所が長い鋼管68の外
部に制限されていたのに対し、本実施態様の発熱部12
におていは任意の箇所で導電線を接続することができ、
さらに、従来の平面用発熱部においては導電線の比較的
長い部分が鋼管に覆われない状態(合成樹脂製の可撓管
には覆われるが)となるため、この部分の漏洩磁力線が
多くなり、磁力線による人体への悪影響が懸念される
が、本実施態様の発熱部12においては、鋼管30同士
の間の隙間を小さくしておけば、殆どの磁力線が鋼管3
0内を通り、外部に漏れることが良好に防止される。
【0015】本実施形態の発熱部12をコンクリート床
内に埋設し、床暖房装置を構成することができる。この
場合、まず下部コンクリート層が形成され、その上に発
熱部12が敷設され、最後に上部コンクリート層が形成
されるが、下部コンクリート層の上面が必ずしも平らで
なくてもよく、また、鋼管30の配列ピッチを場所によ
って変えることにより、局部的に発熱密度を高く、ある
いは低くすることもでき、工事を簡単に行うことができ
る。さらに、各発熱管30が短いため、発熱管30とコ
ンクリート床との熱膨張量の違いに基づいてコンクリー
ト床に亀裂が生じることが良好に回避され、頑丈で信頼
性の高い床暖房装置を得ることができ、また、鋼管30
の共振周波数が高く、かつ、加振源が分散されるため、
表皮電流加熱装置に特有の電磁的振動騒音を抑制するこ
とができ、静粛な床暖房装置を得ることができる。ま
た、本実施形態の発熱部12を、そのままで居室の床面
上、あるいは簀の子の下等に配置することにより、可撓
性を有する長手形状の補助暖房器具として使用すること
も可能である。ただし、その場合には、放熱性を損なう
ことをできる限り回避しつつ、外観を良くする工夫を施
すことが望ましい。
【0016】なお、建築物内の電気配線には、合成樹脂
製の可撓電線管も使用されており、本発明に係る発熱部
12においても使用が可能である。合成樹脂製可撓電線
管は、大径部,小径部およびそれらを滑らかに接続する
接続部を備えている。すなわち、管壁の、軸方向に平行
な切断平面による断面形状が波形を成しているのであ
り、それによって容易に撓ませることができる。合成樹
脂製の可撓電線管は、金属製の可撓電線管に比較して耐
熱性や放熱性は劣るが安価であり、絶縁線36および可
撓電線管の温度を許容温度以下に維持できるのであれ
ば、施工性および価格の面から合成樹脂製可撓電線管の
利用が推奨される。
【0017】本発明のさらに別の実施形態を図8,図9
に示す。本実施形態は、前記図2または図6に示した発
熱部12を、固体部材としてのコンクリートブロック7
0内に埋設して、新たな発熱部の一例である発熱モジュ
ール72としたものである。発熱モジュール72内に
は、複数の鋼管30と支持管34または可撓管64とが
埋設されて一体物とされており、絶縁線36は、複数の
発熱モジュール72が床に敷きつめられる際、それら複
数の発熱モジュール72を直列に貫通する状態で通され
る。図9に示すように、鋼管30と支持管34または可
撓管64とがコンクリートブロックに埋設される際、硬
化前のコンクリートが鋼管30内に侵入し、鋼管30の
内周面と支持管34または可撓管64の外周面とに密着
した状態で硬化している。そのため、本発熱モジュール
72が床に敷きつめられて床面を形成した状態で絶縁線
36に交流電流が供給され、発熱管30が発熱させられ
たとき、発熱管30の全表面、すなわち内周面,外周面
および両端面から熱伝導により熱がコンクリートブロッ
ク70に伝達される。また、絶縁線36の銅損により発
生した熱も、支持管34または可撓管64の外周面から
熱伝導によりコンクリートブロック70に伝達される。
したがって、発熱管30,支持管34,可撓管64等の
温度が比較的低い状態でコンクリートブロック70を十
分加熱することができ、結局、絶縁線36の温度上昇を
低く抑えて、絶縁線36の耐熱塩化ビニル樹脂皮膜の劣
化を良好に回避することができる。本コンクリートブロ
ック70は、設置場所の広さに合わせて適宜個数配列す
ればよいため、広範な需要に応ずることができ、量産に
よるコスト低減効果を享受することができる。
【0018】なお、本実施形態においては、鋼管30を
保持部材40によって支持管34または可撓管64に対
して位置決めした状態で型内にセットし、その周囲にコ
ンクリートを流し込んで硬化させることにより、コンク
リートブロック70を成形したものであるが、保持部材
40を省略することも可能である。コンクリートブロッ
ク70の成形時に、まず、下部を成形するに適した量の
コンクリートが型に流し込み、そのコンクリート上に治
具により位置決めした鋼管30と支持管34または可撓
管64とを押しつけて、これらを半ば埋め込む。コンク
リートがやや固まって鋼管30等が移動しない状態にな
ったとき、上記治具を外し、鋼管30等の上にさらにコ
ンクリートを流し込んでコンクリートブロックの上部を
成形し、上部と下部とを共に完全に硬化させれば、保持
部材40を使用することなく、鋼管30と支持管34ま
たは可撓管64とを適切に位置決めしてコンクリートブ
ロック70内に埋設することができるのである。
【0019】本発明の別の実施形態を図10に示す。本
実施形態の発熱部12においては、鋼管30と絶縁線3
6との間に、断熱層76と放熱部材78とが設けられて
いる。断熱層76は、多孔質の合成樹脂やガラス繊維な
どから成り、各鋼管30の内周面と両端面とを覆う形状
に成形されている。放熱部材78はアルミニウム製で、
集熱管80と放熱フィン82とを備えている。放熱フィ
ン82は集熱管80の軸方向の中央から半径方向外向き
に延び出させられており、その外周部は鋼管30の外周
面より外に突出している。集熱管80の放熱フィン82
の両側に位置する部分が、それぞれ両側の鋼管30内に
挿入されている。鋼管30側から見れば、両側の放熱部
材78の集熱管80の互いに反対側の端部が鋼管30内
に挿入されているのであり、これら反対側の部分同士が
鋼管30内で実質的に当接することにより、絶縁線36
をほぼ完全に覆っている。
【0020】断熱層76の内径は、集熱管80の外径よ
り僅かに大きいのみであり、集熱管80が鋼管30内に
挿入されることにより、放熱部材78と鋼管30との半
径方向の相対位置が一義的に定まっている。また、放熱
部材78の放熱フィン82と、断熱層76のフランジ部
とは、小間隙を隔てて対向しており、それによって放熱
部材78と鋼管30との軸方向の相対位置が一義的に定
まっている。断熱層76が、放熱部材78と鋼管30と
の相対位置決め装置を兼ねているのである。
【0021】本実施形態においては、鋼管30の内周面
から断熱層76により遮断され得ないで内方へ伝達され
てしまう熱も、導電線の銅損により発生し、絶縁線36
から熱放射により外方へ伝達される熱も、集熱管80に
より集められ、熱伝導により放熱フィン82に伝達さ
れ、放熱フィン82から放熱される。したがって鋼管3
0内部の空間の温度上昇が良好に抑制される。また、鋼
管30の内周面から熱放射により絶縁線36に熱が伝達
されることが、両者間に断熱層76と集熱管80とが介
在することにより防止される。そのため、絶縁線36の
温度上昇が抑制され、耐熱塩化ビニル樹脂皮膜の劣化が
良好に回避される。なお、本実施形態において、鋼管3
0の外周面からも1個または複数個の放熱フィンを延び
出させ、鋼管30自体の放熱性を高めれば、一層良好に
絶縁線36の温度上昇を抑制することができる。
【0022】本発熱部12は、空気や液体を加熱するた
めの表皮電流加熱装置用として使用することができ、そ
の場合には、両端の鋼管30または放熱部材78が互い
に離間することを防止した状態とすることにより、複数
の鋼管30と放熱部材78とを組立状態に保つことがで
きる。また、放熱部材78の内側でかつ絶縁線36の外
側に、前記実施形態におけると同様の支持管34を挿入
し、放熱部材78および鋼管30を支持させることもで
きる。本発熱部12はさらに、前記実施形態におけると
同様に、コンクリートブロック70内に埋設し、発熱モ
ジュール72として使用することもできる。この場合に
は、コンクリートは鋼管30および放熱部材78内部に
は殆ど侵入しない。しかし、鋼管30内部の熱は放熱部
材78により良好にコンクリートブロック70に伝達さ
れるため、絶縁線36の温度上昇は良好に抑制される。
【0023】以上の各実施形態においては、保持部材4
0や固体製の断熱層76の使用により、支持管34,可
撓管64,絶縁線36等が鋼管30のほぼ中心を通るよ
うにされており、それによって、支持管34,可撓管6
4,絶縁線36等が鋼管30の内周面に近接あるいは接
触し、その部分において絶縁線36の温度が局部的に高
くなることが防止されていたが、これは不可欠ではな
く、保持部材40や固体製の断熱層76を省略すること
も可能である。
【0024】本発明のさらに別の実施形態を図11に示
す。本発熱部12は、液送パイプ90の保温用である。
液送パイプ90の側面には、多数の鋼管30が溶接等適
宜の手段で固定されており、これら鋼管30を直列に貫
通して絶縁線36が配設されている。鋼管30は直線部
においては長く、曲線部においては短くされており、隣
接する鋼管30同士の間隔も直線部においては曲線部に
おけるより長くされている。鋼管30の内側でかつ絶縁
線36の外側に、前記実施形態における支持管34や可
撓管64を配設することも可能である。このように、短
い鋼管30を発熱管として使用すれば、液送パイプ90
が複雑に,湾曲,屈曲等している場合でも、容易に発熱
部12を構成することができる。本実施形態は、鋼板製
階段の裏面や、手すりを倣う状態で発熱部12を構成す
る場合にも同様に採用することができる。
【0025】以上の各実施形態においては、有孔発熱部
材として鋼管30が使用されていたが、貫通孔を有する
板状部材やブロックを有孔発熱部材として使用すること
も可能である。図12にその一例を示す。この発熱部1
2は、図13に示すように、中心に貫通孔を有する鋼製
の円板92を有孔発熱部材として使用したものであり、
円板92の貫通孔には耐熱性合成樹脂から成る円筒状の
断熱部材94が固着されており、この断熱部材94が非
磁性材料から成る保護管ないし支持管96に嵌合される
ことにより、円板92がほぼ等間隔に配列されている。
支持管96には絶縁線36が通され、発熱部12が構成
されている。円板92は放熱面積が広いため、貫通孔の
周面98の温度を低く保ち、絶縁線36の温度上昇を抑
制しつつ多量の熱を発生させることができる。図2の実
施形態に関連して先に説明したスペーサを円板92と交
互に支持管96に通し、スペーサにより円板92の支持
管96に直角な姿勢からの倒れを防止し、かつ、支持管
96に対する相対位置決めを行うことも可能である。
【0026】円板92に代えて、図14に示す正方形,
長方形等矩形の角板100を使用することも可能であ
る。これら円板,角板等の板状部材は図12に示すよう
に、貫通孔が同軸となるように並べて配列することも、
図15に示すように、板状部材を共通の平面(曲面でも
可)上に配列することも可能である。図15の実施形態
においては、正方形の角板100が複数枚、非磁性材料
から成る発熱部材支持板ないし放熱板102に等ピッチ
で配列されて固定され、絶縁線36が、角板100と放
熱板102との貫通孔を表面側から裏面側へ、裏面側か
ら表面側へと交互に縫って通されている。この構成の発
熱部12においても、絶縁線36に交流電流が流されれ
ば、貫通孔の周面104近傍に表皮電流が流れ、各角板
100が発熱する。この熱は伝導により放熱板102に
伝達され、広い面積から放熱される。
【0027】ブロックを有孔発熱部材として使用する場
合の一例を図16に示す。図示のブロック106は、正
六面体にその中心を貫通する貫通孔108を形成したも
のであるが、横断面形状が円形のブロックにその円の中
心線に沿ってブロックを貫通する貫通孔を形成すること
も可能である。有孔発熱部材が、管,板,ブロックのい
ずれであるかが明らかな場合もあるが、いずれと考える
のが妥当であるかが容易に決められない場合もある。し
かし、実用上は、有孔発熱部材が、管,板,ブロックの
いずれであると考えるのが妥当であるかは重要な問題で
はない。図17に示すように、ブロック(図示の例では
厚肉の円管)110に一体的に比較的薄い放熱フィン1
12を形成したものを有孔発熱部材として採用すること
も可能である。
【0028】比較的短い発熱管30を有孔発熱部材とし
て使用する表皮電流加熱装置の性能を確認するために実
験を行った。図18に示すように、複数の鋼管30から
成る鋼管列32に絶縁線36を複数回通し、22〜30
C°の大気中で、絶縁線36に60Hzの商用電源の電圧
を摺動ブラシ付単巻変圧器200により適宜変圧して印
加し、電圧計202,電流計204および電力計206
により電圧,電流および電力を測定した結果を、図19
に示す。ただし、実験条件は下記の通りである。 鋼管30 種類 JIS G3452 SGP−B−20A 外径 27.2mm 肉厚 2.8mm 絶縁線36 JIS C3306ビニル平形コード(VFF 2心
1.25mm2 /心)の2心を直列に接続して使用 絶縁線温度 22〜50°C範囲保持(鋼管30および
絶縁線36の温度を測定し、高すぎる場合には実験を休
止し、冷却後再開した。) 図19から明らかなように、鋼管30の長さを変えて
も、鋼管単位長さ当たりの発熱量(電磁損)は変わら
ず、いかなる長さの場合でも十分実用可能な発熱量が得
られる。また、鋼管30の電磁損は絶縁線36の銅損に
比較して十分大きく、本発明の有用性が確認された。
【0029】冷間圧延鋼帯から製造された可撓管64の
影響を調べるために、上記実験と同じ装置を使用し、J
IS SGP−B−20A鋼管を50mmの長さに切断し
たもの20個を5mm間隔で並べて成る鋼管列32を2列
形成し、それに絶縁線36のみを通した場合(テストN
o1)、上記2列の鋼管列32にそれぞれビニル被覆第
1種金属製可撓電線管(絶縁線36と鋼製の可撓管64
との組合わせに相当する)1.1m を1本ずつ通した場
合(テストNo2)、上記1.1m のビニル被覆第1種
金属製可撓電線管2本のみの場合(テストNo3)、お
よび絶縁線36のみの場合(テストNo4)について電
磁損を測定した。その結果を図20に示す。図20か
ら、鋼製の可撓管64の影響は実験誤差に隠れて判然と
しない程度で、ごく小さいことが判る。
【0030】図18の実験装置を利用して、板状部材を
有孔発熱部材として使用する表皮電流加熱装置の性能を
確認するために、円板状発熱部材と角板状発熱部材とに
ついて実験を行った。実験条件は下記の通りである。 円板状発熱部材 JIS G 3101の材料から成り、表面がクロメー
ト処理された丸形平座金(JIS B 1256の呼び
径16のものに相当) 平均外径 31.2mm 平均内径 17.2mm 平均厚さ 2.6mm 枚数 400枚(厚さの総和1.04m ) 配列 200枚ずつを1m の長さに2列 角板状発熱部材 JIS G 3131の材料から成り、表面がクロメー
ト処理された角形平座金(JIS B 1256の呼び
径14のものに相当) 平均辺長さ 42.0mm 平均貫通孔径 14.1mm 平均厚さ 3.1mm 枚数 334枚(厚さの総和1.04mm) 配列 167枚ずつを1.5m の長さに2列 絶縁線 JIS C3306ビニル平形コード(VFF 2心
1.25mm2 /心)の2心を直列に接続して使用 通線回数 10回
【0031】上記実験の結果を図21に示し、有孔発熱
部材として比較的短い発熱管を使用する場合との比較を
図22に示す。図21から、円板状発熱部材を使用して
も角板状発熱部材を使用しても、絶縁線の導電線の銅損
に基づく電力消費量に比較して、板状発熱部材の電磁損
に基づく電力消費量が十分大きいことが明らかであり、
板状発熱部材を使用する本発明の有用性が確認された。
また、図22から、板状発熱部材を使用する場合の発熱
部材の厚さの総和1m 当たりの電磁損が、発熱管を使用
する場合の長さの総和1m 当たりの電磁損に比較して大
きいことが判る。しかも、発熱部材の厚さまたは長さの
総和1m 当たりの総放熱面積も板状発熱部材の方が発熱
管より大きくなることは計算してみるまでもなく明らか
であって、板状発熱部材が有孔発熱部材として優れたも
のであることが判る。
【0032】その他、特許請求の範囲を逸脱することな
く、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した
形態で本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である表皮電流加熱装置の
構成を概略的に示す回路図である。
【図2】上記表皮電流加熱装置の発熱部の一例を示す正
面断面図である。
【図3】上記発熱部の一構成部材である保持部材を示す
正面図である。
【図4】図3におけるA矢視図である。
【図5】図2に示した発熱部が液槽内に設置された状態
を示す正面断面図である。
【図6】本発明の別の実施形態における発熱部を示す正
面図である。
【図7】図6に示した発熱部の一使用例を、従来の発熱
部と比較しつつ示す斜視図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態における発熱部を
示す斜視図である。
【図9】図8に示した発熱部の要部正面断面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施形態における発熱部
の要部を示す正面断面図である。
【図11】本発明のさらに別の実施形態における発熱部
を示す斜視図である。
【図12】本発明のさらに別の実施形態である表皮電流
加熱装置を、それの発熱部を断面図として示す図であ
る。
【図13】図12の実施形態において有孔発熱部材とし
て使用される円板を示す斜視図である。
【図14】本発明のさらに別の実施形態において有孔発
熱部材として使用される角板を示す斜視図である。
【図15】本発明のさらに別の実施形態である表皮電流
加熱装置を、それの発熱部を斜視図として示す図であ
る。
【図16】本発明のさらに別の実施形態において有孔発
熱部材として使用されるブロックを示す斜視図である。
【図17】本発明のさらに別の実施形態において有孔発
熱部材として使用される放熱フィン付きのブロックを示
す斜視図である。
【図18】本発明の有効性を確認するために行った実験
の装置を示す回路図である。
【図19】上記実験の結果を示す図表である。
【図20】上記実験とは別の実験の結果を示す図表であ
る。
【図21】さらに別の実験の結果を示す図表である。
【図22】図19に示した発熱管に関する実験結果の一
部と図21に示した板状発熱部材に関する実験結果とを
比較して示す図表である。
【符号の説明】
10:交流電源回路 12:発熱部 30:鋼管
32:鋼管列 34:支持管 36:絶縁線
40:保持部材 64:可撓管 66:平面用発熱
部 70:コンクリートブロック 72:発熱モジ
ュール 76:断熱層 78:放熱部材 80:
集熱管 82:放熱フィン 90:液送パイプ
92:円板 94:断熱部材 96:支持管 1
00:角板102:放熱板 106:ブロック 1
10:ブロック 112:放熱フィン

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強磁性材料から成る複数の有孔発熱部材が
    間隔をあけて並べられた有孔発熱部材列に導電線が電気
    的に絶縁された状態で通され、その導電線に交流電源か
    ら交流電流が流されることにより、前記複数の有孔発熱
    部材の各々に表皮電流が発生させられ、発熱させられる
    表皮電流加熱装置であって、前記有孔発熱部材列が、それぞれ貫通孔を有する複数の
    板状部材が一面上に互に間隔をあけて平らに並べられた
    板状部材列を含み、その板状部材列に前記導電線が表側
    からと裏側とから交互に縫う状態で通されたことを特徴
    とする表皮電流加熱装置。
  2. 【請求項2】強磁性材料から成る複数の有孔発熱部材が
    間隔をあけて並べられた有孔発熱部材列に導電線が電気
    的に絶縁された状態で通され、その導電線に交流電源か
    ら交流電流が流されることにより、前記複数の有孔発熱
    部材の各々に表皮電流が発生させられ、発熱させられる
    表皮電流加熱装置であって、 前記有孔発熱部材が、貫通孔を有するブロックを含むこ
    とを特徴とする表皮電流加熱装置。
  3. 【請求項3】強磁性材料から成る複数の有孔発熱部材が
    間隔をあけて並べられた有孔発熱部材列に導電線が電気
    的に絶縁された状態で通され、その導電線に交流電源か
    ら交流電流が流されることにより、前記複数の有孔発熱
    部材の各々に表皮電流が発生させられ、発熱させられる
    表皮電流加熱装置であって、 前記導電線が複数本、可撓性を有する可撓管に、互に電
    気的に絶縁された状態で、かつ、周囲に隙間を残して緩
    く通され、その可撓管が前記複数個の有孔発熱部材の各
    貫通孔に通されたことを特徴とする表皮電流加熱装置。
  4. 【請求項4】強磁性材料から成る複数の有孔発熱部材が
    間隔をあけて並べられた有孔発熱部材列に導電線が電気
    的に絶縁された状態で通され、その導電線に交流電源か
    ら交流電流が流されることにより、前記複数の有孔発熱
    部材の各々に表皮電流が発生させられ、発熱させられる
    表皮電流加熱装置であって、 前記有孔発熱部材の貫通孔周面と前記導電線との間に、
    非磁性金属から成り、有孔発熱部材の内部空間内に位置
    して熱を吸収する集熱部と、有孔発熱部材の外部に位置
    し、集熱部により集熱された熱を放出する放熱部とを含
    む放熱部材が配設されたことを特徴とする表皮電流加熱
    装置。
  5. 【請求項5】強磁性材料から成る複数の有孔発熱部材が
    間隔をあけて並べられた有孔発熱部材列に導電線が電気
    的に絶縁された状態で通され、その導電線に交流電源か
    ら交流電流が流されることにより、前記複数の有孔発熱
    部材の各々に表皮電流が発生させられ、発熱させられる
    表皮電流加熱装置であって、 前記複数の有孔発熱部材が、1個の非磁性材料から成る
    固体部材内に埋設されて一体物とされたことを特徴とす
    る表皮電流加熱装置。
  6. 【請求項6】強磁性材料から成る複数の有孔発熱部材が
    間隔をあけて並べられた有孔発熱部材列に導電線が電気
    的に絶縁された状態で通され、その導電線に交流電源か
    ら交流電流が流されることにより、前記複数の有孔発熱
    部材の各々に表皮電流が発生させられ、発熱させられる
    表皮電流加熱装置であって、 前記導電線の外側でかつ前記有孔発熱部材の内側に、非
    磁性金属から成る支持管が挿入されたことを特徴とす
    皮電流加熱装置。
  7. 【請求項7】強磁性材料から成る複数の有孔発熱部材が
    間隔をあけて並べられた有孔発熱部材列に導電線が電気
    的に絶縁された状態で通され、その導電線に交流電源か
    ら交流電流が流されることにより、前記複数の有孔発熱
    部材の各々に表皮電流が発生させられ、発熱させられる
    表皮電流加熱装置であって、 前記有孔発熱部材の内部を通って有孔発熱部材の外部に
    至る流体の対流を許容しつつ隣接する有孔発熱部材同士
    の間隔を保持する対流許容型間隔維持装置を含むことを
    特徴とする表皮電流加熱装置。
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