JP3258443B2 - 電力計のオートゼロ装置 - Google Patents

電力計のオートゼロ装置

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JP3258443B2
JP3258443B2 JP12528793A JP12528793A JP3258443B2 JP 3258443 B2 JP3258443 B2 JP 3258443B2 JP 12528793 A JP12528793 A JP 12528793A JP 12528793 A JP12528793 A JP 12528793A JP 3258443 B2 JP3258443 B2 JP 3258443B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は電力計のオートゼロ装
置に係り、更に詳しく言えば、被測定線路から取り込ん
だ電圧と電流を掛け合わせて電力を求める際、乗算器に
発生するオフセット電圧を自動的に打ち消す電力計のオ
ートゼロ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来一般に利用されているオートゼロ装
置の要部が図3(A)に示されているが、例えば乗算器
11、積分器12、ローパスフィルタ13、及びスイッ
チS1ないしS3を備えている。
【0003】いま、図示しない被測定線路から装置の入
力端子へ取り込んだ電圧をVvとする。また、同線路に
流れる電流はいったん電圧に変換して装置の入力端子へ
取り込むようになっており、それをViとする。ここ
で、例えば Vv=21/2Vcosωt Vi=21/2Icos(ωt−θ) とする。ただし、Vv,Viはそれぞれ線路における電
圧、電流の瞬時値、V,Iはその実効値を表し、θは電
圧と電流の位相差である。
【0004】ここで、スイッチS1ないしS3を接点a
側に切り換え、線路電圧Vvと線路電流を表す電圧Vi
とを乗算器1に加えて掛け合わせると、 Vv×Vi=21/2Vcosωt×21/2cos(ωt−θ) =VIcos(2ωt−θ)+VIcosθ ………(1) となる。
【0005】上式中、右辺第1項は線路の2倍の周波数
を有する交流成分で第2項は直流成分であり、この掛け
算結果を例えばローパスフィルタ13に通して交流成分
を除去すると、同フィルタの出力側から次に示す被測定
線路の有効電力Wが得られる。すなわち、 W=VIcosθ ………(2) この有効電力Wは例えば図示しない測定部に送られてデ
ィジタル変換され、測定した他の線路特性データなどと
ともに記録又は表示されるようになっている。
【0006】ところで、乗算器11には一般に多少のオ
フセット電圧Voが発生し、式(1)の右辺に入り込
む。このオフセット電圧は直流であるからローパスフィ
ルタ13では除去できず、同フィルタの出力側から得ら
れる見掛け上の有効電力Wは W=VIcosθ+Vo となり、式(2)の真値に対して測定誤差が生じる。こ
のためオートゼロ装置を設け、オフセット電圧を打ち消
すようにしている。
【0007】すなわち、図示のように3個のスイッチS
1ないしS3と積分器12を設け、各スイッチが接点a
側に切り換えられたときはVvとViを乗算器14によ
り掛け算して電力Wを求め、接点b側に切り換えられた
ときは同乗算器が発生するオフセット電圧Voを積分器
12に取り込んで逆極性に積分し、その積分電圧を乗算
器に負帰還して打ち消すようにする。そこで、例えばス
イッチが接点a側に切り換えられている状態を「計測モ
ード」、接点b側に切り換えられている状態を「ゼロモ
ード」と言うことにする。
【0008】上記図3(A)の構成における各部の動作
の一例を図4に示す。同図4(A)は例えば図示しない
CR発振器から発せられるスイッチ駆動用のクロック
で、Hレベルのときは各スイッチが接点a側に切り換え
られて装置は計測モードとなり、Lレベルのときは接点
b側に切り換えられてゼロモードになるものとする。
【0009】図4(B)は線路から取り込んだ電圧Vv
を表し、同図4(C)は線路から取り込んだ電流を電圧
に変換して表したもので、以下、電流Viと言うことに
する。図中、斜線でハッチングした個所は、計測モード
のとき乗算器11に入力する電流を表し、計測モードと
ゼロモードにおける乗算器の電流入力状態を同図4
(D)に示す。
【0010】乗算器11においては、この図4(D)に
示す電流Viと上記同図4(B)に示す電圧Vvとの掛
け算が行なわれ、その出力は例えば図4(E)のように
なる。ここで、図4の(A)と(E)を転記した図5
(A)と(B)において、例えば同図5(B)に破線で
示すように正のオフセット電圧(+)Voが上記出力へ
重畳すると、そのゼロライン0は見掛け上0´へシフト
する。この場合、オフセット電圧(+)Voは同図5
(C)に示すようにゼロモード期間中スイッチS3を経
て積分器12に加えられ、同図5(D)に示すように逆
極性の電圧(−)Voに積分されて乗算器12へ負帰還
される。これによりオフセット電圧が打ち消され、正規
のゼロライン0が維持される。
【0011】上記は図面作成の都合上クロックを粗くし
た場合を例示したが、実際には高速のクロックが用いら
れるので図4(F)に示すように乗算器の出力はより滑
らかな波形となる。この出力は上記式(1)で説明した
ように、線路の2倍の周波数を有する交流成分と一定レ
ベルの直流成分との合成電圧であり、各成分電圧をそれ
ぞれ図4(G)と同図(H)に示す。よって図4(F)
の出力をローパスフィルタ13に通すと同図(G)の交
流電圧は除去され、有効電力Wに相当する同図(H)の
直流電圧が得られる。
【0012】このオートゼロ装置によるとオフセット電
圧は十分打ち消され、高精度の電力測定ができるという
長所がある。ところで近年は各種電源装置類の多様化に
伴い、被測定線路の電源周波数は必ずしも商用周波数と
は限らず、かなり高い周波数で電力を供給する線路も見
受けられるようになってきた。したがって、乗算器から
出力する交流成分の周波数すなわち線路周波数の2倍の
周波数がたまたまクロック周波数に近いような場合は、
その周波数とクロック周波数との差の周波数によりビー
ト現象(唸り)を発生することが考えられる。
【0013】この場合、ビート周波数が例えば数十Hz
以下となりローパスフィルタで十分除くことができなく
なると、同フィルタの出力は本来VIcosθという直
流であるべきところに低周波数のビートが重畳し、有効
電力の測定値が不安定になったり測定困難となることが
予見される。そこで本出願人は、そのようなビート現象
を打ち消し、比較的高い周波数においても安定に電力測
定ができるオートゼロ装置の発明、考案を先にいくつか
提案した。
【0014】例えば実願平3−92203号公報におけ
るオートゼロ装置の要部を抜粋した図3(B)を参照す
ると、同一構成の2つのオートゼロ回路14,17と加
算器20及びローパスフィルタ21を備えている。この
先願例においては、オートゼロ回路14,17の一方の
回路が計測モードで動作するときは、他方の回路はゼロ
モードで動作するようにそれぞれのスイッチ類が駆動さ
れるようになっているが、個々の動作は上記図3(A)
の従来例と同様なので、以下、図6を併せて参照しなが
ら手短かに説明する。
【0015】例えば図6(A)に示すスイッチ駆動用の
クロックが一方のオートゼロ回路14に加えられたとす
ると、他方のオートゼロ回路17には同図(D)に示す
ように上記(A)を反転したクロックが加えられる。こ
れにより、オートゼロ回路14の乗算器15に入力する
電流Viは、同図(B)に示す断続波形となる。ここ
で、入力電圧Vvは前記図4(B)と同一であるとする
と、乗算器15の掛け算出力は同図6(C)に示す波形
となる。この場合、乗算器に発生するオフセット電圧V
oは、各ゼロモード期間における積分器16の負帰還動
作にて打ち消される。
【0016】また、オートゼロ回路17の乗算器18に
入力する電流Viは、同図6(E)に示すような断続波
形となり、この電流波形と前記図4(B)の電圧との掛
け算が乗算器18にて行なわれ、その掛け算出力は同図
6(F)に示すようになる。この場合、乗算器18に発
生するオフセット電圧Voは、各ゼロモード期間におけ
る積分器19の負帰還動作により上記と同様に打ち消さ
れる。上記図6(C)とこの図6(F)の2つの乗算器
出力は例えば加算器20の入力部において加え合わさ
れ、同図6(G)に示す波形となる。
【0017】すなわちこの図6(G)によると、第1の
オートゼロ回路14の出力と第2のオートゼロ回路17
の出力を加え合わせることにより各出力中に含まれるク
ロック周波数成分が消滅し、線路の2倍の周波数のみで
なる単一周波数の電圧となることがわかる。これによ
り、線路周波数とクロック周波数とによるビート現象の
発生要因を無くすことができる。なお、加算器20にて
形成された図6(G)の電圧は前記図4(F)と同一の
波形であるから、この電圧を例えばフィルタ21に通す
と有効電力Wに相当する直流電圧が得られる。
【0018】次に、本出願人の他の先願例である特願平
3−214804号におけるオートゼロ装置の要部を図
7に示す。この先願例は例えば同一構成の第1及び第2
の極性反転器22,24と、乗算器23、ローパスフィ
ルタ25、スイッチS1ないしS4を備えている。な
お、これらのスイッチは例えば図示しないCR発振器か
ら発せられるクロックにて同時に駆動され、同クロック
がHレベルのときは接点a側に切り換えられ、Lレベル
のときは接点b側へ切り換えられるようになっている。
以下、図8と図9を併せて参照しながら動作の概要を説
明する。
【0019】図8(A)にスイッチ駆動用のクロックを
示す。いま、同図8(B)に示す電圧Vvと同図8
(C)に示す電流Viが装置に加わったとすると、電流
Viは斜線でハッチングした箇所がスイッチS1の接点
a側から極性反転器22に加わって極性が反転し、その
反転出力はスイッチS2の接点a側を経て乗算器23へ
入力する。また、ハッチングを施さない箇所の電流は、
そのままの極性でそれぞれスイッチS1,S2の接点b
側を通り乗算器23に入力する。よって、乗算器に入力
する電流Viの波形は同図8(D)のようになる。乗算
器23においてはこの図8(D)に示す電流Viと上記
図8(B)に示す電圧Vvとの掛け算がなされ、その出
力側から例えば同図8(E)に示す電圧が得られる。
【0020】ここで便宜上、図9(A)に図8(E)の
乗算器出力を、また、図9(B)に図8(A)のクロッ
クをそれぞれ再掲すると、同図9(A)のハッチングし
た箇所の電圧は、図9(B)のクロックで駆動されるス
イッチS3の接点a側から極性反転器24に加わって極
性が反転し、その反転電圧はスイッチS4の接点a側を
経てフィルタ25へ入力する。また、ハッチングを施さ
ない箇所の電圧は、そのままの極性でそれぞれスイッチ
S3とS4の接点b側を通りフィルタ25へ入力する。
よって、スイッチS4の接点a側とb側から同フィルタ
に入力する2つの電圧は、同図9(C)に示すように線
路の2倍の周波数を有する連続したcos波形の電圧と
なる。
【0021】この場合、例えば乗算器23にオフセット
電圧(+)Voが発生して上記図9(A)の掛け算出力
に重畳し、そのゼロラインが破線で示すように見掛け上
0´になったとする。いま、このオフセット電圧を抜粋
した図9(F)において、斜線でハッチングした箇所の
電圧は極性反転器24にて極性が反転し、スイッチS
3,S4の接点b側を通ってきた極性が反転しないオフ
セット電圧と合して同図(G)に示すような連続した方
形波の交流電圧となる。
【0022】すなわち、オフセット電圧を含む図9
(C)のようなフィルタの入力電圧は、同図(D)に示
す線路の2倍の周波数2ωtを有するcos波形電圧
と、同図(E)に示すVv×Vicosθなる一定直流
電圧と、同図(G)に示すようにクロックと同一周波数
の方形波交流電圧との合成電圧となる。この合成電圧を
フィルタ25に通すと周波数が高い上記2つの交流電圧
は除去され、直流電圧Vv×vicosθ(=W)が得
られる。この直流電圧を図示しない測定部へ送り、電子
レベルの電圧Vvと電流Viをそれぞれ本来の線路電圧
Vと線路電流Iに戻せば、線路の有効電力W(=V・I
cosθ)が求まる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】上記図3(B)に示す
先願例は、2つのオートゼロ回路を用いてそれぞれ乗算
器のオフセット電圧を打ち消すとともに、両回路の出力
を加算器に加えてクロック周波数成分を含まない連続し
たcos波形の乗算出力を形成し、線路周波数とのビー
ト現象が発生しないようにしたことに特徴がある。
【0024】また、図7に示す先願例は入力電流の極性
と乗算器の出力電圧の極性をそれぞれ反転する2つの極
性反転器を有し、前者の極性反転器出力と入力電圧とを
乗算器に加え、その乗算出力を後者の極性反転器にて極
性反転することによりクロック周波数成分を含まない連
続したcos波形の乗算出力を形成し、かつ、乗算器の
出力に重畳した直流のオフセット電圧を後者の極性反転
器により併せて極性反転し、クロックと同一周波数の交
流電圧に変換してフィルタにより除去することに特徴が
ある。
【0025】しかしながら、前者の例においてはオート
ゼロ回路を並列的に2つ設けるので、装置構成が複雑化
するということにやや難点がある。また後者の例では、
比較的高い周波数領域で良好な特性を有する極性反転器
は高価になるという難点がある。
【0026】この発明は上記の事情を考慮してなされた
もので、その目的は、スイッチ類を駆動するクロックを
特に必要としないで乗算器のオフセット電圧を打ち消す
ようにした比較的構成が簡単な電力計のオートゼロ装置
を提供することにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】一般に電子計測機器類は
電源を投入したら若干の時間を置き、装置の特性が安定
してから測定を行なうようにしており、電力計で線路の
電力を測定する場合も同様である。したがって、測定開
始時には乗算器に発生しているオフセット電圧も一定と
みなせるから、それを必ずしも高速に繰り返し検出して
補正する必要はなく、適宜の時間間隔で補正すればよ
い。
【0028】よって、この発明に係る電力計のオートゼ
ロ装置は上記の考え方に基づき、次に示す課題解決手段
を備えている。
【0029】 例えば線路の電力を測定するときは乗
算器の電流入力路を線路側に接続し、乗算器のオフセッ
ト電圧を補正するときは同乗算器の電流入力路を接地側
へ接続する切り換えスイッチを備えている。
【0030】 例えば乗算器の出力から交流電圧を除
去して直流電圧を抽出するローパスフィルタを備えてい
る。
【0031】 例えば線路の電力測定と乗算器のオフ
セット電圧補正時における上記フィルタの直流出力電圧
をそれぞれディジタルデータに変換するA/Dコンバー
タを備えている。
【0032】 例えば与えられたディジタルデータを
アナログ電圧に変換し、その出力電圧を上記乗算器へ負
帰還するD/Aコンバータを備えている。
【0033】 例えば電力測定中、定期的にオフセッ
ト電圧補正に切り換えてゼロ補正を行ない、補正終了後
再び電力測定に戻す切り換え駆動信号を上記スイッチへ
送出するとともに、オフセット電圧補正中は上記A/D
コンバータの出力データを監視しながら上記D/Aコン
バータに逐次データを供給し、上記乗算器のオフセット
電圧がゼロとなるようにD/Aコンバータの負帰還電圧
を制御するコントローラを備えている。
【0034】 例えば上記コントローラからの制御に
より電力測定中はフィルタの直流出力電圧をサンプリン
グして後段の記録部等へ送出し、オフセット電圧補正の
際はその直前の上記直流電圧を保持して補正終了まで同
記録部へ送出するサンプリング・ホールド回路を備えて
いる。
【0035】
【作用】例えば、まずコントローラからスイッチへ電力
測定に切り換える駆動信号を発し、線路周波数のn波分
について電力を測定する。nは任意の数を指定する。1
波でも2波でもよい。
【0036】次に、コントローラからスイッチへオフセ
ット電圧補正に切り換える駆動信号を発し、切り換え後
におけるA/Dコンバータの出力データを監視しなが
ら、その出力データすなわち乗算器のオフセット電圧が
ゼロとなるようにD/Aコンバータへデータを供給して
乗算器に負帰還する出力電圧を制御する。コントローラ
はオフセット電圧がゼロになったことを検出するとその
ときA/Dコンバータに与えたデータを固定し、以後次
回補正時までそのデータを与え続ける。
【0037】コントローラは補正終了後スイッチへ再び
電力測定開始の切り換え駆動信号を送出する。オフセッ
ト電圧が一定値に安定しているものとすると、短時間の
電力測定においては補正は1回でよい。変電所や配電室
などに設備し常時電力を監視するような場合は、室温の
変動や経時変化を考慮して例えば1時間に1回補正する
としても、従前の装置のように計測モードとゼロモード
を高速に切り換えるクロックは必要としないで電力が測
定できる。
【0038】
【実施例】この発明に係るオートゼロ装置の一実施例を
図1(A)に示す。同図を参照すると、線路から装置に
取り込んだ電圧Vvは例えば乗算器1に加えられ、線路
の電流を電圧に変換して取り込んだ電圧Viはスイッチ
S1の接点a側から乗算器1に加わる。スイッチS1,
S2が図示のように駆動されている場合は従前の計測モ
ード状態に対応し、スイッチが接点b側に駆動されると
従前のゼロモードに対応した状態となる。
【0039】乗算器1の掛け算出力は例えばローパスフ
ィルタ2に加えられ、同フィルタの出力はサンプリング
・ホールド回路(以下、「S/H回路」と言う。)3に
加えられる。ここで、計測モードの場合は乗算器1に電
圧VvとViが加わって掛け算が行なわれるから、その
出力は交流電圧と直流電圧の合成電圧となり、この交流
電圧はフィルタ2にて除去され、同フィルタの出力は有
効電力の大きさに比例した直流電圧となる。また、ゼロ
モードの場合はVi=0であるから掛け算出力もゼロと
なり、乗算器に発生するオフセット電圧Voのみが出力
され、フィルタ2を通って上記S/H回路3とA/Dコ
ンバータ4に加わる。
【0040】S/H回路3は、例えば計測モードのとき
はフィルタが出力する有効電力に比例した直流電圧を所
定のタイミングでサンプリングし記録部5へ送出する。
また、ゼロモードのときはその直前の上記直流電圧を保
持して記録部へ送るようになっている。これにより、記
録部5はゼロモードでも電力記録を中断しないようにさ
れている。
【0041】A/Dコンバータ4に加わった直流電圧は
ディジタルデータに変換され、コントローラ6に入力す
る。コントローラ6は入力データから例えば線路の電力
を測定するほか、乗算器のオフセット電圧を補正するた
め各部の動作制御を行なう。すなわち、オフセット電圧
の補正については例えばスイッチ類をゼロモード状態に
駆動し、A/Dコンバータ4から入力するデータにより
オフセット電圧を監視するとともに、上記作用説明の項
で述べたようにこのオフセット電圧をゼロに補正する。
A/Dコンバータからの入力データがゼロになったこと
を確かめると、コントローラはスイッチを計測モードに
切り換えて電力測定を行なう。以後、一定時間ごとにゼ
ロ補正を繰り返す。
【0042】次に、図2を併せて参照しながら動作例を
説明する。例えばコントローラ6からS/H回路3へあ
る時点にサンプリングの指令信号が発せられ、2つのス
イッチS1,S2は接点a側に切り換えられて計測モー
ド(図1(A))になったとする。このとき装置に入力
する電圧Vvと電流Viを図2(A)及び(B)に示
し、乗算器1の掛け算出力を同図2(C)に示す。図2
(C)中、点線で示す直流電圧Voは、例えば乗算器に
発生している正のオフセット電圧とする。
【0043】この乗算器の掛け算出力は、同図2(D)
に示すように線路電圧Vv又は線路電流Viの2倍の周
波数を有する交流電圧VIcos(2ωt−θ)と、同
図2(E)に示すように有効電力Wを表す直流電圧VI
cosθ、及び上記直流のオフセット電圧Voとの合成
電圧である。この合成電圧がローパスフィルタ2に加わ
ると図2(D)の交流電圧は除去され、同フィルタの出
力は図2(E)の直流電圧のみとなる。
【0044】ここでコントローラ6は図2(F)に示す
ように、例えばt1時点においてS/H回路3へホール
ドの指令信号を発し、同回路にフィルタ2の直流出力電
圧を保持させたのち、所定時間経過後のt2時点でスイ
ッチS1とS2へ接点b側に切り換える駆動信号を送出
する。これにより装置は従前のゼロモード状態に入り、
フィルタ2からは図2(E)の実線で示すようにその時
定数に応じてオフセット電圧Voに収れんする電圧が出
力し、S/H回路3からは同図(E)の破線で示すよう
にt1時点で保持した直流電圧が出力する。
【0045】コントローラ6は、例えばフィルタの出力
が一定値に達して変化しなくなったことをt3時点にお
いてA/Dコンバータからの入力データにより検出する
と、そのデータをD/Aコンバータ7に与える。同D/
Aコンバータはこのデータをアナログ電圧に変換して上
記乗算器1へ負帰還する。これにより乗算器のオフセッ
ト電圧に対する補正が開始される。コントローラは上記
オフセット電圧がゼロとなるようにD/Aコンバータに
与えるデータを調整し、同D/Aコンバータの帰還電圧
を制御する。
【0046】次にコントローラ6は、例えばt4時点に
おいてオフセット電圧がゼロになったことをA/Dコン
バータからの入力データにより検出すると、そのときD
/Aコンバータに与えたデータを固定したのち、t5時
点において上記スイッチS1,S2へ接点a側に切り換
える駆動信号を送出する。これにより従前のゼロモード
状態から計測モード状態に変わり、乗算器1には図2
(B)に示すように電流Viが入力し、同乗算器からは
同図2(C)の電圧が出力する。また、フィルタ2から
は図2(E)の点線で示すようにその時定数に応じた立
ち上がり特性の電圧が出力する。しかし、t5時点近傍
ではS/H回路3がホールド状態になっており、記録部
5などには立ち上がり時の電圧は加わらない。
【0047】コントローラ6は例えばt6時点におい
て、上記フィルタ2の立ち上がり電圧が一定電圧に達し
たことをA/Dコンバータからの入力データにより検出
すると、S/H回路へサンプリングの指令信号を送出す
る。これによりS/H回路から記録部へ送出する電圧
は、図2(E)の破線から実線で示すように切り替わ
る。
【0048】なお、上記ローパスフィルタ2の一実施例
を図1(B)に示す。同図からわかるように、スイッチ
S3の開閉をコントローラ6にて制御することによりそ
の時定数が切り替わるようになっている。例えば図示の
ようにスイッチが開の場合は比較的高速で、閉の場合は
それより低速となる。したがって例えばスイッチを開に
すると、図2(E)及び(F)においてt2からt3間
と、t5からt6間の時間を短縮することができる。
【0049】上記したように、オフセット電圧の補正は
ホールド状態で行なうようになっているが、このホール
ド状態は例えば携帯形の電力計で短時間測定の場合は1
分間に1回、固定設備で常時測定の場合は1時間に1回
というように、測定条件によりコントローラへ適宜回数
を設定する。これにより、測定中定期的にオフセット電
圧の補正ができる。
【0050】なお、上記の実施例においては、線路から
取り込んだ電圧Vvと電流Viのうち、電圧Vvは乗算
器1へ直接入力し、電流ViはスイッチS1,S2を介
して同乗算器へ入力する場合が説明されているが、電流
Viを乗算器へ直接入力し、電圧Vvがスイッチを介し
て乗算器へ加わるようにしてもよい。
【0051】
【効果】以上、詳細に説明したようにこの発明において
は、乗算器のオフセット電圧を補正するため装置の動作
を計測モード又はゼロモードに切り換えるスイッチ類に
対して駆動用のクロックを必要としないから、線路周波
数とクロック周波数とによるビート現象は発生しない。
そのため比較的高い周波数の線路でも安定に電力測定が
でき、電力計の広帯域化に極めて有利である。
【0052】また、クロック発生器が不必要であること
から構成も比較的簡素であり、かつ、モード切り換え用
のスイッチ類は特に高周波用である必要は無く、一般の
素子で足りる。したがって、装置のコストダウンにも有
効である。
【0053】更に、この発明においてはS/H回路をホ
ールド状態とすることにより、オフセット電圧を補正す
るゼロモード期間中でもその直前の電力測定データが記
録部等へ送られるようになっている。そのため記録デー
タが中断して欠損するようなことが無く、測定者がデー
タの解析などをする場合に好都合である。
【0054】なお、フィルタの時定数が切り換え可能と
なっているのでホールド状態の時間を短縮することがで
き、したがって測定時間を短くするのに有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用されたオートゼロ装置の電気的
構成を示すブロック線図。
【図2】この発明が適用されたオートゼロ装置の動作説
明用波形図。
【図3】従来装置の構成を示すブロック線図。
【図4】従来装置の動作説明用波形図。
【図5】従来装置の動作説明用波形図。
【図6】従来装置の動作説明用波形図。
【図7】他の従来装置の構成を示すブロック線図。
【図8】他の従来装置の動作説明用波形図。
【図9】他の従来装置の動作説明用波形図。
【符号の説明】
1 乗算器 2 フィルタ 3 サンプリング・ホールド回路 4 A/Dコンバータ 6 コントローラ 7 D/Aコンバータ S1 スイッチ S2 スイッチ S3 スイッチ Vi 線路電流 Vo オフセット電圧 Vv 線路電圧 W 有効電力
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 21/00 - 22/00 130 G01R 11/00 - 11/66

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被測定線路の電圧と同線路に流れる負荷
    電流を電力計に取り込んで乗算器により掛け合わせ、同
    乗算器の掛け算出力から上記線路の有効電力に対応した
    直流電圧と上記乗算器に発生する直流のオフセット電圧
    とを含む直流成分を抽出するとともに、上記乗算器の電
    圧入力もしくは電流入力を断にしたとき出力する直流電
    圧を同乗算器へ連続的に負帰還して上記抽出した直流成
    分中のオフセット電圧をゼロに補正し、上記線路の有効
    電力に対応した直流電圧を得る電力計のオートゼロ装置
    において、 上記オートゼロ装置は、上記乗算器の電圧入力路もしく
    は電流入力路を線路側又は接地側へ切り換え接続するス
    イッチと、上記乗算器の掛け算出力から直流成分を抽出
    するローパスフィルタと、同フィルタが抽出した直流電
    圧を所定のタイミングでサンプリングして送出し、もし
    くは指定時点における上記直流電圧を保持するサンプリ
    ング・ホールド回路(S/H回路)と、上記フィルタが
    抽出した直流電圧をディジタルデータに変換するA/D
    コンバータと、与えられたディジタルデータをアナログ
    電圧に変換して上記乗算器へ負帰還するD/Aコンバー
    タと、コントローラとを備え、 上記コントローラは、上記乗算器の電圧入力路もしくは
    電流入力路が接地側に接続されたとき上記フィルタが出
    力する直流電圧の変化を上記A/Dコンバータから加わ
    るディジタル変換データにて監視するとともに、同フィ
    ルタの出力電圧が上記乗算器のオフセット電圧に達して
    一定になったことを検出すると上記D/Aコンバータへ
    逐次データを供給して上記乗算器のオフセット電圧がゼ
    ロとなるように同D/Aコンバータから乗算器へ負帰還
    するアナログ出力電圧を制御し、上記乗算器のオフセッ
    ト電圧がゼロになった時点でD/Aコンバータに与えた
    データを保持する手段を備えていることを特徴とする電
    力計のオートゼロ装置。
  2. 【請求項2】 上記コントローラには、上記S/H回路
    をサンプリング動作からホールド動作に切り換え、所定
    時間経過後同ホールド動作をサンプリング動作に戻すこ
    とを定期的に繰り返すための指令信号送出手段が備えら
    れている請求項1に記載のオートゼロ装置。
  3. 【請求項3】 上記コントローラには、上記S/H回路
    がサンプリング動作からホールド動作へ移行したのち上
    記乗算器の電圧入力路もしくは電流入力路を線路側から
    接地側へ接続し、同S/H回路のホールド動作がサンプ
    リング動作へ戻る前に上記接地側へ接続した入力路を線
    路側へ切り換え接続するように上記スイッチを動作させ
    る駆動信号送出手段が備えられている請求項1に記載の
    オートゼロ装置。
  4. 【請求項4】 上記ローパスフィルタは、上記コントロ
    ーラから発する駆動信号にてオン、オフするスイッチに
    より同フィルタの時定数が大、小2段階に切り換え可能
    とされている請求項1に記載のオートゼロ装置。
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