JP3253764B2 - 再生ラジカルスカベンジャーを含むエレクトロコートプライマー層 - Google Patents

再生ラジカルスカベンジャーを含むエレクトロコートプライマー層

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JP3253764B2 JP15553193A JP15553193A JP3253764B2 JP 3253764 B2 JP3253764 B2 JP 3253764B2 JP 15553193 A JP15553193 A JP 15553193A JP 15553193 A JP15553193 A JP 15553193A JP 3253764 B2 JP3253764 B2 JP 3253764B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】発明の分野 本発明は、金属基材上に重合体コーティングを電着させ
るための組成物、方法、および工程に関する。
【0002】発明の背景 電着またはエレクトロコーティングは、金属基材に重合
体コーティング材を塗布する分野で広く使用されてい
る。電着浴は通常、主要なフィルム形成樹脂を含んでい
て、この樹脂は、たとえばアクリル系またはエポキシ樹
脂のように、樹脂が水性浴中に分散または溶解できる様
に塩形成することができるイオン性基を含んでいる。電
着浴中には樹脂ペースト中に分散させた顔料、染料、流
動性調整剤、その他の添加剤が含まれることが多い。
【0003】硬質のエレクトロコートフィルムが望まし
い自動車または工業用途には、浴は、ブロックされた架
橋剤をも含み、これが適切な条件下(例えば加熱によ
り)でブロックが外され、主樹脂上の官能基と反応し、
それによってコーティングを硬化させる。多種多様な架
橋剤、例えばメラミン樹脂、脂肪族ポリイソシアネート
またはイソシアヌレート、または芳香族ポリイソシアネ
ートまたはイソシアヌレート、を使用することができる
が、様々な理由(例えば黄変が少ない、エマルジョンの
安定性、腐食耐性、剥離耐性)から芳香族ポリイソシア
ネートまたはイソシアヌレートが好ましいことが多い。
【0004】エレクトロコートフィルムは金属表面上の
プライマーとして使用され、その上に着色剤入り樹脂コ
ーティングの様な他の塗料またはフィルムを塗布するこ
とが多い。その様な場合、多層コーティング系の構造的
一体性を維持するために、エレクトロコートプライマー
と隣接する層との間の結合を強くすることが望ましい。
エレクトロコートプライマーと隣接する層との間の結合
が、塗布後の時間と共に弱くなると、それらの層は剥離
する。
【0005】自動車用コーティング用途の場合、エレク
トロコートフィルムはプライマーとして使用され、その
上に着色剤入り樹脂コーティングが塗布される。着色剤
入り樹脂コーティングは、着色ベースコートの上にクリ
アコートが塗布されるベース/クリアコーティング系の
一部であることが多いが、クリアコートを必要としない
ハイソリッドエナメルも広く使用されている。高品質が
要求される自動車用コーティングの分野では、エレクト
ロコートプライマーと着色剤入り樹脂層との間のどのよ
うな剥離も顧客にとっては受け入れられるものではな
く、フィルムの外観にとって非常に不利である。
【0006】この剥離の問題を少なくするために様々な
技術が試されている。例えば、いわゆる「プライマー表
面仕上げ剤」(primer surfacer) をエレクトロコートプ
ライマーと着色剤入り樹脂層の間に挟んでいる。その様
なプライマー表面仕上げ剤は一般的に、アミノプラスト
またはイソシアネート硬化剤により架橋されるポリエス
テルまたはアクリル樹脂を含む。プライマー表面仕上げ
剤は、剥離を低減させることはできるが、自動車用コー
ティング工程をより困難に、より経費のかかるものにす
ると共に、VOC放出を助長する。この様に、プライマ
ー表面仕上げ剤を使用せずに剥離を少なくすることが重
要な問題である。
【0007】剥離は、芳香族ポリイソシアネートまたは
イソシアヌレート以外の架橋剤を使用して少なくするこ
ともできる。しかし、その様な架橋剤では、芳香族イソ
シアネート架橋剤により得られる上記の利点は得られな
い。
【0008】特開昭62−236873号公報は、ベン
ゾトリアゾールの様なUV吸収剤を含むエレクトロコー
ト組成物を記載し、剥離耐性を主張している。しかし、
UV吸収剤では、望ましい程度の剥離低下は達成できな
いことがある。
【0009】発明の概要 ここで、再生(regenerative)ラジカルスカベンジャー
化合物をエレクトロコート組成物に使用することによ
り、エレクトロコート付き物品に剥離耐性を付与できる
ことが分かった。そこで、本発明は、基材の上に再生ラ
ジカルスカベンジャー化合物を含むエレクトロコートプ
ライマー層を塗布し、その上に着色剤入り樹脂コーティ
ング層を塗布してなる、被覆した物品を提供するもので
ある。本発明の別の実施態様では、基材上に再生ラジカ
ルスカベンジャー化合物を含むコーティング組成物の層
をエレクトロコーティングし、その上に着色剤入り樹脂
コーティング層を塗布する工程を含む、金属基材のコー
ティング方法が提供される。
【0010】本発明は、電着塗装したプライマー層とそ
の上に塗布した着色剤入り樹脂層との間の剥離に対して
耐性のある、電着塗装した物品を提供するものである。
エレクトロコート組成物に芳香族ポリイソシアネート架
橋剤を使用しても、エレクトロコートプライマー層と着
色剤入り樹脂層の間に表面仕上げ剤が存在しなくても、
剥離耐性は得られる。酸化防止剤やUV吸収剤の様な従
来のエレクトロコート添加剤と比較して、本発明による
再生ラジカルスカベンジャーを使用することにより、剥
離の問題を著しく改良することができる。
【0011】好ましい実施態様の説明 再生ラジカルスカベンジャーはこの分野では良く知られ
ている。これらの化合物は、一般的にはヒンダードアミ
ンまたはヒンダードアミンの誘導体(例えばN−アルコ
キシ置換されたヒンダードアミン)である。多くの再生
ラジカルスカベンジャーは、「アミノ」窒素上に様々な
置換基があるので、実際にはアミンではないが、一つの
分類として、これらの化合物は「ヒンダードアミン光安
定剤」(HALS)と呼ばれることが多い。これらの化
合物は、例えばここに参考として含めるP.クレムチャ
ク、イントロダクション・ツー・ヒンダードアミン・ス
タビライザーズ(ヒンダードアミン安定剤概論)、ポリ
マー・スタビライゼーション・アンド・デグラデーショ
ン(重合体の安定化および劣化)、Am.Chem.S
oc.、1985に記載されている。
【0012】本発明で使用できる再生ラジカルスカベン
ジャーには、
【化1】 が含まれる。
【0013】本発明は陽極(anodic)および陰極(cath
odic)電着塗装組成物の両方に適用できるが、陰極(ca
thodic)電着塗装組成物が好ましい。電着塗装法に使用
できる水分散性樹脂は、それらの分散した状態に応じ
て、溶液型、分散液型、エマルジョン型、および懸濁液
型に分類できる。これらの種類の樹脂をここでは一括し
て「水分散性樹脂」と呼ぶ。多種多様の、その様な樹脂
が公知であり、本発明で使用できる。
【0014】陽極電着塗装法で使用する水分散性樹脂
は、その樹脂に負の電荷を与え、その樹脂を親水性にす
るための、陰イオン官能基、例えばカルボキシル基、を
有していなければならない。
【0015】その様な樹脂には様々な種類があり、アク
リル、ポリエステル、ポリエーテル、フェノール、エポ
キシ、ポリウレタン、ポリアミド、ポリブタジエン、お
よび油脂系樹脂が含まれる。これらの樹脂の代表例とし
ては、アクリル酸またはメタクリル酸を含むアクリル共
重合体、マレイン化天然および合成乾性油、マレイン化
ポリブタジエン、マレイン化油脂および重合体の半エス
テルまたは半アミドがある。
【0016】陰極電着塗装法に使用する水分散性樹脂
は、正に帯電できる親水性基として第一、第二および第
三アミン部分の様な陽イオン官能基を有する。その様な
樹脂としては様々な種類が知られており、例えば、エポ
キシ、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポ
リアミド、ポリブタジエン、フェノールおよびアクリル
樹脂がある。
【0017】陽イオン系樹脂は文献に非常に多く記載さ
れている。これらの樹脂は一般的に、水に対する分散性
を付与するために第一、第二および第三アミノ基の様な
多くの塩基性基を含む。これらの樹脂が第一および(ま
たは)第二アミン基を含む場合、水酸基をも含むことも
含まないこともあるが、含むのが好ましい。陽イオン系
樹脂中に第三アミノ基だけが存在する場合、その樹脂
は、架橋させるためには水酸基または他の官能基を含ま
なければならない。陽イオン系樹脂のアミノ当量は15
0〜3000、好ましくは500〜2000、でよい。
OH基を含む場合、これらの樹脂のヒドロキシル当量は
一般的に150〜1000、好ましくは200〜50
0、である。さらに、これらの樹脂はC=C二重結合を
含むこともあり、C=C当量は好ましくは500〜15
00である。
【0018】代表的な陽イオン系樹脂の分子量(平均分
子量)は300〜50,000、好ましくは5000〜
20,000、である。
【0019】陽イオン系樹脂の例は、ここに参考として
含めるジャーナル・オブ・コーティングス・テクノロジ
ー、第54巻、No. 686、(1982)、33〜41
頁(陽イオン系の電着可能なコーティング)に記載され
ている。ここでは、水酸基および(または)アミノ基を
含むアルファ、ベータ−オレフィン性不飽和モノマーの
重合体を挙げることができる。水酸基またはアミノ基
は、共重合の際に好適なモノマー、例えば(メタ)アク
リル酸ヒドロキシアルキルまたは(メタ)アクリル酸ア
ミノアルキルの様なアルファ、ベータ−オレフィン性不
飽和カルボン酸を使用するか、あるいはジアミンまたは
ポリアミン、例えばN,N−ジメチルアミノプロピルア
ミンとの重合類似反応によりアミド、アミノまたはウレ
タン基を形成して導入することができる。二量体化した
脂肪酸およびポリアミンから得られるポリアミノポリア
ミドはもう一つの群である。これには、第一または第二
アミンとポリグリシジルエーテルの反応により製造でき
るアミノポリエーテルポリオールが特に好適である。こ
こで、すべてのアミノ基を第三アミノ基に変換するのに
十分なエポキシド基が存在するのが有利である。好まし
いポリグリシジルエーテルは、ビスフェノールAおよび
類似のポリフェノールのポリグリシジルエーテルであ
る。これらの化合物は例えば、アルカリの存在下で、エ
ピクロロヒドリンの様なエピハロヒドリンを使用してポ
リフェノールをエーテル化することにより製造できる。
【0020】ポリフェノールのポリグリシジルエーテル
は、それ自体でもアミンと反応することができるが、フ
ィルム特性を向上させるために、反応性エポキシド基の
一部を変性させた物質と反応させるのが有利であること
が多い。エポキシド基とポリオールまたはポリカルボン
酸の反応が特に好ましい。
【0021】有用なポリオールにはポリエーテルポリオ
ール、ポリエステルポリオール、またはウレタンポリオ
ールがある。ポリエーテルポリオールは、アルキレンオ
キシド(例えばエチレンオキシド、プロピレンオキシ
ド、テトラヒドロフラン)と、2〜8個の炭素原子を有
し、分子量が約50〜300の低分子量ポリオール(例
えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロ
ール、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサン
トリオール、ペンタエリトリトール)の付加重合により
製造できる。アルキレンオキシド成分として、エチレン
オキシドを単独で、または他のアルキレンオキシドとの
組合わせで使用すると、樹脂の水溶性は向上する。
【0022】ポリエステルポリオールは、上記の低分子
量ポリオールまたはエポキシ化合物、例えば脂肪酸グリ
シジルエーテルをポリカルボン酸(例えばアジピン酸、
コハク酸、マレイン酸、フタル酸、またはテレフタル
酸)またはそれらの誘導体と反応させることにより製造
できる。
【0023】ポリエステルポリオールは、環状エステ
ル、例えばカプロラクトンまたはブチロラクトン、の開
環重合により製造できる。
【0024】ウレタン変性ポリオールは、過剰の、上記
のポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオー
ルと有機ポリイソシアネートの反応により得られる。
【0025】上記のポリカルボン酸は、上記のポリオー
ルと、過剰のポリカルボン酸またはそれらの無水物の反
応により得られる。これらの化合物は、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、等の低分子量ポリオール
を使用してポリカルボン酸またはそれらの無水物をエス
テル化することにより得られる。低分子量ポリエーテル
ポリアミンまたはポリアミン、例えばヘキサメチレンジ
アミン、も低分子量ポリオールの代りに使用できる。
【0026】ポリオールまたはポリカルボン酸を使用す
るアミノポリエーテルポリオールの変性は、ポリグリシ
ジルエーテルと第一または第二アミンの反応の前に行う
のが好ましい。しかし、過剰のエポキシ基が存在する様
に、出発物質として使用するポリグリシジルエーテルの
アミンに対する比率を選択することも可能である。次い
で、エポキシ基をポリカルボン酸またはポリオールと反
応させればよい。さらに、エポキシド基を最早含まない
最終生成物を、水酸基とグリシジルエーテルの反応によ
りさらに変性することができる。
【0027】これらの樹脂はその硬化機構に応じて3つ
の種類に分類できる。第一は、ラジカルまたは酸化性重
合反応により自己架橋できる種類である。第二の種類の
樹脂は、メラミン樹脂またはブロックドポリイソシアネ
ートの様な架橋剤を必要とする。第三の種類は、自己架
橋反応および架橋剤を組合わせて使用する。
【0028】架橋反応の開始に必要なエネルギー源の種
類に応じて、水分散性の帯電可能な樹脂は、常温硬化
型、または、より好ましくは熱硬化型、にも分類でき
る。
【0029】本発明で効果的な水分散性樹脂は一般的
に、遊離酸または遊離塩基の形にある時は水に可溶性ま
たは分散性ではないが、十分な量(例えば少なくとも2
0%、より一般的には50%)の酸または塩基官能基が
中和された時に可溶性または分散性になり、安定した水
溶液または水分散液を形成する程度の親水性を有する。
水分散性樹脂の親水性が高すぎる場合、十分な耐水性ま
たは耐腐食性を有するコーティングフィルムを形成でき
なくなる、および(または)電着塗装工程が困難にな
る。
【0030】様々なフィルム特性を高めるために、水分
散性樹脂はエマルジョンの形で使用されることが多い
が、そこでは水分散性樹脂が連続相を構成し、所望によ
り使用する、帯電可能な親水性基を含まない、水に不溶
性の樹脂(例えばアクリル酸エポキシ樹脂)は分散した
相を構成する。
【0031】樹脂が、エレクトロコートプライマー層用
のコーティング組成物に含まれる架橋剤により架橋可能
である場合、多くの架橋剤または硬化剤のどれでもが使
用できる。一般的に使用される架橋剤には、ポリイソシ
アネート(例えばヘキサメチレンジイソシアネート)の
イソシアヌレートを含むブロックドポリイソシアネー
ト、アミノプラスト樹脂(例えばメラミン樹脂、ベンゾ
グアナミン樹脂)、およびエステル交換架橋剤がある。
【0032】本発明の好ましい実施態様では、架橋剤
は、芳香族ポリイソシアネートのイソシアヌレートを含
む芳香族ポリイソシアネートである。有用な芳香族ポリ
イソシアネートには、トルエンジイソシアネート(TD
I)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MD
I)、テトラメチルキシレンジイソシアネートその他が
ある。これらのイソシアネートは、イソシアネートの架
橋官能基をブロックするブロッキング剤、例えば、オキ
シムまたはアルコール、と予め反応させる。加熱によ
り、ブロッキング剤が分離し、架橋が起こる。
【0033】本発明の電着可能なコーティング組成物は
水性媒体中に分散させる。本発明の説明文で使用する用
語「分散液」は、樹脂が分散相にあり、水が連続相にあ
る、2相の半透明または不透明な水性樹脂状の系である
と考えられる。樹脂相の平均粒子径は約0.1〜10ミ
クロン、好ましくは5ミクロン未満、である。水性媒体
中の樹脂状物質の濃度は、一般的に重要ではないが、通
常、水性分散液の大部分は水である。水性分散液は通常
約3〜50重量%、好ましくは5〜0重量%、の樹脂固
形分を含む。さらに水で希釈すべき水性樹脂濃度は、総
固体重量で一般的に10〜30%である。
【0034】イオン性基を十分に中和して樹脂に水分散
性を付与するのに十分な量の、陽極電着の場合は塩基
を、陰極電着の場合は酸を、含む水性媒体中に、上記の
成分を一様に分散させる。塩基の例としてはアンモニ
ア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチ
ルエタノールアミン、ジエチルアミン、モルホリン、お
よび水酸化カリウムがある。酸の例としては、リン酸、
酢酸、プロピオン酸、および乳酸がある。
【0035】水性媒体は、水の他に、融合性溶剤(coal
escing)をも含むことができる。有用な融合性溶剤に
は、炭化水素、アルコール、エステル、エーテルおよび
ケトンがある。好ましい融合性溶剤には、アルコール、
ポリオールおよびケトンが含まれる。融合性溶剤として
は、特にエチレングリコールのモノブチルおよびモノヘ
キシルエーテル、およびプロピレングリコールのフェニ
ルエーテル、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、
ブチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、またはジアセトンアルコールがある。少量の、水と
混和しない有機溶剤、例えばキシレン、トルエン、メチ
ルイソブチルケトンまたは2−エチルヘキサノールを、
水と水と混和し得る有機溶剤の混合物に加えることがで
きる。混合し得る溶剤の量は不当に臨界的に保つことは
なく、樹脂固形分の総重量に対して一般的に約0〜15
重量%、好ましくは約0.5〜5重量%、である。
【0036】本発明で使用する電着塗装組成物はさら
に、二酸化チタン、酸化第二鉄、カーボンブラック、ケ
イ酸アルミニウム、沈降硫酸バリウム、リンモリブデン
酸アルミニウム、クロム酸ストロンチウム、塩基性ケイ
酸鉛またはクロム酸鉛の様な通常の顔料を含むことがで
きる。顔料対樹脂の重量比は重要である場合があり、好
ましくは50:100未満、より好ましくは40:10
0未満、通常は約20〜40:100、である。顔料対
樹脂の固体重量比がより高い場合、混合および流動性に
悪影響を及ぼすことも分かっている。
【0037】本発明の好ましい実施態様では、電着塗装
組成物はUV吸収剤および(または)酸化防止剤をも含
む。UV吸収剤はこの分野では良く知られており、ベン
ゾトリアゾール環を含むことが多い。効果的なUV吸収
剤には、下記の式を有する化合物がある。
【化2】 (式中、nは正の整数である。)
【化3】 化合物 1 2 UV−4 t−ブチル −(CH2 2 CO2 (CH2 CH2 O)7 H UV−5 t−ブチル −OC8 17 UV−6 H −CH3 UV−7 t−アミル t−アミル
【0038】本発明の好ましい実施態様では、エレクト
ロコートプライマー組成物は酸化防止剤をも含む。酸化
防止剤はこの分野では良く知られている。酸化防止剤の
一般的な種類の一つは、ヒンダードフェノールである。
その様な化合物は一般的に下記の式を有する。
【化4】 (式中、Rはアルコキシの様な置換基である。)
【0039】本発明で使用する電着塗装組成物は、所望
により、湿潤剤、界面活性剤、消泡剤、等を含むことが
できる。界面活性剤および湿潤剤の例としては、チバ−
ガイギー・インダストリアル・ケミカルスから商品名
「アミンC」として市販されているアルキルイミダゾリ
ン、エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルスから商品
名「サーフィノール104」として市販されているアセ
チレン性アルコールがある。これらの所望により使用す
る成分は、それが存在する場合、樹脂固体の約0〜20
重量%を構成する。可塑剤は、流動性を促進するので所
望により使用する成分である。例としては、高沸点性
の、水と混和し得ない物質、例えばノニルフェノールま
たはビスフェノールAのエチレンまたはプロピレンオキ
シド付加物、がある。可塑剤を使用する場合、樹脂固体
に対して約0〜15重量%の量で使用することができ
る。
【0040】コーティング組成物中には通常、硬化触
媒、例えば、スズ触媒、が存在する。その例としては二
ラウリン酸ジブチルスズおよび酸化ジブチルスズがあ
る。使用する場合、これらの触媒は、樹脂固体の総重量
に対してスズ約0.05〜2重量%の量で存在するのが
一般的である。
【0041】一般的に、分散液の固体含有量が20重量
%を超えるように、好ましくは30重量%、を超えるよ
うに、十分な水を加える。
【0042】電着塗装組成物の導電性は、0.1〜5 m
S/cm、好ましくは0.5〜3mS/cm、であるべきであ
る。この値が低すぎると、望ましい保護機能および他の
特性を有するフィルム厚を得るのが困難である。反対
に、組成物の導電性が高すぎると、浴中の基材または対
極の溶解、膜厚の不均一性、または耐水性または腐食耐
性が悪くなるなどの問題が生じることがある。
【0043】本発明で使用する電着塗装組成物は、導電
性基材上に電着塗装法により、不揮発成分含有量10〜
25重量%で、乾燥膜厚15〜ミクロンに塗布すること
ができる。塗布後、コーティングを、基本樹脂の性質に
応じて、常温または高温で硬化させることができる。
【0044】本発明のコーティング組成物の電着塗装
は、当業者には公知のいずれによってでも実行すること
ができる。電着は、鋼、銅、アルミニウム、等のすべて
の導電性基材上に行うことができる。
【0045】本発明により、着色剤入り樹脂コーティン
グおよび所望によりクリアコート層をエレクトロコート
プライマー層の上に塗布する。自動車用途では、着色剤
入り樹脂層はベースコートまたは着色剤入りベースコー
トと呼ばれることが多い。着色剤入り樹脂層中の樹脂は
この分野で公知の多くの樹脂でよい。例えば、樹脂はア
クリル、ポリウレタン、またはポリエステルでよい。代
表的な着色剤入り樹脂コーティング組成物は、ここに参
考として含める米国特許第4,791,168号、第
4,414,357号および第4,546,046号各
明細書に開示されている。好ましい実施態様では、樹脂
は、ここに参考として含める米国特許第4,720,5
28号明細書に記載されているε−カプロラクトン変性
アクリル樹脂である。着色剤入り樹脂は、公知の機構お
よび硬化剤のいずれか、例えばメラミンポリオール反応
(例えばヒドロキシ官能性アクリル樹脂のメラミン硬
化)、で硬化させることができる。
【0046】
【実施例】下記の実施例により本発明をさらに説明す
る。
【0047】調製物1−エレクトロコート組成物 攪拌機、冷却器および温度計を備えた5リットルの丸底
フラスコに下記の物質を加えた。 ビスフェノールAのジグリシジルエーテル 1049.9g ポリエチレンオキシドジオール 379.3g ビスフェノールA 305.1g キシレン 79.8g
【0048】この混合物を135℃に加熱し、下記の触
媒を加えた。 ジメチルベンジルアミン 3.2g キシレン 5.8g および ジメチルベンジルアミン 3.7g キシレン 5.8g
【0049】次いで温度を143℃に120分間維持
し、測定したエポキシあたりの重量(WPE)は120
0gNV/エポキシ当量であった。次いで、予め製造した、
2,4−トルエン−ジイソシアネート(TDI)、トリ
メチロールプロパンからなり、アルコールでブロックさ
れた架橋剤1428.7gを加えて、温度を100℃に
冷却した。
【0050】次いで残りのエポキシは、 ジエチレントリアミンのジケチミン 118.4g フェニルセロソルブ 5.0g メチルエタノールアミン 80.6g の混合物中で、2種類の異なった第二アミンでキャッピ
ングした。
【0051】温度を110℃に1時間保持した。次い
で、予め調製した、アルコールでブロックしたヘキサメ
チレンジイソシアネート(HDI)系の架橋剤320.
0gを加えた。
【0052】攪拌しながら温度を100℃近くに30分
間維持し、次いで上記の樹脂3804.2gを 脱イオン水 3416.4g 界面活性剤 44.7g 乳酸 110.1g に加えた。
【0053】樹脂を乳化させ、次いで各5909.0g
の脱イオン水を3回加えて37%不揮発成分に希釈し
た。得られた樹脂分散液は、主要樹脂エマルジョンとし
て使用するためにとっておいた。
【0054】5ガロン容器に、446.18gラジカル
スカベンジャーの化合物4および1880.14gのエ
ポキシ粉砕樹脂をカウルズブレードで15分間高速で混
合した。均質な混合物が得られた後、下記の成分を順に
加えた。 水 2627.66g カーボンブラック 125.96g 酸化ジブチルスズ触媒 218.63g TiO2 4299.14g ケイ酸鉛 251.74g 水 429.39g
【0055】次いでこの混合物を1時間攪拌した。
【0056】保持時間の後、サンドミルを使用してこの
混合物を分散させ、微粉粒度(fineness grind)11を
達成した。この混合物を水および上記の主要樹脂と共に
エレクトロコート浴中に入れた。この浴は顔料対結合剤
の比率20:100および不揮発成分20%となるよう
に配合した。
【0057】調製物2−エレクトロコート組成物 化合物4の代りに化合物7を使用した以外は、調製物1
の手順を繰り返した。
【0058】調製物3−エレクトロコート組成物 化合物4を顔料ペーストに加えず、スカベンジャー化合
物4とUV−4の50/50混合物を主要樹脂エマルジ
ョンに、エマルジョン固体の重量に対して2%の量で加
えた以外は、調製物1の手順を繰り返した。
【0059】調製物4−エレクトロコート組成物 5ガロンのプラスチックペイルに下記の材料を入れた。
主要エポキシ樹脂2(ビスフェノールAのジグリシジル
エーテル、ビスフェノールA、ドデシルフェノール、お
よび ジメチルベンジルアミンの反応生成物) 3515.8g 乳酸 126.0g TDI架橋剤 895.4g HDI架橋剤 828.7g ポリプロピレンオキシド希釈剤 329.3g アルキルエーテル湿潤剤 25.2g 界面活性剤 8.4g 再生ラジカルスカベンジャー化合物4 84.0g
【0060】この材料を高速エアーミキサーで30分間
混合した後、脱イオン水1854.3g、次いで438
1.0gを加えて乳化させた。
【0061】得られた混合物をエポキシ顔料粉砕樹脂と
共に水性エレクトロコート浴中に入れた。この浴は、顔
料対結合剤の比率が20:100、不揮発成分20%に
配合した。
【0062】調製物5−エレクトロコート組成物 84gの化合物7を84gの化合物UV−3と共に使用
した以外は、調製物4の手順を繰り返した。
【0063】実施例1〜6 鋼製のパネルに調製物1〜6を厚さ23〜30μm に電
着塗装し、温度176〜201℃で20分間硬化させ
た。その上に、有機溶剤、顔料、および商品名「ティヌ
ビン1130」UV吸収剤1%を含むアクリルコーティ
ング組成物(約52%不揮発成分)を使用して着色剤入
り樹脂層を厚さ20〜51μm に塗布した。次いで塗装
したパネルを121〜129℃で焼き付け、着色剤入り
樹脂層を硬化させた。
【0064】剥離性能を評価するために、これらのパネ
ルを屋外に4か月暴露した。比較試料として、パネルに
調製物AおよびBを塗布し、同様の暴露を行なった。比
較調製物Aは、調製物1と同等であるが、化合物4、U
V−1、またはUV−4を含んでいない。調製物Bは調
製物4と同等であるが、化合物4を含んでいない。暴露
後、パネルを剥離について1〜10の尺度で、10を最
良の性能とし、0を完全な剥離不良として評価した。暴
露試験の結果を下記の表に示す。
【0065】上記の結果は、本発明による剥離性能の改
良を明らかに示している。
【0066】本発明を具体的な実施態様により詳細に説
明してきた。無論、本発明の精神および範囲の中で修正
および変形を行なうことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 パトリック、ジェー、ノースロップ アメリカ合衆国ミシガン州、サウスフィ ールド、テレグラフ、ロード、26701 (56)参考文献 特開 平5−320546(JP,A) 特開 平2−3616(JP,A) 特開 平2−240169(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C25D 13/00 308 B32B 15/08 C09D 5/44 C25D 13/06 C25D 13/10

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属基材の上に、 再生ラジカルスカベンジャー化合物を含んでなるエレク
    トロコートプライマー層、およびその上に着色剤入り樹
    脂コーティング層を有する被覆物品であって、ラジカル
    スカベンジャー化合物が下記1、2、3、5、6、およ
    び7から選択され、 【化1】 ラジカルスカベンジャー化合物が、プライマー層中の樹
    脂固形分の量に対して0.1〜2%の量で存在する、被
    覆物品。
  2. 【請求項2】着色剤入り樹脂コーティング層をエレクト
    ロコートプライマー層の上に直接配置し、それらの層間
    にプライマー表面層を挟まない、請求項1に記載の被覆
    物品。
  3. 【請求項3】着色剤入り樹脂コーティング層の上にさら
    にクリアコート層を含む、請求項1または2に記載の被
    覆物品。
  4. 【請求項4】エレクトロコートプライマー層が、イソシ
    アネートと反応し得る官能基を有するアミノ基含有樹
    脂、芳香族ポリイソシアネート架橋剤、およびラジカル
    スカベンジャー化合物を含んでなる硬化可能な組成物で
    ある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の被覆物品。
  5. 【請求項5】ラジカルスカベンジャー化合物が、紫外線
    放射に対する露出により引き起こされる芳香族イソシア
    ネートの分解程度を、ラジカルスカベンジャー化合物を
    含まない同じ組成物と比較して50%低下させるのに十
    分な量で含まれる、請求項4に記載の被覆物品。
  6. 【請求項6】着色剤入り樹脂コーティングが、ε−カプ
    ロラクトンで変性したアクリル樹脂を含む、請求項1〜
    5のいずれか1項に記載の被覆物品。
  7. 【請求項7】プライマー層が、さらに紫外線吸収剤を含
    む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の被覆物品。
  8. 【請求項8】プライマー層が、さらに酸化防止剤を含
    む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の被覆物品。
  9. 【請求項9】プライマー層が、芳香族イソシアネート架
    橋剤、および芳香族イソシアネート架橋剤により硬化可
    能であるか、または硬化された樹脂組成物を含む、請求
    項1〜8のいずれか1項に記載の被覆物品。
  10. 【請求項10】基材上に、再生ラジカルスカベンジャー
    化合物を含むコーティング組成物の層を電着塗装する工
    程、およびその上に着色剤入り樹脂コーティング層を塗
    布する工程からなることを特徴とする、請求項1〜8の
    いずれか1項による、金属基材のコーティング方法。
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