JP3249161B2 - 大型耐火物の製造方法 - Google Patents

大型耐火物の製造方法

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三郎 宮川
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秀 岩野
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、製鉄業における電気炉
や電弧炉の出鋼口スリ−ブ、電極スリ−ブ等の大型耐火
物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電気炉の出鋼口スリ−ブや電極スリ−ブ
は、長さ1000mm、外径600mm、内径200mmのよ
うな大形状の耐火物である。従来、このような大形耐火
物は、プレス成形することができず、長さ500mmの寸
法のものをキャスタブル耐火物の鋳込み成形で成形し、
成形体を接合して使用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の鋳込み成形は簡
単でよいが、大型のものでは継ぎ目が生じ、またプレス
成形に比較して成形体の気孔率が大きく、嵩比重が小さ
いものであった。そのため、耐食性が劣り、溶損率が大
きくて、修理または交換周期が短く、また継ぎ目部から
漏鋼やガス漏れのおそれもあった。
【0004】また、鋳込み成形は、キャスタブル耐火物
を流し込んで行うため、 MgO-C質、MgO−Al2 3 質の
耐食性材で作ることができず、MgO 系の耐食性に優れた
大型耐火物が得られなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような
点に鑑みたもので、上記の課題を解決するために、出鋼
口スリーブやロングノズル、浸漬ノズル等の大型耐火物
を一体的に成形する大型耐火物の製造方法であって、
型耐火物製造用の下型に孔部成形用の芯棒を垂設して下
型に設けた脱気孔に連通させて下部から上端にわたって
脱気用貫通孔を芯棒に開孔し、所定の大径の筒状のゴム
モールドの下端部を中央部に上記芯棒を垂設した下型に
鉄バンドで縛って取り付けて、このゴムモールドの内側
に所定の耐火材料を充填して上記モールドの上端部を上
型に鉄バンドで縛ってモールド内を密封し、このゴムモ
ールド内に閉じ込められた耐火材料内の空気を脱気する
ために上型側に設けた脱気孔と芯棒に開孔した脱気用貫
通孔の上端側を連通して、上型の上面に設けた脱気用接
続口に真空ホースを接続して上記のように下型側に設け
た脱気孔と上型側に設けた脱気孔を介してゴムモールド
内を380Torr以下に減圧処理してアイソスタティ
ックプレスで大型耐火物を一体成形することを特徴とす
る大型耐火物の製造方法を提供するにある。
【0006】
【作用】本発明の大型耐火物の製造方法によれば、 MgO
-C系の大型耐火物であっても、アイソスタティックプレ
スによって一体的にプレス成形できる。また、成形時に
モ−ルド内を380Torr以下の減圧処理して成形するこ
とによって、耐火材料中の圧縮された空気が減圧時に膨
張して成形体に亀裂が生じるのを防止でき、歩留りよく
大型耐火物を製造できる。
【0007】
【実施例】以下、本発明を実施例にもとづいて説明す
る。図1は、本発明の一実施例である。電気炉用の出鋼
口スリーブ等の大型耐火物1は、図1のように所定の大
径のゴムモールド2の両端部を中央部に脱気用貫通孔を
開孔した孔部成形用の芯棒3を一体的に垂設した下型4
と上型5に鉄バンド6、7でそれぞれ強固に縛って取り
付け、このゴムモールド2の内部に所定の耐火材料8を
充填してアイソスタティックプレスで一体的に成形でき
るようにしている。
【0008】上記大型耐火物1は、長さ1000mm、外
径600mm、内径200mm位のもので、耐食性のある M
gO系、 MgO−C 系、 MgO- Al2 3 系の耐火材料8 を使
用している。
【0009】MgOは、55〜100%の配合比率とする
ことができる。特に MgO−C 系では、C 量が0〜45%
までは緻密体が得られるが、45%を越えると締まりが
悪くなり、緻密体が得られない。 MgO−Al2 3 系も、
Al2 3 が45%を越えると電気炉スラグの耐食性が悪
くなって好ましくない。
【0010】また、Si、Al、Mg−Al等の金属添加物を配
合するのも好ましいが、1%未満では効果がなく、10
%を越えると耐食性に悪影響を及ぼす。バインダ−(フ
ェノ−ルレジン、ポリプロピレンなど)は、1%未満で
は結合効果が得られず、10%を越えると組織が緻密で
なくなる。
【0011】アイソスタティックプレス成形するにあた
っては、ゴムモールド2内に閉じ込められた空気を抜い
ておかないと、成形工程の減圧時に閉じ込められた空気
が膨張し、成形体に亀裂が入って好ましくない。そのた
め、図1のように上型5、下型4に口径が1〜3mmの
脱気孔9、10を適宜に開孔して、この下型4に設けた
脱気孔10と芯棒3の脱気用貫通孔の下部とを一体的に
開孔して連通させているとともに、上型5を芯棒3に嵌
合させたときに上型5側に設けた脱気孔9と芯棒3の脱
気用貫通孔の上端側とを連通するようにしている。そし
て、芯棒3に開孔した脱気用貫通孔を介して上型5、下
型4の両方側から脱気できるようにして、上型5の上面
に突設した脱気用接続口11に真空ホース12を接続し
て、真空ポンプ(図示せず)でゴムモールド2内を大気
圧の半分以下、すなわち380Torr以下に減圧処理
するようにしている。ゴムモールド内を380Torr
以下に減圧しておけば、上記した弊害を防止できる。
【0012】
【製造例1】MgO 83%、C 17%、結合剤(フェノ−
ルレジン)外掛3.2%、金属 Al 外掛2%、金属 Mg-
Al外掛2%として配合した耐火材料を図1のように所定
の大径の筒状のゴムモールドの下端部を中央部に孔部形
成用の芯棒を突設した下型に鉄バンドで縛って取り付け
て、このゴムモールドの内側に充填して、上記モールド
の上端部を上型に鉄バンドで縛ってモールド内を密封
し、モ−ルド内の空気圧を真空ポンプで210Torr減圧
処理して、アイソスタティックプレスで成形した。成形
後、脱型し、乾燥して製品とした。
【0013】
【製造例2】MgO 68%、 MgO−Al2 3 32%、結合
剤(ポリプロピレン)外掛4%として配合した耐火材料
を同様にゴムモ−ルド内に充填し、モ−ルド内の空気圧
を真空ポンプで210Torrに減圧処理してアイソスタテ
ィックプレスで成形した。成形後、脱型し、乾燥し、1
600℃以上の温度で焼成して製品とした。
【0014】製造例1、製造例2で製造した出鋼口スリ
−ブの大型耐火物を某製鉄所の電気炉で使用した。その
結果、従来より30%も長い耐用を示し、所望の作用、
効果を確認できた。
【0015】上記では、電気炉の大型耐火物について説
明したが、タンディッシュのロングノズルや浸漬ノズル
等の大型耐火物、その他についても所定の耐火材料をゴ
ムモ−ルドに充填して減圧処理してプレス成形するな
ど、本発明の趣旨の範囲で適宜に実施することができる
ものである。
【0016】
【発明の効果】以上のように本発明にあっては、筒状の
ロングノズルや浸漬ノズル等の大型耐火物を一体的に成
形でき、大型耐火物製造用の下型に孔部成形用の芯棒を
垂設して下型に設けた脱気孔に連通させて下部から上端
にわたって脱気用貫通孔を芯棒に開孔し、所定の大径の
筒状のゴムモールドの下端部を中央部に上記芯棒を垂設
した下型に鉄バンドで縛って取り付けて、このゴムモー
ルドの内側に所定の耐火材料を充填して上記モールドの
上端部を上型に鉄バンドで縛ってモールド内を密封し
ので、脱気用貫通孔を設けた芯棒を介して耐火材料中の
空気を脱気することができ、そして脱気用貫通孔を設け
た芯棒を介して所定の大径の筒状の、たとえ MgO-C系の
大型耐火物であっても緻密に一体的に容易に製造でき
る。さらに、ゴムモールド内に閉じ込められた耐火材料
内の空気を脱気するために上型側に設けた脱気孔と芯棒
に開孔した脱気用貫通孔の上端側を連通して、上型の上
面に設けた脱気用接続口に真空ホースを接続して上記の
ように下型側に設けた脱気孔と上型側に設けた脱気孔を
介してゴムモールド内を380Torr以下に減圧処理
してアイソスタティックプレスで大型耐火物を一体成形
するようにしたので、耐火材料中に圧縮された空気を上
型側と芯棒内の脱気用貫通孔を介して下型側の両方側か
ら脱気でき、減圧時に膨張して成形体に亀裂が生じるの
を防止できて、一体的にプレス成形することができて溶
融金属容器等の耐火物の寿命を向上でき、操業度が高め
られる。また、耐火物が大型であっても、一体製品のた
めに継ぎ目がなくなり、漏鋼、ガス漏れ事故が防止でき
る。特に、鋳込み成形では製造できなかった MgO系、 M
gO-C系、 MgO−Al23 系の耐食性のよい大型耐火物が
プレス成形で製造できて、電気炉等の耐久性を高めら
れ、生産性を向上できて好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の側断面図、
【符号の説明】
1…大型耐火物 2…ゴムモ−ルド 3…
芯棒 4…下型 5…上型 8…
耐火材料 9、10…脱気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩野 秀 兵庫県赤穂市中広字東沖1576番地の2 川崎炉材株式会社内 (72)発明者 土屋 一郎 兵庫県赤穂市中広字東沖1576番地の2 川崎炉材株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−66099(JP,A) 特開 昭62−183306(JP,A) 特開 昭61−169206(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B28B 3/00 - 7/46

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出鋼口スリーブやロングノズル、浸漬ノ
    ズル等の大型耐火物を一体的に成形する大型耐火物の製
    造方法であって、大型耐火物製造用の下型に孔部成形用
    の芯棒を垂設して下型に設けた脱気孔に連通させて下部
    から上端にわたって脱気用貫通孔を芯棒に開孔し、所定
    の大径の筒状のゴムモールドの下端部を中央部に上記芯
    棒を垂設した下型に鉄バンドで縛って取り付けて、この
    ゴムモールドの内側に所定の耐火材料を充填して上記モ
    ールドの上端部を上型に鉄バンドで縛ってモールド内を
    密封し、このゴムモールド内に閉じ込められた耐火材料
    内の空気を脱気するために上型側に設けた脱気孔と芯棒
    に開孔した脱気用貫通孔の上端側を連通して、上型の上
    面に設けた脱気用接続口に真空ホースを接続して上記の
    ように下型側に設けた脱気孔と上型側に設けた脱気孔を
    介してゴムモールド内を380Torr以下に減圧処理
    してアイソスタティックプレスで大型耐火物を一体成形
    することを特徴とする大型耐火物の製造方法。
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