JP3249013B2 - プラズマcvd装置 - Google Patents
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Description
を生成するためのプラズマCVD装置に関し、例えばダ
イヤモンド状炭素(Diamondlike Carbon:以下DLCと
称す。)膜等のように非常に高硬度な被膜の生成にも適
したプラズマCVD装置に関する。
としては、例えば特開平6−57435公報に示される
ような熱陰極PIG(Philips Ion Gauge )型のプラズ
マCVD装置があり、これについて図8を参照して、そ
の要旨を説明する。同図に示すように、このプラズマC
VD装置は、真空槽1を備え、この真空槽1には、その
内部にプラズマ130を供給するプラズマ源3が結合さ
れており、このプラズマ源3内には、上記プラズマ13
0を発生させるための熱電子を放出する熱陰極5が設け
られている。一方、真空槽1内には、上記プラズマ源3
と対向した状態で反射電極13が設けられており、更
に、この反射電極13とプラズマ源3との間で、かつプ
ラズマ源3の中心から真空槽1側に向かって真っ直ぐに
伸延する軸線14からその直角方向に間隔を隔てた位置
に被処理物である基板115が配置されている。また、
この基板115には、成膜の際にそれを適当な温度に制
御するためのヒータ117が付設されている。
源3内に、磁束密度が数十mT程度のφ方向に向かう一
定の磁界を発生させるための主コイル120が設けられ
ている。一方、真空槽1のプラズマ源3が位置する側と
は反対側に、主コイル120と対向する状態で補助コイ
ル121が設けられており、この補助コイル121は、
真空槽1内の反射電極13が位置する側の空間に、上記
磁界φと同様の、磁束密度が数十mT程度のφ11方向に
向かう一定の磁界を発生している。
置では、プラズマ源3で発生したプラズマ130は、主
コイル120から発生している磁界φの方向に沿って真
空槽1内に供給される。一方、真空槽1内には、補助コ
イル121から発生している磁界φ11が存在しているた
め、真空槽1内に供給されたプラズマ130は、この磁
界φ11の方向に沿って収束する方向に流れ、その結果、
軸線14の近傍にビーム状に閉じ込められた状態にな
る。なお、質量の軽いプラズマ電子は、磁界φ及びφ11
によってプラズマ130内に閉じ込められるが、このプ
ラズマ電子よりも数千倍以上重いイオンについては、こ
の磁束密度が数十mT程度の磁場においてはその影響を
殆ど受けずに拡散し、基板115上にも衝突する。従っ
て、この状態で、真空槽1内に材料ガスを供給すると、
この材料ガスの粒子はプラズマ130によって励起また
は解離、イオン化され、基板115上に被膜が生成され
る。
マ室4と、反射電極13とを、電気的に浮遊した状態、
即ち絶縁電位(フローティング電位)に維持するか、ま
たは、熱陰極5の電位に維持することによって、プラズ
マ130中の電子を電界振動させることができ、これに
よって、プラズマ130の密度を向上させることができ
る。
は、プラズマ源3から発生されるプラズマ130をビー
ム状に収束し、このビーム状のプラズマ130の周囲に
その放電領域から間隔を隔てて基板115を配置したこ
とを特徴としている。つまり、このプラズマCVD装置
では、基板115が、プラズマ源3、特に高温に加熱さ
れる熱陰極5に対向しない状態で配置されているため、
熱陰極5の熱の輻射が基板115に直接入射することが
なく、この熱陰極5の輻射熱による基板115の温度上
昇を抑えることができる。また、ビーム状のプラズマ1
30の周囲を基板115の配置場所としているので、基
板115を複数枚配置することができ、これによって複
数枚の基板を同時に処理することができる。
においては、図8に示すように、プラズマ130は常に
ビーム状に収束されており、また、基板115はこのビ
ーム状のプラズマ130から間隔を隔てて配置されてい
るため、基板115に対するプラズマエネルギの作用が
小さい。従って、被膜の堆積速度が比較的遅く、また、
非常に高硬度な被膜、例えばDLC膜のような硬質膜を
生成することが困難であるという問題がある。
る一部分に成膜するというように、局部的な成膜が要求
される場合がある。しかし、上記従来のプラズマCVD
装置においては,プラズマ130のプラズマエネルギの
作用は、基板115の成膜面全体に対して略均等である
ため、上記のような局部的な成膜を実現することができ
ないという問題がある。
場合、基板115を加熱するヒータ117についても、
基板115と同じ数だけ設ける必要があり、これによっ
て、装置の構造が複雑になると共に、装置のコストが上
がってしまうという問題がある。また、ヒータ117の
数を増やすことによって、その輻射熱量が増加するた
め、真空槽1内の温度が上昇してしまうという問題があ
る。更に、このヒータ117の性能にバラツキが生じた
場合、基板115に生成される被膜の膜質の均一性にも
バラツキが生じてしまう。その上、この被膜の膜質均一
性は、真空槽1内の形状、プラズマ130の形状、軸線
14から各基板115までの距離の均一性等の多くの条
件によっても大きく左右されてしまうため、その制御が
非常に複雑かつ困難であるという問題がある。
によって、例えばDLC膜等のように非常に高硬度な被
膜についても生成可能にすると共に、被処理物に対して
局部的な成膜を実現することができるプラズマCVD装
置を提供することを目的とする。また、プラズマを中心
として被処理物を回転(公転)させることによって、複
数の被処理物を同時に処理したとき、各被処理物間にお
いて高い膜質均一性を得ることができるプラズマCVD
装置を提供する。更に、本発明のプラズマCVD装置
は、被処理物自体を回転(自転)させることによって、
例えば金型やドリル等のように、複雑な形状の立体物に
対しても、その略全面に均一に被膜を生成することがで
きるようにすることも目的の一つである。
VD装置は、排気手段によって内部が排気されている真
空槽と、上記真空槽に結合されプラズマを発生すると共
に該プラズマを上記真空槽内に供給するプラズマ源と、
上記真空槽内において上記プラズマの供給部分の中心か
ら上記プラズマの供給方向に真っ直ぐに伸延する軸線に
対して直角な方向に所定の間隔を隔てて少なくとも1以
上設けられており被処理物をその所定の部分が上記軸線
に対向する状態に支持する支持部と、上記プラズマ源内
に上記軸線を中心に対称な分布であると共に上記プラズ
マ源から上記真空槽内に向かう方向の第1の磁界を発生
させる第1の磁界発生手段と、上記支持部を挟んで上記
プラズマ源とは反対側の上記真空槽内に上記軸線を中心
に対称な分布であると共に上記第1の磁界と同方向ある
いは逆方向の第2の磁界を発生させる第2の磁界発生手
段と、上記真空槽内に材料ガスを供給する材料ガス供給
手段とを具備し、上記第1及び第2の磁界発生手段が上
記第1及び第2の磁界の強さを各々独立して可変できる
状態に構成されたことを特徴とするものである。
手段によって内部が排気されている真空槽と、上記真空
槽に結合されプラズマを発生すると共に該プラズマを上
記真空槽内に供給するプラズマ源と、上記真空槽内にお
いて上記プラズマの供給部分の中心から上記プラズマの
供給方向に真っ直ぐに伸延する軸線に対して直角な方向
に所定の間隔を隔てて少なくとも1以上設けられた被処
理物を支持する支持部と、上記軸線に対して上記被処理
物の表面が順次移動する状態に上記支持部自体を回転さ
せる自転駆動手段と、上記プラズマ源内に上記軸線を中
心に対称な分布であると共に上記プラズマ源から上記真
空槽内に向かう方向の第1の磁界を発生させる第1の磁
界発生手段と、上記支持部を挟んで上記プラズマ源とは
反対側の上記真空槽内に上記軸線を中心に対称な分布で
あると共に上記第1の磁界と同方向あるいは逆方向の第
2の磁界を発生させる第2の磁界発生手段と、上記真空
槽内に材料ガスを供給する材料ガス供給手段とを具備
し、上記第1及び第2の磁界発生手段が上記第1及び第
2の磁界の強さを各々独立して可変できる状態に構成さ
れたことを特徴とするものである。
又は第2の発明のプラズマCVD装置において、上記軸
線を中心として上記支持部を回転させる公転駆動手段を
設けたことを特徴とするものである。
1、第2又は第3の発明のプラズマCVD装置におい
て、上記支持部を挟んで上記プラズマ源とは反対側の上
記真空槽内の上記軸線上に上記プラズマ源に対向する状
態に反射電極を設け、上記真空槽の壁部を基準電位に接
続すると共に、上記プラズマ源と上記反射電極とを電気
的に浮遊させる状態に構成したことを特徴とするもので
ある。
1、第2又は第3の発明のプラズマCVD装置におい
て、上記支持部を挟んで上記プラズマ源とは反対側の上
記真空槽内の上記軸線上に上記プラズマ源に対向する状
態に反射電極を設け、上記真空槽の壁部を基準電位に接
続すると共に、上記プラズマ源が、上記真空槽にこれと
電気的に絶縁された状態で結合すると共に上記真空槽内
と連通する空間を形成するプラズマ室と、上記空間内に
設けられており熱電子を放出する熱陰極と、上記空間内
に設けられており上記熱陰極を基準にして正電位が印加
される陽極と、上記空間内に設けられており上記熱陰極
を基準にして正電位が印加されると共に上記基準電位に
接続されている電子注入電極と、上記空間内に放電発生
用のガスを供給する放電ガス供給手段とによって構成さ
れ、上記プラズマ室と上記反射電極とを電気的に浮遊さ
せる状態、または上記熱陰極の電位に維持する状態に構
成したことを特徴とするものである。
1、第2、第3又は第4の発明のプラズマCVD装置に
おいて、導電性被膜を生成するときは上記基準電位に対
して負電位の直流電力を、また絶縁性被膜を生成すると
きは高周波電力を、上記被処理物に供給する被処理物用
電源を設けたことを特徴とするものである。
ラズマは、第1の磁界発生手段が発生する第1の磁界の
向きに沿って真空槽内に供給される。ここで、第2の磁
界発生手段の発生する第2の磁界の向きが、第1の磁界
の向きと同じ方向であるとき、プラズマは、この第2の
磁界の方向に沿って収束する方向に流れ、その結果、軸
線を中心としてビーム状に閉じ込められた状態になる。
この状態において、第1及び第2の磁界の強さを変化さ
せることによって、プラズマのビーム径、即ちプラズマ
と被処理物との距離、ひいては被処理物に対するプラズ
マエネルギの作用を変化させることができる。なお、プ
ラズマのビーム径を大きくすることによって、被処理物
をこのプラズマに晒すことができる。
向きとは逆方向であるとき、プラズマは、第1及び第2
の磁界の向きに沿って発散する方向に流れるため、被処
理物に直接入射し、これによって被処理物はプラズマに
晒された状態になる。この状態において、第1及び第2
の磁界の強さを変化させることによって、プラズマの被
処理物に対する入射領域及び入射位置を制御することが
できる。なお、被処理物は、その所定の部分、例えば成
膜面が、軸線、即ちプラズマの中心に対向するように支
持部によって支持されている。また、被膜の原料となる
材料ガスは、材料ガス供給手段によって真空槽内に供給
されている。
たプラズマは、第1の磁界発生手段が発生する第1の磁
界の向きに沿って真空槽内に供給される。ここで、第2
の磁界発生手段の発生する第2の磁界の向きが、第1の
磁界の向きと同じ方向であるとき、プラズマは、この第
2の磁界の方向に沿って収束する方向に流れ、その結
果、軸線を中心としてビーム状に閉じ込められた状態に
なる。この状態において、第1及び第2の磁界の強さを
変化させることによって、プラズマのビーム径、即ちプ
ラズマと被処理物との距離、ひいては被処理物に対する
プラズマエネルギの作用を変化させることができる。な
お、プラズマのビーム径を大きくすることによって、被
処理物をこのプラズマに晒すことができる。
向きとは逆方向であるとき、プラズマは、第1及び第2
の磁界の向きに沿って発散する方向に流れ、その結果、
被処理物に直接入射し、被処理物はプラズマに晒された
状態になる。この状態において、第1及び第2の磁界の
強さを変化させることによって、プラズマの被処理物に
対する入射領域及び入射位置を制御することができる。
更に、自転駆動手段が、軸線、即ちプラズマの中心に対
して被処理物の表面が順次移動するように、被処理物を
支持している支持部自体を回転させているので、支持部
自体は自転する状態になる。なお、被膜の原料となる材
料ガスは、材料ガス供給手段によって真空槽内に供給さ
れている。
持部、ひいては被処理物を、軸線、即ちプラズマの中心
を軸として回転させる。従って、被処理物は、プラズマ
の周りを公転する状態になる。
極とは、各々電気的に浮遊した状態に維持されているた
め、プラズマ中の電子は、このプラズマ源と反射電極と
の間を往復運動、即ち電界振動する。
空槽内と連通している。まず、真空槽内及びプラズマ室
内を排気し、熱陰極から陽極に向けて熱電子を放出させ
る。この状態において、放電ガス供給手段から放電発生
用のガスをプラズマ室内に供給すると、この放電発生用
のガスの粒子と熱電子とが衝突して、このガスの粒子が
電離し、これによって、イオンとプラズマ電子とから成
るプラズマが発生すると共に、熱陰極から陽極に流入す
る熱電子が放電電流となって低電圧大電流のアーク放電
が生じる。
基準電位、例えば接地電位であると共に熱陰極に対して
正電位であるため、即ち熱陰極は接地電位に対して負電
位であるため、熱陰極から放出された熱電子は、陽極に
流入すると共に、この電子注入電極を介して接地電位に
も流入する。これによって、プラズマ中に電子が注入さ
れ、プラズマの空間電位が低下する。このプラズマの空
間電位が下がることによって真空槽内壁に入射するイオ
ンのいエネルギが下がり、その結果、真空槽の内壁に高
エネルギのイオンが衝突することによって生じる異常放
電を抑えることがでる。
気的に浮遊した状態、または熱陰極の電位に維持されて
いるため、プラズマ中の電子は、このプラズマ室と反射
電極との間を往復運動、即ち電界振動する。
るとき、被処理物用電源は、基準電位、例えば接地電位
に対して負電位の直流電力を被処理物に供給するので、
被処理物に対するイオンの衝突を促進させることができ
る。一方、絶縁性被膜を生成するときは、高周波電力を
供給して被処理物に接地電位を基準とする負のセルフバ
イアスを誘起させ、これによって被処理物に対するイオ
ンの衝突を促進させる。なお、高周波電力を供給してい
るため、被処理物が絶縁性であっても、その成膜面に正
電荷が蓄積してしまうという所謂チャージアップを防止
することができる。
例を図1から図5を参照して説明する。図1は、このプ
ラズマCVD装置の概略を示す構成図である。同図に示
すように、このプラズマCVD装置は、真空槽1を備
え、この真空槽1は、排気管2を介して排気ポンプ(図
示せず)に結合されており、また、この真空槽1の壁部
は基準電位点、例えば接地電位に接続されている。そし
て、この真空槽1には開口部1aが設けられており、こ
の開口部1aを覆うようにプラズマ源3が真空槽1に結
合されている。
極5、陽極6、電子注入電極7及びガスノズル8によっ
て構成されている。プラズマ室4は、真空槽1の開口部
1aを覆うように絶縁物9を介して真空槽1に結合され
ており、更に、真空槽1の開口部1aに対応する位置に
は、プラズマ室4内と真空槽1内とを連通するように開
口部4aが設けられている。そして、このプラズマ室4
内には、例えば直径0.8mmから1.0mmのタング
ステン等の高融点金属で形成された熱陰極5が設けられ
ており、この熱陰極5には、例えば20V、100Aの
直流又は交流電力が熱陰極加熱電源10から供給されて
いる。また、この熱陰極5の近傍には環状の陽極6が配
置されており、この陽極6は、例えばDC0乃至+10
0V、50Aの範囲で電圧を可変できる陽極電源11を
介して熱陰極5に接続されている。更に、この陽極6に
近接して環状の電子注入電極7が配置されており、この
電子注入電極7は、例えばDC0乃至+100V、50
Aの範囲で電圧を可変できる電子注入電極電源12を介
して熱陰極5に接続されると共に、真空槽1の壁部と同
様に接地電位に接続されている。なお、これらの熱陰極
5、陽極6及び電子注入電極7は、プラズマ室4の壁部
から浮遊しており、このプラズマ室4は、絶縁電位に維
持されている。また、ガスノズル8は、熱陰極5の近傍
に設けられており、このガスノズル8から放電発生用の
放電ガス、例えばヘリウム(He)、ネオン(Ne)、
アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(X
e)等の不活性ガスが、その供給源からプラズマ源3内
に導入される。
で、真空槽1内には、反射電極13が設けられており、
この反射電極13は、真空槽1の壁部から浮遊した状
態、即ち、プラズマ室4と同様に、絶縁電位に維持され
ている。そして、プラズマ源3の中心、即ち開口部4a
の中心から反射電極13に向かって真っ直ぐに伸延する
軸線14に対して直角な方向に、被処理物となる基板1
5、15、・・・が、上記軸線14から各々同じ間隔を
隔てて複数配置されている。この基板15、15、・・
・は、ホルダ16、16、・・・によって支持されてお
り、このホルダ16、16、・・・は、ホルダ固定軸2
7を介して円形の公転体25の略円周部分に結合されて
いる。そして、この公転体25は、その中心を、軸線1
4に一致させた状態で、公転軸24に結合されている。
つまり、全ての基板15、15、・・・は、軸線14か
ら同じ間隔を隔てて配置されている。更に、公転軸24
は、チェーン23を介して、モータ22の回転軸22a
に回転自在に連結されている。
て、例えば周波数が13.56MHz、出力が0乃至5
kWの間で可変することができる被処理物用電源18が
接続されている。ここで、この被処理物用電源18とし
て、上記のような高周波電源を用いるのは、生成する被
膜が絶縁性被膜の場合であり、導電性被膜を生成する場
合は、被処理物用電源18として、例えば接地電位を基
準にしてDC0乃至−1000Vの間で電圧を可変する
ことができる直流電源を使用する。
に材料ガスを導入するためのガスノズルである。このガ
スノズル19は、パイプを環状に形成した構造から成
り、この環状の中心を軸14に一致させた状態で配置さ
れている。また、パイプ部分には、ガス噴出口としての
複数の小孔19a、19a、・・・が穿設されており、
このパイプ中に材料ガスを供給することによって、小孔
19a、19a、・・・から材料ガスを噴出させること
がてきる。従って、この材料ガスの噴出口となる小孔1
9a、19a、・・・も、基板15、15、・・・と同
様に、軸線14から同じ距離に位置しているため、材料
ガスは全ての基板15、15、・・・に対して略均等に
噴出される。また、17は、基板15、15、・・・を
適当な温度に制御するヒータで、各基板15、15、・
・・の外側の一箇所に設けられており、基板加熱用電源
(図示せず)によって加熱されている。
に対称な分布であると共に、軸線14に沿って反射電極
13に向かう方向、即ちφ方向に向かう磁界を発生させ
るために、プラズマ源3の周囲には磁界発生体としての
主コイル20が設けられている。そして、この主コイル
20には、例えばDC0乃至+100VまたはDC0乃
至+5Aの範囲で電圧または電流を可変できる磁界発生
用電源20aが接続されている。なお、この磁界発生用
電源20aの電圧または電流を上記の範囲で変化させる
ことによって、主コイル20の発生する磁界φの磁束密
度を0乃至約30mTの範囲で変化させることができ
る。
側とは反対側に、主コイル20と対向する状態で補助コ
イル21が設けられている。この補助コイル21は、真
空槽1内のプラズマ源3が位置する側とは反対側、即ち
真空槽1内の反射電極13が位置する側の空間に、軸線
14を中心に対称な分布であると共に、軸線14に沿っ
て反射電極13に向かう方向、即ちφ1 方向、またはφ
1 方向とは反対方向であるφ2 方向に向かう磁界を発生
させるものである。そして、この補助コイル21には、
例えばDC−100乃至+100VまたはDC−5乃至
+5Aの範囲で電圧または電流を可変できる磁界発生用
電源21aが接続されている。なお、この磁界発生用電
源21aの電圧をDC0乃至+100V、または電流を
DC0乃至+5Aの範囲で変化させることによって、φ
1 方向に磁束密度が0乃至約30mTの磁界を発生させ
ることができる。また、磁界発生用電源21aの電圧を
DC−100乃至0V、または電流をDC−5乃至0A
の範囲で変化させることによって、φ2 方向に磁束密度
が0乃至約30mTの磁界を発生させることができる。
置では、まず、真空槽1内及びプラズマ源3内を排気ポ
ンプによって適当な圧力まで排気した後、熱陰極加熱電
源10によって熱陰極5を、例えば約2000℃まで加
熱して、この熱陰極5から陽極6に向けて0.5乃至1
mA程度の熱電子を放出させる。この状態において、ガ
スノズル8から放電発生用のガスをプラズマ源3内に供
給すると、このガスの粒子は、上記熱電子と衝突し、こ
の衝突によって電離され、その結果、プラズマ源3内に
イオンとプラズマ電子とから成るプラズマが発生する。
なお、プラズマ源3内には、主コイル20によって磁界
φが印加されているので、熱電子やプラズマ電子は、こ
の磁界φに沿って螺旋運動し、これによって熱電子やプ
ラズマ電子がガス粒子と衝突する機会が増加し、ガス粒
子の電離、即ちプラズマの発生が促進される。
は、1乃至100Aの放電電流となって陽極6に流入
し、低電圧大電流のアーク放電となる。一方、電子注入
電極7は、接地電位であると共に熱陰極5に対して正電
位であるため、即ち、熱陰極5には接地電位に対して負
電位が印加されているため、熱陰極5から放出された熱
電子は、上記のように陽極6に流入すると共に、この電
子注入電極7を介して接地電位にも流入し、これによっ
て、プラズマ中に電子が注入される。プラズマは本来、
電気的に中性であるため、プラズマ中の電子が増加する
と、これに伴いイオンも増加する傾向になり、プラズマ
は接地電位である真空槽1に衝突して消失するイオンの
量を減らそうとする。その結果、プラズマの空間電位
は、例えば10乃至30V程度に低下するため、真空槽
1の内壁部におけるイオンの衝突による異常放電を抑え
ることができ、長時間に渡たり安定な放電、即ち定常プ
ラズマを維持することができる。なお、電子注入電極電
源12により熱陰極5に印加する電位を変化させること
によって、このプラズマの空間電位を制御することがで
きる。
主コイル20の磁界分布、即ち磁界φの方向に沿って流
れるため、開口部4a及び1aを介して真空槽1内に供
給される。そして、この真空槽1内に供給されたプラズ
マは、主コイル20の磁界φの分布に沿って軸線14を
中心として対称に発散しようとする。ここで、この真空
槽1内に供給されたプラズマの分布が、主コイル20及
び補助コイル21の励磁状態によってどのように影響さ
れるかについて、図2を参照して説明する。
束密度が16乃至30mT、好ましくは20mTの磁界
φを発生し、また、補助コイル21が、上記磁界φと同
方向に、例えば磁束密度が16乃至30mT、好ましく
は20mTの磁界φ1 を発生し、これによって、真空槽
1内にミラー磁場が形成されている場合のプラズマの状
態を示すものである。この場合、同図の30に示すよう
に、真空槽1内に供給されたプラズマは、これらの磁界
φ及びφ1 の方向に沿って収束する方向に流れ、その結
果、軸線14を中心としてビーム状に閉じ込められた状
態になる。このプラズマ30の状態は、上述の図8に示
す従来技術におけるプラズマ130の状態と略同様であ
る。なお、ここでは、主コイル20及び補助コイル21
に対して、磁界発生用電源20a及び21aから各々
3.3A及び3.3Aの直流電流を供給することによっ
て、磁束密度が20mT及び20mTの磁界φ及びφ1
を発生させている。
は、質量の軽いプラズマ電子であり、このプラズマ電子
よりも数千倍以上重いイオンについては、この磁束密度
が数十mT程度の磁場においてはその影響を殆ど受けず
に拡散し、基板15、15、・・・上にも衝突する。
も弱いミラー磁場が真空槽1内に形成されているとき、
即ち、主コイル20の発生する磁界φの磁束密度が例え
ば1乃至15mT、好ましくは4mT、また、補助コイ
ル21の発生する磁界φ1 の磁束密度が例えば1乃至1
5mT、好ましくは4mTの場合のプラズマの状態を示
すものである。この場合、この図2(b)におけるプラ
ズマ31は、図2(a)のプラズマ30と同様に、磁界
φ及びφ1 の方向に沿ってビーム状に収束する方向に流
れるが、これらの磁界φ及びφ1 の強さが図2(a)の
状態よりも弱いため、このプラズマ31のビーム径は、
図2(a)のプラズマ30のビーム径よりも大きくな
る。従って、図2(a)のプラズマ30よりも体積の大
きいプラズマ31を形成することができ、これによっ
て、このプラズマ31の発生領域を基板15、15、・
・・に対してより近づけることができ、この基板15、
15、・・・に対するプラズマ31の作用を図2(a)
のプラズマ30よりも大きくすることができる。なお、
ここでは、主コイル20及び補助コイル21に対して、
磁界発生用電源20a及び21aから各々0.67A及
び0.67Aの直流電流を供給することによって、磁束
密度が4mT及び4mTの磁界φ及びφ1 を発生させて
いる。
いて、補助コイル21の発生する磁界の向きが、φ1 方
向とは反対のφ2 方向に作用しているときのプラズマの
状態を示している。即ち、主コイル20は、例えば磁束
密度が1乃至15mT、好ましくは4mTの磁界φを発
生し、また、補助コイル21は、上記磁界φとは反対方
向に、例えば磁束密度が1乃至15mT、好ましくは4
mTの磁界φ2 を発生しており、これによって、真空槽
1内にはカスプ磁場が形成されている。このように、真
空槽1内には互いに向き合う磁界φ及びφ2 が作用して
いるので、この真空槽1内に供給されたプラズマ32
は、これらの磁界φ及びφ2 の方向に沿って軸線14を
中心として対称に発散する方向に流れ、その結果、基板
15、15、・・・に対して直接入射する状態になる。
つまり、基板15、15、・・・は、プラズマ32内に
晒された状態になり、基板15、15、・・・には、プ
ラズマ32中のイオンだけでなくプラズマ電子も衝突す
るため、基板15、15、・・・に対するプラズマエネ
ルギの作用はより強くなる。なお、ここでは、主コイル
20及び補助コイル21に対して、磁界発生用電源20
a及び21aから各々0.67A及び−0.67Aの直
流電流を供給することによって、磁束密度が4mT及び
4mTの磁界φ及びφ2 を発生させている。
て、主コイル20及び補助コイル21の発生する磁界φ
及びφ2 のどちらか一方、または両方の磁束密度を、上
記図2(c)に示す状態よりも大きくする、例えば10
mT以上にすることによって、図3に示すように、プラ
ズマ32aを基板15、15、・・・のある一部分にの
み直接入射させることができる。同図は、磁界φよりも
磁界φ2 の磁束密度を大きくする、例えば磁界φ及びφ
2 の磁束密度を各々4mT及び10mTにすることによ
って、プラズマ32aを基板15、15、・・・の主コ
イル20側(同図の左側)にのみ直接入射させている状
態を示している。勿論、この状態とは逆に磁界φ2 より
も磁界φの磁束密度を大きくする、即ち磁界φ及びφ2
の磁束密度を例えば各々10mT及び4mTにすること
によって、プラズマ32aを基板15、15、・・・の
補助コイル21側(同図の右側)にのみ直接入射させる
ことができる。また、磁界φ及びφ2 の磁束密度を共に
大きくする、例えば15mT以上にすることによって、
プラズマ32aを基板15、15、・・・の中央付近に
のみ入射させることができる。つまり、プラズマ32a
を基板15、15、・・・のある一部分に対してのみ直
接入射させることができるので、基板15、15、・・
・に対するプラズマエネルギの作用を局部的に強くする
ことができる。
真空槽1内にガスノズル19から材料ガスを供給する
と、この材料ガスの粒子は、真空槽1内のプラズマによ
って励起または解離され、基板15、15、・・・上に
被膜が生成される。なお、このとき、基板15、15、
・・・に対するプラズマエネルギの作用が強いほど、基
板15、15、・・・に生成される被膜の硬度は高くな
る。
に示すように、主コイル20の発生する磁界φの強さを
制御し、また、補助コイル21によって磁界φ1 又はφ
2 を発生させると共にその強さを制御することによっ
て、真空槽1におけるプラズマの形状を制御することが
できる。これによって、基板15、15、・・・に対す
るプラズマエネルギの作用、ひいては生成する被膜の硬
度を自由に制御することができる。また、特に、図2
(c)に示すプラズマ32のように、このプラズマ32
内に基板15、15、・・・を晒した状態にすることに
よって、基板15、15、・・・に対するプラズマエネ
ルギの作用を、図8に示す従来技術よりも遙かに大きく
することができる。よって、図8に示す従来技術よりも
被膜の堆積速度を向上させることができ、また図8に示
す従来技術では生成が困難であった高いプラズマエネル
ギを必要とする例えばDLC膜等の硬質膜の生成を実現
することができる。
5、・・・の一部分に対してプラズマ32aを直接入射
させることができるため、このプラズマ32aを直接入
射させている部分にのみ成膜したり、またこの部分の膜
厚を厚くしたり、更にはこの部分の被膜を特に硬質にし
たりすることができる。即ち、局部的な成膜、及び局部
的に膜質の異なる被膜の生成を実現することができる。
理物用電源18から高周波電力が供給されているため、
生成する被膜が絶縁性被膜であるとき、基板15、1
5、・・・には、接地電位を基準として負のセルフバイ
アスが誘起され、これによって、基板15、15、・・
・に対するイオンの衝突が促進される。一方、生成する
被膜が導電性被膜であるときは、接地電位に対して負電
位の直流電力を基板15、15、・・・に供給すること
によって、上記と同様に、基板15、15、・・・に対
するイオンの衝突を促進させることができる。このよう
に、基板15、15、・・・に対するイオンの衝突を促
進させることによって、この基板15、15、・・・に
対する被膜の密着性、緻密性、硬度等を向上させること
ができる。なお、上記のように、絶縁性被膜を生成する
ときは、基板15、15、・・・に対して高周波電力を
供給することによって、基板15、15、・・・の表面
におけるチャージアップを防止することができる。
各々絶縁電位に維持されているため、プラズマ中の電子
は、このプラズマ室4と反射電極13との間を往復運
動、即ち電界振動する。これによって、プラズマ中の電
子と、放電ガス及び材料ガスの粒子との衝突する機会が
増加するため、プラズマの発生が促進され、密度の高い
プラズマを得ることができる。
を回転駆動させると、この回転駆動力は、モータ22の
回転軸22aからチェーン23を介して公転軸24に伝
動し、これによって、この公転軸24に結合されている
公転体25が、軸線14を中心に回転する。その結果、
この公転体25にホルダ固定軸27を介して結合されて
いるホルダ16、16、・・・、ひいては基板15、1
5、・・・が、軸線14、即ちプラズマの中心を軸とし
て回転する。つまり、基板15、15、・・・は、プラ
ズマの周りを公転する状態になり、これによって、基板
15、15、・・・に生成される被膜の膜質均一性を向
上させることができる。また、ヒータ17を基板15、
15、・・・の数だけ揃える必要がないので、そのコス
トアップを抑えることができ、このヒータ17の輻射熱
量も増えることはない。
を注入することによって、プラズマの空間電位を低下さ
せ、真空槽1の内壁部におけるイオンの衝突による異常
放電が抑えられるように構成されている。従って、長時
間に渡たり安定な放電、即ち定常プラズマを維持するこ
とができる。
図2に示す条件の下で、実際にDLC膜を生成した実験
結果を、図4に示す。同図は、プラズマを発生させるた
めの放電ガスとしてアルゴンガス(Ar)を用い、これ
を流量40mL/minで供給し、材料ガスとしてアセチレン
(C2 H2 )を用い、これを流量100mL/minで供給
し、そして、圧力を5×10-2Pa、陽極電圧を60
V、電子注入電極電圧を45V、放電電流を25Aと
し、基板15としてシリコン(Si)片を用い、このシ
リコンの基板15の電位を0から−600Vに変化させ
たときの基板15に成膜されたDLC膜のヌープ硬度を
測定したものである。そして、同図に示すグラフA、
B、Cが、各々図2(a)、(b)、(c)の条件下で
の実験結果を示す。なお、成膜時間は30分である。ま
た、このときのプラズマの空間電位は、約15Vであ
る。
ビーム状に閉じ込めた図2(a)に示す状態のときより
も、プラズマの体積を大きくした図2(b)及び(c)
に示す状態の方が、より硬質なDLC膜が生成されてい
る。つまり、基板15とプラズマとの距離が近いほど、
より硬質なDLC膜を生成することができる。また、プ
ラズマの形状に係わらず、基板15の電位が負の方向に
大きくなるにつれて、DLC膜の硬度は向上していく。
例えば、グラフB及びCに示すように、図2(b)及び
(c)の状態においては、基板15の電位を−200V
以下(電位差200V以上)にすると、DLC膜のヌー
プ硬度は約3600になる。因みに、シリコンのヌープ
硬度が約800であるので、これと比較しても非常に高
硬度なDLC膜が形成されたことが分かる。上記のよう
に、このプラズマCVD装置は、プラズマの形状及び基
板15に印加する電位を制御することによって、より自
由度の高い膜質の制御を実現することができると共に、
より硬質の被膜を生成することができる。
状態において、基板15の電位を−200Vとしたと
き、30分の成膜時間で堆積するDLC膜の厚さは1.
8μmであった。また、基板温度は、200℃以下とい
う比較的に低温に抑えることができた。そして、基板1
5の電位が−200Vのとき、被処理物用電源18の出
力は約500Wであった。ここで、この状態において生
成されたDLC膜のラマンスペクトルを図5に示す。同
図に示すグラフXが、そのDLC膜のラマンスペクトル
で、グラフX1 及びX2 は、グラフXをDFP法によっ
て波形分離したグラフである。同図に示すように、この
DLC膜のラマンスペクトルは、波数1540cm-1付
近に主ピークを有し、波数1400cm-1付近にショル
ダーバンドを有するというDLC膜の特徴を示してい
る。なお、このDLC膜の抵抗値は、1010Ω・cmで
あった。
反射電極13とを電気的に浮遊させることによって絶縁
電位に維持したが、熱陰極5に接続させることによって
熱陰極5の電位に維持する構成にしてもよい。また、基
板15、15、・・・を加熱するためにヒータ17を設
けたが、特に基板15、15、・・・を加熱する必要が
無い場合は、ヒータ17を設ける必要はない。そして、
主コイル20の発生する磁界φと、補助コイル21の発
生する磁界φ1 又はφ2 との強さを変化させる手段とし
て、磁界発生用電源20a及び21aから各々供給され
る電流の大きさを変化させたが、主コイル20及び補助
コイル21の巻線数を変えることによって各磁界の強さ
を変化させてもよい。勿論、主コイル20と補助コイル
21との巻線数は各々異なってもよい。また、磁界発生
用電源21aから補助コイル21に供給する電流の向き
を変えることによって、磁界φ1 及びφ2 の切り換えを
行っていたが、補助コイル21自体の向きを変えること
によって、それが発生する磁界の向きを変更してもよ
い。更に、モータ22の回転駆動力を公転軸24に伝動
する手段として、チェーン23を用いたが、チェーン2
3に限らずベルトやギア等によってモータ22の回転駆
動力を公転軸24に伝動させてもよい。また、モータ2
2の回転軸22aに公転軸24を直接結合させることに
よって、チェーン23等の回転駆動力を伝動させるため
の構成品を省くことができる。
第2実施例を図6及び図7を参照して説明する。なお、
この第2実施例のプラズマCVD装置は、図6に示すよ
うに、上記図1に示す第1実施例のプラズマCVD装置
に対して、公転体25とホルダ固定軸27、27、・・
・との結合部分にギア機構26、26、・・・を設け、
またホルダ固定軸27、27、・・・に対して基板1
5、15、・・・を直接結合させた構造である。これ以
外については、第1実施例と同様であり、同等部分に同
一符号を付し、詳細な説明を省略する。
けることによって、公転体25が回転すると共に、ホル
ダ固定軸27、27、・・・自体も回転するように構成
したものである。これによって、このホルダ固定軸2
7、27、・・・に直接結合された基板15、15、・
・・自体も、ホルダ固定軸27、27、・・・を中心と
して回転、即ち自転する。つまり、基板15、15、・
・・は、図7に示すように、軸線14を中心として矢印
25aの方向に回転すると共に、この基板15、15、
・・・自体もホルダ固定軸27、27、・・・を中心と
して矢印27a、27a、・・・の方向に回転する。
構成されているので、ホルダ固定軸27、27、・・・
に直接結合された基板15、15、・・・の両面に対し
て被膜を生成することができる。これと同様に、例えば
金型やドリル等のように複雑な形状を有する立体物で
も、それをホルダ固定軸27、27、・・・に直接結合
させることによって、その表面全体に被膜を生成するこ
とができる。
1の磁界の強さと、第2の磁界の強さ及び方向とを制御
することによって、プラズマの形状、ひいては被処理物
に対するプラズマエネルギの作用を制御することができ
る。特に、被処理物をプラズマに晒す状態にすることに
よって、被処理物の成膜面に対するプラズマエネルギの
作用を従来よりも遙かに大きくすることができる。従っ
て、従来技術と比較して被膜の堆積速度を高速にするこ
とができ、また、従来技術では非常に困難であったDL
C膜等のような非常に高硬度な被膜の生成を実現するこ
とができるという効果がある。更に、被処理物に対する
プラズマの入射領域及び入射位置を制御することもでき
るので、被処理物のある一部分に成膜するというよう
に、局部的な成膜を実現することができるという効果が
ある。よって、被膜生成の制御の自由度が従来よりも遙
かに向上する。
の発明と同様に、第1の磁界の強さと、第2の磁界の強
さ及び方向とを制御することによって、プラズマの形状
を制御し、ひいては被処理物の成膜面に対するプラズマ
エネルギの作用を制御することができるので、第1の発
明と同様の効果を奏する。更に、被処理物を支持してい
る支持部自体を回転、即ち自転させることによって、プ
ラズマに対する被処理物の成膜面を順次移動させること
ができるので、例えば金型やドリル等のように、複雑な
形状を有する立体物に対しても、その略全面に均一に被
膜を生成することができるという効果がある。
理物がプラズマの周りを回転、即ち公転するように構成
されているため、複数の被処理物を同時に処理したと
き、各被処理物間における被膜の膜質の均一性を、従来
よりも、ひいては第1又は第2の発明よりも向上させる
ことができる。また、被処理物を加熱するための例えば
ヒータ等の加熱手段を被処理物の数だけ設ける必要がな
いため、加熱手段の増加によるコストアップを抑えるこ
とができ、また、この加熱手段の輻射熱による真空槽内
の温度上昇も抑えることができる。
ズマ中の電子が、プラズマ源と反射電極との間を往復運
動、即ち電界振動するように構成されているので、電子
の飛行距離を延長することができる。従って、この電子
と、放電ガス及び材料ガスの粒子との衝突する機会が増
加するため、プラズマの発生が促進され、これによっ
て、高密度なプラズマを得ることができる。
ズマ中に電子を注入することによって、プラズマの空間
電位を低下させ、これによって、真空槽に衝突して消失
するイオンのエネルギを減少させるように構成されてい
る。従って、真空槽の内壁に高エネルギのイオンが衝突
することによって生じる異常放電を抑えることができ、
これによって、長時間に渡たって安定な放電、即ち定常
プラズマを維持することができる。また、プラズマ中の
電子が、プラズマ室と反射電極との間を電界振動するよ
うに構成されているので、電子の飛行距離を延長するこ
とができる。従って、この電子と、放電ガス及び材料ガ
スの粒子との衝突する機会が増加するため、プラズマの
発生が促進され、これによって、高密度なプラズマを得
ることができる。
理物の電位が、基準電位、例えば接地電位に対して、負
電位になるように構成されているので、被処理物に対す
るイオンの衝突を促進させることができ、これによっ
て、被膜の被処理物に対する密着性、緻密性、硬度等を
向上させることができる。また、生成する被膜が絶縁性
である場合は、高周波電力を供給するため、被処理物の
成膜面におけるチャージアップを防止することができ
る。
の概略を示す図である。
る。
る。
ときの基板電位と被膜のヌープ硬度との関係を示すグラ
フである。
ペクトルである。
の概略を示す図である。
状態を示す概略図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 排気手段によって内部が排気されている
真空槽と、上記真空槽に結合されプラズマを発生すると
共に該プラズマを上記真空槽内に供給するプラズマ源
と、上記真空槽内において上記プラズマの供給部分の中
心から上記プラズマの供給方向に真っ直ぐに伸延する軸
線に対して直角な方向に所定の間隔を隔てて少なくとも
1以上設けられており被処理物をその所定の部分が上記
軸線に対向する状態に支持する支持部と、上記プラズマ
源内に上記軸線を中心に対称な分布であると共に上記プ
ラズマ源から上記真空槽内に向かう方向の第1の磁界を
発生させる第1の磁界発生手段と、上記支持部を挟んで
上記プラズマ源とは反対側の上記真空槽内に上記軸線を
中心に対称な分布であると共に上記第1の磁界と同方向
あるいは逆方向の第2の磁界を発生させる第2の磁界発
生手段と、上記真空槽内に材料ガスを供給する材料ガス
供給手段とを具備し、上記第1及び第2の磁界発生手段
が上記第1及び第2の磁界の強さを各々独立して可変で
きる状態に構成されたことを特徴とするプラズマCVD
装置。 - 【請求項2】 排気手段によって内部が排気されている
真空槽と、上記真空槽に結合されプラズマを発生すると
共に該プラズマを上記真空槽内に供給するプラズマ源
と、上記真空槽内において上記プラズマの供給部分の中
心から上記プラズマの供給方向に真っ直ぐに伸延する軸
線に対して直角な方向に所定の間隔を隔てて少なくとも
1以上設けられた被処理物を支持する支持部と、上記軸
線に対して上記被処理物の表面が順次移動する状態に上
記支持部自体を回転させる自転駆動手段と、上記プラズ
マ源内に上記軸線を中心に対称な分布であると共に上記
プラズマ源から上記真空槽内に向かう方向の第1の磁界
を発生させる第1の磁界発生手段と、上記支持部を挟ん
で上記プラズマ源とは反対側の上記真空槽内に上記軸線
を中心に対称な分布であると共に上記第1の磁界と同方
向あるいは逆方向の第2の磁界を発生させる第2の磁界
発生手段と、上記真空槽内に材料ガスを供給する材料ガ
ス供給手段とを具備し、上記第1及び第2の磁界発生手
段が上記第1及び第2の磁界の強さを各々独立して可変
できる状態に構成されたことを特徴とするプラズマCV
D装置。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載のプラズマCVD
装置において、上記軸線を中心として上記支持部を回転
させる公転駆動手段を設けたことを特徴とするプラズマ
CVD装置。 - 【請求項4】 請求項1、2又は3に記載のプラズマC
VD装置において、上記支持部を挟んで上記プラズマ源
とは反対側の上記真空槽内の上記軸線上に上記プラズマ
源に対向する状態に反射電極を設け、上記真空槽の壁部
を基準電位に接続すると共に、上記プラズマ源と上記反
射電極とを電気的に浮遊させる状態に構成したことを特
徴とするプラズマCVD装置。 - 【請求項5】 請求項1、2又は3に記載のプラズマC
VD装置において、上記支持部を挟んで上記プラズマ源
とは反対側の上記真空槽内の上記軸線上に上記プラズマ
源に対向する状態に反射電極を設け、上記真空槽の壁部
を基準電位に接続すると共に、上記プラズマ源が、上記
真空槽にこれと電気的に絶縁された状態で結合すると共
に上記真空槽内と連通する空間を形成するプラズマ室
と、上記空間内に設けられており熱電子を放出する熱陰
極と、上記空間内に設けられており上記熱陰極を基準に
して正電位が印加される陽極と、上記空間内に設けられ
ており上記熱陰極を基準にして正電位が印加されると共
に上記基準電位に接続されている電子注入電極と、上記
空間内に放電発生用のガスを供給する放電ガス供給手段
とによって構成され、上記プラズマ室と上記反射電極と
を電気的に浮遊させる状態、または上記熱陰極の電位に
維持する状態に構成したことを特徴とするプラズマCV
D装置。 - 【請求項6】 請求項1、2、3、4又は5に記載のプ
ラズマCVD装置において、導電性被膜を生成するとき
は上記基準電位に対して負電位の直流電力を、また絶縁
性被膜を生成するときは高周波電力を、上記被処理物に
供給する被処理物用電源を設けたことを特徴とするプラ
ズマCVD装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14867694A JP3249013B2 (ja) | 1994-06-06 | 1994-06-06 | プラズマcvd装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14867694A JP3249013B2 (ja) | 1994-06-06 | 1994-06-06 | プラズマcvd装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07331447A JPH07331447A (ja) | 1995-12-19 |
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Family
ID=15458127
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP14867694A Expired - Lifetime JP3249013B2 (ja) | 1994-06-06 | 1994-06-06 | プラズマcvd装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3249013B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013073734A1 (ko) * | 2011-11-14 | 2013-05-23 | 한국야금 주식회사 | 인써트의 양면 다이아몬드 코팅방법과 이 방법으로 제조한 다이아몬드 코팅 인써트 |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6063816B2 (ja) * | 2013-05-27 | 2017-01-18 | 株式会社デンソー | 表面処理装置及び表面処理方法 |
WO2021186604A1 (ja) * | 2020-03-18 | 2021-09-23 | 株式会社Thermalytica | 蒸着装置 |
-
1994
- 1994-06-06 JP JP14867694A patent/JP3249013B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013073734A1 (ko) * | 2011-11-14 | 2013-05-23 | 한국야금 주식회사 | 인써트의 양면 다이아몬드 코팅방법과 이 방법으로 제조한 다이아몬드 코팅 인써트 |
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Publication number | Publication date |
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JPH07331447A (ja) | 1995-12-19 |
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