JP3245810B2 - プラズマ処理方法 - Google Patents

プラズマ処理方法

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JP3245810B2 JP13303796A JP13303796A JP3245810B2 JP 3245810 B2 JP3245810 B2 JP 3245810B2 JP 13303796 A JP13303796 A JP 13303796A JP 13303796 A JP13303796 A JP 13303796A JP 3245810 B2 JP3245810 B2 JP 3245810B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマ処理方法に
関し、特に一つのプラズマ処理室で被処理材に対して複
数の処理を行うことのできるプラズマ処理方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、2つの処理を一つの処理装置で行
なうものとして特開平3−120362号が知られてい
る。この処理装置は、複数の処理室を連続的に配置し
て、被処理材を処理装置の一方から他方へ搬送し、その
途中の処理室毎にそれぞれの処理を行なうようにしてい
る。
【0003】また、別の装置として、特開平3−978
62号が知られている。この装置は、入口槽と出口槽と
の間に中間真空槽を設け、この中間真空槽の両側に成膜
処理槽を設け、中間真空槽より被処理材をそれぞれの成
膜処理槽に搬出入するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
装置では、処理装置全体が長くなり、後者の装置では処
理装置の幅が広くなるという問題点がある。また、それ
ぞれの装置では、個々の処理を行なうために個々の処理
槽を必要とし、それぞれに真空ポンプ、電源、配管等が
必要になりコスト高になる。
【0005】そこで、本発明の課題は、1つのプラズマ
処理室を有する処理装置で、2つの処理、例えば被処理
材の表面改質と被処理材の表面に薄膜を形成できるプラ
ズマ処理方法を提供することにある。
【0006】本発明の他の課題は、被処理材を連続的に
処理することができるプラズマ処理方法を提供すること
にある。
【0007】本発明の更に他の課題は、処理装置をコン
パクトにできるプラズマ処理方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、被処理
材を往復移動させる搬送部を備えた搬送室に隣接してプ
ラズマ処理室を設けて、前記搬送部により移動する前記
被処理材をプラズマ処理可能とし、一方向への移動の際
には前記被処理材の改質処理を行い、他方向への移動の
際には前記被処理材の成膜処理を行うことを特徴とする
プラズマ処理方法が得られる。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明によるプラズマ処理
方法を実現する装置の全体正面図、図2は図1の平面図
である。この例では、プラズマ処理装置1は、架台10
と、架台10に載置された被処理材20(図3参照)の
搬送室40と、搬送室40の一端に設けられたゲート弁
30と、被処理材20の成膜室60、すなわちプラズマ
処理室を有している。なお、図示していないが、それぞ
れの室を真空にするための真空ポンプがそれぞれに接続
配置されている。また、ゲート弁30には被処理材20
を搬出入するための出入口室が接続されているか、ある
いはハンドリング室を介して出入口室が接続されてい
る。
【0010】図3は搬送室40と成膜室60の拡大正面
断面図、図4は図3のA矢視断面図である。搬送室40
は、搬送室本体41と、該搬送室本体41のゲート弁3
0側に設けられた開口部42と、搬送室本体41の長手
方向に略全長にわたって設けられた走行レール43と、
該走行レール43上を走行する搬送台車44と、該搬送
台車44を移動させるチェーン(又はベルト)45と、
チェーン45と搬送台車44を連結するブラケット46
と、チェーン45に係合するスプロケット47と、スプ
ロケット47を駆動するモータ48と、スプロケット軸
49と、搬送台車44に設けられて載置された被処理材
20を係止するための複数の爪50とから成る。なお、
搬送台車44の被処理材20の載置面に対応する領域に
は、開口部51が形成されている。これは、搬送台車4
4上の被処理材20、特に下面側を成膜室60内に露出
させるためのものである。
【0011】成膜室60は、真空容器61とその上面に
形成された開口部62と、真空容器61の側壁に設けら
れたプラズマガン63と、真空容器61の下面に支持台
64を介して設けられた主ハース65とから成る。
【0012】図示の成膜室60はイオンプレーティング
装置の例であり、その詳細は、図5を参照して説明す
る。真空容器61の側壁に設けられた筒状部112には
圧力勾配型のプラズマガン63が装着されている。プラ
ズマガン63は、陰極114により一端が閉塞されたガ
ラス管115を備えている。このガラス管115内で
は、LaB6 による円盤116、タンタルTaによるパ
イプ117を内蔵したモリブデンMoによる円筒118
が陰極114に固定されている。パイプ117は、アル
ゴンAr、ヘリウムHe等の不活性ガスからなるキャリ
アガス118をプラズマガン63内に導入するためのも
のである。
【0013】ガラス管115の陰極114と反対側の端
部と筒状部112との間には、第1、第2の中間電極1
19、120が同心的に配置されている。第1の中間電
極(第1のグリッド)119内にはプラズマビームを収
束するための環状永久磁石121が内蔵されている。第
2の中間電極120(第2のグリッド)内にもプラズマ
ビームを収束するための電磁石コイル122が内蔵され
ている。この電磁石コイル122は電源123から給電
される。
【0014】プラズマガン63が装着された筒状部11
2の周囲には、プラズマビームを真空容器61内に導く
ステアリングコイル124が設けられている。このステ
アリングコイル124はステアリングコイル用の電源1
25により励磁される。陰極114と第1、第2の中間
電極119、120との間にはそれぞれ、垂下抵抗器1
26、127を介して、可変電圧型の主電源128が接
続されている。
【0015】真空容器61の内側の底部には、主ハース
65とその周囲に配置された環状の補助ハース131が
設置されている。主ハース65は、プラズマガン63か
らのプラズマビームが入射する凹部を有し,ITO(イ
ンジウムースズ酸化物)タブレットのような蒸発物質を
収納している。
【0016】主ハース65及び補助ハース131はいず
れも熱伝導率の良い導電性材料、例えば、銅が使用され
る。主ハース65に対して補助ハース131は、絶縁物
を介して取り付けられている。また、主ハース65と補
助ハース131は、抵抗148を介して接続されてい
る。主ハース65は、主電源128の正側に接続されて
いる。従って、主ハース65は、プラズマガン63に対
してそのプラズマビームが吸引される陽極を構成してい
る。
【0017】補助ハース131内には環状永久磁石13
5と電磁石コイル136とが収容され、ハースコイル電
源138から給電される。この場合、励磁された電磁石
コイル136における中心側の磁界の向きは、環状永久
磁石135により発生する中心側の磁界と同じ向きにな
るように構成される。ハースコイル電源138は可変電
源であり、電圧を変化させることにより、電磁石コイル
136に供給する電流を変化できる。
【0018】搬送台車44は、真空容器61に対しては
電気的に絶縁支持されている。真空容器61と搬送台車
44との間にはバイアス電源145が接続されている。
このことにより、搬送台車44はゼロ電位に接続された
真空容器61に対して負電位にバイアスされている。
【0019】補助ハース131はハース切り替えスイッ
チ146を介して主電源128の正側に接続されてい
る。主電源128には、これと並列に垂下抵抗器129
と補助放電電源147とがスイッチS1を介して接続さ
れている。
【0020】このイオンプレーティング装置は、成膜の
場合には、プラズマガン63の陰極と真空容器61内の
主ハース65との間で放電を生じさせ、これによりプラ
ズマビーム(図示せず)を生成する。このプラズマビー
ムはステアリングコイル124と補助ハース131内の
環状永久磁石135により決定される磁界に案内されて
主ハース65に到達する。主ハース65に収納された蒸
発物質はプラズマビームにより加熱されて蒸発する。こ
の蒸発粒子はプラズマビームによりイオン化され、負電
圧が印加された被処理材20の表面に付着し、被膜が形
成される。
【0021】搬送台車44には、カラーフィルタ等に樹
脂系皮膜が塗布された硝子板等の被処理材20を載置し
ておき、真空容器61を排気する。処理圧力まで真空容
器61が排気された後、電磁石コイル122、136、
ステアリングコイル124にある設定された電流を通電
し、スイッチ146を通電状態にし、キャリアガス11
8を真空容器61内に流入させ、プラズマガン63によ
り主ハース65との間で放電を行う。この時、主ハース
65にはITO等の蒸発物質がセットされているが、環
状永久磁石135により作り出される磁極点が補助ハー
ス131に近いため、放電電流が20〜150(A)位
の間は蒸発しない。このため、真空容器61内部は蒸発
物質の蒸気の無い、キャリアガス118プラズマが存在
するだけである。
【0022】ここで、被処理材20の表面は搬送台車4
4に搬送されつつ真空容器61内に存在するプラズマに
より、表面洗浄、ボンバーリング、架橋生成、共有結合
等の分子結合の変化により改質される。この効果は、真
空容器61内部のガス圧を変化させたり、放電電流値を
変化させたり、キャリアガス118の種類を変化させた
り、暴露時間等を変化させることにより上述の効果の種
類、程度の進行度合が変化するので、これ等の調整が可
能である。
【0023】この改質処理の後にスイッチ146の導通
をオフにすると、補助ハース131は抵抗148により
持上げられた中間電極となり、放電電流は、主ハース6
5に流入し、主ハース65上にセットされた蒸発物質は
蒸気化し、真空容器61内に存在するプラズマにより、
励起、イオン化、加熱等をされ、被処理材20上に成膜
される。
【0024】上述のような、表面改質を行うことによ
り、被処理材20上に生成される皮膜の密着性が飛躍的
に向上する。従来の装置では、放電電流が大きくなると
スイッチ146機構及び補助ハース131が存在しない
ため、蒸発物質が蒸気化してしまい、条件を大きくする
ことが出来ない。
【0025】しかし、前記したイオンプレーティング装
置により、上述の様な改質及び成膜を1つの装置により
実現することが可能となると同時に、条件を大きく変化
させることが出来る。
【0026】本発明方法の具体的な動作について説明す
る。この説明では、搬送室40にハンドリング室を介し
て出入口室が設けられているような装置構成で説明す
る。予めハンドリング室、搬送室40、成膜室60を真
空引きしておく。被処理材20を出入口室に搬入後、出
入口室を真空引きし、出入口室のゲート弁を開にしてハ
ンドリング室のロボットで、被処理材20をハンドリン
グする。被処理材20をハンドリング室に搬入後、ゲー
ト弁30を開にして、被処理材20をロボットで搬送台
車44の爪50にあずける。その後、搬送台車44が走
行して、他端側に移動する。その際、プラズマガン63
により被処理材20の表面を改質処理する。搬送台車4
4が他端側からゲート弁30側に移動する際は、被処理
材20に成膜処理(イオンプレーティング)を行なう。
その後、被処理材20は、搬送台車44からロボットに
より出入口室に搬送される。
【0027】このように、本発明による処理方法では、
一つの成膜装置で被処理材の改質と成膜を行なうので、
装置がコンパクトになると共に、コストの削減になる。
【0028】なお、本発明では、成膜装置として、イオ
ンプレーティング以外に、スパッタリング、CVDも行
なうことができる。更に、被処理材として、ガラス、樹
脂(プラスチック)板があげられる。
【0029】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のプラ
ズマ処理方法によれば、一つの成膜装置で被処理材の改
質と成膜を行なうので、装置をコンパクトにできると共
に、コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるプラズマ処理方法を実現する装置
の全体正面図である。
【図2】図1の装置の平面図である。
【図3】図1に示された成膜室及びその周辺の断面図で
ある。
【図4】図3のA矢視断面図である。
【図5】本発明に使用される成膜室としてのイオンプレ
ーティング装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 プラズマ処理装置 10 架台 20 被処理材 30 ゲート弁 40 搬送室 60 成膜室
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C23C 16/50 - 16/56 H01L 21/203 - 21/205 H05H 1/46

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被処理材を往復移動させる搬送部を備え
    た搬送室に隣接してプラズマ処理室を設けて、前記搬送
    部により移動する前記被処理材をプラズマ処理可能と
    し、一方向への移動の際には前記被処理材の改質処理を
    行い、他方向への移動の際には前記被処理材の成膜処理
    を行うことを特徴とするプラズマ処理方法。
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