JP3240934U - 共押出発泡シート、及び積層発泡シート - Google Patents

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Abstract

【課題】スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルの混合樹脂を用いた発泡シートと樹脂フィルムとの接着性を向上させた積層発泡シートに適用できる共押出発泡シート、および共押出発泡シートを備えた積層発泡シートを提供する。【解決手段】スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとの混合樹脂を基材樹脂とする発泡層10に、樹脂層11が積層されている共押出発泡シート1であり、樹脂層はポリスチレン系樹脂を基材樹脂としており、且つ、樹脂層が発泡層又は非発泡層である。【選択図】図1

Description

本考案は、共押出発泡シート、及び該共押出発泡シートを備えた積層発泡シートに関する。
食品容器等の広範な用途で使用される耐熱性を有する発泡層を備えたシートとして、特定のポリスチレン系樹脂を含む基材樹脂を用いた発泡シートが知られている。例えば、特許文献1においては、耐油性を向上させるために、樹脂フィルムを発泡シートにラミネートした積層発泡シートが提案されている。
特開2015-189864号
しかしながら、発泡シートがスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとを混合した混合樹脂を基材樹脂として使用されたものである場合には、耐油性などの物性向上を目的として樹脂フィルムを積層させる際における、樹脂フィルムと発泡シートとの接着性の観点から、改善の余地があった。
本考案の目的の一つは、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルの混合樹脂を用いた発泡シートと樹脂フィルムとの接着性を向上させた積層発泡シートに適用できる共押出発泡シート、および共押出発泡シートと樹脂フィルムとを積層した積層発泡シートを提供することにある。
本考案は、次の(1)から(6)に示す考案を要旨とする。
(1)スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとの混合樹脂を基材樹脂とする発泡層(a1)に、樹脂層(a2)が積層されている共押出発泡シートであり、前記樹脂層(a2)はポリスチレン系樹脂を基材樹脂としており、且つ、前記樹脂層(a2)が発泡層又は非発泡層である、共押出発泡シート。
(2)前記混合樹脂における前記スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と前記脂肪族ポリエステルとの質量比率が90:10~40:60である、
上記(1)に記載の共押出発泡シート。
(3)前記共押出発泡シートの厚みが1mm~3mmであり、前記共押出発泡シートの見掛け密度が0.03g/cm~0.7g/cmである、
上記(1)又は(2)に記載の共押出発泡シート。
(4)前記共押出発泡シートの坪量が100g/m~500g/mであり、前記樹脂層(a2)の坪量が2g/m~100g/mである、
上記(1)又は(2)に記載の共押出発泡シート。
(5)上記(1)又は(2)に記載の共押出発泡シートと、
ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)と、を有し
前記ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)は、前記共押出発泡シートの前記樹脂層(a2)に対して熱融着している、
積層発泡シート。
(6)さらにポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)を有し、前記ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)と前記樹脂層(a2)の間に前記ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)が接着している、上記(5)に記載の積層発泡シート。
本考案によれば、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルの混合樹脂を用いた発泡シートと樹脂フィルムとの接着性を向上させた積層発泡シートに適用できる共押出発泡シート、および共押出発泡シートと樹脂フィルムとの積層発泡シートを提供することができる。
図1は、共押出発泡シートの一実施例を説明するための断面図である。 図2は、共押出発泡シートの製造方法の一実施例を説明するための図である。 図3は、積層発泡シートの一実施例を説明するための断面図である。
本考案の実施形態について、1.共押出発泡シート、2.積層発泡シート、3.適用例の順序で以下に説明する。
なお、本考案は、以下に説明する形態等に限定されない。
[1 共押出発泡シート]
[1-1 構成]
本考案にかかる発泡シートは、図1に示すように、発泡層(a1)に樹脂層(a2)が積層されてなる構造を有する共押出発泡シート1であり、詳しくは、発泡層(a1)に樹脂層(a2)が共押出法により積層されてなる構造を有する共押出発泡シートである。以下、本考案にかかる発泡シートを本考案にかかる共押出発泡シート(または、単に、共押出発泡シート)と称呼する。図1は、本考案の共押出発泡シート1の一実施例を模式的に示す断面図である。図1中、符号10は、発泡層(a1)を示し、符号11は、発泡層(a1)に積層される層である樹脂層(a2)を示す。
(共押出発泡シートの坪量)
共押出発泡シート1の坪量は、100g/m~500g/mが好ましく、より好ましくは120g/m~300g/mである。坪量がこの範囲内であると、軽量性と成形性に優れるという効果を得ることが容易となる。
(共押出発泡シートの坪量の測定方法)
共押出発泡シート1の坪量は、共押出発泡シート1から試験片を切り出し、試験片の質量をその試験片の面積で割算し、g/mに単位換算することにより、共押出発泡シート1の坪量を求めることができる。この場合、試験片の面積は、共押出発泡シートの厚み方向を視線方向として試験片を見た場合の試験片の面の大きさを示す。
(共押出発泡シートの厚み)
共押出発泡シート1の厚みは、特に限定されないが、おおむね0.5mm以上4mm以下であることが好ましい。共押出発泡シート1の厚みがこの範囲にあると、共押出発泡シート1を食品容器、弁当箱等の折箱、ディスプレイパネル等の用途に好適に用いることができる。本考案の共押出発泡シート1は熱成形用のシートとして好適に用いることができ、剛性、断熱性、及び取り扱い性等に優れる容器として熱成形可能なものとなる観点から、共押出発泡シート1の厚みは、1mm以上3mm以下であることがより好ましい。共押出発泡シート1の厚みの測定方法は、後述する発泡層(a1)の厚みの測定方法と同様の方法を用いることができる。
(共押出発泡シートの見掛け密度)
共押出発泡シート1の見掛け密度は、0.03g/cm以上0.7g/cm以下であることが好ましい。共押出発泡シート1の見掛け密度が上記範囲であると、剛性と軽量性に優れ、熱成形性にも優れるものとなる。上記観点から、共押出発泡シート1の見掛け密度は、0.05g/cm以上0.5g/cm以下であることが好ましく、また0.07g/cm以上0.3g/cm以下であることがより好ましい。
(共押出発泡シートの見掛け密度の測定方法)
共押出発泡シート1の見掛け密度は、共押出発泡シート1の坪量(g/m)を(g/cm)の単位に換算し、共押出発泡シート1の厚み(cm)で除した値を算出し、共押出発泡シート1の見掛け密度(g/cm)とする。
(共押出構造)
共押出発泡シート1は、発泡層(a1)と樹脂層(a2)とが共押出によって積層された状態として定められる共押出構造(共押出積層構造と呼ぶことがある)を有する。発泡層(a1)と樹脂層(a2)との共押出積層構造を有する共押出発泡シートであることにより、発泡層(a1)と接着層(a2)との接着強度が特別に優れる発泡シートとなり、熱成形時や電子レンジによる調理加熱時において、樹脂層(a1)が発泡層(a2)から剥離する現象が抑制されたものとなる。
(発泡層(a1))
発泡層(a1)(図1の例では発泡層10)は、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとの混合樹脂を有する層である。なお、発泡層においては、基材樹脂により構成された気泡壁と、気泡壁により形成された気泡とからなる構造を有する。
(スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体)
本明細書において、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体という場合における「(メタ)アクリル酸」という言葉は、アクリル酸とメタクリル酸とを包含する概念を示すものとする。スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体としては、スチレンとアクリル酸との共重合体、スチレンとメタクリル酸との共重合体等が例示される。中でも、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体としては、スチレンとメタクリル酸との共重合が好ましい。ただし、スチレンとアクリル酸との共重合体は、メタクリル酸がさらに少量共重合されたもの、メタクリル酸メチルやアクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル及び/又はアクリル酸アルキルエステルが第三成分として少量共重合されたものでもよい。スチレンとメタクリル酸との共重合体は、アクリル酸がさらに少量共重合されたもの、メタクリル酸メチルやアクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル及び/又はアクリル酸アルキルエステルが第三成分として少量共重合されたものでもよい。ただし第三成分による影響を抑制する観点からは、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体における、スチレン及び(メタ)アクリル酸以外の共重合の含有量は3質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0質量%であることが更に好ましい。
((メタ)アクリル酸成分の含有量)
スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体における(メタ)アクリル酸成分の含有量は、2質量%以上20質量%以下であることが好ましい。(メタ)アクリル酸成分の含有量が、上記範囲内であれば、発泡層(a1)の剛性や耐熱性がより優れるものとなる。上記観点から、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体における(メタ)アクリル酸成分の含有量が、4質量%以上であることが好ましく、6質量%以上であることがより好ましく、10質量%以下であることが好ましい。なお、スチレンと共重合される(メタ)アクリル酸成分が複数種類用いられる場合、(メタ)アクリル酸成分の含有量は、これら複数種類の(メタ)アクリル酸成分の合計を示す。
(脂肪族ポリエステル)
脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸系樹脂、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトンジオール、ポリカプロラクトントリオール、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートサクシネートなどが挙げられる。これらの中でも、環境負荷軽減の効果を高める観点からは、ポリ乳酸系樹脂、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートサクシネートなどを例示することができる。環境負荷軽減の効果をより高める観点からは、脂肪族ポリエステルは、さらに生分解性を有する樹脂であることがより好ましい。こうした観点から、具体的には、脂肪族ポリエステルは、ポリ乳酸系樹脂であることが好ましい。
なお、脂肪族ポリエステルは、バイオマス原料を用いた樹脂であることが好適である。バイオマス原料を用いた樹脂に属するものを採用する観点からは、脂肪族ポリエステルがポリ乳酸である場合に、ポリ乳酸は、とうもろこしやイモ類などから得たでんぷんを糖化した糖化物を原料とした樹脂を用いることができる。なお、この場合、ポリ乳酸は、糖化物に対して乳酸菌を作用させた乳酸を環化反応させて得られたラクチドを開環重合することで製造することができる。ただし、このことは、本考案において、石油原料から製造された乳酸を用いて製造されたポリ乳酸を用いることを禁止するものではない。
(ポリ乳酸系樹脂)
ポリ乳酸系樹脂は、乳酸成分単位を50モル%以上含むポリマーとして定義される。ポリ乳酸系樹脂には、例えば、次の(1)から(5)で示すポリマー(コポリマーを含む)や、(1)から(5)の何れかの組み合わせによる混合物等が包含される。
(1)乳酸の重合体(ポリマー)、
(2)乳酸とその他(乳酸以外)の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、
(3)乳酸と脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸とのコポリマー、
(4)乳酸と脂肪族多価カルボン酸とのコポリマー、そして
(5)乳酸と脂肪族多価アルコールとのコポリマー。
上記乳酸の具体例としては、L-乳酸、D-乳酸、DL-乳酸又はそれらの環状2量体であるL-ラクチド、D-ラクチド、DL-ラクチド又はそれらの混合物を挙げることができる。その他(乳酸以外)の脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、酒石酸、クエン酸などを例示することができる。脂肪族多価カルボン酸としては、ブタンテトラカルボン酸などを例示することができる。脂肪族多価アルコールとしては、例えばグリセリンを例示することができる。
ポリ乳酸系樹脂の製造方法は、特に限定されない。例えば、ポリ乳酸系樹脂の製造方法は、乳酸又は乳酸と脂肪族ヒドロキシカルボン酸の混合物を原料として、直接脱水重縮合する方法、乳酸の環状二量体(ラクチド)を重合する開環重合法等を挙げることができる。
(発泡層(a1)を形成する混合樹脂における混合比率)
混合樹脂におけるスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとの質量比率(質量%)は、90:10~40:60であることが好適である。ただし、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の含有量と脂肪族ポリエステルの含有量の合計を100(質量%)とする。なお、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとの質量比率は、(スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の含有量(質量%)):(脂肪族ポリエステルの含有量(質量%))を示す。なお、混合樹脂におけるスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとの質量比率(質量%)は、85:15~50:50であることがより好ましく、83:17~60:40であることがさらに好ましい。
なお、本考案において、発泡層(a1)は、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとの混合樹脂を基材樹脂として用いられているものである。ここで、発泡層(a1)について、混合樹脂を基材樹脂として用いられているとは、発泡層(a1)が前記混合樹脂を主成分として構成されることを意味し、発泡層(a1)におけるより好ましい混合樹脂の配合率については、発泡層(a1)を構成する樹脂の80質量%以上が前記混合樹脂からなることが好ましく、発泡層(a1)を構成する樹脂の90質量%以上が前記混合樹脂からなることが好ましく、発泡層(a1)を構成する樹脂の95質量%以上が前記混合樹脂からなることが好ましい。
(混合樹脂のビカット軟化温度)
混合樹脂の耐熱性は、ビカット軟化点温度で評価することができる。発泡層(a1)に使用されるスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のビカット軟化温度は108℃以上であることが好ましい。スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のビカット軟化温度が108℃以上であることにより、十分な耐熱性等の物性を有する発泡層(a1)(図1の例では発泡層10)を備えた共押出発泡シート1を得ることが容易となる。発泡層(a1)における耐熱性の確保等の観点から、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のビカット軟化温度は110℃以上であることがより好ましく、115℃以上であることが更に好ましい。スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のビカット軟化温度は、混合樹脂の流動性等の観点から、概ね150℃を上限とすることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。
(混合樹脂のビカット軟化温度の測定)
混合樹脂のビカット軟化温度はJIS K7206:1999のA50法にて求められる。
(その他の添加物)
本考案においては、発泡層(a1)を構成する基材樹脂は、混合樹脂のみで構成されている場合に限定されない。発泡層(a1)を構成する基材樹脂には、本考案の所期の目的が阻害されない程度に、他の熱可塑性樹脂が含まれていてもよい。これは、例えば後述する発泡層形成用樹脂溶融物に、必要に応じて他の熱可塑性樹脂がさらに添加されることで実現できる。他の熱可塑性樹脂の量は、混合樹脂100重量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。
また、発泡層(a1)を構成する基材樹脂には、必要に応じて各種の添加剤をさらに添加されてもよい。これは、例えば、発泡層形成用樹脂溶融物に、必要に応じて各種の添加剤をさらに添加されることで具体的に実現できる。添加剤は、混合樹脂を構成する樹脂ならびに後述する発泡剤を除く他の構成成分を示す。添加物としては、例えば、酸化防止剤、安定剤、無機充填剤、着色剤、消臭剤、難燃剤、帯電防止剤、気泡調整剤、紫外線吸収剤等を例示することができる。添加物としては、一種類でも複数種類のものが採用されてもよい。
添加物の量は、特に限定されないが、発泡層(a1)の成形性に対する影響を抑制する観点からは、混合樹脂100質量部に対して、0.03質量部以上10質量部以下程度であることが好ましい。
(発泡層(a1)の坪量)
発泡層(a1)の坪量は、100g/m~500g/mが好ましく、より好ましくは150g/m~300g/mである。坪量がこの範囲内であると、発泡層(a1)を熱成形して得た容器が、剛性と軽量性とのバランスにより優れたものとなる。発泡層(a1)の坪量は、共押出発泡シートの総坪量の値から樹脂層(a2)の坪量の値を引くことにより求めることができ、また、共押出発泡シートの総坪量と、共押出時の発泡層(a1)と樹脂層(a2)との吐出量の比からも求めることができる。具体的には、押出発泡シートの総坪量(g/m)をBとし、発泡層形成用溶融樹脂の押出機からの吐出量をT(kg/hr)とし、樹脂層形成用溶融樹脂の押出機からの吐出量をL(kg/hr)とした場合に、発泡層(a1)の坪量は、発泡層(a1)の坪量(g/m)=B×(T/(T+L))の数式から求めることができる。
(発泡層(a1)の厚み)
発泡層(a1)の厚みは、特に限定されないが、おおむね1mm以上3mm以下であることが好ましい。発泡層(a1)の厚みがこの範囲にあると、共押出発泡シート1として食品容器、弁当箱等の折箱、ディスプレイパネル等の用途に好適に用いることができるものを得ることが容易となる。また、本考案の共押出発泡シート1を熱成形用のシートとして好適に用いることができ、共押出発泡シート1が剛性、断熱性、及び取り扱い性等に優れる容器を熱成形可能なものとなるようにする観点から、発泡層(a1)の厚みは、1.2mm以上2.5mm以下であることがより好ましい。
(発泡層(a1)の厚みの測定方法)
発泡層(a1)の厚み(mm)は、発泡層(a1)の幅方向にわたって等間隔(おおむね10mm間隔)の10箇所について、電子顕微鏡などにより厚みを測定し、それらを算術平均することにより求められる値として定めることができる。また、発泡層(a1)の厚みは、共押出発泡シートの厚みから樹脂層(a2)の厚みを引くことで求められる。樹脂層(a2)の厚みは、後述する方法により求められる樹脂層(a2)の坪量を、樹脂層(a2)を形成する樹脂の密度で割り算することにより求められる。
(樹脂層(a2))
樹脂層(a2)は、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とする層であり、発泡層(a1)を形成する混合樹脂とは異なる組成を有する層である。樹脂層(a2)は、発泡層又は非発泡層である。樹脂層(a2)は、図1の例では、層11として記載されている。樹脂層(a2)が発泡層である場合、樹脂層(a2)は、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂として、発泡させた、気泡構造を有する層となる。なお、本考案において、樹脂層(a2)は、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とするものである。ここで、樹脂層(a2)について、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とするとは、樹脂層(a2)がポリスチレン系樹脂を主成分として構成されていることを意味し、樹脂層(a2)におけるより好ましいポリスチレン系樹脂の配合率については、樹脂層(a2)を構成する樹脂の80質量%以上がポリスチレン系樹脂からなることが好ましく、樹脂層(a2)を構成する樹脂の90質量%以上がポリスチレン系樹脂からなることが好ましく、樹脂層(a2)を構成する樹脂の95質量%以上がポリスチレン系樹脂からなることが好ましい。
(ポリスチレン系樹脂)
樹脂層(a2)に含まれるポリスチレン系樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリスチレンのほかに、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-αメチルスチレン共重合体、スチレン-pメチルスチレン共重合体、ポリスチレン-ポリフェニレンエーテル共重合体などのスチレン系共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などの相溶系の混合物が例示される。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることができる。ポリスチレン系樹脂は、その構造単位として、ジビニルベンゼンや多官能性マクロモノマーなどの分岐化成分を含んでもよい。
(ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度)
樹脂層(a2)に用いられるポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度については、成形性と外観等が良好な共押出発泡シートを得る観点から、ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度は85℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましく、95℃以上であることが更に好ましい。ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度は、樹脂の流動性等の観点から、概ね120℃以下であることが好ましく、110℃以下であることがより好ましい。
(ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度の測定)
ポリスチレン系樹脂のビカット軟化温度はJIS K7206:1999のA50法にて求められる。
(その他の添加物)
本考案においては、樹脂層(a2)の基材樹脂には、本考案の所期の目的が阻害されない程度に、ポリスチレン系樹脂以外の他の熱可塑性樹脂が含まれていてもよい。これは、例えば後述する樹脂層形成用樹脂溶融物に、必要に応じてポリスチレン系樹脂以外の他の熱可塑世樹脂が添加されることで具体的に実現できる。他の熱可塑性樹脂の量は、ポリスチレン系樹脂100重量部に対して、20質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましく、5質量部以下であることが更に好ましい。
樹脂層(a2)の基材樹脂は、必要に応じて各種の添加剤が添加されていてもよい。これは、例えば後述する樹脂層形成用樹脂溶融物に、必要に応じて各種の添加剤が添加されることで具体的に実現できる。添加剤は、後述する発泡剤を除く他の構成成分を示す。添加物としては、例えば、酸化防止剤、安定剤、無機充填剤、着色剤、消臭剤、難燃剤、帯電防止剤、気泡調整剤、紫外線吸収剤等を例示することができる。
(樹脂層(a2)の坪量)
樹脂層(a2)の坪量は、1g/m~100g/mが好ましく、より好ましくは1.5g/m~40g/mであり、より好ましくは2g/m~10g/mである。樹脂層(a2)の坪量がこの範囲内であると、例えば、図1の例では、樹脂層(a2)である層11の形成面側での共押出発泡シート1と後述するフィルムとの熱融着性を向上させることができる。
(樹脂層(a2)の坪量の測定方法)
樹脂層(a2)の坪量は、発泡層(a1)の坪量の測定方法で上記した方法と同様の方法を用いて定めることができる。具体的には、押出発泡シートの総坪量(g/m)をBとし、発泡層形成用溶融樹脂の押出機からの吐出量をT(kg/hr)とし、樹脂層形成用溶融樹脂の押出機からの吐出量をL(kg/hr)とした場合に、樹脂層(a2)の坪量は、樹脂層(a2)の坪量(g/m)=B×(L/(T+L))の数式から求めることができる。
(樹脂層(a2)の厚み)
樹脂層(a2)の厚みは、特に限定されないが、おおむね1μm以上200μm以下であるが、共押出発泡シートの成形性の観点からは、2μm以上100μm以下であることがより好ましく、3μm以上50μm以下であることがさらに好ましく、4μm以上25μm以下であることがさらに好ましい。樹脂層(a2)の厚みの測定方法は、次のような方法を用いることができる。まず、得られた共押出発泡シートのシート断面についてマイクロスコープを用いて拡大写真を撮影する。上記条件により撮影して得られた写真に対し、100μm間隔に厚み方向に線を10本以上入れ、樹脂層に対して、線が重なった部分の厚み方向の長さを測定し、樹脂層の厚みとする。上記した撮影から長さの測定までの操作を3か所以上について行い、測定した樹脂層の厚みの算術平均値を樹脂層の平均厚みとする。
[1-2 共押出発泡シートの製造方法]
本考案にかかる共押出発泡シートは、発泡層(a1)と樹脂層(a2)を共押出によって積層することで製造することができる。共押出発泡シートを製造する方法について、図2を用いてさらに詳細に説明する。図2は、共押出発泡シートの押出製造装置(製造装置100)を用いた共押出発泡シートの製造方法の一実施例を説明するための図である。図2に示すように、製造装置100は、発泡層(a1)形成用の押出機50と、押出機50の先端に設けられたサーキュラーダイ51と、樹脂層(a2)形成用の押出機52とを有する。サーキュラーダイ51は、押出機50、52から供給された樹脂溶融物を共押出するための共押出機構を備える。押出機50は、図2の例では説明の便宜上、1台の押出機で形成されているが、押出機50は2台の押出機を連結したタンデム押出機を採用されてもよい。
共押出発泡シートの発泡層(a1)を形成するための混合樹脂の原料としてスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルを押出機50に供給し、さらに、発泡剤を圧入し且つ混錬することで発泡性溶融樹脂(発泡層形成用樹脂溶融物)を形成し、発泡層形成用樹脂溶融物を押出機先端に設けられた共押出機構を備えるサーキュラーダイに供給する。押出機50としてタンデム押出機を採用されている場合、一段目の押出機にて混合樹脂の原料を所定の温度で溶融させた後、発泡剤を圧入し、二段目の押出機にて所定の温度まで冷却を行うことで発泡層形成用樹脂溶融物を形成し、発泡層形成用樹脂溶融物を押出機先端に設けられた共押出機構を備えるサーキュラーダイに供給する。なお、発泡層形成用樹脂溶融物には、上記した発泡剤の他に気泡調整剤等の各種の添加剤が含まれてよい。このことは、後述する樹脂層(a2)が発泡状態である場合についても同様である。
共押出発泡シートの樹脂層(a2)が非発泡状態である場合、樹脂層(a2)を形成するための原料としてポリスチレン系樹脂を押出機52に供給し、ポリスチレン系樹脂を溶融及び混錬することで樹脂層形成用樹脂溶融物を形成し、樹脂層形成用樹脂溶融物をサーキュラーダイ51に供給する。なお、共押出発泡シートの樹脂層(a2)が発泡状態である場合、原料としてポリスチレン系樹脂を押出機52に供給し、さらに、発泡剤を圧入し溶融及び混錬することで樹脂層形成用樹脂溶融物を形成し、樹脂層形成用樹脂溶融物をサーキュラーダイ51に供給する。
そして、サーキュラーダイ51内で、発泡層(a1)を形成する発泡層形成用樹脂溶融物の少なくとも片面に、樹脂層(a2)となる樹脂形成用樹脂溶融物を積層し、発泡層形成用樹脂溶融物と樹脂形成用樹脂溶融物とを筒状に押出して発泡層形成用樹脂溶融物を発泡させる。このとき、図2に示すように、サーキュラーダイ51から押出された発泡層形成用樹脂溶融物と樹脂形成用樹脂溶融物で筒状発泡体12が形成される。この筒状発泡体12には、発泡層(a1)と樹脂層(a2)との共押出積層構造が形成される。そして、筒状発泡体12を、冷却機能を備えた冷却筒に沿わせて冷却した後、二枚に切り開く。これにより所定の寸法の共押出発泡シート1を得ることができる。共押出発泡シート1は、図2の例では、押出方向の前方側に配置させたローラ53、54で引取られる。なお、図2において矢印Fは、押出方向を示しており、ローラ53、54で引取られる際に共押出発泡シート1の移送される方向となっている。
共押出発泡シートの製造方法に使用可能な発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族飽和炭化水素類、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、二酸化炭素、窒素、水等の物理発泡剤を用いることができる。この中では、混合樹脂をより容易に可塑化できるため共押出発泡シートの製造を容易とする観点、且つ、共押出発泡シートを用いた熱成形性を向上させる観点からは、発泡剤としては、炭素数3から5の飽和炭化水素から選ばれた1種類以上を用いられることが好ましく、ブタンを用いられることがより好ましい。
発泡剤の添加量、気泡調節剤の添加量は、発泡剤の種類、気泡調整剤の種類や、発泡層の密度によって適宜選択できるが、通常は、混合樹脂100質量部に対して、発泡剤は0.5~10質量部、気泡調整剤は0.1~3質量部である。また、発泡時の発泡性溶融樹脂の樹脂温度は、混合樹脂の種類、発泡剤の種類、気泡調節剤の種類や、目的とする共押出発泡シートの密度によって適宜選択できる。
共押出発泡シートの製造方法において、サーキュラーダイが用いられたのは、厚みの調整などの後工程の適用容易性を考慮したためである。また、発泡性溶融樹脂をサーキュラーダイから押出して発泡させることにより、樹脂に配向がかかりやすく、得られる共押出発泡シートの剛性を高めることができる。
なお、上記の共押出発泡シートの製造方法の説明では、混合樹脂を押出機に投入した例が用いられているが、共押出発泡シートの製造方法はこれに限定されない。押出機内で共押出発泡シートを構成する各種の原料(例えばポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂等)が加熱、溶融、及び混練されるのであれば、各種の原料を混合した状態で押出機に投入されても、各種の原料を個別に押出機に投入されてもいずれであってもよい。
共押出発泡シートの上記した製造方法では、共押出発泡シートは、円筒状の共押出発泡体(筒状発泡体)を切り裂いてシート状に形成されたが、共押出発泡シートの製造方法はこれに限定されない。例えば、筒状発泡体を、その押出方向に対しておおむね垂直な方向に沿ってプレスして積層融着することで1つのシートとしたものが共押出発泡シートとして使用されてもよい。ただし、この場合には、発泡層(a1)の両面に樹脂層(a2)が形成される。
本考案にかかる共押出発泡シートは、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとの混合樹脂を基材樹脂とした発泡層(a1)を有している。そして、本考案にかかる共押出発泡シートでは、共押出発泡スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとの混合樹脂を基材樹脂とした発泡層(a1)に、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とした樹脂層(a2)を積層した構造が、共押出により形成されていることで、発泡層(a1)に含まれる脂肪族ポリエステルの量を増加させたとしても、樹脂フィルムを容易に熱融着させることができる。また、発泡層(a1)を構成する混合樹脂の脂肪族ポリエステルとして、例えば、ポリ乳酸が用いられた場合には、ポリ乳酸がバイオマス由来の原料から合成できる樹脂であることや、コンポスト化において生分解可能な樹脂であることから、環境負荷軽減に貢献することができる。したがって、このような場合には、本考案にかかる共押出発泡シートによれば、環境負荷低減に貢献することもできる。
[2 積層発泡シート]
[2-1 構成]
本考案にかかる積層発泡シートについて、詳細に説明する。本考案にかかる積層発泡シート2は、図3に示すように、共押出発泡シート1と樹脂フィルム20とを積層した積層構造を有する。すなわち積層発泡シート2は、フィルム積層発泡シートである。図3は、本考案にかかる積層発泡シート2の一実施例を模式的に示す断面図である。共押出発泡シート1は、上記した本考案にかかる共押出発泡シートであるため、詳細な説明を省略する。
(樹脂フィルム)
本考案にかかる積層発泡シート2においては、樹脂フィルム20として、発泡層(a1)を形成する混合樹脂とは異なる組成を有する樹脂フィルムが積層される。樹脂フィルムが発泡層(a1)を形成する混合樹脂とは異なる組成を有する場合には、樹脂フィルムを形成する樹脂の種類と混合樹脂を構成する樹脂の種類とが全く異なる場合、及び樹脂フィルムを形成する樹脂の種類と混合樹脂を構成する樹脂の種類の一部が重複する場合が含まれてよい。
積層発泡シート2においては、樹脂フィルム20として、少なくともポリスチレン系樹脂フィルム(b1)(図3においては第1の樹脂フィルム21)が積層されることが好ましい。第1の樹脂フィルム21は、共押出発泡シート1の面のうち樹脂層(a2)である層11の形成面(樹脂層(A2)側の面11A)に対して向い合せた状態となるように配置される。ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)である第1の樹脂フィルム21は、樹脂層(a2)に対して熱融着している。
本明細書において樹脂フィルムは、JIS Z 0108:2012のプラスチックフィルムの定義で示されているように、厚さが0.25mm未満の膜状に形成されている樹脂製のものを示すものとする。
さらに、本考案にかかる積層発泡シート2においては、図3の例に示すように、樹脂フィルム20として、ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)(図3において第2の樹脂フィルム22)が積層されていることが好ましい。すなわち、図3の例では、樹脂フィルム20として第1の樹脂フィルム21と第2の樹脂フィルム22の2種類が用いられている。積層発泡シート2では、ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)と樹脂層(a2)との間にポリスチレン系樹脂フィルム(b1)が配置されるように、ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)である第2の樹脂フィルム22が積層されている。ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)は、ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)と樹脂層(a2)のいずれに対しても接着されている。接着方法は特に限定されず、例えば、熱融着等を例示することができる。
第1の樹脂フィルム21と第2の樹脂フィルム22とは、上述したように熱融着されていてもよいし、接着部を介して互いに固定されていてもよいが、図3では、説明の便宜上、接着部の記載を省略している。接着部を有する場合には、接着部は、第1の樹脂フィルム21と第2の樹脂フィルム22のいずれに対しても接着性を有する接着剤で形成された部分で構成されてよい。接着部は、層状に形成された接着層であってもよい。取扱性の観点からは、第1の樹脂フィルム21と第2の樹脂フィルム22とが、接着部を介して互いに固定されていることが好ましい。
(ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)の材質)
ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)を形成するポリスチレン系樹脂は、ポリスチレンのほかにも、耐衝撃性ポリスチレン、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸共重合体、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-メタクリル酸エチル共重合体、スチレン-アクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリル酸エチル共重合体、スチレン-無水マレイン酸共重合体、スチレン-αメチルスチレン共重合体、スチレン-pメチルスチレン共重合体、ポリスチレン-ポリフェニレンエーテル共重合体などのスチレン系共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などの相溶系の混合物が例示される。これらは、1種又は2種以上の混合物として用いることができる。ポリスチレン系樹脂は、その構造単位として、ジビニルベンゼンや多官能性マクロモノマーなどの分岐化成分を含んでもよい。
(ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)の材質)
ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)を形成するポリオレフィン系樹脂は、高密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレンや、ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレン、メタロセンポリプロピレンなどのポリプロピレンなどが例示され、耐熱性の観点から好ましくはホモポリプロピレンまたはブロックポリプロピレンである。積層発泡シート2に用いられる第2の樹脂フィルム22としてポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)が採用されていることで、積層発泡シート2を耐油性に優れたシートとすることができ、油を使用した食品向けの容器の用途で採用可能なシートとすることができる。
(積層構造)
積層発泡シート2は、上述したように、共押出発泡シート1と樹脂フィルム20とを積層した積層構造を有する。このような積層構造は、例えば、第1の樹脂フィルム21と接着部と第2の樹脂フィルム22を積層した多層シート(多層フィルムの概念を含む)を準備し、多層シートと共押出発泡シート1とを熱融着することで形成することができる。このとき、多層シートのポリスチレン系樹脂フィルム(b1)(第1の樹脂フィルム21)が、共押出発泡シート1の樹脂層(a2)に向かい合うように、共押出発泡シート1と多層シートとが配置されることが好適である。したがって、多層シートのポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)(第2の樹脂フィルム22)は、積層発泡シート2の露出面側に配置される。熱融着を行う方法としては、例えば、熱ラミネート法を用いることができる。熱ラミネート法は、例えば、共押出発泡シート1と多層シートとを重ね合わせた状態でこれらを熱ロールに通す方法や、予め熱ロールに多層シートを接触させた後、共押出発泡シート1と多層シートとを重ね合わせる方法などを例示することができる。
(積層発泡シートの厚み)
積層発泡シート2の厚みは、特に限定されないが、共押出発泡シート1の厚みと同様の観点から、おおむね0.5mm以上5mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1mm~3mmである。積層発泡シート2の厚みは、その幅方向に亘って10mm間隔で複数個所についての積層発泡シートの特定箇所での厚みを測定し、それらの値を算術平均することにより得られた平均厚みとして求めることができる。
(積層発泡シートの坪量)
積層発泡シートの坪量は、100g/m~500g/mが好ましく、より好ましくは120g/m~400g/mであり、さらに好ましくは150g/m~300g/mである。坪量がこの範囲内であると、軽量性を有するという効果を得ることがさらに容易となる。
(積層発泡シートの坪量の測定方法)
積層発泡シートの坪量は、押出発泡シートから縦25mm×横25mmの試験片を切り出し(試験片の厚みは押出発泡シートの厚みである)、次に、切り出された試験片の質量(g)を測定し、測定された質量を1600倍して、単位換算することで坪量(g/m)を求めることができる。(n=3(試行数3回))。
(積層発泡シートの見掛け密度の測定方法)
積層発泡シートの坪量をその厚み(平均厚み)で割算し(除し)、g/cmに単位換算することにより、積層発泡シートの見掛け密度を求めることができる。
本考案にかかる積層発泡シートは、上述した本考案にかかる共押出発泡シートを備えるため、上述した共押出発泡シートの作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることができる。
また、本考案の積層発泡シートの一実施例として図3の例に示す積層発泡シート2は、ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)(図3においては第1の樹脂フィルム21)とポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)(図3において第2の樹脂フィルム22)とを有してよい。そして、この場合、積層発泡シート2の露出面側には、ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)(第2の樹脂フィルム22)が配置される。このため、このような積層発泡シート2の例では、本考案の共押出発泡シートの効果を備えつつ、さらに耐油性に優れたシートとなる。
[2-2 変形例]
(変形例1)
本考案にかかる積層発泡シート2においては、第1の樹脂フィルム21及び/又は第2の樹脂フィルム22の面に印刷等の飾り部が形成されてもよい(この形態を変形例1と称呼する)。変形例1にかかる積層発泡シート2によれば、積層発泡シート2の意匠性を向上させることができる。
(変形例2)
本考案にかかる積層発泡シート2において、積層発泡シート2に耐油性が要請されない場合においては、ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)(第2の樹脂フィルム22)が省略されてもよい(この形態を変形例2と称呼する)。変形例2にかかる積層発泡シート2の場合、第2の樹脂フィルムを設けた場合に比べて軽量化することができる。
[3 適用例]
本考案にかかる共押出発泡シートや積層発泡シートは、そのままシート材として用いられてよい他、様々な成形品の原反材料として用いることができ、これらの原反材料を成形した成形品としては、例えば、丼容器、皿やコップ等の食品用の容器類などを挙げることができる。成形品は、共押出発泡シートや積層発泡シートを二次成形することで得ることができる。二次成形の方法は特に限定されず、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形、等を例示することができる。
次に、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
(押出機を備えた製造装置、と原料樹脂)
第一押出機と第二押出機とを連結したタンデム押出機と、サーキュラーダイと、そのサーキュラーダイに合流する第三押出機とを有する製造装置が、準備された。また、発泡層(a1)を形成するための樹脂(原料樹脂)として、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体を準備し、さらに脂肪族ポリエステル系樹脂を準備した。脂肪族ポリエステル系樹脂としては、ポリ乳酸系樹脂が原料樹脂として準備された。さらに、樹脂層(a2)を形成するための原料樹脂として、ポリスチレン系樹脂が準備された。
各実施例及び各比較例それぞれにおいて原料樹脂として用いられる表1、表2に示すスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ乳酸系樹脂及びポリスチレン系樹脂について、それぞれの具体的な内容は、次に示すとおりである。
(発泡層(a1)を形成するための原料樹脂となるスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体)
スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体として、スチレン-メタクリル酸共重合体(PSジャパン株式会社製;商品名(グレード名)「G9001」(MFR(200℃、荷重5kg)が1.6g/10min、ビカット軟化温度が118℃))を準備した。
(発泡層(a1)を形成するための原料樹脂となるポリ乳酸系樹脂)
ポリ乳酸系樹脂として、ポリ乳酸(浙江海正生物材料社製;商品名(グレード名)「REVODE110」(MFR(190℃、荷重2.16kg)が3g/10min、D体比率が2.7%))を準備した。
(樹脂層(a2)を形成するための原料樹脂となるポリスチレン系樹脂)
ポリスチレン系樹脂として、ポリスチレン(PSジャパン株式会社製;商品名(グレード名)「G0002」(MFR(200℃、荷重5kg)が1.6g/10min))を準備した。
(気泡調整剤及び発泡剤)
発泡層(a1)を形成する際に用いる気泡調整剤としてタルク(松村産業株式会社製、グレード名「ハイフィラー#12」)を準備し、発泡剤としてブタンを準備した。
(坪量及び厚みの測定)
表1、表2に示す発泡層(a1)の坪量(g/m)及び厚み(mm)は、上述した方法を用いて特定された。樹脂層(a2)の坪量及び厚みを測定する方法と同様の方法を用いて特定された。
(独立気泡率)
表1、表2に示す発泡層(a1)の独立気泡率(%)は、次に示すように特定された。
(発泡層(a1)の独立気泡率の測定方法)
発泡層(a1)となる発泡層から無作為に25mm×25mm×層厚み(発泡層10の厚み)に切断したカットサンプルを作成する。層厚みの総和が20mmに最も近づくように(ただし、20mmを超えない。)カットサンプルを複数枚重ねて試験片とする。次に、ASTM-D2856-70の手順Cに従って、東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型等を使用して試験片の真の体積Vxを測定し、下記数式(式(1))により独立気泡率S(%)を計算する。上記測定を、5個の試験片を用いて行い、その算術平均値を独立気泡率とする。
Figure 0003240934000002
ただし、
Vx:上記方法で測定された試験片の真の体積(cm)であり、発泡層を構成する樹脂の容積と、試験片内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する、
Va:測定に使用された試験片の外寸から計算された試験片の見掛け上の体積(cm)、
W:測定に使用されたカットサンプル全質量(g)、そして
ρ:発泡層を構成する樹脂の密度(g/cm)、
である。
(混合樹脂のビカット軟化温度の測定)
表1、表2に示す混合樹脂(スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体及びポリ乳酸系樹脂の混合物)のビカット軟化温度(℃)はJIS K7206:1999のA50法に準拠して求められた。
(各実施例の共押出発泡シートの見掛け密度及び各比較例の発泡シートの見掛け密度の測定)
表1、表2に示す共押出発泡シートの見掛け密度及び発泡シートの見掛け密度(g/cm)は、上述した共押出発泡シートの見掛け密度を測定する方法と同様の方法を用いて特定された。なお、表1では、説明の便宜上、各実施例の共押出発泡シートを発泡シートと表示する。
実施例1
(共押出発泡シートの製造)
表1に示す発泡層(a1)を形成するための混合樹脂を構成する各原料樹脂の質量比率(質量%の比率)となるように(実施例1についてはスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体70質量%とポリ乳酸系樹脂30質量%)、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体及びポリ乳酸系樹脂といった各原料樹脂をタンデム押出機の第一押出機に供給し、さらに第一押出機内で加熱溶融し混練した。このとき、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体及びポリ乳酸系樹脂の混合樹脂が形成され、この混合樹脂が基材樹脂として用いられる。また、混合樹脂を形成する際には、気泡調整剤(2.6質量部)も第一押出機に投入された。なお、実施例1及び後述する実施例2から8、比較例1から3のそれぞれについて、表1、表2に示す混合樹脂の配合比は、「配合樹脂の組成」欄に示すような樹脂の種類及び配合比率を採用することで実現される。表1、表2において、発泡層(a1)を形成するための原料樹脂の合計(スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体とポリ乳酸系樹脂の合計)は100(質量%)である。
次に、第一押出機に発泡剤を圧入し、さらに混錬して混錬物を形成した。発泡剤は、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体とポリ乳酸系樹脂との合計1kgに対する割合において0.53mol/kgとなるような割合で圧入された。混錬物を第二押出機に移送し、樹脂温度(混錬物の温度)を162℃に調整して発泡層形成用樹脂溶融物を形成した。そして、発泡層形成用樹脂溶融物をサーキュラーダイ(サーキュラーダイの直径は80mm)に導入した。発泡層形成用樹脂溶融物の導入量は、表1に示す坪量等の条件を実現するような量に定められた。なお、サーキュラーダイは、共押出機構を有しており、第三押出機からも樹脂溶融物を導入することができるように構成されている。
樹脂層(a2)を形成するためのポリスチレン系樹脂を表1に示す質量比率(実施例1については100質量%(ただし、この値は樹脂層(a2)を形成する原料樹脂の合計を100質量%とした場合の割合である))となるように、ポリスチレン系樹脂を第三押出機に供給し、さらに第三押出機内で加熱溶融し混練し、第三押出機内で樹脂温度を172℃に調整して樹脂層形成用樹脂溶融物を形成した。そして、樹脂層形成用樹脂溶融物をサーキュラーダイに導入した。樹脂層形成用樹脂溶融物の導入量は、表1に示す坪量等の条件を実現するような量に定められた。
サーキュラーダイ内で、筒状に流動する発泡層形成用樹脂溶融物の外周面に樹脂層形成用樹脂溶融物を積層し、ダイリップから大気中に押出して、発泡層/樹脂層からなる2層構造の筒状積層発泡体を形成した。押出された筒状積層発泡体を拡径しつつ直径270mmの冷却装置に沿わせて引き取りながら押出方向に沿って切開いて、発泡シートとして共押出発泡シートを得た。得られた共押出発泡シートについて、その見掛け密度(g/cm)が測定された。測定方法は、上述したとおりである。また、見掛け密度の測定結果は、表1に示す通りである。なお、層構造を説明する際の「/」は、積層構造を表記するための記号である。上述する発泡層/樹脂層は、発泡層と樹脂層が積層されていることを示す。
(積層発泡シートの製造)
ポリスチレン樹脂フィルムと無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムとを接着剤の層を介して積層した構造(三層構造)を有するドライラミネーションフィルム(CPPフィルム)を多層の樹脂フィルム(以下、多層樹脂フィルム、又は樹脂フィルム(MLF)ということがある)として準備した。準備した多層樹脂フィルムは、ポリスチレン樹脂フィルム/接着剤層/無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの厚みが、この積層構造の表記の順に、20μm、2μm、25μmであり(20μm/2μm/25μmであり)、合計厚みが47μmであった。ポリスチレン樹脂フィルム、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムは、単に樹脂フィルム(SLF)と称呼される場合がある。ここに使用された樹脂フィルム(MLF)は、2種類の樹脂フィルム(SLF)と接着剤層を有する3層の積層フィルムである。なお、ポリスチレン樹脂フィルム、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムが、それぞれ、ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)、ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)に対応する。
樹脂フィルム(SLF)としてのポリスチレン樹脂フィルムと共押出発泡シートの樹脂層(a2)(ポリスチレン系樹脂層)とが向かい合うように、樹脂フィルム(MLF)と共押出発泡シートを配置した状態で、樹脂フィルム(SLF)を積層した構造を有する樹脂フィルム(MLF)と共押出発泡シートとを熱融着した。熱融着は、熱ラミネートが用いられた。熱ラミネートは、樹脂フィルム(MLF)を熱ロールに接触させた後、ラミネート圧力0.5MPa、ラミネート速度20.0m/minの条件で、25℃の共押出発泡シートに積層した。これにより積層発泡シートが得られた。積層発泡シートでは、ポリスチレン樹脂フィルムは、樹脂層(a2)と無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムの間に配置され、樹脂層(a2)に対しては直接的に接着されており、無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムに対しては接着剤層を介して接着されている。
得られた積層発泡シートについて、坪量(g/m)及び厚み(mm)が測定された。積層発泡シートの見掛け密度(g/cm)についても算出された。これらの結果は、表1に示すとおりである。また、これらにあわせて、表1に積層発泡シートにおける樹脂層(a2)とポリスチレン系樹脂フィルムの坪量の合計値が示されている。なお、これらの測定方法は下記のとおりである。
(積層発泡シートについて、坪量(g/m)及び厚み(mm))
積層発泡シートから全幅に亘って幅100mmの試験片(試験片サイズ:100mm×848mm)を切り出し、試験片の重量を測定し、測定された値をその面積(84800mm)で割算し、g/mに単位換算することにより、積層発泡シートの坪量(g/m)が算出された。積層発泡シートの厚みは、その幅方向に亘って10mm間隔で複数個所についての積層発泡シートの特定箇所での厚みを測定し、それらの値を算術平均することにより得られた平均厚みとして求められた。
(積層発泡シートの見掛け密度)
積層発泡シートの坪量をその厚み(平均厚み)で割算し(除し)、g/cmに単位換算することにより、積層発泡シートの見掛け密度が求められた。
なお、表1に記載された各種の数値を用いて、積層発泡シートにおけるポリ乳酸系樹脂の含有率(%)を算出することができる。
(積層発泡シートにおけるポリ乳酸系樹脂の含有率)
積層発泡シートにおけるポリ乳酸系樹脂の含有率(%)は、混合樹脂中に占めるポリ乳酸系樹脂の質量の比率と発泡層(a1)の坪量とを積算した積算値を、積層発泡シートの坪量で除した値を%表示した値として定めることができる。実施例1の例では、混合樹脂中に占めるポリ乳酸系樹脂の質量の比率が0.3であり、実施例1で得られた発泡シートとしての発泡層(a1)の坪量150g/mとの積算値45g/mを積層発泡シートの坪量199g/mで除した値である約23(%)として定められる。後述する実施例2から8や比較例1から3についても、上記した実施例1の例での算出方法と同様にして、積層発泡シートにおけるポリ乳酸系樹脂の含有率(%)を算出することができる。
なお、ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)の坪量及び厚み、ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)の坪量及び厚みについては、積層発泡シートの坪量及び厚みを測定する方法と同様の方法を適用することで定められた。これらの値についても積層発泡シートの坪量及び厚みとともに表1に示す。なお、これらの値は、実施例1で使用した多層の樹脂フィルム(樹脂フィルム(MLF))と同様の樹脂フィルムを用いた各実施例2から8及び比較例1から3について共通する。
実施例2から4
実施例2から4では、発泡層(a1)のスチレン-メタクリル酸共重合体とポリ乳酸系樹脂の質量比率(質量%)をそれぞれ表1の実施例2から4の各欄に示す値とした他は、実施例1と同様にして、発泡シートとして共押出発泡シートが得られた。また、得られた共押出発泡シートを用いて、実施例1と同様の方法で積層発泡シートが得られた。
実施例5及び6
実施例5及び6は、発泡層(a1)の坪量がそれぞれ450g/m、120g/mとされた他については実施例1と同様にして、発泡シートとして共押出発泡シートが得られた。また、得られた共押出発泡シートを用いて、実施例1と同様の方法で積層発泡シートが得られた。
実施例7
実施例7は、発泡層(a1)の坪量及び樹脂層(a2)の坪量がそれぞれ450g/m、50g/mとされた他については実施例2と同様にして、発泡シートとして共押出発泡シートが得られた。また、得られた共押出発泡シートを用いて、実施例1と同様の方法で積層発泡シートが得られた。
実施例8
実施例8は、発泡層(a1)の独立気泡率が52%とされ、且つ、樹脂層(a2)の坪量が150g/mとされた他については実施例2と同様にして、発泡シートとして共押出発泡シートが得られた。また、得られた共押出発泡シートを用いて、実施例1と同様の方法で積層発泡シートが得られた。
比較例1
比較例1では、樹脂層(a2)の形成を省略した(樹脂層(a2)を形成するポリスチレン系樹脂の質量比率が0(%)とされた)他は、実施例1と同様にして発泡シートが得られた。比較例1の発泡シートの製造では、第三の押出機からサーキュラーダイへの樹脂層形成用樹脂溶融物の導入を省略して、発泡層形成用樹脂溶融物がダイリップから大気中に押出された。得られた発泡シートを用いて、実施例1と同様の方法で積層発泡シートが得られた。
比較例2、3
比較例2、3では、発泡層(a1)のスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体とポリ乳酸系樹脂の質量比率をそれぞれ表2の比較例2、3の各欄に示す値とした他は、比較例1と同様にして、発泡シートが得られた。得られた発泡シートを用いて、実施例1と同様の方法で積層発泡シートが得られた。
実施例2から8、及び比較例1から3のそれぞれで得られた発泡シート(実施例2から8では共押出発泡シート)については、実施例1と同様に見掛け密度が定められた。また、実施例2から8、及び比較例1から3のそれぞれで得られた積層発泡シートについて、実施例1と同様に、坪量(g/m)及び厚み(mm)、見掛け密度(g/cm)が測定された。測定結果は、実施例2から8については表1に示し、比較例1から3については表2に示す。あわせて、実施例2から8、及び比較例1から3についても、実施例1と同様に、表1及び表2に積層発泡シートにおける樹脂層(a2)とポリスチレン系樹脂フィルムの坪量の合計値が示されている。
実施例1から8、及び比較例1から3で得られた積層発泡シートについて、実施例1と同様にして、多層樹脂フィルムの接着強度(多層樹脂フィルムの接着強度)の測定を行った。多層樹脂フィルムの接着強度の測定方法は、次に示すとおりである。
(接着強度の測定方法)
積層発泡シートから押出方向に沿って切り出された試験片(幅が25mm、厚みが積層発泡シートの厚み)が準備された。次に、この試験片を用い、JIS Z0237:2009に準拠した、剥離速度条件を300mm/minとする90°剥離試験を行った。剥離試験では、積層発泡シートの試験片から多層樹脂フィルムを剥離させた際の剥離強度が測定された。剥離強度(N/25mm)は、テンシロン万能試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、商品名「RTC-1250A-PL」)を用いて測定された。試験片は、積層発泡シートから無作為に選択された箇所から5つ作成され、これらの5つの試験片をそれぞれについて剥離試験が実施された。それぞれの試験片を用いて定められた接着強度の値を算術平均した値を積層発泡シートにおける多層樹脂フィルムの接着強度(N/25mm)とした。測定結果は、表1、表2に示すとおりである。
Figure 0003240934000003
Figure 0003240934000004
以上、本考案にかかる共押出発泡シート、積層発泡シート、及び適用例について具体的に説明したが、これらは一例であり、本考案の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。また、上述の実施形態等の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本考案の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
以上の本明細書の説明に基づき、本考案は、次に示す[E1]から[E6]の構成を採用されてよい。
[E1]
スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとの混合樹脂を基材樹脂とする発泡層(a1)に、樹脂層(a2)が積層されている共押出発泡シートであり、前記樹脂層(a2)はポリスチレン系樹脂を基材樹脂としており、且つ、前記樹脂層(a2)が発泡層又は非発泡層である、
共押出発泡シート。
[E2]
前記混合樹脂における前記スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と前記脂肪族ポリエステルとの質量比率が90:10~40:60である、
上記[E1]に記載の共押出発泡シート。
[E3]
厚みが1mm~3mmであり、見掛け密度が0.03g/cm~0.7g/cmである、
上記[E1]又は[E2]に記載の共押出発泡シート。
[E4]
前記共押出発泡シートの坪量が100g/m~500g/mであり、前記樹脂層(a2)の坪量が2g/m~100g/mである、
上記[E1]から[E3]のいずれか1つに記載の共押出発泡シート。
[E5]
上記[E1]から[E4]のいずれか1つに記載の共押出発泡シートと、
ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)と、を有し
前記ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)は、前記共押出発泡シートの前記樹脂層(a2)に対して熱融着している、
積層発泡シート。
[E6]
さらにポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)を有し、前記ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)と前記樹脂層(a2)の間に前記ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)が接着している、上記[E5]に記載の積層発泡シート。
1 :共押出発泡シート
2 :積層発泡シート
10 :発泡層
11 :層
11A :面
12 :筒状発泡体
20 :樹脂フィルム
21 :第1の樹脂フィルム
22 :第2の樹脂フィルム
50 :押出機
51 :サーキュラーダイ
52 :押出機
53 :ローラ
54 :ローラ
100 :製造装置

Claims (6)

  1. スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と脂肪族ポリエステルとの混合樹脂を基材樹脂とする発泡層(a1)に、樹脂層(a2)が積層されている共押出発泡シートであり、前記樹脂層(a2)はポリスチレン系樹脂を基材樹脂としており、且つ、前記樹脂層(a2)が発泡層又は非発泡層である、共押出発泡シート。
  2. 前記混合樹脂における前記スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体と前記脂肪族ポリエステルとの質量比率が90:10~40:60である、請求項1に記載の共押出発泡シート。
  3. 前記共押出発泡シートの厚みが1mm~3mmであり、前記共押出発泡シートの見掛け密度が0.03g/cm~0.7g/cmである、請求項1又は2に記載の共押出発泡シート。
  4. 前記発泡層(a1)の坪量が100g/m~500g/mであり、前記樹脂層(a2)の坪量が2g/m~100g/mである、請求項1又は2に記載の共押出発泡シート。
  5. 請求項1又は2に記載の共押出発泡シートと、ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)と、を有し、前記ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)は、前記共押出発泡シートの前記樹脂層(a2)に対して熱融着している、積層発泡シート。
  6. さらにポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)を有し、前記ポリオレフィン系樹脂フィルム(b2)と前記樹脂層(a2)の間に前記ポリスチレン系樹脂フィルム(b1)が接着している、請求項5に記載の積層発泡シート。

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