JP3240177U - 旋回流型濾過器 - Google Patents

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吉田武郎
重冨拓男
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アイエム株式会社
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Abstract

【課題】礫や砂粒を夾雑物として含む海水などのイオン濃度の高い混合水の場合であっても、濾過エレメントの防蝕材の損耗を防止し、防蝕材ブロックが消耗して小さくなって処理水に含まれても装置の障害とならない旋回流型濾過器を提供する。【解決手段】上蓋、底板および内部に濾過エレメントを備えた円筒状の本体容器からなる2基の旋回流型の濾過器からなり、混合水は、混合水導入管から切替部を通じて第1濾過器の第1入口管と第2濾過器の第2入口管に送水可能であり、第1濾過器の第1出口管と第2濾過器の第2出口管は処理水送水管に接続されて処理水を使用する装置に送水可能であり、処理水の一部は、第1濾過器で濾過時には第2濾過器の出口管から濾過エレメント内に送水・逆洗可能であり、第2濾過器で濾過中には第1濾過器の出口管から濾過エレメント内に送水・逆洗可能である。【選択図】図2

Description

本考案は夾雑物(異物)を含む原水である混合水から夾雑物を濾過,除去する旋回流型濾過器に関する。
浄水場へ取り込む原水,水力発電所のダムから発電装置に送り込む水,流水を使用する生活用水,農業用水あるいは産業機械の冷却水などに使用する自然の淡水や海水には土砂,岩石片(小石),木材片,空き缶などの廃棄物,小魚や小エビなどの高比重の夾雑物が含まれている。これらの夾雑物は配管詰まりや機械設備の損傷防止のために除去が必要であり,この目的で濾過エレメント(フィルター)を備えた濾過器が使用される。このような濾過器のなかで,省力、無動力で運転する設備では流水の旋回力で濾過エレメントに付着した夾雑物を除去し,目詰まりを抑制する自己洗浄能力のある旋回流型濾過器が使用されている。
特開2004-15478号公報 特許5189549号公報
特許文献1記載の濾過器は,本体容器の長さを抑制することができると共に、分離対象物を確実に分離することができる旋回流型濾過器に関するものである。
特許文献1開示の濾過器は,内部の濾過エレメントの外側で夾雑物を含む原水の旋回流(渦流)を形成することにより濾過エレメントの目詰まりを防止しつつ夾雑物を分離除去する構成を有するものである。
特許文献2に開示された濾過器は,漁船などの生け簀に供給する海水の濾過を行う中空糸膜を使用した濾材の目詰まりを逆洗して除去する構成を有するものである。
特許文献2記載の濾過器は,濾材に目詰まりさせることで異物を除去するものであり,目詰まりすることが前提の濾過器であり,継続使用するために逆洗は不可欠である。
しかし,特許文献1記載の濾過器においても,わずかずつではあるが濾過エレメントの目詰まりを起こすことは避けられず,特に原水である混合水中の夾雑物が多い場合や,処理する混合水の量が多い場合などには,目詰まりが限界を超え,旋回流型濾過器を使用する装置全体を停止して目詰まりを除去処理する必要が生じ,大きな支障が発生する場合がある。
本考案は,原水である混合水中の夾雑物が多い場合や,処理する混合水の量が多い場合などであっても,旋回流型濾過器の濾過エレメントの目詰まりによる装置全体の停止を回避する旋回流型濾過器のシステムを提供することを目的とするものである。
本考案の旋回流型濾過器のシステムは,夾雑物を含む混合水から夾雑物を分離除去して処理水とする複式旋回流型濾過器であって、2基の旋回流型の濾過器を備え,
各濾過器は円筒状の本体容器、前記本体容器の上面に配設された上蓋,前記本体容器の底面に配設された底板,前記本体容器の円周壁面に接線方向に配設された入口管,前記混合水から前記夾雑物を分離した処理水を送出する出口管,分離した前記夾雑物を含む廃液を排出する夾雑物排出管,および濾過孔を有する円筒状または円錐台状の濾過エレメントを備え,
前記混合水は,混合水導入管から切替部を通じて第1濾過器の第1入口管と第2濾過器の第2入口管に送水可能であり,
前記第1濾過器の第1出口管と前記第2濾過器の第2出口管は処理水送水管に接続されて前記処理水を使用する装置に送水可能であり,前記処理水の一部は,前記第1濾過器で濾過時には前記第2濾過器の出口管から濾過エレメント内に送水・逆洗可能であり,前記第2濾過器で濾過中には前記第1濾過器の出口管から濾過エレメント内に送水・逆洗可能に構成されていることを特徴とする。
前記の複式旋回流型濾過器においては,前記第1濾過器および前記第2濾過器の前記夾雑物排出管が,上部排出管および下部排出管から構成されることが好ましい。
本考案の複式旋回流型濾過器によれば,原水である混合水中の夾雑物が多い場合や,処理する混合水の量が多い場合などであって,目詰まりしにくいように設計されている旋回流型濾過器の濾過エレメントが目詰まりを起こした場合であっても,該目詰まりによる装置全体の停止を回避することができる。
本考案の複式旋回流型濾過器を示す全体図 2基の旋回流型の濾過器の上部にも夾雑物排出管を配設した複式旋回流型濾過器を例示した全体図 複式旋回流型濾過器を構成する旋回流型濾過器の構造を例示した半透明斜視図
図1は本考案の複式旋回流型濾過器を例示した斜視図である。
複式旋回流型濾過器は,2基の旋回流型の濾過器が連接された構成であり,夾雑物を含む混合水である原水は混合水導入管から複式旋回流型濾過器に送られるように構成されており,導入管には切替部が設けられていて2基の濾過器の入口管に送水切り替え可能に接続されている。
第1濾過器の第1出口管および第2濾過器の第2出口管は,処理水を使用する装置に送水する処理水送水管に接続されている。
切替部は,混合水導入管に設けられた分岐部,第1入口管に設けられた第1入口弁,および第2入口管に設けられた第2入口弁から構成されている。
図1に例示の構成では,切替部は分岐部および第1入口弁と第2入口弁の2つの弁(コック)により構成されているが,分岐部を3方弁とする構成であってもよい。
第1濾過器および第2濾過器の夾雑物排出管は濾過器において濾過エレメントにより濾別された夾雑物を混合水の一部と共に排出する。第1濾過器の夾雑物排出管と第2濾過器の夾雑物排出管は一つの排出管に接続されていてもよく,別々に廃液を排出する構成であってもよい。第1濾過器の夾雑物排出管および第2濾過器の夾雑物排出管には,図1のようにそれぞれ弁を設け,廃液の排出と停止を切り替え可能に構成されていることも好ましい態様である。
かかる構成によれば,第1濾過器により混合水を濾過して処理水とする場合,第1入口弁が「開」,第2入口弁が「閉」とされ,処理水は第1出口管から処理水送水管に送られるが,一部は第2出口管から逆流して第2濾過器の濾過エレメント内部に送水され,処理水を内側から外側の本体容器側に押し出すことができ,この際,目詰まりをしている夾雑物を除去して夾雑物排水管から排除することができる(逆洗)。
また第2濾過器により混合水を濾過して処理水とする場合,第2入口弁が「開」,第1入口弁が「閉」とされ,処理水は第2出口管から処理水送水管に送られるが,一部は第1出口管から逆流して第1濾過器の濾過エレメント内部に送水され,処理水を内側から外側の本体容器側に押し出すことができ,この際,目詰まりをしている夾雑物を除去して夾雑物排水管から排除することができる。
大量の処理水を必要とする場合や夾雑物含有率が低い場合などには,第1入口弁,第2入口弁の双方を「開」とし,第1濾過機,第2濾過器の双方を使用して濾過することも可能である。
本考案の複式旋回流型濾過器の使用方法を説明する。
切替部において,混合水を第1濾過器に送水するように設定し,第1濾過器にて混合水から夾雑物を除去して処理水とし,これを出口管から処理水送水管を通じて装置に供給する。
第1濾過器の濾過エレメントが目詰まりを起こした場合は,切替部の第1入口弁を「閉」,第2入口弁を「開」とする操作をして混合水を第2濾過器に送水し,夾雑物を濾過・除去して処理水を装置に送る。この場合は,第2濾過器の夾雑物排出管の弁と第1濾過器の夾雑物排出管の弁の両方を「開」とする。
第2濾過器の使用中,第1濾過器には,第2濾過器で形成された処理水の一部が,第1出口管を通じて第1濾過器の濾過エレメントの内部に送られ,目詰まりしている夾雑物を内側から押し剥がして第1濾過器の夾雑物排出管から排出する。
第2濾過器が目詰まりを起こしたときは,切替部において,第1入口管の第1入口弁を「開」,第2入口管の第2入口弁を「閉」として混合水を第1濾過器に送水するように設定し,第1濾過器にて混合水から夾雑物を除去して処理水とし,これを第2出口管から処理水送水管を通じて装置に供給する。この場合は,第2濾過器の夾雑物排出管の弁および第1濾過器の夾雑物排出管の弁をいずれも「開」とする。
濾過エレメントが目詰まりしている第2濾過器の夾雑物排出管のバルブは「開」に設定すると,第2濾過器には,第1濾過器で形成された処理水の一部が,第2出口管を通じて第2濾過器の濾過エレメントの内部に送られ,目詰まりしている夾雑物を内側から押し剥がして夾雑物排出管から排出する。
第2濾過器の濾過エレメントの目詰まりが解消された後には,第2濾過器の夾雑物排出管の弁を「閉」にすることが好ましい。
上記構成と操作により,濾過エレメントの目詰まりによる装置全体の停止を回避できる。
一方の濾過器の運転中に,他方の濾過器の逆洗が終了した場合は,当該逆洗が終了した,濾過器の夾雑物排出管を「閉」にすれば,処理水全量が装置に送られる。
濾過エレメントが目詰まりしている第2濾過器の夾雑物排出管のバルブは「開」に設定すると,第2濾過器には,第1濾過器で形成された処理水の一部が,出口管を通じて第2濾過器の濾過エレメントの内部に送られ,目詰まりしている夾雑物を内側から押し剥がして夾雑物排出管から排出する。
上記構成と操作により,濾過エレメントの目詰まりによる装置全体の停止を回避できる
一方の濾過器の運転中に,他方の濾過器の逆洗が終了した場合は,当該逆洗が終了した,濾過器の夾雑物排出管を「閉」にすれば,処理水全量が装置に送られる。
上記の説明では,2基の濾過器の夾雑物排出管に弁を配設した例を示したが,夾雑物排出管の弁は配設しなくてもよい。この場合,逆洗する濾過器には,混合水(原水)は流入せずに処理水が出口管から逆流するが,濾過エレメントの逆洗が終了しても処理水の逆流と夾雑物排出管からの流出は続く。夾雑物排出管に弁を配設し,逆洗終了後に該弁を「閉」とすることで,使用中の濾過器の処理水の全量を装置で利用することができる。
濾過器の夾雑物排出管に弁を配設する構成に代えて,第1出口管および第2出口管に弁を配設する構成とすることも好ましく,夾雑物排出管に弁を配設するのと同じ効果が得られる。
弁の操作は,手動でもよく,遠隔操作,自動制御をおこなう構成でもよい。目詰まりによる逆洗の時期の検出,逆洗の終了の検出は,濾過エレメントの内側と外側の圧力差の測定,処理水の流速の測定などの検出手段を利用し,目視ないしは自動で行うことは好ましい態様である。
図2は濾過器の夾雑物排出管は,図1に示した下端部に配設したものに加えて,上部にも配設されている。
かかる構成によれば,低比重で上部に浮き上がる軽石や木材片などの夾雑物を効果的に排出できる。濾過器の上部と下部に夾雑物排出管を配設したとき,弁は2本の夾雑物排出管を統合した後に配設することが好ましい。
図3には濾過器の構造を半透明斜視図にて例示した。
濾過器は円筒状の本体容器,本体容器の上端を閉鎖する上蓋,下端を閉鎖する底板を備え,前記底板の中央部には貫通孔が形成され,その貫通孔に出口管が連接されている。本体容器の壁面には原水である混合水を導入する入口管が,本体容器の接線方向に配設され,混合水が本体容器内壁面に沿って旋回流(渦流)を形成するように構成されている。本体容器の外周面下端部には分離されて沈降した夾雑物を含む水(廃水)を排出する夾雑物排出管が配設されている。
濾過エレメントは,本体容器の軸心と同軸心で底板の中央部に立設されており,円筒状または円錐台状(軸心に直行する断面形状は円形)であり,底部の開口は底板に形成された貫通孔と同径か大径であり,大径の場合は貫通孔を含むように底板に固定配設される。
濾過エレメントの上端は上蓋に接するかわずかな空隙で近接するように構成され,上端から夾雑物が内部に流入することを防止する。
出口管は底板の貫通孔と同径で貫通孔の外面に固定されるか,あるいは貫通孔より濾過エレメント内に突出して配設される。
入口管が本体容器外周面に接線方向に配設されることにより,混合水が本体容器内側と濾過エレメント外側の間で旋回流を形成し,濾過エレメント表面に付着して目詰まりを起こす夾雑物を移動させつつ濾過した処理水を濾過エレメント内部に入れ,濾過エレメント外側の夾雑物を旋回流の遠心力で本体容器内面側に移動させて沈降させることにより,濾過エレメントの目詰まりを防止し,夾雑物を排除することができる。
夾雑物排出管は,本体容器の下端部において,本体容器の旋回流順方向の接線方向に配設される。かかる構成により,分離された高比重夾雑物が,廃水の流れによって容易に排出可能である。上部夾雑物排出管も同様である。
夾雑物排出管の内径は,入口管の内径の70%以下で,5%以上であることが好ましく,入口管の内径の60%以下であることがより好ましく,50%以下であることがさらに好ましい。また夾雑物排出管の内径は入口管の内径の10%以上であることがより好ましく,20%以上であることがさらに好ましい。
入口管の配設位置は,本体容器の高さの中央部近傍であることが好ましい。
原水である混合水を本体容器内に導入する入口管の内径は,本体容器の内径の45%以下である。
濾過器を構成する本体容器の大きさは用途に応じて適宜設定されるが,長さは5000mm以下,好ましくは3000mm以下であり,2000mm以下であってもよい。内径は5000mm以下,好ましくは3000mm以下であり,2000mm以下であってもよい。
濾過エレメントの大きさは,円錐台筒状の場合,大径は本体容器内径の90%以下,60%以上であることが好ましく,小径は出口管内径と同じかそれより大きい。円筒形状の場合は,本体容器の内径の80%以下,出口管の外径の100%以上であることが好ましく,120%以上であることがより好ましく,150%以上であることがさらに好ましい。
濾過エレメントは多数の濾過孔を有するものであり,パンチングメタルを使用して製造することが好ましい。濾過孔の形状は限定されないが,加工の容易さから円形または角の丸い四角形であることが好ましい。濾過孔の大きさは,混合流体に含まれる夾雑物の大きさ,形状並びに処理流体が使用される用途によって適宜設定されるものであるが,最小径(四角形の場合は短辺)が2mm以上,15mm以下であることが好ましく,3mm以上であることがより好ましく,10mm以下,さらには7mm以下であることがより好ましい。
濾過エレメントの厚さは2mm以上であることが好ましく,5mm以下であることが好ましく,4mm以下であることがより好ましい。
濾過エレメントの上端部には,濾過エレメントの上端開口と同径の内径で本体容器内周と同径の外径のリング円板が配設されていることが好ましい。
濾過エレメントの下端は底板に固定されるが,上端は自由端になるので,旋回流により上端がぐらついて下端取付け部に負荷(曲げ応力)がかかって破損することを防止するためである。ただし,上蓋と濾過エレメントの上端の間隔を狭く加工した場合は,夾雑物の侵入もなく,濾過エレメントが動いても上蓋に当たり,大きな変形を受けないので,リング円板は配設しなくてもよい。
また濾過エレメントの上端部内側には上端形状の変形防止のために内径補強材2本が直行するように配設されていることが好ましい。
図3に示した濾過エレメントは円錐台筒状であるが,円筒状であってもよく,いずれも軸心に垂直な断面は円形である。
本考案の複式旋回流型濾過器を構成する各濾過器は,同じ大きさであってもよいが,異なった大きさであってもよい。
生活用水,環境水処理,農林水産業,エネルギー,金属,船舶,石油工業の水処理機器,鉄鋼生産の圧延における冷却水からの金属くず除去などに使用可能である。

Claims (2)

  1. 夾雑物を含む混合水から夾雑物を分離除去して処理水とする複式旋回流型濾過器であって、
    前記複式旋回流型濾過器は,2基の旋回流型の濾過器を備え,
    各濾過器は円筒状の本体容器、前記本体容器の上面に配設された上蓋,前記本体容器の底面に配設された底板,前記本体容器の円周壁面に接線方向に配設された入口管,前記混合水から前記夾雑物を分離した処理水を送出する出口管,分離した前記夾雑物を含む廃液を排出する夾雑物排出管,および濾過孔を有する円筒状または円錐台状の濾過エレメントを備え,
    前記混合水は,混合水導入管から切替部を通じて第1濾過器の第1入口管と第2濾過器の第2入口管に送水可能であり,
    前記第1濾過器の第1出口管と前記第2濾過器の第2出口管は処理水送水管に接続されて前記処理水を使用する装置に送水可能であり,前記処理水の一部は,前記第1濾過器で濾過時には前記第2濾過器の出口管から濾過エレメント内に送水・逆洗可能であり,前記第2濾過器で濾過中には前記第1濾過器の出口管から濾過エレメント内に送水・逆洗可能である複式旋回流型濾過器。
  2. 前記第1濾過器および前記第2濾過器の前記夾雑物排出管が,上部排出管および下部排出管から構成されることを特徴とする請求項1記載の複式旋回流型濾過器。
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