JP3239755B2 - ハニカム体を用いた触媒装置 - Google Patents

ハニカム体を用いた触媒装置

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JP3239755B2 JP13367796A JP13367796A JP3239755B2 JP 3239755 B2 JP3239755 B2 JP 3239755B2 JP 13367796 A JP13367796 A JP 13367796A JP 13367796 A JP13367796 A JP 13367796A JP 3239755 B2 JP3239755 B2 JP 3239755B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハニカム体を用いた
触媒装置に関し、特に、金属製のハニカム体を触媒担体
とし、これを金属外筒内に中間筒を介して収容してなる
ハニカム体を用いた触媒装置の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】車両に搭載された内燃機関から排出され
る排気ガス中にはHC(炭化水素)、CO(一酸化炭
素)やNOx(窒素酸化物) 等の有害物質が含まれている
ので、内燃機関の排気通路には一般に排気ガスを浄化す
る排気ガス浄化装置としての触媒コンバータが設けられ
ている。ところが、この触媒コンバータに使用される三
元触媒は、触媒の温度が低い時 (不活性状態) には排気
ガス中の有害物質の浄化率が低いことが知られている。
したがって、内燃機関の冷間始動後の触媒が不活性の状
態では排気ガスの浄化が十分に行なえなかった。
【0003】そこで、触媒担体に金属を使用し、内燃機
関の始動時や触媒が不活性状態の時にこの金属担体に通
電することにより、金属触媒担体自体を発熱させて短時
間に触媒活性化温度(300〜400℃)まで上昇させ
るようにした電気加熱式触媒装置が提案されている。電
気加熱式触媒装置は、図11に示すように、内燃機関の
排気ガス通路に接続された筒状のケーシング(以後外筒
という)1内に、通電することによって発熱する電気加
熱式触媒担体2と主触媒担体3を所定間隔を隔てて直列
に配設して構成されているものである。電気加熱式触媒
担体2には中心電極6が設けられており、この中心電極
6は電極部8Aを介して外筒1の外部に引き出されてい
る。そして、この電極部8Aと外筒1の一部に設けられ
た外部電極8Bとの間にはバッテリ9とスイッチSWが
接続されており、スイッチSWがオンされた時に電気加
熱式触媒担体2に通電が行われて発熱する。
【0004】電気加熱式触媒担体2は、図12(a) に示
すように、波板状の金属箔4(以後波箔4と言う)と、
平板状の金属箔5(以後平箔5と言う)とを重ね合わせ
てそれぞれの長手方向の端部を中心電極6に接合した
後、波箔4と平箔5とを重ねた状態のまま中心電極6の
周りに巻回し、巻き締めた構造の渦巻状の金属箔積層体
(以後ハニカム体と言う)7として構成している。この
ような波箔4と平箔5には一般に、アルミニウムを含有
する鉄系合金(例えば、20%Cr−5%Al−75%
Fe)等の、厚さ50μm程度の箔材を使用すれば良
い。
【0005】図12(b) は金属製の波箔4と平箔5で構
成したハニカム体7の一方の端面を示すものである。波
箔4と平箔5とを重ねて中心電極6の周りに巻回した結
果、ハニカム体7には波箔4と平箔5との間の空隙によ
り形成された軸線方向の通路Pが中心電極6の周りに渦
巻き状に並んでいる。また、波箔4と平箔5の表面には
排気浄化触媒を担持させてある。従って、図11のスイ
ッチSWをオンしてハニカム体7に通電を行って触媒活
性化温度まで昇温させた状態で、前述の通路Pを排気ガ
スが流れることにより、排気中の有害成分が触媒と接触
して排気ガスが浄化される。
【0006】このように構成された電気加熱式触媒装置
は、排気ガス通路を流れる高温で高速の排気ガスとの接
触、機関稼働中の加熱、機関停止中の冷却の熱サイク
ル、金属製の外筒から外部への熱の放出、及びハニカム
体7と外筒1との熱容量差等により、外筒1とハニカム
体7との間に熱応力が発生し、ハニカム体7に亀裂が生
じ、電気加熱式触媒担体としての機能の低下を招くこと
がある。
【0007】このような問題は、主触媒担体3が電気加
熱式触媒のハニカム体7と同様の金属製のハニカム体を
触媒担体としたメタル担体で構成されている場合にも発
生し、この場合の対策として、ハニカム体と外筒との間
に撓み部をもつ中間筒を介在させた構成のメタル担体
が、特開平3−157139号公報に提案されている。
しかしながら、この提案の中間筒は、その上流側端面で
の径方向、周方向へのメタル担体の大きな膨張を緩衝す
ることができず、メタル担体が損傷を受ける恐れが残っ
ていた。
【0008】そこで、この改良として、特開平6−79
181号公報に示される排気ガス浄化触媒用メタル担体
が提案されている。この公報の図2には、中間筒2の排
気ガスの流れる方向に上流側と下流側とから交互に撓み
溝20を設けて、中間筒2の両端部に撓み部21を形成
し、撓み部21の上流側端部22の外周面を外筒3の内
周面にロウ付けにより接合し、撓み部21の下流側端部
23の内周面をハニカム体1の外周面にロウ付けにより
接合するものが開示されている。この公報に記載のメタ
ル担体は、中間筒2が交互に片持ち状にハニカム体1と
外筒3に接合されているので、ハニカム体1の膨張、収
縮の動きが妨げられず、熱応力の発生が防止されてい
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−79181号公報に提案のメタル担体は、メタル担
体が主触媒担体のように全長の長いものには非常に効果
を発揮するが、電気加熱式触媒装置のように全長の短い
ものには、その構造上緩衝機能発揮しにくくなるという
問題点があった。即ち、特開平6−79181号公報に
提案の中間筒は、中間筒の緩衝機能を受け持つ自由長が
長ければ緩衝機能を十分に発揮できるが、自由長が短い
と撓み部の変形量が小さくなるために、緩衝機能が十分
に発揮できないのである。従って、特開平6−7918
1号公報に提案の中間筒の構造を電気加熱式触媒装置の
ハニカム体と外筒との間に使用してもその緩衝効果は期
待できないことになる。
【0010】これを図13を用いて更に詳しく説明す
る。図13は、特開平6−79181号公報に提案の中
間筒2を、外筒3とハニカム体1との間に模式的に描い
たものである。特開平6−79181号公報に提案の中
間筒2は、中間筒2の上流側端部22の外筒3との接合
部と、中間筒2の下流側端部24のハニカム体1との接
合部との間の部分が自由に動けるクッション部となって
いる。そして、このクッション部の長さFは、ハニカム
体1の全長Lが長ければ長い程大きくすることができ
る。この場合には、クッション部は緩衝機能を十分に発
揮できる。一方、電気加熱式触媒装置のように、ハニカ
ム体1の全長Lが非常に短い場合は、クッション部の長
さFも短くなり、クッション部の変形量が小さくなって
緩衝効果が期待できないのである。
【0011】なお、中間筒2の上流側端部22の位置を
ハニカム体1の全長L(幅)を越えて設定することも可
能であるが、外筒3との接合部位置もハニカム体1の全
長L(幅)を外して設定しなければならず、例えば、ハ
ニカム体1に近接して別のハニカム体を設置したりする
ことができず、スペース上不利となってしまうといった
問題がある。
【0012】そこで、本発明は、電気加熱式触媒のハニ
カム体のような、全長の短いハニカム体を使用するハニ
カム体を用いた触媒装置に対して、外筒とハニカム体と
の間に発生した半径方向への熱膨張を有効に緩衝するこ
とができる中間筒を備えたハニカム体を用いた触媒装置
を提供することを目的としている。また、本発明の他の
目的は、ハニカム体を構成する平箔と波箔とのずれであ
るスコーピングを防止するための絶縁性のリテーナを備
える電気加熱式触媒装置において、リテーナの保持部材
を別に設けることなく、中間筒の一部で代用することが
できる電気加熱式触媒装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成する請求
項1に記載の発明は、内燃機関の排気通路に設置され、
波板状の金属箔と平板状の金属箔とを重ね合わせた積層
金属箔を用いて円柱状のハニカム体を形成し、このハニ
カム体を触媒担体として金属外筒内に中間筒を介して収
容してなるハニカム体を用いた触媒装置において、中間
筒を、外側筒と内側筒とを備えた二重筒とし、この二重
筒の外側筒と内側筒は、長尺の耐熱性金属板をその長手
方向に沿ってU字状に折り曲げた後に、円筒状に成形し
て形成し、折り曲げる前の金属板には、その両端部から
幅方向に互い違いに切り込みを入れてスリットを所定間
隔で形成しておき、この金属板を折り曲げた時に、スリ
ットとこのスリットを設けることによって形成される金
属片とが互いに対向するようにし、外側筒を金属外筒に
接合し、内側筒をハニカム体に接合したことを特徴とし
ている。
【0014】また、請求項2に記載の発明は、請求項1
の発明において、外側筒に形成されたスリットの先端部
が内側筒に回り込むようにスリットを形成すると共に、
内側筒に形成されたスリットの先端部が外側筒に回り込
むようにスリットを形成したことを特徴としている。ま
た、請求項3に記載の発明は、請求項1の発明におい
て、二重筒に形成されたスリットの幅が、これに対向す
る金属片の幅よりも大きくなるように設定したことを特
徴としている。
【0015】更に、請求項4に記載の発明は、請求項1
から3の何れか1項に記載の発明において、金属製のハ
ニカム体の中心部を、他の部位との絶縁を保った状態で
導電体によって金属外筒の外部に引き出して一方の電極
とし、金属外筒を他方の電極として、これら2つの電極
間に通電を行うことにより、ハニカム体を加熱できるよ
うにして、ハニカム体を用いた触媒装置を電気加熱式触
媒装置としたことを特徴としている。
【0016】請求項5に記載の発明は、請求項4に記載
の発明において、折り曲げ部分がハニカム体の排気下流
側端部から突出するように二重筒を形成し、この突出部
分にハニカム体を支持する絶縁性のリテーナを保持させ
たことを特徴としている。請求項6に記載の発明は、請
求項1から5の何れか1項に記載の発明において、折り
曲げ部分に空間を設け、この空間内に耐熱性金属線から
成る補強材を挿通したことを特徴としている。
【0017】請求項7に記載の発明は、請求項1から6
の何れか1項に記載の発明において、二重筒の外側筒と
内側筒との間に、耐熱性の緩衝材を挿入したことを特徴
としている。請求項1に記載の発明によれば、中間筒を
耐熱性金属板を折り曲げて二重筒にし、外側筒と内側筒
の両方に排気ガスの流れる方向にスリットを設けたこと
により、中間筒の全長が短くても、外筒とハニカム体と
の間に発生した半径方向への熱膨張を有効に緩衝するこ
とができる。
【0018】請求項2に記載の発明によれば、外側筒と
内側筒に形成されたスリットの先端部が折り曲げ部を経
由して対向する筒側にまで延長されているので、撓み領
域が大きく、緩衝作用が増す。請求項3に記載の発明に
よれば、スリットの幅が対向する金属片の幅よりも大き
いので、金属片が対向するスリットの中まで移動するこ
とができ、金属片の半径方向への移動量が大きくとれる
ので、ハニカム体の半径方向への熱膨張を更に有効に緩
衝することができる。
【0019】請求項4に記載の発明によれば、金属製の
ハニカム体の中心部に接続する電極と、金属外筒間に通
電を行うことによってハニカム体を加熱できるようにし
たので、ハニカム体を用いた触媒装置を電気加熱式触媒
装置とすることができる。請求項5に記載の発明によれ
ば、電気加熱式触媒装置においてハニカム体の排気下流
側端部から突出する中間筒の部分にハニカム体を支持す
る絶縁性のリテーナを保持させたので、リテーナ保持部
材が不要となる。
【0020】請求項6に記載の発明によれば、折り曲げ
部分に設けた空間内に耐熱性金属線から成る補強材を挿
通したので、リテーナから受ける力を補強材で受けるこ
とができるので、リテーナの保持力が向上する。請求項
7に記載の発明によれば、外側筒と内側筒との間に耐熱
性の緩衝材を挿入したので、緩衝材によって確実にハニ
カム体の熱収縮、膨張を吸収できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下添付図面を用いて本発明の実
施形態を具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。な
お、ここではハニカム体を用いた触媒装置の実施例とし
て、電気加熱式触媒装置を例にとって説明し、図11,
図12で既に説明した電気加熱式触媒装置に使用される
部材と同じ部材には同じ符号を付して説明する。
【0022】図1は本発明の第1の実施例の電気加熱式
触媒装置10の構成を示す組立斜視図、及び、この電気
加熱式触媒装置10に使用する中間筒40の作製手順を
説明する説明図を組み合わせた図である。また、図2
(a) は図1の電気加熱式触媒装置10の組立後の中間筒
40の取付状態を説明する排気ガスの流れに沿った方向
の断面図であり、図2(b) は図2(a) のA−A線におけ
る断面図である。
【0023】図1に示すように、電気加熱式触媒装置1
0は、金属製の外筒11の内部に、中間筒40を介して
図12で説明した波箔4と平箔5とから構成されるハニ
カム体7が挿入されて構成される。中間筒40の高さは
ハニカム体7の高さと略等しく形成されている。ハニカ
ム体7の中央部には中心電極6があり、この中心電極6
は図2(a) に示すリード部6Aによって外筒11の外周
面に設けられたホルダ8Cを貫通する電極部8Aに接続
されている。電極部8Aと外筒11の所定箇所に設けら
れた外部電極8Bとの間にはバッテリ9とスイッチSW
が設けられており、スイッチSWのオンによってハニカ
ム体7が通電される。
【0024】中間筒40は外側筒41と内側筒42から
構成されており、外側筒41と内側筒42の間には、図
2(a) に示すように空間43が設けられている。この中
間筒40は、図1に示すような長尺の耐熱性金属板44
を、その中心線F−Fに沿ってU字状に折り曲げること
によって作ることができる。この時、折り曲げる前の長
尺の耐熱性金属板44には、その長手方向に沿った両端
部から幅方向に互い違いに切り込みを入れてスリット4
5を所定間隔で形成しておく。このスリット45の形成
に際しては、金属板44を折り曲げた時に、スリット4
5とこれに隣接するスリット45の間に形成される金属
片46とが互いに対向するようにする。また、この実施
例では、スリット45は金属板44の中心線F−Fを越
えて反対側の端部側まで切り込まれている。
【0025】このようにスリット45と金属片46が形
成された長尺の耐熱性金属板44を、その中心線F−F
に沿ってU字状に折り曲げると、図1の右下部に示す断
面U字状の棒状体44′が出来上がる。そして、この断
面U字状の棒状体44′を、ハニカム体7の外径に等し
い円弧Cに沿って折り曲げて円筒状に成形すると、外側
筒41と内側筒42とを備えた中間筒40が形成され
る。断面U字状の棒状体44′を折り曲げて円筒状とす
る場合に、棒状体44′の両端部は接合しても良いが、
近接させるだけで接合しなくても良い。
【0026】この中間筒40は、外筒11とハニカム体
7との間に挿入した状態で、外側筒41が外筒11にロ
ー付け等により接合され、内側筒42がハニカム体7に
ロー付け等により接合されている。図2(a) における4
9は外側筒41と内側筒42のロー付け部を示す。この
ように、中間筒40が外筒11とハニカム体7との間に
挿入された電気加熱式触媒装置10では、図2(b) に示
すように、ハニカム体7と外筒11との間に空間43が
形成されている。よって、ハニカム体7が熱膨張して径
方向に膨張しても、この膨張が空間43によって緩衝さ
れる。また、中間筒40の外側筒41と内側筒42の各
金属片46の間には、間隙aのスリット45が設けられ
ている。従って、ハニカム体7が熱変形して周方向に収
縮しても、この収縮をスリット45によって緩衝するこ
とができる。
【0027】このように、図1,図2のように構成した
第1の実施例の電気加熱式触媒装置10では、ハニカム
体7と外筒11との間に二重筒構成の中間筒40が配置
されているので、排気ガスの流れ方向の全長が短いハニ
カム体7に対しても、そのケーシングである外筒11と
ハニカム体7との間に発生した半径方向、或いは周方向
への熱収縮を有効に緩衝することができ、ハニカム体7
の熱収縮による損傷を防止することができる。
【0028】図3(a) から図3(d) は図1,図2の電気
加熱式触媒装置10の中間筒40を作製する長尺の耐熱
性金属板44のその他の実施例を示すものである。図3
(a) に示す長尺の耐熱性金属板44aでは、スリット4
5が金属板44aの中心線F−Fを越えて反対側の端部
側まで大きく切り込まれている。この例では、金属板4
4aをU字状に折り曲げた時に、外側筒41のスリット
45の先端部が内側筒42側に回り込んでいると共に、
内側筒42のスリット45の先端部が外側筒41側に回
り込んでいる。この結果、図3(a) に示す長尺の耐熱性
金属板44aから作製される中間筒40は、ハニカム体
7の周方向の収縮に対して緩衝能力が高い。
【0029】図3(b) に示す長尺の耐熱性金属板44b
では、切り込みが金属板44aの中心線F−Fの手前で
終わっており、スリット45の長さが短い例である。こ
の例の長尺の耐熱性金属板44bから作製される中間筒
40は、U字状に折り曲げた時のばね力が大きいので、
ハニカム体7の径方向の収縮に対して緩衝能力が高い。
【0030】図3(c) と図3(d) に示す長尺の耐熱性金
属板44c,44dでは、スリット45の幅Xが、金属
板44c,44dをU字状に折り曲げた時に、これに対
向する金属片46の幅Yよりも大きくなるように、スリ
ット45が形成されている。これらの実施例では、例え
ば、スリット45の幅Xと金属片46の幅Yの差は、図
1〜図3(b) におけるスリット45の幅aの2倍の2a
となっている。そして、図3(c) の例では一方側のスリ
ット45の先端部が、金属板44cの中心線F−Fを越
えて反対側の端部側まで大きく切り込まれており、他方
側のスリット45の先端部が、金属板44cの中心線F
−Fの手前で終わっている。また、図3(d) の例では両
方側のスリット45の先端部が、金属板44cの中心線
F−Fの手前で終わっている。
【0031】図4は、図1,図2で説明した中間筒40
を、図3(c), (d)の長尺の耐熱性金属板44c,44d
を使用して作製した時の、図2(b) と同じ部位の断面図
である。この図から分かるように、内側筒42の金属片
46に対向する外側筒41の部位には、金属片46の幅
Yよりも広い幅Xのスリット45が位置している。そし
て、前述のように、スリット45の幅Xは、金属片46
の幅Yの両側に長さaずつ広くなっている。
【0032】従って、図3(c) ,(d) のように形成され
た長尺の耐熱性金属板44c,44dを使用して中間筒
40が作製された場合は、ハニカム体7が膨張すると、
内側筒42の金属片46は、外側筒41のスリット45
内に入り込む状態まで変形することができる。また、金
属片46がスリット45内に入り込んだ場合でも、その
両側には距離aだけの余裕がある。従って、図3(c) ,
(d) の耐熱性金属板44c,44dを使用して形成した
中間筒40が組み込まれた電気加熱式触媒装置10で
は、外筒11とハニカム体7との間に発生した半径方
向、或いは周方向への熱膨張に対して余裕をもってこれ
を吸収することができるので、ハニカム体7と外筒11
の熱収縮に対する緩衝度が大きく、ハニカム体7の損傷
の防止に対して更に有効である。
【0033】図5(a) は第1の実施例の変形実施例を示
すものであり、図2のB部を拡大して示している。この
変形実施例は、電気加熱式触媒装置10の中間筒40の
外側筒41と内側筒42との間の空間43に緩衝材47
が挿入されたものである。緩衝材47は、例えば、図5
(b) に示すように、細い耐熱性の金属ワイヤ(例えば直
径0.1〜0.5mm程度の金属ワイヤ)をメリヤス編
みしたものを集合させてプレス型等によって所定密度に
成型したものから構成すれば良い。この緩衝材47と中
間筒40の外側筒41と内側筒42とは接合されていて
も、接合されていなくても良いこのように、中間筒40
の外側筒41と内側筒42との間の空間43に緩衝材4
7が挿入されると、確実にハニカム体7の熱収縮、熱膨
張を吸収することができる。また、電気加熱式触媒装置
10では、中間筒40がハニカム体7と外筒11とを電
気的に接続する役割を果たしているので、緩衝材47は
必ずしも導電体である必要がなく、セラミック繊維等の
非導電体でも良い。このように、中間筒40に電気の導
通部を受け持ってもらえるので、緩衝材47の材質選定
の自由度が増す。
【0034】図6は本発明の第2の実施例の電気加熱式
触媒装置10′の構成を示すものであり、図6(a) は第
1の実施例の電気加熱式触媒装置10の図2(a) と同じ
部位の断面図を示しており、図6(b) は図6(a) の中間
筒40′の構成を説明する部分拡大組立斜視図である。
ここで、第2の実施例の電気加熱式触媒装置10′の構
成を説明する前に、図10を用いてハニカム体7をリテ
ーナと保持部材とで保持した構成の従来の電気加熱式触
媒装置100の一例の構成を説明する。
【0035】この例の従来の電気加熱式触媒装置100
においては、図10(a) ,(b) に示すように、外筒11
の中にハニカム体7が直接収容されている点を除き、そ
の中心電極6がリード部6Aを介して外筒11の側面に
設けられたホルダ8Cを介して電極部8Aに接続されて
いる点は本発明と同じである。一方、従来の電気加熱式
触媒装置100では、ハニカム体7の排気ガスの流れの
下流側の端面が、絶縁性のリテーナであるセラミックス
バー22で支持されていた。セラミックスバー22は断
面が長方形の角柱状をしており、2本のセラミックスバ
ー22がハニカム体7の排気下流側の端面を横切るよう
に配置されていた。そして、このセラミックスバー22
は、外筒11に固着された保持部材20の収容溝13に
その両端部が保持されていた。また、2本のセラミック
スバー22の長さは、2つの収容溝13間に掛け渡され
た時に、外筒11の内周面に届かない長さに形成されて
いた。
【0036】本発明の第2の実施例の電気加熱式触媒装
置10′は、セラミックスバー22によってハニカム体
7の排気下流側の端面を支持するように構成された従来
の電気加熱式触媒装置100を改良したものであり、こ
の保持部材20を、中間筒40で代用することによって
部品点数を減らすようにしたものである。従って、第2
の実施例では、図6(a) ,(b) に示すように、第1の実
施例の中間筒40が排気下流側に延長されて、延長部4
0Eを備えた中間筒40′が形成されている。この延長
部40Eにおける耐熱性金属板44の折り曲げ部分RU
は、ハニカム体7の排気下流側端部から突出する位置に
ある。そして、この中間筒40′の延長部40Eに、図
6(b) に示すように収容穴48が、中間筒40′の外側
筒41と内側筒42とを貫通して形成され、この収容穴
48にハニカム体7を支持するセラミックスバー22の
両端部が保持されるようになっている。図6(a) におけ
る49は外側筒41と内側筒42のロー付け部を示す。
【0037】このように、第2の実施例の電気加熱式触
媒装置10′では、ハニカム体7を排気下流側で支持す
るセラミックスバー22が、中間筒40′の延長部40
Eに設けられた収容穴48に保持されている。従って、
セラミックスバー22を保持するために従来必要であっ
た保持部材20が不要となるので、部品点数を減らすこ
とができる。
【0038】図7は第2の実施例における中間筒40′
の変形実施例を示すものである。前述の実施例では、耐
熱性金属板44がハニカム体7の排気下流側端部から突
出する部分の折り曲げ部RUがU字状に折り曲げられて
中間筒40′が形成されていた。一方、この実施例で
は、図7(a) に示すように、耐熱性金属板44がハニカ
ム体7の排気下流側端部から突出する部分において略J
字状に折り曲げられて折り曲げ部RJが形成されてい
る。そして、図7(b) に示すように、折り曲げ部分RJ
の終端部分に収容穴48が、外側筒41と内側筒42と
を貫通して形成されている。
【0039】このように、耐熱性金属板44が略J字状
に折り曲げられていると、この折り曲げ部RJへの応力
集中を避けることができる。また、折り曲げ部RJが回
り込んだ部分に収容穴48が形成されていると、セラミ
ックスバー22と収容穴48との引っ掛かり代が大きく
なり、セラミックスバー22の脱落が起きにくくなる。
【0040】図8(a) は本発明の第3の実施例の電気加
熱式触媒装置10″の構成を示すものであり、この第3
の実施例も、セラミックスバー22によってハニカム体
7の排気下流側の端面を支持するように構成された電気
加熱式触媒装置10″である。第3の実施例において
も、セラミックスバー22を中間筒40″の延長部40
Eに保持させることによって部品点数を減らすようにし
ている。図8(a) における49は外側筒41と内側筒4
2のロー付け部を示す。
【0041】第3の実施例では、ハニカム体7の排気下
流側に延長された耐熱性金属板44は、図7の実施例と
同様に略J字状に折り曲げられ、図8(b) に示すよう
に、折り曲げ部RJを持つ中間筒40″が形成されてい
る。そして、この中間筒40″の折り曲げ部RJの内部
空間には、1本のワイヤメッシュロープ50が挿通され
ている。そして、中間筒40″の延長部40Eに、中間
筒40″の外側筒41と内側筒42とを貫通して設けら
れるセラミックスバー22の収容穴48は、図8(c) に
示すように、中間筒40″の折り曲げ部RJの内部空間
を挿通するワイヤメッシュロープ50の上端部が露出す
るように形成されている。従って、収容穴48に挿通さ
れたセラミックスバー22の端部は、ワイヤメッシュロ
ープ50の上に載置されるようになっている。
【0042】このように、第3の実施例の電気加熱式触
媒装置10″では、ハニカム体7を排気下流側で支持す
るセラミックスバー22が、中間筒40″の延長部40
Eに設けられた収容穴48の中のワイヤメッシュロープ
50に保持されている。従って、セラミックスバー22
を保持するために従来必要であった保持部材20が不要
となるので、部品点数を減らすことができる。また、ワ
イヤメッシュロープ50の上にセラミックスバー22が
載置されることにより、セラミックスバー22の保持に
クッション性を持たせることができ、ハニカム体7の熱
膨張や組み付け交差によるセラミックスバー22の遊び
やガタが少なくなり、振動等によるセラミックスバー2
2や収容穴48の破損や磨耗を低減することができる。
【0043】図9(a) は図6(a) に示した第2の実施例
の電気加熱式触媒装置10′の中間筒40′の外側筒4
1と内側筒42との間に緩衝材47を挿入した変形実施
例の構成を示す部分拡大断面図である。また、図9(b)
は図8(a) に示した第3の実施例の電気加熱式触媒装置
10″の中間筒40″の外側筒41と内側筒42との間
に緩衝材47を挿入した変形実施例の構成を示す部分拡
大断面図である。緩衝材47には、図5(b) で説明した
細い耐熱性の金属ワイヤをメリヤス編みしたものを集合
させてプレス型等によって所定密度に成型したものを使
用すれば良い。また、この緩衝材47と中間筒40の外
側筒41と内側筒42とは接合されていても、接合され
ていなくても良いこのように、中間筒40の外側筒41
と内側筒42との間の空間43に緩衝材47が挿入され
ると、確実にハニカム体7の熱収縮、熱膨張を吸収する
ことができる。
【0044】以上、電気加熱式触媒装置を例にとってハ
ニカム体を用いた触媒装置を説明したが、本発明は電気
加熱式触媒装置以外の、全長の短いハニカム体を金属担
体としたハニカム体を用いた触媒装置にも有効に適用で
きる。また、全長の長いハニカム体を金属担体としたハ
ニカム体を用いた触媒装置に対しては、中間筒の全長を
長く形成するか、或いは、中間筒を複数個使用すること
によって対応することができる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の第1の発
明によれば、波箔と平箔とからなるハニカム体を金属外
筒内に中間筒を介して収容し、このハニカム体に通電を
行って加熱する電気加熱式触媒装置において、中間筒を
耐熱性金属板を折り曲げて二重筒にし、外側筒と内側筒
の両方に排気ガスの流れる方向にスリットを設けたこと
により、中間筒の全長が短くても、外筒とハニカム体と
の間に発生した半径方向への熱膨張を有効に緩衝するこ
とができるという効果がある。
【0046】また、本発明の第2の発明によれば、ハニ
カム体を金属外筒内に中間筒を介して収容し、このハニ
カム体をリテーナと保持部材とで保持する電気加熱式触
媒装置において、ハニカム体の排気下流側端部から突出
する中間筒の部分にハニカム体を支持する絶縁性のリテ
ーナを保持させたので、リテーナ保持部材が不要とな
り、部品点数を減らすことができるという効果がある。
【0047】更に、本発明の第3の発明によれば、ハニ
カム体を金属外筒内に中間筒を介して収容し、このハニ
カム体をリテーナと保持部材とで保持する電気加熱式触
媒装置において、ハニカム体の排気下流側端部から突出
する中間筒の折り曲げ部分に空間を設け、この空間内に
耐熱性金属線から成るクッション性を持つ補強材を挿通
し、この補強材にハニカム体を支持する絶縁性のリテー
ナを保持させたので、リテーナ保持部材が不要となり部
品点数を減らすことができると共に、ハニカム体の変形
や組み付け交差によるリテーナの遊びやガタを少なし
て、リテーナや中間筒の破損や磨耗を低減することがで
きるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の電気加熱式触媒装置の
構成を示す組立斜視図、及び、中間筒の作製手順を説明
する説明図を組み合わせた図である。
【図2】(a) は図1の電気加熱式触媒装置における中間
筒の取付状態を説明する電気加熱式触媒装置の排気ガス
の流れに沿った方向の断面図、(b) は(a) のA−A線に
おける断面図である。
【図3】(a) から(d) は図1の電気加熱式触媒装置の中
間筒を作製する長尺の耐熱性金属板の4つの実施例を示
す、長尺の耐熱性金属板の平面図である。
【図4】図2(a) の中間筒を、図3(c) ,(d) の長尺の
耐熱性金属板を使用して作製した時の図2(b) と同じ部
位の断面図である。
【図5】(a) は第1の実施例の電気加熱式触媒装置の中
間筒の外側筒と内側筒との間に緩衝材を挿入した変形実
施例の構成を示す部分拡大断面図、(b) は(a) の緩衝材
の一例の部分拡大図である。
【図6】(a) は本発明の第2の実施例の電気加熱式触媒
装置の構成を示す排気ガスの流れに沿った方向の断面
図、(b) は(a) の中間筒の構成を説明する部分拡大組立
斜視図である。
【図7】(a) は図6の第2の実施例の電気加熱式触媒装
置における中間筒の別の形状を示す断面図、(b) は(a)
のように折り曲げた中間筒の要部拡大斜視図である。
【図8】(a) は本発明の第3の実施例の電気加熱式触媒
装置の構成を示す排気ガスの流れに沿った方向の断面
図、(b) は(a) の中間筒の構成を説明する部分拡大組立
斜視図、(c) は(a) の要部拡大断面図である。
【図9】(a) は図6(a) の第2の実施例の電気加熱式触
媒装置の中間筒の外側筒と内側筒との間に緩衝材を挿入
した変形実施例の構成を示す部分拡大断面図、(b) は図
8(a) の第3の実施例の電気加熱式触媒装置の中間筒の
外側筒と内側筒との間に緩衝材を挿入した変形実施例の
構成を示す部分拡大断面図である。
【図10】(a) はハニカム体をリテーナと保持部材とで
保持した構成の従来の電気加熱式触媒装置の一例の排気
ガスの流れに沿った方向の断面図、(b) は(a) のD−D
線における断面図である。
【図11】従来の電気加熱式触媒装置の構造例を示す側
断面説明図である。
【図12】(a) は公知のハニカム体の形成方法を説明す
る説明図、(b) は(a) のようにして巻かれたハニカム体
の一方の端面の概要を示す説明図である。
【図13】特開平6−79181号公報に提案の中間筒
の機能を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…ケーシング(外筒) 2…電気加熱式触媒担体 3…主触媒担体 4…波箔(波板状の金属箔) 5…平箔(平板状の金属箔) 6…中心電極 7…ハニカム体(金属箔積層体) 8A…電極部 10…第1の実施例の電気加熱式触媒装置 10′…第2の実施例の電気加熱式触媒装置 10″…第3の実施例の電気加熱式触媒装置 11…外筒 11E…延長部 12…金属筒 13…収容溝 22…セラミックスバー 40,40′,40″…中間筒 40E…中間筒の延長部 41…外側筒 42…内側筒 43…空間 44…耐熱性金属板 45…スリット 46…緩衝材 48…収容穴 50…ロープ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01N 3/20 - 3/28 B01D 53/86 B01J 35/02 B21D 47/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の排気通路に設置され、波板状
    の金属箔と平板状の金属箔とを重ね合わせた積層金属箔
    を用いて円柱状の金属製のハニカム体を形成し、このハ
    ニカム体を触媒担体として金属外筒内に中間筒を介して
    収容してなるハニカム体を用いた触媒装置において、 前記中間筒を、外側筒と内側筒とを備えた二重筒とし、 この二重筒の外側筒と内側筒は、長尺の耐熱性金属板を
    その長手方向に沿ってU字状に折り曲げた後に、円筒状
    に成形して形成し、 折り曲げる前の前記金属板には、その両端部から幅方向
    に互い違いに切り込みを入れてスリットを所定間隔で形
    成しておき、前記金属板を折り曲げた時に、前記スリッ
    トとこのスリットを設けることによって形成される金属
    片とが互いに対向するようにし、 前記外側筒を前記金属外筒に接合し、前記内側筒を前記
    ハニカム体に接合したことを特徴とするハニカム体を用
    いた触媒装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のハニカム体を用いた触
    媒装置において、 前記外側筒に形成されたスリットの先端部が前記内側筒
    に回り込むように前記スリットを形成すると共に、前記
    内側筒に形成されたスリットの先端部が前記外側筒に回
    り込むように前記スリットを形成したことを特徴とする
    ハニカム体を用いた触媒装置。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のハニカム体を用いた触
    媒装置において、 前記二重筒に形成されたスリットの幅が、これに対向す
    る前記金属片の幅よりも大きくなるように設定したこと
    を特徴とするハニカム体を用いた触媒装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から3の何れか1項に記載のハ
    ニカム体を用いた触媒装置において、 前記金属製のハニカム体の中心部を、他の部位との絶縁
    を保った状態で導電体によって前記金属外筒の外部に引
    き出して一方の電極とし、 前記金属外筒を他方の電極として、 これら2つの電極間に通電を行うことにより、前記ハニ
    カム体を加熱できるようにして、前記ハニカム体を用い
    た触媒装置を電気加熱式触媒装置としたことを特徴とす
    るハニカム体を用いた触媒装置。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のハニカム体を用いた触
    媒装置において、 前記折り曲げ部分が前記ハニカム体の排気下流側端部か
    ら突出するように前記二重筒を形成し、この突出部分に
    前記ハニカム体を支持する絶縁性のリテーナを保持させ
    たことを特徴とするハニカム体を用いた触媒装置。
  6. 【請求項6】 請求項1から5の何れか1項に記載のハ
    ニカム体を用いた触媒装置において、 前記折り曲げ部分に空間を設け、この空間内に耐熱性金
    属線から成る補強材を挿通したことを特徴とするハニカ
    ム体を用いた触媒装置。
  7. 【請求項7】 請求項1から6の何れか1項に記載のハ
    ニカム体を用いた触媒装置において、 前記二重筒の外側筒と内側筒との間に、耐熱性の緩衝材
    を挿入したことを特徴とするハニカム体を用いた触媒装
    置。
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