JP3239094B2 - 運動体の姿勢制御装置 - Google Patents

運動体の姿勢制御装置

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JP3239094B2
JP3239094B2 JP30550897A JP30550897A JP3239094B2 JP 3239094 B2 JP3239094 B2 JP 3239094B2 JP 30550897 A JP30550897 A JP 30550897A JP 30550897 A JP30550897 A JP 30550897A JP 3239094 B2 JP3239094 B2 JP 3239094B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は運動体の姿勢制御装
置に関し、特に、ガイドに沿って移動する運動体を所定
姿勢に高精度で保つための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】測長装置として、レーザー光を利用した
光波干渉測長計が知られている。その測長精度は、原理
上10-8から10-11にも達し、それゆえ光波干渉測長
計は真空中の高精度の測長で欠かせない装置となってい
る。しかし、空気中において、かかる光波干渉測長計を
利用して計測を行うと、空気の屈折率の揺らぎ的変動に
よる波長の変動により計測精度が劣化する。例えば、計
測光路の全長が1mm以下の場合であっても、標準偏差
で±5nm程度の変動が生じる。しかも、その変動は、
計測光路の全長の増大に応じて大きくなり、例えば、光
路長の全長が1mでは揺らぎによる変動が±100nm
程度にもなる。
【0003】更に、物体に動きのある場合には、その運
動の影響により空気の動きが生じ、その結果、計測光路
上における空気の屈折率は大幅に変動する。例えば、物
体が1秒の周期で0.25μmの低速往復動をする場
合、光波干渉計の出力の誤差は±50nmを越えること
が報告されている。
【0004】従って、空気中で光波干渉計を用いて物体
間の距離や物体の変位を計測する場合には、上記のよう
な誤差が生じるため、高精度計測を実現できないという
問題がある。
【0005】そこで、波長の異なる2つの光波を利用し
て上記のような屈折率の変動分を打ち消すことが提案さ
れている。しかし、この手法でも、500mm程度の計
測光路長に対して、物体が静止している状態で、±5n
m程度の変動幅に抑えるのが実用上の限界である。
【0006】その一方、特開平8−166215号公報
には、内部が真空にされたベロー内に計測系の全体を収
容させて、ベロー外の(空気中の)被計測対象の測長を
行う装置が開示されている。しかし、長さの可変範囲が
ベローの構造的制約から制限されるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来にお
いては、長さの可変範囲が数十mm程度以上と大きくな
ると、真空中の光波長の高安定度、高精度に基づく光波
干渉側長計の計測性能を空気中で利用することができ
ず、特に、大気中にあって空気を揺るがす運動体の位置
を高精度に測定することができなかった。
【0008】そこで、例えば、実質的に真空状態にある
空間内を走行する運動体(第1運動体)と空気中を走行
する運動体(第2運動体)を併走させ、第1運動体の変
位を光波干渉計で高精度に計測すると共に、第1運動体
と第2運動体の相対変位を計測し、両測定値に基づいて
空気中の運動体の位置を高精度に計測することが考えら
れる。
【0009】ところで、空気中の運動体の位置を高精度
に計測するためには、第1運動体と第2運動体とが正確
に平行状態を保って併走する必要がある。すなわち、第
1運動体及び第2運動体を基準となる直線、例えば、光
波干渉測長計のレーザ光の計測光路に平行に走行させな
ければならない。このため、通常、運動体は計測光路に
平行に配置されたガイドレールに沿って移動させること
になるが、前記運動体をガイドレール上で滑らかに摺動
させるために、当該運動体とガイドレールとの係合部に
は、所定のクリアランスが設けられている。この結果、
運動体に作用する加速度や運動時の振動等によって、ガ
イドレールに対して運動体ががたつき、計測光路との間
で平行度を維持できなくなる。また、ガイドレール自体
も加工品であるため真の直線形状を得ることは困難であ
り、図11に示すようにガイドレール900はうねり
(理解を容易にするため極端に図示している)を有し、
当該ガイドレール900上を移動する運動体920は、
位置Aと位置Bとでは、計測光路に対する運動体の姿勢
が任意に変化してしまい第1運動体と第2運動体との平
行度(第1,第2運動体上の測定機器の平行度)を維持
することができず、測定精度が低下してしまうという問
題がある。
【0010】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みなされたものであり、その目的は、ガイドに沿って走
行する運動体の姿勢を高精度に一定に維持することので
きる運動体の姿勢制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明は、ガイドに沿って移動する走行体と当
該走行体と係合し一体的に移動するテーブルとを含む運
動体の姿勢制御装置であって、前記走行体とテーブルと
を弾性的接続する弾性接続手段と、走行中の運動体の姿
勢変動を検出する姿勢変動検出手段と、前記姿勢変動検
出手段の検出結果に基づいて前記弾性接続手段を撓ませ
て移動中の前記テーブルを一定姿勢に保つ姿勢制御手段
と、を有することを特徴とする。この構成によれば、ガ
イドとのがたつきやガイドのうねりによって姿勢が変化
する走行体に対して、テーブルを弾性接続手段で接続
し、運動体の姿勢変動検出結果に基づいて姿勢制御手段
がテーブルを一定姿勢に保つように動作するため、ガイ
ドの影響を受けることなくテーブルの姿勢を一定に維持
することができる。
【0012】また、第2の発明は、第1の発明におい
て、前記弾性接続手段は、撓み方向に凹形状の肉盗み形
状を呈することを特徴とする。この構成によれば、姿勢
制御手段の微妙な制御力によって、肉盗み形状部が容易
に撓み、高精度の姿勢制御を行うことができる。
【0013】また、第3の発明は、第1または第2の発
明において、前記弾性接続手段は、弾性限界が50kg
/mm2以上の材料で形成されていることを特徴とす
る。 ここで、弾性限界が50kg/mm2以上の材料と
は、例えばBeCuや燐青銅等である。弾性接続手段を
弾性限界が50kg/mm2以上の材料で形成すれば、
テーブルの重量や運動体の加速による慣性力の影響を受
けることなく走行体に対してテーブルを十分に保持でき
ると共に、姿勢制御手段の微妙な制御力に敏感に反応
し、テーブルの姿勢を変更することが可能になり高精度
の姿勢制御を行うことができる。
【0014】また、第4の発明は、第1の発明におい
て、前記姿勢制御手段は、前記テーブルのヨーイングま
たはピッチングの少なくとも一方を打ち消す制御を行う
ことを特徴とする。テーブルのヨーイングとピッチング
を制御することで高精度の姿勢制御を行うことができ
る。
【0015】また、第5の発明は、第1または第4の発
明において、前記姿勢制御手段は、前記運動体の移動方
向と直交する方向のスライドを打ち消す制御を行うこと
を特徴とする。ヨーイングやピッチングを伴わない運動
体(テーブル)の平行移動、いわゆる蛇行を制御するこ
とで、より高精度の姿勢制御を行うことができる。
【0016】また、第6の発明は、第4または第5の発
明において、前記姿勢制御手段は、微少変位素子である
ことを特徴とする。ここで、微少変位素子とは、例え
ば、静電アクチュエータや磁歪アクチュエータ等であ
る。微少変位素子を利用することで、テーブルの微妙な
姿勢制御を容易に行うことができる。
【0017】また、第7の発明は、第1〜第6のいずれ
かの発明において、前記姿勢変動検出手段は、少なくと
も運動体の移動方向と平行な測長系を含む光波干渉側長
計で検出される前記運動体の姿勢に基づいて変動量を検
出することを特徴とする。運動体の移動方向と平行な測
長系を含む光波干渉側長計の光ビームを用いれば、真の
直線を制御の基準とする運動体のヨーイングとピッチン
グを検出することが可能になり、テーブルの姿勢制御を
高精度に行うことができる。
【0018】また、第8の発明は、第7の発明におい
て、前記姿勢変動検出手段は、さらに、運動体の移動方
向に対して上下方向の測長系と、前記移動方向に対して
左右方向の測長系との少なくとも一方を含む光波干渉測
長系で検出される前記運動体の姿勢に基づいて変動量を
検出することを特徴とする。さらに、運動体の移動方向
に対して上下方向の測長系と、前記移動方向に対して左
右方向の測長系とを含む光波干渉測長系を含む光波干渉
側長計の光ビームを用いれば、真の直線を制御の基準と
する運動体の移動方向と直交する方向のスライドを検出
することが可能になり、テーブルの姿勢制御をさらに高
精度に行うことができる。
【0019】また、第9の発明は、第7または第8の発
明において、前記運動体は、実質的真空状態の空間内で
移動することを特徴とする。実質的な真空状態とするこ
とで、基準となる光ビームが空気による揺らぎの影響を
受けないので、テーブルの姿勢制御を高精度に行うこと
ができる。
【0020】また、第10の発明は、第1の発明におい
て、前記弾性接続手段は、前記テーブルと走行体との少
なくとも一方の重心を通る直線のうちほぼ対角線上で両
者を接続し、前記姿勢制御手段は、他のほぼ対角線位置
に配置され、テーブルのヨーイング制御を行うことを特
徴とする。前記テーブルと走行体とを前記テーブルと走
行体との少なくとも一方の重心を通る直線のうちほぼ対
角線位置で接続することにより、両者の接続を安定して
行うことができると共に、他方の対角線位置に姿勢制御
手段を配置することによりテーブルのヨーイング姿勢制
御を効率的に行うことができる。
【0021】また、第11の発明は、第1の発明におい
て、前記弾性接続手段は、前記運動体の重心を通る直線
上で当該運動体の移動方向の前後位置で前記テーブルと
走行体との接続を行い、前記姿勢制御手段は、前記テー
ブルの下面位置に配置され、テーブルのピッチング制御
を行うことを特徴とする。この構成により、容易にテー
ブルのピッチング姿勢制御を行うことができる。
【0022】また、第12の発明は、第1の発明におい
て、前記弾性接続手段は、前記運動体の重心を通る直線
上でテーブルと走行体との接続を行い、前記姿勢制御手
段は、前記テーブルの下面ほぼ重心位置に配置され、テ
ーブルのスライド制御を行うことを特徴とする。この構
成により、容易にテーブルをスライド移動させて、当該
テーブルの姿勢を所定の直線と一致するように姿勢制御
することができる。
【0023】また、第13の発明は、第1〜第12の発
明において、前記弾性接続手段は、所定量撓んだ状態
で、前記テーブルを所定の一定姿勢に維持することを特
徴とする。この構成によれば、弾性接続手段の撓み方向
の制御を容易に行うことができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施
形態を位置測定装置に適用した場合を例にとり説明す
る。
【0025】本実施形態における位置測定装置の測長部
は、大きく分けて2つの部分より構成される。第1は、
第1運動体の位置を計測する部位であり、第2は、第1
運動体と第2運動体の相対変異を計測する部位である。
第1運動体の位置を計測する部位は光波干渉測長計を含
んでおり、実質的に真空中を運動する第1運動体を高精
度に計測する。第1運動体と第2運動体の相対変位を測
定する部位は所定の目盛りを備えたスケールとこのスケ
ールに対して光を投射し、スケールからの反射光あるい
は透過光を検出することで目盛り位置の変化を検出する
相対位置検出器を含んでいる。なお、スケールの目盛り
位置の変化を検出するこのような測長方法は、スケール
の目盛りの設けられている構造(目盛りの配置と部材の
性質)に依存するが、空気の屈折率の変動には影響され
ないので、温度変化や加速度、外力の印加、経年変化な
どで目盛りの配置されている間隔が変化しない限り、そ
の計測値は安定している利点がある。
【0026】図1には、本実施形態の位置測定装置の具
体的な構成が示されている。第1運動体12は、第1空
間14内に収容されている。この第1空間14は、実質
的に真空な空間である。なお、「実質的に真空」とは、
通過する光に与える空気の揺らぎの影響を無視できる程
度の真空をいい、必ずしも完全な真空状態を意味しな
い。第1運動体12には、2つの反射鏡(ミラー)M
1,M2が設けられている。ミラーM1は、第1運動体
12の位置や姿勢(ピッチ角やヨー角)を計測する第1
光波干渉測長計(以下、光波干渉計という)10Aの光
路100(第1計測光路)に対して直交するように配置
されている。従って、第1光波干渉計10Aから射出し
たレーザ光は、ミラーM1で反射し、再び第1光波干渉
計10Aに入射する。また、ミラーM2は、後述する第
2運動体16の姿勢(ピッチ角やヨー角)を計測する第
2光波干渉計10Bの光路200(第2計測光路)に対
して所定角度(図ではα=π/4)をなすように傾いて
配置されている。従って、第1運動体12と第2運動体
16の姿勢は光波干渉計10A,10Bの計測光路の光
軸を基準に検出される。さらに、第1運動体12には、
その表面に目盛りが形成されたスケール12Aが設けら
れている。スケール12Aの目盛り間隔は、半導体の回
路パターンと同様に高精度に形成され、レーザ波長干渉
計と同程度の分解能を有する。なお、第1運動体12
は、図に示すように紙面の左右方向に運動可能である。
また、空気の揺らぎの影響を無視できる環境としては、
第1空間14は真空状態でなく、空気に比べて著しく光
の屈折率の揺らぎ的変動が少ないHeの様な気体で充填
することも可能である。
【0027】一方、第2運動体16は、第2空間18内
に収容されている。この第2空間18は、例えば大気中
の空間である。この第2運動体16には、ミラーM2で
反射した第2光波干渉計10Bの光路200に対して直
交するようにミラーM3が配置されている。従って、第
2光波干渉計10Bから射出したレーザ光は、ミラーM
2で反射し、ミラーM3で反射してミラーM2に入射
し、ミラーM2で反射して再び第2光波干渉計10Bに
入射する。さらに、第2運動体16には、スケール12
Aの目盛りの位置変化を検出する相対変位検出部16A
が設けられている。スケール12Aと相対変位検出部1
6Aとの関係については、後に詳述する。第2運動体1
6も、第1運動体12と同様に紙面の左右方向に運動可
能である。また、第1光波干渉計10Aと第2光波干渉
計10Bは実質的な真空中に配置されている。
【0028】上記の第1空間14と第2空間18は、隔
壁20により隔離されている。隔壁20におけるレーザ
光の透過部分、つまり光路200の透過部分と相対変位
検出部16Aとスケール12A間の光路の透過部分は光
学的に透明な部材(例えばガラス)で構成される。もち
ろん、隔壁20の当該部分を中空容器とし、その内部に
屈折率の揺らぎが生じないように気体を充填させてもよ
い。第1空間14は図示されない容器の内部に形成され
るものであり、第2空間18は容器内に形成されてもよ
いが、大気開放されていてもよい。
【0029】姿勢制御部24は、第1運動体12の運動
方向における位置の制御と第1運動体12の姿勢を制御
する手段であり、第1光波干渉計10Aで計測された第
1運動体12の位置、姿勢に応じてミラーM1が光路1
00に対して常に直交するように制御する。
【0030】姿勢制御部32は、第2運動体16の運動
方向における姿勢の制御する手段であり、第2光波干渉
計10Bで計測された第2運動体16の姿勢に応じてミ
ラーM3が光路200に対して常に直交するように制御
する。つまり、ミラーM3が光路200に対して常に直
交するように、第2運動体16のヨー角やピッチ角を調
整する。これにより、第1運動体12と第2運動体16
が平行に運動し、従って第1運動体12と第2運動体1
6がともに真空中の光路100に対して平行に運動する
ことになる。なお、第2光波干渉計10Bの計測データ
は、有線あるいは無線で姿勢制御部32に供給すること
ができる。
【0031】相対変位検出部16Aは、スケール12A
の目盛りに向けてレーザ光を投射し、その反射光を受光
することで目盛りの変位を検出する。目盛りとして回折
格子を例にとると、相対変位検出部16Aからスケール
12Aに向けて投射されたレーザ光の光路は、図におい
て光路300、400として示される通り、±1次の回
折角の方向より目盛りに入射する。この投射光は、目盛
り(回折格子)で回折し、この回折光は0次の回折光、
つまりスケール12Aに対して垂直をなす反射光とな
る。そして、この反射光は相対変位検出部16Aの図示
しないミラーにより反射され、スケール12Aの目盛り
に対して垂直な光路500となって入射する。スケール
12Aの目盛りに垂直入射する光路500は、目盛りで
回折して±1次の回折光となり、光路300、400を
通って相対変位検出部16Aの図示しない受光部に入射
する。相対変位検出部16Aでは、再入射した光路30
0、400のレーザ光に基づき、公知(例えば「高分解
能リニアスケール」梶谷 誠、精密工学会誌、JPSE
−57、1943頁参照)の方法で、互いに平行に運動
する第1運動体12と第2運動体16の相対変位を検出
する。検出原理を簡単に説明すると、回折格子からの0
次光には格子の位相が含まれていないが、±1次光には
格子の位相情報が含まれており、格子がある方向に移動
すると回折光の位相も変化する。そこで、この位相を検
出することで(具体的には、±1次光の干渉光の強度変
化)、第1運動体12と第2運動体16の相対変位を検
出することができる。
【0032】演算部33は、第1光波干渉計10Aで計
測された第1運動体12の位置データと、相対変位検出
部16Aで計測された第1運動体12と第2運動体16
の相対変位データに基づいて、第2運動体の位置を算出
するものである。具体的には、第2運動体の位置=第1
運動体の位置+両運動体の相対変位で算出する。算出さ
れた第2運動体16の位置は、例えば図示しない表示装
置などに出力される。
【0033】このように、本実施形態では、実質的に真
空状態にある第1運動体の位置を光波干渉計で高精度に
計測し、第1運動体と第2運動体の相対変位を空気の屈
折率の変動影響を受けないスケールを用いて高精度に計
測し、両計測値に基づいて第2運動体の位置を高精度に
算出することができる。
【0034】なお、第2運動体16の姿勢を計測するた
めの光路200上は、高精度制御の観点からは可能な限
り屈折率の揺らぎを少なくすることが必要である。従っ
て、ミラーM3周囲のエリア600は、例えば隔壁20
と同様に屈折率の揺らぎのないガラス材で構成するのが
好適であり、またその周囲をこのようなガラス材で構成
し、内部を実質的に真空状態にしてもよい。
【0035】さらに、隔壁20と第2運動体16の間に
存在する空気の揺らぎの影響を抑制すべく、層流形成部
30で高速の気流を注入してこの間隔の気体の流れを安
定化することも好適である。なお、第2運動体16の運
動による空気の揺らぎを効果的に抑制するためには、層
流の速度は第2運動体16の運動速度に比べて著しく大
きいことが必要である。
【0036】以上述べた位置測定装置において、所定重
量を有する物体、例えば第1運動体12を第1光波干渉
計10Aの光路100と平行に走行させるためには、第
1運動体12を移動させるための駆動機構や第1運動体
12の移動を安定して行うためのガイド機構が必要にな
る。図2は、第1運動体12の移動を移動させるための
駆動機構40及びガイドレール42を含む第1空間14
の概略構成図を示している。
【0037】前記第1空間14は、前述したように、実
質的に真空の空間を形成しているため、前記ガイドレー
ル42が固定されたベース44は気密保持可能なチャン
バー内に収納されている。また、前記駆動機構40は、
減速機40aが接続されたサーボモータ40bによっ
て、回転駆動するボールネジ46及び当該ボールネジ4
6に螺合したボールナット(不図示)等で構成され、当
該ボールナットが第1運動体12に接続されている。従
って、駆動制御部48の制御信号によってサーボモータ
40bが駆動し、ボールネジ46を回転させることによ
って、第1運動体12を所望の方向(図2中矢印A方
向)に所望の速度で、所望量移動させることができる。
【0038】前述したように、加工品であるガイドレー
ル42は、真に直線に形成することは困難であると共
に、第1運動体12とガイドレール42との摺動を滑ら
かに行うために両者の間にクリアランスを設けているの
で、第1運動体12は移動に伴ってヨーイングやピッチ
ングを伴う。そこで、本実施形態では、第1運動体12
を実際に移動のための駆動力が伝達される走行体50と
当該走行体50に間接的に接続され移動するテーブル5
2とで構成している。なお、図2は、走行体50の位置
を明確にするためテーブル52の天板部分を取り外した
状態を示している。
【0039】図3(a),(b)に走行体50とテーブ
ル52との接続状態を説明する構成が示されている。な
お、図3(a),(b)は、テーブル52のヨーイング
を制御するための構成が示されている。図3(b)に示
すように、走行体50には、ガイドレール42が走行方
向(図中矢印A方向)に貫通し、さらに当該走行体50
には、前記ボールネジ46に螺合したボールナット54
が固定されている。一方、前記テーブル52は、断面が
略コの字形状を呈し、走行体50の上面から覆い被さる
ように配置され、上面には、図1に示すようなミラーM
1,M2やスケール12A等の計測に必要な機器が搭載
される。このテーブル52の内壁面と走行体50の外壁
面とは、図3(a)に示すように、走行体50の重心を
通る直線のうちほぼ対角線上に配置された弾性接続手
段、例えば弾性ヒンジ56によって接続されている。こ
の弾性ヒンジ56は、弾性限界が50kg/mm2以上
のバネ性に優れ、加工性に優れた材質、例えば、BeC
uや燐青銅等で形成されている。なお、テーブル52の
重量や第1運動体12の加速度等に起因する慣性力等に
よりテーブル52が走行中に移動(変位)すること無
く、また、後述する姿勢制御手段の動作によってのみテ
ーブル52の姿勢制御を行う所定強度とバネ性を備える
ためには、弾性ヒンジ56の材料に弾性限界が50kg
/mm2以上のものを選択することが望ましい。そし
て、この弾性ヒンジ56は、図4(a)に示すように、
側面部分が凹状に削り取られた肉盗み形状を呈してい
る。このような肉盗み形状にすることにより、図3
(a)中矢印B1,B2に示す方向に、容易な外力によっ
て撓むことが可能になる。この弾性ヒンジ56は、単一
のブロックを削り出し加工してテーブル52の側面部分
及び走行体50を形成する際に、削り残して形成するこ
とが望ましい。三者を一体形成することにより、所定の
強度を持たせることが可能になると共に、後述する姿勢
制御手段の動作に敏感に弾性ヒンジ56を反応させるこ
とができる。
【0040】一方、前記弾性ヒンジ56が配置された対
角線位置と異なる対角線位置には、テーブル52の姿勢
制御手段としての微少変位素子、例えば静電アクチュエ
ータ58a,58bが配置されている。この静電アクチ
ュエータ58a,58bは、後述する姿勢制御部からの
制御信号に応じて動作し、ストロークの伸張を行い走行
体50の外壁またはテーブル52の内壁に付勢力を付与
する。従って、図5(a),(b)に示すように、走行
体50が前記ガイドレール42のうねりやガタによって
ヨーイングしながら走行した場合でも、静電アクチュエ
ータ58aまたは58bを動作させることによって、走
行体50のヨーイング方向と逆方向にテーブル52を旋
回させて、当該テーブル52を常に一定方向、例えば、
図1における計測光路100と平行となる方向に保つこ
とができる。
【0041】例えば、図5(a)に示すように、走行体
50がガイドレール42のうねり等に起因して、時計回
り方向にヨーイングした場合、静電アクチュエータ58
aを駆動しテーブル52の内壁面を押すことにより、弾
性ヒンジ56は反時計回り方向に撓んで、テーブル52
を反時計回り方向に旋回させる。その結果、テーブル5
2の姿勢を計測光路100と平行にすることができる。
また、図5(b)のように、走行体50が反時計回り方
向にヨーイングしたときは、静電アクチュエータ58b
を駆動し、弾性ヒンジ56を時計回り方向に撓ませ、テ
ーブル52を時計回り方向に旋回させることによって、
テーブル52の姿勢を計測光路100と平行にすること
ができる。
【0042】なお、前記静電アクチュエータ58a,5
8bを駆動制御するための制御信号は、図2に示すよう
に、第1光波干渉計10Aの測定結果をフィードバック
信号として、リモートレシーバ60で受信し、姿勢制御
部24に提供し、そこで姿勢制御信号を生成し各静電ア
クチュエータ58a,58bに提供すれば、光波干渉計
の分解能程度(例えば、1/数十μrad程度の分解
能)で走行体50(実際は第1運動体12)のヨーイン
グを検出することが可能になり、検出結果に応じて各静
電アクチュエータ58a,58bを制御することができ
る。このように、実質的真空状態の中で光軸の揺らぎ等
の影響を受けない光波干渉計の計測光路を利用すること
によって、テーブル52の姿勢制御を高精度で行うこと
ができる。
【0043】なお、図1に示す位置測定装置の場合、運
動体(実際はテーブル)のヨーイングを排除すれば、実
用上測定は十分高精度で行うことができるが、同様な構
成により運動体(実際はテーブル)のピッチングも排除
することができる。図6(a),(b)は、テーブル5
2のピッチングを制御するための弾性ヒンジ62と静電
アクチュエータ64a,64bの配置及び動作を示して
いる。前記弾性ヒンジ62は、走行体50の重心を通る
直線上で当該走行体50の走行方向に対してその前後位
置で走行体50の外壁面とテーブル52の内壁面とを接
続している。また、弾性ヒンジ62の肉盗みは、ピッチ
ング方向(図6(a),(b)紙面上下方向)に形成さ
れている。また、静電アクチュエータ64a,64b
は、テーブル52の天板下面と走行体50の上面との間
に介在されている。
【0044】ガイドレールに沿った走行体50の走行中
に、図6(a)に示すように走行体50の先端側が浮き
上がるピッチングが生じた場合、静電アクチュエータ6
4aを駆動して、静電アクチュエータ64aのストロー
クを縮めてテーブル52の先端側を下方に引き下げる。
その結果、テーブル52のピッチングによる先端浮き上
がりが抑止され、テーブル52の姿勢制御を行うことが
できる。同様に、ピッチングにより走行体50の後端側
が浮き上がった場合、図6(b)に示すように、静電ア
クチュエータ64bのストロークを縮めて、浮き上がっ
た分だけテーブル52の後端側を引き下げる。その結
果、テーブル52のピッチングによる後端浮き上がりが
抑止され、テーブル52の姿勢制御を行うことができ
る。なお、静電アクチュエータは、ストローク範囲外の
伸縮動作はできないため、図5(a),(b)及び図6
(a),(b)の場合、静電アクチュエータ58a,5
8b及び静電アクチュエータ64a,64bは、ストロ
ークが伸張した状態、つまり、弾性ヒンジ56,62が
撓んだ状態でテーブル52が所定の姿勢(計測光路に平
行)になるように設定しておく必要がある。この場合、
静電アクチュエータ58a,58b,64a,64bの
ストローク範囲内で、所望のテーブル姿勢制御動作を行
うことができる。なお、本実施形態では、微少変位素子
として静電アクチュエータを例にとって説明したが、入
力信号に敏感かつ高精度に反応するアクチュエータなら
同様な制御が可能であり、例えば磁歪アクチュエータ等
でもよい。
【0045】また、図4(a)に示す弾性ヒンジの形状
では、肉盗みが形成された方向にのみしか撓むことがで
きないので、ヨーイング制御または、ピッチング制御の
いずれか一方のみしか行うことができないが、図4
(b)に示すように、円筒形の部材の側面全周に肉盗み
形状を形成すれば、弾性ヒンジは任意の方向に撓むこと
が可能になり、ヨーイング制御及びピッチング制御の両
方を制御することができる。もちろん、図4(b)の形
状を採用する場合、一体のブロックからテーブルの側壁
及び走行体を削り出す際に、前記円筒型の弾性ヒンジの
形成は困難であるため、当該弾性ヒンジを単体で形成し
て、テーブルの姿勢制御に影響しない接続手段(例えば
接着や溶接)によって、テーブルと走行体の間に介在固
定する必要がある。
【0046】なお、実施形態で示した走行体、テーブ
ル、弾性接続手段(弾性ヒンジ)等の形状や材質、姿勢
制御手段の形態は任意であり、ガイドレールにガイドさ
れる走行体に対して、計測機器が搭載されたテーブルが
弾性接続手段で接続され、姿勢制御手段によってテーブ
ルの姿勢制御が任意に行えるものであれば、本実施形態
と同様な効果を得ることができる。
【0047】また、本実施形態では、走行体とテーブル
との接続をヨーイング用及びピッチング用それぞれ2個
の弾性接続手段(弾性ヒンジ)で行った例を示したが、
弾性接続手段の形状や強度が走行体とテーブルとの両者
の接続を確実かつ安定して行える場合は、1つの弾性接
続手段で保持(片持ち状態)しても本実施形態と同様な
効果を得ることができる。同様に、弾性接続手段を3個
以上配置しても本実施形態と同様な効果を得ることがで
きる。
【0048】また、本実施形態では、実質的に真空状態
の第1空間内を移動する第1運動体の姿勢制御について
説明したが、大気中を移動する第2運動体も同様な構成
として、図1の姿勢制御部32の制御に基づいて当該第
2運動体の姿勢制御を行うことが可能である。
【0049】以上説明したように、弾性接続手段と姿勢
制御手段によって、運動体のヨーイングに加え、ピッチ
ングを排除すれば、実用上の測定はさらに高精度で行う
ことができるが、図7(a)に示すようにガイドレール
のがたつきやうねりがさらに大きい場合には、ヨーイン
グやピッチングを排除した後も図7(b)に示すよう
に、計測光路100(運動体の移動方向)に対して直交
する方向にテーブル52がスライドする成分が維持され
てしまう場合がある。つまり、テーブル52の走行方向
は任意の瞬間では、正確に計測光路100と平行に走行
するが、走行全体としては計測光路100に沿っていな
い、いわゆる蛇行が発生する場合がある。また、ヨーイ
ングやピッチングの排除が不要な微少なテーブル52の
変動であっても前述のようなテーブル52のスライドが
発生する場合がある。
【0050】このようなテーブル52のスライドも上述
した光波干渉計による計測と弾性接続手段及び姿勢制御
手段を利用して排除することができる。図8(a),
(b)にテーブル52のスライドを検出する光波干渉計
を用いた姿勢変動検出手段の一例を示す。なお、図8
(a),(b)は、テーブル52に対する姿勢変動検出
手段として3系統の測長系を有している例を示してい
る。まず、一つ目は、第1空間14に配置された走行方
向光波干渉計150と前記テーブル52上に固定された
ミラー152とで第1光軸を構成する第1測長系であ
る。この第1測長系による光路長の測定により、テーブ
ル52の移動方向の正確な移動量を測定する。なお、こ
の第1測長系は図1の第1光波干渉計10AとミラーM
1を利用しても良い。二つ目は、第1空間14に配置さ
れた左右方向光波干渉計154と前記テーブル52上で
移動方向に対して45°傾いて固定されたミラー156
と移動方向と平行に配置されたミラー158とで第2光
軸を構成する第2測長系である。この第2測長系による
テーブル52の左右方向(紙面上下方向)を含む光路長
の測定により、テーブル52の移動方向に対する左右方
向のスライド量を正確に測定する。つまり、テーブル5
2が移動方向に対して左(図中上方)にスライドすれ
ば、光路長が長くなり、右(図中下方)にスライドすれ
ば光路長は短くなる。三つ目は、図8(b)に示すよう
に、第1空間14に配置された上下方向光波干渉計16
0と前記テーブル52上で移動方向に対して仰角45°
傾いて固定されたミラー162と図示しないブラケット
を介してテーブル52の上方で移動方向と平行に配置さ
れたミラー164とで第3光軸を構成する第3測長系で
ある。この第3測長系によるテーブル52の上下方向
(図8(a)の場合、紙面表裏方向)を含む光路長の測
定により、テーブル52の移動方向に対する上下方向の
スライド量を正確に測定する。つまり、テーブル52が
移動方向に対して上(図8(b)参照)にスライドすれ
ば、光路長が長くなり、下(図8(b)参照)にスライ
ドすれば光路長は短くなる。
【0051】図9(a)には、テーブル52の左右方向
のスライドを打ち消すための弾性接続手段と姿勢制御手
段との配置例が示されている。図9(a)に示すよう
に、走行体50とテーブル52とは、弾性接続手段とし
ての弾性ヒンジ166で接続されている。この弾性ヒン
ジ166は第1運動体12の重心を通る直線上に配置さ
れている。この弾性ヒンジ166は、図4(a),
(b)と同様にBeCuや燐青銅等の弾性限界が50k
g/mm2以上の材質で形成され、撓み方向(図9
(a)の場合、左右方向)に凹状の肉盗み形状を呈し、
姿勢制御手段で容易に左右方向に変位できるようになっ
ている。また、姿勢制御手段である静電アクチュエータ
168は前記テーブル52の下面ほぼ重心位置で、走行
体50の上面に形成された突起50aとテーブル52の
下面に形成された突起52aとの間に介在配置されてい
る。従って、図示しない姿勢制御部から提供されるテー
ブル52の左右方向のスライド検出量に応じた制御信号
により、静電アクチュエータ168を伸縮させることに
よって、テーブル52を走行体50に対して平行に左右
移動させることができる。
【0052】同様に、図9(b)には、テーブル52の
上下方向のスライドを打ち消すための弾性接続手段と姿
勢制御手段との配置例が示されている。図9(b)に示
すように、走行体50とテーブル52とは、弾性接続手
段としての弾性ヒンジ170で接続されている。この弾
性ヒンジ170は第1運動体12の重心を通る直線上に
配置され、他の弾性ヒンジと同様に、BeCuや燐青銅
等の弾性限界が50kg/mm2以上の材質で形成さ
れ、撓み方向(図9(b)の場合、上下方向)に凹状の
肉盗み形状を呈し、姿勢制御手段で容易に上下方向に変
位できるようになっている。また、姿勢制御手段である
静電アクチュエータ172は前記テーブル52の下面ほ
ぼ重心位置に当接するように、走行体50とテーブル5
2との間に介在配置されている。従って、図示しない姿
勢制御部から提供されるテーブル52の上下方向のスラ
イド検出量に応じた制御信号により、静電アクチュエー
タ172を伸縮させることによって、テーブル52を走
行体50に対して平行に上下移動させることができる。
【0053】ところで、前述した各静電アクチュエータ
168,172に提供する第1運動体12(テーブル5
2)のシフト量は、走行方向光波干渉計150から得ら
れる第1光軸の光路長L1と、左右方向光波干渉計15
4から得られる第2光軸の光路長L2と、上下方向光波
干渉計160から得られる第3光軸の光路長L3と、に
基づいて算出される。まず、テーブル52が基準位置
(スライド量ゼロ)にある時の光路長L1,L2,L3の
差分Clr=L1−L2,Cud=L1−L3を求めてお
く。そして、テーブル52が実際に移動している時に測
定されたL1A,L2Aを用いて、L1A−L2A=Clrにな
るようにテーブル52を左右方向に制御する制御信号を
発生すれば、リアルタイムにテーブル52の左右方向の
スライドを排除する制御を行うことができる。同様に、
テーブル52が実際に移動している時に測定されたL1
A,L3Aを用いて、L1A−L3A=Cudになるようにテ
ーブル52を上下方向に制御する制御信号を発生すれ
ば、リアルタイムにテーブル52の上下方向のスライド
を排除する制御を行うことができる。
【0054】このように、第1運動体12を構成する走
行体50の移動方向と直交する方向のスライド量を光波
干渉計のレーザ光を真の直線基準として用いることによ
って、高精度でテーブル52を直進移動させるための姿
勢制御が可能になる。なお、図9(a),(b)では、
左右方向の制御と上下方向の制御とを別々に行う構成を
示したが、必要に応じて両者を組み合わせて同時または
連続的に制御を行うようにすれば、より高精度の姿勢制
御を行うことができる。さらに、前述したヨーイング制
御の後にスライド制御を行ったり、ピッチング制御の後
にスライド制御を行ったり、ピッチング制御及びヨーイ
ング制御の後にスライド制御を行うようにすれば、さら
に高精度のテーブルの姿勢制御を行うことができる。
【0055】図1に示す位置測定装置を用いて、大気中
を運動する第2運動体16のテーブル174の位置を測
定する場合、上述したスライド制御を適用して、テーブ
ル52と同様に、第2運動体16のテーブル174も制
御すれば、より高精度の測定を行うことができる。その
場合の構成を図10に示す。テーブル174の制御を行
う場合、図8(a)に示すテーブル52の姿勢変動検出
手段に加えて、大気中のテーブル174の姿勢を検出す
る姿勢変動検出手段が3系統必要になる(図10は、テ
ーブル52用の3系統の図示を省略している)。図10
に示す3系統の姿勢変動検出手段によって、第1空間1
4内を移動するテーブル52に対する大気中のテーブル
174の相対的な姿勢(スライド)が検出可能となる。
【0056】3系統のうち一つ目は、第1空間14を形
成するチャンバーに設けられた隔壁20の窓を通過する
第4光軸を形成して、大気中を移動するテーブル174
の移動方向の正確な移動量を計測する第4測長系であ
り、第2移動方向光波干渉計176と、第1空間14内
のテーブル52上に移動方向に対して45°傾いて設け
られたミラー178と、大気中のテーブル174上に移
動方向に対して45°傾いて設けられたミラー180
と、テーブル174上に移動方向と直交するように配置
されたミラー182とで形成される第4光軸の光路長L
4の計測を行う。また、二つ目は、第1空間14に配置
された第2左右方向光波干渉計184と前記テーブル5
2上で移動方向に対して45°傾いて固定されたミラー
186と、大気中のテーブル174上に移動方向と平行
に配置されたミラー188とで第5光軸を構成する第5
測長系である。この第5測長系によるテーブル174の
左右方向(紙面上下方向)を含む光路長L5の計測によ
り、テーブル174の移動方向に対する左右方向のスラ
イド量を正確に測定する。三つ目は、第1空間14に配
置された第2上下方向光波干渉計190と前記テーブル
52上で移動方向に対して45°傾いて固定されたミラ
ー192と、大気中のテーブル174上に前記図8
(b)に示すように、テーブル174上で移動方向に対
して仰角45°傾いて固定されたミラー194と図示し
ないブラケットを介してテーブル174の上方で移動方
向と平行に配置されたミラー196とで第6光軸を構成
する第6測長系である。この第6測長系によるテーブル
174の上下方向(図10の場合、紙面表裏方向)を含
む光路長L6の計測により、テーブル174の移動方向
に対する上下方向のスライド量を正確に計測する。
【0057】計測された光路長L4,L5,L6は、テー
ブル52の場合と同様にテーブル174が基準位置(ス
ライド量ゼロ)にある時の光路長L4,L5,L6の差分
をClr=L4−L5,Cud=L4−L6として求めてお
く。そして、テーブル174が実際に移動している時に
測定されたL4A,L5Aを用いて、L4A−L5A=Clrに
なるようにテーブル174を左右方向に制御する制御信
号を発生すれば、リアルタイムにテーブル174の左右
方向のスライドを排除する制御を行うことができる。同
様に、テーブル174が実際に移動している時に測定さ
れたL4A,L6Aを用いて、L4A−L6A=Cudになるよ
うにテーブル174を上下方向に制御する制御信号を発
生すれば、リアルタイムにテーブル174の上下方向の
スライドを排除する制御を行うことができる。もちろ
ん、テーブル174の弾性接続手段や姿勢制御手段は図
9(a),(b)と同様な構成で使用することが可能で
ある。なお、第4,第5,第6測長系を構成するミラー
178,186,192はテーブル52上に固定配置さ
れているため、当該テーブル52に対して相対的にテー
ブル174の姿勢制御を行えば、実質的に真空の第1空
間14内で空気の揺らぎ等の影響を受けることなく直進
するレーザ光により高精度に姿勢制御されたテーブル5
2に準じた精度でテーブル174の姿勢制御を行うこと
が可能になる。すなわち、実質的に真空中のレーザ光を
間接的な基準として使用することが可能になり、大気中
の運動体(テーブル)の移動真直度を大幅に改善し、高
精度の運動体の計測を行うことができる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ガイドの形状的影響やガイドと走行体の係合状態の影響
を受けることなくテーブルの姿勢を一定に維持すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態における位置測定装置の構
成図である。
【図2】 本発明の実施形態の第1運動体を移動させる
ための駆動機構及びガイドレールを含む第1空間の概略
構成図である。
【図3】 本発明の実施形態の走行体とテーブルの接続
状態を説明する説明図である。
【図4】 本発明の実施形態の弾性ヒンジの形状を説明
する説明図である。
【図5】 本発明の実施形態のテーブルのヨーイング制
御を説明する説明図である。
【図6】 本発明の実施形態のテーブルのピッチング制
御を説明する説明図である。
【図7】 テーブルのヨーイング修正後の移動方向に対
する左右のスライドを説明する説明図である。
【図8】 本発明の実施形態のテーブルのスライド量を
検出する姿勢変動検出手段の一例を示す構成図である。
【図9】 本発明の実施形態のテーブルのスライド制御
を行う場合の走行体とテーブルの接続状態を説明する説
明図である。
【図10】 本発明の実施形態の大気中のテーブルのス
ライド量を検出する姿勢変動検出手段の一例を示す構成
図である。
【図11】 従来の走行体の走行状態を説明する説明図
である。
【符号の説明】
10A 第1光波干渉計、10B 第2光波干渉計、1
2 第1運動体、14第1空間、16 第2運動体、1
8 第2空間、24,32 姿勢制御部、33 演算
部、42 ガイドレール、46 ボールネジ、50 走
行体、52 テーブル、54 ボールナット、56 弾
性ヒンジ(弾性接続手段)、58a,58b 静電アク
チュエータ(姿勢制御手段)、100 第1計測光路、
200第2計測光路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−111079(JP,A) 特開 平3−296208(JP,A) 特開 平11−146579(JP,A) 特開 平11−183122(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01B 11/00 G05D 3/00 G01B 21/00

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガイドに沿って移動する走行体と当該走
    行体と係合し一体的に移動するテーブルとを含む運動体
    の姿勢制御装置であって、 前記走行体とテーブルとを弾性的接続する弾性接続手段
    と、 走行中の運動体の姿勢変動を検出する姿勢変動検出手段
    と、 前記姿勢変動検出手段の検出結果に基づいて前記弾性接
    続手段を撓ませて移動中の前記テーブルを一定姿勢に保
    つ姿勢制御手段と、 を有することを特徴とする運動体の姿勢制御装置。
  2. 【請求項2】 前記弾性接続手段は、撓み方向に凹形状
    の肉盗み形状を呈することを特徴とする請求項1記載の
    運動体の姿勢制御装置。
  3. 【請求項3】 前記弾性接続手段は、弾性限界が50k
    g/mm2以上の材料で形成されていることを特徴とす
    る請求項1または請求項2記載の運動体の姿勢制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記姿勢制御手段は、前記テーブルのヨ
    ーイングまたはピッチングの少なくとも一方を打ち消す
    制御を行うことを特徴とする請求項1記載の運動体の姿
    勢制御装置。
  5. 【請求項5】 前記姿勢制御手段は、前記運動体の移動
    方向と直交する方向のスライドを打ち消す制御を行うこ
    とを特徴とする請求項1または請求項4記載の運動体の
    姿勢制御装置。
  6. 【請求項6】 前記姿勢制御手段は、微少変位素子であ
    ることを特徴とする請求項4または請求項5記載の運動
    体の姿勢制御装置。
  7. 【請求項7】 前記姿勢変動検出手段は、少なくとも運
    動体の移動方向と平行な測長系を含む光波干渉測長計で
    検出される前記運動体の姿勢に基づいて変動量を検出す
    ることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の運
    動体の姿勢制御装置。
  8. 【請求項8】 前記姿勢変動検出手段は、さらに、運動
    体の移動方向に対して上下方向の測長系と、前記移動方
    向に対して左右方向の測長系との少なくとも一方を含む
    光波干渉測長系で検出される前記運動体の姿勢に基づい
    て変動量を検出することを特徴とする請求項7記載の運
    動体の姿勢制御装置。
  9. 【請求項9】 前記運動体は、実質的真空状態の空間内
    で移動することを特徴とする請求項7または請求項8に
    記載の運動体の姿勢制御装置。
  10. 【請求項10】 前記弾性接続手段は、前記テーブルと
    走行体との少なくとも一方の重心を通る直線のうちほぼ
    対角線上で両者を接続し、前記姿勢制御手段は、他のほ
    ぼ対角線位置に配置され、テーブルのヨーイング制御を
    行うことを特徴とする請求項1記載の運動体の姿勢制御
    装置。
  11. 【請求項11】 前記弾性接続手段は、前記運動体の重
    心を通る直線上で当該運動体の移動方向の前後位置で前
    記テーブルと走行体との接続を行い、前記姿勢制御手段
    は、前記テーブルの下面位置に配置され、テーブルのピ
    ッチング制御を行うことを特徴とする請求項1記載の運
    動体の姿勢制御装置。
  12. 【請求項12】 前記弾性接続手段は、前記運動体の重
    心を通る直線上でテーブルと走行体との接続を行い、前
    記姿勢制御手段は、前記テーブルの下面ほぼ重心位置に
    配置され、テーブルのスライド制御を行うことを特徴と
    する請求項1記載の運動体の姿勢制御装置。
  13. 【請求項13】 前記弾性接続手段は、所定量撓んだ状
    態で、前記テーブルを所定の一定姿勢に維持することを
    特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の運動体の
    姿勢制御装置。
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