JP3238995B2 - 水素吸蔵合金の特性評価方法 - Google Patents
水素吸蔵合金の特性評価方法Info
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- Y02E60/32—Hydrogen storage
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- Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)
- Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
- Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水素を可逆的に吸収、
放出することが可能な水素吸蔵合金に関し、特にジーベ
ルツ装置を用いて水素吸蔵合金の特性を評価する方法に
関するものである。
放出することが可能な水素吸蔵合金に関し、特にジーベ
ルツ装置を用いて水素吸蔵合金の特性を評価する方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】水素吸蔵合金は、化石燃料の代替となる
新たなエネルギー源として注目を浴びており、特に、エ
ネルギー変換機能等の優秀性から、種々の応用システム
が研究されている。ところで、水素吸蔵合金と水素の平
衡反応は、水素圧力−組成(水素吸収量)等温曲線で評価
される。水素圧力−組成等温線(P−C−T曲線)は、図
9に示す如く、勾配の急な水素固溶領域(α相)及び金属
水素化合物領域(β相)を有すると共に、両者の間に挟ま
れた平坦なプラトー領域を有している。このP−C−T
曲線を測定することによって、個々の水素吸蔵合金の特
性を把握することが出来る(特開昭60-251238、化学技術
研究所報告第80巻第11号,35〜45頁)。
新たなエネルギー源として注目を浴びており、特に、エ
ネルギー変換機能等の優秀性から、種々の応用システム
が研究されている。ところで、水素吸蔵合金と水素の平
衡反応は、水素圧力−組成(水素吸収量)等温曲線で評価
される。水素圧力−組成等温線(P−C−T曲線)は、図
9に示す如く、勾配の急な水素固溶領域(α相)及び金属
水素化合物領域(β相)を有すると共に、両者の間に挟ま
れた平坦なプラトー領域を有している。このP−C−T
曲線を測定することによって、個々の水素吸蔵合金の特
性を把握することが出来る(特開昭60-251238、化学技術
研究所報告第80巻第11号,35〜45頁)。
【0003】P−C−T曲線の測定は、従来より図8に
示す如きジーベルツ装置を用いて行なわれている。試料
(2)が充填された試料容器(3)は恒温槽(7)に収容され
ており、該試料容器(3)はバルブ(4)を介してガスホル
ダー(1)と連結されている。又、ガスホルダー(1)とバ
ルブ(4)を連結する配管には、バルブ(5)を介して水素
導入・排気管(13)が連結され、ガスホルダー(1)内の圧
力は圧力センサー(6)によって測定される。
示す如きジーベルツ装置を用いて行なわれている。試料
(2)が充填された試料容器(3)は恒温槽(7)に収容され
ており、該試料容器(3)はバルブ(4)を介してガスホル
ダー(1)と連結されている。又、ガスホルダー(1)とバ
ルブ(4)を連結する配管には、バルブ(5)を介して水素
導入・排気管(13)が連結され、ガスホルダー(1)内の圧
力は圧力センサー(6)によって測定される。
【0004】上記ジーベルツ装置を用いたP−C−T曲
線の測定は次の工程〜の実行によって行なわれる。 工程 両バルブ(4)(5)を開いて水素導入・排気管(1
3)からガスを排出し、系内を真空とする。 工程 バルブ(4)を閉じて水素導入・排気管(13)から
ガスホルダー(1)へ水度ガスを導入した後、バルブ(5)
を閉じる。 工程 バルブ(4)を開き、ガスホルダー(1)内の水素
ガスを試料(2)に吸収せしめる。これに伴って、ガスホ
ルダー(1)内のガス圧は徐々に低下する。 工程 充分な時間が経過して、ガス圧が一定、即ち平
衡状態となった後、バルブ(4)を閉じて、工程へ戻
る。
線の測定は次の工程〜の実行によって行なわれる。 工程 両バルブ(4)(5)を開いて水素導入・排気管(1
3)からガスを排出し、系内を真空とする。 工程 バルブ(4)を閉じて水素導入・排気管(13)から
ガスホルダー(1)へ水度ガスを導入した後、バルブ(5)
を閉じる。 工程 バルブ(4)を開き、ガスホルダー(1)内の水素
ガスを試料(2)に吸収せしめる。これに伴って、ガスホ
ルダー(1)内のガス圧は徐々に低下する。 工程 充分な時間が経過して、ガス圧が一定、即ち平
衡状態となった後、バルブ(4)を閉じて、工程へ戻
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ジーベ
ルツ装置を用いた従来のP−C−T曲線の測定による特
性評価方法においては、バルブの開閉操作を頻繁に行な
う必要があるため、測定の自動化が困難であり、然もガ
スリークの危険性が高い問題があった。又、測定前の真
空排気条件(排気温度、排気時間、真空度)によって試料
中の水素吸収量の原点が変動するため、測定結果の再現
性に乏しい問題があった。
ルツ装置を用いた従来のP−C−T曲線の測定による特
性評価方法においては、バルブの開閉操作を頻繁に行な
う必要があるため、測定の自動化が困難であり、然もガ
スリークの危険性が高い問題があった。又、測定前の真
空排気条件(排気温度、排気時間、真空度)によって試料
中の水素吸収量の原点が変動するため、測定結果の再現
性に乏しい問題があった。
【0006】特に、近年、実用化が進んでいるNi−H
2電池の水素負極として用いられる水素吸蔵合金におい
ては、平衡水素圧力が0.5atm以下となり、水素吸
収域の圧力範囲が広いため、特性評価のために、広範囲
に亘る圧力変化を正確に測定する必要がある。しかし、
一般的な圧力ゲージを用いた測定では、圧力範囲の増大
に伴って測定誤差が増大し、測定結果の再現性が著しく
悪化する。本発明の目的は、ジーベルツ装置を用いた特
性評価方法において、バルブの開閉操作を省略して、測
定の自動化を容易とすると共に、平衡水素圧力が低い場
合にも、測定結果の再現性を高めることである。
2電池の水素負極として用いられる水素吸蔵合金におい
ては、平衡水素圧力が0.5atm以下となり、水素吸
収域の圧力範囲が広いため、特性評価のために、広範囲
に亘る圧力変化を正確に測定する必要がある。しかし、
一般的な圧力ゲージを用いた測定では、圧力範囲の増大
に伴って測定誤差が増大し、測定結果の再現性が著しく
悪化する。本発明の目的は、ジーベルツ装置を用いた特
性評価方法において、バルブの開閉操作を省略して、測
定の自動化を容易とすると共に、平衡水素圧力が低い場
合にも、測定結果の再現性を高めることである。
【0007】
【課題を解決する為の手段】本発明に係る水素吸蔵合金
の特性評価方法は、水素吸蔵合金の試料が収容された一
定容積の系内にて、試料温度を変化させつつ系内の圧力
を測定し、この過程における圧力−温度曲線に基づい
て、試料の特性を評価するものである。
の特性評価方法は、水素吸蔵合金の試料が収容された一
定容積の系内にて、試料温度を変化させつつ系内の圧力
を測定し、この過程における圧力−温度曲線に基づい
て、試料の特性を評価するものである。
【0008】具体的には、試料温度Tsを変化させる際
の温度範囲の設定は、試料となる水素吸蔵合金が温度一
定で水素を放出する場合の圧力Pと水素吸収量Cの関係
(P−C−T曲線)において、該水素吸蔵合金の用途に応
じた水素吸収量が得られることとなる圧力範囲を設定す
ることによって行なう。
の温度範囲の設定は、試料となる水素吸蔵合金が温度一
定で水素を放出する場合の圧力Pと水素吸収量Cの関係
(P−C−T曲線)において、該水素吸蔵合金の用途に応
じた水素吸収量が得られることとなる圧力範囲を設定す
ることによって行なう。
【0009】例えば、温度上昇開始時における温度及び
圧力は、水素吸蔵合金の実際の用途において水素放出開
始点となる値に設定し、これを原点とする。そして、温
度上昇終了時における温度Ts及び圧力Pは、水素吸蔵
合金の実際の用途においてP−C−T曲線上の水素放出
完了点の温度及び圧力との関係において、下記数2で表
わされるVan't Hoffの関係式が同一の係数A及びBに下
に成立することとなる値、或いはその近傍値に設定され
る。
圧力は、水素吸蔵合金の実際の用途において水素放出開
始点となる値に設定し、これを原点とする。そして、温
度上昇終了時における温度Ts及び圧力Pは、水素吸蔵
合金の実際の用途においてP−C−T曲線上の水素放出
完了点の温度及び圧力との関係において、下記数2で表
わされるVan't Hoffの関係式が同一の係数A及びBに下
に成立することとなる値、或いはその近傍値に設定され
る。
【0010】
【数1】lnP=A/Ts+B
【0011】
【作用】一定容積の系内に水素吸蔵合金の試料を収容
し、例えば水素吸収状態から試料温度を上昇させると、
水素吸蔵合金は系内へ徐々に水素を放出し、これに伴っ
て系内の圧力が上昇する。この過程で、温度と圧力の関
係を測定し、図5に示す様に測定結果をグラフ化する。
この圧力−温度曲線は試料毎に固有のものであり、圧力
−温度曲線によって試料を特定することが出来る。そし
て、圧力−温度曲線の比較によって、試料の特性を評価
することが出来る。又、測定開始時の試料温度及び圧力
と、測定終了時の試料温度及び圧力から、水素ガスの状
態方程式に基づいて水素放出量を算出することが出来
る。この水素吸収量の比較によって、試料の水素吸放出
についての特性の優劣を評価することが出来る。
し、例えば水素吸収状態から試料温度を上昇させると、
水素吸蔵合金は系内へ徐々に水素を放出し、これに伴っ
て系内の圧力が上昇する。この過程で、温度と圧力の関
係を測定し、図5に示す様に測定結果をグラフ化する。
この圧力−温度曲線は試料毎に固有のものであり、圧力
−温度曲線によって試料を特定することが出来る。そし
て、圧力−温度曲線の比較によって、試料の特性を評価
することが出来る。又、測定開始時の試料温度及び圧力
と、測定終了時の試料温度及び圧力から、水素ガスの状
態方程式に基づいて水素放出量を算出することが出来
る。この水素吸収量の比較によって、試料の水素吸放出
についての特性の優劣を評価することが出来る。
【0012】ここで、試料温度Tsを変化させる際の温
度範囲の設定として、水素吸蔵合金の実際の用途におけ
る水素吸収量と同一の水素吸収量が得られることとなる
圧力範囲を設定すれば、水素吸蔵合金が実際に応用され
た場合の水素吸収、放出過程の特性を前記圧力−温度曲
線によって評価することが出来る。
度範囲の設定として、水素吸蔵合金の実際の用途におけ
る水素吸収量と同一の水素吸収量が得られることとなる
圧力範囲を設定すれば、水素吸蔵合金が実際に応用され
た場合の水素吸収、放出過程の特性を前記圧力−温度曲
線によって評価することが出来る。
【0013】
【発明の効果】本発明に係る水素吸蔵合金の特性評価方
法は、ジーベルツ装置を用いて実施することが可能であ
り、この際、活性状態の試料が配置された系内をバルブ
で仕切った状態のまま昇温すればよく、バルブの開閉操
作を行なう必要はない。従って、測定の自動化が容易で
ある。又、系内を仕切ったまま昇温する過程における圧
力上昇は、従来のP−C−T曲線測定の場合と比べて僅
かであり、水素吸収状態を圧力上昇の原点とすることに
よって、精度の高い圧力測定が可能である。従って、測
定結果に高い再現性が得られる。
法は、ジーベルツ装置を用いて実施することが可能であ
り、この際、活性状態の試料が配置された系内をバルブ
で仕切った状態のまま昇温すればよく、バルブの開閉操
作を行なう必要はない。従って、測定の自動化が容易で
ある。又、系内を仕切ったまま昇温する過程における圧
力上昇は、従来のP−C−T曲線測定の場合と比べて僅
かであり、水素吸収状態を圧力上昇の原点とすることに
よって、精度の高い圧力測定が可能である。従って、測
定結果に高い再現性が得られる。
【0014】
【実施例】図1は、ジーベルツ装置を応用した本発明の
測定装置を示しており、ジーベルツ装置自体の構成は従
来と同様である。試料容器(3)が収容された恒温槽(7)
には、ヒータ(8)及び温度センサ(9)が配置されおり、
ヒータ(8)による加熱制御は、温度センサ(9)からの検
出信号に基づいて、温度コントローラ(10)が行なう。こ
れによって、試料温度は所定の昇温速度で上昇すること
になる。
測定装置を示しており、ジーベルツ装置自体の構成は従
来と同様である。試料容器(3)が収容された恒温槽(7)
には、ヒータ(8)及び温度センサ(9)が配置されおり、
ヒータ(8)による加熱制御は、温度センサ(9)からの検
出信号に基づいて、温度コントローラ(10)が行なう。こ
れによって、試料温度は所定の昇温速度で上昇すること
になる。
【0015】又、温度センサ(9)による温度検出信号
と、圧力センサー(6)による圧力検出信号は、マイクロ
コンピュータからなる演算処理回路(11)へ送られ、後述
の演算処理が施されて試料(2)の特性が評価される。そ
の結果は、プリンターやディスプレイ等の出力装置(12)
から出力される。
と、圧力センサー(6)による圧力検出信号は、マイクロ
コンピュータからなる演算処理回路(11)へ送られ、後述
の演算処理が施されて試料(2)の特性が評価される。そ
の結果は、プリンターやディスプレイ等の出力装置(12)
から出力される。
【0016】以下、上記測定装置を用いた本発明の実施
例について説明する。合金試料として、MmNi3.2C
o1.0Al0.2Mn0.6合金を用いた。尚、本合金はNi
−H2電池用の水素吸蔵合金であって、図6に示す如く
水素吸収時のP−C−T曲線は、平衡水素圧力が1at
m以下となる低圧領域まで伸びており、従来のP−C−
T曲線測定においては、この広い圧力範囲を高精度で測
定することが困難であったものである。
例について説明する。合金試料として、MmNi3.2C
o1.0Al0.2Mn0.6合金を用いた。尚、本合金はNi
−H2電池用の水素吸蔵合金であって、図6に示す如く
水素吸収時のP−C−T曲線は、平衡水素圧力が1at
m以下となる低圧領域まで伸びており、従来のP−C−
T曲線測定においては、この広い圧力範囲を高精度で測
定することが困難であったものである。
【0017】本合金を300μm程度の粒径に粉砕した
後、その内の5.0gを採取し、これを試料容器(3)に
封入して活性化処理を施した。活性化処理としては、先
ず試料(2)を80℃まで昇温し、バルブ(4)(5)を開い
て水素導入・排気管(13)からロータリーポンプにて系内
全体を真空排気した。次に、水素導入・排気管(13)から
10atmの水素ガスを系内に導入し、その後、試料温
度を室温まで下げて、試料に水素を吸入せしめた。以上
の試料の昇温、真空排気、試料の降温、及び水素ガス加
圧を5回繰り返して、活性化処理を終えた。
後、その内の5.0gを採取し、これを試料容器(3)に
封入して活性化処理を施した。活性化処理としては、先
ず試料(2)を80℃まで昇温し、バルブ(4)(5)を開い
て水素導入・排気管(13)からロータリーポンプにて系内
全体を真空排気した。次に、水素導入・排気管(13)から
10atmの水素ガスを系内に導入し、その後、試料温
度を室温まで下げて、試料に水素を吸入せしめた。以上
の試料の昇温、真空排気、試料の降温、及び水素ガス加
圧を5回繰り返して、活性化処理を終えた。
【0018】続いて、試料を室温(20℃)、水素圧力8
atmの加圧下で水素吸収状態(図6のP点)とし、これ
を水素吸収量の原点とした。この原点は、水素吸蔵合金
が実際にNi−H2電池に応用された場合の充電状態(室
温及び圧力8atm)に相当する。そして、原点の状態
から試料を2℃/minの速度で昇温し、この過程にお
ける試料温度及び水素圧力の変化を測定した。温度上昇
に伴って、試料合金からは、その時の温度に応じて水素
が放出され、系内の圧力が上昇することになる。測定の
結果、図5に示す水素圧力(P)−試料温度(Ts)曲線が
得られた。
atmの加圧下で水素吸収状態(図6のP点)とし、これ
を水素吸収量の原点とした。この原点は、水素吸蔵合金
が実際にNi−H2電池に応用された場合の充電状態(室
温及び圧力8atm)に相当する。そして、原点の状態
から試料を2℃/minの速度で昇温し、この過程にお
ける試料温度及び水素圧力の変化を測定した。温度上昇
に伴って、試料合金からは、その時の温度に応じて水素
が放出され、系内の圧力が上昇することになる。測定の
結果、図5に示す水素圧力(P)−試料温度(Ts)曲線が
得られた。
【0019】ここで、水素圧力Pの時の水素放出量C
は、例えば理想気体についての状態方程式に基づき、下
記数2によって算出することが出来る。
は、例えば理想気体についての状態方程式に基づき、下
記数2によって算出することが出来る。
【0020】
【数2】C=(V/RT)・(201.6/w)・(P−Pi) 但し、Cは合金に対する重量%に換算した水素放出量(w
t%)、Vは試料容器及び配管からなる系内の容積、Rは
気体定数、Tは試料容器及び配管からなる系内系内の水
素ガス温度、wは試料の重量、Piは前記原点における
圧力、Pは試料温度がTsのときの水素圧力である。
t%)、Vは試料容器及び配管からなる系内の容積、Rは
気体定数、Tは試料容器及び配管からなる系内系内の水
素ガス温度、wは試料の重量、Piは前記原点における
圧力、Pは試料温度がTsのときの水素圧力である。
【0021】ここで、測定終了点とすべき試料温度の設
定について考察する。Ni−H2電池用の水素吸蔵合金
においては、一般に、前記原点に相当する充電状態(2
0℃、8atm)から水素を放出して、20℃、0.01
atmに相当放電状態に至る。従って、本発明の測定に
おける昇温は、この放電状態に至るまでの水素放出過程
と同等の水素放出量が得られる温度まで行なえばよいこ
とになる。
定について考察する。Ni−H2電池用の水素吸蔵合金
においては、一般に、前記原点に相当する充電状態(2
0℃、8atm)から水素を放出して、20℃、0.01
atmに相当放電状態に至る。従って、本発明の測定に
おける昇温は、この放電状態に至るまでの水素放出過程
と同等の水素放出量が得られる温度まで行なえばよいこ
とになる。
【0022】例えば図3に示すP−C−T曲線におい
て、充電状態、即ち室温Ta(=20℃)、水素圧力Pa
(=8atm)の状態(図中のa点)から、一定温度で放電
が行なわれて、放電状態、即ち室温Ta(=20℃)、水
素圧力Pf(=0.01atm)の状態(図中のf点)まで
変化したとする。この場合、本発明の測定における昇温
は、f点における水素吸収量と等しい水素吸収量となる
状態(d点)まで行なえばよいことになる。本実施例の水
素吸蔵合金の場合、測定終了点の20℃、0.01at
mでの水素吸収量は0.13wt%である。尚、図3中の
点a、b、c、d及びeは、原点から測定終了点に至る
昇温過程(Ta→Tb→Tc→Td→Te)を示すもので
ある。
て、充電状態、即ち室温Ta(=20℃)、水素圧力Pa
(=8atm)の状態(図中のa点)から、一定温度で放電
が行なわれて、放電状態、即ち室温Ta(=20℃)、水
素圧力Pf(=0.01atm)の状態(図中のf点)まで
変化したとする。この場合、本発明の測定における昇温
は、f点における水素吸収量と等しい水素吸収量となる
状態(d点)まで行なえばよいことになる。本実施例の水
素吸蔵合金の場合、測定終了点の20℃、0.01at
mでの水素吸収量は0.13wt%である。尚、図3中の
点a、b、c、d及びeは、原点から測定終了点に至る
昇温過程(Ta→Tb→Tc→Td→Te)を示すもので
ある。
【0023】ところで、水素吸蔵合金においては、水素
吸収量が同一であれば、水素圧力Pと試料温度Tsの間
に、下記数3で表わされるVan't Hoffの関係式が成立す
ることが知られている。
吸収量が同一であれば、水素圧力Pと試料温度Tsの間
に、下記数3で表わされるVan't Hoffの関係式が成立す
ることが知られている。
【0024】
【数3】lnP=A/Ts+B 但し、A及びBは水素吸収量によって決まる定数であ
る。
る。
【0025】即ち、図3において水素吸収量が同一の点
f、g、h、dでは、図4に示す如くlnPと1/Ts
の間に直線関係が成立する。本実施例の水素吸蔵合金に
おいては、f点でのVan't Hoffの関係式は下記数4で表
わされる。
f、g、h、dでは、図4に示す如くlnPと1/Ts
の間に直線関係が成立する。本実施例の水素吸蔵合金に
おいては、f点でのVan't Hoffの関係式は下記数4で表
わされる。
【0026】
【数4】lnP=5220/Ts+11.4 従って、本発明の測定における昇温過程にて、上記数4
を満たす圧力及び温度(図3中のd点)での水素吸収量
が、Ni−H2電池用の水素吸蔵合金としての容量に相
当し、この時点で昇温を終了することが出来るのであ
る。本実施例の水素吸蔵合金では、例えば系内の容量を
320ccとした場合、測定終了点での水素吸収量は
1.15wt%となる。このとき、試料温度は300℃、
水素圧力は10atmとなる(図5のd点、図6のQ
点)。
を満たす圧力及び温度(図3中のd点)での水素吸収量
が、Ni−H2電池用の水素吸蔵合金としての容量に相
当し、この時点で昇温を終了することが出来るのであ
る。本実施例の水素吸蔵合金では、例えば系内の容量を
320ccとした場合、測定終了点での水素吸収量は
1.15wt%となる。このとき、試料温度は300℃、
水素圧力は10atmとなる(図5のd点、図6のQ
点)。
【0027】この結果、本合金をNi−H2電池の負極
として用いた場合、1.15wt%の水素量に対応する充
放電が可能であることが評価出来る。尚、実際の測定に
おいては、圧力及び温度の測定が一定のサンプリング周
期で行なわれることから、図3のd点よりも温度が僅か
に上昇したe点にて、測定が終了される。
として用いた場合、1.15wt%の水素量に対応する充
放電が可能であることが評価出来る。尚、実際の測定に
おいては、圧力及び温度の測定が一定のサンプリング周
期で行なわれることから、図3のd点よりも温度が僅か
に上昇したe点にて、測定が終了される。
【0028】図2は、上述の測定方法を実施する場合の
手順を表わしている。先ずステップS1にて水素吸収量
の原点を設定した後、ステップS2にて昇温を開始す
る。そして、ステップS3にて試料温度Ts、水素ガス
温度T、圧力Pの計測を一定のサンプリング周期で行な
い、ステップS4にて、1回の計測が終了する毎に、計
測された圧力Pが上記数3の右辺で計算される圧力(=
A/Ts+B)よりも小さいか否かを判断し、NOの場
合はステップS3に戻って次の計測を行なう。YESの
場合は、ステップS5にて水素吸収量(容量)の計算を行
なって測定を終了する。
手順を表わしている。先ずステップS1にて水素吸収量
の原点を設定した後、ステップS2にて昇温を開始す
る。そして、ステップS3にて試料温度Ts、水素ガス
温度T、圧力Pの計測を一定のサンプリング周期で行な
い、ステップS4にて、1回の計測が終了する毎に、計
測された圧力Pが上記数3の右辺で計算される圧力(=
A/Ts+B)よりも小さいか否かを判断し、NOの場
合はステップS3に戻って次の計測を行なう。YESの
場合は、ステップS5にて水素吸収量(容量)の計算を行
なって測定を終了する。
【0029】上述の如く本発明の測定方法によれば、バ
ルブの開閉は水素の導入時だけで済むため、測定の自動
化が容易である。
ルブの開閉は水素の導入時だけで済むため、測定の自動
化が容易である。
【0030】上述の初期活性化から水素吸収量の計算に
至る測定を5回繰り返して再現性を調べたところ、図5
に示すP−Ts曲線及び水素吸収量(容量)について、極
めて高い再現性が確認された。
至る測定を5回繰り返して再現性を調べたところ、図5
に示すP−Ts曲線及び水素吸収量(容量)について、極
めて高い再現性が確認された。
【0031】次に、上記のMmNi3.2Co1.0Al0.2
Mn0.6合金(A1)、該合金と僅かに組成の異なるMm
Ni3.1Co1.0Al0.2Mn0.7合金(A2)、及び公知の
LaNi5合金(A3)の3種類の試料について、上述の
特性評価を行なって、合金組成の違いによるP−Ts曲
線の違いを調べた。その結果を図7に示す。図示の如
く、組成が大きく異なる合金A1とA3については、P
−Ts曲線に大きな違いが認められる。然も、僅かな組
成差が存在するに過ぎない合金A1とA2の間において
も、P−Ts曲線に明確な違いが現われている。以上の
様に、本発明の水素吸蔵合金の特性評価方法によれば、
合金組成の僅かな相違による特性の相違も、精度良く評
価することが出来る。
Mn0.6合金(A1)、該合金と僅かに組成の異なるMm
Ni3.1Co1.0Al0.2Mn0.7合金(A2)、及び公知の
LaNi5合金(A3)の3種類の試料について、上述の
特性評価を行なって、合金組成の違いによるP−Ts曲
線の違いを調べた。その結果を図7に示す。図示の如
く、組成が大きく異なる合金A1とA3については、P
−Ts曲線に大きな違いが認められる。然も、僅かな組
成差が存在するに過ぎない合金A1とA2の間において
も、P−Ts曲線に明確な違いが現われている。以上の
様に、本発明の水素吸蔵合金の特性評価方法によれば、
合金組成の僅かな相違による特性の相違も、精度良く評
価することが出来る。
【0032】上記実施例の説明は、本発明を説明するた
めのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定
し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本
発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲
に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは
勿論である。
めのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定
し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本
発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲
に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは
勿論である。
【図1】本発明に係る水素吸蔵合金の特性評価方法を実
施するための装置構成を示す図である。
施するための装置構成を示す図である。
【図2】特性評価手順を示すフローチャートである。
【図3】P−C−T曲線を示すグラフである。
【図4】水素吸収量が同一の場合の水素圧力と試料温度
の関係を表わすグラフである。
の関係を表わすグラフである。
【図5】本発明の測定において、昇温過程の水素圧力と
試料温度の関係を示すグラフである。
試料温度の関係を示すグラフである。
【図6】Ni−H2電池に用いる水素吸蔵合金の充電状
態と放電状態を示すグラフである。
態と放電状態を示すグラフである。
【図7】組成の異なる合金についての測定結果を表わす
グラフである。
グラフである。
【図8】従来のジーベルツ装置の構成を示す図である。
【図9】従来のP−C−T曲線測定の結果を示すグラフ
である。
である。
(1) ガスホルダー (2) 試料 (3) 試料容器 (4) バルブ (5) バルブ (6) 圧力センサー (7) 恒温槽 (8) 加熱ヒータ (9) 温度センサー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 浩志 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 米津 育郎 大阪府守口市京阪本通2丁目18番地 三 洋電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−3549(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 25/02 C01B 3/00 C22C 19/00 G01N 33/20
Claims (2)
- 【請求項1】 水素吸蔵合金の試料が収容された一定容
積の系内にて、試料に活性化処理を施し、続いて試料を
水素吸収状態とし、試料温度を変化させつつ系内の圧力
を測定し、この過程における圧力−温度曲線に基づい
て、試料の特性を評価する水素吸蔵合金の特性評価方
法。 - 【請求項2】 試料温度を変化させる際の温度範囲は、
試料となる水素吸蔵合金が温度一定で水素を放出する場
合の圧力と水素吸収量の関係において、該水素吸蔵合金
の用途に応じた水素放出量が得られることとなる範囲に
設定される請求項1に記載の水素吸蔵合金の特性評価方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26322293A JP3238995B2 (ja) | 1993-10-21 | 1993-10-21 | 水素吸蔵合金の特性評価方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26322293A JP3238995B2 (ja) | 1993-10-21 | 1993-10-21 | 水素吸蔵合金の特性評価方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07120420A JPH07120420A (ja) | 1995-05-12 |
JP3238995B2 true JP3238995B2 (ja) | 2001-12-17 |
Family
ID=17386482
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26322293A Expired - Fee Related JP3238995B2 (ja) | 1993-10-21 | 1993-10-21 | 水素吸蔵合金の特性評価方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3238995B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101319451B1 (ko) * | 2010-12-01 | 2013-10-17 | (주)오선텍 | 수소 저장 합금의 압력-조성 등온선의 측정시스템 |
-
1993
- 1993-10-21 JP JP26322293A patent/JP3238995B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07120420A (ja) | 1995-05-12 |
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