JP3237824U - マスク - Google Patents
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Abstract
Description
本考案は、装着者に涼感を与えるマスクに関する。
近時、新型コロナウイルスの感染拡大によりマスクの装着が日常生活に浸透している。従前においてマスクの装着期間は、インフルエンザが流行する冬季や、花粉が飛散する春先が殆どであったが、季節を問わない新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、夏場でもマスクの装着が求められるようになった。夏場のマスク装着は、頭部への熱の蓄積を誘引し、熱中症を引き起こすこともある。そこで、蓄積される熱を吸収するために、本体にポケットを設け、そこへ冷蔵庫や冷凍庫で冷却した保冷剤を収容するマスクが知られるようになってきた(例えば、特許文献1参照)。
マスク本体に設けられるポケットの大きさは限られるので、そこへ収容可能な保冷剤は自ずと小型なものとなる。すなわち、保冷剤が吸熱し得る熱量はわずかであり、例えば夏の屋外での使用を考えると、冷感効果が持続する時間は短く、肌が感じる温度変化も激しい。また、保冷剤を冷蔵庫や冷凍庫で冷却する手間も必要である。
本考案は、このような問題を解決するためになされたものであり、装着者に適度な涼感を長時間に亘って与える、取扱いの簡単なマスクを提供することを目的とする。
本考案の一態様におけるマスクは、吸水性顆粒ポリマーが収容された通気性のある保水パックと、鼻柱の接触線に対して対称に設けられた、それぞれが保水パックを着脱可能に収容する2つの収容ポケットとを備える。
本考案により、装着者に適度な涼感を長時間に亘って与える、取扱いの簡単なマスクを提供することができる。
添付図面を参照して、本考案の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。また、各図において、同一又は同様の構成を有する要素が複数存在する場合には、煩雑となることを回避するため、一部に符号を付し、他に同一符号を付すことを省く場合がある。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
図1は、本考案の一実施形態に係る実施例のマスク100の外面側を示す図であり、図2は、同じく内面側を示す図である。ここでは、内面側が装着者の顔面と接触する側であり、外面側が外部空間に面する側である。
マスク100は、主に装着者の顔面と接触する部分である1つの本体部101と、その両側にそれぞれ位置し、装着者の耳に掛けられる2つの耳掛部102に区分される。マスク100は、不織布シートからそれぞれ切り出された全体布111と接顔布112とが互いに重ねられ熱溶着された固定部と、それぞれが着脱可能な2つの保水パック150である交換部とによって構成される。
全体布111は、本体部101から両側の耳掛部102へ亘る全体を一体的に、あるいは、中央で左右に二分割されて形成されている。また、全体布111のうち耳掛部102においては、装着者の耳を挿通できるように耳孔113が設けられている。なお、耳掛部102の構成はこれに限らず、例えば全体布111を接顔布112と同様の形状に形成して、耳掛紐を全体布111の側部に溶着するように構成してもよい。
接顔布112は、主に本体部101に対応する領域の全体形状に合わせて、あるいは、中央で左右に二分割されて形成されている。接顔布112は、全体布111に所定位置で重ね合わされ、溶着ライン130に沿って熱溶着されて全体布111へ固着されている。なお、装着時に装着者の顔面形状におよそ沿うように、一部を折ったり重ねたりした状態で熱溶着を行ってもよい。
溶着ライン130は、主に、接顔布112の外周部を環囲する外周溶着ライン131、装着者の鼻柱が接触する領域に位置する鼻柱溶着ライン132、収容ポケット140を形成するためのポケット溶着ライン133に分類される。外周溶着ライン131は、接顔布112が全体布111へズレなく固着するための溶着ラインである。鼻柱溶着ライン132は、装着時に装着者の鼻が収まる空間を安定的に形成すると共に、マスク100が左右に揺れ動くことを防ぐための溶着ラインである。また、鼻柱溶着ライン132は、マスク100の中心線に沿うように設けられている。
ポケット溶着ライン133は、保水パック150を収容する2つの収容ポケット140のそれぞれにおいて、開口部として機能するスリット141以外の3辺に沿って設けられている。2つの収容ポケット140は、鼻柱の接触線である鼻柱溶着ライン132に対して対称に設けられている。より具体的には、それぞれの収容ポケット140のポケット溶着ライン133のうち互いに向き合う溶着ライン(本実施形態においては開口を形成するスリット141に対して底を形成する溶着ライン)が、装着者の口側ほど離間するように、斜めに設けられている。また、スリット141は、接顔布112に設けられた切れ込みであり、保水パック150を出し入れするための開口として機能する。このようなポケット溶着ライン133とスリット141により、装着者は、マスク100の装着時に保水パック150が鼻柱上に位置する煩わしさや、呼気の経路上に位置する息苦しさを免れることができる。
図2は、左側の収容ポケット140には保水パック150が収容された状態を示し、右側の収容ポケット140には保水パック150が収容途中の段階である様子を示す。収容途中の段階の保水パック150は、白抜き矢印の方向へ押し込まれると、収容された状態となる。なお、スリット141は、本実施形態においては装着者の頬に位置する左右側に設けられているが、眼下に位置する上側に設けられていてもよい。
図3は、保水パック150の製造について説明する図である。図3左図は、外面布151と内面布152の三辺を封止溶着ライン153に沿って溶着し、一辺を開口部として吸水性顆粒ポリマー155を投入する様子を示す。外面布151は、収容ポケット140に収容した場合に全体布111と接する側の不織布であり、例えば表面をポリエチレンでラミネートした不織布やPP(ポリプロピレン)不織布を用いる。
内面布152は、収容ポケット140に収容した場合に接顔布112と接する側の不織布であり、例えばES(エチレンプロピレンサイドバイサイド)不織布を用いる。このような外面布151と内面布152の組み合わせにより、保水パック150は、顔面側の方が外面側よりも高い通気性を確保できる。
吸水性顆粒ポリマーは、乾燥状態から吸水により数十倍から数百倍に膨張して吸水状態となる顆粒状の高吸水性高分子材である。吸水性顆粒ポリマーは、例えば、原油を接触分解、精製してプロピレンを得る工程、プロピレンを酸化してアクロレインを合成する工程、アクロレイン更に酸化してアクリル酸を得る工程、架橋剤等を加えて重合度を調整しつつアクリル酸を重合してポリアクリル酸を生成する工程、水酸化ナトリウム等で中和してナトリウム塩とする工程、脱水乾燥し粉砕して顆粒化する工程を経て製造される。
吸水性顆粒ポリマーを投入したら、図3右図に示すように、吸水性顆粒ポリマー155が外部へ放出されないよう開口部も溶着して封止する。なお、図3右図に示すように、乾燥状態における吸水性顆粒ポリマー155は、保水パック150の内部に隙間なく詰め込まれるのではなく、疎らな程度に投入されている。
図4は、使用時における保水パック150の変化について説明する図である。図4左図は、吸水性顆粒ポリマー155が乾燥状態の保水パック150を示し、図4右図は、吸水性顆粒ポリマー155が最も吸水した吸水状態の保水パック150を示す。
マスク100の使用者は、使用に先立ち、吸水性顆粒ポリマー155が乾燥状態の保水パック150を例えばトレイに溜められた水に浸す。すると、トレイ内の水は、外面布151および内面布152(内面布152のみでも構わない)の繊維の間隙を通過して内部へ進入し、吸水性顆粒ポリマー155に吸収される。吸水した吸水性顆粒ポリマー155は、膨張してほぼ球体となる。吸水性顆粒ポリマー155が最大吸水状態においては、図4右図に示すように、保水パック150は、袋状の内部空間が吸水性顆粒ポリマー155でほぼ万遍なく充填された状態となる。
本実施形態における吸水性顆粒ポリマーは、膨張して球体となったときに、互いに密着して一体化することがない。例えば外力を加えられたとしても、球体表面の潤滑性により互いが滑動しながら当該外力を逃がすので、他の球体と一体化したり、また、潰れたりすることも殆どない。また、膨張過程において他の球体と接触する場合にも互いに滑動するので、吸水性顆粒ポリマーは、最大膨張時に、保水パック150の内部において自ずと一層に配列された状態になる。このような状態の保水パック150は、収容ポケット140へ収容しやすく、また、装着者の頬面に沿いやすいので装着者の違和感も軽減される。
また、吸水性顆粒ポリマーは、本実施形態においては最大吸水時において直径が0.4mm以上2.0mm未満となるように調製されている。このような大きさであれば、装着者の違和感も少なく、また、顆粒の表面積や顆粒間の適度な間隙が確保できるので、気化熱の放散に有利である。
吸水状態となった保水パック150は、内面布152が顔面側になるように収容ポケット140に収容され、マスク100の一部として利用に供される。装着者は、このような保水パック150を備えるマスク100を装着すると、吸水性顆粒ポリマー155が内部の水分を蒸散させるときに装着者の顔面(主に相対する頬面)から熱を奪うので、夏季の使用時においても涼感を得ることができる。また、吸水性顆粒ポリマー155は保水能力が高く、乾燥状態に戻るまでの時間が長いので、保冷剤を用いる従来のマスクに比べ、涼感が得られる効果が長く維持される。また、気化熱の放散を利用するので、例えば冷凍された保冷剤が肌に与えるような極度な冷感を装着者に与えることがない。したがって、このようなマスク100は、暑い環境下においても長時間に亘って快適に装着でき、装着者の熱中症を防ぐ効果も期待できる。
なお、本実施形態においては、内面布152の方が外面布151よりも高い通気性を確保できるように不織布の組み合わせを考慮したが、このように通気性に差を設けることにより、涼感と効果の持続時間のバランスを取っている。すなわち、内面布152の通気性を大きくすることにより顔面から奪う熱量を大きくし、外面布151の通気性を抑制することにより、水分の急激な蒸散を防いでいる。一方で、通気性の高さを優先する場合には、両面共に同じ通気性の良い不織布を用いて保水パック150を形成してもよい。
使用に応じて吸水性顆粒ポリマー155の水分が蒸散されると、再び乾燥状態に戻る。使用者は、再度使用したい場合には、保水パック150を水に浸して再び吸水状態にすればよい。また、本実施形態における吸水性顆粒ポリマー155は、複数色に着色されており、吸水時にパステル調の色味を呈する。不織布はある程度の透光性を有するので、装着時において吸水性顆粒ポリマー155の色味が外部から若干視認され、マスク100の意匠性を高めることができる。吸水性顆粒ポリマー155は、もちろん単一色に着色されていてもよい。
また、マスク100を夏季に利用すれば上述のように熱中症対策になるが、吸水性顆粒ポリマー155の水分の蒸散の性質からは、冬季における乾燥対策にも利用し得る。主に冬季に利用することを想定するのであれば、収容ポケット140を少なくとも呼気の経路の一部にかかるように配置してもよい。このとき、温感を得られるように保水パック150を温水に漬けて吸水させてもよい。
また、本実施形態においては、接顔布112にスリット141を設けることにより内面側に収容ポケット140を設ける構成を採用したが、全体布111にスリット141を設けることにより外面側で保水パック150を出し入れできる収容ポケット140を設けてもよい。また、全体布111の外面側に接顔布112と同様の不織布を更に溶着して、全体布111に対して内面側の2つの収容ポケットに加え、外面側にも2つの追加の収容ポケットを設ける構成を採用してもよい。このような構成であれば、装着者は、保湿感を得たい場合には内面側の収容ポケットに保水パック150を収容し、涼感を得たい場合には外面側の収容ポケットに保水パック150を収容するというように、使い分けることができる。
以上説明した本実施形態に係るマスク100は、鼻柱溶着ライン132を設けて装着者の鼻が収まる空間を安定的に確保するものであったが、例えば複数の平行なプリーツが設けられたマスクであっても保水パック150を収容可能なマスクを実現し得る。また、不織布で形成した固定部に限らず、他の素材を利用して収容ポケット140を備える固定部を形成してもよい。
100…マスク、101…本体部、102…耳掛部、111…全体布、112…接顔布、113…耳孔、130…溶着ライン、131…外周溶着ライン、132…鼻柱溶着ライン、133…ポケット溶着ライン、140…収容ポケット、141…スリット、150…保水パック、151…外面布、152…内面布、153…封止溶融ライン、155…吸水性顆粒ポリマー
Claims (5)
- 吸水性顆粒ポリマーが収容された通気性のある保水パックと、
鼻柱の接触線に対して対称に設けられた、それぞれが前記保水パックを着脱可能に収容する2つの収容ポケットと
を備えるマスク。 - 前記吸水性顆粒ポリマーは、最大吸水時において直径が0.4mm以上2.0mm未満の球体となる請求項1に記載のマスク。
- 前記吸水性顆粒ポリマーは着色されている請求項1に記載のマスク。
- 前記保水パックは、顔面側のシートの方が反対側のシートよりも通気性が高い請求項1に記載のマスク。
- 前記2つの収容ポケットは装着時において装着者の接顔側に設けられた収容ポケットであり、さらに外面側に2つの追加収容ポケットが設けられた請求項1から4のいずれか1項に記載のマスク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022001164U JP3237824U (ja) | 2022-04-11 | 2022-04-11 | マスク |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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JP3237824U true JP3237824U (ja) | 2022-06-08 |
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2022
- 2022-04-11 JP JP2022001164U patent/JP3237824U/ja active Active
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