JP3233855B2 - 係留装置 - Google Patents
係留装置Info
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Description
のごとき浮体を係留するための装置に関する。
ン(ワイヤロープの場合を含む。)を用いて係留する場
合、予想される外力や水深に応じてチェーンのサイズや
長さ・本数を決定する必要がある。このような係留設計
において従来から設計者を悩ませているのが、浅い水深
において地形などの関係から限られた長さのチェーンで
係留しなければならない場合である。
る係留状態を示す。係留されるべき浮体1は、水底2に
固定されたアンカー3にチェーン4によって繋がれてい
る。この係留の特性を概念的に示したのが図8である。
図8で横軸はチェーン4を引っ張る方向への浮体1の水
平変位であり、縦軸はチェーン4による係留力である。
浮体の水平変位が増加するにつれ係留力は初め緩やかな
上昇を示し、しだいに加速度的に増加する。ここで浮体
に風や流れによる静的な荷重が作用して、対象としてい
るチェーンにFaの係留力が発生したとする。またチェ
ーンの強度から許容される係留力をFbとする。する
と、Fb,Faに応じた浮力の水平変位xbとxaとの
差が、波による浮体の動揺の許容範囲となる。xb−x
aを必要なだけ確保するには、 (1)チェーンの本数を増やしてFaを下げxaを下げ
る。 (2)チェーンサイズを大きくしてFbを上げxbを下げ
る。 (3)チェーンの長さを長くしてxaとxbとの間の係留
特性の勾配を緩やかにする。 などの手段があるが、いずれもコスト増を招くことにな
る。特に水深が浅く、チェーン長さが限られている場合
には、xaとxbとの間の係留特性の勾配が非常に急な
ので、前記(1),(2)項によるコスト増が著しくなり、非
現実的なものになる。
さの条件下で、xb−xaを確保する方策の一つに中間
シンカー方式がある。図9に中間シンカーを用いた係留
状態を示すが、浮体1とアンカー3とを繋ぐチェーン4
の中間部分に、重錘としての中間シンカー8が付設され
ている。このような係留による係留特性は図10に示す
ようになる。図10において横軸および縦軸は図8と同
様である。この特性で特徴的なのは、浮体の水平変位に
対する係留力の増加の仕方が図中c点で示すところでス
テップ状になることである。この特性により、中間シン
カー8を設けない場合の係留と比べてxb−xaを大き
くとることが可能となる。
になる係留特性が得られる原理を、図11により説明す
ると、まず係留力が小さいときは中間シンカー8は海底
に座しており、チェーン4の状態が図中の(a)図から
(b)図の状態になっても動かない。(b)図の状態では中
間シンカー8があたかもアンカーの働きをするので、浮
体の水平変位があまり増えずに係留力が増加する。すな
わち、図10におけるc点の直前の部分に相当する作用
が行なわれる。ところが中間シンカー8は海底に固定さ
れてはいないので、チェーンによる引揚げ力が中間シン
カー8の重量を超えると、中間シンカー8は持ち上げら
れるので、図11の(c)図の状態になり、係留力はあま
り増加しないで浮体の水平変位が増加する。すなわち図
10におけるc点の直後の部分に相当する作用が行なわ
れる。その後、図11の(d)図の状態になって、再び係
留力が急増することになる。
式は図10のように、xaとxbとの間にステップ状に
なるc点を設けることで、xaとxbとの間を広げるこ
とができるので、浅い水深と限られたチェーン長さとの
条件においてしばしば適用されている。
カー方式の係留装置における問題点は、中間シンカー8
が跳ねること、あるいは水底に衝突することである。す
なわち、所定の係留特性を得るためには、中間シンカー
8に大きな重量が必要であり、このような集中的な重量
物を中間に有するチェーン4の浮体1の側を波浪動揺に
合わせて水平方向に動かすと、中間シンカー8が水底か
ら持ち上がるときには跳ねやすく、水底へ戻るときには
水底に衝突することになる。これらの現象により、中間
シンカー8とチェーン4との結合部で損傷が生じやす
い。そこで本発明は、浅い水深と限られた係留ライン長
さの条件下で使用すべく、中間シンカー方式に替わる係
留装置を提供することを課題とする。
め、本発明の係留装置は、水面に浮かぶ浮体を係留すべ
く、水底に固定されるアンカーと、上記浮体に一端を連
結されたチェーンとをそなえ、同チェーンの他端と上記
アンカーとの間に長大な重量物としての長尺構造体が設
けられて、同長尺構造体の一端が上記アンカーに枢着さ
れるとともに同長尺構造体の他端が上記チェーンの他端
に連結され、上記浮体の水平変位に伴い上記長尺構造体
が上記チェーンを介して受ける作用力により上記アンカ
ーとの枢着部を中心として旋回起立するように設けられ
たことを特徴としている。
造体が従来の中間シンカーに替わる機能を有して、許容
される係留力に見合う浮体の水平移動量を増加させるよ
うになり、しかも上記長尺構造体は重量が長さ方向に分
布してアンカーに枢着されるため、作用中に従来の中間
シンカーで生じた跳ね上がりや水底への衝突が抑制され
るようになる。
が下端部を水底に固定されるようにして立設された柱状
体として構成され、同アンカーの上端部に上記長尺構造
体の一端が枢着されるとともに、同長尺構造体の形状
が、上記アンカーの上端部との枢着部から水底へ向け下
降するように傾斜した傾斜部と、同傾斜部の下端から水
底に沿い延在してその延長端を上記チェーンの他端に連
結された水平部とをそなえて構成されたことを特徴とし
ている。
上端部に上記長尺構造体の一端が枢着されると、同長尺
構造体の上記アンカーとの枢着点が水底から上方へ高く
離れた位置に存在するようになるので、上記チェーンが
緊張状態になるまで上記浮体の移動できる水平距離が増
大するようになり、これにより波浪動揺に対して著しく
許容範囲の広い係留特性が得られるようになる。
態について説明すると、図1は本発明の第1実施形態と
しての係留装置を示す側面図、図2は図1の装置の係留
特性を示すグラフ、図3(a)〜(d)は図1の装置の作用
状態を示す説明図であり、図4は本発明の第2実施形態
としての係留装置を示す側面図、図5は図4の装置の係
留特性を示すグラフ、図6(a)〜(d)は図4の装置の作
用状態を示す説明図である。
ると、図1に示すように、水面に浮かぶ浮体1が、水底
2に固定されたアンカー3に、チェーン4(ワイヤーロ
ープの場合を含む。)4および長尺構造体5を介して係
留されている。
されるアンカー3と、同アンカー3に一端を枢着部6の
水平横軸6Pで枢着された長大な重量物としての長尺構
造体5と、同長尺構造体5の他端と浮体1とを連結する
チェーン4とをそなえて構成されており、浮体1に一端
を連結されたチェーン4は、その他端を長尺構造体5に
枢着部7の水平横軸7Pを介して枢着されている。
概念的に示しているが、図2のグラフにおけるステップ
状の係留特性は図3(a)〜(d)に示す作用状態によって
理解される。図3(a),(b)示すように、係留力が小さ
いときは長尺構造体5は水底に座しており、チェーン4
が動いても長尺構造体5は動かない。
重量であたかもアンカーのような働きをするので、浮体
の水平変位があまり増えずに係留力が増加する。すなわ
ち、図2におけるc点の直前の曲線部分のようになる。
ところが長尺構造体5は水底に固定されていないので、
チェーン4による引揚げ力が大きくなると、長尺構造体
5の片側から持ち上げられて図3(c)の状態になり、係
留力はあまり増加しないで浮体の水平変位が増加する。
すなわち図2におけるc点の直後の曲線部分のようにな
る。その後、図3(d)の状態になって再び係留力が急増
することになる。
中間シンカーに替わる役割を果たすために、グラフの途
中にステップ状を有する係留特性を得ることができるの
で、図2のxaとxbとの間の水平移動量を十分に確保
することができる。
重量が長手方向に分布していて1個所に集中しないの
で、浮体1が波浪動揺しても、長尺構造体5が跳ねたり
海底に衝突したりする現象は、中間ンシンカーと比べて
かなり低減されるようになる。
ると、図4に示すように、この実施形態では柱状体とし
てのアンカー3が下端部を水底2に固定されるようにし
て立設されており、長大な重量物としての長尺構造体5
の一端とアンカー3の上端部との水平横軸6Pによる枢
着部6が水底2から高い位置にある。また長尺構造体5
と浮体1に連結されたチェーン(ワーヤロープの場合を
含む。)4との水平横軸7Pによる枢着部7の付近にお
いて、長尺構造体5は常時は水底2に座していて、同長
尺構造体5の重量の半分以上を水底2に預けている。す
なわち、長尺構造体5は、アンカー3との枢着部6から
水底2へ向け下降するように傾斜した傾斜部5aと、同
傾斜部5aの下端から水底2に沿い延在してその延長端
をチェーン4に連結された水平部5bとをそなえて構成
されている。なお、水平部5bとチェーン4とは、水平
横軸7Pによる枢着部7で枢着されている。
フに示すようになっており、このような係留特性が得ら
れる原理は図6に示す作用の説明図から明らかである。
すなわち、図6において、(a)図から(c)図までは図3
における(a)図から(c)図までと同じであるが、チェー
ン4が緊張状態になっている図6(d)を図3(d)と比較
すると、長尺構造体5とアンカー3との枢着部6がほぼ
チェーン4の延長線上にあることから、枢着部6が高い
位置にあると、チェーン4の浮体側の端部はより遠方ま
で到達することができるということがわかる。
造体5とアンカー3との結合点とを結ぶ線分を直角三角
形の斜辺とみなすと、直角三角形の短辺(鉛直方向距
離)が枢着部6の高い位置への設定により短くなるのに
応じて、長辺(水平方向距離)が長くなるのである。
図5に示す係留特性においてxaとxbとの間隔を十分
大きくすることが可能となり、浮体1の波浪動揺に対し
て従来の中間シンカー方式よりも広い許容範囲を有する
係留特性を得ることができる。
浅い水深,限られた係留ライン長さの条件下において、
跳ねたり海底に衝突したりして損傷が生じやすい中間シ
ンカーの方式に替わる良好な係留特性をそなえた係留装
置を提供することが可能となり、港湾内や沿岸水域で船
や浮体構造物を安全に係留できるようになる。また、ア
ンカーと長尺構造体との枢着部を水底から高い位置に設
けることによって、浮体の波浪動揺に対し、より広い許
容範囲を有する係留特性を得ることができ、従来の係留
装置では困難であった波の高い水域での係留も可能にな
る。
側面図である。
を示す説明図である。
側面図である。
態を示す説明図である。
図である。
態を示す説明図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 水面に浮かぶ浮体を係留すべく、水底に
固定されるアンカーと、上記浮体に一端を連結されたチ
ェーンとをそなえ、同チェーンの他端と上記アンカーと
の間に長大な重量物としての長尺構造体が設けられて、
同長尺構造体の一端が上記アンカーに枢着されるととも
に同長尺構造体の他端が上記チェーンの他端に連結さ
れ、上記浮体の水平変位に伴い上記長尺構造体が上記チ
ェーンを介して受ける作用力により上記アンカーとの枢
着部を中心として旋回起立するように設けられたことを
特徴とする、係留装置。 - 【請求項2】 請求項1に記載の係留装置において、上
記アンカーが下端部を水底に固定されるようにして立設
された柱状体として構成され、同アンカーの上端部に上
記長尺構造体の一端が枢着されるとともに、同長尺構造
体の形状が、上記アンカーの上端部との枢着部から水底
へ向け下降するように傾斜した傾斜部と、同傾斜部の下
端から水底に沿い延在してその延長端を上記チェーンの
他端に連結された水平部とをそなえて構成されたことを
特徴とする、係留装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20114696A JP3233855B2 (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | 係留装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20114696A JP3233855B2 (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | 係留装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1024893A JPH1024893A (ja) | 1998-01-27 |
JP3233855B2 true JP3233855B2 (ja) | 2001-12-04 |
Family
ID=16436164
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20114696A Expired - Lifetime JP3233855B2 (ja) | 1996-07-11 | 1996-07-11 | 係留装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3233855B2 (ja) |
-
1996
- 1996-07-11 JP JP20114696A patent/JP3233855B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1024893A (ja) | 1998-01-27 |
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