以下、図示の実施形態を参照して第1実施例のマスク加熱装置10について説明する。第1実施例のマスク加熱装置10は、マスクMを加熱することにより例えば使用したマスクMに付着した新型コロナウイルスを不活性化しようとするものである。第1実施例のマスク加熱装置10は、全体として箱型形状を呈するものであり、マスクMを収納するための収納部50を具備する筐体部20と、その収納部50を閉塞する蓋としての蓋部80と、を有するものである。また、その収納部50は、マスクMを加熱するための加熱部90と、を有するものである。また、その所定温度で加熱する時間を計測するタイマー110と、をさらに有するというものである。また、後述するように、加熱部90に替えて、第4の加熱部590と、その第4の加熱部590によって、加熱温度を一定に維持するための温度維持部600と、を有する場合がある。なお、それらは後述するように別体として配置する場合がある。
筐体部20は、いわばマスクMを収納するための箱というべきものであって、その内側にマスクMを収納しうる収納部50を有するものである。筐体部20は、底を構成する底部25とその底部25の周囲に立設するように配置した、いわば壁となる壁部30を有する。したがって、収納部50は、上述の底部25と、壁部30に囲まれた空所である。第1実施例のマスク加熱装置10における収納部50は、直方体形状の空所である。
また筐体部20は、合成樹脂で作成することが好ましく、また、いわゆる耐熱性樹脂であっても好ましい。たとえば、PE(高密度ポリエチレン樹脂),PTFE(フッ素樹脂)、PVDC(ポリ塩化ビニルデン樹脂)、PC(ポリカーボネート樹脂)、PF(フェノール樹脂),PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)、を使用することができる。なお、蓋部80についても同様である。
また、底部25は、所定の厚みを有し、その内部を中空構造にすることが好ましく、底部25の内部は閉鎖された空間である底空間部26を有する。底空間部26は例えば、空気を入れたいわば空気層による断熱層27とすること、または、ほぼ真空状にすることで断熱効果を奏することができる。また、断熱部材を充てんすることも可能である。たとえば、フェノールフォームを充てんすることも好ましい。またウレタンフォームを充てんすることもできる。
また、壁部30は、中空構造にすることが好ましく、壁部30の内部は閉鎖された空間である壁空間部31を有する。壁空間部31は例えば、空気を入れたいわば空気層による断熱層32とすること、または、ほぼ真空状にすることで断熱効果を奏することができる。また、断熱部材を充てんすることも可能である。たとえば、フェノールフォームを充てんすることも好ましい。またウレタンフォームを充てんすることもできる。なお、第1実施例のマスク加熱装置10における底空間部26と壁空間部31とは連通するように構成されているが、これらは独立した状態であっても好ましい。なお、断熱部材27および断熱部材32も同様である。
また、壁部30の上端部35は平滑であり、収納部50を取り囲むように配置されている。これについてはさらに後述する。
蓋部80は、文字通り、収納部50を閉塞するために蓋となるものであって、蝶番87、87を介して筐体20に対し開閉可能に配置されている。蓋部80の裏面81に、欠き込み部82を有し、裏面81の周囲を囲むように配置されている。この欠き込み部82は、蓋部80が閉じるときに、壁の上端部35と直角に二面で接するように配置され、上端部35と欠き込み部82の二ケ所に磁石で開き止め部84を埋め込む。これにより、収納部50の気密性を保つことができる。また蓋部80の表面85は鏡面加工することができる。
また、蓋部80は、中空構造にすることが好ましく、蓋部80の内部は閉鎖された空間である蓋空間部86を有する。蓋空間部86は例えば、空気を入れたいわば空気層による断熱層87とすること、または、ほぼ真空状にすることで断熱効果を奏することができる。また、断熱部材を充てんすることも可能である。たとえば、フェノールフォームを充てんすることも好ましい。またウレタンフォームを充てんすることもできる。
加熱部90は、収納部50に配置され、マスクMを加熱するためのものである。加熱部90は、面状の発熱体が好ましい。また、面状の発熱体として、いわゆるPTC(Positive Temperature Coefficient(正温度係数))ヒーターが好ましい。PTCヒーターは、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇し電流が下がることであらかじめ所定の温度を維持することができる。したがって、その温度はあらかじめ任意に設定することができ、その温度を設定したPTCヒーターを収納部50に配置することができる。したがって、加熱部90に上述のPTCヒーターを使用した場合は、その温度を維持するためのサーモスタット類の温度維持部を必ずしも必要としないのである。
ここで所定の温度とは、一般的に新型コロナウイルスを不活性化するためには、摂氏70度以上を、5分以上維持することが必要と言われている。一方で、マスクMのマスク及びフィルター機能は、摂氏150度以上から変形・収縮率が大きくなることが言われている。そこで上述のPTCヒーターは、90度以上150度以下に温度を維持するようにあらかじめ設定することで、マスクMに付着したウイルスを、70度以上を5分以上維持する事により、いわゆる熱伝導によりマスク全体が加熱されウイルスを不活化しつつ、マスクMの組成を損傷する恐れを可及的に軽減することを目的としている。また、後述する温度を維持する温度維持部600を有する場合も同様に、90度以上150度以下に温度を維持するようにあらかじめ設定することができる。
加熱部90は、底部25上に載置することで、収納部50にその加熱部90を配置することができる。また、上述の通り面状の発熱体を収納部50の全面に貼り付けることができる。このように、マスクMを収納部50に配置したときに、そのマスクM全体を加熱するのに好適である。
また、上述の、所定温度で加熱する時間を計測するタイマー110は配電部150に設置され、加熱する時間の終了を、図示しない使用者に知らせるためのものである。表示灯111と、タイマー基盤112と、加熱部90のスイッチ115とで構成され、そのタイマー基盤112によって制御され、図示しない使用者はその終了する時間をセットすることができる。なお、配線W1は、表示灯111と、タイマー基盤112に接続され、配線W2は、接続部91を介してタイマー基盤112に接続され、配線W10は、タイマー基盤112と外部から給電するためのコンセントであるUSB(Universal Serial Bus)端子120に接続される(図3参照)。したがって、加熱部90のスイッチ115によって、オン・オフすることで、タイマー110をオン・オフすることができる。
図示しない使用者は、第1実施例におけるタイマー110において、加熱部90のスイッチ115をオンした直後に、加熱部90の加熱が始まり表示灯111が点灯し、昇温時間を含め10分経過後にスイッチはオフとなり表示灯は消灯し、加熱は終了する。タイマー110および、加熱部90をオン・オフするスイッチ115は、配電部150に配置されている(図3参照)。
加熱部90は外部から給電するために、USB端子120に接続されている。すなわち、接続部91を介してタイマー基盤112を経由し、外部電源を入力する配線W10によってUSB端子120の一方に接続され、また、配線W11は、接続部91を介してスイッチ115に接続され、配線W12は、スイッチ115とUSB端子120の他方に接続されている。したがって配線W11と配線W12は、スイッチ115によってオン、オフされるように配置されている。このように、USB端子120は、図示しない100ボルトの家庭用の電源に図示しないAC−DCアダプターを用いて電気的に接続することができる。なお、これらのタイマーとスイッチの一体型操作機能の構成には、図示しない専用の電子基板で制御するタッチパネルを使用する事ができる。
また、第2実施例のマスク加熱装置200も第1実施例のマスク加熱装置10と同様に、マスクWを加熱することにより例えば可能な限り付着した新型コロナウイルスを不活性化しようとするためのものである。ここで、第1実施例のマスク加熱装置10と同様の構成については同様の符号を付しその説明を省略することがある。第2実施例のマスク加熱装置200と第1実施例のマスク加熱装置10との相違は、その筐体220の大きさであり、筐体部20のほぼ半分の大きさである。このような構成したのはコンパクトで持ち運び容易とするためである。また、第2収納部250は、マスクWを2つ折り状態で収納することができる。
第2実施例のマスク加熱装置200も、全体として箱型形状を呈するものでありマスクWを収納するための第2収納部250を具備する、第2筐体部220と、その第2収納部250を閉塞する蓋としての第2蓋部280と、を有するものである。また、第2蓋部280も、蓋部80のおよそ半分の大きさである。また、その第2収納部250は、マスクWを加熱するための第2加熱部290と、を有し、その所定温度で加熱する時間を計測するタイマー110と、をさらに有するというものである。
また、第2筐体部220は、いわばマスクWを収納するための箱というべきものであって、その内側にマスクWを収納しうる第2収納部250を有するものである。第2筐体部220は、底を構成する第2底部225とその第2底部225の周囲に立設するように配置した、いわば壁となる第2壁部230を有する。また、第2収納部250は、上述の第2底部225と、第2壁部230に囲まれた空所である。第2実施例のマスク加熱装置200における第2収納部250は、ほぼ正方形状の空所である。
また第2筐体部220は、合成樹脂で作成することが好ましく、特に耐熱性樹脂である、PE(高密度ポリエチレン樹脂),PTFE(フッ素樹脂)、PVDC(ポリ塩化ビニルデン樹脂)、PC(ポリカーボネート樹脂)、PF(フェノール樹脂),PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)、を使用することができる。なお、第2蓋部280についても同様である。
また、第2底部225は、所定の厚みを有し、その内部を中空構造にすることが好ましく、第2底部225の内部は閉鎖された空間である第2底空間部226を有する。第2底空間部226は例えば、空気を入れたいわば空気層による断熱層227とすること、または、真空状にすることで断熱効果を奏することができる。また、断熱部材を充てんすることも可能である。たとえば、フェノールフォームを充てんすることも好ましい。またウレタンフォームを充てんすることもできる。
また、第2壁部230は、中空構造にすることが好ましく、第2壁部230の内部は閉鎖された空間である第2壁空間部231を有する。第2壁空間部231は例えば、空気を入れたいわば空気層による断熱層232とすること、または、真空状にすることで断熱効果を奏することができる。断熱部材を充てんすることも可能である。たとえば、フェノールフォームを充てんすることも好ましい。またウレタンフォームを充てんすることもできる。
また、第2壁部230の第2上端部235は平滑であり、第2収納部250を取り囲むように配置されている。これについてはさらに後述する。
第2蓋部280は、文字通り、第2収納部250を閉塞するために蓋となるものであって、第2蝶番287、287を介して第2筐体220に対し、横開きに開閉可能に配置されている。第2蓋部280の第2裏面281に、第2欠き込み部282を有し、第2裏面281の周囲を囲むように配置されている。この第2欠き込み部282は、第2蓋部280が閉じるときに、壁の第2上端部35と直角に二面で接するように配置され、第2上端部235と第2欠き込み部282の二ケ所に磁石で構成された第2開き止め部284を埋め込む。これにより、第2収納部250の気密性を保つことができる。また第2蓋部280の表面285は鏡面加工することができる。
また、第2蓋部280は、中空構造にすることが好ましく、第2蓋部280の内部は閉鎖された空間である第2蓋空間部286を有する。第2蓋空間部286は例えば、空気を入れたいわば空気層による断熱層287とすること、または、真空状にすることで断熱効果を奏することができる。また、断熱部材を充てんすることも可能である。たとえば、フェノールフォームを充てんすることも好ましい。またウレタンフォームを充てんすることもできる。
第2加熱部290は、第2収納部250に配置され、マスクWを加熱するためのものである。第2加熱部290は、面状の発熱体が好ましい。また、面状の発熱体として、いわゆるPTC(Positive Temperature Coefficient(正温度係数))ヒーターが好ましい。加熱部90との相違は大きさが異なることである。したがって、その温度はあらかじめ任意に設定することができ、その温度を設定したPTCヒーターを第2収納部250に配置することができる。なお、第2加熱部290に上述のPTCヒーターを使用した場合は、その温度を維持するためのサーモスタット類の温度維持部は不要となる場合がある。
第2加熱部290は、第2底部225上に載置することで、第2収納部250にその第2加熱部290を配置することができる。また、上述の通り面状の発熱体を第2収納部250の全面に貼り付けることができる。このように、第2収納部250に配置したマスクW全体を加熱するのに好適である。
上述の、所定温度で加熱する時間を計測するタイマー110は、上述した通りであり、同一の符号を付しその説明は省略する。また、第2加熱部290は外部から給電するために、USB端子120に接続されている。すなわち、第2接続部291を介して外部電源を入力する配線W10によってUSB端子120の一方に接続され、また、配線W11は、第2接続部291を介してスイッチ115に接続され、配線W12は、スイッチ115とUSB端子120の他方に接続されている。したがって、配線W11と配線W12は、スイッチ115によってオン、オフされるように配置されている。このように、USB端子120は、図示しない100ボルトの家庭用の電源に図示しないAC−DCアダプターを用いて電気的に接続することができる。なお、これらは第2配電部350に配置されている。なお、これらのタイマーとスイッチの一体型操作機能の構成には、図示しない専用の電子基板で制御するタッチパネルを使用する事ができる。
また、第3実施例のマスク加熱装置300は、第2実施例のマスク加熱装置200と後述する相違点を除きその構成はほぼ同様であり同一の構成については同一に符号を付しその説明を省略する。
第3実施例のマスク加熱装置300と第2実施例のマスク加熱装置200との相違点は、第2加熱部290に給電するためのモバイルバッテリー390と接続するための入力するUSB端子120を有し、電源コード430を用いて電気的に接続することができる。これにより外出先においてもマスクWを加熱することができる。なおこれらは第3配電部450に配置されている。また、図示しない薄型バッテリーは、底部225の下部に設置して加熱部290に給電することができる。
上述の所定温度で加熱する時間を計測するタイマー110は、上述した通りであり、同一の符号を付しその説明は省略する。
また、第1実施例のマスク加熱装置10における加熱部90に替えて、第4の加熱部590を配置した第4実施例のマスク加熱装置500について説明する。第4の加熱部590は、面状の発熱体として、フィルムヒーター、シリコンラバーヒーターまたは、ニクロム線ヒーター、カーボンヒーター、セラミックヒーターを使用することができる。なお、その場合は、一定の温度を維持するためのサーモスタット類の温度維持部600が必要となる場合がある。温度維持部600は、温度を計測する温度センサー601と、電力を入力する入力配線602と、その入力配線602から入力した電力を、加熱部590に出力する出力配線603と、所定の温度によって、入力配線602と出力配線603との、連結または、切断を、切り替えることができるサーモスタット本体610とを有する。温度センサー601は、温度センサー貫通孔145から、収納部50に侵入し、その収納部50の温度を計測することができる。これにより、収納部50の温度が所定の温度に達すると、入力配線602と出力配線603の接続を、サーモスタット本体610が切断することで、第4の加熱部590の温度上昇を抑制する。また温度が低下すると、再び、切断された入力配線602と出力配線603とを接続するものである。なお、他の構成は、第1実施例のマスク加熱装置10とほぼ同様であり同一の符号を付しその説明を省略することがある。
また、第2実施例のマスク加熱装置200も第2加熱部290に替えて、第5の加熱部790を配置した第5実施例のマスク加熱装置700について説明する。第5の加熱部790は、面状の発熱体として、フィルムヒーター、シリコンラバーヒーターまたは、ニクロム線ヒーター、カーボンヒーター、セラミックヒーターを使用することができる。なお、その場合は、一定の温度を維持するためのサーモスタット類の温度維持部600が必要となる場合がある。温度維持部600は、上述の通りであり、同一の符号を付しその説明を省略する。なお、他の構成は、第2実施例のマスク加熱装置200と同様であるので、同一の符号を付しその説明は省略する。
上述の、第1実施例のマスク加熱装置10の使用方法としては、マスクM単体を収納部に配置して加熱する。蓋部80を開けた状態において、マスクMを顔から外した状態で二つ折りにして、ノーズパットの部位を、裏面81の欠き込み部82の一部にある幅広部83に合わせて蓋部80を閉じ、磁石で構成された開き止め部84で固定する事ができる。その後、例えば、110度で昇温時間を含め10分加熱する。加熱部がPTCヒーターの場合、サンプルヒーターによる簡易実験では、ヒーター温度よりマスク上面温度は約30度低下するので、例えば、あらかじめ110度で設定したものを使用し、タイマー110で表示灯111が消えるように、例えば、10分とセットし使用者に通知する。
また、第2実施例のマスク加熱装置200の使用方法としては、マスクW単体を収納部に配置して加熱する。蓋部280を開けた状態において、マスクWを顔から外した状態で一旦左右に広げ一部を第2収納部250に配置するとともに、二つ折りにしてノーズパットの部位を、第2裏面281の第2欠き込み部82の一部にある第2幅広部283に合わせて、第2蓋部280を閉じ、磁石で構成された第2開き止め部284で固定する事ができる。その後、例えば、110度で昇温時間を含め10分加熱する。加熱部がPTCヒーターの場合、サンプルヒーターによる簡易実験では、ヒーター温度よりマスク上面温度は約30度低下するので、例えば、あらかじめ110度で設定したものを使用し、タイマー110で表示灯111が消えるように、例えば、10分とセットし使用者に通知する。また、第3実施例のマスク加熱装置300も同様に使用することができる。
また、第4実施例のマスク加熱装置500および第5実施例のマスク加熱装置700についても、温度維持部600が温度を計測する温度センサー601を介して、入力配線602と出力配線603との連結を切断する温度を、あらかじめ、例えば110度と設定し、入力配線602と出力配線603とが連結することで一定の温度を維持しつつタイマー110で表示灯111が消えるようにすることができる。例えば、昇温時間を含め10分とセットし使用者に通知することで、マスクMに付着した新型コロナウイルスを不活化する可能性を有することができる。なお、第5実施例のマスク加熱装置700における第5配電部750の内部は、第2実施例の第2配電部350と同様であり、同一の符号を付しその説明を省略する場合がある。
また、第1実施例から第5実施例のすべてのマスク加熱装置においては、新型コロナウイルスにだけにとどまらず、今後起こりえる同条件の感染症に対しても使用することができることは言うまでもない。