JP3231223U - 電池モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の電池セルの内圧上昇による巻締め部の緩みを抑制し、巻締め部の巻戻りを効率的に抑制できる電池モジュールを提供する。【解決手段】複数の角型の電池セルが、その最も長い辺と二番目に長い辺とに囲まれた側面同士を接して積層または並置され、該積層または並置された複数の角型の電池セルの両端がエンドプレートで拘束される電池モジュールであって、該電池セルは缶胴および蓋を含んでなる容器を含み、該缶胴に該蓋を内巻きで巻き締める。【選択図】図1

Description

本考案は、電池モジュール、特に複数の角型の電池セルがその側面同士を接して積層または並置されてなる電池モジュールに関する。
近年電気技術の進歩により電子機器の高性能化、小型化、高エネルギー化、ポータブル化の進展や、電気駆動自動車の高性能化が進み、それらの駆動用の電源である各種の電池のケース(容器とも称する)には、缶体強度、耐漏液性、気密性、熱放散性などに優れていることが要求されている。
電池ケースや各種の電気機器用ケースは、発電要素を充填した後に内容物が長期間にわたり漏れず高気密性を保つことが要求される。それらのケースの耐内容物漏洩性や気密性は、缶の胴部における接合状態や、缶の胴部と蓋との封口状態などにより左右されることが多い。
特許文献1は、電池容器を封口する生産性の高い方法として、二重巻き締め方式およびプレス方式に着目したところ、気密性を確保することが困難であるという課題が見つかり、この課題を解決するために、巻き締めまたはプレスする金属板の片面または両面を樹脂被膜でコーティングすることを提案する。これにより、金属板にコーティングされている樹脂材料が二重巻締め封口もしくはプレス封口時にガスケットとして機能するので電池の気密性能が著しく向上する、と開示されている。
特許文献2は、電解液等の構成要素を内蔵する二次電池のケース(ケース本体と蓋材からなる)において、その絶縁性や密封性等の長期信頼性を確保するために、ケース本体と蓋材の間に絶縁体(ポリイミド、ポリアミド等)を挟み、両者を電気的に絶縁した状態で、二重巻き締めによって密封することを提案する。
特許文献3は、3ピース角型缶(缶胴部、天蓋、底蓋から構成される缶)に関するものである。特許文献1や特許文献2で提案される2ピース缶(有底容器と、蓋材から構成される缶)は、有底部の構造的制約からくる缶体強度不足の問題があり、特許文献3はこの課題(缶体強度不足)を解決できる3ピース缶構造を提案する。具体的には、特許文献3は、缶胴部の両端開口部にネッキング加工を施し、当該部に有機コンパウンドを介して天蓋と底蓋を二重巻き締めすることを開示している。
特開平6−236750号公報 特開2002−343310号公報 国際公開第2006/123666号
特許文献1〜3で提案されるように、容器本体と蓋体とを巻締めて封口した電池用容器が広く知られている。そのような巻締めによる容器は、(容器本体部が)円筒型である場合、容器内圧が上昇した際、全ての巻締め部に均一に力がかかるため、巻き戻り等が起きにくい。一方、(容器本体部が)角型の場合、容器内圧が上昇すると容器本体の側面、特に長辺を含む側面言い換えると側面積の大きい側面、が膨れやすく、当該側面と蓋部との巻き締め部が巻戻り易く、密閉性が低下することがある。
また、電池セルを複数組み合わせた電池モジュールは、それが使用される最終製品で要求される仕様に応じて、作動電圧や電池容量等を調整しやすいという利点を有しており、広く用いられている。しかし、セル数が多くなるほど、上述の密閉性が低下する問題が顕在化しやすい。
考案者らは上記の課題について鋭意検討したところ、円筒型より積載効率に優れる角型である電池セルの容器の面、特に長辺を含む面、言い換えると面積の大きい側面を押さえつけることで、容器内圧が上昇しても当該面のふくらみを抑制でき、当該面と蓋部との巻締め部が巻戻りが起きにくくなることを見出した。この知見に基づいて、本考案の一態様では、複数の電池セルを組み合わせた、電池モジュールにおいて、電池セルの容器本体の長辺と二番目に長い辺を含む面、言い換えると最も面積の大きい面が接するように並べ、それらの電池セルを両端から拘束する板(以下、エンドプレートと記す)で固定する。これにより、複数の電池セルの内圧上昇による巻締め部の緩みを抑制し、巻締め部の巻戻りを効率的に抑制できる。
本考案により以下の態様が提供される。
[1]複数の角型の電池セルが、その最も長い辺と二番目に長い辺とに囲まれた側面同士を接して積層または並置され、該積層または並置された複数の角型の電池セルの両端がエンドプレートで拘束されてなる電池モジュールであって、該電池セルは缶胴および蓋を含んでなる容器を含み、該缶胴に該蓋を内巻きで巻き締めてなることを特徴とする電池モジュール。
[2]複数の角型の電池セルが、その最も長い辺と二番目に長い辺とに囲まれた面同士をスペーサーを介して接して積層または並置され、該積層または並置された複数の角型の電池セルの両端がエンドプレートで拘束されてなる電池モジュールであって、該電池セルは缶胴および蓋を含んでなる容器を含み、該缶胴に該蓋を巻締めてなることを特徴とする電池モジュール。
[3]前記容器が缶底を含んでなり、前記缶胴に該缶底を巻締めてなることを特徴とする[1]または[2]に記載の電池モジュール。
[4]前記スペーサーが、前記電池セルに接する表面に連続した溝を有し、該溝の前記スペーサー表面における面積が50%以上、90%以下であることを特徴とする[2]または[3]に記載の電池モジュール。
[5]前記スペーサーが、内部に空隙を持ち、空隙の体積が前記スペーサーの外形の体積の20%以上、50%以下であることを特徴とする[2]〜[4]のいずれか一つに記載の電池モジュール。
[6]前記スペーサーの厚さが前記電池セルの積層または並置される方向で1mm以上、2mm以下であることを特徴とする[2]〜[5]のいずれか一つに記載の電池モジュール。
[7]前記スペーサーの前記電池セルに接する表面が矩形であり、該矩形の長辺の長さが、前記電池セルの最も長い辺の長さの80%以上95%以下、該矩形の短辺の長さが前記電池セルの二番目に長い辺の長さの80%以上95%以下であることを特徴とする[2]〜[5]のいずれか一つに記載の電池モジュール。
巻締めにより蓋部と容器本体とを接合した角型の電池セルでは、電池セルの内圧上昇により、容器本体の側面、特に長辺を含む側面言い換えると側面積の大きい側面、が膨れやすく、当該側面と蓋部との巻き締め部が緩み易く、巻戻り易い。特に、複数の電池セルを複数組み合わせた、電池モジュールにおいて、その問題は顕著であった。しかし、本考案によれば、最も面積の大きい面を押さえつけることで、容器内圧が上昇しても当該面のふくらみを抑制でき、蓋部と容器本体との巻き締め部が緩みにくくなり、巻戻りを効率的に抑制できる。
本考案の一態様による電池モジュールの上面図である。 実施例・比較例での、電池セルの積層または並置の状態を概略模式的に示した図である。(1〜3) 実施例・比較例での、電池セルの積層または並置の状態を概略模式的に示した図である。(4〜6) 実施例・比較例での、電池セルの積層または並置の状態を概略模式的に示した図である。(7〜9) 実施例・比較例での、電池セルの積層または並置の状態を概略模式的に示した図である。(10〜14)
本考案の第1の態様による、電池モジュールは、複数の角型の電池セルが、その最も長い辺と二番目に長い辺とに囲まれた側面同士を接して積層または並置され、該積層または並置された複数の角型の電池セルの両端がエンドプレートで拘束されてなる電池モジュールであって、該電池セルは缶胴および蓋を含んでなる容器を含み、該缶胴に該蓋を内巻きで巻き締めてなることを特徴とする。
当該電池モジュールは、複数の角型の電池セルで構成されている。
当該電池モジュールでは、複数の電池セルが、それらの側面同士を接するように積層または並置される。なお、積層とは、複数の電池セルを略鉛直方向に積み上げることを指し、並置とは複数の電池セルを略水平方向に並べ置くことを指す。(電池分野では9V電池のように複数の電池を直列で繋げたものを「積層電池」「積層乾電池」と呼ぶことがあるが、本明細書において、特に断りのない限り、積層とは前述した意味で用いられる。)なお、後述するとおり、これらの積層または並置された複数の電池セルは、両端がエンドプレートで拘束されるので、拘束された状態の電池モジュールは、略鉛直方向または略水平方向またはその他の方向のいずれの方向に配置してもよい。
電池セルは角型であり、側面を有するが、複数の電池セルを積層または並置する際に接する側面は、該電池セルにおいて、最も長い辺と二番目に長い辺とに囲まれた側面である。この側面は、該電池セルにおいて、最も面積の大きい側面積であり、電池セルの内圧の影響を最も受け易く、膨らみ易い。この最も面積の大きい側面積同士を接することにより、電池セルの内圧の影響が受けにくくなり、膨らみにくくなる。その結果、蓋部と容器本体(缶胴)との巻き締め部が緩みにくくなり、巻戻りを効率的に抑制できる。
なお、最も面積の大きい側面積に対して二番目に面積の大きい側面積が大差ない場合、最も面積の大きい側面積の面を押さえることで二番目に面積の大きい側面積の面で膨らみが生じ、巻き戻りが起きる可能性がある。そこで、二番目に面積の大きい側面積は、最も面積の大きい側面積に対して小さいほど、巻き戻りが起こりににくくなり、好ましい。したがって、二番目に面積の大きい側面積を、最も面積の大きい側面積の50%以下としてもよい。
さらに、積層または並置された複数の電池セルの両端(より詳しくは該積層方向または並置方向における複数の電池セルの両端)が、エンドプレートで拘束されている。この拘束により、複数の電池セルは、積層方向または並置方向に変形することを物理的に制限され、電池セルは、さらに膨らみにくくなる。図1は、複数の電池セルが積層または並置され、その両端がエンドプレートで拘束されている態様を概略的に図示したものである。
該電池セルの容器は、該電池セルの構成要素の一つであり、缶胴(容器本体)に、蓋部を内巻きで巻き締めてなるものである。溶接等の巻き締め以外の方法で、接合された容器では、巻き戻りの課題自体が生じないためである。また、巻き締めは、巻き締める方向により、内巻きと外巻きがあるが、本態様では、内巻きとする。外巻きの場合、電池セルを積層または並置する際に、外巻きにした巻き締め部が干渉して、電池セルの側面同士が接しにくくなることがあるためである。その場合、電池セルの側面が、内圧の影響を受け、膨らみ、結果として、巻き締め部が緩んでしまい、巻戻りを効率的に抑制できないことがある。
本考案の第2の態様では、複数の角型の電池セルが、その最も長い辺と二番目に長い辺とに囲まれた面同士をスペーサーを介して接して積層または並置され、該積層または並置された複数の角型の電池セルの両端がエンドプレートで拘束されてなる電池モジュールであって、該電池セルは缶胴および蓋を含んでなる容器を含み、該缶胴に該蓋を巻締めてなる。
第2の態様では、複数の角型の電池セルが、その最も長い辺と二番目に長い辺とに囲まれた面同士をスペーサーを介して接して積層または並置される。
すなわち、積層または並置された複数の電池セル同士の間に、スペーサーも積層または並置される。その上で、積層または並置された複数の電池セルの両端が、エンドプレートで拘束されている。そのため、積層または並置された電池セル、特にそのスペーサーと接している側面は、より膨らみにくくなる。その結果、蓋部と容器本体(缶胴)との巻き締め部が、さらに、緩みにくくなり、巻戻りを効率的に抑制できる。
なお、スペーサーが巻き締め部と接触すると、スペーサーと電池セルの側面との密着度合いが低下することがあるので、スペーサーを巻き締め部と接触しないように配置することが好ましい。巻き締め部に接触しないように、スペーサーの形状、寸法を調整してもよい。
また、本実施態様(第2の態様)では、電池セルの容器が缶胴に蓋を巻締めてなるが、巻き締めの方向は、特に限定されず、内巻きであってもよく外巻きであってもよい。外巻きの巻き締め部は、電池セルを積層または並置する際に、外巻きにした巻き締め部が干渉して、電池セルの側面同士が接しにくくなることがある。しかし、本実施態様によれば、スペーサーが、外巻きの巻き締め部の干渉を緩和することができ、電池セルの側面の膨らみを十分に抑制でき、巻戻りを効率的に抑制できる。
本考案の一態様では、電池セルの容器は、缶胴(容器本体)に、缶底を巻締めてなるものであってもよい。
すなわち、角型の電池セルの容器が、角型の管状または筒状の缶胴、蓋部、および缶底部から構成され、蓋部と缶底部はそれぞれ、角型管状の缶胴に巻き締めて固定されてもよい。この形態の電池セルの容器は、いわゆる3ピース缶である。2ピース缶(有底容器と、蓋材から構成される缶)では、有底部の構造的制約からくる缶体強度不足の問題があるが、3ピース缶であると有底部の構造的制約が減じて、缶体強度を高めることができる。
本考案の一態様では、スペーサーが、前記電池セルに接する表面に連続した溝を有し、該溝の前記スペーサー表面における面積が50%以上、90%以下であってもよい。
スペーサーの表面に連続する溝が存在しており、このスペーサーの表面は電池セルに接する面である。この溝に、流体(気体または液体等)を流通するまたは存在させることができ、当該流体は電池セルの側面に接触して、電池セルの温度を調整すること、特に冷却することができる。温度制御効果、特に冷却効果を高めるために、溝はスペーサーの外部環境と連通するようにされてもよい。
なお、ここでの面積とは、該溝を有する表面を正面から見た正面図(投影図)において、測定されるものである。溝の面積は、大きいほど電池セルの温度制御、冷却効果が高まり好ましい。一方で、溝の面積が、大きすぎると、スペーサーが接する電池セルの側面の膨らみを抑制する効果が十分に得られないことがある。これらを考慮して、スペーサー表面における溝の面積は50%以上、90%以下としてもよい。
本考案の一態様では、前記スペーサーが、内部に空隙を持ち、空隙の体積が前記スペーサーの外形の体積の20%以上、50%以下であってもよい。
スペーサーが内部に空隙を有することにより、積層または並置された複数の電池セルをその両端からエンドプレートで拘束した際に、スペーサー内部の空隙が拘束による圧縮力を適度に緩和して、電池セルに過剰な圧縮力がかかり損傷等が生じることを防ぐことができる。空隙部の体積は大きいほど、拘束による圧縮力を緩和する効果は高くなる。一方で、空隙部の体積が大きすぎると、スペーサー自体の強度が低下するおそれが生じる。これらを考慮して、スペーサーの空隙の体積が、スペーサーの外形の体積の20%以上、50%以下であってもよい。
本考案の一態様では、前記スペーサーの厚さは1mm以上、2mm以下であってもよい。ここでのスペーサーの厚さとは、前記電池セルの積層または並置される方向で測定される厚さである。
スペーサーの厚さが厚すぎると、電池モジュールの外形が大きくなり、好ましくない場合がある。一方で、スペーサーの厚さが薄すぎると、スペーサー自体の強度が低下するおそれが生じる。これらを考慮して、スペーサーの厚さは1mm以上、2mm以下であってもよい。
本考案の一態様では、前記スペーサーの前記電池セルに接する表面が矩形であり、該矩形の長辺の長さが、前記電池セルの最も長い辺の長さの80%以上95%以下、該矩形の短辺の長さが前記電池の二番目に長い辺の長さの80%以上95%以下であってもよい。
スペーサーの形状は、スペーサーとしての機能(特に電池セルの側面に接して、電池セルの側面の膨らみを抑えること)果たすものであるかぎり、特に限定されるものではない。一方で、スペーサーの接する、電池セルは角型であり、その側面が矩形であるので、当接するスペーサーの形状が矩形であると、電池セルの側面に対応させ易く好ましい。
ここで、スペーサーの当接面は、対応する電池セルの側面よりも、小さいことが好ましい。そうでない場合、電池モジュールにした際に、電池セルの間に挟まれたスペーサーがはみ出す形になり、はみ出し部の処理が必要になり、好ましくない。一方で、スペーサーの当接面が、対応する電池セルの側面よりも、小さすぎると、スペーサーとしての機能(特に電池セルの側面に接して、電池セルの側面の膨らみを抑えること)を十分に果たすことができない場合がある。これらを考慮して、スペーサーの当接面である矩形の長辺の長さが、対応する電池セルの最も長い辺の長さの80%以上95%以下、且つ、スペーサーの矩形の短辺の長さが、対応する電池セルの二番目に長い辺の長さの80%以上95%以下であってもよい。
また、スペーサーの材質は、スペーサーとしての機能(特に電池セルの側面に接して、電池セルの側面の膨らみを抑えること)果たすものであるかぎり、特に限定されるものではなく、樹脂製、金属製であってもよい。
以下に、実施例を示しながら、本考案の一実施形態に係る電池モジュールについて、より具体的に説明する。なお、以下に示す実施例は、本実施形態に係る電池モジュールのあくまでも一例に過ぎず、本実施形態に係る電池モジュールが以下に示す実施例に限定されるものではない。
表1に示す種々の条件の電池モジュールを用意し、それらについて耐圧試験を行なった。
Figure 0003231223
表1の「缶構造」では、電池セルの容器の構造を示す。それらは、角型形状を有する缶構造であり、2ピース(有底容器と蓋部から構成され、それらを巻き締めしたもの)と、3ピース(底なし容器(角型の筒部)と蓋部と底部から構成され、それらを巻き締めしたもの)のものを用意した。「蓋」および「底」では、それぞれの箇所で採用された巻き締めの方式として、内巻きと外巻きのいずれかを示した。「スタック」は、電池セルの積層または並置の状態を説明するものであり、『無し』は単一の電池セル(すなわち単セル)のものを指し、その他は5つの電池セルをエンドプレートで拘束したものである。『スペーサーA』は、溝のあるスペーサーを各セル間に挟んだものである。『スペーサーB』は、空隙を含むスペーサーを各セル間に挟んだものである。『スペーサーC』は、ソリッドな形状(溝もなく、空隙もない)スペーサーを各セル間に挟んだものである。『直接』は、スペーサーなしで電池セル5つを直接スタックしたものである。図2は、各例No.1〜14での、電池セルの積層または並置の状態を概略模式的に示したものである。
なお、各スペーサーのより詳細な条件は以下のとおりである。
スペーサーA:溝あり(表面に幅3mmの凸部と、幅5mm、深さ2mmの凹部が交互に形成された溝部を有する)。アルミニウム製。
スペーサーB:空隙あり(充放電に伴う膨張収縮に適度に追従)。ABS樹脂製。
スペーサーC:ソリッド(熱伝導シートのように軟らかいもの)。シリコーン樹脂製。
耐圧試験では、電池セルを内部圧力11.6kPaで6時間保持した際に、内容物の漏れがあったものは×、漏れが無かったものは○とした。なお、エンドプレートは初期締め付け力を1kPaで締め付けており、電池セルが膨張した場合に拘束力(締め付け力)がかかるようにした。
本考案例では、良好な耐圧試験結果が得られることが確認された。
No.3、6、9、12は、単一の電池セル(単セル)であり、エンドプレートによる拘束がなかったために、巻き戻りが生じて、結果として耐圧試験で漏れが生じた。
No.5、11は、5つの電池セルをエンドプレートで拘束したものであるが、スペーサーを挟んでおらず、容器の巻き締め部が外巻きであったために、巻き締め部が干渉して、電池セル同士が接しにくくなり、電池セルの側面の膨らみを十分に抑制できず、巻き戻りが生じて、結果として耐圧試験で漏れが生じた。
No.2、8は、容器の巻き締め部が内巻きであることを除くと、それぞれNo.5、11と同じ条件であるが、巻き締め部が内巻きであったために、巻き締め部が干渉することはなく、電池セルの側面の膨らみを十分に抑制でき、巻き戻りは生じず、耐圧試験で漏れは生じなかった。
No.1、4、7、10は、5つの電池セルをエンドプレートで拘束し、各電池セル間にスペーサーAを挟んだものであり、巻き締め部が内巻き、外巻きに関係なく全ての例で、電池セルの側面の膨らみを十分に抑制でき、巻き戻りは生じず、耐圧試験で漏れは生じなかった。また、スペーサーAは溝を有するために、溝を雰囲気ガスが流通し、スペーサーAが接する電池セルの側面が冷却されるので、一昼夜の充放電を行なった場合、No.1、7は、それぞれスペーサーを挟まないことを除いて同じ条件であるNo.2、8よりも、電池セルの表面温度が低下した。
No.13、14は、5つの電池セルをエンドプレートで拘束し、各電池セル間にそれぞれスペーサーBまたはCを挟んだものであり、全ての例で、電池セルの側面の膨らみを十分に抑制でき、巻き戻りは生じず、耐圧試験で漏れは生じなかった。

Claims (7)

  1. 複数の角型の電池セルが、その最も長い辺と二番目に長い辺とに囲まれた側面同士を接して積層または並置され、該積層または並置された複数の角型の電池セルの両端がエンドプレートで拘束されてなる電池モジュールであって、該電池セルは缶胴および蓋を含んでなる容器を含み、該缶胴に該蓋を内巻きで巻き締めてなることを特徴とする電池モジュール。
  2. 複数の角型の電池セルが、その最も長い辺と二番目に長い辺とに囲まれた面同士をスペーサーを介して接して積層または並置され、該積層または並置された複数の角型の電池セルの両端がエンドプレートで拘束されてなる電池モジュールであって、該電池セルは缶胴および蓋を含んでなる容器を含み、該缶胴に該蓋を巻締めてなることを特徴とする電池モジュール。
  3. 前記容器が缶底を含んでなり、前記缶胴に該缶底を巻締めてなることを特徴とする請求項1または2に記載の電池モジュール。
  4. 前記スペーサーが、前記電池セルに接する表面に連続した溝を有し、該溝の前記スペーサー表面における面積が50%以上、90%以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の電池モジュール。
  5. 前記スペーサーが、内部に空隙を持ち、空隙の体積が前記スペーサーの外形の体積の20%以上、50%以下であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
  6. 前記スペーサーの厚さが前記電池セルの積層または並置される方向で1mm以上、2mm以下であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の電池モジュール。
  7. 前記スペーサーの前記電池セルに接する表面が矩形であり、該矩形の長辺の長さが、前記電池セルの最も長い辺の長さの80%以上95%以下、該矩形の短辺の長さが前記電池セルの二番目に長い辺の長さの80%以上95%以下であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一項に記載の電池モジュール。
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