JP3230440B2 - 含塩素プラスチック廃材の処理方法 - Google Patents

含塩素プラスチック廃材の処理方法

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JP3230440B2 JP22154496A JP22154496A JP3230440B2 JP 3230440 B2 JP3230440 B2 JP 3230440B2 JP 22154496 A JP22154496 A JP 22154496A JP 22154496 A JP22154496 A JP 22154496A JP 3230440 B2 JP3230440 B2 JP 3230440B2
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)
  • Fire-Extinguishing Compositions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩素を含有するプ
ラスチック廃材を無害化処理する方法に関し、より詳し
くは、塩化ビニルなどの塩素含有プラスチックを廃棄処
理する際に、ダイオキシンなどの有害な塩素化合物を発
生させずに乾留処理する方法に関するものであり、廃棄
物中のプラスチック分を燃料化して再利用すると共にこ
の乾留残渣を製錬炉を利用して処理し易くする方法であ
って、金属屑が混在するシュレッダーダストの処理方法
としてはもとより、塩化ビニル被覆廃材などのように金
属屑が混在しないプラスチック廃材についても有効な処
理方法である。
【0002】
【従来の技術】近年、都市ゴミや産業廃棄物が急増し、
その埋立処分や焼却処分が社会問題化している。特に、
自動車廃材の破砕処理によって生じたシュレッダーダス
トや家電廃材などが急速に増加しており、その対策が現
在緊急の課題になっている。このシュレッダーダスト
は、配線の被覆材である塩化ビニルなどのプラスチック
廃棄物と金属屑が混在したものであり、現在その大部分
は埋立処理されている。一方、産業廃棄物に含まれるプ
ラスチック廃棄物については、資源再利用の観点から、
その燃料化(固形燃料化、油化、ガス化)が図られてお
り、代表的な方法としてプラスチック廃材やゴム廃材を
乾留して油分とガス分を回収する方法が知られている
(特開昭48-67 号、同49-90773号、同50-4168 号、同50
-85573号)。
【0003】ところが、塩化ビニルなどの塩素含有プラ
スチックは、これを直接に加熱分解すると、熱分解時に
生じる塩素が塩化水素ガスになるため装置の腐食を招
き、またプラスチックの熱分解により生じた炭化水素ガ
スに混入するため、これを燃料として回収して利用する
上で難点がある。さらに空気の存在下で焼却する方法で
はダイオキシンなどの有害な塩素化合物が発生する問題
がある。そこで、含塩素プラスチック廃棄物について
は、高温度の水蒸気を添加して低温乾留し、塩素分を塩
化水素として分離した後に焼却処理する方法(特開昭48
-60466号)や、塩化ビニル樹脂に鉄または酸化鉄を添加
して加熱処理することにより、塩素を鉄と反応させて3
価の塩化鉄FeCl3とした後に、この塩化鉄をガス化して
分離する方法(特公昭50-32264号)が知られている。
【0004】
【発明の解決課題】しかし、前者の方法では塩化水素に
よる腐食の問題は解決されず、また後者の方法は、塩素
を昇華性の高い塩化鉄(III)に転換することにより低い
加熱温度で熱分解処理できるようにしたものであり、塩
素分をガス化して分離する点においては従来の方法と変
わりなく、熱分解後に生成ガスと塩化鉄を分離する工程
が必要であるため処理工程が繁雑であり、燃料化および
再資源化の効率も低い。さらに上記いずれの方法も金属
屑が多量に含まれるシュレッダーダストについては、金
属屑が回収されずに焼却灰として多量に残り、この焼却
灰は重金属の溶出や粉塵の発生を防止するためセメント
固化して埋立て処理するか、溶融して安定なスラグにす
る必要があり、再資源化の上で問題が残る。
【0005】この他に、塩化ビニル含有ダストを非酸化
性雰囲気下で蒸し焼きにする処理方法(特開平7ー80433
号)、塩化ビニル含有ダストにアルカリないしアルカリ
土類の塩を加えて非酸化性雰囲気下で蒸し焼きにする処
理方法(特開平7ー150150号)が知られている。これらの方
法によれば、塩化ビニルの熱分解によって生じた塩素が
混在する金属屑ないしアルカリ土類化合物と反応して塩
化物となり、乾留残渣中に固定される利点を有するが、
乾留温度がいずれも350〜500℃の一段乾留である
ため、塩化ビニルの熱分解による塩素の離脱と炭化水素
ガスの発生が同時に進行し、炭化水素ガス中に塩素が混
入し、このため塩素の固定が不十分になる問題がある。
【0006】本発明は、従来の塩素含有プラスチック廃
材の処理方法における上記課題を解決する処理方法を提
供することを目的とする。
【0007】
【課題の解決手段】本発明は、350℃以下の低温乾留
と450℃以上の高温乾留との2段階の乾留を行うこと
により、熱分解によってプラスチックから離脱する塩素
の固定と炭化水素ガスの回収を分離して行うことができ
るようにし、またカルシウム化合物を加えることによ
り、塩化ビニル被覆廃材などのように金属屑が混在しな
いプラスチック廃材についても塩素を固定して乾留処理
できるようにすると共にこの乾留残渣を製錬炉において
利用し易くしたものである。また、回収した乾留油や乾
留ガスを燃料としても利用できる。
【0008】すなわち、本発明によれば以下の構成から
なる含塩素プラスチック廃材の処理方法が提供される。 (1)含塩素プラスチック廃材にカルシウム化合物を加
え、非酸化性雰囲気下、300〜350℃の温度で低温
乾留して乾留ガスを回収する一方、該含塩素プラスチッ
ク廃材の熱分解によって生じた塩素を上記カルシウム化
合物および混在する金属屑と反応させて該乾留温度では
揮発しない塩化カルシウムおよび金属塩化物を生成させ
ることにより上記塩素を低温乾留残渣中に固定して乾留
ガスから分離し、該低温乾留残渣を洗浄して脱塩素化し
た後に、この洗浄残渣を非酸化性雰囲気下で450〜6
00℃の温度で高温乾留して乾留ガスを回収する一方、
高温乾留残渣を製錬炉に導入し、製錬工程において該高
温乾留残渣をフラックスとして利用すると共にカルシウ
ム以外の金属分を回収することを特徴とする含塩素プラ
スチック廃材の処理方法。 (2)カルシウム化合物として消石灰、生石灰または炭
酸カルシウムを用いる上記(1)に記載の処理方法。 (3)含塩素プラスチック廃材が塩化ビニル被覆廃材、
家電廃材である上記(1)または(2)に記載の処理方法。 (4)含塩素プラスチック廃材がシュレッダーダストで
あり、シュレッダーダストの金属屑とカルシウム化合物
との混在下で低温乾留する上記(1)〜(3)のいずれかに記
載の処理方法。 (5)低温乾留残渣をアルカリ洗浄し、該低温乾留残渣
中の金属塩化物を水酸化物として回収する上記(1)〜(4)
のいずれかに記載の処理方法。 (6)高温乾留残渣から炭化物を分離した後に該高温乾
留残渣を製錬炉に導入する上記(1)〜(5)のいずれかに記
載の処理方法。 (7)高温乾留残渣を粉砕し、磁選して鉄屑を分離回収
した後に製錬炉に導入する上記(1)〜(5)のいずれかに記
載の処理方法。
【0009】本発明の処理方法は、(イ)含塩素プラスチ
ック廃材にカルシウム化合物を加え、(ロ)非酸化性雰囲
気下、300〜350℃の温度で低温乾留し、この熱分
解によって離脱した塩素を上記カルシウム化合物と反応
させて低温乾留残渣中に固定し、(ハ)低温乾留ガスを回
収する一方、上記低温乾留残渣を洗浄して脱塩素化し、
(ニ)この洗浄残渣を非酸化性雰囲気下で450〜600
℃の温度で高温乾留し、(ホ)高温乾留ガスを回収する一
方、高温乾留残渣から炭化物を分離回収することからな
る方法であり、更に、好適な態様として、(ヘ)炭化物を
除去した高温乾留残渣を製錬炉に導入し、製錬工程にお
いて該高温乾留残渣に含まれるカルシウム分をフラック
スとして利用すると共にカルシウム以外の金属分を回収
する方法である。
【0010】以下に各処理工程を詳しく説明する。(I)含塩素プラスチック廃材 本発明において含塩素プラスチック廃材とは、塩化ビニ
ルなどに代表される塩素含有樹脂を主体とする廃棄物を
言う。塩化ビニルは電線の被覆材などとして多量に用い
られており、理論的には56重量%(以下%と表示)程
度の塩素を含有し、他のポリオレフィン系樹脂およびポ
リスチレン樹脂などとは、その燃焼、熱分解の挙動が異
なり、比較的低温(約200℃以上)で熱分解が進行し
塩素が離脱する。代表的な含塩素プラスチック廃材とし
てはシュレッダーダストがある。シュレッダーダストに
は概ね10〜30重量%の金属屑が含まれているが、残
余は主に塩化ビニル等の樹脂成分である。この他に、電
線屑などの塩化ビニル被覆廃材、家電廃材、一般家庭か
ら排出される都市ゴミに含まれる含塩素プラスチック廃
材などがある。
【0011】(II)カルシウム化合物の添加 本処理方法は、含塩素プラスチック廃材を熱分解する際
に、この熱分解によって生じた塩素がガス化するのを避
けるために、含塩素プラスチック廃材にカルシウム化合
物を加え、かつ非酸化性雰囲気下、300〜350℃で
低温乾留する。この熱分解によりプラスチックから離脱
した塩素は添加したカルシウム化合物と反応して塩化カ
ルシウムとなり、該塩化カルシウムは上記乾留温度では
気化しないので乾留残渣中に固定される。従って、熱分
解時に塩素ガスや塩化水素ガスが殆ど発生しない。一
方、電線屑などの塩化ビニルを主成分とする被覆廃材
を、カルシウム化合物を混在させずに窒素ガス雰囲気下
で乾留すると、300℃までに含有塩素の80%強は塩
化水素ガスや塩素ガスとして気化する。
【0012】カルシウム化合物は金属屑が混在するもの
に加えても良い。金属屑が混在する代表的な含塩素プラ
スチック廃材はシュレッダーダストである。シュレッダ
ーダストには通常10〜30重量%の金属屑が含まれて
いるが、さらに、これにカルシウム化合物を加えて処理
することができる。
【0013】本発明において用いるカルシウム化合物
は、具体的には消石灰、生石灰または炭酸カルシウムな
どである。カルシウム化合物の添加量は、理論的にはプ
ラスチックから離脱した塩素の全量を金属塩化物に変え
て固定化するのに足りる量であれば良いが、反応効率な
どの点から反応当量より過剰であることが好ましい。な
お、金属屑が混在するものに添加する場合には金属屑と
カルシウム化合物の合計量が上記塩素の固定化を十分に
行う量であれば良いが、反応効率などの点からは過剰量
であることが好ましい。
【0014】(III)低温乾留 本発明の処理方法は、含塩素プラスチック廃材をカルシ
ウム化合物の混在下、非酸化性雰囲気下で300〜35
0℃の加熱温度で低温乾留する。この低温乾留において
含塩素プラスチック廃材が熱分解して主に塩素の離脱が
進行する。塩化ビニルは約300℃以下の加熱範囲では
プラスチックの熱分解により炭化水素ガスの発生と共に
塩素の離脱が進み、約250℃では40%弱程度の重量
が失われ、加熱温度の上昇と共に重量の減少が著しくな
り、約300℃で重量減少量が60%程度に達する。約
300〜350℃の温度範囲では、プラスチック成分に
含まれる塩素の大部分がこの段階で離脱するため重量減
少量が60%程度とあまり変わらない状態が続く。加熱
温度が上昇し約350℃を上回る温度範囲になると炭化
水素基自体の熱分解が進行して再び重量が減少し、炭化
水素ガスの発生量が多くなり、600℃では約95%の
重量が失われる。
【0015】本発明の乾留処理は上記熱分解の進行状態
に対応しており、プラスチックの熱分解による塩素の離
脱が最大限に進行する一方で炭化水素ガスの発生が少な
い300〜350℃の温度範囲で低温乾留を行い、含有
される塩素の大部分を離脱させてカルシウム化合物およ
び金属屑と反応させ、低温乾留温度では揮発しない塩化
カルシウムおよび金属塩化物を生成させることにより乾
留残渣中に固定する。先に述べたように、300〜35
0℃の範囲は含有塩素のほぼ全量がこの段階までに離脱
し、しかもプラスチックの炭化水素化合物の熱分解はあ
まり進行しない温度域であるので、離脱した塩素を乾留
ガスから分離して乾留残渣に固定するのに都合が良い。
乾留温度が300℃未満では塩素の離脱が不十分であ
り、また350℃を超えると炭化水素ガスの発生量が急
激に多くなるので好ましくない。
【0016】乾留時間は、プラスチックの熱分解によっ
て塩素がほぼ完全に離脱するのに十分な時間行う。廃材
の種類や温度にもよるが、約200gのシュレッダーダ
ストを300℃で乾留する場合には概ね1時間半程度で
ある。
【0017】乾留は窒素などの不活性ガスを導入して空
気を排出した非酸化性雰囲気下で行う。ここで非酸化性
雰囲気とは、酸素濃度16vol%以下、好ましくは酸素
濃度4vol%以下であることを云う。空気中(酸化性雰
囲気)で乾留すると、シュレッダーダスト等に混在する
鉄屑などが乾留時に酸化し、酸化数の高い揮発性の塩化
物を形成するので好ましくない。例えば、鉄は空気中で
乾留するとプラスチックから離脱した塩素と反応して3
価の塩化鉄(FeCl3)を生じる。この塩化鉄(FeCl3)は沸点
が約317℃であり、2価の塩化鉄(FeCl2)の沸点(約1
023℃)よりも格段に低い温度でガス化するので乾留時
に気化し、塩素が乾留残渣中に固定されない。
【0018】(IV)乾留ガスの回収、乾留残渣の洗浄 低温乾留によってプラスチックに含まれる塩素のほぼ全
量が離脱すると共にプラスチックの約1割程度が熱分解
してガス化する。この乾留ガスをコンデンサーに導き、
冷却凝縮して乾留液を回収し、さらに乾留液を遠心分離
等により油水分離する。また、未凝縮のガス分をアルカ
リ液に導き、アルカリ洗浄によってガス中にごく僅か残
留する塩素分を捕集分離した後に回収する。この乾留ガ
スは主に炭化水素および水素であり燃料ガスとして再利
用することができる。
【0019】低温乾留後、塩素と反応して生じた金属塩
化物や塩化カルシウムの他に未分解のプラスチックや未
反応のカルシウム化合物および金属屑などが乾留残渣と
して残る。この低温乾留残渣に含まれている塩化カルシ
ウムや金属塩化物は大部分が水溶性であるので、この残
渣を洗浄して金属塩化物を溶解させ、脱塩素化する。な
お、低温乾留残渣は塊状であるので、洗浄前に粉砕して
塩素の溶出効果を高めると良い。洗浄は水洗でも良く、
または苛性ソーダや石灰等を加えたアルカリ洗浄でもよ
い。苛性ソーダや石灰等を加えて洗浄することにより、
洗浄液が中和され、残渣から溶脱した金属イオンは、水
酸化物として沈殿するので、これを分離回収することが
できる。この場合、洗浄液のアルカリ量は、溶脱した金
属分が水酸化物沈殿を生じるpH域になる量を用いる。
最適pH域は金属の種類などによって異なり、各々の金
属種等に応じてアルカリ量を定めれば良い。この他に、
電気透析やイオン交換樹脂による方法、洗浄液を煮沸し
て結晶化させる方法などの方法により上記金属塩化物を
分離回収しても良い。
【0020】なお、洗浄排液のpH値が排水の規制値を
外れる場合には上記金属水酸化物を回収した後に排水の
pHを再度調整して排水規制値の範囲内におさめる。具
体的には、現在の排出基準では排水のpHが5.8〜8.
6の範囲に規制されているので、この規制値を外れると
きには金属水酸化物を回収した後に再度pHを調整して
上記範囲内に整える。
【0021】(V)高温乾留 低温乾留残渣を洗浄後、この洗浄残渣を高温乾留する。
高温乾留によって洗浄残渣に含まれている未分解のプラ
スチックは大半が熱分解してガス化する。高温乾留の温
度は450〜600℃が適当である。450℃未満では
プラスチックの熱分解が不十分であり、また600℃を
超えて加熱しても熱分解の効率は実質的に変わらない。
高温乾留は低温乾留と同様に非酸化性雰囲気下で行う。
上記洗浄残渣には金属塩化物が洗浄除去されているの
で、高温乾留ガスには塩素ガスや塩化水素ガスは殆ど含
まれておらず、乾留ガスの大部分は水素および炭化水素
である。これを冷却部に導いて凝縮し、乾留液を回収す
る。乾留液回収後のガス成分例(wt%)を以下に示す。 H2: 51%, CH4 : 17%, CO2 : 0.05%, CO: 7.6%, C2H4: 0.6%, C2H6: 2.6%, C3H8: 1.1%, n-C4H10 : 1.0% 上記乾留液からは低温乾留ガスの場合と同様に水分を遠
心分離などにより除去し、油分を回収する。回収した乾
留ガスや油分は燃料として再利用することができる。一
方、未凝縮のガス分はアルカリ液に導き、アルカリ洗浄
によってガス中に極く僅か残留する塩素分を捕集分離し
た後に回収する。
【0022】高温乾留において、未分解のプラスチック
は大半がガス化して分離回収され、未反応の金属屑やカ
ルシウム化合物およびプラスチックの熱分解によって生
じた炭化物が残渣として残る。低温乾留によって塩素は
殆ど除去されているので高温乾留残渣に残留する塩素は
微量であるが、必要に応じ、高温乾留残渣を洗浄して微
量の残留金属塩化物を除去した後、乾燥し、炭化物を回
収する。炭化物の回収は、磁選により鉄分を除去し、比
重選別や重液選別あるいは形状や粒度の差を利用した方
法などを用いて行うことができる。また、残渣の洗浄は
水洗でも良く、あるいはアルカリ洗浄でも良い。
【0023】(IV)製錬炉による処理 高温乾留残渣には未反応のカルシウム化合物が残留して
いるので、これを製錬炉に導入してフラックスとして利
用することができる。また、シュレッダダストなどを乾
留処理したものには上記カルシウム化合物と共に未反応
の金属屑が高温乾留残渣に残留しており、この高温乾留
残渣を製錬炉に導入することにより、残渣中に含まれる
カルシウム化合物をフラックスとして利用すると共に混
在する金属分を製錬マット中に回収することができる。
なお、シュレッダーダストなどの含塩素プラスチック廃
材を上記乾留工程を経ずに直接、製錬炉に投入すると、
既に述べたようにプラスチックの分解によって生じる塩
素ガスや塩化水素ガスのために製錬炉や煙道などの設備
が腐食され、また作業環境を損なう問題がある。本処理
方法のように、予め乾留工程を経た残渣を製錬工程に導
入すればこのような問題を生じない。
【0024】乾留残渣を投入する製錬炉の種類は制限さ
れず、粗鉱ないし精鉱などを溶解する溶錬工程あるいは
精製工程などにおいて使用される各種の製錬炉、例え
ば、溶鉱炉、自溶炉、還元炉、反射炉、転炉、精製炉あ
るいは連続銅製錬における溶解炉、分離炉、製銅炉など
を利用することができ、これらは乾留残渣の性状などに
応じて選択される。なお、高温乾留残渣に含まれる鉄屑
は、この残渣を洗浄し乾燥して粉砕した後に、必要に応
じ、磁選などにより鉄屑を分離し回収する。この鉄屑は
スクラップとして再利用することができる。また、低温
乾留および高温乾留において回収された乾留ガスや乾留
油あるいは固形分の炭化物は製錬炉の燃料として利用す
ることができる。
【0025】一例として、銅製錬工程を利用した処理方
法を説明すると、銅精鉱は反射炉で溶融され、ケイ酸質
のスラグと硫化銅のマットを生じ、マットは転炉に導か
れ、ここで溶融マットに空気を吹込み、硫化銅の硫黄分
を酸化して粗銅に変えると共にマット中の鉄分を酸化し
てスラグに追い出す。このスラグは反射炉に戻され、一
方、粗銅は精製炉に送られ、粗銅中の不純物を酸化揮発
させ、或いはスラグ化して除去した後に還元して精製銅
を得る。本発明の高温乾留によって生じた残渣は、その
性状に応じて上記反射炉または転炉に投入され、銅精鉱
および珪酸鉱と共に溶融される。この高温乾留残渣中に
含まれる鉄およびカルシウムは酸化されてスラグ化し、
このカルシウムがスラグの粘性を低下させる役割を果た
す。従って、高温乾留残渣はフラックスとして利用で
き、一般の製錬炉においてフラックスの一部として用い
ることができる。また、高温乾留残渣に含まれる銅およ
び貴金属分はマット中に溶融し、粗銅に含有されて精製
炉に送られ、最終的には電解工程などを経て回収され
る。残渣中に含まれる鉛や亜鉛などは反射炉あるいは転
炉において酸化され、煙灰となり、排ガスから回収され
る。転炉で分離されたスラグは反射炉に戻して再利用す
るほかにセメント原料および骨材として利用される。
【0026】
【発明の実施形態】本発明の実施例を比較例と共に以下
に示す。なお本例は本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1 塩化ビニルを主体とする電線被覆廃材100gに生石灰
47gを加え、乾留装置に入れ、空気を遮断した状態
(酸素濃度1%以下)で、300℃に加熱し、1時間乾留
(低温乾留)し、乾留ガス12gを回収した。この低温乾
留の残渣は135gであり、乾留ガス中に塩素は検出さ
れなかった。次に、この乾留残渣を水洗した後に上記乾
留装置に装入し、同様に空気を遮断した状態(酸素濃度
1%以下)で、550℃に加熱し、1時間乾留(高温乾
留)して乾留ガス39gを回収した。この高温乾留の残
渣は36gであり、乾留ガス中に塩素は検出されなかっ
た。この低温乾留および高温乾留によって回収した乾留
ガスから乾留油35gを得た。さらに、この高温乾留残
渣を水槽に入れて浮遊した炭化物を分離除去し後に、高
温乾留残渣28gを銅精鉱205g、珪酸鉱20gと共
に溶融試験炉に入れ、1350℃に加熱して溶融し、1
26gのスラグと117gのマットを得た。このスラグ
の粘度は4poiseであり、粘性が低い良好な性状のもの
であった。これらの結果を表1に示した。
【0027】比較例1、2、3 生石灰を加えない以外は実施例1と同様にして塩化ビニ
ル被覆廃材を乾留処理した。この結果を比較例1として
表1に示した。本例では低温乾留および高温乾留の何れ
においても乾留ガスに塩素ガスおよび塩化水素ガスが混
入し、乾留残渣に塩素を固定することができなかった。
また、低温乾留を省略し、500℃の高温乾留(一段乾
留)を行った以外は実施例1と同様にして塩化ビニル被
覆廃材を乾留処理した。この結果を比較例2として表1
に示した。本例においては、乾留残渣に塩素が固定され
たが、乾留ガス中の塩素ガスおよび塩化水素ガスの濃度
が高く、乾留残渣への塩素の固定は不十分であった。こ
のように比較例1、2は乾留ガス中の塩素濃度が高いた
め、乾留ガスから乾留油や燃料ガスの回収が十分ではな
く、製錬工程での熱源としての利用が不十分である。一
方、比較例3として、実施例1と同様の製錬工程におい
て、実施例1で得た高温乾留残渣を添加しない以外は同
一の条件で銅精鉱を溶融した。この結果、104gのマ
ットと112gのスラグが生じ、スラグの粘度は6pois
eであり、粘性の高いものであった。
【0028】実施例2、3、4 シュレッダダスト(プラスチック量30%、金属屑量1
3%)100gに、おのおの生石灰4g、消石灰5g、
炭酸カルシウム6gを添加し、乾留温度を300〜35
0℃(低温乾留)、450〜600℃(高温乾留)とした他
は実施例1と同様の条件で乾留処理を行った。この結果
を表1に示した。この高温乾留残渣(Fe:9wt%、Cu:5wt
%、Ca:8wt%)61gを実施例1と同様の条件で銅精鉱
および珪酸鉱と共に溶融したところ、142gのスラグ
と132gのマットが得られた。このスラグの組成は C
aO:5.4wt%、FeO:37.2wt%、SiO2:20.2wt%であり、高
温乾留残渣に含まれていた鉄およびカルシウムを主体と
したものであった。また高温乾留残渣に含まれていた鉄
およびカルシウム以外の金属分はスラグ中に殆ど含まれ
ておらず、マット中に回収されたことが確認された。こ
のスラグの粘度は3poiseであり、粘性が低い良好な性
状のものであった。
【0029】実施例5 (1) 乾留工程 内熱式連続乾留炉を用い、表2に示す組成のシュレッダ
ーダストを毎時2tonの処理量で、該ダストに対して5w
t%の生石灰を加えた後に、350℃に加熱して連続的
に低温乾留を行い、生じた乾留残渣を毎時5m3の水で
洗浄し、脱水し天日にて乾燥した後に、上記乾留炉に再
び装入し、550℃に加熱して連続的に高温乾留を行っ
た。低温乾留および高温乾留での乾留ガスは冷却凝縮し
て乾留液を回収した。さらに、未凝縮のガス分をアルカ
リ液に導いて洗浄した後に回収した。また乾留液は遠心
分離により油水分離し、乾留油を回収した。回収した乾
留油の熱量は8800kcal/kgおよび未凝縮のガス分の
熱量は1100kcal/kgであった。この結果を表1に示
した。また高温乾留後の洗浄残渣の組成を表2に示し
た。 (2) 製錬工程 上記高温乾留工程の洗浄残渣140kgを銅製錬工程に送
り、これを銅精鉱800kgと珪酸鉱80kgからなる原料
に加えて溶解炉に導入し、1350℃で1時間加熱し、
銅マット470kgとスラグ509kgを得た。銅精鉱と珪
酸鉱からなる原料鉱の組成およびスラグとマットの組成
を表2に併せて示した。この結果に示されるように、銅
マットに対して1/3の量の高温乾留残渣を加えると、
銅マットおよびスラグの量は残渣の添加量に対応して増
加し、従って残渣中の金属成分および非金属成分は各々
銅マットおよびスラグに吸収され、スラグの粘性が低下
して良好な性状となることが確認された。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明の処理方法は、含塩素プラスチッ
ク廃材にカルシウム化合物を加えて低温と高温の2段乾
留処理することによりプラスチックの熱分解によって生
じる塩素をカルシウムと反応させて乾留残渣中に効果的
に固定することにより、プラスチックの熱分解に起因す
る塩素障害の問題を解消でき、この高温乾留残渣を製錬
工程においてフラックスの代替えとして利用するがで
き、低コストで金属を回収することができる。さらにプ
ラスチックの熱分解によって生じる炭化物や乾留ガスお
よび乾留油を燃料として利用することにより熱回収を図
ることができる。また製錬工程で生じるスラグもセメン
ト原料等として用いることができるので、従来のような
埋め立て処理しなければならない最終廃棄物が発生せ
ず、シュレッダーダストの処分問題を完全に解決するこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 迫ノ岡 晃彦 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱マテリアル株式会社総合研究所内 (72)発明者 竹内 均 東京都文京区小石川1丁目3番25地 三 菱マテリアル株式会社地球事業センター (56)参考文献 特開 昭56−122894(JP,A) 特開 平7−150150(JP,A) 特開 平8−209151(JP,A) 特開 平8−112580(JP,A) 特開 平7−286062(JP,A) 特開 平9−286988(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10G 1/10 ZAB A62D 3/00 ZAB B09B 3/00 ZAB C08J 11/12 ZAB

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 含塩素プラスチック廃材にカルシウム化
    合物を加え、非酸化性雰囲気下、300〜350℃の温
    度で低温乾留して乾留ガスを回収する一方、該含塩素プ
    ラスチック廃材の熱分解によって生じた塩素を上記カル
    シウム化合物および混在する金属屑と反応させて該乾留
    温度では揮発しない塩化カルシウムおよび金属塩化物を
    生成させることにより上記塩素を低温乾留残渣中に固定
    して乾留ガスから分離し、該低温乾留残渣を洗浄して脱
    塩素化した後に、この洗浄残渣を非酸化性雰囲気下で4
    50〜600℃の温度で高温乾留して乾留ガスを回収す
    る一方、高温乾留残渣を製錬炉に導入し、製錬工程にお
    いて該高温乾留残渣をフラックスとして利用すると共に
    カルシウム以外の金属分を回収することを特徴とする含
    塩素プラスチック廃材の処理方法。
  2. 【請求項2】 カルシウム化合物として消石灰、生石灰
    または炭酸カルシウムを用いる請求項1に記載の処理方
    法。
  3. 【請求項3】 含塩素プラスチック廃材が塩化ビニル被
    覆廃材、家電廃材である請求項1または2に記載の処理
    方法。
  4. 【請求項4】 含塩素プラスチック廃材がシュレッダー
    ダストであり、シュレッダーダストの金属屑とカルシウ
    ム化合物との混在下で低温乾留する請求項1〜3のいず
    れかに記載の処理方法。
  5. 【請求項5】 低温乾留残渣をアルカリ洗浄し、該低温
    乾留残渣中の金属塩化物を水酸化物として回収する請求
    項1〜4のいずれかに記載の処理方法。
  6. 【請求項6】 高温乾留残渣から炭化物を分離した後に
    該高温乾留残渣を製錬炉に導入する請求項1〜5のいず
    れかに記載の処理方法。
  7. 【請求項7】 高温乾留残渣を粉砕し、磁選して鉄屑を
    分離回収した後に製錬炉に導入する請求項1〜5のいず
    れかに記載の処理方法。
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