JP3229946U - 吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面シートの肌対向面に形成された凸部の保形性に優れ、着用中に凸部の形状が維持されやすく、表面シートの性能を十分に発揮させ得る吸収性物品を提供する。【解決手段】吸収性物品1は、吸収性コア40を含む吸収体4と、吸収体の肌対向面側に配され、肌対向面に着用者の肌側に向かって突出する凸部21が複数形成された表面シート2とを具備する。吸収性コアは、合成繊維を含む繊維塊11と吸水性繊維12Fとを含有する。繊維塊は、2つの対向する基本面と、2つの基本面を連結する骨格面とを備え、2つの基本面の総面積が、骨格面の総面積よりも大きいことが好ましい。【選択図】図2

Description

本考案は、生理用ナプキン等の吸収性物品に関し、特に、肌対向面に凸部が複数形成された表面シートを具備する吸収性物品に関する。
生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の吸収性物品は、一般に、相対的に着用者の肌から近い位置に配される表面シートと、相対的に着用者の肌から遠い位置に配される裏面シートと、両シート間に介在する吸収体とを含んで構成される。この吸収体は、典型的には、木材パルプ等の親水性繊維(吸水性繊維)を主体とし、さらに吸水性ポリマー粒子を含んで構成される場合が多い。吸収性物品に使用される吸収体については、柔軟性(クッション性)、圧縮回復性、保形性などの諸特性の向上が大きな課題である。
吸収体の改良技術として、例えば特許文献1には、熱可塑性樹脂繊維とセルロース系吸水性繊維とを含有する吸収体であって、該熱可塑性樹脂繊維が、該吸収体の表面シート側の表面と該吸収体の裏面シート側の表面との両方に露出しているものが記載されている。特許文献1記載の吸収体によれば、熱可塑性樹脂繊維が、セルロース系吸水性繊維などの該吸収体の他の成分を保持するための骨格として機能するため、柔らかく且つヨレにくいとされている。また特許文献1には、この吸収体を具備する吸収性物品として、表面シート側からのエンボス加工により形成された凹陥状のエンボス部を有するものが記載され、さらに該エンボス部において、熱可塑性樹脂繊維が他の繊維と融着していることが好ましい旨記載されている。特許文献1記載のエンボス部は、本技術分野において防漏溝などとも呼ばれる公知のものであり、面方向での液拡散性や保形性の向上などを目的として、吸収性物品に採用されている。
また特許文献2には、熱融着繊維を含み、予め繊維間を結合させて3次元構造を付与した不織布片と、親水性繊維とを含有する吸収体が記載されている。この3次元構造の不織布片は、カッターミル方式などの粉砕手段を用いて不織布を細片状に粉砕して製造されるもので、斯かる製造方法に起因して、同文献の図1及び図4に記載されているように不定形状をなしていて、平面とみなせるような部分を実質的に有していない。特許文献2には、同文献記載の吸収体の好ましい形態として、不織布片どうしを熱融着させたものが記載されている。特許文献2記載の吸収体によれば、不織布片が三次元構造を有するため、該吸収体内部に空隙が形成され、水分を吸収した時の復元性が向上し、その結果、吸水性能が向上するとされている。
また特許文献3には、比較的稠密な微細繊維核と、該核から外方に延出している繊維又は繊維束を有する微細ウエブが記載され、また、該微細ウエブと木材パルプや吸水性ポリマー粒子とを混合した不織ウエブが、吸収性物品用の吸収体として使用できることが記載されている。この微細ウエブは、不織布などの原料シートをむしり取って、または引きちぎり取って製造されるもので、特許文献2記載の不織布片と同様に、不定形状をなしていて、平面とみなせるような部分を実質的に有していない。
特開2015−16319号公報 特開2002−301105号公報 特開平1−156560号公報
吸収性物品の表面シートとして、着用者の肌側に向けられる肌対向面に凸部が複数形成されて、該肌対向面に凹凸形状が付与されたものが知られている。表面シートの肌対向面に凹凸形状が形成されていると、凹凸形状が形成されていないものと比べて、吸収性物品の着用者の肌との接触面積が低減されるため、着用者に不快な肌のべたつきや濡れ感をもたらし難く、また通気性が向上し、さらには表面シートが肌と擦れることによる肌トラブルの発生が低減されるなど、濡れにくさ、ムレにくさ、擦れにくさが向上し得る。しかしながら、表面シートにこのような有用な凹凸形状が形成されていても、吸収性物品の着用時に着用者の体圧などの外圧によって、該凹凸形状を構成する凸部が潰されてしまい、該凹凸形状によって期待される効果が奏されないという問題があった。特許文献1〜3には、このような凹凸形状の表面シートに特有の課題については何等記載されておらず、斯かる課題を解決し得る技術は未だ提供されていない。
本考案の課題は、表面シートの肌対向面に形成された凸部の保形性に優れ、着用中に該凸部の形状が維持されやすく、該表面シートの性能を十分に発揮させ得る吸収性物品を提供することに関する。
本考案は、吸収性コアを含む吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配され、肌対向面に着用者の肌側に向かって突出する凸部が複数形成された表面シートとを具備し、着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有する吸収性物品であって、前記吸収性コアが、合成繊維を含む繊維塊と吸水性繊維とを含有する吸収性物品である。
本考案の吸収性物品は、表面シートの肌対向面に形成された凸部の保形性に優れ、着用中に該凸部の形状が維持されやすく、該表面シートの性能を十分に発揮させることができる。そのため本考案の吸収性物品によれば、着用時に「濡れ」や「ムレ」や「擦れ」といった、肌トラブルを引き起こす原因となり得る不都合が起こり難く、優れた着用感が得られる。また、本考案吸収性物品を折り畳んで個装体とした場合、その吸収性物品の折曲線の形成位置で表面シートの凸部が潰れ難く、着用時には表面シートの性能を十分に発揮させることができる。
図1は、本考案の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンの一例の肌対向面側(表面シート側)を一部破断して模式的に示す平面図である。 図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す横断面図である。 図3は、本考案に係る表面シートとして使用可能な凹凸不織布の一実施形態の肌対向面を模式的に示す斜視図である。 図4は、本考案に係る表面シートとして使用可能な凹凸不織布の他の実施形態を模式的に示す断面図である。 図5(a)は、本考案に係る表面シートとして使用可能な凹凸不織布のさらに他の実施形態の肌対向面を模式的に示す斜視図、図5(b)は、図5(a)のII−II線断面(縦断面)を模式的に示す断面図、図5(c)及び図5(d)は、それぞれ、図5(a)に示す凹凸不織布の変形例の断面図(図5(b)相当図)である。 図6は、本考案に係る表面シートとして使用可能な凹凸不織布のさらに他の実施形態を模式的に示す斜視図である。 図7(a)及び図7(b)はそれぞれ、本考案に係る繊維塊の模式的な斜視図である。 図8は、本考案に係る繊維塊の製造方法の説明図である。 図9(a)は、本考案に係る繊維塊の実例の電子顕微鏡写真(観察倍率25倍)、図9(b)は、図2に示す吸収体に含まれている繊維塊として、該電子顕微鏡写真の繊維塊を模式的に示した図である。 図10は、図1に示す生理用ナプキンの個装体の模式的な斜視図である。
以下、本考案の吸収性物品をその好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。図1及び図2には、本考案の吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキン1が示されている。ナプキン1は、吸収性コア40を含む吸収体4と、該吸収体4の肌対向面側に配された表面シート2とを具備し、着用者の前後方向、即ち腹側から股間部を介して背側に延びる方向に相当する縦方向Xと、これに直交する横方向Yとを有する。
本明細書において、「肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材(例えば表面シート)における、吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌に近い側であり、「非肌対向面」は、吸収性物品又はその構成部材における、吸収性物品の着用時に肌側とは反対側に向けられる面、即ち相対的に着用者の肌から遠い側である。尚、ここでいう「着用時」は、通常の適正な着用位置、即ち当該吸収性物品の正しい着用位置が維持された状態を意味する。
ナプキン1は、図1に示すように、縦方向Xにおいて、着用者の膣口などの排泄部に対向する排泄部対向部(排泄ポイント)を含む縦中央域Bと、該排泄部対向部よりも着用者の腹側(前側)に配される前方域Aと、該排泄部対向部よりも着用者の背側(後側)に配される後方域Cとの3つに区分される。またナプキン1は、縦方向Xに長い形状の吸収性本体5と、吸収性本体5における縦中央域Bの縦方向Xに沿う両側部それぞれから横方向Yの外方に延出する一対のウイング部5W,5Wとを有している。吸収性本体5は、ナプキン1の主体をなす部分であり、前記の表面シート2、裏面シート3及び吸収体4を具備し、縦方向Xにおいて前方域A、縦中央域B及び後方域Cの3つに区分される。
尚、本考案の吸収性物品における縦中央域Bは、ナプキン1のように吸収性物品がウイング部を有する場合には、該吸収性物品の縦方向(長手方向、図中のX方向)においてウイング部を有する領域を意味し、ナプキン1を例にとれば、一方のウイング部5Wの縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部5Wの縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域である。また、ウイング部を有しない吸収性物品における縦中央域Bは、吸収性物品を縦方向に3等分したときの中間に位置する領域を意味する。
ナプキン1においては、吸収体4は、液吸収性の吸収性コア40と、該吸収性コア40の外面を被覆する液透過性のコアラップシート41とを含んで構成されている。吸収性コア40は、吸収性本体5と同様に、図1に示す如き平面視において縦方向Xに長い形状をなしており、吸収性コア40の長手方向は、ナプキン1の縦方向Xに一致し、吸収性コア40の幅方向は、ナプキン1の横方向Yに一致している。吸収性コア40とコアラップシート41との間は、ホットメルト型接着剤等の接着剤により接合されていてもよい。
ナプキン1においては、コアラップシート41は、吸収性コア40の横方向Yの長さの2倍以上3倍以下の幅を有する1枚の連続したシートであり、図2に示すように、吸収性コア40の肌対向面の全域を被覆し、且つ吸収性コア40の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、その延出部が、吸収性コア40の下方に巻き下げられて、吸収性コア40の非肌対向面の全域を被覆している。尚、本考案においては、コアラップシートはこのような1枚のシートでなくてもよく、例えば、吸収性コア40の肌対向面を被覆する1枚の肌側コアラップシートと、該肌側コアラップシートとは別体で、吸収性コア40の非肌対向面を被覆する1枚の非肌側コアラップシートとの2枚を含んで構成されていてもよい。
図2に示すように、表面シート2は、吸収体4の肌対向面の全域を被覆している。一方、裏面シート3は、透湿性の樹脂フィルム等からなり、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、さらに吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出し、後述するサイドシート6と共にサイドフラップ部を形成している。前記サイドフラップ部は、ナプキン1における、吸収体4から横方向Yの外方に延出する部材からなる部分である。裏面シート3とサイドシート6とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。
前記サイドフラップ部は、図1に示すように、縦中央域Bにおいて横方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体5の縦方向Xに沿う左右両側に、一対のウイング部5W,5Wが延設されている。ウイング部5Wは、図1に示す如き平面視において、下底(上底よりも長い辺)が吸収性本体5の側部側に位置する略台形形状を有しており、その非肌対向面には、該ウイング部5Wをショーツ等の着衣に固定するウイング部粘着部(図示せず)が形成されている。ウイング部5Wは、ショーツ等の着衣のクロッチ部の非肌対向面(外面)側に折り返されて用いられる。前記ウイング部粘着部は、その使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる剥離シート(図示せず)によって被覆されている。また、吸収性本体5の肌対向面即ち表面シート2の肌対向面における縦方向Xに沿う両側部には、平面視において吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、一対のサイドシート6,6が吸収性本体5の縦方向Xの略全長に亘って配されている。一対のサイドシート6,6は、それぞれ縦方向Xに延びる図示しない接合線にて、接着剤等の公知の接合手段によって表面シート2等の他の部材に接合されている。
表面シート2の肌対向面には、図2に示すように、着用者の肌側に向かって突出する凸部21が複数形成されている。凸部21の周辺には凹部22が形成され、表面シート2の肌対向面の全域に、複数の凸部21と凹部22とからなる凹凸形状が付与されている。表面シート2は、典型的には、原反シート(凹凸が付与されていない表面シートの製造中間体)に対してエンボス加工などの圧搾加工を部分的に施すことによって形成され、その圧搾加工が施された圧搾部が凹部22、圧搾加工が施されていない非圧搾部が凸部21である。凹部22は、圧搾加工によって表面シート2の形成材料が圧密化されており、圧搾加工が施されていない凸部21よりも高密度である。
表面シート2としては、単層又は多層構造の不織布が通常用いられる。表面シート2を形成する不織布としては、この種の吸収性物品の構成部材として使用可能な各種製法による不織布を特に制限なく用いることができ、例えば、カード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布などが挙げられる。表面シート2を構成する不織布には、界面活性剤等の親水化剤を用いた親水化処理が施されていてもよい。表面シート2の坪量は、好ましくは15g/m以上、さらに好ましくは20g/m以上、そして、好ましくは200g/m以下、さらに好ましくは100g/m以下である。
表面シート2の肌対向面における凸部21の形成パターンは特に限定されず、この種の吸収性物品における凹凸表面シートにおけるパターンを適宜採用できる。表面シート2としては、例えば下記の凹凸不織布2A〜2Dを用いることができる。
図3に示す凹凸不織布2Aにおいては、肌対向面に複数の凸部21が散点状に配され、各凸部21の周囲が凹部22となっている。凹凸不織布2Aは、単層構造の不織布からなるもので、凹部22以外の部分において着用者の肌側に向けて突出し、その突出部が凸部21となっている。凸部21と凹部22とは、交互に且つ一方向に列をなすように配置されている。凸部21は中空であり、その内部には、凹凸不織布2Aの構成繊維が実質的に存在していない中空部23が形成されている。凹部22は、実質的に凹凸の無い平坦状である。
図4に示す凹凸不織布2Bは、着用者の肌に近い側に位置する第1繊維層24と、着用者の肌から遠い側に位置する第2繊維層25とを有する2層構造の不織布であり、両繊維層24,25が、部分的に形成された多数の接合部によって厚さ方向に一体化され、第1繊維層24における、複数の該接合部どうし間に位置する部分が凸状に隆起して、肌対向面側に中空の凸部21を形成し、該接合部を含む凸部21以外の部分が凹部22である。第1繊維層24は、肌対向面に凸部21と凹部22とからなる凹凸形状を有しているのに対し、第2繊維層25は、そのような凹凸形状を有しておらず、実質的に凹凸の無い平坦状である。第1繊維層24と第2繊維層25とは、互いに組成が同じでもよく異なっていてもよい。第1繊維層24と第2繊維層25との接合は、融着、接着剤等の公知の接合手段によってなされている。
凸部21の平面視形状は特に限定されず、円形、楕円形、四角形以上の多角形などから適宜選択すればよい。また凸部21は、図3及び図4に示す如き中空構造に限定されず、内部に凹凸不織布2A,2Bの構成繊維が充填された中実構造でもよい。
図5に示す凹凸不織布2Cは、単層構造の不織布からなるもので、図5(a)に示すように、一方向(縦方向X)に延びる畝状凸部21と同方向に延びる溝状凹部22とが、それらの延在方向と直交する方向(横方向Y)に交互に配されており、肌対向面に畝溝構造の凹凸形状が形成されている。畝状凸部21及び溝状凹部22は、それぞれ、凹凸不織布2Cの構成繊維で満たされており、中実である。畝状凸部21は、溝状凹部22に比して繊維量が多く、また実質厚みが大きい。ここで実質厚みとは、凹凸不織布2Cの裏面から各々の最上部までの長さ(見掛け厚み)ではなく、凹凸不織布2Cの構成繊維が存在する部分の長さを意味する。畝状凸部21は、図5(b)に示すように、その延在方向と直交する方向(横方向Y)に沿う断面において、肌対向面側(図中の上面側)は、上側(着用者の肌側)に凸の滑らかな曲線を描く輪郭となっており、非肌対向面側(図中の下面側)は、下側(吸収体4側)に凸の滑らかで且つ緩やかな曲線を描く輪郭となっている。畝状凸部21における肌対向面側は、非肌対向面側よりも高く盛り上がっており、これが周期的に連続している。これによって凹凸不織布の肌対向面側は、横方向Yに沿って波形形状になっている。
尚、畝状凸部21の断面形状は図5(b)に示す如き形状に限定されず、例えば、図5(c)に示すように、非肌対向面側が、肌対向面側に凸の滑らかで且つ緩やかな曲線を描く輪郭となっている形状、あるいは図5(d)に示すように、非肌対向面側が平坦である形状が挙げられる。
また、畝状凸部21及び溝状凹部22の延在方向は、縦方向Xに限定されず、横方向Yでもよく、両方向X,Yの双方に交差する方向でもよい。また、凹凸不織布2Cは、図示の如き単層構造に限定されず、凹凸不織布2B(図4参照)の如き積層構造(2層構造)でもよい。畝状凸部21は、図示の如き中実構造に限定されず、図3に示す凸部21の如き中空構造でもよい。
図6に示す凹凸不織布2Dは、着用者の肌に近い側に位置する肌側繊維層26と、着用者の肌から遠い側に位置する非肌側繊維層27とを有する2層構造の不織布であり、両繊維層26,27が、部分的に形成された多数の接合部28によって厚さ方向に一体化され、肌側繊維層26における、複数の接合部28どうし間に位置する部分が凸状に隆起して、肌対向面側に中実の凸部21を形成し、該接合部28を含む凸部21以外の部分が凹部22である。凹凸不織布2Dの中実構造の凸部21は、大きさの異なる2種類の凸部21A,21Bを含む。大凸部21Aは、小凸部21Bに比して高さが高く且つ平面視における面積が大きい。両凸部27A,27Bは、何れも平面視において円形状をなし、また、縦方向X及び横方向Yの何れの方向での断面においても頂部を有する形状を有している。両凸部21A,21Bは、縦方向X及び横方向Yの双方に交差する方向に交互に配されている。また、複数の大凸部21Aが横方向Yに所定間隔を置いて間欠配置されて大凸部列を形成していると共に、複数の小凸部21Bが横方向Yに所定間隔を置いて間欠配置されて小大凸部列を形成しており、且つ該大凸部列と該小凸部列とが縦方向Xに交互に配されている。接合部28は、熱を伴うエンボス加工によって形成され、平面視X字状又はY字状をなしている。
大凸部21Aの高さは、好ましくは1.0mm以上、さらに好ましくは1.5mm以上、そして、好ましくは7.0mm以下、さらに好ましくは5.0mm以下である。
小凸部21Bの高さは、好ましくは0.4mm以上、さらに好ましくは0.8mm以上、そして、好ましくは4.5mm以下、さらに好ましくは2.5mm以下である。
大凸部21Aの高さと小凸部21Bの高さとの比率は、前者/後者として、好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.5以上、そして、好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。
前記の凸部21A,21Bの高さは、凸部21A,21Bの厚み方向Zの頂点における高さを意味する。
大凸部21Aの面積は、好ましくは6mm以上、さらに好ましくは7mm以上、そして、好ましくは30mm以下、さらに好ましくは29mm以下である。
小凸部21Bの面積は、好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上、そして、好ましくは15mm以下、さらに好ましくは14mm以下である。
大凸部21Aの面積と小凸部21Bの面積との比率は、前者/後者として、好ましくは1.2以上、さらに好ましくは1.5以上、そして、好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.5以下である。
前記の凸部21A,21Bの面積は、凸部21A,21Bの平面視における面積、即ち凸部21A,21Bの、凹凸不織布2Dの厚み方向への投影面積を意味する。
肌側繊維層26は非熱収縮性繊維を主体とする不織布、非肌側繊維層27は、熱収縮性繊維を主体とする不織布であり、これらの不織布としては、表面シート2を形成する不織布として前記したものと同様のものを用いることができる。前記非熱収縮性繊維としては、実質的に熱収縮性を有しないものか、前記熱収縮繊維よりも熱収縮温度が高い繊維を用いることができる。前記熱収縮性繊維としては、熱可塑性ポリマー材料からなり且つ熱収縮性を有するものが好適に用いられる。そのような繊維の例としては、潜在捲縮性繊維が挙げられる。前記潜在捲縮性繊維は、加熱される前においては、従来の不織布用の繊維と同様に取り扱うことができ、且つ所定温度で加熱することによって螺旋状の捲縮が発現して収縮する性質を有する繊維である。非肌側繊維層27中の熱収縮性繊維の含有割合は40質量%以上100質量%以下であることが好ましい。前記潜在捲縮性繊維は、例えば、収縮率の異なる2種類の熱可塑性ポリマー材料を成分とする偏心芯鞘型又はサイド・バイ・サイド型の複合繊維からなる。その例としては、特開平9−296325号公報や特許第2759331号公報に記載のものが挙げられる。非肌側繊維層27は、例えば、前記潜在捲縮性繊維を含む繊維層を肌側繊維層26と熱融着させる時点か又は該熱融着後に、加熱により該潜在捲縮性繊維の捲縮を発現させ、収縮させることで形成される。
凹凸不織布2Dの如き、肌対向面に大きさの異なる複数種の凸部を有する凹凸不織布としては、例えば特開2015−186543号公報に記載のものを用いることができる。
前述した凹凸不織布2A〜2Dからなる表面シート2は、肌対向面に着用者の肌側に向かって突出する凸部21が複数形成されており、その凹凸形状の肌対向面がナプキン1の着用者の肌と接した場合には、凸部21の頂部及びその近傍の領域が部分的に接触するため、表面シートの肌対向面が肌に全面的に接触することに起因するべたつき感やムレ、擦れに起因する刺激感が低減される。また、着用者から排泄された液が、着用者の肌に付着し難くなり、不快な濡れ感が低減される。
本実施形態のナプキン1は、図2に示すように、吸収性コア40が吸水性繊維12Fに加えて、合成繊維11Fを含む繊維塊11を複数含有する点で特徴付けられる。繊維塊11は、複数の繊維11Fがまとめて一体化された繊維集合体であるのに対し、吸水性繊維12Fは、一体化されずに個々独立に存在し得る状態で吸収性コア40内に存在している。繊維塊11を吸収性コア40に含有させることで、吸収性コア40内に空間部(隙間)が多数形成されるため、吸水性繊維12Fを主体とする従来の吸収性コア40と比較してクッション性が高められている。また、繊維塊11の構成繊維11Fである合成繊維は、好ましくは非吸水性であるため、吸収性コア40が乾燥状態である場合のみならず、経血等の体液を吸収して湿潤状態にある場合でも、吸収性コア40はクッション性に優れる。尚、本考案には、吸収体がコアラップシートを含まず吸収性コアのみで形成されている場合が包含されるところ、その場合には、吸収体と吸収性コアとは同じ意味である。
本明細書において「繊維塊」とは、複数の繊維がまとまって一体となった繊維集合体のことである。繊維塊の形態としては、例えば一定の大きさを有する合成繊維シートから分割されたシート片が挙げられる。特に、合成繊維シートとして不織布を選択し、該不織布から所定の大きさ及び形状に切り出した不織布片が繊維塊として好ましい。
このように、本考案に係る繊維塊の好ましい一実施形態であるシート片状の繊維塊は、複数の繊維を集積させて該シート片を形作るように構成されたものではなく、該シート片よりも寸法の大きな繊維シート(好ましくは不織布)の切断によって製造されるものである(図8参照)。本考案に係る吸収性コアが含有する複数の繊維塊は、特許文献2及び3のような従来技術によって製造するものと比較して、より形状や寸法が揃った複数のシート片状の繊維塊である。
吸収性コア40のクッション性のさらなる向上の観点から、吸収性コア40において、複数の繊維塊11が厚み方向で重なるように存在することが好ましい。より具体的には、吸収性コア40の厚み方向の投影視(吸収性コア40をその肌対向面又は非肌対向面から観察した場合)において、任意の10mm四方の単位領域に、複数の繊維塊11の重なり部が存在していることが好ましい。複数の繊維塊11がこのように厚み方向で重なるように吸収性コア40内に存在することで、吸収性コア40のクッション性の向上に加えてさらに、吸収性コア40内に経血等の体液を一時的に保持し得る、一時ストック空間が形成されることに起因して、吸収性コアの液吸収性の向上が期待できる。また同様の観点から、繊維塊11は吸収性コア40の全体に均一に分散して存在することが好ましい。
図1に示すように、表面シート2の肌対向面には、該表面シート2を内側にしてナプキン1を折り畳む際に使用される折曲線7A,7Bが2本形成されている。ナプキン1は未使用状態では、図1に示す如き展開状態から2本の折曲線7A,7Bにて、表面シート2を内側にして縦方向Xに折り畳まれ、図10に示す個装体10とされている。
個装体10は、ナプキン1と包装材10Wとの積層体が、ナプキン1の肌対向面(表面シート2側)を内側にして、該積層体を横方向Yに横断する折曲線7A,7Bにて縦方向Xに3つ折りされて構成されている。折曲線7Aは、一対のウイング部5W,5Wそれぞれの前方域A寄りの付け根を通って横方向Yに延び、折曲線7Bは、一対のウイング部5W,5Wそれぞれの後方域C寄りの付け根を通って横方向Yに延びている。折曲線7A,7Bはそれぞれ、その長手方向と直交する方向に通常数ミリ程度の幅を持った平面視線状の領域である。包装材10Wは、平面視長方形形状をなし、その長手方向をナプキン1の縦方向Xに一致させて、ナプキン1の非肌対向面(裏面シート3)に粘着剤(図示せず)を介して粘着されている。個装体10の上面には、包装材10Wの縦方向端を縦方向Xに跨ぐように止着テープ10Tが配されている。包装材10Wにおけるナプキン1の縦方向Xに沿う側縁からの延出部どうしは、接着剤、ヒートシール等の公知の接合手段により接合されて封止部10Sとされている。
このようなナプキン1の折り畳み構造を有する個装体10においては、表面シート2における折曲線7A,7Bと厚み方向で重なる部分に位置する凸部21が潰れてしまい、表面シート2の性能低下やナプキン1の外観低下を招くことが懸念される。しかしながら個装体10においては、吸収性コア40における折曲線7A,7Bと厚み方向で重なる部分に、繊維塊11同士が交絡によって結合している部分が存在するため、表面シート2における折曲線7A,7Bと厚み方向で重なる部分に位置する凸部21が潰れにくく、表面シート2の他の部分に位置する凸部21と同様に突出している。従って、個装体10を開封して取り出したナプキン1は、その着用時において表面シート2の性能を十分に発揮させることができる。
本実施形態において、吸収性コア40では繊維塊11同士又は繊維塊11と吸水性繊維12Fとが交絡しているところ、ここでいう、繊維塊11同士等の「交絡」には、下記形態A及びBが包含される。
形態A:繊維塊11同士等が、融着ではなく、繊維塊11の構成繊維11F同士の絡み合いによって結合している形態。
形態B:吸収体4の自然状態(外力が加わっていない状態)では、繊維塊11同士等は結合していないが、吸収体4に外力が加わった状態では、繊維塊11同士等が構成繊維11F同士の絡み合いによって結合し得る形態。ここでいう、「吸収体4に外力が加わった状態」とは、例えば、吸収体4が適用された吸収性物品の着用中において、吸収体4に変形力が加わった状態である。
このように、吸収性コア40においては、形態Aのように、繊維塊11は、他の繊維塊11又は吸水性繊維12Fと、繊維同士の絡み合い即ち「交絡」によって結合している他、形態Bのように、他の繊維塊11又は吸水性繊維12Fと交絡し得る状態でも存在しており、斯かる繊維の交絡による結合が、前述した吸収性コア40の作用効果を一層有効に発現するのに重要なポイントの1つとなっている。しかしながら、吸収性コア40は、形態Aの「交絡」を有している方が保形性の点から好ましく、即ち、繊維の交絡による結合は、接着成分や融着が無く、繊維同士の絡み合いのみによってなされているため、例えば特許文献2に記載の如き「繊維の融着」による結合に比して、結合力自体は低い反面、交絡している個々の要素(繊維塊11、吸水性繊維12F)の動きの自由度が高く、そのためその個々の要素は、それらからなる集合体としての一体性を維持し得る範囲で移動し得る。このように、吸収性コア40は、それに含有されている複数の繊維塊11同士あるいは繊維塊11と吸水性繊維12Fとが比較的ゆるく結合していることで、外力を受けたときに変形が可能な、緩やかな保形性を有しており、保形性とクッション性及び圧縮回復性等とが高いレベルで両立されている。
もっとも、吸収性コア40においては、前記形態Bのように、吸収性コア40における繊維塊11を介した結合態様の全てが「交絡」である必要はなく、吸収性コア40の一部に交絡以外の他の結合態様、例えば接着剤による接合などが含まれていてもよい。
前述した吸収性コア40の作用効果をより一層確実に発現させる観点から、形態Aである「交絡によって結合している繊維塊11」と形態Bである「交絡し得る状態の繊維塊11」との合計数は、吸収性コア40中の繊維塊11の全数に対して、好ましくは半数以上、さらに好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上である。
同様の観点から、形態Aの「交絡」を有する繊維塊11の数は、他の繊維塊11又は吸水性繊維12Fとの結合部を有する繊維塊11の全数の70%以上、特に80%以上あることが好ましい。
吸収性コア40に含まれる繊維塊11について詳細に説明する。各々の繊維塊11の外形形状は、特許文献2及び3に記載のものと異なり、寸法や形状が揃ったものとなっている。図7には、繊維塊11の典型的な外形形状が2つ示されている。図7(a)に示す繊維塊11Aは四角柱形状より具体的には直方体形状をなし、図7(b)に示す繊維塊11Bは円盤形状をなしている。繊維塊11A,11Bは、相対向する2つの基本面(base plane)111と、該2つの基本面111を連結する骨格面(body plane)112とを備えている点で共通する。基本面111及び骨格面112はいずれも、この種の繊維を主体とする物品における表面の凹凸度合いを評価する際に適用されるレベルで、実質的に凹凸が無いと認められる部分である。
図7(a)の直方体形状の繊維塊11Aは、6つの平坦面を有しているところ、その6面のうち、最大面積を有する相対向する2面がそれぞれ基本面111であり、残りの4面がそれぞれ骨格面112である。基本面111と骨格面112とは互いに交差、より具体的には直交している。
図7(b)の円盤形状の繊維塊11Bは、平面視円形状の相対向する2つの平坦面と、両平坦面を連結する湾曲した周面とを有しているところ、該2つの平坦面がそれぞれ基本面111であり、該周面が骨格面112である。
繊維塊11A,11Bは、骨格面112が平面視において四角形形状、より具体的には長方形形状をなしている点でも共通する。
吸収性コア40に含有される複数の繊維塊11は、それぞれ、図7に示す繊維塊11A,11Bのような、2つの対向する基本面111と両基本面111を連結する骨格面112とを備えた「定形の繊維集合体」である点で、不定形の繊維集合体である特許文献2及び3記載の不織布片ないし微細ウエブと異なる。換言すれば、吸収性コア40中の任意の1個の繊維塊11を透視した場合(例えば電子顕微鏡で観察した場合)、その繊維塊11の透視形状はその観察角度によって異なり、1個の繊維塊11につき多数の透視形状が存在するところ、吸収性コア40中の複数の繊維塊11それぞれは、その多数の透視形状の1つとして、2つの対向する基本面111と両基本面111を連結する骨格面112とを備えた特定透視形状を有する。特許文献2及び3記載の吸収体に含有されている複数の不織布片ないし微細ウエブは、基本面111や骨格面112のような「面」、即ち広がりのある部分を実質的に有しておらず、互いに外形形状が異なっていて「定形」ではない。
このように、吸収性コア40に含まれている複数の繊維塊11が、基本面111と骨格面112とで画成された「定形の繊維集合体」であると、特許文献2及び3に記載の如き不定形の繊維集合体である場合に比して、吸収性コア40における繊維塊11の均一分散性が向上するため、繊維塊11の如き繊維集合体を吸収性コア40に配合することで期待される効果(吸収体の柔軟性、クッション性、圧縮回復性などの向上効果)が安定的に発現するようになる。また特に、図7(a)に示す如き直方体形状の繊維塊11の場合、その外面が2つの基本面111と4つの骨格面112との6つの面からなるため、図7(b)に示す如き3つの外面を持つ円盤形状の繊維塊11に比して、他の繊維塊11あるいは吸水性繊維12Fとの接触機会を比較的多く持つことが可能となり、交絡性が高まって、保形性等の向上にも繋がり得る。
繊維塊11において、2つの基本面111の総面積は、骨格面112の総面積よりも大きいことが好ましい。即ち、図7(a)の直方体形状の繊維塊11Aにおいては、2つの基本面111それぞれの面積の総和は、4つの骨格面112それぞれの面積の総和よりも大きく、また、図7(b)の円盤形状の繊維塊11Bにおいては、2つの基本面111それぞれの面積の総和は、円盤形状の繊維塊11Bの周面を形成する骨格面112の面積よりも大きい。繊維塊11A,11Bのいずれにおいても、基本面111は、繊維塊11A,11Bが有する複数の面のうちで面積が最大の面である。
このような、2つの基本面111と両基本面111に交差する骨格面112とで画成された「定形の繊維集合体」である繊維塊11は、従来技術とは製造方法を異にすることで実現できるものである。好ましい繊維塊11の製造方法は、図8に示すように、原料となる原料繊維シート10bs(繊維塊11と同組成で且つ繊維塊11よりも寸法が大きいシート)を、カッターなどの切断手段を用いて定形に切断するものである。そうして製造された複数の繊維塊11は形状及び寸法が、特許文献2及び3のような従来技術によって製造するものと比較して、より定形的に揃っている。図8は、図7(a)の直方体形状の繊維塊11Aの製造方法を説明した図であり、図8中の点線は切断線を示している。吸収性コア40には、このように繊維シートを定形に切断して得られた、形状及び寸法が均一な複数の繊維塊11が配合されている。前述した通り、原料繊維シート10bsとしては不織布が好ましい。
図7(a)の直方体形状の繊維塊11Aは、図8に示すように原料繊維シート10bsを、第1方向D1と該第1方向D1に交差(より具体的には直交)する第2方向D2とに所定の長さで切断することで製造される。両方向D1,D2は、それぞれ、シート10bsの面方向における所定の一方向であり、シート10bsは該面方向と直交する厚み方向Zに沿って切断される。このように、原料繊維シート10bsをいわゆる賽の目状に切断して得られる複数の直方体形状の繊維塊11Aにおいては通常、その切断面即ちシート10bsの切断時においてカッターなどの切断手段と接触する面が、骨格面112であり、非切断面即ち該切断手段と接触しない面が、基本面111である。基本面111は、シート10bsにおける表裏面(厚み方向Zと直交する面)であり、また前述した通り、繊維塊11Aが有する複数の面のうちで面積が最大の面である。
尚、以上の繊維塊11Aについての説明は、図7(b)の円盤形状の繊維塊11Bにも基本的に当てはまる。繊維塊11Aとの実質的な違いは、原料繊維シート10bsの切断パターンのみであり、シート10bsを定形に切断して繊維塊11Bを得る際には、繊維塊11Bの平面視形状に合わせて、シート10bsを円形状に切断すればよい。
また、繊維塊11の外形形状は図7に示すものに限定されず、基本面111及び骨格面112はいずれも、図7(a)の各面111,112のように湾曲していない平坦面でもよく、あるいは図7(b)の骨格面112(円盤形状の繊維塊11Bの周面)のように湾曲面でもよい。また、基本面111と骨格面112とは互いに同形状同寸法であってもよく、具体的には例えば、繊維塊11Aの外形形状は立方体形状であってもよい。
前述したように、繊維塊11(11A,11B)が有する2種類の面(基本面111、骨格面112)は、繊維塊11を製造する際のカッターなどの切断手段による原料繊維シート10bsの切断によって形成される切断面(骨格面112)と、シート10bsが本来的に有する面であって該切断手段とは接触しない非切断面(基本面111)とに分類される。そして、この切断面か否かの違いに起因して、切断面である骨格面112は、非切断面である基本面111に比して、繊維端部の単位面積当たりの数が多いという特徴を有する。ここでいう「繊維端部」とは、繊維塊11の構成繊維11Fの長さ方向端部を意味する。通常、非切断面である基本面111にも繊維端部は存在するが、骨格面112は、原料繊維シート10bsの切断によって形成された切断面であることに起因して、その切断によって形成された構成繊維11Fの切断端部からなる繊維端部が、骨格面112の全体に多数存在しており、つまり、繊維端部の単位面積当たりの数が基本面111のそれよりも多くなっている。
繊維塊11の各面(基本面111、骨格面112)に存在する繊維端部は、該繊維塊11が、吸収性コア40に含まれる他の繊維塊11や吸水性繊維12Fとの間に交絡を形成するのに有用である。また一般に、繊維端部の単位面積当たりの数が多いほど交絡性が向上し得るので、吸収性コア40の保形性などの諸特性の向上に繋がり得る。そして前述したように、繊維塊11の各面における繊維端部の単位面積当たりの数は均一ではなく、斯かる繊維端部の単位面積当たりの数に関しては「骨格面112>基本面111」なる大小関係が成立することから、繊維塊11を介した他の繊維(他の繊維塊11、吸水性繊維12F)との交絡性は該繊維塊11の面によって異なり、骨格面112は基本面111に比して交絡性が高い。即ち、骨格面112を介しての他の繊維との交絡による結合の方が、基本面111を介してのそれよりも結合力が強く、1個の繊維塊11において、基本面111と骨格面112とで他の繊維との結合力に差が生じ得る。
このように、吸収性コア40においてはそれに含まれている複数の繊維塊11それぞれが、その周辺の他の繊維(他の繊維塊11、吸水性繊維12F)に対して、2種類の結合力を持って交絡しており、これにより吸収性コア40は、適度な柔らかさと強度(保形性)とを兼ね備えたものとなる。そして、このような優れた特性を有する吸収性コア40を具備するナプキン1は、着用者に快適な着用感を提供することができると共に、着用時における着用者の体圧等の外力によって吸収性コア40(吸収体4)が破壊される不都合を効果的に防止し得る。
特に、図7に示す繊維塊11(11A,11B)は、前述したように、2つの基本面111の総面積が骨格面112の総面積よりも大きい。このため、繊維端部の単位面積当たりの数が相対的に少なく、それ故に他の繊維との交絡性が相対的に低い基本面111の方が、これとは反対の性質を有する骨格面112よりも、総面積が大きいことを意味する。従って、図7に示す繊維塊11(11A,11B)は、表面全体に繊維端部が均一に存在する繊維塊に比して、周辺の他の繊維(他の繊維塊11、吸水性繊維12F)との交絡が抑制されやすく、また、周辺の他の繊維と交絡するとしても、比較的弱い結合力でもって交絡しやすく、それ故、大きな固まりになり難く、吸収性コア40に優れた柔軟性を付与し得る。
これに対し、特許文献2及び3記載の不織布片ないし微細ウエブは、前述したように、原料繊維シートをミルカッターのような切断機によって不定形に切断するなどして製造されているため、基本面111や骨格面112のような「面」を持った定形のシート片状の繊維塊とはなっておらず、しかも、その製造時において繊維塊全体に切断処理の外力が加わるため、構成繊維の繊維端部が繊維塊全体にランダムに形成されていると推察される。本実施形態の繊維塊11は、そのような従来の繊維塊と比較して、吸収性コアに優れた柔軟性を付与し得る。
前述した繊維端部による作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、基本面111(非切断面)の繊維端部の単位面積当たりの数Nと、骨格面112(切断面)の繊維端部の単位面積当たりの数Nとの比率は、N<Nを前提として、N/Nとして、好ましくは0以上、さらに好ましくは0.05以上、そして、好ましくは 0.90以下、さらに好ましくは0.60以下である。より具体的には、N/Nは0以上0.90以下が好ましく、0.05以上0.60以上がさらに好ましい。
基本面111の繊維端部の単位面積当たりの数Nは、好ましくは0個/mm以上、さらに好ましくは3個/mm以上、そして、好ましくは8個/mm以下、さらに好ましくは6個/mm以下である。
骨格面112の繊維端部の単位面積当たりの数Nは、好ましくは5個/mm以上、さらに好ましくは8個/mm以上、そして、好ましくは50個/mm以下、さらに好ましくは40個/mm以下である。
基本面111、骨格面112の繊維端部の単位面積当たりの数は、以下の方法により測定される。
<繊維塊の各面における繊維端部の単位面積当たりの数の測定方法>
測定対象の繊維を含む部材(繊維塊)を紙両面テープ(ニチバン株式会社製ナイスタックNW−15)を用いて、測定片を試料台に貼り付ける。次いで測定片を白金コーティングする。コーティングには日立那珂精器株式会社製イオンスパッタ装置E−1030型(商品名)を用い、スパッタ時間は120秒とする。測定片の切断面を、JEOL(株)製のJCM−6000型の電子顕微鏡を用いて、倍率100倍にて基本面及び骨格面を観察する。この倍率100倍の観察画面においては、測定対象面(基本面又は骨格面)の任意の位置に縦1.2mm、横0.6mmの長方形領域を設定し、且つ該長方形領域の面積が、該観察画面の面積の90%以上を占めるように観察角度などを調整した上で、該長方形領域内に含まれる繊維端部の個数を測定する。但し、倍率100倍の観察画面において、繊維塊の測定対象面が1.2mm×0.6mmよりも小さく、該観察画面全体に占める前記長方形領域の面積の割合が90%未満となる場合には、観察倍率を100倍より大きくした上で、前記と同様に、該測定対象面における前記長方形領域内に含まれる繊維端部の数を測定する。ここで個数測定の対象となる「繊維端部」は、繊維塊の構成繊維の長さ方向端部であり、測定対象面から該構成繊維の長さ方向端部以外の部分(長さ方向中間部)が延出していても、該長さ方向中間部は個数測定の対象としない。そして下記式により、繊維塊の測定対象面(基本面又は骨格面)における繊維端部の単位面積当たりの数を算出する。10個の繊維塊それぞれについて、前記手順に従って、基本面及び骨格面それぞれにおける繊維端部の単位面積当たりの数を測定し、それら複数の測定値の平均値を、当該測定対象面における繊維端部の単位面積当たりの数とする。
繊維塊の測定対象面(基本面又は骨格面)における繊維端部の単位面積当たりの数(個数/mm)=長方形領域(1.2×0.6mm)に含まれる繊維端部の個数/該長方形領域の面積(0.72mm
繊維塊11の基本面111が、図7(a)に示す繊維塊11Aのように、平面視において長方形形状をなしている場合、吸収性コア40における繊維塊11の均一分散性の向上の観点から、その長方形形状の短辺111aは、該繊維塊11(11A)を含有している吸収性コア40の厚みと同等か又はこれに比して短いことが好ましい。
短辺111aの長さと吸収性コア40の厚みとの比率は、前者/後者として、好ましくは0.03以上、さらに好ましくは0.08以上、そして、好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下である。
吸収性コア40の厚みは、好ましくは1mm以上、さらに好ましくは2mm以上、そして、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは6mm以下である。吸収性コア40の厚みは以下の方法で測定される。
<吸収性コア(吸収体)の厚みの測定方法>
測定対象物(吸収性コア40)を水平な場所にシワや折れ曲がりがないように静置し、5cN/cmの荷重下での測定対象物の厚みを測定する。具体的には、厚みの測定に、例えば、厚み計PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C(OZAKI MFG.CO.LTD.製)を用いる。このとき、厚み計の先端部と切り出した測定対象物との間に、測定対象物に対する荷重が5cN/cmとなるように大きさを調整した平面視円形状又は正方形状のプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、厚みを測定する。厚み測定は、10点測定し、それらの平均値を算出して測定対象物の厚みとする。
繊維塊11(11A,11B)の各部の寸法等は以下のように設定することが好ましい。繊維塊11の各部の寸法は、後述する繊維塊11の外形形状の特定作業の際の電子顕微鏡写真などに基づいて測定することができる。
基本面111が図7(a)に示す如き平面視長方形形状の場合、その短辺111aの長さL1は、好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上、特に好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは6mm以下、特に好ましくは5mm以下である。
平面視長方形形状の基本面111の長辺111bの長さL2は、好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは1mm以上、特に好ましくは2mm以上、そして、好ましくは30mm以下、さらに好ましくは15mm以下、特に好ましくは10mm以下である。
尚、基本面111が図7に示すように、繊維塊11が有する複数の面のうちで最大面積を有する面である場合、長辺111bの長さL2は、繊維塊11の最大差し渡し長さに一致し、該最大差し渡し長さは、円盤形状の繊維塊11Bにおける平面視円形状の基本面111の直径に一致する。
短辺111aの長さL1と長辺111bの長さL2との比率は、L1/L2として、好ましくは0.003以上、さらに好ましくは0.025以上、そして、好ましくは1以下、さらに好ましくは0.5以下である。尚、本考案において、基本面111の平面視形状は、図7(a)に示す如き長方形形状に限定されず、正方形形状でもよく、即ち互いに直交する2辺の長さL1,L2の比率は、L1/L2として1でもよい。
繊維塊11の厚みT、即ち2つの対向する基本面111間の長さTは、好ましくは0.1mm以上、さらに好ましくは0.3mm以上、そして、好ましくは10mm以下、さらに好ましくは6mm以下である。
また、吸収性コア40は、該吸収性コア40のあらゆる面で繊維塊11の存在に起因する作用効果が奏され易くなるように、力学的に等方性であることが好ましい。そのためには、吸収性コア40の全体に繊維塊11が高密度且つ均一に分布していることが好ましい。斯かる観点から、吸収性コア40の、互いに直交する2方向の投影視において、任意の10mm四方の単位領域に、複数の繊維塊11の重なり部が存在していることが好ましい。図2中の符号11Zは、複数の繊維塊11の重なり部を示している。ここでいう、「互いに直交する2方向の投影視」としては、典型的には、吸収体の厚み方向の投影視(即ち吸収体をその肌対向面又は非肌対向面から観察した場合)と、該厚み方向と直交する方向の投影視(即ち吸収体をその側面から観察した場合)とが挙げられる。
また、繊維塊11の基本面111が、図7(a)に示す繊維塊11Aのように、平面視において一方向に長い形状、具体的には長方形形状をなしている場合、吸収性コア40のクッション性の向上の観点から、その基本面111の長辺111bは、吸収性コア40の厚み方向(図2の上下方向)に対して45度以上の傾きを持って配向していることが好ましい。基本面111の長辺111bがこのように配向していることで、繊維塊11は吸収性コア40内において、その長軸方向(長辺111bの延在方向)が吸収性コア40の肌対向面又は非肌対向面の面方向に沿うように配向するため、吸収性コア40の厚み方向で重なる繊維塊11の数が増加し、それによって吸収性コア40のクッション性が一層向上し得る。基本面111の長辺111bの、吸収性コア40の厚み方向とのなす角度は、好ましくは45度以上、さらに好ましくは50度以上、そして、好ましくは135度以下、さらに好ましくは130度以下である。吸収性コア40に含まれている全ての繊維塊11の好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上が、前記のように、基本面111の長辺111bが吸収性コア40の厚み方向に対して45度以上の傾きを持って配向していることが好ましい。斯かる繊維塊11の特定の配向は、例えば、従来技術とは繊維塊11の製造方法を異にすることによって実現することができ、原料となる原料繊維シート10bs(繊維塊11と同組成で且つ繊維塊11よりも寸法が大きいシート)を、カッターなどの切断手段を用いて定形に切断する方法が挙げられる。
図9(a)には、本考案に係る繊維塊の一実例の電子顕微鏡写真、図9(b)には、繊維塊11をこの電子顕微鏡写真に即して模式的に示した図が示されている。吸収性コア40に含まれる複数の繊維塊11には、図9に示すように、本体部110と、該本体部110から外方に延出する繊維11Fを含んで構成され且つ該本体部110に比して繊維密度の低い(単位面積当たりの繊維の数が少ない)、延出繊維部113とを有するものが包含され得る。尚、吸収性コア40には、延出繊維部113を有しない繊維塊11、即ち本体部110のみからなる繊維塊11も包含され得る。延出繊維部113は、前述した、繊維塊11の各面(基本面111、骨格面112)に存在する繊維端部の一種であり、該繊維端部のうち、繊維塊11の各面から外方に延出した繊維端部である。
本体部110は、前述の2つの対向する基本面111と、両基本面111を連結する骨格面112とで画成される部分である。本体部110は、繊維塊11の主体をなし、繊維塊11の定形の外形形状を形作る部分であり、繊維塊11が有する高い柔軟性、クッション性、圧縮回復性などの諸特性は、基本的に本体部110に因るところが大きい。一方、延出繊維部113は主として、吸収性コア40に含有されている複数の繊維塊11同士あるいは繊維塊11と吸水性繊維12Fとの交絡性の向上に寄与し、吸収体4の保形性の向上に直接的にかかわる他、繊維塊11の吸収性コア40における均一分散性などにも影響して、本体部110に因る作用効果を間接的に補強し得る。
本体部110は、延出繊維部113に比して繊維密度が高い、即ち単位面積当たりの繊維の数が多い。また通常、本体部110自体の繊維密度は均一である。繊維塊11の全質量に占める、本体部110の割合は、通常少なくとも40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは85質量%以上である。本体部110と延出繊維部113とは、下記の外形形状の特定作業によって区別できる。
吸収性コア40に含まれている繊維塊11の本体部110の外形形状を特定する作業は、吸収性コア40における繊維密度の高低差(単位面積当たりの繊維数の多少)や繊維の種類・繊維径の違いなどに着目して、本体部110とそれ以外の部分との「境界」を確認することで行うことができる。本体部110は、その周囲に存在する延出繊維部113よりも繊維密度が高く、また通常、本体部110の構成繊維たる合成繊維は吸水性繊維12F(典型的にはセルロース系繊維)とは質的及び/又は寸法的に異なるため、多数の繊維塊11及び吸水性繊維12Fが混在する吸収性コア40であっても、前記の点に着目することで前記境界を容易に確認できる。そうして確認された境界が、基本面111又は骨格面112の周縁(辺)であり、斯かる境界確認作業によって、基本面111及び骨格面112が特定され、延いては本体部110が特定される。斯かる境界確認作業は、電子顕微鏡を用い、必要に応じ複数の観察角度にて対象物(吸収性コア40)を観察することで実施できる。特に、吸収性コア40に含まれている繊維塊11が、図7に示す繊維塊11A,11Bの如き、「2つの基本面111の総面積が、骨格面112の総面積よりも大きい」ものである場合、とりわけ、基本面111が当該繊維塊11の最大面積を有する面となっているものである場合は、その大きな面積の基本面111を比較的容易に特定できるため、本体部110の外形形状の特定作業をスムーズに行うことができる。
延出繊維部113は、図9に示すように、本体部110の外面を形成する基本面111及び骨格面112のうちの少なくとも1つの面から外方に延出する、本体部110の構成繊維11Fからなる。図9は、繊維塊11を基本面111(繊維塊11の複数の面のうち最大面積を有する面)側から平面視した図であり、該基本面111に交差する骨格面112から繊維11Fが多数延出して延出繊維部113を形成している。
延出繊維部113の形態は特に制限されない。延出繊維部113は、1本の繊維11Fから構成される場合もあり、後述する延出繊維束部113Sのように、複数の繊維11Fから構成される場合もある。また、延出繊維部113は、本体部110から延出する繊維11Fの長さ方向端部を含むが、このような繊維端部に加え、繊維11Fの長さ方向両端部以外の部分(長さ方向中間部)を含み得る場合がある。即ち、繊維塊11においては、構成繊維11Fの長さ方向の両端部が本体部110に存在し、それ以外の部分即ち長さ方向中間部が本体部110から外方にループ状に延出(突出)する場合があるところ、その場合の延出繊維部113は、斯かる繊維11Fのループ状の突出部を含んで構成される。
延出繊維部113の主たる役割の1つは、前述した通り、吸収性コア40に含有されている複数の繊維塊11同士、あるいは繊維塊11と吸水性繊維12Fとを互いに交絡させることである。一般に、延出繊維部113の本体部110からの延出長さが長くなり、あるいは延出繊維部113の太さが太くなり、あるいは1個の繊維塊11が有する延出繊維部113の数が多くなると、該延出繊維部113を介して交絡している物体同士の繋がりが強くなって交絡が解除されにくくなるため、本考案の所定の効果がより一層安定的に奏されるようになる。
繊維塊11が、図8に示す如く原料繊維シート10bsを定形に切断して得られたものである場合、延出繊維部113は、その切断面である骨格面112に比較的多く存在するのに対し、非切断面である基本面111には全く存在しないか、存在したとしてもその数は骨格面112よりも少数である。このように、延出繊維部113が切断面たる骨格面112に偏在する理由は、延出繊維部113の多くが、原料繊維シートの切断によって発生する「毛羽」であるためである。即ち、原料繊維シート10bsの切断によって形成された骨格面112は、その切断時にカッターなどの切断手段によって全体的に擦られるため、シート10bsの構成繊維11Fからなる毛羽が形成されやすく、いわゆる毛羽立ちし易い。原料繊維シートの種類にもよるが、切断線の間隔を短くしたり、切断速度を遅くするなどすると、延出繊維部113が形成され易く、その長さも調整可能である。一方、非切断面である基本面111は、このような切断手段との摩擦が無いため、毛羽即ち延出繊維部113が形成され難い。
原料繊維シート10bs切断時の切断線の間隔L1a(第1方向の間隔、図8参照)及び間隔L2a(第2方向の間隔、図8参照)は、前述した延出繊維部113の形成促進等の観点、及び繊維塊11が所定の効果を発現する上で必要な寸法を確保する観点などから、好ましくは0.3mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは30mm以下、さらに好ましくは15mm以下である。尚、通常は、切断線の間隔L1aは、平面視長方形形状の基本面111の短辺111aの長さL1(図3(a)参照)に一致せず、また、他の切断線の間隔L2aも、該基本面111の長辺111bの長さL2(図3(a)参照)に一致しない。その理由は、原料繊維シート10bsは、切断時には、搬送方向にテンションがかかることにより伸長状態とされ、切断後には、該テンションが解除されて伸長前の状態に戻るためであり、繊維塊11の長さL1,L2(原料繊維シート10bsの切断後の長さ)は、切断時の間隔L1a,L2aよりも短くなる傾向が強い。
繊維塊11は図9に示すように、延出繊維部113の一種として、本体部110、より具体的には骨格面112から外方へと延びる、複数の繊維11Fを含む延出繊維束部113Sを有している。繊維塊11が有する延出繊維部13のうちの少なくとも1つは、この延出繊維束部113Sであり得る。延出繊維束部113Sは、骨格面112から延出する複数の繊維11Fが寄り集まって構成されたもので、延出繊維部113に比して、骨格面112からの延出長さが長い点で特徴付けられる。延出繊維束部113Sは、基本面111にも存在し得るが、典型的には図9に示すように骨格面112に存在し、基本面111には全く存在しないか、存在したとしてもその数は骨格面112よりも少数である。その理由は、延出繊維部113が切断面である骨格面112に主に存在する理由と同じであり、前述した通りである。
繊維塊11がこのような、長くて太い大型の延出繊維部113とも言うべき延出繊維束部113Sを有していることで、繊維塊11同士あるいは繊維塊11と吸水性繊維12Fとの交絡がより一層強まり、結果として、繊維塊11の存在に起因する本考案の所定の効果がより一層安定的に奏されるようになる。延出繊維束部113Sは、前述した、毛羽立ちやすい条件での原料繊維シート10bsの切断(図8参照)を実施することで、形成されやすくなる。
延出繊維束部113Sの本体部110からの延出長さ、即ち骨格面112(切断面)からの延出長さは、好ましくは0.2mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上、そして、好ましくは7mm以下、さらに好ましくは4mm以下である。延出繊維束部113Sの延出長さは、前記の繊維塊11の外形形状の特定作業(境界確認作業)において測定することができる。具体的には例えば、キーエンス製のマイクロスコープ(50倍率)にて、アクリル製の透明なサンプル台の表面に3M(株)製の両面テープを貼り、その上に繊維塊11を載せて固定した上で、前記の外形形状の特定作業に従って、該繊維塊11の外形形状を特定した後、該外形形状から延出した繊維11Fにおける、延出分の長さを測定し、その測定した延出分の長さを、延出繊維束部113Sの延出長さとする。
延出繊維束部113Sは、その複数の構成繊維11Fが互いに熱融着していることが好ましい。斯かる延出繊維束部113Sの熱融着部は通常、該延出繊維束部113Sの他の部分(非熱融着部)に比して、該延出繊維束部113Sの長さ方向と直交する方向の差し渡し長さ(該熱融着部の断面が円形の場合は直径)が長い。延出繊維束部113Sがこのような大径部とも言える熱融着部を有していることにより、延出繊維束部113S自体の強度が高まり、それによって、延出繊維束部113Sを介して交絡している繊維塊11同士あるいは繊維塊11と吸水性繊維12Fとの交絡がより一層強まるようになる。また、延出繊維束部113Sが熱融着部を有していると、該延出繊維束部113Sが乾燥状態の場合のみならず、水分を吸収して湿潤状態となっている場合でも、該延出繊維束部113S自体の強度、保形性などが高まるというメリットがある。そして、斯かるメリットにより、吸収性コア40を吸収性物品に適用した場合には、吸収性コア40が乾燥状態にある場合は勿論のこと、着用者が排泄した尿や経血などの体液を吸収して湿潤状態となった場合でも、前述した繊維塊11の存在に起因する作用効果が安定的に奏され得る。このような、熱融着部を有する延出繊維束部113Sは、図8に示す如き繊維塊11の製造工程、即ち繊維塊11の原料繊維シート10bsの切断工程において、原料繊維シート10bsとして、前記「構成繊維同士の熱融着部を有する繊維シート」を使用することで製造可能である。
繊維塊11の構成繊維11Fは合成繊維を含む。繊維11Fとして使用される合成繊維は、非吸水性の合成繊維が好ましい。繊維塊11の構成繊維11Fが非吸水性繊維であることにより、吸収性コア40が乾燥状態である場合のみならず、水分(尿や経血などの体液)を吸収して湿潤状態にある場合でも、前述した繊維塊11の存在に起因する作用効果(保形性、柔軟性、クッション性、圧縮回復性、ヨレにくさなどの向上効果)が安定的に奏されるようになる。繊維塊11における構成繊維11Fとしての合成繊維の含有量は、繊維塊11の全質量に対して、好ましくは90質量%以上であり、100質量%即ち繊維塊11が合成繊維のみから形成されていることが最も好ましい。特に、構成繊維11Fとしての合成繊維が非吸水性のものである場合に、前述した繊維塊11の存在に起因する作用効果が一層安定的に奏される。
本明細書において、合成繊維などの繊維の吸水性の程度は下記方法により測定される水分率の値によって判定される。斯かる水分率が6.0%未満の場合、当該繊維は非吸水性繊維と判定され、6.0%以上の場合、当該繊維は吸水性繊維と判定される。
<水分率の測定方法>
水分率は、JIS P8203の水分率試験方法を準用して算出した。即ち、繊維試料を温度40℃、相対湿度80%RHの試験室に24時間静置後、その室内にて絶乾処理前の繊維試料の重量W(g)を測定した。その後、温度105±2℃の電気乾燥機(例えば、株式会社いすゞ製作所製)内にて1時間静置し、繊維試料の絶乾処理を行った。絶乾処理後、温度20±2℃、相対温度65±2%の標準状態の試験室にて、旭化成(株)製サランラップ(登録商標)で繊維試料を包括した状態で、Siシリカゲル(例えば、豊田化工(株))をガラスデシゲータ内(例えば、(株)テックジャム製)に入れて、繊維試料が温度20±2℃になるまで静置する。その後、繊維試料の恒量W’(g)を秤量して、次式により繊維試料の水分率を求める。水分率(%)=(W−W’/W’)×100
また同様に、吸収性コア40が乾燥状態及び湿潤状態のいずれの状態でも保形性、柔軟性、クッション性、圧縮回復性、ヨレにくさなどにおいて優れた効果を発現し得るようにする観点から、繊維塊11は、複数の熱可塑性繊維が互いに熱融着した3次元構造を有することが好ましい。
またこのような、複数の熱融着部が3次元的に分散した繊維塊11を得るために、繊維塊11の構成繊維11Fとして使用される合成繊維は、熱可塑性繊維が好ましい。また前述したように、延出繊維束部113Sは熱融着部を有していることが好ましいところ、繊維塊11の構成繊維11Fが熱可塑性繊維であることで、斯かる延出繊維束部113Sの好ましい形態を得ることも可能となる。
複数の熱融着部が3次元的に分散した繊維塊11を得るためには、その原料繊維シート10bs(図8参照)が同様に構成されていればよく、また、そのような複数の熱融着部が3次元的に分散した原料繊維シート10bsは、前述したように、熱可塑性繊維を主体とするウエブや不織布に、熱風処理などの熱処理を施すことによって製造することができる。
繊維塊11の構成繊維11Fの素材として好適な非吸水性の合成樹脂(熱可塑性樹脂)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸アルキルエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、繊維11Fは、1種類の合成樹脂(熱可塑性樹脂)又は2種類以上の合成樹脂を混合したブレンドポリマーからなる単一繊維でもよく、あるいは複合繊維でもよい。ここでいう複合繊維は、成分の異なる2種類以上の合成樹脂を紡糸口金で複合し、同時に紡糸して得られる合成繊維(熱可塑性繊維)で、複数の成分がそれぞれ繊維の長さ方向に連続した構造で、単繊維内で相互接着しているものをいう。複合繊維の形態には、芯鞘型、サイドバイサイド型等があり、特に制限されない。
また、繊維塊11は、下記方法で測定される水との接触角が90度未満、特に70度以下であることが、吸収性コア40の初期排泄での体液の引き込み性を一層向上させる観点から好ましい。このような繊維としては、例えば、前述した疎水性・非吸水性の合成繊維を、常法に従い親水化剤で処理することによって得られる。親水化剤としては、通常の界面活性剤を使用することができる。
<接触角の測定方法>
測定対象(吸収性コア)から繊維塊の繊維を取り出し、その繊維に対する水の接触角を測定する。測定装置として、協和界面科学株式会社製の自動接触角計MCA−Jを用いる。接触角の測定には脱イオン水を用いる。インクジェット方式水滴吐出部(クラスターテクノロジー社製、吐出部孔径が25μmのパルスインジェクターCTC−25)から吐出される液量を20ピコリットルに設定して、水滴を、繊維の真上に滴下する。滴下の様子を水平に設置されたカメラに接続された高速度録画装置に録画する。録画装置は後に画像解析をする観点から、高速度キャプチャー装置が組み込まれたパーソナルコンピュータが望ましい。本測定では、17msec毎に画像が録画される。録画された映像において、繊維に水滴が着滴した最初の画像を、付属ソフトFAMAS(ソフトのバージョンは2.6.2、解析手法は液滴法、解析方法はθ/2法、画像処理アルゴリズムは無反射、画像処理イメージモードはフレーム、スレッシホールドレベルは200、曲率補正はしない、とする)にて画像解析を行い、水滴の空気に触れる面と繊維とのなす角を算出し、接触角とする。測定対象物から取り出した繊維は、繊維長1mmに裁断し、該繊維を接触角計のサンプル台に載せて、水平に維持する。繊維1本につき異なる2箇所の接触角を測定する。N=5本の接触角を小数点以下1桁まで計測し、合計10箇所の測定値を平均した値(小数点以下第2桁で四捨五入)を、当該繊維の水との接触角と定義する。測定環境は、室温22±2℃、湿度65±2%RHとする。
尚、測定対象の吸収性コアが吸収性物品等の他の物品の構成部材として用いられており、該吸収体を取り出して評価測定する場合において、該吸収性コアが、接着剤、融着などによって他の構成部材に固定されている場合には、その固定部分を、繊維の接触角に影響を与えない範囲で、コールドスプレーの冷風を吹き付ける等の方法で接着力を除去してから取り出す。この手順は、本願明細書中の全ての測定において共通である。
吸水性繊維12Fとしては、この種の吸収性物品の吸収体の形成材料として従来使用されている吸水性繊維を用いることができ、例えば、針葉樹パルプや広葉樹パルプ等の木材パルプ、綿パルプや麻パルプ等の非木材パルプ等の天然繊維;カチオン化パルプ、マーセル化パルプ等の変性パルプ;キュプラ、レーヨン等の再生繊維等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。吸水性繊維の中でもセルロース系の吸水性繊維が特に好ましい。
吸収性コア40において、繊維塊11と吸水性繊維12Fとの含有質量比は特に限定されず、繊維塊11の構成繊維(合成繊維)11F及び吸水性繊維12Fの種類等に応じて適宜調整すればよい。例えば、繊維塊11の構成繊維11Fが熱可塑性繊維(疎水性且つ非吸水性の合成繊維)、吸水性繊維12Fがセルロース系繊維(吸水性繊維)である場合、本考案の所定の効果をより確実に奏させるようにする観点から、繊維塊11と吸水性繊維12Fとの含有質量比は、前者(繊維塊11)/後者(吸水性繊維12F)として、好ましくは20/80〜80/20、さらに好ましくは40/60〜60/40である。
吸収性コア40における繊維塊11の含有量は、吸収性コア40の全質量に対して、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
吸収性コア40における吸水性繊維12Fの含有量は、吸収性コア40の全質量に対して、好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、そして、好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは60質量%以下である。
吸収性コア40における繊維塊11の坪量は、好ましくは32g/m以上、さらに好ましくは80g/m以上、そして、好ましくは640g/m以下、さらに好ましくは480g/m以下である。
吸収性コア40における吸水性繊維12Fの坪量は、好ましくは32g/m以上、さらに好ましくは80g/m以上、そして、好ましくは640g/m以下、さらに好ましくは480g/m以下である。
吸収性コア40は、繊維塊11及び吸水性繊維12F以外の他の成分を含有してもよく、他の成分として吸水性ポリマーを例示できる。吸水性ポリマーとしては一般に、粒子状のものが用いられるが、繊維状のものでもよい。粒子状の吸水性ポリマーを用いる場合、その形状は球状、塊状、俵状又は不定形のいずれでもよい。吸水性ポリマーの平均粒子径は、好ましくは10μm以上、さらに好ましくは100μm以上、そして、好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは800μm以下である。吸水性ポリマーとしては、一般に、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合物又は共重合物を用いることができる。その例としては、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリメタクリル酸及びその塩が挙げられる。
以上、本考案をその実施形態に基づいて説明したが、本考案は、前記実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態においては、吸収体4が吸収性コア40とこれを被覆するコアラップシート41とを含んで構成されていたが、コアラップシート41は無くてもよい。
また、本考案に係る吸収性コアは、それに含有されている繊維塊(合成繊維集合体)の全部が、繊維塊11の如き定形の繊維集合体でなくてもよく、本考案の趣旨を逸脱しない範囲であれば、斯かる定形の繊維集合体に加えてさらに不定形の繊維集合体がごく少量含まれていてもよい。
本考案の吸収性物品は、人体から排出される体液(尿、軟便、経血、汗等)の吸収に用いられる物品を広く包含し、前述した生理用ナプキンの他、生理用ショーツ、止着テープを有するいわゆる展開型の使い捨ておむつ、パンツ型の使い捨ておむつ、失禁パッド等が包含される。
以下、本考案を実施例によりさらに具体的に説明するが、本考案は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1及び2〕
図1に示すナプキン1と基本構成が同様の生理用ナプキンを作製した。
表面シートとして、下記の凹凸不織布A又はBを用い、裏面シートとして、37g/mのポリエチレン製の樹脂フィルムを用いた。吸収体は、繊維塊及び吸水性繊維を吸収性コアの繊維材料として用い、さらに別途用意した坪量16g/mのパルプ繊維からなるコアラップシートを用いて、公知の積繊装置を用い常法に従って製造した。繊維塊の製造は図8に準じ、原料繊維シートを賽の目状に切断して製造した。
繊維塊の原料繊維シートとして、ポリエチレン及びポリエチレンテレフタラート樹脂からなる疎水性の熱可塑性繊維(非吸水性繊維)を構成繊維とする坪量21g/mのエアスルー不織布(構成繊維同士の熱融着部を有する繊維シート)を用いた。吸水性繊維として、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を用いた。吸収体に使用した繊維塊(定形の合成繊維集合体)は、図7(a)に示す如き直方体形状の本体部を有し、その平面視矩形状の基本面111の短辺111aが0.8mm、長辺111bが3.9mm、厚みTが0.6mmであった。また、基本面111における繊維端部の単位面積当たりの数が3.2個/mm、骨格面112における繊維端部の単位面積当たりの数が19.2個/mmであった。コアラップシートとしてティッシュペーパーを用いた。吸収体の厚みは3mmであったであった。また、吸収体では、繊維塊が厚み方向全体に亘って存在していた。
・凹凸不織布A:特開2015−186543号公報の実施例1に記載の表面シート(図6記載の表面シート相当)。
・凹凸不織布B:特開2011−102456号公報の実施例1に記載の、中実構造凸部を有する単層構造の表面シート。
〔比較例1及び2〕
吸収性コアとして、繊維材料として繊維塊を含有せずに吸水性繊維(NBKP)のみを含有するものを用いた以外は、実施例1又は2と同様にして生理用ナプキンを作製し、比較例1又は2とした。
〔性能評価〕
各実施例及び比較例の生理用ナプキンについて、表面シートの保形性(肌対向面の凸部の保形性)を下記方法により評価した。結果を下記表1に示す。
<表面シートの保形性の評価方法>
各実施例及び比較例の生理用ナプキンを平面状に拡げ、表面シートを上に向けて水平面上に固定した状態で、該表面シート上にアクリル板をのせ、さらにそのアクリル板上に錘をのせ、該生理用ナプキンの縦中央域の横方向中央部に対して所定の荷重(58.8mN/cm、117.6mN/cm、235.3mN/cm)を加えた。錘をのせた状態で1分間静置した後、表面シートの厚みを測定した。ここでいう「表面シートの厚み」は、表面シートの最大厚み部分の厚みであり、肌対向面に存する凸部の高さが互いに異なる場合は、該高さが最も高い凸部の形成位置における表面シートの厚みである。厚みの測定は、厚み測定器としてオムロン社製のレーザー変位計を用いて行い、表面シートの任意の10点の厚みを測定し、それらの平均値を算出して当該表面シートの厚みとした。荷重後の厚みの、無荷重下での厚みからの減少率(厚み減少率)が小さいほど、表面シートの保形性に優れ、高評価となる。尚、前記の荷重58.8mN/cmは、生理用ナプキンの着用者の非活動時での装着圧を想定したものであり、荷重117.6mN/cmは、生理用ナプキンの着用者の活動時での装着圧を想定したものであり、荷重235.3mN/cmは、生理用ナプキンの着用者が座った状態での装着圧を想定したものである。また、個装状態で生理用ナプキンが折り畳まれた状態で、生理用ナプキンの折り位置に加わる荷重は、通常117.6mN/cmより小さいと考えられる。
表1に示す通り、実施例1と比較例1とは、表面シートが同一でありながら厚み減少率に差があり、実施例1の方が比較例1よりも厚み減少率が小さく、特に高荷重の場合にその傾向が顕著であった。実施例2及び比較例2の表面シートは実施例1の表面シートよりも、大きい荷重を加えたときの潰れの程度が大きいものであるが、実施例2では比較例2よりも全荷重範囲で厚み減少率が小さかった。以上のことから、吸収性コアに繊維塊を含有させることで、表面シートの肌対向面に形成された凸部の保形性が向上することがわかる。
1 生理用ナプキン(吸収性物品)
A 前方域
B 縦中央域
C 後方域
2 表面シート
2A〜2D 凹凸不織布(表面シート)
21 凸部
22 凹部
23 中空部
3 裏面シート
4 吸収体
40 吸収性コア
11 繊維塊
11F 繊維塊の構成繊維(合成繊維)
110 本体部
111 基本面
112 骨格面
113 延出繊維部
113S 延出繊維束部
12F 吸水性繊維
41 コアラップシート
5 吸収性本体
7A,7B 折曲線
10bs 繊維塊の原料繊維シート
10 個装体

Claims (6)

  1. 吸収性コアを含む吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配され、肌対向面に着用者の肌側に向かって突出する凸部が複数形成された表面シートとを具備し、着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有する吸収性物品であって、
    前記吸収性コアが、合成繊維を含む複数の繊維塊と吸水性繊維と吸水性ポリマーとを含有し、該繊維塊と該吸水性繊維とが交絡しており、
    複数の前記繊維塊は、2つの対向する基本面と該2つの基本面を連結する骨格面とを備えた定形の繊維集合体である、吸収性物品。
  2. 吸収性コアを含む吸収体と、該吸収体の肌対向面側に配され、肌対向面に着用者の肌側に向かって突出する凸部が複数形成された表面シートとを具備し、着用者の前後方向に相当する縦方向とこれに直交する横方向とを有する吸収性物品であって、
    前記吸収性コアが、合成繊維を含む複数の繊維塊と吸水性繊維と吸水性ポリマーとを含有し、該繊維塊と該吸水性繊維とが交絡しており、
    複数の前記繊維塊は、2つの対向する基本面と該2つの基本面を連結する骨格面とを備えた定形の繊維集合体であり、該2つの基本面の総面積が、該骨格面の総面積よりも大きい、吸収性物品。
  3. 前記吸収性コアにおいて、複数の前記繊維塊が厚み方向で重なるように存在する請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記合成繊維が非吸水性であり、
    前記基本面は、平面視において一方向に長い形状をなし、該基本面の長辺が、前記吸収性コアの厚み方向に対して45度以上の傾きを持って配向している請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記繊維塊は、前記骨格面から外方へと延びる延出繊維部を有している請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  6. 前記吸収性コアにおける前記繊維塊と前記吸水性繊維との含有質量比が、前者/後者として、20/80〜80/20である請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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