JP3227058B2 - 蓄熱槽に接続される配管系統の防食方法 - Google Patents

蓄熱槽に接続される配管系統の防食方法

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JP3227058B2
JP3227058B2 JP15154594A JP15154594A JP3227058B2 JP 3227058 B2 JP3227058 B2 JP 3227058B2 JP 15154594 A JP15154594 A JP 15154594A JP 15154594 A JP15154594 A JP 15154594A JP 3227058 B2 JP3227058 B2 JP 3227058B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、空調用熱媒としての冷
水や温水などの熱媒水を蓄える蓄熱槽に接続される移送
管、機器などの配管系統の腐食を防止する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、蓄熱槽中において熱媒水に炭
酸カルシウムを溶解させて、熱媒水中に存在している遊
離炭酸濃度を減少させる防食方法は公知である。例え
ば、本出願人にかかる実公平4−10216号公報に
は、複数の隔室槽を備える蓄熱槽の両端隔室槽に石灰石
を充填した二重籠を設置し、その内籠内に移送管の端部
を開口させることにより熱媒水中に炭酸カルシウムを溶
解させる方法が開示されている。また、該公報には、隔
室槽同士の流通口の周りに石灰石が収納されるコの字形
状の覆いを配設する方法も開示されている。そして、同
じく本出願人にかかる特開平1−176083号公報に
は、同様に複数の隔室槽を備える蓄熱槽の両端に山形に
形成した架台を設置し、該架台の周りに石灰石を詰めた
蛇籠を積み上げることにより熱媒水中に炭酸カルシウム
を溶解させる方法が開示されている。
【0003】ここで、以上のような従来の方法において
は、石灰石層を通過する熱媒水の流速については特に言
及されていないが、従来は、石灰石層を通過するときの
熱媒水の流速が早ければ早いほど炭酸カルシウムの溶解
は進みやすいと考えられていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、実際には蓄
熱槽に蓄えられた熱媒水中には浮遊懸濁物などの微粒子
が不可避的に含まれているため、石灰石層を通過すると
きの熱媒水の流速を早くすればするほどその微粒子が石
灰石の表面に衝突して付着しやすくなるということが判
明した。このように微粒子が石灰石の表面に付着してそ
の薄膜で覆われると、石灰石から炭酸カルシウムが熱媒
水中に充分に溶解できなくなり、熱媒水中に存在してい
る遊離炭酸濃度を十分に減少させることができず、腐食
を防止できなくなる。
【0005】従って、以上のように熱媒水中に浮遊懸濁
物などが不可避的に含まれてしまうような蓄熱槽にあっ
ては、石灰石層に通過させる熱媒水の流速をできるだけ
遅くすることが重要である。一方、そのためには流速が
遅くなった分の炭酸カルシウムの溶解不足を補うため
に、比較的大量の石灰石を熱媒水の流路内に配置して熱
媒水と石灰石の十分な接触を図ることが必要となる。こ
のように、蓄熱槽に接続される配管系統の腐食を有効に
防止するためには、熱媒水の流速をある限度以下のもの
として熱媒水をゆっくりとした流速で石灰石層に流通さ
せると共に、熱媒水の流路内に所定量以上の石灰石を配
置することにより熱媒水と石灰石を十分に接触させて、
熱媒水中に存在している遊離炭酸濃度を確実に減少させ
ることが不可欠である。
【0006】ところが、先に示した実公平4−1021
6号公報に開示された方法にあっては、熱媒水と石灰石
の接触は移送管の端部近傍や隔室槽同士の流通口の周辺
のみで行われるに過ぎず、しかも、そのような移送管の
端部近傍や隔室槽同士の流通口の周辺は熱媒水の流速が
早いこともあり、先に述べた理由により炭酸カルシウム
の溶解量が不足するといった難点がある。また、特開平
1−176083号公報に開示された方法の如く、槽幅
の狭い隔室槽内に設置した山形の架台に石灰石を二重に
取り付けたような場合には、特に隔室槽内を流動する熱
媒水の流速が早い上に石灰石と二重に接触するために熱
媒水の流通抵抗が過大になり勝ちとなる。
【0007】従って本発明は、熱媒水の石灰石層通過流
速と石灰石の配置量を適正な範囲にして、蓄熱槽の熱媒
水と石灰石とをゆっくりとした流速で、かつ、十分に接
触させることにより、熱媒水中に存在している遊離炭酸
濃度を確実に減少させることができる防食方法を提供す
ることを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、蓄熱槽
に蓄えられた熱媒水を空調機や熱源機に供給する配管系
統を備えたものにおいて、該熱媒水の流路内に炭酸カル
シウム層を配置することにより熱媒水と炭酸カルシウム
を接触させて熱媒水中に存在している遊離炭酸濃度を減
少させるものであって、炭酸カルシウム層を通過する熱
媒水の平均流速を0.1m/s以下とし、かつ炭酸カル
シウム層に充填される炭酸カルシウムの嵩量を系全体の
熱媒水の1mに対して0.002m以上としたこと
を特徴とする蓄熱槽に接続される配管系統の防食方法が
提供される。この方法において、炭酸カルシウム層は、
蓄熱槽の内部、または蓄熱槽の外部において配管系統の
途中に配設することができる。また、炭酸カルシウムと
しては、例えば石灰石を用いることができる。炭酸カル
シウム層の幅と高さを熱媒水の流量に対応させて設計す
ることにより、炭酸カルシウム層を通過するときの熱媒
水の平均流速が0.1m/s以下となるように設定する
と良い。
【0009】
【0010】
【作用】蓄熱槽は、空調用の熱媒水としての温水や冷水
を蓄えるための水槽であり、かかる蓄熱槽の熱媒水に
は、水道水が用いられるのが一般的である。ところが、
わが国の水道水中に溶解している二酸化炭素濃度、即
ち、遊離炭酸濃度は少なくとも2mgCO2/リットルで、通
常は約5mgCO2/リットル程度もあり、場合によっては1
0mgCO2/リットルを超える遊離炭酸を含有しているよう
なこともある。このように遊離炭酸濃度が比較的高い水
道水をそのまま熱媒水として用いると、蓄熱槽に接続さ
れる鉄などで構成された移送管や機器などの配管系統の
内面を腐食させてしまう。
【0011】そこで、本発明にあっては、熱媒水を炭酸
カルシウム層中に通過させることにより、化1の式で示
される平衡反応を生じさせて熱媒水中に炭酸カルシウム
を溶解させ、遊離炭酸濃度を約1mgCO2/リットル程度に
減少させるようにしたものである。
【0012】
【化1】
【0013】ところで、実際に蓄熱槽に蓄えられる熱媒
水中には浮遊懸濁物などの微粒子が不可避的に含まれて
いるため、炭酸カルシウム層を通過するときの熱媒水の
流速があまり早すぎると微粒子が炭酸カルシウム層の表
面に衝突して付着し、炭酸カルシウムが熱媒水中に充分
に溶解できなくなるといった事態を生ずる。そこで、本
発明にあっては、炭酸カルシウム層を通過する熱媒水の
平均流速を0.1m/s以下に制限することによって、
ゆっくりとした流速で炭酸カルシウムに接触させて、熱
媒水中に炭酸カルシウムが充分に溶解できるように構成
している。
【0014】また一方、このように熱媒水の流速が遅く
なった分、炭酸カルシウムの溶解不足が懸念される。そ
こで、本発明にあっては、炭酸カルシウム層に充填され
る炭酸カルシウムの嵩量を系全体の熱媒水の1m3に対
して0.002m3以上とすることによってかかる溶解不
足といった問題を解消するものである。このように、本
発明にあっては、蓄熱槽の熱媒水と炭酸カルシウムとを
比較的ゆっくりとした流速で、かつ、大量の炭酸カルシ
ウムとの間において十分な接触を図ることによって熱媒
水の遊離炭酸濃度を確実に減少させ、蓄熱槽に接続され
た配管系統内面の腐食を防止せんとしている。
【0015】また、化1の式で示されるような平衡状態
に達している際においては、炭酸カルシウムは熱媒水中
にそれ以上溶解できない、いわゆる飽和状態にある。そ
して、このときの熱媒水のpHは飽和pHと呼ばれており、
熱媒水のpHが何らかの原因で飽和pHよりも大きくなった
場合には、炭酸カルシウムは過飽和状態となって析出す
る。
【0016】一方、熱媒水が流通される移送管、機器等
の内面においては、例えば鉄製の配管であれば、次の化
学式で示されるアノード反応とカソード反応を生じるこ
とにより、腐食が進行する。
【0017】アノード反応: Fe → Fe2++2e-
【0018】 カソード反応: 1/2O2+H2O+2e- → 2OH-
【0019】このように、腐食反応を生じている配管内
面にあっては、熱媒水のpHが飽和pHよりも大きくなって
いるために、炭酸カルシウムは過飽和状態となって析出
するようになる。そして、析出した炭酸カルシウムは配
管内面に付着して酸素の拡散・浸透を阻止する薄膜を形
成し、カソード反応を停止することによって、アノード
反応も停止され、腐食反応の進行が妨げられるのであ
る。なお、以上のような関係は、例えば亜鉛などの腐食
性の強い材料についても同様に生ずる。他方、酸素を含
む熱媒水と接触しても腐食しないステンレス鋼や銅、銅
合金などで配管が構成されている場合は、配管内面にお
いて炭酸カルシウムは通常析出しない。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面をもとにして説
明する。図1に示す蓄熱槽1は、隔壁2によって遮られ
た複数の隔室槽3を備える。これら隔室槽3の内部には
熱媒水5が充填されており、互いに隣接する隔室槽3に
充填されている熱媒水5は隔壁2に形成された流通口6
を介して流通している。隣接する流通口6同士は、互い
違いとなるべく上下左右にずらして設けられる。
【0021】以上のような蓄熱槽1において、一方の端
部の(図1では左側端部の)隔室槽3aに炭酸カルシウ
ム層7aが設けられ、他方の端部の(図1では右側端部
の)隔室槽3bに炭酸カルシウム層7bが設けられる。
これら炭酸カルシウム層7a及び炭酸カルシウム層7b
は、何れも隔室槽3a及び隔室槽3bの全幅にわたっ
て、かつ、隔室槽3a及び隔室槽3bの底面から少なく
とも熱媒水の水面に達するようにしてそれぞれ設置され
ている。そして、そのように隔室槽3a及び隔室槽3b
全体を横切るように配設された炭酸カルシウム層7a及
び炭酸カルシウム層7bのそれぞれには、系全体、即ち
蓄熱槽1の各隔室槽3と次に説明する一次回路8及び二
次回路9全体に保有している熱媒水5の1m3に対する
嵩量が0.002m3以上となるように、固形の炭酸カル
シウムが充填されている。
【0022】隔室槽3aと隔室槽3bには、一次回路8
及び二次回路9が接続されている。これら一次回路8及
び二次回路9によって構成される配管系統において、一
次回路8の途中に熱源機10が設けられ、ポンプ11の
稼働によって隔室槽3aから汲み上げた熱媒水5を熱源
機10に供給し、熱源機10により加熱または冷却した
熱媒水5を隔室槽3bに排出する。一方、二次回路9の
途中には空調機12が設けられ、ポンプ13の稼働によ
って隔室槽3bから汲み上げた、既に加熱または冷却さ
れた熱媒水5を空調機12に供給し、空調空気を加熱ま
たは冷却した後、熱媒水5は隔室槽3aに排出される。
【0023】さて、以上のように構成された蓄熱槽1に
おいて、熱源機10により加熱または冷却され、一次回
路8のポンプ11の稼働によって隔室槽3bに排出され
た熱媒水5は、隔室槽3b内をその流通口6に向かって
流れ、炭酸カルシウム層7bに接触するが、本発明にあ
っては、炭酸カルシウム層7bの幅と高さを熱媒水5の
流量に対応させて設計することにより、炭酸カルシウム
層7bを通過するときの熱媒水5の平均流速が0.1m
/s以下となるように設定する。このように、熱媒水5
を炭酸カルシウム層7bに対してゆっくりとした流速で
通過させることにより、熱媒水5中に含まれている微粒
子が炭酸カルシウム層7bの表面に付着することを防止
できる。これにより、先に化1で示した平衡反応を充分
に行わせしめることができ、熱媒水5の遊離炭酸濃度を
約1mgCO2/リットル程度にまで減少させることが可能と
なる。こうして遊離炭酸濃度が減少された熱媒水5は次
第に隣の隔室槽3に移行する。
【0024】次に、こうして蓄熱槽1の隔室槽3に、加
熱または冷却された熱媒水5を蓄えた状態において、二
次回路9のポンプ13が稼働し、蓄熱された熱媒水5が
空調機12に供給される。先と同様に、本発明にあって
は炭酸カルシウム層7aの幅と高さを熱媒水5の流量に
対応させて設計することにより、炭酸カルシウム層7a
を通過するときの熱媒水5の平均流速が0.1m/s以
下となるように設定する。熱媒水5は、その蓄熱された
熱によって空調空気を加熱または冷却した後、隔室槽3
aに排出される。こうして隔室槽3aに排出された熱媒
水5は、隔室槽3a内を流通口6に向かって流れ、先と
同様に、ゆっくりとした流速で炭酸カルシウム層7aに
接触して、化1で示した平衡反応を充分に生じさせるこ
とによって熱媒水5の遊離炭酸濃度は約1mgCO2/リット
ル程度にまで減少される。
【0025】かくして、この蓄熱槽1によれば、熱媒水
5中に炭酸カルシウムを充分に溶解させて遊離炭酸濃度
を減少させることにより、蓄熱槽1に接続される一次回
路8及び二次回路9、更には熱源機10や空調機12、
ポンプ11、13などの配管系統の内面の腐食を防止で
き、しかも、既に腐食反応を生じている箇所については
炭酸カルシウムを付着させて酸素の拡散・浸透を阻止す
る薄膜を形成させることにより、腐食反応を停止させる
ことができるようになる。特にこの実施例のように、炭
酸カルシウム層7a及び炭酸カルシウム層7bを隔室槽
3a及び隔室槽3bの全幅にわたって、かつ、隔室槽3
a及び隔室槽3bの底面から少なくとも熱媒水の水面に
達するように設置することによって、熱媒水5と炭酸カ
ルシウムとをよりゆっくりとした流速で、かつ、広い面
積において十分に接触させることが可能となる。
【0026】次に、本発明の防食方法を実際の蓄熱槽に
おいて実施した例を示す。
【0027】先ず、蓄熱槽1の運転を開始する前に、予
め洗浄液を用いて配管系統の内面に付着している錆を含
む堆積物を除去した。洗浄液は、クリケミカルR/アル
ファ(栗田工業(株)製)15%洗浄液を用い、洗浄液
温度15℃、流量10リットル/minで24時間連続7日間
(168時間)以上配管系統内を循環させ、付着物があ
らかた除去されたことを確認後、洗浄液を系外に排出
し、清水で蓄熱槽1内を洗って沈殿物を除去した。な
お、ポンプ11の分解・清掃も行った。
【0028】図2及び図3に示す如く、炭酸カルシウム
層7a、7bは、隔室槽3a、3bの床面上に配置され
た架台15に、炭酸カルシウムを充填した複数の網製袋
16を取り付けた構成とした。架台15は、ステンレス
鋼材によって組み立てると共に、その土台17の部分は
防腐処理済みの木材を使用した。これらステンレス鋼材
及び木材を、隔室槽3a、3bの天井に設けられている
マンホールから内部に搬入し、内部において架台15を
組み立てた。また、網製袋16は、丈夫な合成繊維製網
を用いた枕形の袋とし、そのような枕形の網製袋16に
炭酸カルシウムである石灰石を充填し、図示のように架
台16の前面にビニール紐で縛り付けて隙間無く取り付
けた。
【0029】炭酸カルシウムとして用いた石灰石は表1
の成分組成をもつ峩朗鉱山産出の粒度:1〜3cm、平
均:2cmのものである。石灰石中の炭酸カルシウム
(CaCO3)の含有比率は92.9%である。また、実
際に炭酸カルシウム層7a、7bに充填した石灰石の総
量は、嵩量で約1.5m3、重量で約2.5tである。蓄
熱槽有効水量の約160m3に配管系保有水量の約15
3を加えた系全体に保有される熱媒水量である約17
5m3で割れば、熱媒水1m3に対しての石灰石量は約
0.0086m3(約14kg)である。
【0030】
【表1】
【0031】炭酸カルシウム層7a、7bを蓄熱槽1両
端の隔室槽3a、3bに設置後、蓄熱槽1に水張りし、
また、一次回路8及び二次回路9の洗浄液は蓄熱槽1に
は戻さずに、清水でパージしながらフラッシングを行っ
て洗浄液を完全に系外に除去した。その理由は、洗浄液
によって化学的に活性化した配管内面が空気に触れて発
錆するのを防ぐためである。その後、先ず一次側のポン
プ11のみを稼働して蓄熱昇温させ、次いで二次側のポ
ンプ13も稼働させて通常の運用を開始した。なお、炭
酸カルシウム層7a、7bを通過するときの熱媒水5の
平均流速が0.006m/s以下となるように調整し
た。
【0032】以上の条件で実際に運転を行った後で、配
管系統の腐食状況を調査したところ、熱媒水5のpHが
上昇することによって腐食性が著しく改善され、特に金
属腐食程度を端的に表す全鉄や全銅は格段に減少してい
た。また、一次回路8及び二次回路9の内面には炭酸カ
ルシウムの保護皮膜の形成が認められ、本発明による防
食効果が極めて良好に発揮されていることが分かった。
【0033】ここで、本発明にかかる防食装置の他の具
体的実施例を示す。先ず、図4及び図5に示す炭酸カル
シウム層7a、7bは、図6に示すように上面20が開
放され、前側面21と後側面22が何れも流通性を有す
るように構成された直方体形状のコンテナ23内に石灰
石を充填したものを、隔室槽3a、3bの内部において
積み上げるように構成した実施例である。図5に示すよ
うに、コンテナ23を積み上げるに際しては、流通性を
有する前側面21と後側面22を熱媒水流と直交させる
ようにする。コンテナ23は、隔室槽3a、3bの天井
に設けられているマンホールから内部に搬入可能な大き
さのものを用いる。また、図5に示すようにコンテナ2
3の底面に段部24を突設し、この段部24をコンテナ
23の開口部23aに丁度嵌合できるように構成するこ
とが好ましい。このように構成とすると、積み上げた際
にコンテナ23や石灰石の重さを利用することによって
コンテナ同士をしっかりと固定でき、また、コンテナ同
士の位置決めもし易いため、炭酸カルシウム層7a、7
bを容易に組み立てることができるようになるといった
利点がある。
【0034】次に図7及び図8に示す炭酸カルシウム層
7a、7bは、隔室槽3a、3bの内部において熱媒水
の流れと直交する二枚の流通性を有するパネル25、2
6を互いに間隔を開けて立設し、それら二枚のパネル2
5、26間に石灰石27を充填した構成の実施例であ
る。パネル25、26は適当な大きさにそれぞれ分割
し、隔室槽3a、3bの天井に設けられているマンホー
ルから内部に搬入して、槽内で組み立てられるように構
成する。流通性を有するパネル25、26として、例え
ばエキスパンドメタルを用いることができる。組立方法
としては、例えば槽内において型鋼等を用いて枠体28
を構成し、その前後面に上記エキスパンドメタルを溶接
等によって取り付けるといった手段が考えられる。な
お、防錆のため、使用するエキスパンドメタルや型鋼等
には溶融亜鉛どぶ漬けめっきを施すことが望ましい。
【0035】なお、以上のように炭酸カルシウム層7
a、7bを蓄熱槽1の内部に配設する場合は、炭酸カル
シウム層7a、7bは、必ずしも蓄熱槽1の端部に位置
する隔室槽3a、3bに設けなくても良く、端部の隔室
槽3a、3bに近接する隔室槽などに炭酸カルシウム層
7a、7bに設置しても良い。
【0036】また、以上においては炭酸カルシウム層7
a、7bが何れも蓄熱槽1を内部に配設した実施例をも
とにして本発明を詳細に説明したが、図9に示されるよ
うに、炭酸カルシウム層7a、7bが蓄熱槽1の外部に
おいて配管系統の途中に配設されたものについても、本
発明方法を同様に実施することができる。図9に示すも
のは、炭酸カルシウム層7aが二次回路9の途中に設け
られ、炭酸カルシウム層7bが一次回路8の途中に設け
られている点の他は、図1で説明したものと全く同様の
構成を備えており、図1と同じものには同じ符号を付し
ている。
【0037】なお、この実施例の場合、一次回路8及び
二次回路9にタンク30及びタンク31を形成し、これ
らタンク30及びタンク31内に炭酸カルシウム層7b
及び炭酸カルシウム層7aを設けることが好ましい。タ
ンク30、31は、例えば、鋼製、ステンレス鋼製、F
RP製などとする。そして、タンク30、31内におけ
る熱媒水5の流速は0.01m/s以下となるように設
計し、ゆっくりとした流速で熱媒水5が炭酸カルシウム
層7a、7bを通過できるようにする。また、炭酸カル
シウム層7a、7bに充填される炭酸カルシウムの量は
系全体に保有している熱媒水の1m3に対して0.002
3以上にする。その他、タンク30、31の上面に作
業用カバーを設けたり、炭酸カルシウム層7a、7bの
表面状態を観察できるような覗き窓などを設けると便利
である。
【0038】このように、炭酸カルシウム層7a、7b
を蓄熱槽1の外部に配設した構成とすることは、例え
ば、隔室槽3が狭かったり、端部の隔室槽3a、3b内
に配管が錯綜しているなどの理由で蓄熱槽1内に炭酸カ
ルシウム層7a、7bを設置できないような場合に有効
である。また、既に運転が行われている既設蓄熱槽で
は、運転を止められず水抜きができないこともあり、そ
のような場合にも、炭酸カルシウム層7a、7bを蓄熱
槽1の外部に配設することが有効である。
【0039】
【発明の効果】以上、本発明によれば、熱媒水の流速と
炭酸カルシウムの配置量を適正な範囲にすることによっ
て、蓄熱槽の熱媒水と炭酸カルシウムとをゆっくりとし
た流速で、かつ、十分に接触させることができ、従っ
て、熱媒水の遊離炭酸濃度を確実に減少させることがで
きるようになる。また、既に腐食反応を生じている配管
系内面の箇所については炭酸カルシウムを付着させて酸
素の拡散・浸透を阻止する薄膜を形成させることによ
り、腐食反応を停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例を説明するための蓄熱槽の平面図
【図2】実際に使用した炭酸カルシウム層の正面図
【図3】同炭酸カルシウム層の側面図
【図4】炭酸カルシウムを充填したコンテナを積み上げ
て構成した炭酸カルシウム層の正面図
【図5】同炭酸カルシウム層の側面図
【図6】コンテナの斜視図
【図7】二枚のパネル間に炭酸カルシウムを充填して構
成した炭酸カルシウム層の正面図
【図8】同実施例にかかる炭酸カルシウム層の側面図
【図9】請求項3の実施例を説明するための蓄熱槽の平
面図
【符号の説明】 1 蓄熱槽 5 熱媒水 7a、7b 炭酸カルシウム層

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 蓄熱槽に蓄えられた熱媒水を空調機や熱
    源機に供給する配管系統を備えたものにおいて、該熱媒
    水の流路内に炭酸カルシウム層を配置することにより熱
    媒水と炭酸カルシウムを接触させて熱媒水中に存在して
    いる遊離炭酸濃度を減少させるものであって、炭酸カル
    シウム層を通過するときの熱媒水の平均流速を0.1m
    /s以下とし、かつ炭酸カルシウム層に充填される炭酸
    カルシウムの嵩量を系全体に保有している熱媒水の1m
    に対して0.002m以上としたことを特徴とする
    蓄熱槽に接続される配管系統の防食方法。
  2. 【請求項2】 炭酸カルシウム層は蓄熱槽の内部に配設
    されている請求項1に記載の蓄熱槽に接続される配管系
    統の防食方法。
  3. 【請求項3】 炭酸カルシウム層は蓄熱槽の外部におい
    て配管系統の途中に配設されている請求項1に記載の蓄
    熱槽に接続される配管系統の防食方法。
  4. 【請求項4】 上記炭酸カルシウムは石灰石である請求
    項1〜3の何れかに記載の蓄熱槽に接続される配管系統
    の防食方法。
  5. 【請求項5】 炭酸カルシウム層の幅と高さを熱媒水の
    流量に対応させて設計することにより、炭酸カルシウム
    層を通過するときの熱媒水の平均流速が0.1m/s以
    下となるように設定することを特徴とする請求項1〜4
    の何れかに記載の蓄熱槽に接続される配管系統の防食方
    法。
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