JP3226643U - 冷感生地およびこの冷感生地を含む衣料 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエチレン素材を用いているにもかかわらず衣料を構成するのに適した冷感生地、及びこの生地を用いた衣料を提供する。【解決手段】冷感生地であって、肌側面2と表側面1とを有する。肌側面2は、糸の太さが50D−150Dである冷感発生用のポリエチレン糸にて構成されている。表側面1は、ポリエステル糸と、綿糸と、ポリエステル糸および綿糸の混紡糸とのいずれかにて構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は冷感生地およびこの冷感生地を含む衣料に関する。
機能性服装とは、一般的な服装である普通服装の綺麗さや保温性などの基本的な要求を満たすことを前提として、人体による着用過程における身体機能の変化に対応して適切に変化できる服装を言う。近年では機能性服装に対する需要が高まっている。夏の服に対する涼しくて快適な機能もその一つである。このような服装は冷感服装と称される。
今まで、冷感服装にはたくさんの種類がある。たとえば、中国の特許文献の中で、特許文献1は、多機能涼感生地を公開している。この特許文献1に記載された発明では、原材料は、多機能涼感繊維40―60%、麻繊維5―15%、シルク繊維8―15%であるものを採用している。特許文献1では、多機能涼感生地の製造方法として、ペパーミント油マイクロカプセルの作製、涼感繊維チップの作製、多機能涼感繊維の作製などの工程を含む。
しかし、特許文献1に記載のものでは、冷感生地の完成に至るまでの工程が複雑である。また特許文献1の生地は、洗濯回数の増加と同時に、ペパーミント油マイクロカプセルが破れて、冷感機能がなくなってしまううえに生地から油が漏れる。
特許文献2は、ストレッチ冷感生地を公開している。この生地は、表側層、抗菌層、PVCシート、吸湿速乾層、導湿層、ストレッチ層、冷感層を含んだ多層構造体である。各層は、生地の表側層に順次的に付着している。この生地は、層数が多くて、絶対冷感効果が良くなく、生地の風合いと通気性も劣っている。
上記以外のものとして、涼感添加物の漏れや、コーティングされた涼感剤による手触りの悪さを避けるため、自身が涼感性を持つ高分子量ポリエチレン繊維を原材料として使用している例もある。たとえば特許文献3は、表層と裏層とを含む冷感生地を開示している。この表層と裏層とは、縦糸と横糸とで構成されている。縦糸は竹繊維縦糸と曇母縦糸とが相互に間隔をおいて順に並べられている。横糸はきわめて熱伝導率が高いポリエチレン糸と、綿繊維またはポリエステル繊維または麻繊維とを混紡したものである。
しかし、特許文献3における熱伝導率が高い高分子量のポリエチレン繊維は、太くて、シーツなどの家用寝装の生地には適しているが、夏用の機能性運動衣料には向いていない。
上記から理解できるように、衣料に適して、それに自身冷感性を持つ生地を開発することが必要であり、このような生地は広い市場見通しがある。
中国特許出願公開第107805949号明細書 中国実用新案登録第205890019号明細書 中国実用新案登録第205907435号明細書
本考案は、上記した公知の冷感生地における問題点を解決して、ポリエチレン素材を用いているにもかかわらず衣料を構成するのに適した冷感生地と、この生地を用いた衣料とを得ることを目的とする。
本考案の冷感生地は、肌側面と表側面とを有し、肌側面は糸の太さが50D−150Dである冷感発生用のポリエチレン糸にて構成され、表側面は、ポリエステル糸と、綿糸と、ポリエステル糸および綿糸の混紡糸とのいずれかにて構成されていることを特徴とする。
本考案の冷感生地は、編成されていることが好適である。
本考案の冷感生地は、肌側面が平編地またはメッシュ編地であることが好適である。
本考案の冷感生地は、表側面がメッシュ編地または平編地であることが好適である。
本考案の冷感生地によれば、ポリエチレン糸は長繊維糸であることが好適である。
本考案の冷感生地によれば、ポリエステル糸は、長繊維糸であるとともに、糸の太さが50D−150Dであることが好適である。
本考案の冷感生地によれば、綿糸と、ポリエステル糸および綿糸の混紡糸とは、短繊維糸であるとともに、糸の太さが50/1−10/1であることが好適である。
本考案の冷感生地によれば、肌側面の糸と表側面の糸とのいずれか一方は、連続糸であって、肌側面と表側面とを繋いでいることが好適である。
本考案の衣料は、上記したいずれかの冷感生地を含むものである。
現存の生地技術と比べて、本考案は下記の有益な効果がある。すなわち、糸の太さが50D−150Dである冷感発生用のポリエチレン糸を生地の肌側面に配置し、ポリエステルと、綿糸と、ポリエステル糸および綿糸の混紡糸とのいずれかを生地の表側面に配置したものであるため、生地の製造方法が簡単で、コストダウンが実現でき、しかも生地のソフト感と冷感なども実現できる。したがって、本考案の冷感生地によると、真夏の服装に相応しい衣料を構成することができ、このため広い市場がある。
本考案の実施の形態の冷感生地の構造を示す概略図である。
本考案の実施の形態の冷感生地は、図1に示すように、表側面1と肌側面2とを有し、これら表側面1と肌側面2とは、いずれも編地などにより構成されるとともに、繋ぎ糸3により繋がれて接合一体化されている。本明細書では、「面」の語は、「層」の語と同義である。
肌側面2は、糸の太さが50D−150Dである冷感発生用のポリエチレン糸にて構成されている。ポリエチレン糸の太さが50D−150Dであるであることで、衣料用に適した生地とすることができる。しかも、この範囲の糸の太さと、素材が熱伝導性が良好なポリエチレンである点とから、冷感性能に優れた生地とすることができる。
肌側面2は、上記したポリエチレン糸を用いた編地や織物にて構成することができる。なかでも、カットソー生地を得るためには、編地であることが好適である。肌側面2が編地である場合において、この編地2は、平編地またはメッシュ編地であることが、十分な冷感を発揮する観点から好適である。また肌側面2の編地を構成するポリエチレン糸は、長繊維糸であることが好適である。
表側面1は、ポリエステル糸と、綿糸と、ポリエステル糸および綿糸の混紡糸とのいずれかにて構成されている。これらの糸は、公知の適宜のものを使用することができる。そして表側面1は、肌側面2が編地である場合には同様に編地であることが好適である。そのときに、表側面1は、メッシュ編地または平編地であることが好適である。また表側面1の編地を構成する糸は、この糸がポリエステル糸である場合には、長繊維糸であるとともに、糸の太さが50D−150Dであることが好適である。また表側面1の編地を構成する糸が、綿糸と、ポリエステル糸および綿糸の混紡糸とのいずれかである場合には、この糸は、短繊維であるとともに、糸の太さが50/1−10/1であることが好適である。
繋ぎ糸3は、肌側面2の糸と表側面の糸とのいずれか一方にて構成された連続糸であることが好適である。繋ぎ糸3による肌側面2と表側面1との接合一体化のための手法は、任意である。
本考案の生地は、このように肌側面2と表側面1とが繋ぎ糸3により接合一体化された構成であるために、次のような利点がある。すなわち、たとえば肌側面2を構成する糸の太さが50D−150Dの冷感発生用ポリエチレン糸だけで生地を作製した場合は、公定水分率0のポリエチレンでは水分が吸収しないためムレ感が発生する。これに対し、本考案では、表側面1は、ポリエステル糸と、綿糸と、ポリエステル糸および綿糸の混紡糸とのいずれかにて構成されていることから、肌側面2から表側面1に水分が移動し、このため肌側面2をサラサラ状態に保つことができる。
本考案の衣料は、上記した本考案の冷感生地を用いて得ることができる。
本考案によれば、上記の構成にもとづき、生地の製造方法が簡単で、コストダウンが実現でき、しかも生地のソフト感と冷感とを実現することができる。したがって、本考案の冷感生地によると、真夏の服装に相応しい衣料を構成することができる。このため広い市場がある。
実施例1
図1に示された構成のポリエチレン冷感生地を作製した。この生地は、肌側面2と表側面1とを含むものであった。肌側面2はポリエチレン糸で編成されており、表側面1はポリエステル糸で編成されていた。肌側面2は平編み組織とし、表側面1はメッシュ組織あるいは平編組織とした。肌側面2はポリエチレン長繊維糸を使用し、その長繊維の太さは75Dという細いものとした。表側面1は、普通ポリエステルとカチオンポリエステルとの複合糸を使用し、その長繊維の太さは75Dとした。
肌側面2のポリエチレン糸の一部を、表側面1まで到達させ、繋ぎ糸3として肌側面2と表側面1とを一体に接合するように編成させた。
実施例1の変形例として、表側面1は綿糸を使用することができた。綿糸は32/1を使った。表側面1は平編みであった。この場合に、肌側面2は、75Dのポリエチレン糸で編成することができた。
実施例2
実施例1のポリエチレン冷感生地を用いた衣料を得た。すなわち、実施例1のポリエチレン冷感生地を使って、デザインし、型紙を作り、裁断し、縫製して、冷感服装とした。
比較例1
肌側面2は、ポリエステル75Dで平編み組織とした。表側面1は、普通ポリエステルとカチオンポリエステルとの複合繊維糸であって、その長繊維の太さが75Dのものを用いてメッシュ組織とした。かつ、肌側面2と表側面1とを繋ぎ糸3で一体に編成して生地とした。この生地により衣料を得た。
実施例2の衣料である本考案の冷感服装と、比較例1の衣料である普通生地の服装とについて、速熱物性測定装置(Profid社製、Thermo LaboII)を用いて、冷感性能を測定した。詳細には、まず重畳センサーと加熱板とを加熱して、試料との温度差ΔT=20℃が安定してから、センサーをすばやく軽く試料に移動し、瞬間の伝達熱(W/cm)を測定した。
そうしたところ、実施例2のポリエチレン冷感生地を用いた冷感服装の接触冷感データは0.310W/cmであり、比較例1の普通生地の服装の接触冷感データは0.160W/cmであった。このことから、実施例1のポリエチレン冷感生地を用いた実施例2の衣料は冷感性が良いという結論が出た。
すなわち、本考案の実施例1、2によれば、肌側面2は75Dの細いポリエチレン長繊維で編成された平編み組織であり、平編み組織構造はより広い接触面積をもつために、ポリエチレン長繊維の接触冷感効果を最大に発揮することができた。
その表側面1は、75Dの普通ポリエステルとカチオンポリエステルとの複合繊維で編成されているが、カチオンポリエステルは、改質ポリエステルで、カチオン染料を使って低温で染色することができる。それで、染色中にカチオン染料と普通の分散染料とを使って、夫々カチオンポリエステルと普通ポリエステルとを染め分けて、生地の表側面には杢の効果を形成することができた。それに、表側面1はメッシュ組織または平編組織にて構成されており、メッシュ組織である場合には、通気性と美観性を有するうえに、ポリエチレンの接触冷感性にも優れていた。
1 表側面
2 肌側面
3 繋ぎ糸

Claims (9)

  1. 肌側面と表側面とを有し、肌側面は糸の太さが50D−150Dである冷感発生用のポリエチレン糸にて構成され、表側面は、ポリエステル糸と、綿糸と、ポリエステル糸および綿糸の混紡糸とのいずれかにて構成されていることを特徴とする冷感生地。
  2. 編成されていることを特徴とする請求項1記載の冷感生地。
  3. 肌側面が平編地またはメッシュ編地であることを特徴とする請求項2記載の冷感生地。
  4. 表側面がメッシュ編地または平編地であることを特徴とする請求項2または3記載の冷感生地。
  5. ポリエチレン糸は長繊維糸であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載の冷感生地。
  6. ポリエステル糸は、長繊維糸であるとともに、糸の太さが50D−150Dであることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の冷感生地。
  7. 綿糸と、ポリエステル糸および綿糸の混紡糸とは、短繊維糸であるとともに、糸の太さが50/1−10/1であることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の冷感生地。
  8. 肌側面の糸と表側面の糸とのいずれか一方は、連続糸であって、肌側面と表側面とを繋いでいることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項記載の冷感生地。
  9. 請求項1から8までのいずれか1項記載の冷感生地を含むものであることを特徴とする衣料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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