JP3225091B2 - 被洗浄物の洗浄度評価方法及び洗浄度評価装置 - Google Patents

被洗浄物の洗浄度評価方法及び洗浄度評価装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被洗浄物の洗浄度評価
方法に関し、更に詳細には芳香族化合物及び/又は共役
二重結合を有する化合物を含む汚染物質(以下簡単のた
めに単に芳香族化合物等を含む汚染物質と言う場合もあ
る)が被着した部品、部材、製品等を水及びその他の洗
浄液により洗浄した後の被洗浄物の洗浄度を簡便にかつ
正確に評価する方法に関し、加えて被洗浄物の洗浄度評
価方法を実施する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】部品或いは部材から1個の製品機器を組
み立て、製造するに際し、部品等に被着している汚染物
質は、部品、部材等を腐食させる原因になり、また製品
機器の種々の性能を低下させる起因ともなるので、製品
に組み立てる前にその構成部品、構成部材等を、洗浄工
程で十分に洗浄し、次いで検査工程で洗浄の程度を検査
するのが通例である。
【0003】ところで、洗浄の程度の評価、即ち洗浄度
評価は、従来次のような方法により行われていた。即
ち、 1.被洗浄物を目視してその清浄度を判定する目視試験
法 2.JISZ 0303 4.1の清浄度の試験に規定
されているごとく白布又は黒布で表面を拭いて清浄かど
うか評価する拭き取り試験法 3.金属表面に油性の汚れが付着している部分には水が
付着しないということを利用する水ヌレによる試験法 4.水滴の接触角で判断する試験法 5.電気メッキを施してメッキの皮膜で判定する試験法 6.反射型赤外吸収スペクトル試験法 等である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上に列挙した
従来の洗浄度評価方法は、いずれも簡便ではあるが、定
量的でなく、例え定量的に清浄度を判定できるとしても
正確さに欠けていた。換言すれば、洗浄度評価の結果
が、客観的でなく、評価者の個人差に著しく影響される
と言うことであった。また、従来の方法は、表面が平面
状に広がりのある被洗浄物には適用できたとしても、複
雑な凹凸が表面にあるような被洗浄物、形状が複雑な被
洗浄物、或いは深い凹部又は奥行きのある穴部を有する
被洗浄物に適用することは極めて難しく、その適用範囲
が大幅に制約されていた。
【0005】ところで、工業用の部品、部材、特に電子
電気部品、精密機械部品等は、高い清浄度を必要とする
ので、従来、洗浄能力の高いフロン液で洗浄されてい
た。従って、部品、部材等の清浄度が仮に正確に定量化
できなくても、フロン液で洗浄している限り、完全に清
浄であるとの判断を下すことが可能であった。しかし、
フロン液による洗浄が徐々に制限されつつあって、フロ
ン液より洗浄能力の劣る洗浄媒体を利用せざるを得ない
今日、実用に供せる洗浄度評価方法が上述のように定量
性に欠け、かつ適用範囲も制約されているのであれば、
これは極めて問題であって、信頼性のある洗浄度評価方
法の確立が要望されていた。
【0006】かかる今日的な緊急の問題に鑑み、本発明
は、被洗浄物の材質、形状、その表面の凹凸程度にかか
わらず、被洗浄物の洗浄度の定量的評価を正確かつ迅速
に行うことのできる方法及びその実施装置を提供するこ
とである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的に応えるため、
本発明者は、汚染物質の成分及びその汚染物質の付着過
程に着目して研究した結果、製品機器に組み込まれる部
品、部材を製造する場合、その製造、組み立て工程にお
いて一定の副資材、例えば金属加工液、離型剤、ロジン
フラックス等を使用し、その使用量もほぼ一定し、従っ
て部品、製品に被着した汚染物質の成分組成もほぼ一定
していることを見い出した。しかも、殆どの場合、汚染
物質は、有機汚染物質、特に鉱油分及び界面活性剤に含
まれる芳香族化合物及び/又はアビエチン酸(Abie
tic Acid)及びその誘導体等の共役二重結合を
有する化合物を一定割合で含んでいることも発見した。
換言すれば、被洗浄物に残存する汚染物質の量は、芳香
族化合物及び/又は共役二重結合を有する化合物の量に
比例しているとしても大きく誤ることはないと言う事で
ある。そこで、本発明者は、被洗浄物に被着した芳香族
化合物及び/又は共役二重結合を有する化合物の量を正
確、かつ迅速に検出し、その量に基づき汚染物質の総量
を算出することにより、被洗浄物の洗浄度を評価する方
法を研究し、本発明に係る被洗浄物の洗浄度評価方法及
び洗浄度評価装置を発明するに到った。
【0008】以上の知見に基づき、上記目的を達成する
ために、本発明に係る被洗浄物の洗浄度評価方法は、被
洗浄物から芳香族化合物及び/又は共役二重結合を有す
る化合物を含む残存汚染物質を吸収端が260nm以下の
非芳香族化合物系溶剤中に溶出させて試料溶液を調製
し、波長がそれぞれ260〜290nmの範囲と350〜
400nmの範囲とにある第1及び第2の光に対する試料
溶液の吸光度を測定して、それぞれを第1測定値及び第
2測定値とし、第1測定値から第2測定値を差し引い
て、溶剤に懸濁した微粒子の影響を補正した試料溶液の
補正吸光度を求め、及び芳香族化合物及び/又は共役二
重結合を有する化合物を含む汚染物質を溶剤に溶解して
調製した所定濃度溶液の補正吸光度を基準にした検量線
に基づいて、試料溶液の補正吸光度から試料溶液中の汚
染物質濃度を求めることを特徴としている。
【0009】本発明において紫外線分析を採用したの
は、芳香族化合物及び/又は共役二重結合を有する化合
物を検出するのに便宜であり、2波長分光分析を採用し
たのは、芳香族化合物及び/又は共役二重結合を有する
化合物を溶解した試料溶液の吸光度測定と溶剤に懸濁し
た微粒子の影響を補正するためのベースライン補正用吸
光度測定を同時に行うことができるからである。
【0010】2つの光の波長をそれぞれ260〜290
nmの範囲と350〜400nmの範囲に限定したのは、次
の理由である。即ち、前者は、芳香族環のB吸収帯及び
共役二重結合を有する化合物のK吸収帯の250〜29
0nmに対応しおり、その範囲の波長に対する吸光度は、
試料溶液の芳香族化合物及び/又は共役二重結合を有す
る化合物の濃度と比例関係にあるからである。一方後者
は、溶剤に懸濁した微粒子による影響を補正するための
ベースライン補正用の波長であって、芳香族化合物及び
/又は共役二重結合を有する化合物により吸収されない
紫外線領域に属し、前者の波長領域からできるだけ離れ
た領域になるように選択されている。
【0011】本発明において、非芳香族化合物系溶剤の
吸収端を260nm以下と限定したのは、芳香族環のB吸
収帯及び共役二重結合を有する化合物のK吸収帯が紫外
線領域の250〜290nmに存在するので、吸収端がこ
の吸収帯領域と大きく重複する溶剤は、紫外線吸収法で
芳香族化合物及び/又は共役二重結合を有する化合物の
量を定量する場合に誤差が大きくなるからである。尚、
本明細書で、吸収端とは、X線又は光の連続吸収スペク
トルにおいて、波長がこれ以上短くなると吸収率が急激
に増加するようになる波長を言う。
【0012】溶剤に懸濁した微粒子による吸光度の影響
を補正する方法は、第1の測定値から第2の測定値を差
し引けばよく、差し引いた値が補正値である。本発明に
おいて、検量線を作製するには、先ず、芳香族化合物及
び/又は共役二重結合を有する化合物を含む汚染物質を
溶剤に溶解して調製した種々の所定濃度溶液を調製す
る。次いで、この種々の所定濃度溶液の吸光度の第1及
び第2測定値、続いて補正吸光度をそれぞれ求め、この
補正吸光度と所定濃度とから検量線を作成する。
【0013】上述の被洗浄物の洗浄度評価方法におい
て、被洗浄物から芳香族化合物等を含む残存汚染物質を
吸収端が260nm以下の非芳香族化合物系溶剤中に溶出
させて試料溶液を調製するに際し、溶剤中に浸漬した被
洗浄物に超音波を放射して、又は溶剤中に浸漬した被洗
浄物を揺動して被洗浄物から残存汚染物質の溶剤への溶
出を促進することが好ましい。別法として、一定量の溶
剤を循環させながら被洗浄物にジェット噴射して汚染物
質を被洗浄物から強制的に分離させ溶剤中に溶出させる
方法もある。
【0014】本発明において好適な非芳香族化合物系溶
剤は、C6 〜C10のイソパラフィン系及びナフテン系飽
和炭化水素、C3 〜C8 のアルコール、並びにC2 〜C
4 のアルキル基を有するセロソルブからなる群から選択
した溶剤、または前記群から選択した2種以上の溶剤の
混合溶剤である。更に、望ましくは、デカリン、2−エ
チル・ヘキサノール、及びいブチルセロソルブからなる
群から選択した少なくとも1種の溶剤を使用する。
【0015】好適例として、デカリン、2−エチル・ヘ
キサノール、及びブチルセロソルブを例示したのは、そ
れら溶剤が以下の条件を満たしているからである。その
条件とは、 1.吸収端が260nm以下であること。 2.有機性汚染物、特に部品の製造、組み立てにおいて
最も普遍的にかつ大量に使用されている金属加工液、離
型剤及びロジン成分を常温で約10分以内にほぼ完全に
溶解する溶解性を備えていること(かかる良好な溶解
性は、迅速な測定を必要 とする上から有利であるから
である)。 3.安全性、特に消防法を考慮して第2石油類以上の引
火点を有すること、である。 上述の例示の溶剤を使用する場合、計測結果の精度を更
に向上させるためには、石油製品硫黄分析用デカリン、
試薬特級の2−エチル・ヘキサノール、又は試薬特級の
ブチルセロソルブを使用する。好適には、試料溶液の汚
染物質濃度を5〜200ppm とする。その範囲での紫外
線分光分析の精度が高いからである。
【0016】更に、本発明方法を実施するための本発明
装置は、被洗浄物から芳香族化合物及び/又は共役二重
結合を有する化合物を含む汚染物質を非芳香族化合物系
溶剤中に溶出させて試料溶液を調整する試料溶液調整装
置と、波長がそれぞれ260〜290nmの範囲と350
〜400nmの範囲とにある2つの波長の光に対する前記
試料溶液の吸光度を測定する測定器とを備え、測定器
は、光を放射するための光源と、試料溶液調整装置から
送入された試料溶液が内側を流れ、一方光源から放射さ
れた光が試料溶液の流れを透過するフローセルと、透過
光のうち波長がそれぞれ260〜290nmの範囲と35
0〜400nmの範囲とにある2つの波長の光のみを通す
ためにそれぞれ設けられた干渉フィルターと、光源から
の2つの波長の入射光および透過光のそれぞれの強度を
計測する光強度計測手段と、並びに計測した光強度に基
づき試料溶液の汚染物質濃度を計算する計算手段とを備
えたことを特徴としている。
【0017】好適には、試料溶液調整装置には、被洗浄
物から汚染物質を非芳香族化合物系溶剤中に溶出させる
に際し、汚染物質の溶出を促進する機械的手段を備える
のが望ましい。機械的手段には、溶剤中に浸漬した被洗
浄物に超音波を放射する手段、溶剤中に浸漬した被洗浄
物を揺動する手段、又は被洗浄物に溶剤をジェット噴射
する手段等を挙げることができる。また、光源には紫外
線領域の放射エネルギーが高い重水素ランプを使用する
のが好ましく、更にフローセルには紫外線の透過性に優
れた厚さ3〜20mmの石英製を使用するのが好ましい。
以下に、添付図面を参照して実施例に基づき本発明をよ
り詳細に説明する。
【0018】
【実施例】図1は本発明に係る洗浄度評価装置の一実施
例の系統図であり、図2は汚れ抽出器の概略部分断面図
である。先ず、図1及び図2を参照して本発明に係る洗
浄度評価装置10を説明する。洗浄度評価装置10は、
汚れ抽出器12と、洗浄度測定器14とから略構成され
ている。汚れ抽出器12は、試料溶液調整装置であっ
て、内槽16と、外槽18とからなる2重槽と、外槽1
8の底板に設けられた超音波発振子21と、及び超音波
発振器22とからほぼ構成されている。内槽16は、非
芳香族化合物系溶剤17を収容し、収容した溶剤17中
に被洗浄物を浸漬させるための容器であって、被洗浄物
Hを収容できる容積を有する蓋付き角形容器である。蓋
は、内槽16内の溶剤17が超音波による振動中に外部
に飛散しないように設けてあって、内槽の壁との間には
シール材19が取り付けてある。内槽16と外槽18と
の間の環状空間には超音波を伝達するために適当な液体
20、例えば水が充填されていて、内槽16は、スペー
サ等(図示せず)を介して外槽18の内壁に対して一定
間隔で離隔して外槽18内で液体20に浮揚している。
【0019】超音波発振子21及び超音波発振器22
は、市販の超音波発振子と超音波発振器であって、本発
明に特有のものではなく、例えば内槽16の大きさが1
辺約150mm、高さが約150mmの角形容器の場合、周
波数が約40Khz 、出力が可変式で300−600Wの
超音波発振器を設ける。内槽12の大きさは、被洗浄物
の大きさに応じて定める。なお、汚れ抽出器12を2重
槽式に構成したのは、安全性と容器の洗浄性を考慮した
ためである。即ち、溶剤を収容する容器自体に発振子を
直接取り付ける場合には安全のため防爆仕様の超音波発
振器を使用するのが好ましいが、防爆仕様の超音波発振
器は一般に入手困難であることから、2重槽式にしてそ
の間に不燃性の液体を満たして非防爆仕様の超音波発振
器を使用しても安全であるようにするためであり、また
溶剤を入れる容器を測定の度に洗浄するためには、2重
槽式が便宜であるからである。
【0020】洗浄度測定器14は、試料供給装置24
と、2波長光度検出器26と、演算/出力装置28とか
ら構成されている。試料供給装置24は、汚れ抽出器1
2から移送ポンプ(図示せず)により一部移送されてき
た試料溶液を収容する試料容器30と、エレベータ34
により昇降されて試料容器30中に自在に進退して試料
溶液を吸入する吸入ノズル36とを備えている。試料容
器30中の試料溶液は、先端を浸漬させた吸入ノズル3
6を介して2波長光度検出器26に内蔵された試料ポン
プ38によりフローセル40に送出され、更にフローセ
ル40を経て系外に排出される。
【0021】吸入ノズル36は、洗浄ノズル42を備え
ていて、次の試料溶液を吸入する前に洗浄される。洗浄
ノズル42は、吸入ノズル36を形成する円筒壁の周囲
を環状に取り囲み、その壁に設けられた貫通孔を通して
必要な洗浄液を吸入ノズル内部に送る。洗浄液は、洗浄
液タンク44から洗浄液ポンプ45により洗浄ノズル4
2に送入される。吸入ノズル36のエレベータ34によ
る昇降及び洗浄液ポンプ45の起動等は、制御装置(図
示せず)により自動的に制御されている。尚、単純な構
成にするために、エレベータ34を省略して人手により
吸入ノズル36を直接内槽16の試料溶液中に挿入して
試料溶液を吸入するようにすることもできるし、また洗
浄ノズル42、洗浄タンク44、洗浄液ポンプ45等を
省略して人手により吸入ノズルを洗浄するようにするこ
ともできる。
【0022】2波長光度検出器26は、波長がそれぞれ
280nmと360nmである2つの波長の光に対する試料
溶液の吸光度を測定する装置であって、フローセル40
に加えて光源46、ハーフミラー48、及び2系統の干
渉フィルター50A、Bと受光素子52A、B、更に増
幅器54から構成されており、光はこれら光素子間を直
接伝播する。280nmと360nmの2つの波長の光に対
する試料溶液の吸光度を測定する本実施例では、干渉フ
ィルター50Aはフローセル40を透過した透過光のう
ち280nmの波長の光のみを通過させ、干渉フィルター
50Bは360nmの波長の光のみを通過させる。干渉フ
ィルター50を通過した280nmの波長及び360nmの
波長の光は、それぞれ受光素子52A、Bでそれぞれ受
光されて、受光された光の強度に相当する強度の電流に
それぞれ変換される。
【0023】本実施例では、フローセル40として厚さ
10mmの石英製セルを、光源46として重水素ランプ
を、干渉フィルター50として石英製フィルターを、受
光素子52としてシリコンフォトセルを使用している。
受光素子50A、Bで光が変換されて発生した電流は、
それぞれ増幅器54に入り、そこで適当に増幅されて演
算/出力装置28に入力する。演算/出力装置28のマ
イクロコンピュータは、入力電流を透過度に変換し、さ
らに吸光度に変換した後、予め格納されている検量線と
比較して洗浄度を評価し、その結果をプリンターで出力
する。尚、透過度とは、フローセル40から出た特定波
長、例えば260nmの波長の光(透過光)の強度を光源
46からフローセル40に入るその波長の光(入射光)
の強度で除した商であって、透過度T=透過光の強度I
/入射光の強度IO であり、吸光度とは、吸光度=log
10 1/Tである。
【0024】本実施例では、汚染物質の総量濃度と試料
溶液の吸光度との相関を予め実験的に確立し、それによ
り検量線を設定しておく。洗浄度の評価は、先ず試料溶
液の吸光度を以上のようにして検出し、汚染物質の総量
濃度を検量線から求め、続いて抽出に用いた溶剤17の
量との積から被洗浄物に被着した汚染物質の総量を求め
る。検量線は、被洗浄物の製造工程で実際に使用されて
いる材料、例えば金属加工液、離型剤、ロジンフラック
ス等を汚染物質として溶剤に溶解させて種々の所定濃度
の試料溶液を調製し、実機で補正吸光度と汚染物質濃度
との関係を予め作成したもので、演算/出力装置28に
前もって入力しておく。図3は、検量線の例であって、
溶剤としてデカリンを使用し、汚染物質として金属加工
液の一例である切削油(コスモ石油から商品名コスモク
ールX104で販売されている切削油(水溶性))を溶
解させたもので、横軸に切削油の濃度及び縦軸に吸光度
を取り、波長をパラメータとしたものである。
【0025】次に、本発明に係る洗浄度評価方法の実施
について上述の洗浄度評価装置を使用する場合を例にし
て説明する。正確にその容量Vを測定した非芳香族化合
物系溶剤17、例えばデカリン(石油製品硫黄分分析
用)を汚れ抽出器12の内槽16に収容する。次いで、
その中に被洗浄物H、例えば電子部品を浸漬し、内槽1
6と外槽18との間に水を適当量入れて、約10分間発
振器22を作動させ、強制的に電子部品に付着した汚染
物質を溶剤に溶出させ、試料溶液を調製する。次いで、
汚れ抽出器12から試料溶液の適当量を移送ポンプによ
り試料容器30に移し、洗浄度測定器14を作動させ
る。洗浄度測定器14は、以後自動的に動作して試料溶
液の汚染物質濃度を測定する。
【0026】即ち、試料容器30の試料溶液は、エレベ
ータ34により自動的に試料容器30内に降下した吸入
ノズル36から吸入されてフローセル40を流れて系外
に排出される。尚、単純にするため、前述のようにエレ
ベータ34を省き、吸入ノズル36を直接汚れ抽出器1
2の内槽16の試料溶液中に挿入し、試料溶液を吸入す
るようにしてもよい。一方、光源46から放射された光
は、フローセル40内を流れる試料溶液を透過し、次い
で干渉フィルター50A、Bによりフローセル40を透
過した光のうち280nmの波長の光と360nmの波長の
光のみが分光されてそれぞれ受光素子52A、Bでその
光強度に相当する電流に変換され、次いで増幅器54で
増幅され、演算/出力装置28で試料溶液のそれぞれの
波長の透過度、吸光度が算出される。次いで、280nm
の波長の光の吸光度から360nmの波長の光の吸光度を
差し引いて補正した補正吸光度を得る。得た補正吸光度
に基づいて検量線から試料溶液の汚染物質濃度を算出
し、更に算出した濃度から溶剤量V中の汚染物質の総
量、即ち被洗浄物に付着していた汚染物質の総量を計算
する。
【0027】評価例1 上述の洗浄度評価装置を使用して、実際に被洗浄物の洗
浄度を次のようにして評価した。被洗浄物として、長さ
145mm、幅100mm、厚さ8mmのアルミニウム製の長
方体形部品(部品名A)を試料にした。部品Aは、金属
加工液として切削油(コスモ石油から商品名コスモクー
ルX104で販売されている切削油)を使用して金属加
工されたものである。445.5 CC の2−エチル・ヘ
キサノールを溶剤として汚れ抽出器12の内槽16に入
れ、次いで試料Aを溶剤中に浸漬して10分間超音波を
作用させながら汚染物質を溶剤中に溶出させて試料溶液
を調製した。次いで、試料溶液の吸光度について第1測
定値0.050と第2測定値0.003、次いでその差
の補正吸光度0.047を得た。図3に示す検量線を使
用して求めた汚染物質の濃度は19PPM であり、続いて
汚染物質重量は8mgと算出できた。以上の試料溶液調整
条件及び測定結果は、表1に纏めて示してある。尚、評
価に要した時間は、部品Aの浸漬から計時して約15分
であった。
【0028】
【表1】 評価例2〜6 表1に示す種々の条件で、種々の被洗浄物の洗浄度評価
を行い、その結果を評価例1と同様にして表1に示して
ある。評価例1から評価例6の例示で明らかなように、
本実施例装置と方法は、被洗浄物の洗浄度を簡便な方法
で正確に評価することができる。
【0029】また、被洗浄物Hと同じ電子部品をフロン
液で洗浄して基準被洗浄物を作製し、その基準被洗浄物
に残存する基準汚染物質量を本発明方法により上述のよ
うにして算出しておくならば、その基準汚染物質量との
比較により個々の被洗浄物の洗浄度を判定することもで
きる。
【0030】
【発明の効果】本発明は、溶剤として吸収端が260nm
以下の非芳香族化合物系溶剤を使用して被洗浄物の汚染
物質を溶出させ、波長がそれぞれ260〜290nmの範
囲と350〜400nmの範囲とにある光を使用した2波
長光度検出器により試料溶液の吸光度を測定し、補正
し、その補正吸光度と検量線との比較から、試料溶液の
汚染物質濃度を算出することにより、従来極めて困難で
あった被洗浄物の洗浄度の定量的評価を迅速かつ正確に
行うことが出来る。また、本発明は、試料溶液調整装置
と、並びに光源と、フローセルと、上記2つの波長の光
のみを通す干渉フィルターと、光強度計測手段と、及び
計算手段とを有して上記2波長の光に対する試料溶液の
吸光度を測定する2波長光度検出器を備えた被洗浄物の
洗浄度評価装置を提供することにより、本発明方法を簡
便に実施できるようにしている。以上の本発明方法及び
本発明装置は、被洗浄物の洗浄度を定量的にかつ高い信
頼性で評価できるので、従来のフロン洗浄液に代わっ
て、地球環境を破壊しない他の洗浄液による洗浄を促進
するのに大いに寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る洗浄度評価装置の一実施例の系統
図である。
【図2】図1の洗浄度評価装置の汚れ抽出器の部分的断
面図である。
【図3】吸光度と汚染物質濃度との相関を示す検量線の
一例である。
【符号の説明】 10 洗浄度評価装置 12 汚れ抽出器 14 洗浄度測定器 16 内槽 18 外槽 21 超音波発振子 22 超音波発振器 24 試料供給装置 26 2波長光度検出器 28 演算/出力装置 30 試料容器 34 エレベータ 36 吸入ノズル 38 試料ポンプ 40 フローセル 42 洗浄ノズル 44 洗浄液タンク 45 洗浄液ポンプ 46 光源 48 ハーフミラー 50 干渉フィルター 52 受光素子 54 増幅器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉田 勝 東京都中央区日本橋小舟町5番1号 長 瀬産業株式会社内 (72)発明者 岡崎 全宏 東京都中央区日本橋小舟町5番1号 長 瀬産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−115837(JP,A) 特開 平5−223799(JP,A) 特開 平4−252951(JP,A) 近代編集社「Surface Con trol & 洗浄設計」1992年秋号 (1999.10.1)P43−47 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 21/00 - 21/01 G01N 21/17 - 21/61 実用ファイル(PATOLIS) 特許ファイル(PATOLIS)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被洗浄物から芳香族化合物及び/又は共
    役二重結合を有する化合物を含む残存汚染物質を吸収端
    が260nm以下の非芳香族化合物系溶剤中に溶出させて
    試料溶液を調製し、 波長がそれぞれ260〜290nmの範囲と350〜40
    0nmの範囲とにある第1及び第2の光に対する前記試料
    溶液の吸光度を測定して、それぞれを第1測定値及び第
    2測定値とし、 前記第1測定値から前記第2測定値を差し引いて、前記
    溶剤に懸濁した微粒子の影響を補正した前記試料溶液の
    補正吸光度を求め、及び前記芳香族化合物及び/又は共
    役二重結合を有する化合物を含む汚染物質を前記溶剤に
    溶解して調製した所定濃度溶液の補正吸光度を基準にし
    た検量線に基づいて、前記試料溶液の補正吸光度から前
    記試料溶液中の汚染物質濃度を求めることを特徴とする
    被洗浄物の洗浄度評価方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の洗浄度評価方法におい
    て、被洗浄物から芳香族化合物及び/又は共役二重結合
    を有する化合物を含む残存汚染物質を吸収端が260nm
    以下の非芳香族化合物系溶剤中に溶出させて試料溶液を
    調製するに際し、前記溶剤中に浸漬した前記被洗浄物に
    超音波を放射して、又は前記溶剤中に浸漬した前記被洗
    浄物を揺動して前記被洗浄物から前記残存汚染物質の前
    記溶剤への溶出を促進することを特徴とする被洗浄物の
    洗浄度評価方法。
  3. 【請求項3】 前記非芳香族化合物系溶剤が、C6 〜C
    10のイソパラフィン系及びナフテン系飽和炭化水素、C
    3 〜C8 のアルコール、並びにC2 〜C4 のアルキル基
    を有するセロソルブからなる群から選択した溶剤、また
    は前記群から選択した2種以上の溶剤の混合溶剤である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の被洗浄物の洗
    浄度評価方法。
  4. 【請求項4】 被洗浄物から芳香族化合物及び/又は共
    役二重結合を有する化合物を含む汚染物質を非芳香族化
    合物系溶剤中に溶出させて試料溶液を調整する試料溶液
    調整装置と、 波長がそれぞれ260〜290nmの範囲と350〜40
    0nmの範囲とにある2つの波長の光に対する前記試料溶
    液の吸光度を測定する測定器とを備え、 前記測定器は、光を放射するための光源と、前記試料溶
    液調整装置から送入された前記試料溶液が内側を流れ、
    一方前記光源から放射された光が前記試料溶液の流れを
    透過するフローセルと、前記透過光のうち波長がそれぞ
    れ260〜290nmの範囲と350〜400nmの範囲と
    にある2つの波長の光のみを通すためにそれぞれ設けら
    れた干渉フィルターと、前記光源からの前記2つの波長
    の入射光および透過光のそれぞれの強度を計測する光強
    度計測手段と、並びに前記計測した光強度に基づき前記
    試料溶液の汚染物質濃度を計算する計算手段とを備えた
    ことを特徴とする被洗浄物の洗浄度評価装置。
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