JP3224641B2 - 最大電力需要予測方法 - Google Patents
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Description
令所において、系統制御用計算機や汎用計算機等を用
い、翌日または当日、翌月、翌週の最大電力需要を予測
する方法に関する。
供給及び経済運用に重要な役割を果たす。特に、最大電
力需要予測は発電計画の基盤となる業務であり、近年の
電力供給が逼迫した状況から、その精度向上への要求は
年々高まっている。現状の最大電力需要予測は、過去の
需要実績から気温感応分や天候感応分を分析して翌日の
天気予報をもとに気温需要や天候需要を求め、これらを
積算して予想値を求めているが、熟練運用者の経験や専
門的知識を必要とする部分も残っている。これらの予測
作業を自動化するものとしては、重回帰分析に代表され
る統計的手法に基づく予測モデルを作成し、これを用い
て計算機により予測する方法がある。
第に減少する傾向にあり、これらの者が有する経験や知
識を利用するのも困難になりつつある。また、上述した
計算機による予測方法によると、予測作業の自動化は可
能になるものの予測モデルの構築が非常に困難であり、
また、このモデルでは、十分に実用的な精度が得られな
いという問題点がある。
れたもので、その目的とするところは、熟練運用者に依
存することなく予測作業の自動化が可能であり、しかも
最大電力の予測精度を高めることができる最大電力需要
予測方法を提供することにある。
するため、請求項1に記載した第1の発明においては、
春夏秋冬の季節ごとに設けた階層型ニューラルネットワ
ークに、学習データとして、気温や湿度等の気象条件や
電力需要に関する過去の実績データ、及び、教師値とし
て予測対象日(例えば翌日や当日)の最大電力を入力し
てバックプロパゲーション等の学習アルゴリズムにより
学習させると共に、前記学習データを用いて、隣接する
2つの季節の重なり期間における温度と季節適合度との
関係を示すメンバシップ関数を作成する学習フェイズ
と、予測対象日が該当する季節の学習済みニューラルネ
ットワークを予測モデルとして用い、予測対象日を基準
とした過日の気象実績データまたは気象予報データをニ
ューラルネットワークに入力して予測対象日における最
大電力需要を予測させる予測フェイズとを有する。 そし
て、予測対象日が各季節の境界に設けた重なり期間に属
する場合には、隣接する2つの季節に対応するニューラ
ルネットワークを用いて季節ごとに予測することにより
2つの予測値を生成し、予測対象日の予想気温に応じて
前記メンバシップ関数により求めた季節適合度と前記2
つの予測値とを用いてファジィ推論を行い、単一の最終
的な予測値を求めるものである。
は、季節ごとに設けた階層型ニューラルネットワーク
に、学習データとして、気象条件及び電力需要に関する
実績データと教師値である最大電力とを入力して学習さ
せる学習フェイズと、予測対象の週(例えば翌週)が該
当する季節の学習済みニューラルネットワークを予測モ
デルとして用い、予測対象の週の平年気象データを週間
気象予報データにより補正したものをニューラルネット
ワークに入力して予測対象の週における最大電力需要を
予測させる予測フェイズとを有するものである。
る。図1ないし図4は、第1の発明の実施例を示すもの
で、この発明は日単位(例えば翌日または当日)の最大
電力需要を予測する場合のものである。まず、図1に示
すように、この実施例の予測方法は、ニューラルネット
ワークの学習フェイズSA1、ニューラルネットワーク
による予測フェイズSA2、ファジィ推論フェイズSA
3から構成されている。以下、各フェイズにつき詳細に
説明する。
ューラルネットワークにより、多数の実績データ及び教
師値を用いて学習するフェイズであり、年度の始めに一
度だけ実行される。ここで、図2は、本実施例で使用さ
れる階層型ニューラルネットワークの構成を示してお
り、複数のニューロンを持つ入力層X1、適当数のニュ
ーロンを持つ中間層X2、単一ニューロンを持つ出力層
X3からなる3階層型ネットワークが用いられている。
なお、上記ニューラルネットワークは、春夏秋冬の四季
分、用意されている。
データ作成ステップSA11、学習ステップSA12、
メンバシップ関数作成ステップSA13に細分される。
学習データ作成ステップSA11では、例えば過去5年
間の4月1日から3月31日までの気象条件及び最大電
力等の電力需要に関する実績データを四季に分類して、
学習データを作成する。四季の分類は便宜上、 春季:4月1日〜6月30日 夏季:7月1日〜9月15日 秋季:9月16日〜10月31日 冬季:11月1日〜3月31日 とする。
の範囲及び項目としては、図3に示すように予測対象日
から最長で過去1週間程度の最高気温、最低気温、最小
湿度、天気からなる気象データと、土曜日・休日を平日
から区別するための特異日フラグ(ダミーデータ)と、
最大電力からなる電力データである。なお、図3(及び
図2)において、iは予測対象日を、i−nはそのn日
前をそれぞれ示している。ここで、学習データの範囲や
項目は、図3の例に限定されないのは勿論である。
範囲や採用の有無が異なるのは、例えば夏季では、通
常、高温の日が長期に渡って継続することにより最大電
力需要に大きく影響し、また冬季では湿度や天気が最大
電力需要にそれほど影響しない等の経験的事実を考慮し
たものである。これらの学習データは毎年更新され、ま
た、学習に適さないデータを取り除くために学習データ
に対しスクリーニングを行う。
季節ごとに作成した学習データ(予測対象日の教師値と
しての最大電力を含む)を用いてニューラルネットワー
クの学習を行う。ここで使用する学習アルゴリズムとし
ては、ネットワークが多層構造であるためバックプロパ
ゲーション(逆誤差伝播法)を用いる。既に知られてい
るように、バックプロパゲーション学習アルゴリズム
は、シナプス結合にある初期値を与えた状態で入力層に
学習入力を与え、この時の出力層からの出力と教師値と
の誤差が設定値よりも小さくなるまで出力層側から下位
の層との間のシナプス結合を変更していくものである。
この学習は、4個のニューラルネットワークについて、
前記分類による四季の学習データを用いてそれぞれ実行
される。その結果、学習済みの春季ネットワーク、夏季
ネットワーク、秋季ネットワーク、冬季ネットワークを
得ることができる。
A3で用いるメンバシップ関数の作成ステップSA13
に移行する。ここで、第1の発明では、予測対象日が属
する季節に応じて各季節のネットワークを使い分けるも
のであるが、季節の変わり目には何れの季節とも決し難
い期間(以下、季節の重なり期間という)が存在するに
も関わらず、単純に前記分類〜の境界日で予測用の
ネットワークを切り替えると境界日前後で予測精度が悪
化することが予想される。
にするために、季節の重なり期間を設定し(例えば、春
季と夏季の変わり目に相当する期間として6月及び7月
の全期間、夏季と秋季の変わり目に相当する期間として
9月の全期間)、これらの重なり期間に属する予測対象
日については隣接する2つの季節に対応する2つの予測
値を求めるようにした。
バシップ関数により求めた季節適合度と前記2つの予測
値とを用いてファジィ推論を行い、単一の最終的な予測
値を求める。ここで、上記メンバシップ関数は、最高気
温等の気温を変数として、この変数と予測対象日の季節
適合度との関係を示したものである。図1におけるメン
バシップ関数作成ステップSA13は、このファジィ推
論に用いるメンバシップ関数を作成するためのステップ
である。
タにおける最高気温の度数分布に基づき、図4に示すよ
うなメンバシップ関数MSFを作成した。なお、図4
は、一例として春季と夏季との重なり期間(6月及び7
月の全期間)における所定温度の日数の度数分布及びメ
ンバシップ関数MSFを示している。このメンバシップ
関数MSFは学習データの更新に伴って毎年、修正され
るので、その確度は後のファジィ推論によって算出され
る最適値にも反映されることになる。なお、メンバーシ
ップ関数MSFは、最高気温ばかりでなく平均気温を変
数として決定しても良い。
クによる予測フェイズSA2では、学習済みの4個のネ
ットワークのうち、予測対象日が属する季節のネットワ
ークを用いて最大電力需要を予測する。図1の予測用デ
ータ入力ステップSA21では、学習時の入力データと
同一項目の過日の気象実績データまたは気象予報データ
をネットワークに入力し、次の予測ステップSA22に
よりネットワークを用いて実際の予測を行う。更に、予
測対象日が季節の重なり期間に属する場合を考慮し、ス
テップSA23を介して該当する2つの季節ネットワー
クについてそれぞれ予測させる。
予測値が得られることになるが、最終的には1つの予測
値を最適値として決定することが望まれる。そこで、次
のファジィ推論フェイズSA3により最終的に1つの予
測値を決定する。すなわち、予測対象日が例えば春季と
夏季の重なり期間に属する場合には、気象予報により予
想される最高気温から、図4のメンバシップ関数MSF
により春季及び夏季に対する季節適合度をステップSA
31にて計算する。そして、各季節について先のステッ
プSA22により求めた予測値と季節適合度から、重み
平均を求めるファジィ推論により、ステップSA32に
よって最終的な予測値を算出する。
温が28〔°C〕であり、これに対応する季節適合度は
春季が0.2、夏季が0.8であるとする。また、春季
ネットワークを用いたステップSA22による最大電力
需要の予測値が15000〔MW〕、同じく夏季ネット
ワークを用いた予測値が20000〔MW〕であるとす
ると、最終的な予測値は以下の計算により求めることが
できる。 0.2×15000+0.8×20000=19000〔MW〕
月)の最大電力需要を予測する方法につき説明する。こ
の例は、図5に示すように、ニューラルネットワークの
学習フェイズSB1とニューラルネットワークによる予
測フェイズSB2とからなる。学習フェイズSB1は、
図1の学習フェイズSA1からメンバシップ関数の作成
ステップSA13を省略したものと実質的に同一であっ
て前記同様に年度の始めに1度だけ実行されるものであ
り、学習データ作成ステップSB11及び学習ステップ
SB12から構成されている。なお、階層型ニューラル
ネットワークの構成、学習データの項目や範囲、学習ア
ルゴリズム等についても図1ないし図3の実施例と変り
はない。
の季節ごとのネットワークを用いて予測を行う。予測用
データの入力ステップSB21では、学習データと同一
項目のものを入力する。ここで、翌日予測や当日予測の
ように日単位の予測では前日、前々日程度まで実績デー
タが判明しているが、月単位、例えば翌月予測では最大
で1ヶ月前の実績データしか判明していない。更に、気
象予報データについても、予測に使用できるような詳細
な予報結果が得られていない。すなわち、予測段階では
実績データや気象予報データが不完全、不十分であって
使用できないので、予測用データの入力ステップSB2
1では翌月の毎日分の平年気象データを入力し、次の予
測ステップSB22により予測を行う。なお、ニューラ
ルネットワークは1日の最大電力需要を求めるように作
成されているため、翌月の1ケ月分を予測し終わるまで
ステップSB23を介して繰り返し予測することとす
る。
て説明する。この発明は、週単位(例えば翌週)の最大
電力需要を予測するためのものである。この実施例も、
図6に示すように、ニューラルネットワークの学習フェ
イズSC1とニューラルネットワークによる予測フェイ
ズSC2とからなる。学習フェイズSC1は、学習デー
タ作成ステップSC11及び学習ステップSC12から
なり、図5の学習フェイズSB1と実質的に同一であっ
て翌月予測用のネットワークと同一のものを使用するこ
とができる。
の季節ごとのネットワークを用いて予測を行う。予測用
データとしては、学習データと同一項目のものを使用す
る。このとき、本実施例は翌週予測であるため、予測段
階では実績データが不完全な場合がある。一方、気象予
報データには週間予報としてある程度信頼のおけるもの
も存在する。
ていない日については平年気象データに週間気象予報デ
ータ(平年に比べて気温が高い、低い等)を反映させて
使用し、予測を行う。具体的には、図6に示すごとくス
テップSC21により予め平年気象データを取得してお
き、週間気象予報データに基づき「平年最高気温及び平
年最低気温に対し+1.5〔°C〕」というような補正
値(+1.5〔°C〕を補正値とする)をステップSC
22により設定する。ステップSC23では、上記補正
値により平年気象データを補正したもの(実績データが
使用可能なものについては実績データ)を予測用データ
として入力し、次のステップSC24においてニューラ
ルネットワークにより予測を行う。この実施例において
も、ニューラルネットワークは1日の最大電力需要を求
めるように作成されているため、翌週の1週間分を予測
するまでステップSC25を介して繰り返し予測するこ
ととする。
ニアリングワークステーションと予測用のパーソナルコ
ンピュータとからなる予測システムにより実現可能であ
る。また、上記各実施例において予測用入力データの時
間的範囲を変更することにより、第1の発明では任意の
日、第2の発明では任意の週についての予測を行うこと
も可能である。
いては、従来のような熟練運用者の経験や知識に依存す
ることなく自動的に日単位、週単位の最大電力需要を予
測することができ、シミュレーションによれば、ニュー
ラルネットワークの学習により従来以上の予測精度が得
られることが確認されている。また、予測モデルも比較
的簡単な階層型ネットワークにより構築できるため、信
頼性、経済性に優れている。特に、第1の発明では季節
の重なり期間についてファジィ推論により最適な予測値
を求めるようにしたので、予測精度を一層向上させるこ
とができる。
ある。
ルネットワークの構成図である。
データの内容を示す図である。
プ関数の説明図である。
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 季節ごとに設けた階層型ニューラルネッ
トワークに、学習データとして、気象条件及び電力需要
に関する実績データと教師値である最大電力とを入力し
て学習させると共に、前記学習データを用いて、隣接す
る2つの季節の重なり期間における温度と季節適合度と
の関係を示すメンバシップ関数を作成する学習フェイズ
と、 予測対象日が該当する季節の学習済みニューラルネット
ワークを予測モデルとして用い、予測対象日を基準とし
た過日の気象実績データまたは気象予報データをニュー
ラルネットワークに入力して予測対象日における最大電
力需要を予測させる予測フェイズとを有し、 予測対象日が各季節の境界に設けた重なり期間に属する
場合には、隣接する2つの季節に対応するニューラルネ
ットワークを用いて季節ごとに予測することにより2つ
の予測値を生成し、予測対象日の予想気温に応じて前記
メンバシップ関数により求めた季節適合度と前記2つの
予測値とを用いてファジィ推論を行い、単一の最終的な
予測値を求めることを特徴とする最大電力需要予測方
法。 - 【請求項2】 季節ごとに設けた階層型ニューラルネッ
トワークに、学習データとして、気象条件及び電力需要
に関する実績データと教師値である最大電力とを入力し
て学習させる学習フェイズと、 予測対象の週が該当する季節の学習済みニューラルネッ
トワークを予測モデルとして用い、予測対象の週の平年
気象データを週間気象予報データにより補正したものを
ニューラルネットワークに入力して予測対象の週におけ
る最大電力需要を予測させる予測フェイズとを有するこ
とを特徴とする最大電力需要予測方法。
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ID=16495813
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Cited By (1)
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1993
- 1993-07-27 JP JP20475593A patent/JP3224641B2/ja not_active Expired - Lifetime
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平成4年電気学会全国大会論文集「1003 最大需要予測支援システムの予測精度向上に関する検討(1)」(平4−3−25)p.9−23,24 |
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