JP3224076U - 持続性のある簡易冷却体 - Google Patents
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Abstract
【課題】速やかに低温が得られると同時に、過度に冷えすぎることなく適度な低温を長時間にわたって維持できる簡易冷却体を提供する。【解決手段】樹脂シート製の袋体内に隔壁部2を設けて少なくとも第一の収容部3と第二の収容部4を設け、外部から力を付加することによって該第一の収容部と該第二の収容部を連通可能とする。該第一の収容部に粉末状の冷却反応剤を収容し、該第二の収容部に冷却基剤と内部袋体5を収容するとともに、該内部袋体は冷却基剤を徐放するようにする。【選択図】図1
Description
本考案は、袋体に収納された冷却反応剤と冷却基剤を混合した際の吸熱反応によって低温を得る簡易冷却体に関する。
従来より、硝酸アンモニウムや尿素に代表される冷却反応剤と、水に代表される冷却基剤を分離状態で袋体に収納し、袋体の外部から叩く等することで冷却反応剤と冷却基剤を隔てる仕切り部分を破壊してこれらを混合して反応させ、これらの吸熱反応によって低温を得る簡易冷却体が実用に供されてきた。
簡易冷却体は小型・軽量のものを容易に製造可能であり携帯が容易である。また、必要な際に素早く低温を得られるため、例えば捻挫などの怪我を負った際のアイシング処置を行う目的や、スポーツ観戦等のレジャー時に涼を取る目的等、様々な目的で広く利用されている。
しかしながら、簡易冷却体は冷却反応剤と冷却基剤を混合した際に冷却反応剤が溶解する際の吸熱反応によって低温を得るため、一般的にこれらを混合して簡易冷却体を作動させたのちに急激に温度が下がり、その後、低温の持続時間が短いという課題があった。例えば、簡易冷却体を作動させる、つまり、外部から叩く等することで冷却反応剤と冷却基剤を隔てる仕切り部分を壊して混合すると、数秒から数十秒の間に前記アイシング等の用途には冷たすぎる程に温度が低下し、その後温度上昇が始まってしまうのである。
従来よりこの課題を解決することが試みられている。例えば、特開2001−198151号公報には、隔壁部で分離された2つの収容部を備えて、一方の収容部に冷却反応剤と塩水吸収樹脂を、他方の収容部に冷却基剤である水を加えてゲル化した吸水性樹脂を収容した簡易冷却体が開示されている。
このような簡易冷却体では、隔壁部を破壊してそれぞれの収容部の収容物を混合すると、ゲル化した吸水性樹脂に含まれる冷却基剤と冷却反応剤が接触して吸熱反応が起こり温度が低下するが、ここで発生した濃厚な塩水が塩水吸収樹脂によって取り除かれ、再び冷却反応剤と冷却基剤が接触して吸熱反応が継続する。これによって長時間安定した低温を得ようとしている。
しかしながら、このような簡易冷却体は冷却基剤が吸水性樹脂によってゲル化しているため、簡易冷却体を作動させた際の温度低下が緩慢である。アイシング用途等ではこれはむしろ好ましい場合もあるものの、涼を得ようとする目的で使用場合には、速やかに強い冷感が得られることが使用者の満足感に直結するため、作動時の温度低下速度が遅いことは大きな問題である。
別の例として、特開2000−126218号公報に開示された簡易冷却体を挙げることができる。この簡易冷却体は、冷却基剤を収容した収容体と共に、冷却反応剤を収容した収容体を入れ子に複数外装体に収容したものであり、冷却反応剤を入れ子に収容する収容体は冷却基剤の透過性がある素材で構成されている。
このような簡易冷却体では、外層の外側から冷却基剤の収容体を叩く等して破壊して作動させると、まず、冷却反応剤を収容した収容体のうち、もっとも外側の収容体に収容された冷却反応剤が冷却基剤に溶解して吸熱反応し、温度が速やかに低下する。その後、順次内側の収容体に冷却基剤が浸透し、これによって順次それぞれの収容体内の冷却反応剤が溶解して低温が維持される。これにより、作動後に素早く低温が得られるとともに、冷えすぎることなく、長時間にわたって低温が維持するという効果が得られる。
しかし、冷却反応剤の収容体を冷却基剤に対して透過性のある素材で構成した際に、冷却基剤の浸透速度を所望の速さに調整することは相当に難しい。収容体を多孔質材料で構成するなどして孔径や孔密度を適切に調整すれば原理的には浸透速度を調整できるはずであるが、実使用時においては、外装体のフィルムと収容体のフィルムが密着して冷却基剤の浸透が阻害されるなど、様々な原因で作動時間が不安定化するからである。
本考案が解決しようとする課題は、作動後に速やかに十分な低温が得られ使用者に爽快感を与えることができ、かつ、冷えすぎることなく適度な低温を長時間維持できる簡易冷却体を提供することである。。
(1)上記課題を解決するため、本考案においては、
樹脂シート製の袋体内に隔壁部を設けて少なくとも第一の収容部と第二の収容部を設け、
該隔壁部は該袋体の外部から力を付加することによって該第一の収容部と該第二の収容部を連通させることが可能とされ、
該第一の収容部に粉末状の冷却反応剤を収容し、
該第二の収容部に冷却基剤と内部袋体を収容し、
該内部袋体には冷却基剤を収容しており、かつ、該内部袋体に収容した冷却基剤を徐放可能とされている、
ことを特徴とする簡易冷却体としている。
樹脂シート製の袋体内に隔壁部を設けて少なくとも第一の収容部と第二の収容部を設け、
該隔壁部は該袋体の外部から力を付加することによって該第一の収容部と該第二の収容部を連通させることが可能とされ、
該第一の収容部に粉末状の冷却反応剤を収容し、
該第二の収容部に冷却基剤と内部袋体を収容し、
該内部袋体には冷却基剤を収容しており、かつ、該内部袋体に収容した冷却基剤を徐放可能とされている、
ことを特徴とする簡易冷却体としている。
軽量で持ち運びの容易な簡易冷却体とするため、袋体は2枚の樹脂シート材の周辺部をシールして成る構造とすることが好ましい。また、この袋体に、袋体の外部から力を付加することで剥離可能な隔壁部を設けて少なくとも2つの収容部を設けている。
隔壁部は、手指で袋体をつまんで引きはがすことで第一の収容部と第二の収容部を連通できることが好ましく、これには任意の定法を用いることができる。例えば、ヒートシールによって隔壁部を構成する場合であれば、ヒートシール処理の温度やシール部のパターンの工夫でこのような機能を実現することができる。また、隔壁部を適当な強度の接着剤で袋体の一部を接着することによって構成してもよい。
冷却反応剤としては、典型的には硝酸アンモニウムや尿素など、冷却基剤として用いられることの多い水に溶解した際に吸熱反応を呈する物質を単独で、または、複数混合して用いる。冷却反応剤と冷却基剤が速やかに反応するよう、冷却反応剤は表面積が大きい粉末形態のものを使用する。
冷却基剤は典型的には水を使用する。ただし、冷却反応剤と反応して吸熱反応を奏するものであれば水以外の物質、または、水とそれ以外の物質の混合物であってもよい。ただし、いずれの場合であっても本考案に係る冷却基剤は液体でなければならない。
第二の収容部に収容した冷却基剤は隔壁部を剥離すると直ちに第一の収容部に収容した冷却反応剤と混合して溶解し、吸熱反応を奏して速やかに低温が得られる。これにより、使用者が簡易冷却体を作動させると直ちに冷感が得られることになり、使用者に爽快感を与えることができる。
内部袋体は、ここでは伸縮性のある素材で作られた袋状のものであり、典型的にはいわゆる水風船のようなゴム製の袋とすることができる内部袋体に冷却基剤、例えば水を収容すると、内部袋体の弾性によって冷却基剤が押し出される。ここで内部袋体が冷却基剤を徐放するように構成されていれば、冷却基剤が徐放されて新たな冷却基剤が未溶解の冷却反応剤に供給されて吸熱反応が起こり、これが徐放が続く間維持されることになる。これにより、すべての冷却反応剤が一度に溶解して過度に低温になることなく、長時間にわたって適度な低温を維持することができる。
内部袋体から冷却基剤を徐放するため、内部袋体の口は微細な水路とする。具体的には、内部袋体の口にオリフィス板(微細な孔を設けた板)を備えることができるが、簡易的に内部袋体の口を部分的に間隙を設けたクリップで封をすることで、間隙部分から冷却基剤が漏れ出るようにしてもよい。
また、簡易冷却体を作動させるまでは内部袋体から冷却基剤が徐放されないようしなければならない。さもなければ、簡易冷却体の保管中等に内部袋体内に収容された冷却基剤がすべて第二の収容部に放出されてしまい、適度な低温を長時間維持するという作用が得られなくなってしまうからである。
この機能の実現には様々な方法を用いることができるが、一例として、いわゆるヘアピン(針金を略U字型に曲げたもの)のようなクリップで簡易冷却体の袋体の外部から内部袋体の口付近を挟むことで、内部袋体の口を封止することができる。このようにすると、簡易冷却体を作動させる、つまり、袋体を手指でつまんで隔壁部を剥離させる際にクリップを取り除くことで、冷却基剤の徐放を開始させ、長時間にわたって低温を維持することができる。また、クリップを取り付けたまま簡易冷却体をしばらく使用し、温度が上昇してきたところでクリップを取り外して再度低温を得るというような使い方もできる。
(2)上記課題を解決するため、本考案においては、
前記内部袋体の口が、前記袋体の外部より挟持手段によって封止可能とされている、
ことを特徴とする、(1)に記載の簡易冷却体としている。
前記内部袋体の口が、前記袋体の外部より挟持手段によって封止可能とされている、
ことを特徴とする、(1)に記載の簡易冷却体としている。
簡易冷却体の保管中に内部袋体に収容した冷却基剤が放出されてしまうと適度な低温の長時間の維持ができなくなるため、簡易冷却体の口を使用時まで封止しておく必要があることはすでに説明した通りである。
これには、内部袋体の口を袋体の外部から挟み込むことで封止すればよく、これを実現する挟持手段としていわゆるヘアピン(針金を略U字型に曲げたもの)のようなクリップを使用できるがこれに限られない。いわゆる洗濯ばさみの様なものを含めて、袋状体の外部から内部袋体の口付近を挟持可能な手段であれば任意のものを使用できる。
また、内部袋体は、その口付近を挟持されることで内部に収容された冷却基剤が漏れ出ないように封止されることが可能でなければならないので、その口付近は薄い樹脂フィルムやゴムのような柔軟な素材で構成されていなければならない。硬質樹脂製などであれば、袋体の外部から封止することが不可能だからである。
(3)上記課題を解決するため、本考案においては、
前記内部袋体が樹脂フィルム製の内部袋体内体と、
該内部袋体内体を覆う弾性材料性の内部袋体外体からなる、
ことを特徴とする、(1)または(2)に記載の簡易冷却体としている。
前記内部袋体が樹脂フィルム製の内部袋体内体と、
該内部袋体内体を覆う弾性材料性の内部袋体外体からなる、
ことを特徴とする、(1)または(2)に記載の簡易冷却体としている。
すでに説明した通り、内部袋体はいわゆる水風船のようにゴム製の袋によって実現することができるのだが、ゴム材料は特に伸長されている際に水等の冷却基剤をゆっくりと透過してしまう場合がある。透過速度自体はごくゆっくりとしたものではあるが、簡易冷却体を長時間保存した場合、内部袋体に収容した冷却基剤が第二の収容部に漏れ出てしまって、適度な低温を長時間維持可能であるという本考案の機能が損なわれてしまうことになる。
そこで、冷却基剤の透過の少ない樹脂材料性の内部袋体内体に冷却基剤を収容することで長時間の保存を行っても冷却基剤が内部袋体内にとどまり、以て、長時間にわたって適度な低温を維持可能とする。
ところで、冷却基剤の透過の少ない樹脂材料は弾性に乏しいことがほとんどであり、これでは冷却基剤の徐放が行えない。そこで、内部袋体内体を覆うように弾性材料性の内部袋体外体を設け、これによって内部袋体内体を与圧し、冷却基剤の徐放を達成する。具体的には、ゴム製の袋を内部袋体内体にかぶせる、又は、ゴム製のバンドを内部袋体内体に巻くなどによって実現できる。
(4)前記課題を解決するため、本考案においては、
前記内部袋体の口が前記隔壁部にて封止され、
外部から力を付加して該隔壁部が連通状態とされた際に該内部袋体の口も開くように設定されている、
ことを特徴とする(1)または(1)を引用する(3)に記載の簡易冷却体としている。
前記内部袋体の口が前記隔壁部にて封止され、
外部から力を付加して該隔壁部が連通状態とされた際に該内部袋体の口も開くように設定されている、
ことを特徴とする(1)または(1)を引用する(3)に記載の簡易冷却体としている。
内部袋体の口を袋体外部の挟持手段で封止する場合、使用者の意思で冷却基剤の徐放のタイミングを決められるという利点があるものの、これを煩わしく感じる使用者の存在も予想される。そこで、内部袋体の口を隔壁部で封止し、手指で袋体をつまんで隔壁部を剥離する際に、同時に内部袋体の封止も開くようにする。これにより、使用者が内部袋体の封止を開くことを意識せずとも、適度な低温を長時間維持する本考案の作用が得られる。
(5)前記課題を解決するため、本考案においては、
前記内部袋体が前記袋体の外部から加圧手段によって加圧されている、
ことを特徴とする、(1)または(2)に記載の簡易冷却体。
前記内部袋体が前記袋体の外部から加圧手段によって加圧されている、
ことを特徴とする、(1)または(2)に記載の簡易冷却体。
ゴム材料又は弾性に富む樹脂材料からなる内部袋体は安価かつ軽量なものが得られるなど好ましい性質を備える一方で、内部に冷却基剤を収容して引き伸ばされた状態で長時間保管されると、その弾性を失う、つまり、復元力を喪失してしまい、内部に収容した冷却基剤を徐放できなくなってしまう場合がある。
そこで、袋体の外部から長期安定性に優れた加圧手段で内部袋体を加圧することで、内部袋体の弾性に関わらず、冷却基剤の除法を可能とした。これにより、本考案に係る簡易冷却体を長時間保管してもその機能が維持されるという効果が得られる。
なお、加圧手段の一例としては、例えば金属板をU字型に折り曲げたクリップ状の部品を利用できる。U字型に曲げた金属板で袋体の外部から内部袋体を挟んでおけば、金属板の弾性によって内部袋体は加圧状態に保たれる。なお、この例に限らず、任意の構造で袋体の外部から内部袋体を加圧することができる。
ところで、このような構成とすると、内部袋体を比較的弾性の乏しい材料、例えば、ポリプロピレンやポリエチレンなどで構成可能であることも利点である。袋体と同種の材料であると、ヒートシール等の加工が容易となるからである。
(6)前記課題を解決するため、本考案においては、
前記袋体内に、前記第二の収容部と細水路で連通された第三の収容部を設け、
該第三の収容部に冷却基剤を収容しており、
かつ、該第三の収容部は手指で加圧することでその内部の冷却基剤を該第二の収容部に押し出すことが可能とされている、
ことを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の簡易冷却体としている。
前記袋体内に、前記第二の収容部と細水路で連通された第三の収容部を設け、
該第三の収容部に冷却基剤を収容しており、
かつ、該第三の収容部は手指で加圧することでその内部の冷却基剤を該第二の収容部に押し出すことが可能とされている、
ことを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載の簡易冷却体としている。
すでに説明したとおり、本考案にかかる簡易冷却体の機能的な特徴は、作動開始後速やかに十分な低温が得られ、これにより使用者に爽快感を与えられると共に、その後、過度に低温になることなく長時間にわたって適度な低温を維持できる点にある。
しかし、使用者によっては、又は、使用時の状況によっては、一時的に通常よりも強い冷感が欲しい事もあり得る。
そこで、細水路で第二の収容部に連通された第三の収容部を設けて、これに冷却基剤を収容しておけば、使用者が第三の収容部を手指で加圧して冷却基剤を第二の収容部に押し出し、通常よりも早く吸熱反応を起こしてより低温を得ることを可能とできる。
(1)樹脂シート製の袋体内に隔壁部を設けて第一の収容部と第二の収容部を設け、該隔壁部は該袋体の外部から力を付加して該第一の収容部と該第二の収容部を連通させることを可能としたので、手指で袋体をつまんで引く等して該隔壁部を剥離させる等して2つの収容部にそれぞれ収容した冷却反応剤と冷却基剤を混合して簡易冷却体を作動させることができるという効果を奏する。従来の簡易冷却体に多く採用されている、冷却基剤を収容した袋を冷却反応剤と共に袋体に収容し、袋体の外部からこの袋をたたき破って簡易冷却体を作動させる方法と比較して、作動させるために強い力やコツを要せず、慣れない使用者にとっても使いやすい簡易冷却体とすることができる。
第二の収容部に冷却基剤を収容しているので、隔壁部を剥離した際に第一の収容部に収容した冷却反応剤と速やかに混合・反応して、直ちに低温が得られるという効果を奏する。作動してから極めて短時間で十分な低温を得られるため、使用者に爽快感を与えることができる。
冷却基剤を収容した内部袋体を第二の収容部に収容し、該内部袋体からは冷却基剤を徐放可能としたので、第二の収容部に徐々に冷却基剤が供給され、これに徐々に未溶解の冷却反応剤が溶解して吸熱反応が継続的に起こり、以て、長時間にわたって適度な低温が維持されるという効果を奏する。
(2)弾性体の口を、簡易冷却体の袋体の外部より挟持手段によって封止可能としたので、該挟持手段を取り外すまで内部袋体に収容した冷却基剤が維持されることとなり、保管後でも変わらずに適当な低温を長時間維持するという本考案の効果が維持できるという効果を奏する。
(3)内部袋体を樹脂フィルム製の内部袋体内体と、これを覆う弾性材料性の内部袋体外体とからなる構成としたので、内部袋体から冷却基剤が透過して漏れ出てしまうことがなくなり、長時間保存しても、適度な低温を長時間維持できるという本考案の効果を維持できるという効果を奏する。
(4)内部袋体の口を隔壁部で封止し、袋体の外部から力を付加して隔壁部を剥離した際に内部袋体の口も開くようにしたので、使用者が内部袋体の口を開くことを意識しなくても適度な低温を長時間維持できるという本考案の効果を発現させることができるという効果を奏する。
(5)内部袋体を袋体の外部から加圧手段によって加圧することで、内部袋体に収容した冷却基剤を徐放することとしたので、加圧手段としてさまざまな材質、構造を採用可能となる。例えば、樹脂製又は金属製のクリップ状の部品で加圧手段を構成すると、長時間保管しても機能が劣化することなく維持される簡易冷却体とすることができるという効果が得られる。
(6)袋体に、第二の収容部と細水路で連通された第三の収容部を設けて、これに収容した冷却基剤を手指で第二の収容部に押し出すことを可能としたので、使用者が一時的に簡易冷却体を通常よりも低い温度として強い冷感を得ることができるという効果を奏する。
以下、本考案に係る簡易冷却体の実施例について図面を用いて説明する。
図1は本考案に係る簡易冷却体の一実施例を示す説明図である。また、本考案の構成をより明確に理解できるよう、図2に図1のA−A’部の断面を示す説明図を加えた。なお、図2では図が不明瞭になることを避けるため、断面部分のハッチ表示は行っていない。
本考案に係る簡易冷却体(袋体)(1)はポリプロピレン樹脂シート2枚の周辺部を強固にヒートシールして袋体を構成した。ヒートシールを実施するため、樹脂シートの材質はポリプロピレン樹脂やポリエチレン樹脂など熱可塑性樹脂を原料とするが、ヒートシール可能である限りこれらとは異なる樹脂原料を用いることも可能である。
簡易冷却体(袋体)には隔壁部(2)が備えられ、これによって袋体内部は第一の収容部(3)と第二の収容部(4)に隔てられている。隔壁部(2)もヒートシールによって構成しているが、外周部と異なりヒートシール面の全面を強固に溶着するのではなく、メッシュ状に溶着している。これにより、隔壁部(2)は外周部と比べて剥離強度が低くなり、手指で容易に剥離して第一の収容部(3)と第二の収容部(4)を連通させることを可能としている。なお、本実施例では隔壁部(2)をヒートシールによって構成したが、適当な接着強度を有する接着剤等で袋体を接着することによって構成してもよい。
隔壁部で隔てられた第一の収容部(3)及び第二の収容部(4)にはそれぞれ冷却反応剤と冷却基剤を収容しているが、図が見づらくなることを避けるために図にはこれらの表示は省略している。本実施例においては冷却反応剤として硝酸アンモニウムと尿素の混合物を、冷却基剤としては水を使用した。また、第二の収容部(4)に直接収容されている冷却基剤に対して、冷却反応剤は過多としている。このようにすることで、隔壁部(2)を剥離して第一の収容部(3)と第二の収容部(4)を連通させた際に、冷却反応剤と冷却基剤が混合して吸熱反応が起こり低温が速やかに得られるが、この際になお未溶解の冷却反応剤が残留することとなる。
第二の収容部(4)内には、内部袋体(5)が収容される。本実施例では内部袋体(5)は弾性ポリウレタン樹脂製の袋体であり、いわゆる水風船に類似のものである。内部袋体(5)の口付近には微細な孔を備えた徐放手段(6)を取り付けており、内部袋体(5)に収容した冷却基剤が徐々に放出されるようにしている。
簡易冷却体(袋体)(1)の外部から、挟持手段(7)によって内部袋体(5)の口付近を封止し、保存時に内部袋体(5)から冷却基剤が放出されないように封止している。この様子を明示するため、図1のA−A’部断面の説明図を図2に示す。図から明らかなとおり、挟持手段(7)はいわゆるヘアピンのような針金をU字形に曲げたクリップを使用することができるが、本実施例では樹脂製のクリップを用いた。もっとも、簡易冷却体(袋体)(1)の外部から内部袋体(5)の口付近を挟持してこれを封止できるものであれば、どのような形状・材質の挟持手段(7)を使用してもかまわない。
以上のような簡易冷却体では、使用者が手指で簡易冷却体(袋体)(1)を手指でつまんで隔壁部(2)を剥離し、同時に挟持手段(7)を取り外すと、まず第一の収容部(3)に収容された冷却反応剤と第二の収容部(4)に収容された冷却基剤が混合して吸熱反応を呈し、速やかに低温が得られる。これによって使用者に爽快感を与えることができる。
さらに、内部袋体(5)に収容された冷却基剤が徐放手段(6)を通じて徐放され、徐々に未溶解の冷却反応剤と反応して低温を維持するので、過度に冷たくなりすぎることなく長時間にわたって適度な低温が維持される。これにより、スポーツ観戦時のようなレジャー時に涼を得る目的をはじめ、使用者の様々な目的に対して高い満足感を与えられる簡易冷却体が実現される。
図3は本考案に係る別の実施例を示す説明図である。
同図内の符号のほとんどは実施例1の場合と共通であるので説明を省略する。本実施例の特徴は、内部袋体を樹脂フィルム製の内部袋体内体(8)と、これをゴム製の内部袋体外体(9)で構成していることと、内部袋体の口を隔壁部(2)に挟んでヒートシールすることで封止している点である。
ゴム製等弾性に富む材料で内部袋体を構成すると、特に伸長時に内部に収容した冷却基剤が少しずつ透過し、長時間の保存を行った場合に冷却基剤が内部袋体から漏れ出てしまう場合がある。これでは、長時間にわたって適度な低温が維持されるという本考案の機能が損なわれてしまう。
しかし、弾性に劣る樹脂フィルムであれば冷却基剤の透過性が極めて低いものが容易に得られるため、これによって内部袋体内体(8)を構成することで長期間の保存によっても本考案の機能が損なわれないようにした。また、弾性に劣る樹脂フィルムによる内部袋体内体(8)のみでは内部に収容した冷却基剤を徐放できないので、内部袋体内体(8)の周りにゴム製のバンドで構成した内部袋体外体(9)を巻き付け、内部袋体内体(8)を与圧することで冷却基剤の徐放を実現した。
さらに、隔壁部(2)をヒートシールによって形成する際に、この部分で内部袋体の口(本実施例では内部袋体内体(8)の口)をはさんで形成することで内部袋体の封止を実現した。このようにすることで、使用者が簡易冷却体(1)を手指でつまんで隔壁部(2)を引き剥がして作動させる際に、同時に内部袋体の口の封止が解除されるようにしたものである。
本実施例によれば、長時間の保存を行っても、適度な低温を長時間にわたって維持できるという本考案の機能が維持可能であり、かつ、使用者が内部袋体の封止の解除を意識しなくてもこの効果を発現させることができる。
図4は本考案に係る別の実施例を示す説明図である。また、本考案の構成をより明確に理解できるよう、図5に図4のA−A’部の断面を示す説明図を加えた。なお、図5では図が不明瞭になることを避けるため、断面部分のハッチ表示は行っていない。
同図内の符号のほとんどは実施例1の場合と共通であるので説明を省略する。本実施例の特徴は、内部袋体(5)は単独では内部に収容した冷却基剤を徐放するには不十分な弾性しか備えないポリプロピレン樹脂フィルムで構成している一方、金属板を略U字形に折り曲げて得た加圧クリップ(12)によって、袋体(1)の外部から内部袋体(5)を挟んで加圧している点にある。
ゴムを含む弾性樹脂材料では、張力がかかった状態で長時間放置されると材料の劣化が発生して弾性を失ってしまうため、実施例1や実施例2に係る簡易冷却体では長時間の保存には向かないという欠点があったが、本実施例に係る簡易冷却体では金属製の加圧クリップによって内部袋体(5)を加圧しているためこのような問題は発生しない。したがって、長時間の保存を行っても適度な低温を長時間にわたって維持できるという本考案の機能が保たれる。
なお、本実施例では内部袋体(5)は袋体(1)と同じくポリプロピレン樹脂フィルム製としたが、これはヒートシールが容易に行えることが理由である。しかし、内部袋体(5)と袋体(1)を異なる材料とすることも可能である。また、本実施例では加圧クリップ(12)を金属製としたが、これを樹脂製とすることも可能である。樹脂製クリップであっても、過度に大きく変形させない限りは相当の長時間弾性を維持することができるため、極端に長い保存期間が必要でない場合には十分に機能を維持することができるからである。
図6は本考案に係る別の実施例を示す説明図である。
同図内の符号のほとんどは実施例3の場合と共通であるので説明を省略する。本実施例の特徴は、袋体(1)に細水路(13)を備えた第二の隔壁部(11)を設けることで第三の収容部(10)を設け、ここにも冷却基剤を収容したことである。
第二の隔壁部(11)も隔壁部(2)と同じくヒートシールによって構成しているが、こちらは強固に溶着することで容易には剥離できなくしている。隔壁部(2)は手指でつかんで剥離させ、第一の収容部(3)に収容した冷却反応剤と第二の収容部(4)に収容した冷却基剤を混合できなければならない一方が、第二の隔壁部(11)はこのような機能は不要だからである。
さて、隔壁部(2)を剥離して簡易冷却体(1)を作動させると、上記のとおり冷却反応剤と冷却基剤が混合・反応して温度が速やかに低下する。そして、加圧クリップ(12)に加圧された内部袋体(5)から冷却基剤が徐放されて、長時間にわたって適度な低温を維持するのであるが、使用者が一時的に更なる低温を欲する場合、第三の収容部(10)を手指で加圧することで目的を達することができる。すなわち、第三の収容部(10)に収容された冷却基剤が最水路(13)を通って第二の収容部に押し出されて冷却反応剤と反応し、更なる低温が得られるのである。
同様の作用は、本実施例の場合では使用者が加圧クリップ(12)を手指でさらに押し付けて、内部袋体(5)に収容された冷却基剤の徐放を促進させることでも得られるが、長時間にわたっての徐放を可能にするために内部袋体(5)の開口は非常に細く、手指で少々加圧しても冷却基剤の徐放速度の増加はわずかである。このため、強い冷感を速やかに得る第三の収容部(10)を設けることが好ましいのである。
以上説明した通り、本考案は速やかに低温が得られると同時に、過度に冷えすぎることなく適度な低温を長時間にわたって維持できる簡易冷却体を提供するものであり、その産業上の価値は頗る高い。
1 簡易冷却体(袋体)
2 隔壁部
3 第一の収容部
4 第二の収容部
5 内部袋体
6 徐放手段
7 挟持手段
8 内部袋体内体
9 内部袋体外体
10 第三の収容部
11 第二の隔壁部
12 加圧クリップ
13 細水路
2 隔壁部
3 第一の収容部
4 第二の収容部
5 内部袋体
6 徐放手段
7 挟持手段
8 内部袋体内体
9 内部袋体外体
10 第三の収容部
11 第二の隔壁部
12 加圧クリップ
13 細水路
Claims (6)
- 樹脂シート製の袋体内に隔壁部を設けて少なくとも第一の収容部と第二の収容部を設け、
該隔壁部は該袋体の外部から力を付加することによって該第一の収容部と該第二の収容部を連通させることが可能とされ、
該第一の収容部に粉末状の冷却反応剤を収容し、
該第二の収容部に冷却基剤と内部袋体を収容し、
該内部袋体には冷却基剤を収容しており、かつ、該内部袋体に収容した冷却基剤を徐放可能とされている、
ことを特徴とする簡易冷却体。 - 前記内部袋体の口が、前記袋体の外部より挟持手段によって封止可能とされている、
ことを特徴とする、請求項1に記載の簡易冷却体。 - 前記内部袋体が樹脂フィルム製の内部袋体内体と、
該内部袋体内体を覆う弾性材料性の内部袋体外体からなる、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の簡易冷却体 - 前記内部袋体の口が前記隔壁部にて封止され、
外部から力を付加して該隔壁部が連通状態とされた際に該内部袋体の口も開くように設定されている、
ことを特徴とする請求項1、または、請求項1を引用する請求項3に記載の簡易冷却体。 - 前記内部袋体が前記袋体の外部から加圧手段によって加圧されている、
ことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の簡易冷却体。 - 前記袋体内に、前記第二の収容部と細水路で連通された第三の収容部を設け、
該第三の収容部に冷却基剤を収容しており、
かつ、該第三の収容部は手指で加圧することでその内部の冷却基剤を該第二の収容部に押し出すことが可能とされている、
ことを特徴とする、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の簡易冷却体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019003438U JP3224076U (ja) | 2019-09-11 | 2019-09-11 | 持続性のある簡易冷却体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019003438U JP3224076U (ja) | 2019-09-11 | 2019-09-11 | 持続性のある簡易冷却体 |
Publications (1)
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JP3224076U true JP3224076U (ja) | 2019-11-21 |
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ID=68610982
Family Applications (1)
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JP2019003438U Active JP3224076U (ja) | 2019-09-11 | 2019-09-11 | 持続性のある簡易冷却体 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3224076U (ja) |
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2019
- 2019-09-11 JP JP2019003438U patent/JP3224076U/ja active Active
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