JP3220114B2 - 塩中のマグネシウムイオン含有量分析方法 - Google Patents
塩中のマグネシウムイオン含有量分析方法Info
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Description
分光光度計を用いて得られる拡散反射スペクトルからマ
グネシウムイオン含有量を迅速に分析する方法に関し、
特に、塩製品のマグネシウムイオン含有量の迅速分析に
好適な方法に関する。
オン交換膜電気透析法により海水を濃縮してかん水(濃
い塩水)を得て、これを蒸発缶でさらに濃縮し塩を結晶
させる方法(イオン交換膜式製塩法)により製塩を行っ
ている。マグネシウムイオンは、塩製品中に大量に存在
する不純物であり、塩の製品管理上は重要な成分であ
る。また、塩製品中のマグネシウムイオン含有量が少な
い場合や塩製品中の水含有量に対するマグネシウムイオ
ン含有量が少ない場合には、塩製品は固結して商品性を
損なう場合がある(日本海水学会誌、Vol.44, No.4, 2
48〜256頁)。このため、マグネシウムイオン含有量は
塩の固結防止に重要な因子である。これらのことから、
塩製品中のマグネシウムイオン含有量の把握は非常に重
要であり、これを迅速に分析して、工程操作にフィード
バックすることが必要である。従来、塩製品中のマグネ
シウムイオン含有量の分析は、「塩試験方法」15頁〜
20頁(平成9年4月1日、財団法人塩事業センター)
に示すとおり、EDTAキレート滴定法により行われて
いる。
ト滴定法では、塩を天秤で秤量し、メスフラスコに入
れ、蒸留水を加え溶解し、その容量を一定にし、さらに
分析試料としてホールピペットで一定量採取するといっ
た試料の前処理操作が不可欠であり、滴定操作には熟練
を要する。また、これらの操作には約1時間を要するた
め、分析で得たマグネシウム含有量を工程操作にリアル
タイムにフィードバックすることは困難である。そこ
で、工程操作の最適化、製品管理の迅速化を目的とし
て、塩製品を天秤で秤量し、メスフラスコに入れ、蒸留
水を加え溶解し、その容量を一定にし、さらに分析試料
としてホールピペットで一定量採取するといった一連の
前処理操作及びEDTAキレート滴定による操作を全て
なくし、塩製品を非破壊でそのまま分析でき、分析時間
を1分程度に短縮したマグネシウムイオン含有量迅速分
析方法が求められている。本発明は、このような要請に
応えることのできる塩中のマグネシウムイオン含有量迅
速分析方法を提供することを目的とする。
射すると、試料面から広い立体角にわたって放射する反
射光が観測される。粉体に照射された光の一部は粒子表
面で正反射され、一部は拡散反射する。通常、粉体粒子
は様々な方向を向いているため、正反射光も様々な方向
を向き、残りの光は粒子内部で屈折透過、光散乱、表面
反射を繰り返し拡散し、この拡散光の一部は再び試料面
から大気中に放射される。一方、拡散反射光は粉体試料
内での光拡散過程で粉体の内部を何回も繰返し通過する
ため、特有の吸収波数を持つ成分を含む粉体試料では、
その吸収波数において光は吸収される。したがって、拡
散反射スペクトルは透過スペクトルと類似したものとな
るため、特有の波数において吸収のある成分においては
この拡散反射スペクトルを用いて定量することが可能で
ある。
オンは、これまでの実験により特有の赤外吸収を持たな
いことが分かっている。従って、吸収スペクトルから直
接的にマグネシウムイオン含有量を定量することはでき
ない。しかし、本発明者は種々の実験により、マグネシ
ウムイオン含有量により水のOH伸縮振動及びHOH変
角振動波数、それらの倍音及び結合音の拡散反射強度が
変化することに着目し、PLS法で拡散反射スペクトル
を解析することにより塩製品のマグネシウムイオン含有
量を予測できることを見出した。また、塩製品の表面状
態や水含有量により拡散反射スペクトルが変化するた
め、これらの影響を補正した関係式を用いることでマグ
ネシウムイオン含有量の定量精度を向上させることがで
きることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下のとおりである。第1に、例えばフーリエ変換赤外
分光光度計(FT−IR)を用いて得られた塩の赤外拡
散反射スペクトルを水含有量の値と2600cm-1の強
度値により補正し、補正したスペクトルを用いてPLS
法によりマグネシウムイオン含有量を演算することを特
徴とする塩中のマグネシウムイオン含有量分析方法であ
る。
定量するための測定波数域は1300〜4000cm-1
であり、塩の赤外拡散反射スペクトルの前記波数域の強
度値f(1300-4000)を加熱乾燥法で分析した水含有量W
aと前記2600cm-1の強度値I(2600)を用いて下式
により補正した補正値f′(1300-4000)を用いてPLS
法によりマグネシウムイオン含有量を演算することを特
徴とする塩中のマグネシウムイオン含有量分析方法であ
る。
定量するための測定波数域は1300〜4000cm-1
であり、塩の赤外拡散反射スペクトルの強度値f(1300-
4000)を、当該スペクトルからPLS法により予測した
水含有量Wpと2600cm-1の強度値I(2600)を用い
て下式により補正した補正値f′(1300-4000)を用いて
PLS法によりマグネシウムイオン含有量を演算するこ
とを特徴とする塩中のマグネシウムイオン含有量分析方
法である。
ついて説明する。本発明では、赤外拡散反射法により測
定したスペクトルから各成分含有量を定量するために、
PLS(Partial Least Squares)法を用いて解析を行
なった。重回帰分析法は、説明変数の数よりも試料数が
多くなければ有意な回帰モデルを構築できないのに対
し、PLS法は、説明変数の数が試料数を大きく上まわ
る場合においてもモデルを構築することができる。本発
明においては、説明変数として拡散反射法により測定さ
れた全波数の拡散反射強度を対象にする。
ネシウムイオンは特有の赤外吸収を持たないため、マグ
ネシウムイオンにより変化する性質のある水の吸収スペ
クトルからマグネシウムイオン含有量を推定する方法を
採用した。この水の吸収スペクトル変化は、水和イオン
の濃度変化に伴う単純なスペクトル強度変化だけではな
く、水の吸収波数のシフトもあると考えられる。このた
めできるだけ多くの波数を用いて回帰モデルを構築でき
る方法が有効であると考え、PLS法を用いて解析を行
なった。以下に、重回帰分析法とPLS法の比較を簡単
に行なう。重回帰分析法では、目的変数(成分含有量)
をyとし、説明変数(スペクトルのある波数での強度)
をx1,x2,…,xdとすると重回帰モデルは次の〔数
3〕〔数4〕のようになる。
…,bdは、それぞれx1,x2,…,xdに対応する偏回
帰係数であり、fは残差である。また、〔数4〕は回帰
式である。この偏回帰係数を求めるためには逆行列を含
んだ式を用いるため、試料数が説明変数の数を大きく上
まらないと有意な回帰式が得られない。また、試料数よ
り説明変数が少ない場合は重回帰分析法では解析できな
い。一方、PLSモデルは、説明変数(測定した全ての
波数での強度)Xと一つの目的変数(成分含有量)yの
関係をモデリングするための、以下の2つの基本式〔数
5〕から成り立っている。
目の潜在変数、paはa番目のローディング、EはXの
残差である。またqaは係数であり、fはyの残差であ
る。PLS法で重要な役割をする潜在変数tiは、次の
〔数6〕のように説明変数Xの線形結合で表される。
ム‖w‖は1である。
にモデリングに用いられたが、PLS法では説明変数の
情報の一部が潜在変数tを通して表現され、それが目的
変数yのモデリングに用いられている。つまり、この潜
在変数を通して説明変数の情報(測定した全ての波数で
の強度)を順次、目的変数(成分含有量)の予測に用い
るので、PLSモデルは潜在変数の数を増やすことによ
り、自由度を変えながら予測性を検討することができ
る。したがって、PLS法では説明変数の数が試料数を
上まわる場合でもモデルを構築することができる。
るPLSの成分数Aを順次増やしてモデルを複雑にし、
残差を次第に小さくしていくことが可能である。しか
し、成分数を増加させていくと予測誤差は大きくなる場
合がある。従って、予測誤差が最も小さくなる成分数を
そのモデルの最適成分数としなくてはならない。そこ
で、予測誤差として、PRESS(Prediction Residua
l Sum of Squares)を以下の〔数8〕のように求めた。
ションとして、leave-one-out法によりPRESSを求
める方法を用いた。この方法は、1つのサンプルを除い
てテスト集合としPLSモデルを計算し、このPLSモ
デルから取り除いた1つのサンプルの予測値を求め、こ
の予測値と化学分析値からPRESSを求めるという方
法である。この方法により、順次成分数を変化させて同
様の計算をしていく。本発明においては、このPRES
Sが最小になるとき最適成分数とし、この成分数をPL
Sモデルに使用して定量を行なった。
施の形態を説明する。 (1)分析装置 図9は、本発明で用いた塩のマグネシウムイオン含有量
分析装置の概要を示す説明図であり、(a)は装置の全
体構成を示す概略図、(b)は試料から拡散反射光を発
生させるための拡散反射セルの模式図、(c)は試料ホ
ルダーと試料カップの模式図である。
料の拡散反射スペクトルを測定するための赤外分光光度
計10と、赤外分光光度計10の出力信号を演算処理す
るコンピュータ20とからなる。赤外分光光度計10は
フーリエ変換分光光度計とするのが有利であり、内部に
拡散反射セル30を備える。拡散反射セル30は、図9
(b)に略示するように、スライド式ホルダー31、ス
ライド式ホルダー31に取り付けられた試料カップ3
2、試料カップ32に入れられた試料33に赤外線を照
射するためのミラー系35a,35b,35c、及び試
料からの拡散反射光を集光するためのミラー系36a,
36b,36cを備える。
れ、スパチュラ等ですりきって表面を均一状態にし、ス
ライド式ホルダー31に固定した後、赤外分光光度計1
0の拡散反射セル30にセットする。赤外分光光度計1
0の図示しない赤外線源から導かれた赤外線は、赤外線
照射ミラー系35a,35b,35cを介して試料カッ
プ32中の試料に照射される。試料33から拡散反射さ
れた赤外線は、集光ミラー系36a,36b,36cに
よって集光されて図示しない検出器で検出され、試料の
拡散反射スペクトルが測定される。コンピュータ20
は、測定した拡散反射スペクトルからPLS法により水
含有量を算出し、算出した水含有量と2600cm-1の
強度から拡散反射スペクトルを補正し、補正したスペク
トルを用いて、PLS法によりマグネシウムイオン含有
量を演算する。
1650、SPECTRATECH社製拡散反射装置Model 0001-367を
用いて拡散反射スペクトルを測定した。本装置で測定し
た試料のスペクトルは、FT−IR装置に付属するデー
タ処理プログラムによりK−M変換した。スペクトルの
測定条件は、測定波数4000〜1300cm-1、分解
能4cm-1、スキャン回数16回として、1点の試料に
つき3回づつ測定した。また、PLS法解析には、LABC
ONTROL社製の解析ソフトウェア「SPECTACLE」を用い
た。
分析方法について検討するため、フーリエ変換分光光度
計を用いて拡散反射法で塩試料をスキャンし、試料の拡
散反射スペクトルを測定した。拡散反射スペクトルの測
定は以下の手順で行った。まず、マグネシウムイオン及
び水をほとんど含有しない塩化ナトリウム試薬(純度9
9.98%)を基準試料としてバックグラウンドスペク
トルを測定した。次に、バックグラウンドスペクトルを
基準として測定試料の拡散反射スペクトルを1点の試料
につき3回ずつ測定した。測定試料は、イオン交換膜式
製塩工場の塩製品試料30点を用いた。こうして、30
×3=90個の拡散反射スペクトルのデータを得た。
クトルのデータを用いてPLS法により解析した。その
概略を以下に示す。PLS法のソフトウェアが動作して
いるコンピュータに、それぞれの拡散反射スペクトルの
データに対応する試料のEDTAキレート滴定法で求め
たグネシウムイオン含有量の化学分析値を入力し、成分
数を入力する。ここで、成分数とは、4cm-1毎にスキ
ャンして測定した拡散反射強度(1300-1から400
0-1では675個の数値)と、マグネシウムイオン含有
量又は水含有量によって算出される重みベクトルwを用
いて得られる潜在変数tの数を成分数と呼ぶ。なお、成
分数はマニュアルでも設定可能であるが、ソフトウェア
が自動的に〔数6〕における潜在変数tを算出して、そ
の結果として成分数が算出される。成分数は、予測誤差
PRESSが最小になる場合を選択する。本発明では、
目的変数の個数が1のPLS法のアルゴリズムを選択し
てソフトウェア上で回帰式を求める。
射スペクトルのデータに対してマグネシウムイオン含有
量を定量した。PLS法で求めたマグネシウムイオン含
有量の予測値とEDTAキレート滴定で求めたマグネシ
ウムイオン含有量の化学分析値の関係は相対平均自乗予
測誤差(MSEP%)で評価した。MSEP%は次の
〔数9〕で表される。以上の方法により測定した塩製品
試料の拡散反射スペクトルを用いてPLS法により解析
し、マグネシウムイオン含有量の予測を行った。
グネシウムイオン含有量の化学分析値とPLS法により
予測されたマグネシウムイオン含有量予測値との関係を
示す。マグネシウムイオン含有量のMSEP%は、0.
22となった。分析値と予測値の関係は良好であったこ
とから、拡散反射スペクトルを測定し、PLS法により
解析することによりマグネシウムイオン含有量を予測す
ることができた。
び正反射光の影響の補正 拡散反射法により粉体の拡散反射強度を測定する場合、
光散乱及び正反射光の両方の影響が分析誤差の原因とな
ると考えられる。そこで、光散乱及び正反射光の影響を
補正する方法について検討した。スペクトルの補正(分
析水含有量補正)は、前記塩製品試料の拡散反射スペク
トルf(1300-4000)を波数2600cm-1の強度I(260
0)及び140℃乾燥法で求めた水含有量(「塩試験方
法」8頁〜9頁、財団法人塩事業センター、平成9年4
月1日)の分析値Waを用いて、次の〔数10〕の演算
をすることにより行った。
分間乾燥したときの減量(乾燥減量)から水含有量を求
めるものである。すなわち、予め140℃で乾燥し、恒
量としたはかり瓶に検塩10gを量り取る。はかり瓶の
蓋を開けて、電気定温乾燥器に入れ、140℃で90分
間乾燥する。ふたを閉じ、デシケータ内で室温まで放冷
した後、その重量を量る。水含有量の分析値Wa(%)
は次式〔数11〕によって求める。
S法により解析し、マグネシウムイオン含有量の予測を
行った。ここで光散乱等の影響の補正は、光散乱等の影
響のみ受ける波数の強度で行う必要があり、特有の赤外
吸収がある波数では、試料中の水含有量、マグネシウム
イオン含有量によって変化してしまうため補正に使用す
ることはできない。補正に使用する波数2600cm-1
は、種々の実験に基づき、今回、特有の赤外吸収のない
波数の中で光散乱等の影響を精度良く補正できる波数と
して見出したものである。
ペクトルを用いてPLS法により予測したマグネシウム
イオン含有量との関係を示す。マグネシウムイオン含有
量のMSEP%は、0.10であった。この結果、26
00cm-1の強度と水含有量の化学分析値を用いて光散
乱及び正反射光の両方の影響を補正することにより、マ
グネシウムイオン含有量の予測精度を更に向上できるこ
とが分かった。
び正反射光の影響の補正 前記「塩試験方法」記載の140℃乾燥法などの分析法
による水含有量の分析は、前準備、試料の加熱乾燥、秤
量等に相当の時間を要することから、ここでは塩製品試
料の拡散反射スペクトルからPLS法により水含有量を
予測し、予測された水含有量と2600cm-1の強度を
用いてPLS法によりマグネシウムイオン含有量を算出
した。まず、塩製品試料の拡散反射スペクトルを用いて
PLS法により解析し、水含有量の予測を行った。図3
に、140℃乾燥法により求められた赤外水分含有量の
化学分析値とPLS法による水含有量の予測値の関係を
示す。水含有量のMSEP%は、0.39となった。
(1300-4000)を2600cm-1の強度I(2600)及びPL
S法で求めた水含有量の予測値Wpを用いて次の〔数1
2〕に従い補正(予測水含有量補正)し、補正された拡
散反射スペクトルの補正値f′(1300-4000)をPLS法
により解析し、マグネシウムイオン含有量の予測を行っ
た。
て、EDTAキレート滴定で求めた化学分析値とPLS
法により予測された予測値の関係を示す。マグネシウム
イオン含有量のMSEP%は、0.18であった。この
結果、2600cm-1の強度と水含有量の予測値を用い
て光散乱及び正反射光の両方の影響を補正することによ
り、加熱乾燥法等の分析法により水含有量を測定するこ
となく、赤外分光光度計のみを用いてマグネシウムイオ
ン含有量を精度良く予測することができた。
討を行うために、補正無及び補正後のそれぞれの拡散反
射スペクトルデータのうち任意の3分の2(60個のス
ペクトルデータ)を用いてPLS解析を行い、マグネシ
ウムイオン含有量を定量するための検量線を作成し、そ
の検量線を用いて残りの3分の1の30個のスペクトル
について定量を行なった。最初に、補正無の任意の60
個の拡散反射スペクトルデータを用いてPLS解析によ
り検量線を求めた。図5は、この検量線を求めるために
使用した60個のスペクトルデータに対する、マグネシ
ウムイオン含有量の化学分析値とPLS法によるマグネ
シウムイオン含有量の予測値の関係を示す図である。図
6は、その検量線を用いて残りの30個の補正無のスペ
クトルデータに対してPLS法により定量を行ったとき
の定量値と化学分析値の関係を示す図である。
予測値を用いて前記〔数12〕に従って補正した90個
の拡散反射スペクトルデータのうち任意の60個のデー
タを用いてPLS解析で検量線を求めた。図7は、この
検量線を求めるために使用した60個のスペクトルデー
タに対する、マグネシウムイオン含有量の化学分析値と
PLS法によるマグネシウムイオン含有量の予測値の関
係を示す図である。図8は、その検量線を用いて残りの
30個の補正後のスペクトルデータに対してPLS法に
より定量を行ったときの定量値と化学分析値の関係を示
す図である。
ータにおけるマグネシウムイオン含有量のMSEP%
は、補正無のスペクトルデータを用いた場合には0.1
9、予測水含有量補正したスペクトルデータを用いた場
合には0.17であり、ほぼ同程度の予測精度であっ
た。しかし、各検量線を用いて残りのスペクトルデータ
でマグネシウムイオン含有量を定量したときのMSEP
%は、補正無のスペクトルデータを用いた場合において
0.60、予測水含有量補正したスペクトルデータを用
いた場合において0.40となり、予測水含有量補正し
たスペクトルデータを用いた方が定量精度が向上した。
トルデータに対する予測精度は、補正無においても予測
水含有量補正を行ったときにおいても同程度であった。
しかし、検量線作成に使用しなかったスペクトルデータ
に対する定量精度は、スペクトルに予測水含有量補正を
行うことにより向上した。さらに本補正法は、水含有量
を他の分析法により分析する必要がないことから、迅速
なマグネシウムイオン含有量の定量に最適であると考え
られる。
例を以下に示す。 a)検量線の作成 (1)試料カップにバックグラウンドスペクトル測定用の
塩化ナトリウム試薬(純度99.98%)を入れ、スパ
チュラですり切る。 (2)試料カップをスライド式ホルダーに固定し、拡散反
射セルにセットする。
ックグラウンドスペクトルを測定する。 (4)試料カップに検量線用の測定試料を入れ、スパチュ
ラですり切る。 (5)試料カップをスライド式ホルダーに固定し、拡散反
射セルにセットする。 (6)フーリエ変換赤外分光光度計により試料スペクトル
を測定する。 (7)バックグラウンドスペクトルと試料スペクトルとの
比をとる。
水含有量の値を用いて、4000cm-1〜1300cm
-1の範囲でPLS法により水含有量を演算し、検量線を
作成する。 (9)算出した水含有量と(7)で求めたスペクトルの260
0cm-1の強度を用いて、補正式〔数12〕により(7)
で求めたスペクトルの補正を行う。 (10)補正されたスペクトルとEDTAキレート滴定によ
って分析されたマグネシウムイオン含有量の値を用い
て、4000cm-1〜1300cm-1の範囲でPLS法
によりマグネシウムイオン含有量を演算し、検量線を作
成する。
り切る。 (12)試料カップをスライド式ホルダーに固定し、拡散反
射セルにセットする。 (13)フーリエ変換赤外分光光度計により試料スペクトル
を測定する。 (14)バックグラウンドスペクトルと試料スペクトルとの
比をとる。
求めたスペクトルから水含有量を定量する。 (16)算出した水含有量と(14)で求めたスペクトルの26
00cm-1の強度を用いて、補正式〔数12〕により(1
4)で求めたスペクトルの補正を行う。 (17)(10)で作成した検量線を用いて補正したスペクトル
からマグネシウムイオン含有量を定量する。
方法は塩製品の前処理が不要であり、分析時間も1分程
度と迅速である。従って、製塩工場における塩製品のマ
グネシウムイオン含有量の迅速で、正確な分析を可能に
して工程管理の効率化を図ることができる。また、分析
結果を迅速に工程操作にフィードバックすることができ
るため、塩製品の種類に応じた工程操作の最適化を図る
ことができる。
ン含有量の予測精度を示す図。
いて補正(分析水含有量補正)を行ったときの塩製品試
料のマグネシウムイオン含有量の予測精度を示す図。
いて補正(予測水含有量補正)を行ったときの塩製品試
料のマグネシウムイオン含有量の予測精度を示す図。
対するマグネシウムイオン含有量の予測精度を示す図。
ータに対するマグネシウムイオン含有量の定量精度を示
す図。
に用いたデータに対するマグネシウムイオン含有量の予
測精度を示す図。
に用いた以外のデータに対するマグネシウムイオン含有
量の定量精度を示す図。
用いた装置の概略図。
散反射セル、31…スライド式ホルダー、32…試料カ
ップ、33…試料、35a〜35c…赤外線反射ミラー
系、36a〜36c…集光ミラー系
Claims (3)
- 【請求項1】 塩の赤外拡散反射スペクトルを水含有量
の値と2600cm-1の強度値により補正し、補正した
スペクトルを用いてPLS法によりマグネシウムイオン
含有量を演算することを特徴とする塩中のマグネシウム
イオン含有量分析方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の塩中のマグネシウムイオ
ン含有量分析方法において、マグネシウムイオン含有量
を定量するための測定波数域は1300〜4000cm
-1であり、塩の赤外拡散反射スペクトルの前記波数域の
強度値f(1300-4000)を加熱乾燥法で分析した水含有量
Waと前記2600cm-1の強度値I(2600)を用いて下
式により補正した補正値f′(1300-4000)を用いてPL
S法によりマグネシウムイオン含有量を演算することを
特徴とする塩中のマグネシウムイオン含有量分析方法。 f′(1300-4000)=f(1300-4000)×Wa/I(2600) - 【請求項3】 請求項1記載の塩中のマグネシウムイオ
ン含有量分析方法において、マグネシウムイオン含有量
を定量するための測定波数域は1300〜4000cm
-1であり、塩の赤外拡散反射スペクトルの強度値f(130
0-4000)を、当該スペクトルからPLS法により予測し
た水含有量Wpと2600cm-1の強度値I(2600)を用
いて下式により補正した補正値f′(1300-4000)を用い
てPLS法によりマグネシウムイオン含有量を演算する
ことを特徴とする塩中のマグネシウムイオン含有量分析
方法。 f′(1300-4000)=f(1300-4000)×Wp/I(2600)
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