JP3219968U - 非接触式入力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】表示器に表示される画像を空間に結像させて空間画像とし、指、指示棒、ペン等の指示手段で指示される空間画像上の位置を検出することにより、指示手段で表示器に直接接触しなくても確実に入力動作を行うことができる極めて衛生的な非接触式入力装置を提供する。【解決手段】画像を表示する表示器11と、表示器11の上方に傾斜配置され、一側から入力される表示器11の画像を他側の空間内に空間画像14として結像させる光学結像手段13と、表示器11を下部位に有し、光学結像手段13を傾斜支持する箱体21と、空間画像14が形成される窓部23を有し、箱体21の上部で光学結像手段13の傾斜基部側に一端部が固定又は回動可能に連結され、箱体21に対して傾斜配置されて空間画像14の外周を囲む四角形の枠体16と、枠体16の外周部に設けられ、空間画像14に触れる指示手段15の位置を検知する検知手段17とを備える。【選択図】図2
Description
本考案は、空中に実像を形成し、その実像上の特定位置を指示することにより、入力を行う非接触式入力装置に関する。
ディスプレイ(表示器)に画像を表示し、画像の特定の場所を指で押すと感圧センサーなどで押圧部分のXY座標が検知され、その入力信号によって次の動作が行われるタッチパネルは従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2では、ディスプレイ(表示器)の直上に発光素子と受光素子をXY軸に沿って多数平行に並べてマトリックスを形成し、指やペン等の障害物(指示手段)でディスプレイの表面をタッチした場合に、その障害物がマトリックスを横切ることで、ディスプレイに当接した位置を検知していた。
しかしながら、特許文献1、2では、タッチパネルの裏面側に存在する平面状のディスプレイに特定の平面画像が表示され、そのディスプレイ上の特定の位置が押圧されることにより、入力(押圧)位置が検知できる構造となっていた。従って、指やペン等の指示手段で画像を押した場合、必ず指示手段がディスプレイ表面に衝突し、ディスプレイが汚れる又はディプレイに疵を付けることがあった。
更に、ATMなどでもディスプレイを用いたタッチパネルは使用されているが、不特定多数の人が画面に触れるので衛生的ではなく、接触感染防止には有効ではなかった。
また、ディスプレイの表示面に向けて外部から光が照射されると、その反射光がディスプレイから放射され、ディスプレイが見難くなる場合があった。
また、ディスプレイの表示面に向けて外部から光が照射されると、その反射光がディスプレイから放射され、ディスプレイが見難くなる場合があった。
本考案はかかる事情に鑑みてなされたもので、表示器が表示する画像を空間に結像させて空間画像とし、指、指示棒、ペン等の指示手段で指示される空間画像上の位置を検出することにより、指示手段で表示器に直接接触しなくても確実に入力動作を行うことができる極めて衛生的な非接触式入力装置を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本考案に係る非接触式入力装置は、画像を表示する表示器と、該表示器に対して10〜35度の角度を有して該表示器の上方に傾斜配置され、一側から入力される前記表示器の画像を他側の空間内に空間画像として結像させる光学結像手段と、前記表示器を下部位に有し、前記光学結像手段を前記角度で傾斜支持する箱体と、前記空間画像が形成される窓部を有し、前記箱体の上部で前記光学結像手段の傾斜基部側に一端部が固定又は回動可能に連結され、前記箱体に対して傾斜配置されて該空間画像の外周を囲む四角形の枠体と、該枠体の外周部に設けられ、前記空間画像に触れる指示手段の位置を検知する検知手段とを備えている。
ここで、光学結像手段とは、一側から入力される対象物の画像を他側の空間に実像として結像する手段をいい、例えば、国際出願2009/131128号公報に記載の光学結像装置であってもよいし、凸レンズ、多数の微小透孔、多数の2面反射体を組合せて配置したものでもよい。
表示器としては平面ディスプレイが好適に用いられる。なお、平面ディスプレイとは、表示面が平面又は曲率半径の大きい部分球面になったものをいい、液晶、ブラウン管、LED、プラズマ、有機EL等を含む。また、このようなディスプレイでなくても、画像として表示させたい表示物自体を発光させるか、光源から表示物に光を照射し、表示物の表面から反射する反射光によって表示物を発光させることにより、表示物を表示器とし、表示物そのものの形状(色彩も含む)を画像として、空間画像を結像させることもできる。なお、表示器で表示する画像は平面的でも立体的でもよく、画像(表示物)が立体物であれば、空間画像は立体像となる。
検知手段としては、指示手段による光線(レーザー光、赤外光等)の遮断を検知して指示手段の位置を特定するものが好適に用いられる。そして、枠体の外周部に、多数の発光部と受光部を対向配置し、発光部から発光される光線の光軸が、空間画像のXY方向に沿うようにすれば、指示手段の位置を空間画像上のXY座標として検出できる。この場合、枠体の背面に透明又は半透明の板材からなる保護部材を設けることもでき、これによって、指又はその他の指示手段の不用意な差し込みを防止できる。
表示器としては平面ディスプレイが好適に用いられる。なお、平面ディスプレイとは、表示面が平面又は曲率半径の大きい部分球面になったものをいい、液晶、ブラウン管、LED、プラズマ、有機EL等を含む。また、このようなディスプレイでなくても、画像として表示させたい表示物自体を発光させるか、光源から表示物に光を照射し、表示物の表面から反射する反射光によって表示物を発光させることにより、表示物を表示器とし、表示物そのものの形状(色彩も含む)を画像として、空間画像を結像させることもできる。なお、表示器で表示する画像は平面的でも立体的でもよく、画像(表示物)が立体物であれば、空間画像は立体像となる。
検知手段としては、指示手段による光線(レーザー光、赤外光等)の遮断を検知して指示手段の位置を特定するものが好適に用いられる。そして、枠体の外周部に、多数の発光部と受光部を対向配置し、発光部から発光される光線の光軸が、空間画像のXY方向に沿うようにすれば、指示手段の位置を空間画像上のXY座標として検出できる。この場合、枠体の背面に透明又は半透明の板材からなる保護部材を設けることもでき、これによって、指又はその他の指示手段の不用意な差し込みを防止できる。
本考案に係る非接触式入力装置において、前記表示器と前記光学結像手段とのなす角度は、12〜30度の範囲にあることが好ましい。
本考案に係る非接触式入力装置において、前記箱体は、前記枠体の一端部を回動可能に保持する軸支部を有し、該軸支部は、前記枠体を、前記光学結像手段に重なる位置と、前記空間画像と平行になる位置で仮固定する仮固定手段を有することが好ましい。
本考案に係る非接触式入力装置において、前記光学結像手段は、それぞれ立設状態で隙間を有して配置された複数の光反射面を備える第1、第2の光制御部を、それぞれの前記光反射面を平面視して直交させて配置することが好ましい。
本考案に係る非接触式入力装置は、空間内に結像する空間画像に、指やペン等の指示手段でタッチすることにより、指示手段の位置を検知手段で検知して入力することができるので、表示器や光学結像手段の表面に使用者の指等が触れることがなく、極めて衛生的である。また、表示器や光学結像手段の表面に指示手段を押し付けて傷付けることもない。そして、空間内に独立して形成される空間画像からは反射光が発生しないので、視認性に優れる。さらに、表示器と光学結像手段のなす角度が10〜35度であるので、表示器と枠体(空間画像)とのなす角度を20〜70度として、空間画像を適度な傾斜角度で表示することができ、視認性及び入力作業性に優れる。空間画像の外周を囲む枠体を目安として、空間画像の位置を容易に把握することができ、指示手段により空間画像上の特定の位置を確実に指示して、スムーズに入力作業を行うことができる。
表示器と光学結像手段とのなす角度が、12〜30度の範囲にある場合、表示器と空間画像とのなす角度が24〜60度の範囲となり、空間画像の視認性及び入力作業性を向上させることができる。
箱体が、枠体の一端部を回動可能に保持する軸支部を有し、軸支部が、枠体を、光学結像手段に重なる位置と、空間画像と平行になる位置で仮固定する仮固定手段を有する場合、持ち運び時や使用時に不意に枠体が回動することがなく、取扱い性及び操作性に優れる。また、使用時に枠体を空間画像と平行になる位置で仮固定した場合、枠体によって空間画像の外周を正確に囲むことができ、検知手段による指示手段の検知精度を高めて、誤入力を防止することができる。
光学結像手段が、それぞれ立設状態で隙間を有して配置された複数の光反射面を備える第1、第2の光制御部を、それぞれの光反射面を平面視して直交させて配置したものである場合、製造が容易で、明るく鮮明な空間画像を表示することができる。
続いて、添付した図面を参照しながら、本考案を具体化した実施の形態について説明する。
図1〜図4に示す本考案の一実施の形態に係る非接触式入力装置10は、表示器11が表示する画像を光学結像手段13によって空間に結像させて空間画像14とし、指、指示棒、ペン等の指示手段15で指示される空間画像14上の位置を、枠体16の外周部に設けられた検知手段17で検出することにより、入力動作を行うものである。なお、本実施の形態では、表示器11が表示する画像及び空間画像14を平面像として説明する。
図1〜図4に示す本考案の一実施の形態に係る非接触式入力装置10は、表示器11が表示する画像を光学結像手段13によって空間に結像させて空間画像14とし、指、指示棒、ペン等の指示手段15で指示される空間画像14上の位置を、枠体16の外周部に設けられた検知手段17で検出することにより、入力動作を行うものである。なお、本実施の形態では、表示器11が表示する画像及び空間画像14を平面像として説明する。
まず、図2に示すように、画像を表示する表示器11に対してa=10〜35度の角度を有して表示器11の上方(表示面18側)に、板状の光学結像手段13が傾斜配置されている。光学結像手段13は、一側(ここでは背面側若しくは裏面側)から入力される表示器11の画像を他側(ここでは前面側若しくは上面側)の空間内に空間画像14として結像させるものである。この光学結像手段13の詳細については、後述する。
表示器11は箱体21の下部位に配置され、光学結像手段13は箱体21の上部に傾斜支持されている。このとき、光学結像手段13は、表示器11に対して所定の角度aで傾斜配置していればよく、表示器11は必ずしも水平に配置されている必要はない。また、本実施の形態では、箱体21の上部(上面)に開口部22を形成し、光学結像手段13の外周を囲むようにして支持する構造としたが、これに限定されるものではなく、例えば光学結像手段13の外周を下方から支持する構造としてもよい。さらに、光学結像手段13は、箱体21の上面に配置する必要はなく、箱体21の上面よりも下方(凹んだ位置)に配置してもよい。
次に、枠体16は、空間画像14が形成される窓部23を有し、箱体21の上部で光学結像手段13の傾斜基部側に一端部が軸支部24を介して回動可能に連結されている。そして、枠体16は、空間画像14の外周を囲むように外形が四角形に形成されており、使用時に箱体21に対して傾斜配置される。この枠体16の外周部(各辺)には、図2及び図3に示すように、空間画像14に触れる指示手段15の位置を検知する検知手段17が設けられている。この検知手段17は、多数の発光部26と受光部27を対向配置したものであり、発光部26から発光される光線(例えばレーザー光、赤外光等)の光軸が、空間画像14のXY方向に沿うように格子状に配置される。このとき、発光部26から発光される光線が形成する格子面(検知面)は平面となる。そして、使用時に、図2に示すように、枠体16を非接触式入力装置10の前端側(手前側)に回動させ、枠体16が空間画像14(結像面)と平行になるように(即ち、空間画像14の傾斜角度=枠体16の傾斜角度=2aとなるように)仮固定する。これにより、空間画像14(結像面)と、検知手段25(発光部26)の光線によって形成される検知面を一致させることができ、図2に示すように、指示手段15が光線を遮断した時に、その位置を空間画像14上の指示手段15の位置としてXY座標で検出できる。そして、指示手段15の位置(XY座標)を基に、対応する入力信号が送信(発信)され、入力が行われる。なお、対となる発光部26と受光部27の数及び配置間隔は、適宜、選択することができる。表示器11としては、通常の液晶ディスプレイ、ブラウン管ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ等の平面ディスプレイが好適に使用できるが、これらに限定されるものではなく、内部又は外部からの照明付きの立体パネルであってもよい。
次に、光学結像手段13は、図4(A)、(B)に示すように、立設状態で隙間を有して配置された複数の光反射面30を有する第1の光制御部31と、立設状態で隙間を有して配置された複数の光反射面32を有する第2の光制御部33を有し、それぞれの光反射面30、32が平面視して直交するように第1、第2の光制御部31、33が、厚さ方向に重ね合わされて配置(一体化)されたものである。
第1の光制御部31は、第1の透明板材34の一側に、傾斜面35と垂直面36とを有する断面三角形の複数の溝37、及び隣り合う溝37の間に形成される断面三角形の複数の凸条38がそれぞれ所定ピッチで配置されたものであり、それぞれの溝37の垂直面36に鏡面(金属反射面)からなる光反射面30が形成されている。なお、溝37の底部(傾斜面35の下端と垂直面36の下端との間)、及び凸条38の頂部(傾斜面35の上端と垂直面36の上端との間)には、それぞれ微小平面部39、40が形成されている。
第1の光制御部31は、第1の透明板材34の一側に、傾斜面35と垂直面36とを有する断面三角形の複数の溝37、及び隣り合う溝37の間に形成される断面三角形の複数の凸条38がそれぞれ所定ピッチで配置されたものであり、それぞれの溝37の垂直面36に鏡面(金属反射面)からなる光反射面30が形成されている。なお、溝37の底部(傾斜面35の下端と垂直面36の下端との間)、及び凸条38の頂部(傾斜面35の上端と垂直面36の上端との間)には、それぞれ微小平面部39、40が形成されている。
また、第2の光制御部33は、第2の透明板材41の他側に、傾斜面42と垂直面43とを有する断面三角形の複数の溝44、及び隣り合う溝44の間に形成される断面三角形の複数の凸条45がそれぞれ所定ピッチで配置されたものであり、それぞれの溝44の垂直面43に鏡面(金属反射面)からなる光反射面32が形成されている。なお、溝44の底部(傾斜面42の下端と垂直面43の下端との間)、及び凸条45の頂部(傾斜面42の上端と垂直面43の上端との間)には、それぞれ微小平面部46、47が形成されている。微小平面部46、47はない方が好ましい。
そして、向かい合わせに配置された溝37、44には透明樹脂48が充填されている。
なお、第1、第2の透明板材34、41の屈折率η1、η2は同等(η1はη2の0.95〜1.05倍)で、その間に充填される透明樹脂48の屈折率η3は、第1、第2の透明板材34、41の屈折率η1、η2の0.8〜1.2倍(より好ましくは、0.9〜1.1倍、更に好ましくは、0.95〜1.05倍)の範囲にあることが好ましい。
第1、第2の透明板材34、41の原料となる透明樹脂としては、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタルクレート(アクリル系樹脂)、非晶質フッ素樹脂、PMMA、光学用ポリカーボネイト、フルオレン系ポリエステル、ポリエーテルスルホン等の熱可塑性樹脂を使用することができるが、特に融点、透明度の高いものが好適に用いられる。
なお、第1、第2の透明板材34、41の屈折率η1、η2は同等(η1はη2の0.95〜1.05倍)で、その間に充填される透明樹脂48の屈折率η3は、第1、第2の透明板材34、41の屈折率η1、η2の0.8〜1.2倍(より好ましくは、0.9〜1.1倍、更に好ましくは、0.95〜1.05倍)の範囲にあることが好ましい。
第1、第2の透明板材34、41の原料となる透明樹脂としては、シクロオレフィンポリマー、ポリメチルメタルクレート(アクリル系樹脂)、非晶質フッ素樹脂、PMMA、光学用ポリカーボネイト、フルオレン系ポリエステル、ポリエーテルスルホン等の熱可塑性樹脂を使用することができるが、特に融点、透明度の高いものが好適に用いられる。
鏡面(金属反射面)を形成する方法としては、溝37、44の垂直面36、43に直接、スパッタリング、金属蒸着、金属微小粒子の吹き付け、イオンビームの照射、金属ペーストの塗布等を行うものが好適に用いられるが、スパッタリングや金属蒸着等で反射膜を形成した樹脂フィルムを溝37、44の垂直面36、43に貼り付けてもよい。なお、溝37、44の垂直面36、43に直接、スパッタリング、金属蒸着、金属微小粒子の吹き付け、イオンビームの照射等を行う場合は、真空中又は低圧下で、傾斜面35、42に沿った方向から、かつ照射する金属粒子が傾斜面35、42に当たらないように、斜め上方から垂直面36、43に向けて金属粒子を照射する。このとき、溝37、44の底部にそれぞれ微小平面部39、46が形成されているので、傾斜面35、42に金属粒子が付着することを緩和することができる。そして、垂直面36、43の下端まで斑なく金属粒子を照射することができる。なお、溝37、44の傾斜面35、42は平面状に形成する代わりに、凸条38、45の内側に窪む断面多角形状の多角面や断面円弧状の凹面、或いは表面に多数の微小な凹凸(疵)を有する凹凸面として、金属粒子の付着を防止してもよい。
溝37、44に透明樹脂48を充填して第1、第2の光制御部31、33を一体化する方法としては、第1の光制御部31の一側と、第2の光制御部33の他側、つまり、それぞれの溝37、44が形成された側の面が対向するように向かい合わせに配置された状態で、その間に、第1、第2の透明板材34、41より融点が低いシート状の透明樹脂を挟み込み、真空状態で加熱、押圧して、透明樹脂のみを溶解し、固化させてもよいし、それぞれの溝37、44に別々に透明樹脂からなる透明接着剤を充填し、第1、第2の光制御部31、33の溝37、44を向かい合わせ、突き合わせて、透明接着剤を硬化させてもよい。透明接着剤としては、紫外線等を照射することにより硬化する光硬化型の他、熱硬化型や二液混合型の接着剤を用いることができる。特に、屈折率η3を屈折率η1、η2に近づけるために、屈折率を調整した屈折率調整樹脂からなる光学用接着剤等が好適に用いられる。
なお、各溝の傾斜面が多角面、凹面、凹凸面等である場合、アンカー効果によって、傾斜面と、溝に充填される透明樹脂との密着性を高め、溝内を透明樹脂で隙間なく埋めて凹凸を解消することができる。その結果、傾斜面と透明樹脂との界面で乱反射(散乱)を発生させることなく光を通過させることができ、屈折も最小限に抑えて、明るく鮮明な空間画像を得ることができる。
なお、各溝の傾斜面が多角面、凹面、凹凸面等である場合、アンカー効果によって、傾斜面と、溝に充填される透明樹脂との密着性を高め、溝内を透明樹脂で隙間なく埋めて凹凸を解消することができる。その結果、傾斜面と透明樹脂との界面で乱反射(散乱)を発生させることなく光を通過させることができ、屈折も最小限に抑えて、明るく鮮明な空間画像を得ることができる。
次に、光学結像手段13の動作を説明する。
図2において、表示器11に画像が表示されると、その光が光学結像手段13に向かって放射される。図4(A)、(B)に示すように、光L1がP1の位置で光学結像手段13の第2の光制御部33に入光した場合、その光L1は、光反射面32上のP2の位置で反射し、第1の光制御部31に進入する。そして、光反射面30のP3の位置で反射した後、P4の位置で第1の光制御部31から空中に出て行き結像する。ここで、図4(A)のQ1で透明樹脂48から第1の透明板材34に入光するが、第1の透明板材34の屈折率η1は、透明樹脂48の屈折率η3と近似する(略同等である)ので、全反射や分光等の現象は起こらない。また、図4(B)のS1で第2の透明板材41から透明樹脂48に入光するが、第2の透明板材41の屈折率η2は、透明樹脂48の屈折率η3と近似する(略同等である)ので、全反射や分光等の現象は起こらない。なお、P1、P4の位置でも屈折を起こすが、P1、P4の屈折は相殺する。また、光反射面30、32は表裏(図4(A)、(B)では左右)いずれ側の面も光反射面として機能させることができる。
図2において、表示器11に画像が表示されると、その光が光学結像手段13に向かって放射される。図4(A)、(B)に示すように、光L1がP1の位置で光学結像手段13の第2の光制御部33に入光した場合、その光L1は、光反射面32上のP2の位置で反射し、第1の光制御部31に進入する。そして、光反射面30のP3の位置で反射した後、P4の位置で第1の光制御部31から空中に出て行き結像する。ここで、図4(A)のQ1で透明樹脂48から第1の透明板材34に入光するが、第1の透明板材34の屈折率η1は、透明樹脂48の屈折率η3と近似する(略同等である)ので、全反射や分光等の現象は起こらない。また、図4(B)のS1で第2の透明板材41から透明樹脂48に入光するが、第2の透明板材41の屈折率η2は、透明樹脂48の屈折率η3と近似する(略同等である)ので、全反射や分光等の現象は起こらない。なお、P1、P4の位置でも屈折を起こすが、P1、P4の屈折は相殺する。また、光反射面30、32は表裏(図4(A)、(B)では左右)いずれ側の面も光反射面として機能させることができる。
なお、第1、第2の光制御部31、33を製造する過程において、垂直面36、43の頂部にある微小平面部40、47にも金属反射膜が形成されることがある。この金属反射膜が形成されたままになると、光学結像手段13の中に微小な光反射面が存在することになり、光学結像手段13の結像性が悪くなる。そこで、微小平面部40、47に形成された機械加工、又は化学処理により金属反射膜を除去して光透過面(非光反射面)とするか、金属反射膜の表面側及び裏面側に黒色(光線吸収色の一例)に着色された光吸収層(非光反射面)を形成して、光反射面が存在しないようにすることが好ましい。
以上のように構成された光学結像手段13によれば、一側の表示器11の画像が発する光は、光反射面32によって鏡面反射し、その上の光反射面30によって2回目の鏡面反射をするので、図2に示したように、他側の空間内に空間画像14として結像する。従って、この非接触式入力装置10を使用する場合は、表示器11が表示する画像を枠体16で囲まれる空間部に空間画像14として結像させる。これにより、前述したように、空間画像14上に指示手段15を置くと、その位置が検知手段17で検知され、入力が行われる。このとき、空間画像14は、光学結像手段13を挟んで表示器11の表示面18と対称位置に形成される。つまり、表示器11の表示面18(非接触式入力装置10の設置面と平行)と光学結像手段13とのなす角度と、光学結像手段13と空間画像14(結像面)とのなす角度は、いずれもaで等しくなる。よって、表示器11の表示面18と光学結像手段13とのなす角度aを10〜35度、好ましくは12〜30度の範囲に設定すれば、表示器11の表示面18と空間画像14とのなす角度2aは20〜70度、好ましくは24〜60度の範囲となる。これにより、非接触式入力装置10を水平面に設置した際の空間画像14の視認性及び入力作業性(操作性)に優れる。このとき、箱体21に設けられた軸支部24は、枠体16を、開口部22に重なる位置(即ち、光学結像手段13に重なる位置)と、空間画像14と平行になる位置で仮固定する仮固定手段(図示せず)を有することが好ましい。これにより、空間画像14と検知手段17の検知面を簡単かつ確実に一致させることができる。また、仮固定手段で枠体16を所定の位置(角度)に仮固定することにより、非接触式入力装置10の持ち運び時や使用時に不意に枠体16が回動することがなく、取扱い性及び操作性に優れる。仮固定手段としては、例えば枠体16が所定の角度回動した時に、凸部と凹部が遊嵌することにより、枠体16を仮固定するものが好適に用いられるが、これに限定されるものではなく、適宜、選択することができる。
なお、枠体16の内側(窓部23)は空間部であるので、枠体16の背面(背部)に透明又は半透明の板材からなる保護部材(図示せず)を設けることもできる。これによって、指示手段15で押す位置が明確となるが、指示手段15による汚損が発生するおそれがあるので、省略した方が好ましい。
なお、枠体16の内側(窓部23)は空間部であるので、枠体16の背面(背部)に透明又は半透明の板材からなる保護部材(図示せず)を設けることもできる。これによって、指示手段15で押す位置が明確となるが、指示手段15による汚損が発生するおそれがあるので、省略した方が好ましい。
以上、本考案の実施の形態を説明したが、本考案は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、実用新案登録請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。
例えば、上記実施の形態では、表示器が表示する画像及び空間画像が平面像の場合について説明したが、表示器が表示する画像及び空間画像を立体像とすることもできる。その場合、空間画像として結像した立体像の一部(特定の深さ位置)を枠体で囲むようにして、枠体で囲まれた範囲で空間画像にタッチして入力を行うことができる。例えば、キーボードのような押しボタンスイッチの立体像を空間画像として結像させる場合、押しボタンスイッチの表面位置(高さ)に合わせて枠体を配置すると、検知手段の光線が形成する格子面(検知面)を押しボタンスイッチの表面に一致させることができる。これにより、押しボタンスイッチの立体像(空間画像)の表面にタッチして入力を行うことが可能となる。このとき、表示器側で、タッチされた押しボタンスイッチを発光表示したり、押しボタンスイッチの表示色を変更したりすれば、観察者は、どの押しボタンスイッチにタッチしたか、空間画像上で容易に確認することができる。また、指示手段で押しボタンスイッチにタッチしたタイミングに合わせて音を発するようにして、入力を確認できるようにしてもよい。
例えば、上記実施の形態では、表示器が表示する画像及び空間画像が平面像の場合について説明したが、表示器が表示する画像及び空間画像を立体像とすることもできる。その場合、空間画像として結像した立体像の一部(特定の深さ位置)を枠体で囲むようにして、枠体で囲まれた範囲で空間画像にタッチして入力を行うことができる。例えば、キーボードのような押しボタンスイッチの立体像を空間画像として結像させる場合、押しボタンスイッチの表面位置(高さ)に合わせて枠体を配置すると、検知手段の光線が形成する格子面(検知面)を押しボタンスイッチの表面に一致させることができる。これにより、押しボタンスイッチの立体像(空間画像)の表面にタッチして入力を行うことが可能となる。このとき、表示器側で、タッチされた押しボタンスイッチを発光表示したり、押しボタンスイッチの表示色を変更したりすれば、観察者は、どの押しボタンスイッチにタッチしたか、空間画像上で容易に確認することができる。また、指示手段で押しボタンスイッチにタッチしたタイミングに合わせて音を発するようにして、入力を確認できるようにしてもよい。
上記実施の形態においては、検知手段として、直交する赤外線等の光線の格子面を用いたが、1又は複数箇所にある投光部からの光線で空間画像の表面をスキャンするものであってもよい。また、検知手段として、複数のカメラを用いて指示手段の位置を画像処理によって検知するものや赤外線モーションセンサー等を用いることもできる。
また、上記実施の形態では、光学結像手段として、第1、第2の光制御部の表側(溝が形成された面)同士が接するように配置したものを用いたが、光学結像手段は、第1、第2の光制御部の光反射面が、平面視して直交配置されていればよい。よって、第1、第2の光制御部の表側と裏側が接するように配置する場合や、第1、第2の光制御部の裏側同士が接するように配置する場合もある。更に、第1、第2の光制御部を2枚の透明板材を用いて別々に形成して接合する代わりに、1枚の透明板材の一側及び他側に第1、第2の光制御部を形成することもできる。なお、第1、第2の光制御部の各溝の垂直面に鏡面(金属反射面)を形成する代わりに、溝内に空気等の気体を密封したり、溝内を真空にしたりして、光の全反射を利用すれば、各溝の垂直面をそのまま光反射面とすることができる。
また、上記実施の形態では、光学結像手段として、第1、第2の光制御部の表側(溝が形成された面)同士が接するように配置したものを用いたが、光学結像手段は、第1、第2の光制御部の光反射面が、平面視して直交配置されていればよい。よって、第1、第2の光制御部の表側と裏側が接するように配置する場合や、第1、第2の光制御部の裏側同士が接するように配置する場合もある。更に、第1、第2の光制御部を2枚の透明板材を用いて別々に形成して接合する代わりに、1枚の透明板材の一側及び他側に第1、第2の光制御部を形成することもできる。なお、第1、第2の光制御部の各溝の垂直面に鏡面(金属反射面)を形成する代わりに、溝内に空気等の気体を密封したり、溝内を真空にしたりして、光の全反射を利用すれば、各溝の垂直面をそのまま光反射面とすることができる。
また、上記実施の形態では、光学結像手段として、第1、第2の光制御部の複数の光反射面がそれぞれ直線状(平行)に配置されたものについて説明したが、複数の光反射面が放射状に配置された第1の光制御部と、複数の光反射面が同心円状に配置された第2の光制御部を有するものも使用することができる。この場合、第1の光制御部の放射状の光反射面が、基準点Xを中心にして直線状に設けられるのに対し、第2の光制御部の同心円状の光反射面は、平面視して基準点Xと重なる基準点Yを中心とする同心円に沿って湾曲しているが、平面視して光反射面同士が交差する点では、両者は直交している。よって、上記実施の形態と同様に、動作させることができる。
更には、光学結像手段としては、例えば、特許第5437436号公報に記載のように、一方側の面に垂直に(例えば、同一ピッチで)並べて形成された多数の帯状反射面を有する第1、第2の光制御部を、それぞれの帯状反射面が平面視して直交するように重ね合わせて配置した光学結像手段を使用することもできる。
なお、光学結像手段は、表示器に表示される画像を、空間内に結像させることができればよく、第1、第2の光制御部を組合せたもの以外に、例えば、直交する反射面を多数有する2面リフレクター又はレンズ等を用いることもできる。
そして、枠体は、箱体の上部で光学結像手段の傾斜基部側に、一端部を回動可能に連結して傾斜配置したが、一端部を固定して傾斜配置してもよい。
更には、光学結像手段としては、例えば、特許第5437436号公報に記載のように、一方側の面に垂直に(例えば、同一ピッチで)並べて形成された多数の帯状反射面を有する第1、第2の光制御部を、それぞれの帯状反射面が平面視して直交するように重ね合わせて配置した光学結像手段を使用することもできる。
なお、光学結像手段は、表示器に表示される画像を、空間内に結像させることができればよく、第1、第2の光制御部を組合せたもの以外に、例えば、直交する反射面を多数有する2面リフレクター又はレンズ等を用いることもできる。
そして、枠体は、箱体の上部で光学結像手段の傾斜基部側に、一端部を回動可能に連結して傾斜配置したが、一端部を固定して傾斜配置してもよい。
10:非接触式入力装置、11:表示器、13:光学結像手段、14:空間画像、15:指示手段、16:枠体、17:検知手段、18:表示面、21:箱体、22:開口部、23:窓部、24:軸支部、26:発光部、27:受光部、30:光反射面、31:第1の光制御部、32:光反射面、33:第2の光制御部、34:第1の透明板材、35:傾斜面、36:垂直面、37:溝、38:凸条、39、40:微小平面部、41:第2の透明板材、42:傾斜面、43:垂直面、44:溝、45:凸条、46、47:微小平面部、48:透明樹脂
Claims (4)
- 画像を表示する表示器と、該表示器に対して10〜35度の角度を有して該表示器の上方に傾斜配置され、一側から入力される前記表示器の画像を他側の空間内に空間画像として結像させる光学結像手段と、前記表示器を下部位に有し、前記光学結像手段を前記角度で傾斜支持する箱体と、前記空間画像が形成される窓部を有し、前記箱体の上部で前記光学結像手段の傾斜基部側に一端部が固定又は回動可能に連結され、前記箱体に対して傾斜配置されて該空間画像の外周を囲む四角形の枠体と、該枠体の外周部に設けられ、前記空間画像に触れる指示手段の位置を検知する検知手段とを備えたことを特徴とする非接触式入力装置。
- 請求項1記載の非接触式入力装置において、前記表示器と前記光学結像手段とのなす角度は、12〜30度の範囲にあることを特徴とする非接触式入力装置。
- 請求項1又は2記載の非接触式入力装置において、前記箱体は、前記枠体の一端部を回動可能に保持する軸支部を有し、該軸支部は、前記枠体を、前記光学結像手段に重なる位置と、前記空間画像と平行になる位置で仮固定する仮固定手段を有することを特徴とする非接触式入力装置。
- 請求項1〜3のいずれか1記載の非接触式入力装置において、前記光学結像手段は、それぞれ立設状態で隙間を有して配置された複数の光反射面を備える第1、第2の光制御部を、それぞれの前記光反射面を平面視して直交させて配置したことを特徴とする非接触式入力装置。
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