JP3219749U - 厨房排水浄化剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】グリストラップの浄化という用途について、油吸着、凝集、凝集物固化の全ての機能を備えた厨房排水浄化剤を提供する。【解決手段】厨房の処理槽2の排水3を浄化する厨房排水浄化剤1において、排水の中の油脂分3aを吸着するもので、木材をチップ状にして細断してファイバー状にして熱処理を行うことで炭化させた繊維状の炭化物である油吸着剤と、排水を固体と液体とに分離し、固体分を凝集するもので、主成分となる含有成分として二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化カルシウムのいずれかを含む粉体の凝集剤と、油吸着剤と凝集剤により凝集された凝集物3cとを固化する凝集物固化剤とを備え、油吸着剤は、その一部は細かい粉体になっており、油吸着剤と凝集剤と凝集物固化剤とを水溶性の袋に入れた厨房排水浄化剤である。【選択図】図2
Description
本考案は、例えばグリストラップの浄化のための浄化剤等に係り、特に排水浄化のための油吸着、凝集、凝集物固化の全ての機能を備えた厨房排水浄化剤に関する。
従来、厨房排水に用いられるグリストラップは、排水中の油脂分や固形分を浮上または沈降させることによって油水分離または固液分離し、後方の排水管に油脂分や固形分が侵入することを防ぐ処理槽として、厨房に設置することが義務付けられている。但し、日排水量50m3未満である場合には、水質汚濁防止法による水質基準値に基づく規制の対象とはならず、設置さえされていれば良い状況にある。
グリストラップの運用上の問題点は、その清掃作業にある。即ち、グリストラップによって分離された浮遊物である油脂分や汚泥等の固形分は、定期的に清掃作業によって取り除く必要があるが、苦渋作業であるために清掃頻度は低下する傾向にある。そのため、分離された油脂分や固形分が後方の排水管へ流出し、当該排水管の閉塞や悪臭発生の原因となっている。
今日では、処理槽としてのグリストラップからの排水により公共下水管が閉塞される事故が多発しており、下水道管理者による条例制定等により水質汚濁防止法の規制値を以って排出事業者への指導がなされている。
このようなグリストラップであるが、その大きさ(容積)は、日排水量に含まれる油脂比率によって設定され、排水を浄化するのに必要な容積や構造がない。一般的には、滞留時間も短く、浄化機能は十分に発揮されているとは言えない。
そこで、排水中の油脂分を含む有機物を分解促進するため、化学品や酵素、微生物資材を投入するなどの試みもなされているが、滞留時間等の諸条件を満たしていないことからその効果は明確ではないのが実情である。
一方、食品残渣のリサイクルが求められる状況下、分離された油脂分や固形分が有効に活用されておらず、産業廃棄物として焼却処分又は堆肥化処理されている。リサイクル率の向上や焼却に伴う温暖化ガスの発生抑制などに関する技術開発が急務である。
なお、例えば、特許文献1では、分離ボックスより分離された液体から油を吸着する油吸着剤と、油吸着剤による油吸着後の液体をタンクから排出する排出口を含むグリストラップ清掃装置が開示されている。
しかしながら、グリストラップの浄化という用途について、油吸着、凝集、凝集物固化の全ての機能を備えた厨房排水浄化剤については実現されていない。
例えば、上記特許文献1に開示された技術は、グリストラップの清掃のための大がかりな装置であり、油脂分の吸着については開示されているものの、それを排水口から流すもので、汚泥等の固形分の凝集や固化については何ら開示も示唆もされていない。
そして、厨房排水浄化に関しては、以下の改善が要求されている。
先ず第1に、排水の水質改善である。即ち、後方排水管の閉塞防止(高圧洗浄等に要するエネルギー削減)、更には排水施設の衛生レベルの改善(清掃に要する作業量の削減)が求められている。
第2に、食品残渣のリサイクル促進である。即ち、油脂分および固形分はバイオマスエネルギーとして有効活用(化石燃料の節約、CO2削減・リサイクル有効活用)することが求められている。更に分離水の再利用(水資源の有効利用)も求められている。
第3に、作業環境(オペレーション)の改善である。即ち、作業時間の短縮化(短時間化)、作業量の削減(省力化)、作業器具の小型化(省労力化)、及び作業エネルギーの削減(省エネルギー化)が求められている。
本考案は、上記課題に着目してなされたものであり、以下を目的とする。
即ち、グリストラップの浄化という用途について、油吸着、凝集、凝集物固化の全ての機能を備えた厨房排水浄化剤を提供することを目的とする。
そして、処理槽としてのグリストラップに要求される油水分離機能を回復させ、有機固形分を回収することで、要求される水質基準を満たし、十分に清浄された排水を放流可能とし、公共下水への負担軽減を図ることを目的とする。
さらに、流入した排水を回収し、排水から分離した有益な資源を回収し、回収廃棄物のバイオマス(ガス)燃料としてのリサイクル利用の促進を図ることを目的とする。
そして、排水の発生源から排水処理に要するエネルギー量の削減、即ち温暖化ガスの排出抑制を図ることを目的とする。
上記課題を解決するため、本考案の一態様に係る厨房排水浄化剤は、厨房の処理槽の排水を浄化する厨房排水浄化剤において、前記排水の中の油脂分を吸着するもので、木材をチップ状にして細断してファイバー状にして熱処理を行うことで炭化させた繊維状の炭化物である油吸着剤と、前記排水を固体と液体とに分離し、固体分を凝集するもので、主成分となる含有成分として二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化カルシウムのいずれかを含む粉体の凝集剤と、前記油吸着剤と前記凝集剤により凝集された凝集物とを固化する凝集物固化剤とを備え、前記油吸着剤は、その一部は細かい粉体になっており、前記油吸着剤と前記凝集剤と前記凝集物固化剤とを水溶性の袋に入れている。
本考案によれば、以下の効果を奏する厨房排水浄化剤を提供することができる。
即ち、グリストラップ排水の浄化という用途について、油吸着、凝集、凝集物固化の全ての機能を備えた厨房排水浄化剤を提供することができる。
更に、公共下水への負担軽減を図ることができる。即ち、グリストラップに求められる本来の油水分離機能を回復させ、有機固形分を回収することで要求される水質基準を満たすようにし、十分に清浄された排水を放流することができる。
そして、リサイクル利用の促進を図ることができる。即ち、流入した排水を回収することにより、排水から分離した有益な有機資源を回収できる。油吸着剤及び複合剤として回収廃棄物はバイオマス(ガス)燃料としてリサイクル利用できる。
ひいては、使用エネルギーの削減を図ることができる。即ち、排水の発生源から排水処理に要するエネルギー量を削減(温暖化ガスの排出抑制)できる。
以下、図面を参照しつつ本考案の実施形態について説明する。
本考案の一実施形態に係る厨房排水浄化剤は、油吸着剤、凝集剤、凝集物固化剤の3つの機能を有するものである。即ち、各機能を相乗的に発揮させることで、油吸着、固形分の凝集、凝集物の固化を連続した動作で実施する多機能複合剤である。
油吸着剤としては、リグノセルローズ物質、例えば木材をチップ状に細断等してファイバー状にして、かさ密度を小さくした上、高温で熱処理を行うことで炭化した繊維状の炭化物を使用する。「かさ密度」とは、一般には、体積が既知の容器に測定対象を充填し粒子間の空隙も含めた体積で粉体の質量を除した値である。上記リグノセルローズ物質としては、廃棄物である木材や、古紙等を採用することができるので、資源のリサイクルにも寄与する。但し、油吸着剤は、これに限定されるものではなく、天然鉱物を用いたものなど種々のものを採用できる。
凝集剤としては、天然鉱物由来のものを中心に採用する。主成分となる含有成分としては、二酸化ケイ素(SiO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化アルミニウム(Al2O3)、塩化アルミニウム(AlCl3)、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)等がその9割を占める。あるいは、他に二酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)、カルシウム(Ca)を含むものもある。複数種類を混合して用いてもよい。天然無機質系の鉱物を主成分とする種々の凝集剤を採用できる。
凝集物固化剤としては、パルプと植物繊維を練り込んだものを採用する。
このような構成において、厨房排水浄化剤は、油吸着剤、凝集剤、凝集物固化剤を有するので、厨房排水浄化剤をグリストラップに投入し、撹拌するだけで、排水に浮かんだ油脂分の吸着、排水の底泥分等の凝集、凝集物の固化を連続して行うことができ、固化された凝集物をすくい網ですくい出すだけで、簡易に浄化を行うことができる。この凝集物は所定の処理を施すことで再利用することも可能である。
例えば、50Lのグリストラップの排水の浄化を実施する場合には、厨房排水浄化剤の各薬剤の割合の一例は次のようになる。
油吸着剤 40g(油脂分800〜900g吸着)
凝集剤 120g(2400ppm)
凝集物固化剤 25g(固形分500〜1000g固化)
但し、これに限定されず。油吸着剤を30〜50g、凝集剤を100〜140g、凝集物固化剤を20〜30gの範囲で、配合することが可能である。
油吸着剤 40g(油脂分800〜900g吸着)
凝集剤 120g(2400ppm)
凝集物固化剤 25g(固形分500〜1000g固化)
但し、これに限定されず。油吸着剤を30〜50g、凝集剤を100〜140g、凝集物固化剤を20〜30gの範囲で、配合することが可能である。
また、厨房排水浄化剤は、前述したような構成要素である、油吸着剤、凝集剤、及び凝集物固化剤を、水溶性フィルムの袋に入れてパッケージ化したものでもよい。この水溶性フィルムとしては、例えばポリビニルアルコールを原料とした水溶性フィルムを採用することができる。水溶性フィルムは、5℃程度の冷水に可溶する、帯電しにくい、親水性フィルムであり、内包物を水中で効率よく拡散することができ、水に溶解するので廃棄処理も不要となる。油吸着剤は、ファイバー状を基本とするが、その一部が細かい粉体になっている。凝集剤も粉体である。したがって、投入時に粉を舞い上がらせる可能性を低減する上でも水溶性フィルムに入れることは効果的である。また、袋の中でファイバー状の繊維に紛体が付着してくれるので、排水に入れても粉がダマにならない効果もある。この水溶性フィルムに代えて、水溶紙の袋を採用してもよい。
このように、厨房の処理槽の排水を浄化する厨房排水浄化剤において、排水の中の油脂分を吸着する油吸着剤と、排水を固体と液体とに分離し、固体分を凝集する凝集剤と、油吸着剤と前記凝集剤により凝集された凝集物とを固化する凝集物固化剤と、を備えた厨房排水浄化剤が提供される。なお、油吸着剤と凝集剤と凝集物固化剤とを水溶性フィルムの袋に入れてパッケージ化してもよい。
従って、グリストラップの浄化という用途について、油吸着、凝集、凝集物固化の全ての機能を備えた厨房排水浄化剤が実現されるので、厨房排水浄化剤を投入し、撹拌し、すくい出す、というシンプルな作業のみで、グリストラップに溜まった排水の浄化をきわめて短時間で且つ低コストで行うことができる。
以下、図1のフローチャートを参照して、本考案の一実施形態に係る厨房排水浄化方法の処理手順を詳細に説明する。ここでは、図2(a)乃至図2(e)の浄化手順を説明する概念図を適宜参照して説明を進める。
図2(a)に示されるように、処理槽2の中には排水3が溜まっており、排水3の上層には油脂分3aが浮かんでおり、底層には底泥分3bが堆積している。
このような処理槽2に対して、先ず、図2(b)に示されるように、厨房排水浄化剤1を投入し、図2(c)に示されるように、混合可能な攪拌機4で攪拌する(S1)。攪拌機4としては、例えばモータ駆動により回転する回転軸を有し、当該回転軸に固着されたステーが回転し、当該ステーの先端に配設されたフィンが回転して排水3を撹拌するものを採用できる。油吸着剤は比重が小さく排水上に浮かぶので攪拌機4で水中に入り込むように撹拌することで排水に対する浄化作用を促進させる。
なお、厨房排水浄化剤1の一例は、図3に示される。厨房排水浄化剤1に含まれる油吸着剤及び凝集剤の粉分が外部に飛散しないように静かに処理槽2内に入れるようにする。但し、前述した水溶性フィルムの袋に包含されパッケージ化された厨房排水浄化剤1を採用する場合には、そのまま投入すればよい。
上記厨房排水浄化剤1の投入及び撹拌により、厨房排水浄化剤1に含まれている油吸着剤が排水3中の油脂分3aを吸着する(S2)。この例では、油吸着剤は自重の約20倍の油脂分3aを吸着することができ、水はほとんど吸着しない。さらに、処理槽2の排水3を厨房排水浄化剤1に含まれる凝集剤が固液分離し、底泥分3bを凝集し凝集物(フロック)とする(S3)。
そして、処理槽2の排水中の油吸着剤及び固液分離された凝集物(フロック)を凝集物固化剤に付着させて固化し(S4)、図2(d)に示されるように、すくい網5で凝集物を回収する(S5)。このすいく網としては、単なる網のほか、濾過機能を有するものを採用してもよい。
この回収後に余分な水分を脱し塊となし、重量を減じ取扱を簡単にし、図2(e)に示されるように、廃棄物容器6に保管し、廃棄又は再利用する(S6)。以上で、厨房排水浄化剤1を用いた厨房排水浄化方法に係る一連の処理を終了する。以上の処理は、作業時間が約5分から10分で終了する。
このように、油吸着剤と凝集剤と凝集物固化剤とを含む厨房排水浄化剤を用いて厨房の処理槽の排水を浄化する厨房排水浄化方法において、厨房排水浄化剤を処理槽の排水の中に投入するステップと、厨房排水浄化剤投入後の排水を撹拌するステップと、油吸着剤により排水の中の油脂分を吸着するステップと、凝集剤により排水を固体と液体とに分離し、固体分を凝集するステップと、凝集物固化剤により油吸着剤と凝集剤による凝集物とを固化するステップと、凝集物を回収するステップと、を有する厨房排水浄化方法が提供される。
ここで、油吸着剤は、木材をチップ状に細断してファイバー状にして、かさ密度を小さくした上、高温で熱処理を行うことで炭化した繊維状の炭化物であり、凝集剤は、天然鉱物を主成分としており、凝集物固化剤は、パルプと植物繊維を練り込んだものであってよい。
従って、排水の水質向上を図ることができる。即ち、浄化剤による油脂分の吸着、固形分の凝集回収を繰返し実施することで、放流水の水質は改善が可能となる。
以上説明したように、本考案の一実施形態によれば、以下の効果が奏される。
(1) 公共下水への負担軽減
グリストラップに求められる本来の油水分離機能と有機固形物を回収することで要求される水質基準を満たし、十分に清浄な排水を放流可能となる。
グリストラップに求められる本来の油水分離機能と有機固形物を回収することで要求される水質基準を満たし、十分に清浄な排水を放流可能となる。
(2) リサイクル利用の促進
流入した排水を回収することにより、排水から分離した有益な有機資源回収が実施可能となる。油吸着剤及び複合剤として回収廃棄物はバイオマス(ガス)燃料としてのリサイクルが可能となる。
流入した排水を回収することにより、排水から分離した有益な有機資源回収が実施可能となる。油吸着剤及び複合剤として回収廃棄物はバイオマス(ガス)燃料としてのリサイクルが可能となる。
(3) 使用エネルギーの削減
排水の発生源から排水処理に要するエネルギー量の削減(温暖化ガスの排出抑制)が可能となる。
排水の発生源から排水処理に要するエネルギー量の削減(温暖化ガスの排出抑制)が可能となる。
以上、本考案の一実施形態について説明したが、本考案はこれに限定されることなくその趣旨を逸脱しない範囲で種々の改良・変更が可能であることは勿論である。
例えば、厨房の排水の内容物、種別に応じて、厨房排水浄化剤の凝集剤、油吸着剤、凝集物固化剤の比率を調整するようにしてもよい。
1…厨房排水浄化剤、2…処理槽、3…排水、3a…油脂分、3b…底泥分、3c…凝集物、4…攪拌機、5…すくい網、6…廃棄物容器。
Claims (1)
- 厨房の処理槽の排水を浄化する厨房排水浄化剤において、
前記排水の中の油脂分を吸着するもので、木材をチップ状にして細断してファイバー状にして熱処理を行うことで炭化させた繊維状の炭化物である油吸着剤と、
前記排水を固体と液体とに分離し、固体分を凝集するもので、主成分となる含有成分として二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化カルシウムのいずれかを含む粉体の凝集剤と、
前記油吸着剤と前記凝集剤により凝集された凝集物とを固化する凝集物固化剤と、
を備え、
前記油吸着剤は、その一部は細かい粉体になっており、
前記油吸着剤と前記凝集剤と前記凝集物固化剤とを水溶性の袋に入れた
厨房排水浄化剤。
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