JP3218011B2 - 穀物袋の通気構造 - Google Patents

穀物袋の通気構造

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、穀物を収容する際
に穀物と一緒に入り、内部に封入された空気を円滑且つ
確実に脱気することができる穀物袋の通気構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、米や小豆、大豆等の穀物類、或い
は肥料、又は菓子などの食品類などの小物の物品を収納
する袋には、物品を収納する際に袋内に入った余分な空
気を抜くための通気部が形成されている。このような空
気抜き用の通気部としては、例えば、袋の一面の四隅部
に物品の大きさよりも小径の円形孔を形成して、この円
形孔から物品収納時に入った袋内の余分な空気を排出す
る構造としている。
【0003】しかしながら、上記円形孔を設けた一面を
下にして袋を積載した場合においては、袋の載置面に水
気があると、上記円形孔から水が袋内に浸入し、袋に収
納している穀物類等の収納物を汚染したり腐食させたり
して、商品価値を低下或いは使用不能にするといった問
題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところ
は、水気がある場所に穀物袋の表裏面のいずれの面を下
方にして載置した場合にあっても袋内に水分が進入し難
いとともに、穀物を収納する際に一緒に入り封入された
余分な空気を円滑且つ確実に袋外に排出することができ
る穀物袋の通気構造を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1に記載の穀物袋の通気構造は、表
面フィルムと裏面フィルムとを重ね合わせ、これらの対
向両側端縁部同士を熱融着するとともに対向下端縁部同
士を断続的に熱融着し未融着部分によって袋の内外を連
通させる通気孔が形成されてなる穀物袋において、上記
通気孔は、上記表面フィルムを凸円弧状に膨出させるこ
とによって形成され且つ穀物袋に収納する穀物の断面形
状よりも小さい開口面積を有するドーム状通気孔部と、
該ドーム状通気孔部の両側端部を凹円弧状に屈曲、形成
してなる穀物通過規制壁部とからなり、この穀物通過規
制壁部と裏面フィルムとの間に上記ドーム状通気孔部に
連通する通気用隙間を形成するように構成してなること
を特徴とする。
【0006】そして、請求項2に記載の穀物袋の通気構
造は、請求項1に記載の穀物袋の通気構造において、上
記通気孔を構成する表面フィルムの裏面を微細な凹凸面
に形成していることを特徴とする。
【0007】更に、請求項3に記載の穀物袋の通気構造
は、請求項1又は請求項2に記載の穀物袋の通気構造に
おいて、上記通気孔は上記表裏面フィルムの下端縁から
上方に所定間隔を存した位置に形成されていることを特
徴とする。
【0008】
【作用】袋内に該袋の開口端から所要量の穀物を充填、
収納した後、袋の開口端をシールすると、袋内には穀物
と共に余分な空気が封入された状態となる。この空気は
袋の表裏面を押圧して袋内の空気圧を増大させると、そ
の圧力によって袋の下端縁部に形成している通気孔を通
じて外部に円滑に排出される。
【0009】更に、上記袋内には所要量の穀物が収納さ
れているが、上記通気孔のドーム状通気孔部は上記穀物
の断面形状よりも小さい開口面積を有しているととも
に、該ドーム状通気孔部の両側端部には凹円弧状に屈
曲、形成してなる穀物通過規制壁部が形成されており、
上記ドーム状通気孔部はその開口面積が常時穀物の断面
形状よりも小さくなるようにその形状を保持されてい
る。従って、上記通気孔から袋内部に収納した穀物が袋
外に飛び出ることはない。
【0010】又、万一、袋内に収納している穀物が上記
通気孔のドーム状通気孔部に詰まりドーム状通気孔部を
閉止した場合であっても、穀物の上記ドーム状通気孔部
への嵌入力により直ちに上記ドーム状通気孔部を形成し
ている表面フィルムが裏面フィルムから離間する方向に
変位し、この表面フィルムの変位に伴って上記穀物通過
規制壁部の外側壁も裏面フィルムから離間する方向に変
位する。そして、上記穀物通過規制壁部の外壁面とそれ
に対向する裏面フィルムとによって上記ドーム状通気孔
部に連通する通気用隙間が形成され、この通気用隙間に
よって袋内の排気通路が確保される。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な実施の形態を図
面に基づいて説明する。本発明の穀物袋Aは、図1に示
したように、平面縦長長方形状のナイロン又はポリエチ
レン等の柔軟性を有する熱可塑性樹脂フィルムからなる
同一形状の表裏面フィルム1、2を重ね合わせた状態と
し、これら表裏面フィルム1、2の対向する両側縁部同
士を全長に亘って熱融着3、3するとともに、下端から
上方に所定間隔を存した位置における対向する下端縁部
同士を断続的に熱融着4することによって形成されてい
る。
【0012】そして、上記表裏面フィルム1、2の対向
下端縁部における未融着部分によって通気孔5が形成さ
れている。上記通気孔5は、図1及び図2に示したよう
に、袋Aの下端部にその幅方向に一定間隔毎に複数個形
成されており、上下方向に延びた平面縦長長方形状に形
成されている。詳細には、上記通気孔5は、その上端縁
が上記表裏面フィルム1、2の下端縁部における熱融着
部4よりも内側方となるとともに、その下端縁が上記上
記表裏面フィルム1、2の下端縁部における熱融着部4
よりも外側方で且つ上記表裏面フィルム1、2の下端縁
から所定間隔だけ上方に存した位置となるように形成さ
れている。
【0013】更に、上記通気孔5の断面形状を詳述す
る。上記通気孔5は、図3に示したように、上記表裏面
フィルム1、2の下端縁部における熱融着部4、4間の
未融着部分を構成している上記表面フィルム11を上下方
向に一定長さに亘って凸円弧状に膨出させ、この膨出さ
せた表面フィルム11と該表面フィルム11に対向する裏面
フィルム21とによってドーム状通気孔部51を形成してい
るとともに、該ドーム状通気孔部51を構成する表面フィ
ルム11の両側端部をドーム状通気孔部51の上下方向の全
長に亘って凹円弧状に屈曲、形成して保形性を有する穀
物通過規制壁部52、52を形成しており、常態においては
この穀物通過規制壁部52、52の裏面を裏面フィルム21の
両側端部に接離可能に接触させている一方、上記ドーム
状通気孔部51の開口面積を袋A内に収納している穀物B
の断面積よりも小さく構成し、袋A内の穀物Bが上記通
気孔5のドーム状通気孔部51を通じて袋A外に飛び出さ
ないように構成されている。又、上記通気孔5を構成す
る表面フィルム11の裏面は微細な凹凸11a が形成された
凹凸面に形成されている。
【0014】次に、上記の如く構成された穀物袋Aの使
用要領を説明する。先ず、袋Aの表裏面を形成している
表裏面フィルム部1、2を離間させて、袋Aの上端開口
部を開口させ、この開口端から袋A内に米等の穀物Bを
充填、収納した後、上記表裏面フィルム部1、2を重ね
合わせて袋Aの開口端を閉止した後、その上端縁部を互
いに熱融着させることによってシールし、袋A内に穀物
Bを収納、封止した状態とする。
【0015】上記のように穀物Bが充填された袋A内に
は穀物Bの充填の際に余計な空気が同時に充填されてお
り、この余計に入った空気を、袋Aの表裏面を押圧する
ことにより内部圧を発生させてその圧力で通気孔5を通
過させるとともに、該通気孔5の外側方における常態に
おいて重ね合わされた状態の表裏面フィルム1、2を上
記通気孔5を通過した空気の圧力によって互いに離間さ
せて、表裏面フィルム1、2間に通気用の隙間を形成し
てこの通気用の隙間を通過させることによって、袋A内
の余分な空気を排出する。
【0016】この際、上記袋A内の余分な空気の排出に
伴って、上記袋A内に収納された穀物Bが上記通気孔5
側へと吸い込まれたり、或いは、搬送中の振動等によっ
て穀物Bが上記通気孔5側へ誘導されたりすることがあ
るが、上記の如く、上記通気孔5のドーム状通気孔部51
は上記穀物Bの断面形状よりも小さい開口面積となるよ
うに構成されているので、上記通気孔5のドーム状通気
孔部51を通じて穀物Bが袋A外に飛び出ることはない。
【0017】又、上記通気孔5からの空気の排出によっ
て穀物Bが上記通気孔5のドーム状通気孔部51内に吸い
込まれたり、或いは、搬送中の振動等によって、穀物B
がその一部分を上記通気孔5のドーム状通気孔部51内部
に嵌入された状態となって、ドーム状通気孔部51を閉止
するような場合がある。
【0018】かかる場合にあっても、上記ドーム状通気
孔部51の両側端部には硬質の保形性を有する凹円弧状の
穀物通過規制壁部52、52が形成されていることから、上
記ドーム状通気孔部51は穀物Bの嵌入力によって押し拡
げられたりすることなく、その形状、即ち、その開口面
積を保持し、穀物Bがドーム状通気孔部51を通じて袋A
外に飛び出したりすることはない。
【0019】しかも、上記ドーム状通気孔部51を構成し
ている表面フィルム11は、穀物Bのドーム状通気孔部51
への嵌入力或いは空気圧により裏面フィルム21から離間
する方向に変位する。すると、上記通気孔5の穀物通過
規制壁部52の外側壁52a とこの外側壁52a に対向する裏
面フィルム21a とは離間可能に構成されていることか
ら、上記表面フィルム11の変位によって、上記通気孔5
の穀物通過規制壁部52の外側壁52a も同時に対向する裏
面フィルム21a から離間する方向に変位し、上記穀物通
過規制壁52の外側52a とそれに対向する裏面フィルム21
a とによって上記ドーム状通気孔部51に連通する通気用
隙間53、53が形成される。この状態においても、両側穀
物通過規制壁52、52間の開口幅は殆ど変化がなく、その
ため穀物Bの通過を規制した状態で上記通気孔5の両側
通気用隙間53、53から空気を排出することができる。
【0020】即ち、上記ドーム状通気孔部51が穀物Bに
よって閉止された状態となっても、直ちに、上記の如く
して上記ドーム状通気孔部51に代わる通気用隙間53、53
が形成され、この通気用隙間53、53によって袋A内の排
気が確保され、この通気用隙間53、53を通じて袋A内の
空気が円滑且つ確実に排出される。
【0021】更に、上記通気孔5を構成する表面フィル
ム11の裏面には微細な凹凸11a が形成された凹凸面に形
成されているので、上記通気孔5のドーム状通気孔部51
内に嵌入した穀物Bの外周面と上記表面フィルム11の裏
側の凹凸面との間には微細な隙間が形成され、上記通気
用隙間53、53とともにこの微細な隙間からも円滑且つ確
実に袋A内の空気が排出される。なお、上記実施例では
上記表面フィルム11の裏面の微細な凹凸11a を設けた場
合を説明したが、上記表面フィルム11の裏面の微細な凹
凸11a は必要に応じて形成されればよい。
【0022】又、上記通気孔5の下端から下方に位置す
る表裏面フィルム1、2は常態において互いに離間可能
に重ね合わされた状態とされており、上記通気孔5から
袋A内部の空気を排出する際には、この空気の排出力に
よって上記表裏面フィルム1、2は押し広げられて通気
用の隙間が形成され、この通気用の隙間を通じて上記通
気孔5から排出された空気は円滑に袋A外に排出され
る。そして、上記通気孔5からの空気の排出が終了した
後は、上記通気孔5の開口下端から下方部における上記
表裏面フィルム1、2の下端は元の重ね合わされた状態
に復帰し上記通気孔5の下端開口部を封止して袋A内に
空気が流入し難くなるように構成してある。このように
袋A内の空気の排出は円滑である一方、袋A外から空気
が流入し難い構造は、内部の余計な空気を排出したいが
一旦排出した後は袋A外から空気を流入させたくない米
袋のような場合には好適である。
【0023】
【発明の効果】以上のように、本発明の袋の通気構造
は、表面フィルムと裏面フィルムとを重ね合わせ、これ
らの対向両側端縁部同士を熱融着するとともに対向下端
縁部同士を断続的に熱融着し未融着部分によって袋の内
外を連通させる通気孔が形成されてなる穀物袋におい
て、上記通気孔は、上記表面フィルムを凸円弧状に膨出
させることによって形成され且つ穀物袋に収納する穀物
の断面形状よりも小さい開口面積を有するドーム状通気
孔部と、該ドーム状通気孔部の両側端部を凹円弧状に屈
曲、形成してなる穀物通過規制壁部とからなり、この穀
物通過規制壁部と裏面フィルムとの間に上記ドーム状通
気孔部に連通する通気用隙間を形成するように構成して
なることを特徴とするので、上記通気孔を通じて、袋内
部の穀物を袋外に飛び出させることなく、円滑に袋内部
の余計な空気を排出できる。
【0024】しかも、万一、上記通気孔に袋内部の穀物
の一部分が嵌入して、上記通気孔のドーム状通気孔部が
閉止された状態となった場合にあっても、穀物の上記ド
ーム状通気孔部への嵌入力により直ちに上記ドーム状通
気孔部を形成している表面フィルムが対向する裏面フィ
ルムから離間する方向に変位し、この表面フィルムの変
位に伴って上記穀物通過規制壁部の外側壁も対向する裏
面フィルムから離間する方向に変位し、上記穀物通過規
制壁部とこれに対向する裏面フィルムとによって上記ド
ーム状通気孔部に連通する通気用隙間が形成され、この
通気用隙間から円滑且つ確実に余分な空気を排出でき、
袋内の空気の排気を円滑且つ確実なものとすることがで
きる。
【0025】又、請求項2に記載した穀物袋の通気構造
の如く、上記通気孔を構成する表面フィルムの裏面を微
細な凹凸面に形成している場合には、上記表面フィルム
の裏側の凹凸面と上記ドーム状通気孔部に嵌入した穀物
の外周面との間に排気用の隙間を形成することができ、
万一、穀物が上記通気孔のドーム状通気孔部にその一部
分を嵌入させて上記ドーム状通気孔部を封止した場合で
あっても、上記通気用隙間と共となって袋内の空気の排
気を円滑且つ確実なものとすることができる。
【0026】最後に、請求項3に記載の穀物袋の通気構
造の如く、上記通気孔は上記表裏面フィルムの下端縁か
ら上方に所定間隔を存した位置に形成されていることを
特徴とする場合には、上記通気孔の下方の表裏面フィル
ムは常態において離間可能に重ね合わされて上記通気孔
を封止し袋内への空気の流入を防止している一方、袋内
からの上記通気孔を通じた空気の排出による空気圧力に
よって表裏面フィルムは離間する方向に変位し通気用の
隙間を形成するので、袋内の空気の排出は円滑且つ確実
である一方、袋外から空気が流入しにくい構造となって
いる。従って、米袋の如く、袋内部の余計な空気は外部
に排出したいものの、一旦袋外に排出した後は袋内への
空気の流入を嫌う袋である場合には好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】袋の平面図、
【図2】通気孔の斜視図、
【図3】通気孔の断面図、
【図4】通気孔のドーム状通気孔部に穀物が嵌入した状
態図。
【符号の説明】
1 表面フィルム 11a 微細な凹凸 2 裏面フィルム 3、4 熱融着部 5 通気孔 51 ドーム状通気孔部 52 穀物通過規制壁部 53 通気用隙間 A 袋 B 穀物

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面フィルムと裏面フィルムとを重ね合
    わせ、これらの対向両側端縁部同士を熱融着するととも
    に対向下端縁部同士を断続的に熱融着し未融着部分によ
    って袋の内外を連通させる通気孔が形成されてなる穀物
    袋において、上記通気孔は、上記表面フィルムを凸円弧
    状に膨出させることによって形成され且つ穀物袋に収納
    する穀物の断面形状よりも小さい開口面積を有するドー
    ム状通気孔部と、該ドーム状通気孔部の両側端部を凹円
    弧状に屈曲、形成してなる穀物通過規制壁部とからな
    り、この穀物通過規制壁部と裏面フィルムとの間に上記
    ドーム状通気孔部に連通する通気用隙間を形成するよう
    に構成してなることを特徴とする穀物袋の通気構造。
  2. 【請求項2】 上記通気孔を構成する表面フィルムの裏
    面を微細な凹凸面に形成していることを特徴とする請求
    項1に記載の穀物袋の通気構造。
  3. 【請求項3】 上記通気孔は上記表裏面フィルムの下端
    縁から上方に所定間隔を存した位置に形成されているこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の穀物袋の
    通気構造。
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