JP3217982B2 - 電池およびその製造方法 - Google Patents

電池およびその製造方法

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  • Secondary Cells (AREA)
  • Connection Of Batteries Or Terminals (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電池要素の巻回体
を内蔵した電池、特に電池要素の巻回体に液体電解質を
含浸したリチウム二次電池などの電池、並びにその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図6は、従来のリチウム二次電池につい
ての一部断面構造を示す。同図において、1は電池缶、
2は電池要素巻回体、3は電池要素巻回体の中心穴、4
は電池要素巻回体2の上に設置されたドーナツ形状の電
気絶縁板、5は正極引出導体、6は正極端子の一例とし
ての金属製導電部材、7はドーナツ形状の電気絶縁板、
9はラプチャー板、10はPTC板、11は正極キャッ
プ、12は上記の部材6〜11を収容する電気絶縁ガス
ケットである。正極引出導体5の一部52は、電池要素
巻回体2の内部に正極シートに溶接されて存在し、残余
51は電池要素巻回体2の巻き始め近傍から外に露出す
る。図6では、電池要素巻回体2の内部に存在する部分
52を点線で示し、露出部分51を実線で示す。以下に
おいてこの露出部分51を正極引出露出導体と言う。正
極引出露出導体51の先端は金属製導電部材6の裏面に
溶接されており、また金属製導電部材6はその表面に有
するリング状突起61によりラプチャー板の裏面と電気
的に接触し、ラプチャー板9とPTC板10を介して正
極キャップ11と導通している。さらに金属製導電部材
6、ラプチャー板9、PTC板10、および正極キャッ
プ11は、電気絶縁ガスケット12により負極引出導体
(図示せず)と結合された電池缶1と電気的に絶縁され
ている。13は、電池要素巻回体2や電気絶縁板4など
の電池内容物が電池缶1内でガタツキを生じないように
固定するために電池缶1の外壁に設けられた窪みであ
る。
【0003】図6に示す従来のリチウム二次電池は、一
般的につぎのようにして製造される。電池要素巻回体2
の負極引出導体を電気絶縁板(いずれも図示せず)を介
して電池缶1の底壁に溶接し、電池要素巻回体2の上に
電気絶縁板4を置いた状態で電池缶1の外壁に窪み13
を設ける。図7は、かくして得られた電池中間体の斜視
図である。この中間体においては、電池要素巻回体2の
巻き始め近傍から引き出された正極引出露出導体51
は、ドーナツ形状の電気絶縁板4の孔を通って延びてい
る。つぎに窪み13により電池缶1内に生じたリング状
突起の上に電気絶縁ガスケット12を嵌合させ、図8の
斜視図に示すように正極引出露出導体51の先端を金属
製導電部材6の裏面に溶接する。この後、金属製導電部
材6は、電気絶縁ガスケット12内に挿入設置される。
【0004】金属製導電部材6が電気絶縁ガスケット1
2内に挿入設置されると、金属製導電部材6の裏面と電
池要素巻回体2との距離が接近するので、正極引出露出
導体51は座屈して図6に示すように折れ曲がった状態
にて金属製導電部材6と電気絶縁板4との間に存在する
空間に不安定に浮遊することになり、外力によりこの折
れ曲り個所が振動し、場合によっては大きく揺れ動く。
【0005】さて電池要素巻回体2は、一般に正極シー
ト、第一セパレータ、負極シート、および第二セパレー
タの四種のシートが重ねられて巻回された構造を有する
ので、その巻回体の両端面は正極シートと負極シートの
各側面端が存在する。電池要素巻回体2の端面上には、
正極シートと負極シートの各側面端同士が接触して短絡
することを防止するために電気絶縁板4が設置されては
いるが、更には正極シートと負極シートの各側面端同士
は、それらよりも広幅のしかして背高のセパレータの側
面端で隔離されてはいるが、上記した正極引出露出導体
51の座屈した部分の振動や大きな揺れ動き、あるいは
その他種々の理由で不安定な該座屈部分が正極シートと
負極シートの各側面端同士の接触短絡の原因となること
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記に鑑み本発明は、
正極引出露出導体51の座屈した部分の不安定性、並び
にそれに起因する正負極の短絡問題が解決された電池並
びにその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、つぎの特徴を
有する。(1)正極端子と溶接した正極引出露出導体の全長のう
ち、正極端子との溶接端から少なくとも10%の部分は
残余の部分より大きな耐座屈強度を有する状態において
正極端子を電池要素巻回体の上に被せ、その際に座屈し
た正極引出露出導体を電池要素巻回体の中心穴またはセ
パレータのみの巻回層部内に落し込むようにすることを
特徴とする電池の製造方法(2)電池がリチウム二次電池である上記(1)記載の
電池の製造方法
【0008】
【作用】一般的に電池要素巻回体は、直径3〜4mm程
度の大きさの中心穴を有する。また本発明の電池におい
ては、正極端子と溶接した正極引出露出導体の一部また
は全部は、座屈、屈曲などにて種々の形状に変形してい
てもよいが、正極引出露出導体の少なくとも一部はかか
る変形にて電池要素巻回体の上記の中心穴に落ち込んで
いることを必須とする。かくすると、正極引出露出導体
の全体が外力などにより動くとしても、該落ち込み部分
の動きは最大でも上記中心穴内に制限され、また中心穴
の内壁との繰り返される衝突により極く短時間内に減衰
し静止するに到る。そして該落ち込み部分の静止が、正
極引出露出導体全体を静止させる。この結果、従来の電
池にみられた正極引出露出導体の座屈部分の不安定性に
起因する正負極の短絡問題が解決される。電池要素巻回
体2は、四種のシートの巻回構造を有することは前記の
通りであるが、通常、第一および第二のセパレータは、
正負極シートより長尺で使用されるので電池要素巻回体
2の巻き始め端から1〜3巻は第一および/または第二
のセパレータのみからなっていて、正負極シートが欠落
している。換言すると、電池要素巻回体2の中心穴3の
壁およびその壁から内部数層はセパレータのみからなっ
ている。そこで本発明においては、正極引出露出導体全
体の座屈した少なくとも一部が、電池要素巻回体の該中
心穴内に代わってセパレータのみの巻回層部内に落ち込
んでいても上記と同様の作用が達成される。また本発明
の製造方法においては、正極引出露出導体の全長のうち
の正極端子との溶接端から少なくとも10%の部分の耐
座屈強度を大きくしたり、あるいはその部分に座屈力が
作用し難い状態において正極端子を電池要素巻回体の上
に被せるようにすると、座屈した正極引出露出導体を電
池要素巻回体の中心穴内やセパレータのみの巻回層部内
に落し込ませることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図例により詳細に
説明する。図1〜図3は、いずれも本発明の実施例の一
部断面図であり、図4〜図5は、いずれも本発明の製造
方法における製造途上での電池の部分断面図である。図
1〜図5における構成要素およびその番号は、従来例を
示す図6と全く同じであるので各構成要素の説明は省略
する。また図2〜図5では、実施例の説明に必要な一部
の構成要素のみ番号表示している。図1〜図3に示す各
実施例は、正極引出露出導体51の座屈した部分が電池
要素巻回体2の中心穴3内に図示する通りに落ち込んで
いる点において図6の従来例と本質的に異なる。
【0010】図1の実施例では、正極引出露出導体51
は複雑に座屈して座屈した一部が中心穴3内に落ち込ん
でいるだけであるが、前記した理由によりその落ち込み
にて本発明の課題が達成される。なお本発明において、
正極引出露出導体51の落ち込み部分の位置や落ち込み
の程度については、前記した作用が奏され得る限り特に
制限はない。図2と図3の各実施例では、正極引出露出
導体51の略全体がU字状に座屈してU字状部の全体が
中心穴3内に落ち込んでいる。かかる落ち込み状態であ
ると、電池要素巻回体2の表面上に位置するような座屈
部分が全く存在しないので正負極の短絡問題を一層確実
に防止することができる。この結果、電気絶縁板4によ
る正負極の短絡防止機能は軽度で済み、あるいは不要と
なるので、図3の実施例では大きな孔を有し、しかして
低コストの電気絶縁板4が用いられている。
【0011】つぎに図4および図5に基づいて、本発明
の製造方法につき説明する。図4に示すように、金属製
導電部材6の裏面に正極引出露出導体51が溶接され
る。同図において、Aは正極引出露出導体51の先端
を、Bは同リードの溶接終了端を、Dは同リードの電池
要素巻回体2からの引き出し端を、またCは同リードの
補強端をそれぞれ示す。しかして正極引出露出導体51
は、AD間がその全長であり、AB間で金属製導電部材
6の裏面に溶接されている。またBC間は、CD間より
大きな耐座屈強度を有する。
【0012】BC間は、種々の方法によってその座屈強
度を高めることができる。正極引出導体5およびその一
部たる正極引出露出導体51は、一般に銅、アルミニウ
ム、ニッケルなどの導電性金属の箔にて形成される場合
が多いので、導電性金属の箔についてその例を示すと、
軽量形鋼のように箔の断面をL字、V字、W字などとす
る、断面を円弧とする、箔に縦溝をつける、などの方法
がある。またBC間に適当な補強体、例えば正極引出露
出導体51と同じ材料の箔の1乃至数枚、針金、など、
を接着あるいは溶接する方法も有効である。
【0013】正極引出露出導体51のBC間がCD間よ
り大きな耐座屈強度を有する状態において金属製導電部
材6を電気絶縁ガスケット12内の所定位置に設置する
と、BC間では座屈が生じず、CD間でのみ座屈が生じ
る。この結果、正極引出露出導体51は、そのBCD間
がU字乃至V字状に座屈変形し、図5に示すようにC点
またはその近傍を頂部として電池要素巻回体2の中心穴
3内に落ち込む。
【0014】大きな耐座屈強度を有するBC間の長さ
は、AD間長の少なくとも10%程度もあれば効果があ
るが、一層確実な効果を得るには、少なくとも30%程
度、特に少なくとも50%程度とすることが好ましい。
なおAB間は溶接個所であるので、上記のような座屈強
度向上の必要はないが、AB間もBC間と同様に座屈強
度向上の処理を施しておくと、電池の組み立て実作業が
容易となる。
【0015】金属製導電部材6の裏面上における正極引
出露出導体51の溶接終了端Bの位置を電池要素巻回体
2の中心穴3の真上となるようにし、且つ金属製導電部
材6を電気絶縁ガスケット12内に設置する過程でAB
Cの曲げ角度を90度にすると、正極引出露出導体51
の座屈個所を該中心穴3内に容易に落ち込ませることが
できる。一方、溶接終了端Bの位置が電池要素巻回体2
の中心穴3の真上となっていない場合、あるいは真上と
なっていても一層確実に正極引出露出導体51の座屈個
所を該中心穴3内に落ち込ませるために、金属製導電部
材6を電気絶縁ガスケット12内に設置する過程におい
て適当な案内手段、例えば一本以上の案内棒にて座屈個
所あるいは座屈が予定されている個所を中心穴3の上に
来るように案内するとよい。
【0016】上記のような案内手段を用いる場合には、
金属製導電部材6を電気絶縁ガスケット12内に設置す
る過程において、該案内手段によって正極引出露出導体
51のBC間に座屈力が作用し難い状態に保持すること
によっても前記した耐座屈強度差を付ける場合と同様の
効果を得ることができる。例えば二本の案内棒にて正極
引出露出導体51のB点またはその近傍部とC点または
その近傍部とをその間に座屈力が作用しないように保持
し、金属製導電部材6を電気絶縁ガスケット12内に可
能な限り接近させる。かくするとCD間で座屈が生じる
ので、生じた座屈部を該案内棒にて電池要素巻回体2の
中心穴3に導く。ついで該案内棒を正極引出露出導体5
1から放し、金属製導電部材6を電気絶縁ガスケット1
2内の所定個所に設置する。
【0017】電池要素巻回体2の中心穴3の壁から内部
数層がセパレータのみからなっている場合には、セパレ
ータは電気絶縁性であることに着目して正極引出露出導
体51の座屈個所をセパレータ層間に落ち込ませるよう
にしてもよい。座屈個所のセパレータ層間への落し込み
は、案内装置により容易に行うことができる。
【0018】本発明は、種々の電池に適用可能である
が、特に高度の安全性が要求されるリチウム二次電池に
適用することが好ましい。リチウム二次電池としては、
周知の各種構造のものであってよい。
【0019】
【発明の効果】本発明によれば、従来の各種電池にみら
れた正極引出露出導体の座屈部分の不安定性に起因する
正負極の短絡問題が解決されるので、特に高度の安全性
が要求されるリチウム二次電池およびその製造に好適で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の一部断面図である。
【図2】本発明の他の実施例の一部断面図である。
【図3】本発明の更に他の実施例の一部断面図である。
【図4】本発明の製造方法における製造途上での電池の
部分断面図である。
【図5】本発明の製造方法における製造途上での電池の
部分断面図である。
【図6】従来例の一部断面図である。
【図7】従来の製造方法における電池中間体の斜視図で
ある。
【図8】従来の製造方法における電池中間体の斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 電池缶 2 電池要素巻回体 3 電池要素巻回体の中心穴 51 正極引出露出導体 6 正極端子の一例としての金属製導電部材 12 電気絶縁ガスケット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 10/00 - 10/40 H01M 2/26 H01M 6/00 - 6/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正極端子と溶接した正極引出露出導体の
    全長のうち、正極端子との溶接端から少なくとも10%
    の部分は残余の部分より大きな耐座屈強度を有する状態
    において正極端子を電池要素巻回体の上に被せ、その際
    に座屈した正極引出露出導体を電池要素巻回体の中心穴
    またはセパレータのみの巻回層部内に落し込むようにす
    ることを特徴とする電池の製造方法。
  2. 【請求項2】 電池がリチウム二次電池である請求項
    記載の電池の製造方法。
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