JP3217466B2 - プロピレン重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレン重合体の製造方法

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JP3217466B2 JP19098792A JP19098792A JP3217466B2 JP 3217466 B2 JP3217466 B2 JP 3217466B2 JP 19098792 A JP19098792 A JP 19098792A JP 19098792 A JP19098792 A JP 19098792A JP 3217466 B2 JP3217466 B2 JP 3217466B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プロピレン重合体の製
造方法に関するものである。さらに詳しくは、プロピレ
ン重合触媒として好適な固体三塩化チタンを使用して高
結晶性、高剛性のプロピレン重合体を製造する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術及び本発明が解決しようとする問題点】従
来、プロピレンの重合においては、結晶性重合体の収率
を高めること、即ち重合体の立体規則性を向上させるこ
とは、剛性が高く物性の優れた製品を得るのみならず、
原料プロピレンの原単位を上げ、希釈剤に溶けている非
晶性重合体が減少するので、非晶性重合体除去等の処理
工程を簡略化するあるいは全く不要とすることが可能と
なり、工業的に極めて有利であり、極めて重要な事であ
った。
【0003】近年、高活性触媒を用いて高い触媒効率を
もってプロピレンの重合を行なう方法が種々提案されて
いる。しかしこれらの方法においては満足すべき嵩密度
及び結晶性を有する重合体を収率よく得ることは困難で
あり、従ってこの問題点を改善することは工業的に極め
て重要な意義をもつものである。かかる要望に沿い、生
成重合体の嵩密度及び立体規則性を高める方法として、
三塩化チタンと有機アルミニウム化合物とを含む触媒系
をプロピレンの存在下、60℃より低い温度で予備処理
する方法が提案されている(特公昭49−14865号
公報参照)。この方法は予備処理後の主重合において、
高い触媒効率を得るため高温で重合を行なうに当り、重
合温度の上昇に伴って急激に低下する生成重合体の嵩密
度及び立体規則性を比較的ゆるやかに低下させるに止ま
り、必ずしも満足すべき効果が得られるとはいい難かっ
た。特に工業的にみて現実性のある60〜70℃の重合
温度では改良効果は薄いものであった。またこの方法に
おいては生成重合体からの成形品のフィッシュアイの発
生を防止するために適量の水素を存在させることが必須
である。しかし、適量の水素を制御することは、実際
上、しばしば困難である。即ち、水素は少なすぎると成
形品のフィッシュアイが増加し、多すぎると結晶性重合
体の収率が低下し、且つ水素及びプロピレンを所定量仕
込んでも、プロピレンの吸収によって水素濃度が変化す
るという欠点を有している。
【0004】またTiCl3 1/3AlCl3 或いはA
lCl3 を含むβ型三塩化チタンを錯化剤処理し、粉砕
して得られるδ型三塩化チタン組成物とアルキルアルミ
ニウムクロライドとから得られる不活性溶媒分散液にプ
ロピレンを緩徐に吸収させるプロピレン重合用触媒の活
性化法が提案されている(特開昭51−108693号
公報参照)。しかしこの方法ではプロピレンの供給速度
を大きくとることができず、従ってプロピレン吸収処理
に極めて長い時間を必要とする。又、結晶性重合体の収
率も十分高いものとは言えない。
【0005】上記の問題点を解決するためにいくつかの
提案がなされている。例えば、特公昭56−22816
号及び特公昭56−22817号は水素の不存在下でプ
ロピレンで前処理する方法であり、特開昭53−103
98号は電子供与性物質の共存下でプロピレンで前処理
する方法である。いずれも高い触媒効率で高い結晶性重
合体収率が得られ、しかもその処理は比較的高い温度で
も可能であるという工業的な利点を有する。また、これ
らの方法で得られた製品の成形物には、フィッシュアイ
が極めて少ないという利点を有する。
【0006】しかしながら近年、プロセスの経済性の観
点から更に一層の原料プロピレンの歩留り向上への期待
が増大して来ており、例えば結晶性重合体収率が99%
であっても、それで十分とは言えないのである。又、品
質の面からも一部の製品用途分野では更に高い剛性や耐
熱性を要求するようになって来ている。その例として、
超薄肉成形分野と、食品容器分野である。前者は高い剛
性をもって薄肉化が可能であり、後者も食品色素の沈着
防止の観点からこれ迄以上に高い剛性が要求されるので
ある。
【0007】また、ポリプロピレンは、無機フィラーと
の複合化等により自動車、家庭電化製品等の工業部品の
分野でも広く用いられており、これらの分野では剛性や
衝撃強度、耐熱性、外観等が要求される。特にガラス、
マイカ、タルク等の無機フィラー類の添加は剛性改良の
為に用いられるものであるが、これらを添加する事によ
り材料の剛性は向上するものの重量は増加する。しか
し、近年上記の工業部品の分野では軽量化の要求も強
く、できるだけ少量のフィラー添加により、より高い剛
性が達成される事が望まれている。この意味からもより
剛性の高いポリプロピレン樹脂が必要となっている。
【0008】
【問題点を解決する為の手段】本発明者らは、上記要求
に答えるべく、鋭意研究を重ねた結果特定の固体三塩化
チタン系触媒錯体に対し、芳香族カルボン酸エステルの
存在下で特定の処理を行なうことによって得られるプロ
ピレン重合体含有固体三塩化チタンと有機アルミニウム
化合物を含んでなる触媒系を用いてプロピレンを重合す
ることによって高い触媒効率と極めて高い結晶性、そし
て従来にない高い剛性、耐熱性を有するポリプロピレン
が得られることを見出し本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明の要旨は、アルミニウム
含有量がチタンに対するアルミニウムの原子比で0.1
5以下であり、かつ錯化剤を含有する固体三塩化チタン
系触媒錯体を有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボ
ン酸エステルの存在下プロピレンと接触処理して該錯体
上に固体三塩化チタン1g当り0.1〜500gのプロ
ピレン重合体を生成させることによって得られるプロピ
レン重合体含有固体三塩化チタンと有機アルミニウム化
合物とを含んでなる触媒系を用いて、プロピレン単独ま
たは少量の他のα−オレフィンを含有するプロピレンを
重合することを特徴とするプロピレン重合体の製造方法
に存する。
【0010】以下本発明を詳細に説明する。本発明に使
用される固体三塩化チタン系触媒錯体とは、アルミニウ
ム含有量がチタンに対するアルミニウムの原子比で0.
15以下、好ましくは0.1以下、さらに好ましくは
0.02以下であり、かつ錯化剤を含有するものであ
る。そして錯化剤の含有量は、固体三塩化チタン系触媒
錯体中の三塩化チタンに対する錯化剤のモル比で0.0
01以上、好ましくは0.01以上である。具体的に
は、三塩化チタン、三塩化チタンのチタンに対するアル
ミニウムの原子比で0.15以下の式AlR' p 3-p
(式中、R' は炭素数1〜20の炭化水素基、Xはハロ
ゲン原子、pは0≦p≦2の数を示す)で表わされるハ
ロゲン化アルミニウム及び三塩化チタンに対しモル比で
0.001以上の錯化剤を含むもの、例えば式TiCl
3 ・(AlR' p 3-p s ・(C)t (式中、R' は
炭素数1〜20の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子
であり、pは0≦p≦2の数であり、Cは錯化剤であ
り、sは0.15以下の数であり、tは0.001以上
の数である)で表わされるものが挙げられるが、もちろ
ん、TiCl3 成分、AlR' p 3-p 成分及び錯化剤
C成分のほかに、少量のヨウ素、三塩化チタンの塩素の
一部または全部がヨウ素もしくは臭素で置換されたも
の、あるいはMgCl2 、MgO等の担体用無機固体、
ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン重合体粉
末等を含むものであってもよい。錯化剤Cとしては、エ
ーテル、チオエーテル、ケトン、カルボン酸エステル、
アミン、カルボン酸アミド、ポリシロキサン等が挙げら
れるが、このうちエーテル又はチオエーテルがとくに好
ましい。エーテル又はチオエーテルとしては、一般式
R''−O−R''' 又はR' −S−R'''(式中、R'',
R''' は炭素数15以下の炭化水素基を示す。)で表わ
されるものが挙げられる。AlR' p 3-p としては、
AlCl3 、AlR' Cl2 等が挙げられる。
【0011】また、上記固体三塩化チタン系触媒錯体
は、そのX線回折図形がα型三塩化チタンの最強ピーク
位置に相当する位置(2θ=32.9°付近)に最大強
度のハローを有するものがとくに好ましい。更に固体三
塩化チタン系触媒錯体の製造時において150℃を超え
る温度の熱履歴を受けていないものが好ましい。さらに
水銀ボロシメーター法で測定した細孔半径20Å〜50
0Åの間の累積細孔容積が0.02cm3 /g以上とく
に0.03cm3 /g〜0.15cm3 /gであるよう
な極めて微細な孔径の細孔容積に特徴があるものが、非
晶性重合体を除去する必要がない点で、とくに好まし
い。
【0012】しかしてこのような固体三塩化チタン系触
媒錯体は、 (イ)エーテル又はチオエーテルの存在下に液状化した
三塩化チタンを含有する液状物から150℃以下の温度
で析出させる (ロ)四塩化チタンを有機アルミニウム化合物又は金属
アルミニウムで還元して得られた固体三塩化チタンを、
錯化剤処理及びハロゲン化合物処理するなどの方法によ
り容易に製造することができる。
【0013】(イ)の方法において液状化した三塩化チ
タンを含有する液状物を得る方法としては次の2つの手
法が挙げられる。 (A)四塩化チタンを出発原料として、これをエーテル
又はチオエーテル及び必要に応じて適当な炭化水素溶媒
の存在下に有機アルミニウム化合物で還元する方法。 (B)固体の三塩化チタンを出発原料として、これを必
要に応じて適当な炭化水素溶媒の存在下、エーテル又は
チオエーテルで処理する方法。
【0014】微粒状固体三塩化チタン系触媒錯体を析出
させる方法には特に制限はなく、液状物をそのままある
いは必要に応じて炭化水素希釈剤を加えてのち、150
℃以下の温度、好ましくは40〜120℃、とくに好ま
しくは60〜100℃に昇温して、析出させる。なお、
三塩化チタン液状物中のチタンとアルミニウムとの合計
モル数がエーテル又はチオエーテルのモル数より少ない
場合には、遊離化剤を添加して析出を促進してもよい。
遊離化剤としては、四塩化チタン、アルミニウムハロゲ
ン化物、例えば三ハロゲン化アルミニウム、アルキルア
ルミニウムジハライド等が好ましい。遊離化剤の使用量
は、液状物中のチタンの5モル倍以下が好ましい。
【0015】(ロ)の方法における錯化剤としては、さ
きに錯化剤Cとして例示したものが、同様に挙げられ
る。ハロゲン化合物としては、四塩化チタン又は四塩化
炭素が挙げられる。錯化剤処理とハロゲン化合物処理
は、同時に行なってもよいが、先ず錯化剤処理を行な
い、次いでハロゲン化合物処理を行なってもよい。錯化
剤処理は、通常、希釈剤中、固体三塩化チタンに、Ti
Cl3 に対し0.2〜3モル倍の錯化剤を添加し、−2
0〜80℃の温度で行なう。錯化剤処理後、得られた固
体を分離洗浄することが好ましい。ハロゲン化合物処理
は、通常、希釈剤中、−10〜50℃の温度で行なう。
ハロゲン化合物の使用量は、TiCl3 に対し通常、
0.1〜10モル倍、好ましくは1〜5モル倍である。
ハロゲン化合物処理後、得られた固体を分離洗浄するこ
とが好ましい。
【0016】これらの三塩化チタンの製造方法の具体例
としては特公昭55−8452号、同55−8451、
同55−8452、同55−8003、同54−410
40、同55−8931、特開昭58−36928号、
同59−12905、同59−13630等が挙げられ
る。本発明では、以上のようにして得られる固体三塩化
チタン系触媒錯体を不活性溶媒中で有機アルミニウム化
合物と芳香族カルボン酸エステルと混合し、プロピレン
と接触処理される。この際使用される共触媒である有機
アルミニウム化合物としては、一般式
【0017】
【数1】 AlR4 m 3-m ・・・・・ (2) (式中、R4 は炭素原子数1〜20の飽和または不飽和
の炭化水素基、Xはハロゲン原子、mは1.5≦m<3
である。)で表わされる有機アルミニウム化合物が挙げ
られる。その具体例としては、ジメチルアルミニウムク
ロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチル
アルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキク
ロライド等のアルキルアルミニウムハライド類であり、
これらの混合物も用いられる。これらのうち好ましいの
はジアルキルアルミニウムハライド、特に好ましいのは
ジエチルアルミニウムクロライドである。
【0018】本発明で使用される芳香族カルボン酸エス
テルとしては、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息
香酸プロピル、安息香酸ブチル等の安息香酸アルキル、
トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸プロ
ピル、トルイル酸ブチル等のトルイル酸アルキル、エチ
ル安息香酸メチル、エチル安息香酸エチル等のエチル安
息香酸アルキル、キシレンカルボン酸エチル等のキシレ
ンカルボン酸アルキル、アニス酸エチル等のアニス酸ア
ルキル、エトキシ安息香酸メチル、エトキシ安息香酸エ
チル等のアルコキシ置換安息香酸、フタル酸ジメチル、
フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオク
チル等のフタル酸ジアルキル、ナフトエ酸メチル、ナフ
トエ酸エチル、ナフトエ酸プロピル、ナフトエ酸ブチル
等のナフトエ酸アルキル、アントラセンカルボン酸メチ
ル、アントラセンカルボン酸エチル等のアントラセンカ
ルボン酸アルキルを挙げることができる。特に好ましく
は、安息香酸エチル、トルイル酸メチル、フタル酸ジブ
チルである。
【0019】本発明は、上記特定の芳香族カルボン酸エ
ステルを用いることによって、驚くべき程高い剛性、耐
熱性が達成できる点にその特徴がある。これら固体三塩
化チタン系触媒錯体、有機アルミニウム化合物、前記芳
香族カルボン酸エステルの混合に用いる不活性溶媒とし
ては前記固体三塩化チタンの調製に用いたものと同一で
もよく異なった溶媒でもよい。通常のオレフィン重合に
用いる脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水
素等の不活性炭化水素溶媒が用いられる。ノルマルヘキ
サン、ノルマルヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、
トルエンが好適に用いられる。
【0020】上記不活性溶媒中に分散する固体三塩化チ
タン系触媒錯体の量は臨界的ではないが、ある濃度範囲
にすることが好ましい。通常、不活性溶媒1リットル中
に三塩化チタンとして1〜100g、好ましくは5〜5
0gの範囲内にあるのが好ましく、これが低すぎるとこ
の処理に要する反応器の容積が過大になり工業的に不利
である。高すぎると混合不良による不均一反応をまね
き、本発明の効果が十分発揮されなくなるが、通常撹拌
混合が十分に行なわれる範囲内でできるだけ高い濃度が
選ばれる。
【0021】有機アルミニウム化合物の使用量は固体三
塩化チタンに対し、通常0.1〜10モル比、好ましく
は0.2〜2モル比である。前記芳香族カルボン酸エス
テルの使用量は本発明の効果を発揮させる上で極めて重
要である。固体三塩化チタンに対し通常0.01〜1モ
ル比、好ましくは0.02〜0.5モル比である。多す
ぎると得られたプロピレン含有固体三塩化チタンの触媒
成分としてのプロピレン重合活性が低下し、少なすぎる
と本発明の効果が十分に発揮されない。
【0022】固体三塩化チタン系触媒錯体、有機アルミ
ニウム化合物及び前記芳香族カルボン酸エステル、不活
性溶媒にプロピレンを吹き込む際の温度は通常後続する
主重合の温度よりも低い温度であれば特に制限はないが
−10〜70℃、好ましくは5〜60℃、一層好ましく
は25〜50℃である。この処理温度が高すぎると、得
られるプロピレン重合体含有固体三塩化チタンを含む触
媒でプロピレンを重合する際、即ち主重合で得られる結
晶性重合体収率の改善が不十分になる。また処理温度が
低すぎると処理槽の冷却水との温度差が小さくなり、除
熱の面からみて工業的に不利になる。
【0023】本発明では上記の固体三塩化チタン系触媒
錯体、不活性溶媒、有機アルミニウム化合物、及び前記
芳香族カルボン酸エステルからなる混合物を容れた反応
器の液相部又は気相部にプロピレンを導入するが、この
導入速度は固体三塩化チタン1kg当り通常毎時0.1
〜10kg、好ましくは0.2〜5kgである。この導
入速度が大きすぎると反応温度の制御が困難になり、小
さすぎると処理時間が長くなり、工業的にみて好ましく
ない。
【0024】上記の固体三塩化チタンとプロピレンとの
接触処理により、プロピレン重合体が生成するが、この
接触処理により、固体三塩化チタン1g当り0.1〜5
00g、好ましくは0.1〜100g、より好ましくは
0.2〜10gのプロピレン重合体を生成させる。プロ
ピレン重合体が少なすぎると本発明の効果が発揮でき
ず、多すぎると反応器容積が過大になって工業的に不利
になる。
【0025】本発明において、上記のプロピレン接触処
理では水素は必ずしも存在させる必要はなく、水素を用
いないでも主重合による生成重合体からの成形品にフィ
ッシュアイが生ずることはない。但し、水素を加えるこ
とも本発明の範囲に含まれる。また本発明では前記導入
プロピレンにエチレン、ブテン−1、4−メチルペンテ
ン−1等の他のα−オレフィンを少量併用してもよい。
【0026】以上の処理によって生成したプロピレン重
合体含有固体三塩化チタンは未反応物、不活性溶媒等を
含むスラリーのまま主重合に用いることもできるが、通
常液相からデカンテーション、濾過、遠心分離等、通常
の分離手段によって分離され、更に溶媒を加えて数回洗
浄する。この溶媒としては上記のプロピレン接触処理に
おいて用いた不活性炭化水素溶媒を用いるのが有利であ
る。
【0027】以上のようにして本発明方法で用いられる
プロピレン重合体含有固体三塩化チタンが得られるが、
このものは新たに有機アルミニウム化合物を添加して触
媒としてプロピレンの重合(主重合)に供する。主重合
において加えられる共触媒である有機アルミニウム化合
物は前述の前処理工程において挙げたもの即ち前記一般
式(2)で表わした化合物が使用できるが、一般式
【0028】
【数2】AlR5 n Cl3-n (式中、R5 は炭素数1〜20の炭化水素基を表わし、
nは1.9〜2.1の数を示す。)で表わされる化合物
が好ましい。このうちR5 がエチル基で示され、nが2
の場合であるジエチルアルミニウムクロライドも十分使
用可能であるが、R5 がノルマルプロピル基又はノルマ
ルヘキシル基も好ましく使用できる。
【0029】有機アルミニウム化合物の使用量はプロピ
レン重合体含有三塩化チタンのチタン化合物に対して通
常0.1〜100モル倍量であり、好ましいのは2〜1
0モル倍量である。本発明のプロピレン重合方法におい
ては前述のプロピレン重合体含有固体三塩化チタン及び
有機アルミニウム化合物からなる触媒でもって十分高い
結晶性重合体収率が得られるが、重合体収率を上げるた
め又はその他プロピレン重合を改善するため触媒組成と
して電子供与性化合物や芳香族化合物等の既知の第三成
分を加え使用することもできる。
【0030】プロピレンの主重合においては上記プロピ
レン重合体含有固体三塩化チタンと有機アルミニウム化
合物(必要に応じ更に第三成分を加えてもよい)とを単
に混合して重合に用いるのであるが、その混合方法は任
意でよい。そして主重合における重合法は公知のスラリ
ー重合、気相重合等で行なうことができる。これら重合
法は連続式、回分式の何れでもよく、反応条件は1〜1
00気圧、好ましくは5〜40気圧の圧力下、50〜9
0℃、好ましくは60〜75℃の範囲で行なわれる。ス
ラリー重合では重合媒体として上述の三塩化チタンの前
処理工程で用いた不活性溶媒と同様の溶媒が用いられ、
具体的にはヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベン
ゼン、トルエン、ペンタン、ブタン、プロパン等の炭化
水素が挙げられ、またプロピレン自体を媒体とすること
もできる。また生成重合体の分子量調節法として重合反
応に水素、ジエチル亜鉛等の公知の分子量調節剤を適宜
添加することも可能である。
【0031】本発明の主重合において重合するのはプロ
ピレン単独でもよいが、プロピレンと他のα−オレフィ
ンを併用してもよい。他のα−オレフィンとは前記前処
理工程におけると同様、エチレン、ブテン−1、4−メ
チルペンテン−1等であり、その量は生成物がプロピレ
ン重合体としての特性を失わない程度の少量、例えばプ
ロピレンに対し10重量%以下である。
【0032】また、重合を2段階以上に分けて、先ず1
段目で上記方法によりプロピレン単独重合体もしくは少
量の他のα−オレフィンとの共重合体を重合し、次いで
この1段目で生成したプロピレン重合体の存在下、2段
目でプロピレンと他のα−オレフィンとを共重合させる
所謂プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造にも
好適である。
【0033】プロピレン−エチレンブロック共重合体の
製造は通常行なわれる方法が適宜用いられるが、一般的
には、第1段階で、全重合体生成量の60〜95重量%
となる様に重合温度、重合時間等が選ばれる。重合温度
は通常40〜100℃、好ましくは50〜80℃の範囲
から選ばれる。また、メルトフローインデックス(23
0℃、荷重2.16kgの時の押出量 g/10分、A
STM D1238−70による。以下MFIと略称す
る。)が1〜150になる様に重合温度、分子量調節剤
の量が選ばれる。分子量調節剤としては水素、ジアルキ
ル亜鉛等が挙げられるが、好ましくは水素である。次に
第2段階では第1段階で生成したプロピレン単独重合体
及びプロピレンとエチレンとの混合物の存在下、プロピ
レン−エチレン共重合を行なう。
【0034】重合は公知のスラリー重合、液化プロピレ
ン中で行なうバルク重合、気相重合及びこれらの組み合
せで行なうことができ、これらの重合法は、連続式また
は回分式で行なわれる。以上述べた様なプロピレン重合
体含有固体三塩化チタンを触媒成分とし、本発明方法に
従ってプロピレンを重合することにより、極めて高い結
晶性重合体が得られ、従来になく高い剛性、耐熱性を有
する重合体が得られる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例によって、更に詳細に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の略
号の意味及び各種物性値の測定方法は次の通りである。
【0036】触媒効率 ; 三塩化チタン1g当りの重
合体生成量g アイソタクチック・インデックス(IIXLN ,重量
%);約2gの試料粉を精秤し、400mlのキシレン
に完全に溶解(140〜145℃)した後、25℃に3
時間保持、放冷した。その後、析出物を濾別、乾燥し
て、全試料中の析出物の重量%を求めた。 メルトフローレート(MFR,g/10min);JI
S K6758に準拠し、K7210の方法により23
0℃、荷重2.16kgの時の重合体の押出量を示す。 結晶化熱(ΔHu ,J/g);PERKIN ELME
R社製 DSC−7を用い、試料10mgにより、32
3°Kより10℃/minに昇温し、473°Kに達し
た時点で5min間保持後、10℃/minで323°
Kまで降温、ここで5min間保持。再び10℃/mi
nで473°Kまで昇温し、この間の吸熱量(融解熱)
を結晶化熱とした。
【0037】また、物性評価は、重合体粉末にステアリ
ン酸カルシウム(淡南化学(株))0.1重量%、Ir
ganox1010(日本チバガイギー(株))0.1
重量%、BHT(吉富製薬(株))0.1重量%、AL
PTBBA(シェル化学)0.2重量%を加え、20m
mφの押出機にてペレット化し、下記の物性評価に供し
た。 曲げ剛性(FS),曲げ弾性率(FM);JIS K7
203に準拠し、寸法25×80×3.2mmのプレス
片を用い、支点間距離51mm、曲げ速度2.0mm/
min、23℃にて測定した。 熱変形温度(HDT,℃);JIS K7206に準拠
し、寸法25×80×3.2mmのプレス片により、曲
げ応力4.6kgf/cm2 、たわみ0.25mm、昇
温速度2℃/minの条件で測定した。
【0038】実施例1〜2 (a)固体三塩化チタンの調製 室温において、十分に窒素置換した容量10リットルの
オートクレーブに精製トルエン5.15リットルを入
れ、撹拌下、n−ブチルエーテル651g(5.0モ
ル)、四塩化チタン949g(5.0モル)及びジエチ
ルアルミニウムクロライド286g(2.4モル)を添
加し、褐色の均一溶液を得た。次いで40℃に昇温す
る。30分を経過した時点から紫色の微粒状の固体の析
出が認められるがそのまま2時間40℃を保持する。次
いで450gのTiCl4 を更に添加し96℃に昇温し
た。96℃で約1時間保持した後、粒状紫色固体を分離
しn−ヘキサンで洗浄して約800gの固体三塩化チタ
ンを得た。
【0039】 (b)プロピレン重合体含有三塩化チタンの製造 (前処理) 十分に窒素置換した10リットルオートクレーブに精製
n−ヘキサンを5リットル入れ、ジエチルアルミニウム
クロライド195g及び上記(a)で得た固体三塩化チ
タンをTiCl3 として250g(1.62モル)及び
トルイル酸メチル73g(0.48モル)を仕込んだ。
温度を40℃に保ちプロピレンガス250gを約1時間
液相に吹き込んで接触処理した。次いで固体成分を静置
沈降させ、上澄液をデカンテーションで除去し、n−ヘ
キサンで数回洗浄し、プロピレン重合体含有固体三塩化
チタンを得た。前重合量は三塩化チタン1g当りポリプ
ロピレン1gであった。
【0040】(c)プロピレンの重合 十分に乾燥し窒素置換した2リットルオートクレーブに
液化プロピレン1500ml、ジエチルアルミニウムク
ロライド125mg及び上記(b)で得たプロピレン重
合体含有固体三塩化チタンをTiCl3 換算で20mg
(0.13mmol),H2 を1.4kg/cm2 仕込
んだ。実施例1では第三成分を用いず、実施例2では第
三成分としてトルイル酸メチル5.83mgを用い70
℃で3時間重合した。重合後未反応モノマーガスをパー
ジし、内容物を取り出し乾燥して白色粉末状のプロピレ
ン重合体を得た。諸物性の測定結果を表1に示した。
【0041】比較例1 実施例1(b)においてトルイル酸メチルを添加しなか
ったことを除き、実施例2と同様に行ない、表1に示す
結果を得た。実施例1と比較例1を比較すると、実施例
1では、IIXLN の差はさ程大きくないものの、剛性や
熱変形温度が著しく向上していることが判る。
【0042】比較例2 実施例1においてトルイル酸メチルに代えて、メタクリ
ル酸メチルを添加して、前処理を行なったこと以外は実
施例1と全く同様にして表1の結果を得た。実施例1と
比較例2の比較からメタクリル酸メチルによってもII
XLN の向上効果は認められるものの、剛性や熱変形温度
の向上効果は小さく、本発明の芳香族カルボン酸エステ
ルによる驚く程の剛性、耐熱性の向上効果が明らかであ
る。
【0043】実施例3 実施例1(b)の処理の際にトルイル酸メチルの量を3
6.5g(0.24モル)に減じたことを除き実施例2
と同様にしてプロピレン重合体含有固体三塩化チタンを
得た。物性値を表1に示した。
【0044】実施例4 実施例1(b)において、トルイル酸メチルに代えて安
息香酸エチル73gを用いた他は、実施例2と同様にプ
ロピレンの重合を行なった。結果を表1に示す。
【0045】実施例5 実施例1(a),(b)と同様にして、固体三塩化チタン
及びプロピレン重合体含有三塩化チタンを調製し、下記
の通りプロピレン−エチレンブロック共重合体を製造し
た。結果を表1に示す。
【0046】c′)プロピレンブロック共重合体の製造 乾燥窒素で置換した容量2リットルの誘導撹拌式オート
クレーブに共触媒としてジエチルアルミニウムモノクロ
ライド5mmol、第三成分として、トルイル酸メチル
0.3mmol、水素ガスを1.4kg/cm2 、液化
プロピレンを700g仕込んだ。オートクレーブを昇温
し、70℃になった時点で、上記B)で得られたプロピ
レン重合体含有固体三塩化チタンを、TiCl3 として
25mgを窒素で圧入し、重合反応を開始した。
【0047】3時間後未反応のプロピレンを速やかにパ
ージし、精製窒素雰囲気下重合体粉末を、50gサンプ
リングした。引き続き、この反応器に水素ガス1.8k
g/cm2 吹込み、60℃になったところで、プロピレ
ン−エチレン混合ガスを供給し、気相のガス組成をプロ
ピレン/(プロピレン+エチレン)=65モル%、圧力
を15kg/cm2 Gに保ちながら60℃で90分間気
相重合反応を続けた。反応終了後、未反応モノマーガス
をパージし、348gの粉末状ポリプロピレンブロック
共重合体を得た。
【0048】比較例3 比較例1で得られたプロピレン重合体含有三塩化チタン
を用いた他は、実施例5と同様にして、プロピレン−エ
チレンブロック共重合体を製造した。結果を表1に示
す。実施例5、比較例3より、プロピレン−エチレンブ
ロック共重合体についても、本発明により、剛性の著し
い向上効果が認められる。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、プロピレン重合に際し
高い立体規則性を保持しつつ、驚異的な剛性の向上が可
能となり、工業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一態様をなすフローチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−104907(JP,A) 米国特許4431569(US,A) 欧州特許出願公開415588(EP,A 1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 4/651 C08F 4/655 C08F 10/06 C08F 110/06 C08F 210/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム含有量がチタンに対するア
    ルミニウムの原子比で0.15以下であり、かつ錯化剤
    を含有する固体三塩化チタン系触媒錯体を、有機アルミ
    ニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルの存在下プ
    ロピレンと接触処理して該錯体上に固体三塩化チタン1
    g当り0.1〜500gのプロピレン重合体を生成させ
    ることによって得られるプロピレン重合体含有固体三塩
    化チタンと有機アルミニウム化合物とを含む触媒を用い
    て、プロピレン単独または少量の他のα−オレフィンを
    含有するプロピレンを重合することを特徴とするプロピ
    レン重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 固体三塩化チタン系触媒錯体が、エーテ
    ルの存在下に液状化した三塩化チタンを含有する液状物
    から150℃以下の温度で析出させたものである請求項
    1記載のプロピレン重合体の製造方法。
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