JP3216029B2 - 循環器機能計測装置 - Google Patents

循環器機能計測装置

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JP3216029B2 JP10098694A JP10098694A JP3216029B2 JP 3216029 B2 JP3216029 B2 JP 3216029B2 JP 10098694 A JP10098694 A JP 10098694A JP 10098694 A JP10098694 A JP 10098694A JP 3216029 B2 JP3216029 B2 JP 3216029B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、動脈の力学特性を無
侵襲、非観血に計測し得る循環器機能計測装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】動脈硬化症は、循環器系疾患の中で最も
一般的で種々疾患の主要因となり得る、重要な病態の1
つである。したがって、臨床的に診断することの意義が
極めて高いと言えるが、充分な診断法が確立されていな
いのが現状である。動脈硬化が進行すると、動脈壁の器
質的変性や肥厚などにより、内圧(血圧)に対する動脈
管の伸展性(つまり、内圧の増減に対する動脈内腔の容
積または内腔断面積の変化率)が低下することが知られ
ている。これは、主にヒト剖検例あるいは動物での実験
において、摘出した動脈管の内圧を徐々に上昇・降下さ
せる過程でその内容積を計測することにより明らかにさ
れている。図1に示すのは、その1例で、イヌ大腿動脈
の圧−容積特性についての結果であるが、陰圧から正圧
にかけて広い範囲での圧−容積特性が得られており、動
脈管の圧閉から座屈、伸展する挙動が明確に表されてい
る。この特性曲線の形状は、動脈硬化進行によって特徴
的に変化することが知られており、これを臨床の場で得
ることができれば、極めて重要な診断材料となり得る。
【0003】ところが、生体においてこの力学的特性を
直接的に計測することは、動脈の内圧は血圧によって規
定されているから、それを任意に変化させることは実際
上不可能であるし、大動脈にしろ四肢の動脈にしろ、組
織中に存在する動脈の断面積(または容積)を直接的に
計測することもまた困難なため、極めて困難である。そ
こで、従来、動脈内容積計測をある間接的手法に代替し
て、この動脈力学的特性を計測しようとする試みはいく
つか見られる。超音波断層画像や血管造影を用いた方法
などがその例として挙げ得る。
【0004】また、他に、動脈硬化が進行した場合に、
特徴的に現れる種々の疾候を捉え、それをもとに、硬化
度を推定する方法として、脈波伝搬速度法、加速度脈波
法、コロトコフ音スペクトル法などが考案され、施行さ
れている。これらの方法は、いずれも動脈管の力学特性
が変化した場合の代弁的な信号の特徴量が特徴的に変化
することを検知するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来方法のう
ち、超音波断層画像や、血管造影を用いる方法は、動脈
の内圧が血圧であるから、図1に示すような広範囲にお
ける特性曲線を得ることはできず、図1に示す特性曲線
の一部、即ち血圧が変化する領域(収縮期圧と拡張期圧
の間)において計測し得るに留まるものであった。しか
も、それらの多くは血圧を無侵襲・非観血に測定できな
い大動脈を測定対象としているため直接法を用いる必要
があり、煩雑さ、安全性などとともに、被検者の苦痛も
無視できないなどの問題が残され、必要であるにも関わ
らず施行されない場合が多いという問題があった。
【0006】また、脈波伝搬速度法、加速度脈波法等
は、侵襲度は低いが、これらの方法は直接的に動脈特性
を計測するのではないため、詳細な特性を得ることは不
可能である上、実際の力学特性との不一致が充分説明さ
れないことから、正確な結果を得れらないという問題が
あった。この発明は、上記問題点に着目してなされたも
のであって、四肢などの生体部位において外圧を印加す
ることにより、その生体部位の動脈内圧を相対的に変化
さす過程で動脈容積の微小変化を捕捉し、その挙動をも
とに、圧閉から伸展にかけての広い圧範囲においての動
脈の力学特性を、無侵襲、非観血に計測し得る循環器機
能計測装置を提供することを目的としている。また、さ
らに血圧測定とともに動脈硬化も併せて測定し得る電子
血圧計を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】この出願の特許
請求の範囲請求項1記載の循環器機能計測装置は、生体
の所定部位に装着し動脈を圧迫するためのカフと、カフ
内の圧力を加圧・減圧するための圧力制御手段と、カフ
内の圧力を検出するカフ圧検出手段と、前記圧力制御手
段によるステップ状または徐々に減圧または加圧する過
程で動脈内容積変化に由来する心拍に同期した脈動成分
を検知・抽出する脈波抽出手段と、前記脈波の1拍ごと
の振幅を算出する脈波振幅算出手段と、前記脈波出現時
におけるカフ内圧力を検出する脈波出現時の脈波対応カ
フ内圧力検出手段と、前記脈波振幅算出手段および前記
脈波対応カフ内圧力検出手段の出力に基づいて、動脈の
圧内容積特性を推定する圧−内容積特性推定手段とを特
徴的に備えている。
【0008】また、請求項記載の電子血圧計は、生体
の所定部位に装着し動脈を圧迫するためのカフと、カフ
内の圧力を加圧・減圧するための圧力制御手段と、カフ
内の圧力を検出するカフ圧検出手段と、前記圧力制御手
段によるステップ状または徐々に減圧または加圧する過
程で動脈内容積変化に由来する心拍に同期した脈動成分
を検知・抽出する脈波抽出手段と、前記脈波の振幅を算
出する脈波振幅算出手段と、前記脈波出現時におけるカ
フ内圧力を検出する脈波出現時の脈波対応カフ内圧力検
出手段と、前記算出した脈波振幅と前記カフ圧から最高
血圧及び最低血圧を決定する血圧決定手段と、前記脈波
振幅およびカフ内圧より動脈の圧−内容積特性を算出す
る圧−内容積特性算出手段と、この圧−内容積特性から
動脈硬化の程度を判定する動脈硬化判定手段と、判定結
果を表示する表示手段とを特徴的に備えている。
【0009】この循環器機能計測装置は、以下で説明す
る計測原理を採用して構成されている。 (脈波振幅と動脈圧−断面積特性曲線との関係) カフによる圧迫下で測定部位の動脈容積変化を検出する
手法として、生体インピーダンス法、光電脈波法などが
ある。いずれも心拍に同期した振動(脈波という)とし
て得られるが、これは動脈管がある内外圧差の下にある
場合、内圧、即ち血圧が収縮・拡張期圧の間で振動して
いるため、一種の弾性管である動脈がその血圧変動に応
じて伸展・収縮を繰り返して容積変化を生じ、それがイ
ンピーダンスやカフ圧、反射光量などの振動となって検
出されるものである。
【0010】ところで、収縮期圧以上から拡張期圧以下
までの圧力範囲でカフ圧を変化させ、前述のような脈波
振幅を観察すると、カフ圧が平均血圧とほぼ等しくなる
付近で最大値を持つ特徴的な曲線が見られる(図2)。
これは、図3に示すように、動脈管に加わる内外圧差、
その時点で発生する容積振動、および両者の間に存在す
る動脈管の圧−内容積特性(以下、PV特性という)と
の関係を以下のように説明することにより明確になる。
【0011】今、カフなどによって動脈に外圧を加える
場合を考える。内圧は収縮・拡張期圧間で振動している
から、動脈管上の内外圧差を「内圧−外圧」と定義する
と、その波形は同図下部に示すような形となる。カフ圧
を変化させることにより、その波形は図中左右に平行移
動する(例:波形A、B、C)。PV特性は内外圧差=
0付近で最も傾斜の急な特徴的形状を持つが、これは内
外圧差変化に対する容積変化が最も大きい(コンプライ
アンスが大きいという)ことを示す(内外圧差変形波形
B、容積変化波形B’)。これは、材料力学的には「座
屈」と呼ばれる現象である。これより低い圧領域(内外
圧差変化波形A、容積変化波形A’)では、動脈管は次
第に圧閉(完全につぶれた状態)されるため容積変化は
生じなくなるし、内外圧差の充分高い領域(内外圧差変
化波形C、容積変化波形C’)では脈波壁がしだいに伸
び切った状態に近づいて行くため、やはり容積変化は小
さくなって行く。
【0012】このように、上記のようなPV特性を持つ
動脈が、周期的に振動する内圧と、徐々に加圧(または
減圧)する外圧とを与えられた場合、図2に示すような
脈波振幅の変化が現れることになる。 (圧−断面積特性の算出法)このような圧力に応じた脈
波振幅の挙動は、オシロメトリック法(振動法)と呼ば
れる血圧測定手法に利用されるように簡単に得ることが
できる。これは血圧とともに、測定された動脈管のPV
特性を反映したものに他ならない。本発明は、圧力に対
応したこの脈波振幅変化(以下、脈波包絡線という)か
ら逆にPV特性を算出するものである。
【0013】いま、あるカフ圧下において振幅Amの脈
波が得られるとすると(図4)、この現象は次のように
説明し得る。血圧変動を伴う内外圧差Ptが拡張期圧点
での値Ptdから収縮期圧での値Ptsに移動し、それ
に対応してPV特性曲線の点CdからCsの間が存在し
て容積レベル(即ち、脈波レベル)がAdからAsへ変
化する。これは言い換えれば、ある拡張期圧レベルPt
dでのPV曲線上の値と、脈圧(収縮期圧と拡張期圧の
差、PP)分だけ正側へ移動した値との差(図中Am)
が脈波振幅として現れたことになる。したがって、点C
sの容積レベルAsは、 As=Ad+Am (1) と表される。
【0014】次に、Ptdから距離ΔPだけ低圧側にあ
る別の拡張期圧点Ptd1 (=Ptd−ΔP)で脈波が
現れたとする。この場合も前述と同じように、内外圧差
Ptd1 から収縮期圧点Pts1 まで変化し、脈波が観
測されるが、この振幅をAm 1 とする。ここで、点Cd
−Cs間のPV曲線が内外圧差Ptの関数F(Pt)で
表し得ると仮定すると、Pts1 でのPV曲線上の値A
1 は、F(Pts−ΔP)で求まる。観測された脈波
振幅がAm1 であるから、拡張期圧点Ptd1でのPV
曲線の値Ad1 は、As1 から振幅Am1 を引いた値、 Ad1 =F(Pts−ΔP)−Am1 (2) となる。ΔPを順次増加させてこの操作を繰り返すと、
内外圧差の収縮期圧点が最初の拡張期圧点Ptdを下回
るまでは近似関数F(Pt)を用いながらPV曲線を得
ることができ、下回った後も、それまでのこの操作によ
って得たPV曲線を用いながらさらに新たな領域でのP
V曲線を順次得ることができる。
【0015】ここで未知であるのは、点Cd−Cs間の
PV曲線を近似する関数F(Pt)である。図1からも
分かるように、充分な高圧領域ではPV曲線形状は直線
に近づく性質を持つ。したがって、関数F(Pt)を直
線と仮定して上記の計算を行うことも可能である。しか
し、より正確な結果を得るために、次のような手法が取
り得る。
【0016】前述のように、観測される脈波振幅は脈圧
分PPだけ離れたPV曲線上の値の差である。これを数
式で表すと次のようになる。まず、式(1)より、 Am=As−Ad (3) ここで、AsはAdから脈圧PPだけ離れた時の脈波振
幅とし得るから、Ptの関数として表すと、 As(Pt)=Ad(Pt+PP) (4) となる。式(3)を(4)に代入して、 Am(Pt)=Ad(Pt+PP)−Ad(Pt) (5) Am(Pt)は各Pt値において実際に観測可能な脈波
振幅の変化であるが、PV曲線の近似関数をG(Pt)
とすると、Am(Pt)は関数G(Pt)の差分式で表
される。
【0017】 Am(Pt)≒G(Pt+PP)−G(Pt) (6) したがって、まずG(Pt)の基本式を決定し、式
(6)全体を脈波包絡線に近似すればG(Pt)がPV
曲線に近似し得る。ただし、この近似区間は処理を開始
しようとする任意の点PtdとPts(=Ptd+P
P)との間で、その区間に含まれる脈波振幅、およびそ
れに対応する内外圧差で決定される複数の点の列を、例
えば最小二乗法などによって算出する。
【0018】
【実施例】以下、実施例により、この発明をさらに詳細
に説明する。図5は、この発明の一実施例循環器機能計
測装置の構成を示すブロック図である。脈波を検出する
のに、種々の方法を選択し得るが、本実施例では最も構
成が簡単になるカフ内圧脈波を用いており、カフ1と、
このカフ1を加圧するための加圧ポンプ2と、カフ1を
減圧するための排気弁3と、カフ1の圧力を検出する圧
力センサ4と、検出された圧力を増幅する増幅器5と、
増幅器5の出力をディジタル値に変換するA/D変換器
6と、種々の制御を実行するCPU7を備えている。こ
の装置では、入力信号は従来のオシロメトリック式血圧
計と同様、徐々に加圧(または減圧)する過程において
捕捉される脈波と、それが出現した時点でのカフ圧だけ
であるため、構成はオシロメトリック式血圧計と全く変
わるところはない。
【0019】なお、インピーダンス脈波や光電脈波を用
いる場合の構成は、それぞれの脈波を検出するセンサ
部、およびその増幅回路を追加し、図5中のA/D変換
器6に信号を入力するようにしてもよい。次に、上記実
施例循環器機能計測装置の全体動作を図6に示すフロー
図により、説明する。
【0020】本実施例の動作は、大きく分けて血圧測定
動作と動脈力学特性算出とに分けられる。血圧測定が必
要なのは、力学特性算出時において収縮・拡張期圧、お
よびその差である脈圧を用いるためである。したがっ
て、それらの血圧値が別途得られるのであれば、本実施
例装置内に血圧測定機能を含める必要はない。なお、力
学特性算出、血圧測定動作が完了した後に集中して行
われる。また、本実施例において後述の血圧測定処理お
よび脈波捕捉処理はカフを徐々に減圧する過程で行われ
るようにしてあるが、これは徐々に加圧する過程に行う
ようにしても良い。
【0021】先ず、カフ1に対し、加圧ポンプ2によ
り、所定値まで加圧を行う(ST1)。この所定値は、
例えば収縮期圧より、50mmHg高い圧力までと決め
ておけば、PV特性が内外圧−50mmHgの点から求
める。加圧が終了すると、加圧ポンプ2が停止し、カフ
1の圧力が徐々に排気され(ST2)、減圧の過程で脈
波捕捉処理が繰り返される(ST3、ST4)。脈波捕
捉処理では1拍毎の脈波を認識し、その振値を算出す
るとともに、その時点のカフ圧値を検出して、脈波振幅
とともに、所定記憶領域に記憶する。この処理内容は血
圧計と同様なので、詳細説明は省略する。この処理を繰
り返し、やがてカフ圧が所定値まで降下したと判定され
たら(ST4)、以降の処理に移る(ST5〜ST
7)。
【0022】ST5で、排気弁3を大きく開き、カフ1
に残存する空気圧を解放して、圧力が完全に除去され
る。そしてST6で、微速排気中に捕捉した複数の脈波
振幅およびそれに対応するカフ圧値から血圧値(収縮期
圧および拡張期圧)を算出する。次に、ST7でその血
圧値および脈波振幅、対応カフ圧のデータ列を用いて動
脈力学特性(PV特性)の算出を行う。この処理の詳細
は後述する。
【0023】以下、微速排気中に捕捉した複数の脈波振
幅値およびそれに対応するカフ圧値をもとに動脈PV特
性を算出する処理を、図7、図8のフロー図、および図
9の特性図により説明する。ここで脈波振幅をAm
(n)、それに対応するカフ圧値をPc(n)とする。
nは脈拍の番号で、説明の便宜のため、最終に捕捉され
た(つまり、最小カフ圧の)ものをn=1とする。ま
た、血圧測定処理により得られた収縮・拡張期圧をそれ
ぞれPs、Pd、脈圧(Ps−Pd)をPPと表す。
【0024】処理が開始されると、全てのカフ圧データ
Pc(i)を、動脈の内外圧差Pt(i)に変換する
(ST11)。ここでは、内外圧差の基準を拡張期圧と
するため、変換式は次のようになる。 Pt(i)=Pc(i)−Pd (7) この変換を行うと、内外圧差Pt(i)と脈波振幅Am
(i)で表される包絡線は、正負が入れ替わって図9の
ようになる。
【0025】次にST12では、以降で算出を行うPV
曲線上の初期値を与えるため、最低内外圧差点Pt
(1)におけるPV曲線の値A(1)に初期値Aoを代
入する。次の処理ST13〜ST15では、最高内外圧
差Pt(1)に対し、これより脈圧PPだけ低い点にあ
る内外圧差値Pt(i)を検索する。次の処理ST16
では、Pt(i)に対応する点のPV曲線の値A(i)
を、その点での脈波振幅Am(i)と初期値Aoとの差
分値、 A(i)=Ao−Am(i) (8) と決定する。
【0026】次の処理ST17では、PV曲線の近似処
理をおこなう。本例ではPV特性が2次曲線、 G(Pt(x) )=α・Pt(x)2+β・Pt(x) +γ (9) で近似し得ると考える。つまり、式(6)は次のように
書ける。 Am(Pt(x))≒〔α・Pt(x)2+β・Pt(x) 〕 (10) −〔α(Pt(x)−PP)2 +β(Pt(x)−PP)〕 n=1からn=iまでの全ての点の内外圧差を代入して
得られる右辺〔仮に、Y’(Pt(x) とする〕と、実際
の脈波振幅値Am(Pt(x) )との差の平方和、つま
り、
【0027】
【数1】
【0028】が最小値となるようα、βの値を決定す
る。これは一般的な最小二乗法の手法であるので、ここ
では詳細な説明を割愛する。ただし、式(9)における
定数のうちγは決まらないので、PV曲線に与えた初期
値AoがPt(1)における値であることら、式
(9)にAo、Pt(1)を代入して、 Ao=α・Pt(1)2 +β・Pt(1)+γ ∴γ=Ao−α・Pt(1)2 +β・Pt(1) (12) と求まる。このようにして、式(9)に示すPV曲線の
近似式G(Pt(x) )が、脈波番号n=1〜iの区間に
ついて完全に決定される。
【0029】以降の処理ST18〜ST21は、Pt
(i)より低圧側のPV曲線の算出処理である。まず、
脈波のカウンタjをiにセットする(ST18)。変数
iは、本処理の起点となる脈波の番号、jは処理を行う
脈波の番号を与える。ST19では、さらにjを1イン
クリメントして、n=i以降の脈波について次の処理を
繰返す。まず、当該脈波におけるPt(i)からの内外
差圧の距離ΔP=(=Pt(j) −Pt(i) )を算出する
(ST20)。そして、その点でのPV曲線の値、A
(j)を、脈波振幅値Am(j)を用い次式にて求める
(ST21)。
【0030】 A(j)=G(Pt(j) +ΔP)−Am(j) (13) 以降、ST19〜ST21を繰り返し、ΔP>PPとな
った点で繰り返しループから抜け、以降の処理ST23
〜ST29に移る。ここでループを抜け出す理由は、Δ
P=PPとなる時点で式(13)中の近似関数G(Pt
(1) −ΔP)の項が定義されなくなるからである。した
がって、以降の処理ST23〜ST29では、定義され
なくなった関数Gの代わりに、ST19〜ST21で算
出されたPV曲線の値、A(x)を用いることになる。
つまり、式(13)に変わって、次式、 A(j)=A(Pt(j) +ΔP)−Am(j) (14) となる。ところが、A(x)は各脈波に対応して離散的
にしか値が与えられないから、その間の直線補間などに
よって得るようにする。補間値をA’とすると A(j)=A’−Am(j) (15) となる。
【0031】以下ST23〜ST29の処理について説
明する。まず、変数iにjを代入する。これは、この一
連の処理ST23〜ST29において、起点がその時点
でのjであり、起点脈波番号であるiの値をこれに更新
するためである。次にjを1インクリメントし(ST2
3)、j=i以降の脈波から以降の処理を行う。ST2
5〜ST28では、処理対象の脈波に対応する内外圧差
Pt(j)からちょうどPPだけ低い圧力点のPV曲線
の値を検出している。まずST25では、脈波番号kに
起点番号iより1手前のi−1にセットする。ST26
でkをデクリメントして、処理対象の内外圧差Pt
(j)とkで決まる値Pt(k)との距離が、PPを越
えたかどうかを判断し、もし越えていた場合には、ST
28にて直線補間を用いて補間値A’を次のように算出
する。この算出過程を図9に示す。
【0032】
【数2】
【0033】次の処理ST29では、上記のPV曲線の
補間値A’と、対象脈波の振幅Am(j)を用いて、そ
の点でのPV曲線値A(j)を算出する。ST23〜S
T29の処理は、処理対象の脈波番号jが、捕捉された
脈波の最高値Nと等しくなった時点で繰り返しから抜け
(ST30)、全ての処理を完了する。
【0034】図10は、この発明を適用する電子血圧計
のハード構成を示すブロック図である。図11は同電子
血圧計の外観斜視図である。この電子血圧計は、図5に
示した循環器機能計測装置と同様に、カフ1、加圧ポン
プ2、排気弁3、圧力センサ4、増幅器5、A/D変換
器6、及びCPU7を備える他に表示器8、キー入力部
9を備えている。表示器8は、最高血圧、最低血圧の他
に、動脈硬化の有無も表示し得る。キー入力部9は、電
源スイッチ9a、スタートスイッチ9bの他に、年令4
0才以下、40才〜65才、66才以上の別を入力し得
る年令キー9c、9d、9eを備えている。これら年令
キーは、年令をさらに細かく設定し得るもの、例えばテ
ンキーであってもよい。
【0035】次に、この電子血圧計の動作概要を図12
に示すフロー図により説明する。スタートキー9bを押
して加圧を開始してから、ST7のPV特性算出までの
処理は、図6のフロー図で示した循環器機能計測装置と
同じなので、説明は省略する。PV特性が算出される
と、動脈硬化かどうかの特性判定を行う(ST8)。こ
の判定は、例えばPV特性の傾きが基準値よりも小さい
か否かにより判定する。基準値より傾きが小さいと動脈
硬化が有と判定し、基準値以上の場合は動脈硬化なしと
判定し、その判定結果を表示器に表示する(ST9)。
通常動脈硬化の程度は、年令に応じて図13に示すもの
となるので、基準値は年令に応じて変えるようにしてお
り、年令に応じたきめの細かい動脈硬化有無の判定を行
うことができる。
【0036】
【発明の効果】この発明によれば、カフにより生体局部
の動脈を圧迫し、加圧し減圧する過程で、カフ圧を検出
し、脈波成分を抽出して脈波振幅を検出し、得られるカ
フ圧及び脈波振幅のデータ列より拡張期圧と収縮期圧を
求め、さらに任意の脈波と、その脈波に対応するカフ圧
値からおよそ脈圧分だけ離れた脈波対応カフ圧値を持つ
脈波を選択し、これらによって圧−内容積特性を算出す
るものであるから、血管の圧閉から伸展に至る広い範囲
において、動脈の力学特性を、無侵襲、非観血で、簡単
にしかも精度良く測定することができる。
【0037】また、この発明の電子血圧計によれば、圧
−内容積特性を算出し、この特性から動脈硬化の有無を
判定し、その結果を表示するものであるから、血圧測定
のみならず、一目で動脈硬化の程度を知ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】イヌの大腿動脈の圧−容積特性を示す図であ
る。
【図2】カフで動脈を圧迫し、所定値以上加圧した後、
徐々に減圧した場合の、カフ圧(外圧)と動脈内圧の関
係、及び脈波振幅変化の包絡線を示す図である。
【図3】カフで動脈を圧迫し、変化させた場合の脈波に
よる振動を重畳した動脈の内外圧差と動脈内容積の関係
を説明する図である。
【図4】実施例循環器機能計測装置での、動作を説明す
るための動脈内外圧差−動脈内容積特性を示す図であ
る。
【図5】同実施例循環器機能計測装置の構成を示すブロ
ック図である。
【図6】同実施例循環器機能計測装置の全体動作を説明
するためのフロー図である。
【図7】同実施例循環器機能計測装置における、図6の
フロー図のPV特性算出ルーチンの詳細を説明するため
のフロー図である。
【図8】図7とともに、図6のフロー図のPV特性の算
出ルーチンの詳細を説明するためのフロー図である。
【図9】図8のフロー図における、直線補間を説明する
図である。
【図10】この発明を適用する電子血圧計の構成を示す
ブロック図である。
【図11】同電子血圧計の外観斜視図である。
【図12】同電子血圧計の概略動作を説明するためのフ
ロー図である。
【図13】年令に応じた硬化度指数の正常/異常範囲を
説明する図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柳 晋作 京都市右京区山ノ内山ノ下町24番地 株 式会社オムロンライフサイエンス研究所 内 (72)発明者 宮脇 義徳 京都市右京区山ノ内山ノ下町24番地 株 式会社オムロンライフサイエンス研究所 内 (56)参考文献 特開 平4−250134(JP,A) 特表 昭61−502726(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61B 5/02 - 5/0295

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体の所定部位に装着し動脈を圧迫するた
    めのカフと、カフ内の圧力を加圧・減圧するための圧力
    制御手段と、カフ内の圧力を検出するカフ圧検出手段
    と、前記圧力制御手段によるステップ状または徐々に減
    圧または加圧する過程で動脈内容積変化に由来する心拍
    に同期した脈動成分を検知・抽出する脈波抽出手段と、
    前記脈波の1拍ごとの振幅を算出する脈波振幅算出手段
    と、前記脈波出現時におけるカフ内圧力を検出する脈波
    出現時の脈波対応カフ内圧力検出手段と、前記脈波振幅
    算出手段および前記脈波対応カフ内圧力検出手段の出力
    に基づいて、動脈の圧内容積特性を推定する圧−内容積
    特性推定手段とを備えたことを特徴とする循環器機能計
    測装置。
  2. 【請求項2】前記圧−内容積特性推定手段は、前記脈波
    の各々についての脈波振幅およびカフ内圧のデータ列の
    うち、任意の脈波と、その脈波に対応する脈波対応カフ
    圧値からおよそ収縮期圧と拡張期圧との差だけ離れた脈
    波対応カフ圧値を持つ脈波とを選択し、それら2つの脈
    波における脈波対応カフ圧の間の圧力領域において動脈
    の圧−内容積関係をある関数によって近似する第1の圧
    −内容積特性推定手段と、前記圧力領域以外のある点に
    おいて観測された脈波振幅が、収縮期圧と拡張期圧との
    だけ離れて前記圧力領域内の圧力点における前記第1
    の圧−内容積特性推定手段による近似された関数から得
    られる圧−内容積推定曲線の値からの変化分であるとし
    て当該圧力点における圧−内容積特性を算出する第2の
    圧−内容積特性推定手段とからなるものである請求項1
    記載の循環器機能計測装置。
  3. 【請求項3】前記第1の圧−内容積特性推定手段は、前
    記圧力領域内で圧−内容積関係を近似し得る圧力につい
    てのある関数と同じ関数の圧力値を収縮期圧と拡張期圧
    との差だけずらせたものとの差として与えられる新たな
    関数を、前記圧力領域内における脈波振幅変化に近似す
    ることにより得るものである請求項2記載の循環器機能
    計測装置。
  4. 【請求項4】前記任意の2脈波に対応する脈波対応カフ
    内圧の間の圧力関数から脈圧分以上離れた領域に対して
    は、観測された脈波振幅が、脈圧分だけ離れた圧力点に
    おける前記第2の圧−内容積特性推定手段によって算出
    された圧−内容積関係からの変化分であるとして当該圧
    力点における圧−内容積特性を算出する第3の圧−内容
    積特性推定処理手段を備える請求項2記載の循環器機能
    計測装置。
  5. 【請求項5】生体の所定部位に装着し動脈を圧迫するた
    めのカフと、カフ内の圧力を加圧・減圧するための圧力
    制御手段と、カフ内の圧力を検出するカフ圧検出手段
    と、前記圧力制御手段によるステップ状または徐々に減
    圧または加圧する過程で動脈内容積変化に由来する心拍
    に同期した脈動成分を検知・抽出する脈波抽出手段と、
    前記脈波の振幅を算出する脈波振幅算出手段と、前記脈
    波出現時におけるカフ内圧力を検出する脈波出現時の脈
    波対応カフ内圧力検出手段と、前記算出した脈波振幅と
    前記カフ圧とから最高血圧及び最低血圧を決定する血圧
    決定手段と、前記脈波振幅およびカフ内圧より動脈の圧
    −内容積特性を算出する圧−内容積特性算出手段と、こ
    の圧−内容積特性から動脈硬化の程度を判定する動脈硬
    化判定手段と、判定結果を表示する表示手段とを備えた
    ことを特徴とする電子血圧計。
  6. 【請求項6】被験者の年令を入力する年令入力手段を備
    え、年令に応じ、動脈硬化判定の基準を変更するように
    した請求項記載の電子血圧計。
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