JP3212725B2 - 液相成長法および液相成長装置 - Google Patents

液相成長法および液相成長装置

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JP3212725B2 JP34746792A JP34746792A JP3212725B2 JP 3212725 B2 JP3212725 B2 JP 3212725B2 JP 34746792 A JP34746792 A JP 34746792A JP 34746792 A JP34746792 A JP 34746792A JP 3212725 B2 JP3212725 B2 JP 3212725B2
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  • Liquid Deposition Of Substances Of Which Semiconductor Devices Are Composed (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液相成長法に関し、特に
連続成長が可能で量産性のある液相成長法に関する。
【0002】
【従来の技術】液相成長法は準平衡状態からの結晶成長
であるため化学量論組成に近い良質の結晶が得られ、G
aAs等の化合物半導体ですでに確立した技術としてL
ED(発光ダイオード)やレーザー・ダイオードなどが
生産されている。最近では厚膜を得る目的でSiの液相
成長も試みられ(例えば特開昭58−89874号公
報)、太陽電池への応用も検討されている。
【0003】従来の液相法は、一般に溶媒を冷却して過
飽和状態とし、過剰溶質を基板上に析出させている。そ
のため、ある程度温度が下がったところで一旦温度を元
に引き上げ、再度結晶成長を行うといったサイクルにな
るために量産性に問題があった。特に比較的厚膜を必要
とする太陽電池用Siでは成長時の温度の下げ幅が大き
く、元の温度に戻すまでの時間損失がかなりあった。
【0004】この点を改良し量産性を上げる目的で溶媒
内にあるいは溶媒と基板間に温度差を設けて連続成長を
可能とした温度差法が提案されている。しかし、この場
合には精密な温度制御が必要となり、成長装置が高価な
ものとなってしまう問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとしている課題】本発明は、上述の
従来技術における問題を解決すべく本発明者による鋭意
研究の結果完成に至ったものであり、簡便で量産性のあ
る液相成長法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の方法
および装置は、溶媒を収納する溶媒溜が深さ方向に一定
値以上の深さを有し前記溶媒溜を前記溶媒でほぼ満たす
ことにより、溶媒全体あるいは一部を冷却することなく
基板上に結晶を析出させる液相成長法において、前記溶
媒中の溶質の拡散定数をD、溶質を溶媒に溶かし始めて
から結晶成長を開始するまでの時間をτとしたときに前
記溶媒の深さLがL>(D・τ) 1/2 となることを特徴
とする
【0007】
【作用】本発明の作用を本発明をなすに際して得た知見
とともに説明する。本発明の主要な技術は図1に示され
るように溶媒溜である底の深いルツボの底面に溶質とな
る原料を置き、ルツボ内に溶媒を入れルツボ全体を溶媒
の融点よりも高いある一定の温度に維持する。このとき
溶質の比重が溶媒のそれに比べて小さいものを選ぶこと
により、溶質が溶媒中に溶けた後溶媒の上方に集まるよ
うになり、時間とともに次第に濃度が高くなって過飽和
状態となる。このとき溶媒上面に基体を接触させること
により基体表面に溶質が析出する。
【0008】本発明者は幾多の実験を重ねることによ
り、溶媒の比重が溶質のそれに比べて大きく溶媒の深さ
が深い場合に溶媒内に溶質の濃度分布が深さ方向にでき
ることを見い出した。また本発明者はさらに実験を重ね
ることにより、上述の場合に溶媒の下部では常に溶質が
未飽和状態であるのに対し、溶媒の上部では常に過飽和
状態となっていることを見い出し、本発明の完成に至っ
た。以下に本発明者らの行った実験について詳述する。
【0009】(実験1) 溶媒の深さと溶質の濃度分布 図1に示すように、内径40mmのカーボン製のルツボ
内に溶媒としてSnを用い、水素雰囲気中で温度を95
0℃一定にしてSi片を縦置きの状態でSnの中に浸漬
した。このときSnの深さを6mmとし、途中何度かS
i片をSnから引き上げて溶解の様子など経時変化を調
べたところ、Siが徐々にSn中に溶け出していき約2
時間で飽和に達し、溶解を終了した。溶解終了後にSn
から引き上げたSi片の様子を図2に示す。Snに漬か
っていた部分では一様にSiが溶け出しており、Sn溶
媒の深さ方向に対してSiの濃度分布がないことが示唆
される。溶解前後でのSi片の重さを秤量した結果、溶
け出したSiの量は950℃でのSiに対するSnの溶
解度から見積もられる量に一致した。
【0010】次にSnの深さを13mmとして上述と同
様にしてSi片をSn中に浸漬し、経時変化を調べたと
ころ、なかなか飽和に達せず、10時間以上過ぎても溶
解は止まらなかった。一旦Si片を引き上げて新しいS
i片に交換してから再びSn中に浸漬し、30分経った
ところでSnから引き上げSi片の様子をみたところ、
図3に示すようにSn溶媒に漬かった部分においてSi
の溶け出し方が不均一で、Sn溶媒の深さ方向にSiの
濃度に分布が生じ深い部分程未飽和になっていることが
示唆される。これに対してSn溶媒上部特に上面(表
面)付近に接していた部分ではSiの溶解はみられず、
逆にSiが析出してSi片の表面は盛り上がっていた。
段差計で測ったところ、析出したSiの高さは最大で約
20μmであった。
【0011】さらにSnの深さをいろいろと変えて同様
な実験を行ったところ、温度が950℃一定という条件
ではおよそ10mm程度以上でこのようなSn溶媒中の
Si濃度分布が顕著であることが分かった。このように
Sn溶媒の深さが増大したときに溶媒中に濃度分布がで
きてしまう理由としては、溶け出したSiの比重がSn
のそれに比べて相対的に小さいために溶媒上部に集まり
やすいためと考えられる。このとき溶媒の深さがSn中
のSiの拡散距離に比べて十分小さければSn溶媒中の
Si濃度は一様になりSi片からのSiの溶解は停止す
るが、逆に溶媒の深さがSn中のSiの拡散距離に比べ
て大きい場合にはSn溶媒中のSi濃度不均一は解消さ
れず、溶媒内の未飽和となっている部分でのSi片から
の溶解が続き、溶けたSiはさらに上方に集まるので溶
媒上部では過飽和に達すると考えられる。
【0012】(実験2) Si基板上への恒温エピ成長 実験1の結果を基にSi基板上への恒温エピ成長を行っ
た。図4に示すように、ルツボの下側に原料となるSi
片を置き、ルツボ上に配置された水平試料台に(10
0)Si基板を固定した。Si基板にはあらかじめ表面
の一部にSiO2膜を形成しておいたものを用いた。水
平試料台の横にモニタ用として縦置きのSi片を置き、
成長前のメルト内に漬けてSnメルト表面での飽和の状
態を随時観察できるようにした。ルツボ内にSnを入れ
て深さが13mmとなるようにし、ルツボ・基板を含め
た系全体を電気炉の中に入れ水素雰囲気で温度を950
℃一定とした。炉に入れて2時間程したところでモニタ
用の縦置きのSi片をルツボ内の溶けたSn中に漬け、
経時変化を観た。さらに2時間経ったところで縦置きの
Si片を引き上げると図3に示すようにSn溶媒の上部
(表面)に接していたSi片の部分でSiの析出が観ら
れたので、ここで水平試料台を下げてSnメルト表面に
接触させた。この状態で30分置いてから水平試料台を
引き上げ成長を終了した。成長の終了したSi基板の表
面を光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、SiO2 膜上にはSiの析出はみられず、SiO2
膜のないところでSiが析出してSi層が形成されてい
た。HF水溶液によりSiO2 膜を除去した後SiO2
膜のあった部分とSi層が形成された部分との間で段差
計および走査型電子顕微鏡により成長したSi層の厚さ
を測定したところ、22μmであった。また反射電子回
折法およびラマン分光法により、得られたSi層は下地
Si基板の方位を受け継いだ(100)単結晶Siであ
ることが確認された。
【0013】このように溶媒の全体あるいは一部を冷却
することなく、ルツボ・基板を含めた系全体を恒温のま
まで液相成長できることが示された。以上述べた実験結
果に基づいて完成に至った本発明は前述した様に、ルツ
ボの深さをある一定値以上とすることにより恒温下で結
晶成長を行う液相成長法に係わるものである。本発明の
特徴は溶媒と溶質の比重差を利用して過飽和状態を溶媒
表面近傍に形成するもので従来の液相成長法にみられる
ような降温過程あるいは温度勾配を保つための精密温度
制御を必要としない点である。
【0014】(ルツボ)本発明に使用される溶媒を収納
するためのルツボの材質としては高純度カーボン、石英
等が用いられ、主に高純度カーボンが使用される。 (溶媒、溶質)本発明に用いられる溶媒、溶質としては
比重差(溶質よりも溶媒の比重が大)があって従来の液
相成長法に用いられているものであればどのような組み
合わせでもよく、例えば、溶質にSiを使用する場合に
は溶媒としてはSn,Ga,In,Sb,Bi等が用い
られる。ここで溶媒としてSnを用いると、得られるS
i結晶は電気的に中性であり、成長後にあるいは成長中
に適宜所望の不純物を添加することで所望のドーピング
濃度で伝導型を決定することができる。
【0015】(溶媒深さ)また本発明の方法における溶
媒の深さについては前述のように溶媒上部(表面近傍)
で過飽和状態、溶媒下部で未飽和状態となるように溶媒
の深さが溶媒中の溶質の拡散距離に比べて大きくなるよ
うに決められる。具体的には溶媒中の溶質の拡散距離に
ついては溶媒・溶質の組み合わせ、溶媒温度(結晶成長
温度)、溶質を溶かし込んでから結晶成長を始めるまで
の時間によって適宜決められる。
【0016】溶質の溶媒中の拡散定数をD、温度をT、
結晶成長を始めるまでの時間をτとすると、拡散距離L
はL〜{D(T)・τ}1/2で表される。例として溶媒
にSn、溶質にSiを用い、成長温度を950℃とする
と、D(950℃)=6.4×10-5cm2 /sとな
り、τが3時間の場合にはL〜8mmとなる。 (雰囲気)本発明の方法において溶媒および基体がおか
れる雰囲気としてはH2 あるいはN2 が用いられ、圧力
については概ね10-2Torr〜760Torrが適当
であり、より好ましくは10-1Torr〜760Tor
rの範囲が望ましい。
【0017】(温度)また、本発明の方法における溶媒
温度としては、溶媒の種類によるがSnを用いる場合に
は800℃以上1100℃以下に制御されるのが望まし
く、900℃以上1000℃以下とするのがより好まし
い。
【0018】
【実施例】以下、本発明の方法を実施して所望の結晶を
析出するところをより詳細に説明するが、本発明はこれ
らの実施例により何ら限定されるものではない。 (実施例1)図5に示す水平2重スライド方式のボート
を用いてSiのエピタキシャル層を成長した。
【0019】ボートのメルト溜まりの深さを10mmと
し、溶媒にSn、溶質にSiを用いて成長を行った。下
側のスライダーに原料として多結晶Siウエハを、また
上側のスライダーには基板として表面の一部にSiO2
膜を形成した(100)単結晶Siウエハを置き、あら
かじめSiウエハがSnに触れないようにしておき、ボ
ートを水素雰囲気中で950℃一定に保った。次にボー
ト下側のスライダーを移動して原料ウエハをSnに接触
させ、2時間経ったところで上側のスライダーを移動し
て基板をSnに接触させてエピタキシャル成長を行っ
た。このとき図5に示すようにメルト溜まり(溶媒溜ま
り)にはSnがボート上面を多少越す程度いれておき、
上側のスライダーでSn上面を切って基板とSnが密着
するようにした。このような状態で30分経過したとこ
ろで再び上側のスライダーを移動して基板をSnから離
し、成長を終了した。
【0020】成長したシリコン層の膜厚を段差計および
走査型電子顕微鏡により測定したところ、約20μmで
あった。また反射電子回折法およびラマン分光法によ
り、得られたシリコン層は下地シリコン基板の方位を受
け継いだ(100)単結晶シリコンであることが確認さ
れた。 (実施例2)図6に示す水平2重スライド方式のボート
を用いてSiのエピタキシャル層を成長した。図6はス
ライダーが移動する方向からみたボートの断面図であ
る。スライダーは実施例1と同様に上側および下側にあ
り、それぞれSi基板、原料を配置するようになってい
る。ボートはグラファイト製で中心のメルト溜まりとそ
れに接続した2つの副メルト溜まりを備えている。2つ
の副メルト溜まりに入る溶媒の液面は中心のメルト溜ま
りに入る溶媒のそれよりも高くなるようにしてあり、中
心のメルト溜まり内の溶媒が常に上側のスライダーに密
着するようになっている。また2つの副メルト溜まりが
中心のメルト溜まりと接続する位置は下側のスライダー
よりであり、下側のスライダーに配置された原料から溶
媒中に溶解した溶質は比重差により中心のメルト溜まり
の上部に集まっていくので、溶質が副メルト溜まりの方
へは拡散しにくい構造となっており、効率よく結晶成長
が行える。
【0021】このようなボートを用いて実施例1と同様
にしてシリコンのエピタキシャル成長を行った。ボート
のメルト溜まりの深さを10mmとし、溶媒にSn,溶
質にSiを用い、下側のスライダーに原料として多結晶
Siウエハを、また上側のスライダーには基板として表
面の一部にSiO2 膜を形成した(110)単結晶Si
ウエハを置き、あらかじめSiウエハがSnに触れない
ようにしておき、ボートを水素雰囲気中で930℃一定
に保った。次にボート下側のスライダーを移動してSn
に接触させ、3時間程経ったところで上側のスライダー
を移動して基板をSnに接触させてエピタキシャル成長
を行った。このような状態で60分経過したところで再
び上側のスライダーを移動して基板をSnから離し、成
長を終了した。
【0022】成長したSi層の膜厚をSiO2 膜を形成
した部分を基準にして段差計および走査型電子顕微鏡に
より測定したところ、約35μmであった。また反射電
子回析法およびラマン分光法により、得られたシリコン
層は下地シリコン基板の方位を受け継いだ(110)単
結晶シリコンであることが確認された。 (実施例3)実施例2で示した水平2重スライド方式の
ボートを用いて基板を移動させながら多結晶Siの連続
成長を行った。キャスト法により形成した多結晶Siを
幅50mm、長さ500mm、厚さ0.6mmに加工
し、表面研磨した後に洗浄したものを基板とした。
【0023】実施例2において上側のスライダーの代わ
りに多結晶Si基板をボート上に載せ、長さ方向にスラ
イドさせてSi層を成長させた。このときあらかじめ多
結晶Si基板の先端部にSiO2 膜を形成しておき、成
長前にはこの部分を溶媒に接触させておく(図7
(a))。また多結晶Si基板の送り速度は20mm/
分とした。その他の成長条件は実施例2と同じであっ
た。
【0024】水素雰囲気中で930℃一定に保ち、ボー
ト下側のスライダーを移動して原料の多結晶Siを溶媒
のSnに接触させ、3時間程経ったところで上側のスラ
イダー代わりの多結晶Si基板を送りながらSn表面に
接触させて結晶成長を行った(図7(b))。このよう
な状態で20分経過したところで、上側の基板を今度は
反対方向に同じ送り速度で移動し、さらに20分経過し
て多結晶Si基板の先端部に付けたSiO2 膜の部分が
メルト溜まりに戻ってきたところで成長を終了した。
【0025】このようにして成長を終えた多結晶Si基
板上のSi層の膜厚を測定したところ、膜厚はメルト溜
まりの長さ方向(基板の送り方向)の大きさに依存し、
メルト溜まりの長さが100mmのときにSi層の厚さ
は約6μmであった。成長したSi層の方位についてE
CP(Electron Channeling Pa
ttern)法により調べたところ、下地の多結晶Si
基板の各々のグレインの結晶方位を受け継いでいること
が分かった。
【0026】(実施例4)実施例3と同様にして多結晶
Siの連続成長を行った。キャスト法により形成した多
結晶Siを幅50mm、長さ500mm、厚さ0.6m
mに加工し、表面研磨した後に洗浄したものを基板およ
び原料とした。実施例3において下側のスライダーの代
わりに上述の多結晶Si原料を配置し、長さ方向に上側
の多結晶Si基板と同様にスライドさせてSi層を成長
させた。このときあらかじめ多結晶Si原料の先端部に
SiO2 膜を形成しておき、溶質の溶解前にはこの部分
を溶媒に接触させておいた。多結晶Si原料の送り速度
は1mm/分とした。またメルト溜まりの長さは100
mmとした。
【0027】水素雰囲気中で1000℃一定に保ち、ボ
ート下側の原料を移動して溶媒のSnに接触させて溶質
Siの溶解を行い、3時間程経ったところで原料を上述
の送り速度で移動させた。次に上側の多結晶Si基板を
送り速度20mm/分で送りながらSn表面に接触させ
て結晶成長を行った。このような状態で20分経過した
ところで、上側の基板を今度は反対方向に同じ送り速度
で移動し、さらに20分経過して多結晶Si基板の先端
部に付けたSiO2 膜の部分がメルト溜まりに戻ってき
たところで成長を終了した。
【0028】このようにして成長を終えた多結晶Si基
板上のSi層の膜厚を測定したところ、約12μmであ
った。成長したSi層の方位についてECP(Elec
tron Channeling Pattern)法
により調べたところ、下地の多結晶Si基板の各々のグ
レインの結晶方位を受け継いでいることが分かった。 (実施例5)図8に示した水平2種スライド方式のボー
トを用いて実施例3と同様にして多結晶Siの連続成長
を行った。キャスト法により形成した多結晶Siを幅5
0mm、長さ500mm、厚さ0.6mmに加工し、表
面研磨した後に洗浄したものを基板とした。
【0029】図8は基板の送り方向に平行な面で切った
断面図を表しており、メルト溜まりの側壁の片側が基板
の送り方向に可動となっている。この場合、多結晶Si
基板は最初から成長させる部分をメルト溜まり上部に配
置させておき、メルト溜まりの側壁の位置を調節して溶
媒であるSnが多結晶Si基板に接しないようにしてお
く。メルト溜まりの深さを15mmとし、メルト溜まり
の長さは100mmとした。
【0030】水素雰囲気中で960℃一定に保ち、ボー
ト下側のスライダーを移動して原料の多結晶Siを移動
してSnに接触させてSiの溶解を行い、2時間程経っ
たところでメルト溜まりの側壁をメルト溜まりの内側に
移動させてSn表面の位置を上昇させて上側の多結晶S
i基板に接触させ、同時に基板を送り速度20mm/分
で送りながら結晶成長を行った。このような状態で20
分経過したところで、上側の基板を今度は反対方向に同
じ送り速度で移動し、さらに20分経過して多結晶Si
基板が最初にSnと接触した部分がメルト溜まりに戻っ
てきたところでメルト溜まりの側壁をメルト溜まりの外
側へ移動させ、Snの表面を基板から離して成長を終了
した。
【0031】このようにして成長を終えた多結晶Si基
板上のSi層の膜厚を測定したところ、約8μmであっ
た。成長したSi層の方位についてECP(Elect
ron Channeling Pattern)法に
より調べたところ、下地の多結晶Si基板の各々のグレ
インの結晶方位を受け継いでいることが分かった。この
ように多結晶基板上に結晶Si層が基板を送りながら連
続で成長できることが示された。
【0032】なお、上述の実施例3−5では基板にキャ
スト法による多結晶Siを用いた場合を示したが、例え
ば表面にSi層を付着したウェブ状基板をSn溶媒に接
触させてRoll−to−Rollで基板を一方向に送
りながら連続成膜をすることも可能である。 (実施例6)n+ p型薄膜結晶太陽電池を恒温液相成長
法を用いて作製した。まず実施例1と同様にして500
μm厚のp型多結晶Siウエハ(ρ=0.01Ω・c
m)上に図5に示す水平2重スライド方式のボートを用
いて多結晶Si層を成長した。
【0033】ボートのメルト溜まりの深さを10mmと
し、下側のスライダーに原料としてp型多結晶Siウエ
ハ(ρ=2Ω・cm)を置き、あらかじめSiウエハが
Snに触れないようにしておき、ボートを水素雰囲気中
で950℃一定に保った。次に下側のスライダーを移動
して原料ウエハをSnに接触させ、2時間程経ったとこ
ろで上側のスライダーを移動して基板をSnに接触させ
て結晶成長を行った。このとき図5に示すようにメルト
溜まりにはSnがボート上面を多少越す程度いれてお
き、上側のスライダーでSn上面を切って基板とSnが
密着するようにした。このような状態で75分経過した
ところで再び上側のスライダーを移動して基板をSnか
ら離し、成長を終了した。
【0034】成長したSi層の膜厚を段差計および走査
型電子顕微鏡により測定したところ、約50μmであっ
た。次に成長したSi層の表面にPOCl3 を拡散源と
して900℃の温度でPの熱拡散を行ってn+ 層を形成
し、0.5μm程度の接合深さを得た。形成されたn+
層表面のデッド層をウェット酸化後、エッチングにより
除去し、約0.2μmの適度な表面濃度をもった接合深
さを得た。
【0035】最後にEB(Electron Bea
m)蒸着により集電電極(Ti/Pd/Ag(40nm
/20nm/1μm))/ITO透明導電膜(820n
m)をn+ 層上に、また裏面電極(Al(1μm))を
基板裏面にそれぞれ形成した。このようにして得られた
簿膜多結晶Si太陽電池についてAM1.5(100m
W/cm2 )光照射下でのI−V特性について測定した
ところ、セル面積4cm2 で開放電圧0.58V、短絡
光電流34.8mA/cm2 、曲線因子0.74とな
り、エネルギー変換効率14.9%を得た。
【0036】以上述べたように、本発明によれば、メル
ト溜まりの深さを一定値より深くすることで従来より間
便なプロセスで連続して結晶成長が行えることが示され
た。
【0037】
【発明の効果】以上述べてきたように、本発明によれば
液相法において恒温のままで連続して結晶成長をするこ
とが可能となった。本発明は結晶の厚みを必要とするデ
バイス、特に太陽電池の量産方法として最適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶媒内の濃度分布を調べるために用いた実験装
置の断面図である。
【図2】溶媒の深さが浅い場合の基板の溶解の様子を示
した図である。
【図3】溶媒の深さが深い場合の基板の溶解の様子を示
した図である。
【図4】エピタキシャル成長を行うために用いた実験装
置の断面図である。
【図5】本発明の方法を実施するために用いられた液相
成長装置の断面図である。
【図6】本発明の方法を実施するために用いられた液相
連続成長装置の断面図である。
【図7】本発明の方法を実施するために用いられた液相
連続成長装置の断面図である。
【図8】本発明の方法を実施するために用いられた液相
連続成長装置の断面図である。
【符号の説明】
101,401,505,706,805 溶媒 104,404,406 試料台 103,403,504,606,703,803
基板 405 モニタ用基板 407,502,602,702,802 原料 102,402 ルツボ 506,603,704,804 ボート 501,601,701,801 下部スライダー 503,605 上部スライダー 607 主メルト溜まり 604 副メルト溜まり 705 SiO2 膜 806 可動側壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C30B 1/00 - 35/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 媒を収納する溶媒溜が深さ方向に一定
    値以上の深さを有し前記溶媒溜を前記溶媒でほぼ満たす
    ことにより、溶媒全体あるいは一部を冷却することなく
    基板上に結晶を析出させる液相成長法において、前記溶
    媒中の溶質の拡散定数をD、溶質を溶媒に溶かし始めて
    から結晶成長を開始するまでの時間をτとしたときに前
    記溶媒の深さLがL>(D・τ) 1/2 となることを特徴
    とする液相成長法。
  2. 【請求項2】 前記溶媒の比重が前記溶質の比重よりも
    大である請求項1に記載の液相成長法。
  3. 【請求項3】 前記基体と前記溶媒とが接触するのが前
    記溶媒の上面である請求項1に記載の液相成長法。
  4. 【請求項4】 前記溶媒がSnである請求項1に記載の
    液相成長法。
  5. 【請求項5】 前記溶質がSiである請求項1に記載の
    液相成長法。
  6. 【請求項6】 前記溶媒がSn、前記溶質がSiであり
    前記溶媒溜の深さが10mm以上である請求項1に記載
    の液相成長法。
  7. 【請求項7】 溶媒を収納する溶媒溜が深さ方向に一定
    値以上の深さを有し前記溶媒溜を前記溶媒でほぼ満たす
    ことにより、溶媒全体あるいは一部を冷却することなく
    基板上に結晶を析出させる液相成長装置において、前記
    溶媒中の溶質の拡散定数をD、溶質を溶媒に溶かし始め
    てから結晶成長を開始するまでの時間をτとしたときに
    前記溶媒の深さLがL>(D・τ) 1/2 となることを特
    徴とする液相成長装置。
  8. 【請求項8】 前記溶媒の比重が前記溶質の比重よりも
    大である請求項7に記載の液相成長装置。
  9. 【請求項9】 前記基体と前記溶媒とが接触するのが前
    記溶媒の上面である請求項7に記載の液相成長装置。
  10. 【請求項10】 前記溶媒がSnである請求項7に記載
    の液相成長装置。
  11. 【請求項11】 前記溶質がSiである請求項7に記載
    の液相成長装置。
  12. 【請求項12】 前記溶媒がSnでありかつ溶質がSi
    である場合に前記溶媒溜の深さが10mm以上である請
    求項7に記載の液相成長装置。
  13. 【請求項13】 前記基体を連続的に移動させることを
    特徴とする請求項7に記載の液相成長装置。
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