JP3212529B2 - 耐食性表面処理合金及びその製造方法 - Google Patents

耐食性表面処理合金及びその製造方法

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JP3212529B2 JP05906297A JP5906297A JP3212529B2 JP 3212529 B2 JP3212529 B2 JP 3212529B2 JP 05906297 A JP05906297 A JP 05906297A JP 5906297 A JP5906297 A JP 5906297A JP 3212529 B2 JP3212529 B2 JP 3212529B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は優れた耐高温腐食特
性を有し、ガスタービン翼、各種ボイラ材、ガス化炉材
などに好適に使用される、Ni基又はCo基合金からな
る被処理材の表面にCr拡散層を形成させた耐食性表面
処理合金及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンバインド・サイクルプラントに代表
される高効率化された最近の産業用ガスタービンのター
ビン入口温度は1350℃にも達している。このような
高温の燃焼ガスに暴露されるガスタービンの1,2段動
・静翼はMCrAlY合金(M:Co,Ni,CoNi
など)やZrO2 −Y2 3 等のセラミックをコーティ
ングすることによって、高温腐食損傷を防止する対策が
とられている。一方、3,4段動・静翼は燃焼ガス温度
が低下(650〜800℃)することもあり、通常は特
に腐食防止対策はとられず、無処理のままで使用されて
いた。ところが、最近4段動翼等で高温腐食が原因でク
リープ寿命が大幅に低下する事象が出現し、基材である
Ni基又はCo基合金の表面にAlやAl・Siを拡散
浸透させることにより3,4段動翼へ耐食性を付与する
処理が行われるようになってきている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記のAlやAl・S
iの拡散処理は、Ni基又はCo基合金である基材への
耐食性付与に有効であるが、表層に形成されるAlやA
l・Siの拡散層は延性が乏しく、ガスタービン運転中
に生じる変形等によるクラックの発生が懸念されてい
る。一方、基材の延性を確保しつつ耐食性を付与する方
法として、Cr粉末にアルミナ粉末などの焼結防止剤と
塩化アルミニウム粉末を混合したCr発生源粉末を使用
し、このCr発生源粉末中に被処理材を埋め込んでCV
D反応を行わせるパックセメンテーションと呼ばれるC
r拡散浸透処理方法があるが、この方法では処理後の基
材表面は析出したCrやアルミナ粉末を巻き込み、50
〜60μmもの表面粗度となるため、ガスタービン効率
の低下を招く欠点がある。
【0004】本発明は前記従来技術の実状に鑑み、Ni
基又はCo基合金基材の表面に、耐食性に優れた表面層
を有し、しかも表面が平滑で、かつ処理前と同等の基材
強度を有する耐食性表面処理合金及びその製造方法を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は前記課題を解決
する手段として次の(1)〜(4)の構成を有するもの
である。 (1)Ni基又はCo基合金からなる被処理材と、金属
Cr粉末と焼結防止剤とを重量比で30/70〜80/
20となるような割合で混合した混合物に塩化アンモニ
ウム粉末を0.5重量%以上添加したCr発生源粉末と
を、前記被処理材とCr発生源粉末との間にNi又はセ
ラミックの多孔質体からなる中間材を介在させて前記被
処理材とCr発生源粉末とが直接接触しない状態でCV
D(化学気相蒸着)容器内に装填し、該CVD容器を閉
鎖し、該容器内に残留する空気を水素又は不活性ガスと
置換した後、水素ガスを流通させながら900〜120
0℃に昇温し、同温度で5〜15時間保持して被処理材
表面にCr拡散層を形成させることを特徴とする耐食性
表面処理合金の製造方法。 (2)前記CVD容器がNi製のCVD容器であること
を特徴とする前記(1)の耐食性表面処理合金の製造方
法。
【0006】(3)Ni基又はCo基合金からなる被処
理材の表面に、Cr発生源粉末を使用し、Ni又はセラ
ミックの多孔質体からなる中間材を介在させてCVD
(化学気相蒸着)処理を行うことによりCr拡散層を形
成させてなり、該Cr拡散層の深さが20μm以上であ
り、かつ表面粗度が10μm以下であることを特徴とす
る耐食性表面処理合金。 (4)前記(1)又は(2)の方法により製造してなる
ことを特徴とする耐食性表面処理合金。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係る耐食性表面処理合金
はNi基又はCo基合金からなる基材(被処理材)の表
面に耐食性に優れたCr拡散層を形成させたものであ
る。Cr拡散による効果を十分に発揮させるためにはC
r拡散層の深さを20μm以上とするのが望ましい。な
お、Cr拡散層の深さの上限については特に制限はない
が、過度に深くする必要はなく、また、技術的困難が伴
うので上限は100μm程度とする。好ましい範囲は2
0〜60μm、さらに好ましくは20〜45μm程度で
ある。基材となるNi基又はCo基合金は、従来からガ
スタービンの動翼などに用いられているものであり、そ
の代表的な例であるガスタービン用主要耐熱合金の組成
を表1に示す。
【0008】
【表1】
【0009】以下、本発明の製造方法について、そのプ
ロセスに従って説明する。先ず、金属Cr粉末と焼結防
止剤とを重量比で30/70〜80/20となるような
割合で混合した混合物に塩化アンモニウム粉末を0.5
重量%以上添加してCr発生源粉末とする。焼結防止剤
としてはアルミナ、カオリン、シリカ、炭化珪素、酸化
カルシウムなどの粉末が使用できるが、中でもアルミナ
又はカオリンが好適である。
【0010】金属Cr粉末と焼結防止剤との比率が30
/70未満では塩化アンモニウムの添加量を増やしても
Cr拡散層の深さを20μm以上とするのは難しく、ま
た、80/20を超えるとCr粉末の焼結が進みやすく
なり、Crのスムースな発生に支障をきたす傾向がある
ので好ましくない。
【0011】塩化アンモニウムの添加量は0.5重量%
以上あれば十分である。また、塩化アンモニウムの添加
量は、2.0重量%を超えてもそれ以上の効果は得られ
ないのでコスト面も考慮して、0.5〜2.0重量%の
範囲とするのが好ましい。
【0012】このように調製したCr発生源粉末と、N
i基又はCo基合金からなる基材(被処理材)とを、該
被処理材とCr発生源粉末との間にNi又はセラミック
の多孔質体からなる中間材を介在させて被処理材とCr
発生源粉末とが直接接触しないような状態としてCVD
容器内に装填する。
【0013】中間材は加熱処理(CVD処理)の間に未
反応のCr粒子やアルミナ、カオリン等の焼結防止剤粒
子が被処理材の表面に付着し、表面層に巻き込まれるの
を防止し、反応によって生じる塩化クロム蒸気のみが被
処理材の表面に到達するようにするものであって、厚さ
が2〜10mm程度で、孔径0.1〜10μm程度の連
通孔を有し、気孔率90〜98%程度のNi多孔質体
(ポーラスニッケル)又は気孔率40%程度のセラミッ
クの多孔質体(ポーラスセラミック)が好適に使用でき
る。
【0014】ポーラスセラミックの好適な例としてはア
ルミナ、ムライト、窒化珪素などの多孔質体を挙げるこ
とができる。ポーラスニッケル及びポーラスセラミック
としては電極材料、各種フィルタ、炉心材、各種耐熱材
料などの用途に市販されている多孔質体を使用するのが
簡便であるが、反応に悪影響を及ぼさない材質で、同等
の物性を有するものであれば問題なく使用できる。これ
らの中間材は、これらの材料により円筒形など、被処理
材を収納できる形状の容器を作製し、該容器内に被処理
材を収納して蓋をし、これをCVD容器内に装填して周
囲にCr発生源粉末を充填した形で使用する。このと
き、中間材は被処理材の表面に密着させることはなく、
10〜100mm程度の間隔を保つようにする。
【0015】CVD容器としてはステンレス鋼など、通
常のCVD法で使用される容器を使用してもよいが、ス
テンレス鋼を使用した場合には被処理材の表層部に1〜
10%程度のFe分の混入があり、耐食性の改良効果が
若干低下し、特に機械的強度が低下する不都合が生じる
場合がある。CVD容器としてNi製の容器を使用する
ことにより、これらの点も改良することができる。
【0016】次に、基材(被処理材)、中間材及びCr
発生源粉末を装填したCVD容器を閉鎖し、該容器内に
残留する空気を水素又はアルゴンガスなどの不活性ガス
と置換した後、水素ガスを流通させながら900〜12
00℃に昇温し、同温度で5〜15時間保持して被処理
材表面にCr拡散層を形成させる。
【0017】水素ガスの流通量はCVD容器内を水素ガ
ス雰囲気に保持できる量であればよく、内容量10リッ
トル程度のCVD容器の場合で100〜300ミリリッ
トル/min程度とするのが好ましい。水素ガスの流通
量が100ミリリットル/min以上あれば容器内を確
実に水素雰囲気に保持することができ、また、過剰の水
素を使用する必要はなく、コスト的にも安全上からも余
分な水素の使用は望ましくないので、上限は300ミリ
リットル/min以下とするのが好ましい。
【0018】処理温度が900℃未満ではCrの拡散が
十分進行せず、Cr拡散層の深さを20μm以上にする
ことが難しく、また、1200℃を超えると基材の溶体
化温度を超えるため基材への影響が大きくなるので好ま
しくない。
【0019】処理時間は、金属Cr粉末と焼結防止剤と
の比率や処理温度との関連で適宜定めればよいが、後述
の実施例で示すように金属Cr粉末と焼結防止剤との比
率が大きく処理温度が高い条件では5時間程度で十分で
あり、これらの条件が前記範囲内で緩やかな場合であっ
ても15時間でCr拡散層の深さはほぼ最大となり、そ
れ以上の時間延長の効果は小さく、5〜15時間が好ま
しい範囲である。
【0020】前記温度範囲で所定時間処理してCr拡散
層を形成させたのち、水素ガスの流通を止め、降温し、
被処理材を取り出す。これらの処理によりNi基又はC
o基合金からなる基材の表面にCr拡散層が形成された
表面が平滑で耐食性に優れ、かつ処理前の基材の強度を
保持している耐食性表面処理合金を得ることができる。
【0021】(作用)前記処理プロセスにおいて、金属
Cr粉末と塩化アンモニウム粉末が反応して塩化クロム
蒸気が発生し、それらが雰囲気中の水素により還元され
て、被処理材の表面にCrが析出する(式及び)。
【化1】 Cr+2NH4 Cl→CrCl2 +2NH3 +H2 CrCl2 +H2 →2HCl+Cr
【0022】被処理材表面に析出したCrは逐次、基材
中へ拡散し基材表面にCr拡散層を形成する。このCr
拡散層は基材に比較しCr濃度が高いため優れた耐食性
を示す。従来技術のアルミニウム拡散処理の場合と異な
り、Cr拡散層形成による基材強度の低下は無視できる
程度である。
【0023】Cr拡散処理の間、被処理材表面は中間材
であるNi又はセラミックの多孔質体で覆われているた
め、被処理材と金属Cr粉末や塩化アンモニウム粉末及
びアルミナ、カオリン等の焼結防止剤との直接接触がな
く、塩化クロム蒸気のみが被処理材表面に到達する。そ
のため、被処理材表面での未反応金属Crやアルミナ、
カオリン等の微小粉末の巻き込みがなく、表面粗度が1
0μm以下、好ましい条件の下では5μm以下と平滑で
欠陥のないCr拡散層が形成される。
【0024】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに具体的に説
明する。 (実施例1)基材(被処理材)としてガスタービン動翼
用Ni基合金Udimet−520(組成は表1参照)
を、中間材としてポーラスニッケル(商品名:セルメッ
ト、厚さ:5.0mm、孔径1.0μm、気孔率98
%)を、CVD容器としてNi製のCVD容器(内容量
5リットル)を使用し、Cr発生源粉末の組成及び加熱
条件を変えて本発明の耐食性表面処理合金の製造試験を
行った。試験条件の概要を表2に示す。表2中、○印の
個所は試験を行った条件を示し、◎の個所はさらに試験
時間を変えた試験を追加した条件を示す。
【0025】
【表2】
【0026】アルミナ粉末に20〜90重量%の金属C
r粉末を混合した混合物に、0.5〜4.0重量%の塩
化アンモニウム粉末を加え、Cr発生源粉末を調製し
た。次に図1に示すようにCVD容器であるニッケル容
器4に、中間材であるポーラスニッケル2で周囲を覆っ
た基材(被処理材、直径12mm×高さ100mm)1
を入れ、その周囲に前記のように調製したCr発生源粉
末3を充填して閉鎖した。ニッケル容器4内に残存する
空気を真空ポンプ(図示せず)を用いて0.1Torr
まで排気した後、水素ガス導入管6から水素ガスを大気
圧となるまで導入した。さらに、この排気、水素ガス導
入の操作を再度繰り返した。
【0027】その後、ニッケル容器4を電気炉5に入
れ、水素ガス導入管6と水素ガス排出管7により水素ガ
スを約200ミリリットル/minの流量で流通させな
がら所定温度に昇温し、所定温度で所定時間保持して基
材表面にCr拡散層を形成させた後、水素ガスの流通を
止め、室温付近まで降温させた。得られた各試料につい
て、それぞれ他の条件は一定にして、金属Cr粉末とア
ルミナ粉末の混合比及び塩化アンモニウムの添加量とC
r拡散層の深さとの関係を調べた結果を図2に、処理温
度とCr拡散層の深さとの関係を調べた結果を図3に、
処理時間とCr拡散層の深さとの関係を調べた結果を図
4に示す。
【0028】図2から、Cr/Al2 3 の重量比が2
0/80ではCr拡散層の浸透深さは塩化アンモニウム
の添加量を増やしても20μmには達しないが、Cr/
Al 2 3 の重量比を30/70以上とすれば、塩化ア
ンモニウムの添加量が0.5重量%であっても20μm
以上の深さのCr拡散層を形成できることがわかる。な
お、Cr/Al2 3 の重量比が90/10のもので
は、Cr拡散層の形成は容易であったが、目視観察の結
果、一部にCr粉末の焼結が認められた。
【0029】図3から、深さ20μm以上のCr拡散層
を形成させるためには、処理温度(CVD温度)を90
0℃以上とする必要があることがわかる。なお、120
0℃を超えると基材の溶体化温度を超えるので、基材へ
の影響が大きくなり好ましくない。
【0030】処理時間はCr/Al2 3 の重量比や処
理温度の条件により、適宜定めることができる要件であ
るが、図4からCr/Al2 3 重量比が80/20で
あれば3時間程度でCr拡散層深さを20μm以上とす
ることができるが、Cr/Al2 3 重量比が30/7
0では7時間程度の処理時間が必要であることがわか
る。また、処理時間を15時間以上としてもCr拡散層
深さはほとんど増大しない。
【0031】(実施例2)基材(被処理材)としてガス
タービン静翼用Co基合金ECY768C(組成は表1
参照)を使用し、Cr/Al2 3 の重量比が40/6
0で塩化アンモニウムを1.0重量%添加したCr発生
源粉末を用いて、CVD条件を900℃、15時間とし
たほかは実施例1と同様に操作し本発明の耐食性表面処
理合金の製造試験を行った。
【0032】(実施例3)中間材としてポーラスアルミ
ナ(商品名:CPチューブ、厚さ:4.0mm、孔径1
0.0μm、気孔率40%)を使用し、Cr/Al2
3 の重量比が60/40で塩化アンモニウムを1.0重
量%添加したCr発生源粉末を用いて、排気後の水素置
換の代わりに水素ガス導入管6からアルゴンガスを大気
圧となるまで導入し、さらに、排気、アルゴンガス導入
の操作を再度繰り返す操作を行い、CVD条件を100
0℃、10時間としたほかは実施例1と同様に操作し本
発明の耐食性表面処理合金の製造試験を行った。
【0033】(実施例4)基材(被処理材)としてガス
タービン動翼用Ni基合金IN738LC(組成は表1
参照)を、中間材として実施例2で使用したものと同じ
ポーラスアルミナ(商品名:CPチューブ)を使用し、
金属Cr粉末/カオリン粉末の重量比が50/50で塩
化アンモニウムを0.5重量%添加したCr発生源粉末
を用い、CVD条件を1100℃、8時間としたほかは
実施例1と同様に操作し本発明の耐食性表面処理合金の
製造試験を行った。
【0034】(実施例5)基材(被処理材)としてガス
タービン動翼用Ni基合金IN738LC(組成は表1
参照)を使用し、金属Cr粉末/アルミナ粉末の重量比
が40/60で塩化アンモニウムを1.0重量%添加し
たCr発生源粉末を用い、CVD容器として耐熱性に優
れたSUS310(Fe−25Cr−20Ni)のCV
D容器を使用して、CVD条件を900℃、15時間と
したほかは実施例1と同様に操作し本発明の耐食性表面
処理合金の製造試験を行った。
【0035】(物性等評価試験)実施例1で製造したC
r/Al2 3 の重量比が80/20で塩化アンモニウ
ムを1.0重量%添加したCr発生源粉末を用い、11
00℃で10時間処理した試料と、実施例2〜5で製造
した試料の5種類を使用し、比較材として基材として使
用した未処理の合金3種類及びNi基合金Udimet
−520をクロマイズ処理又はAl・Si拡散処理を行
った従来技術による試料2種類の合計10種類の試料に
ついて各種物性等の評価試験を行った。評価項目は表面
粗さ測定、Cr拡散層深さとCr濃度の測定、高温腐食
試験、高温腐食雰囲気下でのクリープ試験及びクラック
発生歪限界試験である。これらの結果をまとめて表3に
示す。
【0036】表面粗さ:表3に示すように、本発明に係
る試験片はいずれも表面粗さ(表面粗度)が2〜3μm
程度であり、無処理材(#400エメリー研磨)とほぼ
同等で、従来のCr拡散浸透処理を行ったもの(50〜
60μm)と比較して著しく平滑であった。
【0037】Cr拡散層深さとCr濃度:本発明に係る
試験片についてX線マイクロアナライザ(EMPA)に
より供試材断面のCr浸透深さ(Cr拡散層深さ)とC
r濃度を測定し結果を図5に示した。また、従来法のク
ロマイズ処理試料についての測定結果及びAl・Si拡
散処理試料についてのAl・Si拡散層深さの測定結果
とともに表3に示した。本発明に係る試験片はいずれも
Cr拡散層の深さは20μm以上であり、表層Cr濃度
も50%以上で基材(Udimet−520:19%、
IN738LC:16%、ECY768C:23%)に
比較し大幅なCr濃度の増加が認められた。
【0038】高温腐食試験:1%のSO2 を含む700
℃の模擬燃焼ガス雰囲気中で100時間の90%Na2
SO4 −10%NaCl合成灰中への浸漬試験を実施し
た。結果は表3に示すとおりであり、本発明に係る試験
片は無処理品に比較しいずれも優れた耐食性を有するこ
とが確認された。
【0039】高温腐食雰囲気下でのクリープ試験:高温
腐食試験と同条件でUdimet−520試験片を対象
に70kg/cm2 ,fの引張応力を付加するクリープ
試験を実施した。結果は表3のとおりであり、無処理材
では従来材(クロマイズ、Al・Si拡散)に比較し破
断までの寿命が10%以下に低下するのに対し、本発明
に係る試験片の中でステンレス製のCVD容器を用いた
実施例5はFe分混入の影響により破断寿命は20%で
あったが、Ni製容器を使用した実施例1〜4の試験片
の破断寿命は従来材とほぼ同等であり、耐食性を増すこ
とにより、破断寿命の低下が防止できていることがわか
る。
【0040】クラック発生歪限界試験:650℃、空気
雰囲気中で引張り試験片を用いてクラックを発生する限
界歪量を測定した。結果は表3のとおりであり、Al・
Si拡散の限界歪量に比較し、本発明に係る試験片はい
ずれも2倍以上の延性を示し、変形によりクラックが発
生し難いことが確認された。
【0041】高温条件下でのクリープ試験:表3に示し
た実施例1、2及び4の試験材について650℃、空気
中でクリープ試験(応力:70kg/cm2 ,f)を行
った。その結果、各試験材の破断時間はそれぞれの基材
であるUdimet−520、ECY768C、IN7
38LCの無処理品についての値を100とすると10
0〜120の範囲にあり、材料強度への悪影響はないこ
とが確認された。
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】本発明のNi基又はCo基合金からなる
被処理材と、金属Cr粉末と焼結防止材及び塩化アンモ
ニウム粉末を適切な割合で含有するCr発生源粉末と
を、Ni多孔質体又はセラミック多孔質体からなる中間
材を介在させてCVD容器内に装填し、被処理材とCr
発生源粉末とが直接接触しない状態で加熱処理を行い、
被処理材の表層部にCr拡散層を形成させる方法によれ
ば、耐食性に優れた表面層を有し、しかも表面が平滑な
耐食性表面処理合金を容易に製造することができる。ま
た、CVD容器としてNi製の容器を使用することによ
り、容器からのFe分がCr拡散層中に混入することが
なく、さらに耐食性に優れ、高温腐食環境下における強
度が格段に優れた耐食性表面処理合金を製造することが
できる。
【0044】本発明の耐食性表面処理合金は、前記本発
明の製造方法によって製造することができ、耐食性に優
れた表面層を有し、表面が平滑で、かつ処理前と同等の
基材強度を有する耐食性表面処理合金であり、ガスター
ビン翼、各種ボイラ材、ガス化炉材など、高温腐食環境
下で使用される材料として好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の1例を示す説明図。
【図2】金属Cr粉末とアルミナ粉末の混合比及び塩化
アンモニウムの添加量とCr拡散層の深さとの関係を示
す図。
【図3】処理温度とCr拡散層の深さとの関係を示す
図。
【図4】処理温度とCr拡散層の深さとの関係を示す
図。
【図5】本発明に係る試験片について供試材断面のCr
浸透深さ(Cr拡散層深さ)とCr濃度の測定結果を示
す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 雅康 滋賀県甲賀郡甲西町大池町8番地 日本 カロライズ工業株式会社内 (72)発明者 山崎 孝尚 滋賀県甲賀郡甲西町大池町8番地 日本 カロライズ工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭55−113872(JP,A) 特開 昭56−273(JP,A) 特開 昭55−148758(JP,A) 特開 昭56−51567(JP,A) 特開 昭56−3672(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 10/54

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Ni基又はCo基合金からなる被処理材
    と、金属Cr粉末と焼結防止剤とを重量比で30/70
    〜80/20となるような割合で混合した混合物に塩化
    アンモニウム粉末を0.5重量%以上添加したCr発生
    源粉末とを、前記被処理材とCr発生源粉末との間にN
    i又はセラミックの多孔質体からなる中間材を介在させ
    て前記被処理材とCr発生源粉末とが直接接触しない状
    態でCVD(化学気相蒸着)容器内に装填し、該CVD
    容器を閉鎖し、該容器内に残留する空気を水素又は不活
    性ガスと置換した後、水素ガスを流通させながら900
    〜1200℃に昇温し、同温度で5〜15時間保持して
    被処理材表面にCr拡散層を形成させることを特徴とす
    る耐食性表面処理合金の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記CVD容器がNi製のCVD容器で
    あることを特徴とする請求項1に記載の耐食性表面処理
    合金の製造方法。
  3. 【請求項3】 Ni基又はCo基合金からなる被処理材
    の表面に、Cr発生源粉末を使用し、Ni又はセラミッ
    クの多孔質体からなる中間材を介在させてCVD(化学
    気相蒸着)処理を行うことによりCr拡散層を形成させ
    てなり、該Cr拡散層の深さが20μm以上であり、か
    つ表面粗度が10μm以下であることを特徴とする耐食
    性表面処理合金。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2に記載の方法により製造
    してなることを特徴とする耐食性表面処理合金。
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