本考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり、日常用下腿義足のソケットをそのまま用いながら、義足側の足の長さを健常側の足の長さに合うように(即ち、調和するように)調整することのできる日常用下腿義足ソケットの後方型板バネ足への取付構造を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の考案は、使用状態において漸次上方に位置すべく直線状に延在する上側帯状板部を有する後方型板バネ足における前記上側帯状板部に、日常用下腿義足のソケットの下端部を取り付けるためのブラケットを備えた日常用下腿義足ソケットの後方型板バネ足への取付構造であって、前記ブラケットは、前記上側帯状板部の周囲を囲むようにして当該上側帯状板部に所定の間隙をもって嵌合し、少なくとも当該上側帯状板部の延在する方向に移動可能な角筒部を基端部に有し、その角筒部から下方に延在するように形成された中間部を有し、その中間部の下端部から先端に向けて延在し、前記ソケットを下方から支持する支持板部を有する構成になっており、
前記角筒部には、当該角筒部を前記上側帯状板部に固定する固定手段が備えられており、前記支持板部には、前記ソケットの下端部に設けられた上側継手と直接的に又は間接部材を介して連結が可能な下側継手が設けられていることを特徴としている。
請求項2に記載の考案は、請求項1に記載の考案において、前記固定手段は、前記上側帯状板部における厚さ方向の一方の帯状面に対向する前記角筒部の正面壁部に形成された複数のネジ孔にそれぞれねじ込まれ、前記一方の帯状面に先端部を押し付ける正面固定ネジを備えた構成になっていることを特徴としている。
請求項3に記載の考案は、請求項1又は2に記載の考案において、前記角筒部には、当該角筒部を前記上側帯状板部に対して当該上側帯状板部の幅方向に移動調整可能な左右位置調整手段が備えられており、前記左右位置調整手段は、上側帯状板部における幅方向の左右の各側面に対向する前記角筒部の左右の各側壁部に形成されたネジ孔にそれぞれねじ込まれ、前記側面に先端部を押し付ける側面固定ネジを備えた構成になっていることを特徴としている。
請求項4に記載の考案は、請求項1〜3の何れかに記載の考案において、前記上側帯状板部に取り付けられ、前記ソケットの外周に巻回したベルトを当該上側帯状板部側に引き付けるようにして当該ソケットを保持するベルト用ブラケットを備えてなり、前記ベルト用ブラケットは、前記角筒部と一体のもの又は当該角筒部とは別体のもので構成されていることを特徴としている。
請求項5に記載の考案は、請求項1〜4の何れかに記載の考案において、前記支持板部は、前記下側継手を前記上側帯状板部の幅方向に対応する左右方向に連続的に又は所定の間隔をおいて取り付けることが可能に構成されていると共に、当該下側継手を前記左右方向に直交する先後方向に連続的に又は所定の間隔をおいて取り付けることが可能に構成されていることを特徴としている。
請求項6に記載の考案は、請求項1〜4の何れかに記載の考案において、前記下側継手は、略正方形の各頂点に位置するように配置された4本のネジ棒を介して前記支持板部に取り付けられるようになっており、前記支持板部は、前記4本のネジ棒における隣り合う2本のネジ棒が前記上側帯状板部の幅方向に対応する左右方向及び当該左右方向に直交する先後方向に並べて配置された状態となるように構成されており、前記支持板部には、前記4本の各ネジ棒がそれぞれ挿入可能でかつ前記左右方向に移動可能な当該左右方向に長い形状の左右方向長孔が設けられていると共に、前記4本の各ネジ棒に対応する4つの前記左右方向長孔を一組として、複数組の当該左右方向長孔が前記先後方向に所定の間隔をおいて設けられていることを特徴としている。
請求項7記載の考案は、請求項1〜4の何れかに記載の考案において、前記下側継手は、略正方形の各頂点に位置するように配置された4本のネジ棒を介して前記支持板部に取り付けられるようになっており、前記支持板部は、前記4本のネジ棒における隣り合う2本のネジ棒が前記上側帯状板部の幅方向に対応する左右方向及び当該左右方向に直交する先後方向に並べて配置された状態となるように構成されていると共に、前記隣り合う2本のネジ棒の軸心間隔の異なる二種類の前記下側継手が取り付けられるように構成されており、前記支持板部には、前記二種類の下側継手のうち一方の下側継手における前記4本の一方の各ネジ棒がそれぞれ挿入可能な一方の孔が設けられていると共に、前記4本の一方の各ネジ棒に対応する4つの前記一方の孔を一組として、複数組の当該一方の孔が前記先後方向に所定の間隔をおいて設けられており、かつ他方の下側継手における前記4本の他方の各ネジ棒がそれぞれ挿入可能な他方の孔が設けられていると共に、前記4本の他方の各ネジ棒に対応する4つの前記他方の孔を一組として、複数組の当該他方の孔が前記先後方向に所定の間隔をおいて設けられていることを特徴としている。
請求項8に記載の考案は、請求項1〜4の何れかに記載の考案において、前記下側継手は、略正方形の各頂点に位置するように配置された4本のネジ棒を介して前記支持板部に取り付けられるようになっており、前記支持板部は、前記4本のネジ棒における隣り合う2本のネジ棒が前記上側帯状板部の幅方向に対応する左右方向及び当該左右方向に直交する先後方向に並べて配置された状態となるように構成されていると共に、前記隣り合う2本のネジ棒の軸心間隔の異なる二種類の前記下側継手が取り付けられるように構成されており、前記支持板部には、前記二種類の下側継手のうち一方の下側継手における一方の前記各ネジ棒であって前記左右方向の右側に位置する一方の各ネジ棒及び他方の下側継手における他方の前記各ネジ棒であって前記左右方向の右側に位置する他方の各ネジ棒が共に挿入可能でかつ前記先後方向に移動可能な当該先後方向に長い形状の右側先後方向長孔が設けられていると共に、前記一方の下側継手における一方の前記各ネジ棒であって前記左右方向の左側に位置する一方の各ネジ棒及び他方の下側継手における他方の前記各ネジ棒であって前記左右方向の左側に位置する他方の各ネジ棒が共に挿入可能でかつ前記先後方向に移動可能な当該先後方向に長い形状の左側先後方向長孔が設けられており、前記右側先後方向長孔及び左側先後方向長孔は、それぞれにおける4つの長手方向縁部のうち、前記左右方向の最も外側に位置する一対の外側長手方向縁部で、前記一方の下側継手における前記隣り合う2本のネジ棒の軸心間隔が広く設定された前記一方の各ネジ棒を前記先後方向に案内するようになっていると共に、前記4つの長手方向縁部のうち、前記左右方向の最も内側に位置する一対の内側長手方向縁部で、前記他方の下側継手における前記隣り合う2本のネジ棒の軸心間隔が狭く設定された前記他方の各ネジ棒を前記先後方向に案内するようになっていることを特徴としている。
請求項9に記載の考案は、請求項8に記載の考案において、前記各外側長手方向縁部には、前記一方の各ネジ棒を前記先後方向に拘束することにより、前記一方の下側継手を前記先後方向の複数の位置に拘束する複数の凹部が前記先後方向に所定の間隔をおいて複数形成されていることを特徴としている。
請求項10に記載の考案は、請求項8に記載の考案において、前記各内側長手方向縁部には、前記他方の各ネジ棒を前記先後方向に拘束することにより、前記他方の下側継手を前記先後方向の複数の位置に拘束する複数の凹部が前記先後方向に所定の間隔をおいて複数形成されていることを特徴としている。
請求項1に記載の考案によれば、後方型板バネ足の上側帯状板部にソケットの下端部を取り付けるためのブラケットを備え、このブラケットは上側帯状板部にその延在方向に移動可能に嵌合する角筒部を有し、その角筒部から下方に延在する中間部を有し、その中間部の下端部から先端に向けて延在する支持板部を有し、その支持板部でソケットの下端部を支持するように構成されているので、例えば地上からソケットの下端部までの高さを低く抑えることができると共に、そのソケットの下端部までの高さを自由に調整することができる。
従って、日常用下腿義足のソケットをそのまま用いながら、義足側の足の長さを健常側の足の長さと調和するように調整することができる。よって、日常用下腿義足のソケットをそのまま用いて、後方型板バネ足による走行等を気軽に体験することができる。
また、上側継手と下側継手とを直接的に又は間接部材を介して連結することにより、ブラケットとソケットとを確実かつ強固に連結することができる。更に、固定手段によって角筒部を上側帯状板部に固定することにより、ブラケットを後方型板バネ足に確実かつ強固に固定することができる。従って、日常用下腿義足のソケットを用いて安全にかつ安心して後方型板バネ足による走行を楽しむことができる。
請求項2に記載の考案によれば、角筒部の正面壁部に形成した複数のネジ孔のそれぞれに正面固定ネジをねじ込み、それらの先端部を上側帯状板部の一方の帯状面に押し付けることにより、当該角筒部及び正面固定ネジを介してブラケットを上側帯状板部に強固に固定することができる。しかも、正面固定ネジを緩めることにより、上側帯状板部の延在する方向に角筒部を連続的に移動することができるので、義足側の足の長さを使用者の感覚にあった最適な位置に自由に調整することができるという利点がある。
請求項3に記載の考案によれば、角筒部が左右位置調整手段によって上側帯状板部の幅方向に移動調整可能になっているので、右足用又は左足用のソケットに応じてブラケットの位置を左右方向(上側帯状板部の幅方向)に調整することができる。しかも、左右方向の移動調整は側面固定ネジによって連続的に行なうことができるので、使用者の感覚に応じた最適な位置に自由に調整することができるという利点がある。
請求項4に記載の考案によれば、上側帯状板部に取り付けられ、ソケットに巻回したベルトを上側帯状板部側に引き付けるようにして当該ソケットを保持するベルト用ブラケットが備えられているので、ソケットが後方型板バネ足に一体化したような感覚を得ることができる。しかも、ベルトをベルト用ブラケットを介して後方型板バネ足に確実に保持することができるので、ベルト自体が上側帯状板部やソケットに沿って上下にずれるのを確実に防止することができる。
請求項5に記載の考案によれば、下側継手が左右方向に連続的に又は所定の間隔をおいて取り付けることが可能なように、支持板部が構成されているので、ソケットの位置を上側帯状板部の幅方向に調整することができる。しかも、下側継手が先後方向に連続的に又は所定の間隔をおいて取り付けることが可能なように、支持板部が構成されているので、ソケットの位置を上側帯状板部に対して離接する方向に間隔をおいて調整することができる。
請求項6に記載の考案によれば、支持板部には各ネジ棒がそれぞれ挿入可能で左右方向に長い4つの左右方向長孔を一組として、複数組の左右方向長孔が先後方向に所定の間隔をおいて設けられているので、ソケットの位置を上側帯状板部の幅方向に連側的に調整することができると共に、上側帯状板部に離接する方向に間隔をおいて調整することができる。
請求項7に記載の考案によれば、一方の下側継手における一方の各ネジ棒がそれぞれ挿入可能な4つの一方の孔を一組として、複数組の一方の孔が先後方向に所定の間隔をおいて設けられていると共に、他方の下側継手における他方の各ネジ棒がそれぞれ挿入可能な4つの他方の孔を一組として、複数組の他方の孔が前記先後方向に所定の間隔をおいて設けられているので、隣り合う2本のネジ棒の軸心間隔の異なる二種類の下側継手を支持板部に取り付けることができると共に、これらの各下側継手の取付位置を先後方向に間隔をおいて調整することができる。
従って、一方の下側継手に対応する上側継手を備えた例えば大人用のソケットを上側帯状板部に連結することができると共に、その大人用のソケットの位置を当該上側帯状板部に離接する方向に間隔をおいて調整することができる。また、他方の下側継手に対応する上側継手を備えた例えば子供用のソケットを上側帯状板部に連結することができると共に、その子供用のソケットの位置を当該上側帯状板部に離接する方向に間隔をおいて調整することもできる。
請求項8に記載の考案によれば、右側先後方向長孔及び左側先後方向長孔における一対の外側長手方向縁部で一方の下側継手における一方の各ネジ棒を先後方向に案内するようになっていると共に、右側先後方向長孔及び左側先後方向長孔における一対の内側長手方向縁部で他方の下側継手における他方の各ネジ棒を先後方向に案内するようになっているので、隣り合う2本のネジ棒の軸心間隔の異なる二種類の下側継手を支持板部に取り付けることができると共に、これらの各下側継手の取付位置を先後方向に連続的に調整することができる。
従って、一方の下側継手に対応する上側継手を備えた例えば大人用のソケットを上側帯状板部に連結することができると共に、その大人用のソケットの位置を当該上側帯状板部に離接する方向に連続的に調整することができる。また、他方の下側継手に対応する上側継手を備えた例えば子供用のソケットを上側帯状板部に連結することができると共に、その子供用のソケットの位置を当該上側帯状板部に離接する方向に連続的に調整することもできる。
請求項9に記載の考案によれば、各外側長手方向縁部に、一方の各ネジ棒を先後方向に拘束する複数の凹部が先後方向に所定の間隔をおいて複数形成されているので、一方の下側継手の取付位置を先後方向に間隔おいて調整することができる。但し、他方の下側継手については先後方向に連続的に調整することができる。
請求項10に記載の考案によれば、各内側長手方向縁部にのみ、他方の各ネジ棒を先後方向に拘束する複数の凹部が先後方向に所定の間隔をおいて複数形成されている場合には、当該他方の下側継手の取付位置を先後方向に間隔おいて調整することができる。但し、一方の下側継手については先後方向に連続的に調整することができる。
また、各外側長手方向縁部及び各内側長手方向縁部の双方に上記凹部が形成されている場合には、一方及び他方の双方の下側継手についてその取付位置を先後方向に間隔おいて調整することができる。
以下、本考案を実施するための形態を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本考案の第1の実施形態について図1〜3を参照して説明する。この第1の実施形態で示す日常用下腿義足ソケットの後方型板バネ足への取付構造101は、図1に示すように、使用状態において漸次上方に位置すべく直線状に延在する上側帯状板部E1を有する後方型板バネ足Eにおけるその上側帯状板部E1に、日常用下腿義足のソケットAの下端部を取り付けるためのブラケット1を備えたものとなっている。
後方型板バネ足Eは、所定の厚さ及び幅のカーボンファイバー製の帯状板によって形成されたものであり、当該後方型板バネ足Eの使用状態において、上方位置の上側帯状板部E1が走行方向の前方に向かって漸次上方に位置すべく所定の角度(勾配)をもって直線状に延在するように形成されている。また、上側帯状板部E1の下側部分は、下方に向かって漸次湾曲しながら走行方向の前方に位置するように形成されている。
ブラケット1は、図1及び図2に示すように、上側帯状板部E1の周囲を囲むようにして当該上側帯状板部E1に所定の間隙をもって嵌合し、当該上側帯状板部E1の延在する方向に移動可能な角筒部11を基端部に有し、その角筒部11から下方に延在するように形成された中間部12を有し、その中間部12の下端部から先端に向けて延在し、ソケットAを下方から支持する支持板部13を有するように構成されている。このブラケット1については、アルミニウムやチタン等の金属やそれらの合金によって一体的に形成されている。
角筒部11は、上側帯状板部E1における厚さ方向の一方の帯状面に対向する正面壁部111、この正面壁部111に対向するように形成された背面壁部112及び上側帯状板部E1の幅方向の左右の側面に所定の間隔をおいて対向するように形成された一対の側壁部113、113によって、断面長方形状の四角筒状に形成されている。
中間部12は、背面壁部112の下縁から下方に連続して直線状に延在する当該背面壁部112と同一厚さの帯状の板によって形成されており、下端部が走行方向の前方に漸次湾曲した形状になっている。この中間部12には、その幅方向の各縁部に沿って前方に突出する補強用のリブ12aが形成されている。
支持板部13は、中間部12の下端部における前方に湾曲した端部から連続して延在する当該中間部12と同一の幅及び板厚の帯状の板によって形成されている。この支持板部13には、その幅方向の各縁部に沿って下方に突出する補強用のリブ13aが形成されていると共に、その先端縁部からも下方に突出する補強用のリブ13bが形成されている。
支持板部13の各リブ13aについては、中間部12の各リブ12aとの関係において、それらのリブ12a、13aの上縁と下縁との間の寸法が中間部12の湾曲部分から支持板部13にかけて一定の値となるように形成されている。これにより、リブ12a、13aは、ソケットA等から支持板部13等に作用する荷重に対して大きな曲げ剛性を得るようになっている。
また、支持板部13は、使用状態における後方型板バネ足Eの上側帯状板部E1に角筒部11を介して取り付けられた状態において、その上面がほぼ水平方向を向くように形成されている。
更に、支持板部13には、図1(b)、図2(c)に示すように、下側継手C3を取り付けるための4本のボルトC3bを挿入する左右方向長孔131が複数形成されている。
下側継手C3は、図1(b)及び図3(a)に示すように、平面視で略正方形状に形成されており、その四隅近傍部であって、略正方形の各頂点に位置するように配置された4本の各ボルト(ネジ棒)C3bを支持板部13の上面側から各左右方向長孔131に挿入し、当該支持板部13の下面に設けられた同じく略正方形状の当て板C3aの各隅部に形成された貫通孔から下方に突出した当該各ボルトC3bのネジ部にナットC3cをねじ込んで締め付けることにより、当該支持板部13に固定されるようになっている。なお、ボルトC3bとしては、皿ネジが用いられている。
そして、支持板部13は、図3(a)に示すように、下側継手C3の4本の各ボルトC3bにおける隣り合う2本のボルトC3bが支持板部13の幅方向に対応する左右方向及びその左右方向に直交する先後方向に並べて配置された状態となるように、各ボルトC3bを挿入する左右方向長孔131の位置が設定されている。
この場合、各左右方向長孔131は、挿入したボルトC3bが左右方向に移動可能なように、左右方向に長い形状となっている。そして、下側継手C3における4つのボルトC3bに対応する4つの左右方向長孔131を一組として、複数組の左右方向長孔131が先後方向に所定の間隔をおいて設けられている。なお、この例においては、下側継手C3における4本のボルトC3bの隣り合う2本のボルトC3bの軸心間隔であるピッチP1の1/3の一定の間隔で、各左右方向長孔131が先後方向に複数配置されている。
即ち、支持板部13は、下側継手C3の取付位置を上側帯状板部E1の幅方向に連続的に調整可能に構成されていると共に、先後方向に一定の間隔をおいて調整可能に構成されている。
なお、この例では、図1(a)に示すように、下側継手C3と、ソケットAの下端部に設けられた上側継手C1とを中間継手(間接部材)C4を介して連結するように構成したものを示しているが、下側継手C3を上側継手C1に直接連結可能なもので構成することにより、中間継手C4を省略するようにしてもよい。
また、角筒部11には、図1(a)及び図2(特に図2(e))に示すように、当該角筒部11を上側帯状板部E1に固定する固定手段114が備えられている。固定手段114は、角筒部11の正面壁部111に形成された複数のネジ孔111aにそれぞれねじ込まれ、上側帯状板部E1における一方の帯状面に先端部を押し付けることにより、角筒部11を上側帯状板部E1に固定する正面固定ネジ114aを備えた構成になっている。正面固定ネジ114aは、外周面の全体が雄ねじによって形成されたいわゆるいもねじによって構成されたものであり、上側帯状板部E1を押圧する先端面が平面状に形成され、基端面に六角穴が形成されている。
更に、角筒部11には、当該角筒部11を上側帯状板部E1に対して当該上側帯状板部E1の幅方向に移動調整することが可能な左右位置調整手段115が備えられている。左右位置調整手段115は、上側帯状板部E1における幅方向の左右の各側面に対向する各側壁部113に形成された上下一対のネジ孔113aにそれぞれねじ込まれ、上側帯状板部E1の側面に先端部を押し付ける構造の側面固定ネジ115aを備えた構成になっている。側面固定ネジ115aは、外周面の全体が雄ねじによって形成されたいわゆるいもねじによって構成されたものであり、上側帯状板部E1を押圧する先端面が平面状に形成され、基端面に六角穴が形成されている。
上記のように構成された第1の実施形態に係る日常用下腿義足ソケットの後方型板バネ足への取付構造101においては、後方型板バネ足Eの上側帯状板部E1に日常用下腿義足のソケットAの下端部を取り付けるためのブラケット1を備え、このブラケット1は上側帯状板部E1にその延在方向に移動自在に嵌合する角筒部11を有し、その角筒部11から下方に延在する中間部12を有し、その中間部12の下端部から先端側に延在する支持板部13を有し、その支持板部13でソケットAの下端部を支持するように構成されているので、例えば地上からソケットAの下端部までの高さを低く抑えることができると共に、そのソケットAを支持する高さを自由に調整することができる。
従って、日常用下腿義足のソケットAをそのまま用いながら、義足側の足の長さを健常側の足の長さに調和するように調整することができる。よって、日常用下腿義足のソケットAをそのまま用いて、後方型板バネ足Eによる走行等を気軽に体験することができる。
また、ブラケット1とソケットAとを、上側継手C1、下側継手C3及び中間継手C4によって確実かつ強固に連結することができる。更に、ブラケット1と後方型板バネ足Eとを、角筒部11及び固定手段114によって確実かつ強固に連結することができる。従って、日常用下腿義足のソケットAを用いて、安全にかつ安心して後方型板バネ足Eによる走行を楽しむことができる。
更に、角筒部11の正面壁部111の各ネジ孔111aに正面固定ネジ114aをねじ込で締め付けることにより、上側帯状板部E1を角筒部11に簡単かつ確実に固定することができる。しかも、各正面固定ネジ114aを緩めるだけで、角筒部11を上側帯状板部E1の延在する方向に連続的に移動することができる。従って、ソケットAの上下方向の位置を使用者の感触にあった最適な位置に自由に調整することができる。
また更に、角筒部11が左右位置調整手段115によって上側帯状板部E1の幅方向に移動調整可能になっているので、右足用又は左足用のソケットAに応じてブラケット1の位置を左右方向に調整することができる。しかも、左右方向の移動調整は側面固定ネジ115aによって連続的に行なうことができるので、使用者の感覚に応じた最適な位置に自由に調整することができるという利点がある。
更に、下側継手C3が左右方向に連続的に移動可能なように、支持板部13に左右方向に長い左右方向長孔131が形成されているので、ソケットAの位置を上側帯状板部E1の幅方向に連続的に調整することができる。しかも、左右方向長孔貫通孔131が先後方向に一定の間隔をおいて設けているので、ソケットAの位置を上側帯状板部E1に対して離接する方向に一定の間隔をおいて調整することもできる。
なお、上記第1の実施形態においては、各ボルトC3bを挿入する孔を左右方向長孔131によって形成した例を示したが、その各ボルトC3bを挿入する孔については、図3(b)〜(f)に示すように形成されたものであってもよい。
即ち、図3(b)〜(f)に示す支持板部13は、下側継手C3として、隣り合う2本のボルトC3bの軸心間隔の異なる一方の下側継手C31及び他方の下側継手C32の二種類のものが取り付け可能に構成されている。なお、一方の下側継手C31は隣り合う2本のボルトC3b1の軸心間隔がピッチP1のもので構成されており、他方の下側継手C32は隣り合う2本のボルトC3b2の軸心間隔が上記ピッチP1より小さなピッチP2のもので構成されている。
そして、図3(b)に示す支持板部13には、一方の下側継手C31における一方の各ボルトC3b1がそれぞれ挿入可能な4つの一方の孔131aを一組として、複数組の一方の孔131aが先後方向に所定の間隔をおいて設けられている。なお、この例において、一方の孔131aは、上記ピッチP1の1/2の一定の間隔で、先後方向に複数形成されている。
更に、図3(b)に示す支持板部13には、他方の下側継手C32における他方の各ボルトC3b2がそれぞれ挿入可能な4つの他方の孔131bを一組として、複数組の他方の孔131bが先後方向に所定の間隔をおいて設けられている。なお、この例において、他方の孔131bは、上記ピッチP2の1/2の一定の間隔で、先後方向に複数形成されている。
上記のように支持板部13に一方及び他方の孔131a、131bを設けた場合においては、隣り合う2本のボルトC3bの軸心間隔の異なる一方の下側継手C31及び他方の下側継手C32を支持板部13に取り付けることができると共に、これらの第1及び他方の下側継手C31、C32の取付位置を先後方向に一定の間隔をおいて調整することができる。
従って、一方の下側継手C31に対応する上側継手C1を備えた例えば大人用のソケットAを後方型板バネ足Eの上側帯状板部E1に連結することができると共に、その大人用のソケットAの位置を当該上側帯状板部E1に離接する方向に一定の間隔をおいて調整することができる。
しかも、他方の下側継手C32に対応する上側継手C1を備えた例えば子供用のソケットAを後方型板バネ足Eの上側帯状板部E1に連結することができると共に、その子供用のソケットAの位置を当該上側帯状板部E1に離接する方向に間隔をおいて調整することもできるという利点がある。
また、図3(c)に示す支持板部13には、一方の下側継手C31における一方の各ボルトC3b1であって左右方向の右側に位置する一方の各ボルトC3b1及び他方の下側継手C32における他方の各ボルトC3b2であって左右方向の右側に位置する他方の各ボルトC3b2が共に挿入可能でかつ先後方向に移動可能な当該先後方向に長い形状の右側先後方向長孔131cが設けられている。
更に、図3(c)に示す支持板部13には、一方の下側継手C31における一方の各ボルトC3b1であって左右方向の左側に位置する一方の各ボルトC3b1及び他方の下側継手C32における他方の各ボルトC3b2であって左右方向の左側に位置する他方の各ボルトC3b2が共に挿入可能でかつ先後方向に移動可能な当該先後方向に長い形状の左側先後方向長孔131dが設けられている。
そして右側先後方向長孔131c及び左側先後方向長孔131dは、それぞれにおける4つの長手方向縁部のうち、左右方向の最も外側に位置する一対の外側長手方向縁部131e、131eで、一方の各ボルトC3b1を前記先後方向に案内するようになっていると共に、前記4つの長手方向縁部のうち、左右方向の最も内側に位置する一対の内側長手方向縁部131f、131fで、他方の下側継手C32における他方の各ボルトC3b2を先後方向に案内するようになっている。外側長手方向縁部131e及び内側長手方向縁部131fは、先後方向に直線状に延在するように形成されている。
上記のように支持板部13に右側先後方向長孔131c及び左側先後方向長孔131dを設けた場合においては、その一対の外側長手方向縁部131e、131eで一方の下側継手C31における一方の各ボルトC3b1を先後方向に案内することができると共に、一対の内側長手方向縁部131f、131fで他方の下側継手C32における他方の各ボルトC3b2を先後方向に案内することができるので、隣り合う2本のボルトC3bの軸心間隔の異なる一方の下側継手C31及び他方の下側継手C32を支持板部13に取り付けることができると共に、これらの下側継手C31、C32の取付位置を先後方向に連続的に調整することができる。
従って、大人用や子供用のソケットAの位置を上側帯状板部E1に離接する方向に連続的に調整することができる。
また、図3(d)に示す支持板部13は、外側長手方向縁部131e、131eに複数の凹部131gが形成され、内側長手方向縁部131fには凹部131gが形成されていないものとなっている。
凹部131gは、一方の下側継手C31における一方の各ボルトC3b1を先後方向に拘束すべくボルトC3bよりやや大径の半円状に形成されたものであり、外側長手方向縁部131eに沿って所定の間隔をおいて複数形成されている。なお、凹部131gは、ピッチP1の1/4の一定の間隔で、先後方向に複数形成されている。
上記のように構成することにより、一方の下側継手C31の取付位置を先後方向に一定の間隔おいて調整することができると共に、他方の下側継手C32の取付位置を先後方向に連続的に調整することができる。
また、図3(e)に示す支持板部13は、外側長手方向縁部131e、131eには凹部が形成されておらず、内側長手方向縁部131f、131fに複数の凹部131hが形成されたものとなっている。
凹部131hは、他方の下側継手C32における他方の各ボルトC3b2を先後方向に拘束すべく凹部131gと同径の半円状に形成されたものであり、内側長手方向縁部131fに沿って所定の間隔をおいて複数形成されている。なお、凹部131hは、ピッチP2の1/4の一定の間隔で、先後方向に複数形成されている。
上記のように構成することにより、一方の下側継手C31の取付位置を先後方向に連続的に調整することができると共に、他方の下側継手C32の取付位置を先後方向に一定の間隔をおいて調整することができる。
また、図3(f)に示す支持板部13は、外側長手方向縁部131e、131e及び内側長手方向縁部131f、131fのそれぞれに凹部131g、131hが複数形成されたものとなっている。
上記のように構成することにより、一方の下側継手C31についても、他方の下側継手C32についても、それらの取付位置を先後方向に一定の間隔おいて調整することができる。
(第2の実施形態)
次に、本考案の第2の実施形態について図4及び図5を参照して説明する。但し、上記第1の実施形態で示した構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
この第2の実施形態で示す日常用下腿義足ソケットの後方型板バネ足への取付構造102は、図4及び図5に示すように、ソケットAを保持するベルト2及びこのベルト2を保持するベルト用ブラケット3を設けている点で上記第1の実施形態と異なっている。
即ち、ベルト用ブラケット3は、図4及び図5に示すように、上側帯状板部E1に取り付けられ、ソケットAの外周に巻回したベルト2を当該上側帯状板部E1側に引き付けるようにして当該ソケットAを保持するように構成されている。
但し、このベルト用ブラケット3は、角筒部11に一体的に形成されることによって上側帯状板部E1に取り付けられるように構成されたものであり、当該角筒部11における背面壁部112の左右方向の各縁部に沿って形成された一対のフランジ部31及び各フランジ部31に形成された上下方向に長いベルト挿入孔31aを有するものとなっている。各フランジ部31は、走行方向の前方に突出するように形成されている。ベルト挿入孔31aは、その上下方向の長さがベルト2の幅よりやや長く形成されており、当該ベルト2が帯状の形状を保ったまま挿入可能となっている。
ベルト2は、屈曲性を有する所定の幅の帯状のもので構成されており、その長手方向の中間部をソケットAの前方の外周に巻き渡した状態で、その長手方向の一方及び他方の端部2a、2bのそれぞれを各フランジ部31の挿入孔31aに挿入するようになっている。そして、各挿入孔31aから引き出された一方及び他方の各端部2a、2bを挿入孔31aを支点にして前方に折り返すようにして更に引き出し、ソケットAにすでに巻回されている部分に重ね合わすことにより、その重ね合わせた部分に設けたマジックテープ(登録商標)で固定することによって、ソケットAを上側帯状板部E1側に引き付けるようにして保持するようになっている。
上記のように構成された第2の実施形態に係る日常用下腿義足ソケットの後方型板バネ足への取付構造102においては、上側帯状板部E1に取り付けられ、ソケットAに巻回したベルト2を上側帯状板部E1側に引き付けるようにして当該ソケットAを保持するベルト用ブラケット3を備えているので、ソケットAを後方型板バネ足Eに一体化するように保持することができる。従って、ソケットAが後方型板バネ足Eに一体化したような感覚を得ることができる。しかも、ベルト用ブラケット3が角筒部11と一体的に構成されているので、軽量かつコンパクトなベルト用ブラケット3を得ることができる。
また、ベルト2自体もベルト用ブラケット3によって保持された状態になるので、当該ベルト2が上側帯状板部E1やソケットAに沿って上下にずれるのを防止することができる。更に、ベルト2をマジックテープによって容易に脱着することができるので、そのベルト2の着脱が面倒になることもない。なお、マジックテープに代えてバックル等の他の連結手段を用いてもよい。
(第3の実施形態)
次に、本考案の第3の実施形態について図6及び図7を参照して説明する。但し、上記第2の実施形態で示した構成要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
この第3の実施形態で示す日常用下腿義足ソケットの後方型板バネ足への取付構造103は、図6及び図7に示すように、ベルト用ブラケット4が角筒部11と別体のもので構成されている点で上述の第2の実施形態と異なっている。即ち、ベルト用ブラケット4以外は、第2の実施形態と同一の構成になっている。
ベルト用ブラケット4は、角筒部41、一対のフランジ部42及び各フランジ部42に形成されたベルト挿入孔42aを有する構成になっている。このベルト用ブラケット4は、ブラケット1と同様の金属又は合成樹脂によって形成されている。
角筒部41は、前述の角筒部11と同様に、正面壁部411、背面壁部412及び一対の側壁部413、413を有し、正面壁部411には固定手段114が設けられ、各側壁部413には左右位置調整手段115が設けられている。なお、ベルト用ブラケット4においては、左右位置調整手段115を省略することも可能である。
一対のフランジ部42は、角筒部41における背面壁部412の左右方向の各縁部に沿って走行方向の前方に突出するように形成されている。ベルト挿入孔42aは、左右の各フランジ部42に上下方向に長く形成され、ベルト2が挿入可能に構成されている。即ち、ベルト挿入孔42aは、その長さがベルト2の幅よりやや長く形成されており、当該ベルト2が帯状の形状を保ったまま挿入可能となっている。
上記構成のベルト用ブラケット4は、その角筒部41を上側帯状板部E1における角筒部11の上側に嵌合した上で、固定手段114及び左右位置調整手段115によって固定されることになる。このため、ベルト用ブラケット4についても、上側帯状板部E1に沿って上下方向の所定の位置に調整することが可能になっていると共に、上側帯状板部E1の幅方向の所定の位置に調整することが可能になっている。
ベルト2は、その一方及び他方の各端部2a、2bを各挿入孔42aに挿入して折り返し、マジックテープで固定することにより、第2の実施形態と同様にソケットAを上側帯状板部E1側に引き付けた状態に固定することが可能になっている。
上記のように構成された第3の実施形態に係る日常用下腿義足ソケットの後方型板バネ足への取付構造103においても、第2の実施形態同様の作用効果を奏する。また、ベルト用ブラケット4がブラケット1と独立して位置調整が可能であるので、種々の形状のソケットAにおける最も適切な位置にベルト2を巻回して当該ソケットAを確実に保持することができる。
なお、角筒部41については、図7(d)に示すように、上側帯状板部E1を通す角孔の上部を閉塞した構造のもので構成してもよい。この場合は、その閉塞部414がストッパとなって、ベルト用ブラケット4の下方への移動を防止することができる。また、角筒部41が上側帯状板部E1の上端部を覆うカバーとして機能するようにすることもできる。