JP3207587B2 - 徐放性組成物 - Google Patents

徐放性組成物

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隆 山本
克巳 村田
進 河島
悦子 宮本
慶史 村田
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株式会社紀文フードケミファ
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内容物を特定の時間に
わたって所望のパターンで放出することができる徐放性
組成物に関する。本発明の徐放性組成物は、医薬品、食
品、各種材料など幅広い分野において応用しうるもので
ある。
【0002】
【従来の技術】徐放性組成物は、長時間にわたり内容物
を放出することができるため、放出された内容物がもた
らす特定の効果を長く維持することができる。とくに、
医薬品の分野においては薬効を長時間にわたり持続させ
ることができ、薬物投与回数を減らし継続性のある治療
を行うことができる点で極めて有用である。
【0003】しかし、医薬品等として使用するために
は、毒性・刺激性がないことが必要条件であり、その成
分はおのずと限られたものに制限されてしまう。このた
め、医薬品として問題なく使用することができて、しか
も徐放性のすぐれた組成物は数少ない。
【0004】このような条件を満たすものとして、各種
天然ポリマー、合成ポリマーを用いたものとともにアル
ギン酸を用いた徐放性組成物が開発されている。その中
には、塩基性薬物をアルギン酸ゲルビーズに包含させた
ものなどがある。しかしながら、放出させるべき内容物
を組成物中に固定化することは必ずしも容易ではない。
また、内容物を固定化できたとしても、内容物の放出パ
ターンを所望のかたちにできないことが多い。このため
に、アルギン酸を含有する徐放性組成物の応用範囲はお
のずと限定されたものとなり、それが該徐放性組成物の
実用性と有用性を狭めていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、薬物などの
内容物を安定に固定化することができて、しかも優れた
徐放性を示す徐放性組成物を提供することを目的とす
る。また、本発明は、内容物の放出パターンを所望のか
たちにすることができる徐放性組成物を提供することを
も目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、放出させ
る内容物、アルギン酸、塩基性多糖類および複合酸性ム
コ多糖類からなる徐放性組成物を提供する本発明によっ
て解決された。
【0007】本発明の徐放性組成物の成分であるアルギ
ン酸、塩基性多糖類および複合酸性ムコ多糖類は、通常
使用されるものであれば特に制限なく使用することがで
きる。例えば、複合酸性ムコ多糖類として、コンドロイ
チン硫酸A、コンドロイチン硫酸B、コンドロイチン硫
酸C、ヘパリンなどのスルホムコ多糖類などを用いるこ
とができる。また、塩基性多糖類は、合成物であっても
天然物であっても使用することができる。例えば、キト
サンやポリガラクトサミンなどを用いることができる。
【0008】放出させる内容物は、薬効物質、色素など
その種類を問わない。例えば、鎮痛消炎活性を有するジ
クロフェナクナトリウムやフルルビプロフェン、抗てん
かん活性を有するフェニトインなどを用いることができ
る。複合酸性ムコ多糖類、塩基性多糖類や放出させる物
質は、1種類の物質であってもよいし、複数の物質の混
合物であってもよい。
【0009】本発明の徐放性組成物は、放出させる内容
物、アルギン酸、塩基性多糖類および複合酸性ムコ多糖
類を含有するものであれば、その他の成分の種類や組成
物の構造は特に制限されない。したがって、他の成分と
して、ヒアルロン酸、ペクチン酸などを含有させてもよ
い。また、本発明の徐放性組成物は胃溶性の被膜で覆う
などして多層構造にしてもよいし、外層にのみキトサン
を使用して複合酸性ムコ多糖類と複合体フィルムを形成
させてもよい。一方、本発明の徐放性組成物の状態も特
に限定されない。したがって、本発明の徐放性組成物は
ハイドロゲル状であってもキセロゲル状であってもよ
い。
【0010】本発明の徐放性組成物は、当業者に公知の
方法によって調製することができる。例えば、放出させ
る内容物を複合酸性ムコ多糖類を含むアルギン酸ナトリ
ウム溶液に溶解し、塩基性多糖類を含有するカルシウム
溶液に滴下後、放置することによって徐放性組成物を得
ることができる。これらの方法によって、放出させる内
容物はほぼ定量的に固定化することができる。
【0011】本発明の徐放性組成物の放出パターンはな
だらかである点に特徴がある。このようななだらかな放
出パターンは、複合酸性ムコ多糖類と塩基性多糖類をと
もに用いた場合に観測される(図1)。そして、本発明
の徐放性組成物の放出パターンは、複合酸性ムコ多糖類
をかえることによって変化させることができる(図2お
よび図3)。また、複合酸性ムコ多糖類の使用量を変え
ることによっても、放出パターンを変化させることがで
きる(図4)。このように、複合酸性ムコ多糖類の種類
や含有量を適宜変化させることによって、使用目的にあ
った所望の放出パターンを有する徐放性組成物を調製す
ることができる。このため、本発明の徐放性組成物の有
用性は極めて高いものである。
【0012】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明の徐放性組成物
の調製法について具体的に説明する。これらの実施例で
は、以下の表1に示す多糖類を用いた。なお、実施例に
用いたアルギン酸・キトサンは、それぞれアルギン酸ナ
トリウム・キトサングルタミン酸塩として供給した。
【0013】
【表1】 使用した多糖類 アルギン酸ナトリウム 20G 紀文フードケミファ社製 キトサングルタミン酸塩 プロノバBMV プロノバ製 コンドロイチン硫酸Aナトリウム 特級試薬 ナカライテスク社コンドロイチン硫酸Cナトリウム 特級試薬 ナカライテスク社 (実施例)徐放性組成物の調製 以下の表2に示す濃度でアルギン酸ナトリウムとコンド
ロイチン硫酸を含む水溶液2mlに、ジクロフェナクナ
トリウム25mgを溶解した。この溶液をノズルを用い
て、塩化カルシウム(0.2M)と以下に示す濃度のキ
トサンを含むゲル化液25mlに滴下した。37℃で2
4時間放置した後、脱イオン蒸留水50mlで1−5回
洗浄して、徐放性組成物を得た。
【0014】なお、本発明組成物3、本発明組成物4お
よび対照組成物Dでは、放出させる内容物として上記の
ジクロフェナクナトリウムの代わりにフルルビプロフェ
ンを用いた。
【0015】
【表2】 各成分の濃度 アルギン酸 コンドロイチン硫酸 キトサン ナトリウム ナトリウム 本発明組成物1 1.5% A 0.5% 0.5% 本発明組成物2 1.5% C 0.5% 0.5% 本発明組成物3 1.0% C 0.1% 0.1% 本発明組成物4 1.0% A 0.1% 0.1% 本発明組成物5 1.0% A 1.0% 0.5% 対照組成物A 2.0% − 0.5% 対照組成物B 2.0% − − 対照組成物C 1.5% A 0.5% −対照組成物D 1.1% − − (試験例)溶出試験 実施例で調製した各徐放性組成物について、自動溶出試
験システム(富山産業株式会社)を用い、第十二改正日
本薬局方・溶出試験第2法(パドル法)に準拠して行っ
た。パドル回転数は150rpmに固定し、溶出液として
第十二改正日本薬局方・崩壊試験法試験液第二液500
mlを用いて37℃において行った。溶出したジクロフェ
ナクナトリウムは275nmにおける吸光度を測定する
ことによって定量した。結果は、図1ー図4に示すとお
りであった。
【0016】
【発明の効果】本発明の徐放性組成物は、その成分であ
る複合酸性ムコ多糖類の種類や使用量などを適宜選択す
ることによって放出パターンを所望の形にすることがで
きる。したがって、本発明の徐放性組成物の応用範囲は
極めて広汎にわたるものと期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】複合酸性ムコ多糖類や塩基性多糖類を含有しな
い対照組成物と本発明組成物のジクロフェナクナトリウ
ムの放出パターンを比較した図である。
【図2】本発明に使用する複合酸性ムコ多糖類の種類を
かえることによるジクロフェナクナトリウムの放出パタ
ーンの変化を示した図である。
【図3】本発明に使用する複合酸性ムコ多糖類の種類を
かえることによるフルルビプロフェンの放出パターンの
変化を示した図である。
【図4】本発明に使用する複合酸性ムコ多糖類の使用量
を変えることによるジクロフェナクナトリウムの放出パ
ターンの変化を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 47/36 A23L 1/30

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放出させる内容物、アルギン酸、塩基性多
    糖類および複合酸性ムコ多糖類からなる徐放性組成物。
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FR2791262B1 (fr) * 1999-03-22 2001-09-28 Virbac Sa Compositions a base de chondroitine et de chitosan pour la protection, le traitement ou le remplacement des tissus conjonctifs
EP1879552B1 (en) * 2005-03-14 2016-02-17 Biotegra, Inc. Drug delivery compositions comprising a polyelectrolyte complex within a polymeric matrix
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